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特開2024-171254処理システム、及び、空間制御システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171254
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】処理システム、及び、空間制御システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/50 20060101AFI20241204BHJP
   G06N 3/04 20230101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F9/50 150D
G06N3/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088228
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 裕
(57)【要約】
【課題】処理システムにおいて、演算リソースの利用効率を向上させる。
【解決手段】処理システム10は、センサ20が検知する空間AR1の状態変化に基づき推定モデルを用いる演算処理を行ってアクチュエータ30を制御する。処理システム10は、選定部と、余裕度共有部と、演算委任部と、制御部と、を備える。演算部は、演算処理の一部を選定する。余裕度共有部は、処理システム10の処理余裕度を算出し、第2処理システム10の処理余裕度を取得する。第2処理システム10は、処理システム10である第1処理システム10と同じ構成を備える。演算委任部は、第1処理システム10の処理余裕度よりも処理余裕度の大きい第2処理システム10に、選定部が選定した演算処理の一部を演算させる。制御部は、演算処理の結果に基づきアクチュエータ30を制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが検知する空間の状態変化に基づき推定モデルを用いる演算処理を行ってアクチュエータを制御する処理システムであって、
前記演算処理の一部を選定する選定部と、
前記処理システムの処理余裕度を算出し、前記処理システムである第1処理システムと同じ構成を備える第2処理システムの処理余裕度を取得する余裕度共有部と、
前記第1処理システムの前記処理余裕度よりも前記処理余裕度の大きい前記第2処理システムに、前記選定部が選定した前記演算処理の前記一部を実行させる演算委任部と、
前記演算処理の結果に基づき前記アクチュエータを制御する制御部と、
を備える処理システム。
【請求項2】
前記処理システムは、前記アクチュエータを用いて、照明、空調、気流、音声、及び、画像のうち少なくとも1つを制御する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記処理システムは、前記センサから、前記状態変化として、画像と音声のうち少なくとも1つを取得する、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記演算処理の一部を実施する演算部を更に備え、
前記演算部は、前記演算処理を実施する機能を有しており、又は、前記演算処理を実施する演算装置に接続されている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項5】
前記センサを含む、空間の状態変化を検知する複数のセンサと通信可能であり、
前記選定部は、前記複数のセンサのうち、最も近い前記センサが検知する前記空間の前記状態変化に基づき前記演算処理を選定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項6】
前記演算委任部は、前記第2処理システムに前記演算処理の前記一部を実行させるための部分モデルを、前記推定モデルを分割して生成する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項7】
前記推定モデルは、入力層、出力層、及び少なくとも1つの中間層を備えるニューラルネットワークであり、
前記演算委任部は、前記ニューラルネットワークにおける複数のノードの数及び前記複数のノードの各々のリンク数に基づいて、前記推定モデルを分割する、
請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記推定モデルは、入力層、出力層、及び少なくとも1つの中間層を備えるニューラルネットワークであり、
前記演算委任部は、前記演算処理を、前記ニューラルネットワークの入力層から所定の中間層までの演算と、前記ニューラルネットワークの前記所定の中間層から出力層までの演算とに分割する、
請求項6に記載の処理システム。
【請求項9】
前記第2処理システムに前記部分モデルを送信する、
請求項6に記載の処理システム。
【請求項10】
前記選定部は、人の粗密、人の移動、環境データ、及び、エネルギー消費のうち少なくとも1つに関する前記演算処理を選定する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項11】
前記演算処理は、人の感情、人の活性度、人の体感温度、及び、異常推論のうち少なくとも1つに関する演算処理である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項12】
前記選定部は、
前記演算処理を含む複数の演算処理を選定し、
前記複数の演算処理の各々に優先度を設定し、
前記演算委任部は、優先度の低い演算処理から順に、前記第2処理システムに前記複数の演算処理を実行させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項13】
前記センサを含む、空間の状態変化を検知する複数のセンサと通信可能であり、
前記選定部は、
前記複数のセンサの各々が検知する前記空間の前記状態変化に基づき前記演算処理を選定し、
前記複数のセンサのうち前記処理システムの前記処理余裕度への影響の大きいセンサを、前記第2処理システムと対応させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項14】
前記アクチュエータを含む複数のアクチュエータと通信可能であり、
前記選定部は、
前記複数のアクチュエータのいずれかの動作に係る前記演算処理を選定し、
前記複数のアクチュエータのうち前記処理システムの前記処理余裕度への影響の大きいアクチュエータを、前記第2処理システムと対応させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の処理システム。
【請求項15】
前記センサ及び前記アクチュエータが設けられる前記空間は複数の小空間を含み、
前記複数の小空間のうち1つは前記複数の小空間のうち残りの小空間と互いに物理的に離れている、
請求項1に記載の処理システム。
【請求項16】
請求項1に記載の処理システムである、第1処理システム及び第2処理システムを備え、
前記第2処理システムは、前記第1処理システムの前記演算委任部の指示に基づき、前記第1処理システムの前記選定部が選定した前記演算処理の前記一部を実行する、
空間制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は処理システム及び空間制御システムに関し、特に、演算処理を行う処理システム及び空間制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ニューラルネットワークに計測装置(センサ)が計測する室内温度等の環境パラメータを入力して、空気調和機(アクチュエータ)の機器パラメータを算出する制御システム(処理システム)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/028970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に係る制御システムでは、空間に複数の空気調和機が設置される場合に、計測装置が計測する環境パラメータに基づき空気調和機を制御するために、空気調和機の各々がニューラルネットワークを用いる演算装置を必要とする。したがって、空間の状況次第では、空気調和機毎に演算負荷が異なり、演算リソースの利用が非効率になる場合がある。
【0005】
本開示は、演算リソースの利用効率を向上させることができる処理システム及び空間制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る処理システムは、センサが検知する空間の状態変化に基づき推定モデルを用いる演算処理を行ってアクチュエータを制御する。前記処理システムは、選定部と、余裕度共有部と、演算委任部と、制御部と、を備える。前記選定部は、前記演算処理の一部を選定する。前記余裕度共有部は、前記処理システムの処理余裕度を算出し、第2処理システムの処理余裕度を取得する。前記第2処理システムは、前記処理システムである第1処理システムと同じ構成を備える。前記演算委任部は、前記第1処理システムの前記処理余裕度よりも前記処理余裕度の大きい前記第2処理システムに、前記選定部が選定した前記演算処理の前記一部を実行させる。前記制御部は、前記演算処理の結果に基づき前記アクチュエータを制御する。
【0007】
本開示の一態様に係る空間制御システムは、第1処理システム及び第2処理システムを備える。前記第1処理システム及び前記第2処理システムは、前記処理システムである。前記第2処理システムは、前記第1処理システムの前記演算委任部の指示に基づき、前記第1処理システムの前記選定部が選定した前記演算処理の前記一部を実行する。
【発明の効果】
【0008】
上記態様に係る処理システム及び空間制御システムによれば、処理システムの演算リソースの利用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係る空間制御システムのブロック図である。
図2図2は、同上の空間制御システムから通信可能なセンサのブロック図である。
図3図3は、同上の空間制御システムから通信可能なアクチュエータのブロック図である。
図4図4は、同上の空間制御システムにおける処理システムのブロック図である。
図5図5は、同上の空間制御システムにおける推定モデルの概略図である。
図6図6は、同上の空間制御システムにおける処理システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示の態様に係る処理システム及び空間制御システムについて、図面を用いて説明する。
【0011】
(実施形態1)
(1)構成
(1.1)全体構成
図1に示すように、実施形態1に係る空間制御システム1は、複数(図1では3つ)の処理システム10を含む。複数の処理システム10の各々は、空間AR1に設けられている複数のセンサ20が検知する空間AR1の状態変化に基づいて推定モデル41(図4及び図5参照)を用いた演算処理を行う。
【0012】
空間AR1は、単一の空間である。ここで、空間AR1が単一の空間であるとは、空間AR1が一続きであることを言う。空間AR1は、空間AR11と、空間AR12と、空間AR13と、を含む。空間AR11、空間AR12、空間AR13の各々は、互いに区切られた空間である。空間AR11~AR13は、例えば、建物の1つのフロアに一列に並んでいる部屋である。より詳細には、空間AR11と空間AR12とは互いに隣接している。また、空間AR12と空間AR13とは互いに隣接している。
【0013】
複数の処理システム10は、演算処理の結果に基づいて、空間AR1に設けられている複数のアクチュエータ30を制御する。
【0014】
(1.2)センサ
複数のセンサ20の各々は、空間AR1の状態変化を検知する。空間AR1の状態変化は、例えば、空間AR1内の人数、人の活動、室温、明るさなどの変化を言う。複数のセンサ20は、例えば、空間AR1から取得される画像、空間AR1から取得される音声など、空間AR1内の人の活動を示す情報を取得する。又は、複数のセンサ20は、室温、明るさなどの、空間AR1内の状態を示す情報を取得する。
【0015】
複数のセンサ20の各々は、図2に示すように、空間AR1の状態変化を検知する1以上(図2では1つ)の検知部21と、処理システム10と通信するための通信部22と、制御部23と、を備える。
【0016】
検知部21は、例えば、カメラ、マイク、明るさセンサ、温度センサ等の状態検知デバイスである。
【0017】
通信部22は、例えば、Bluetooth(登録商標)、BLE(Bluetooth Low Energy)、無線LAN、有線LANなど、処理システム10との通信を可能とする通信インターフェースである。
【0018】
制御部23は、センサ20とペアリング状態にある処理システム10を記憶している。制御部23は、例えば、定期的に、又は、変化を検知した際に、通信部22から、検知部21が検知した状態を示す信号を、ペアリング状態にある処理システム10に送信する。
【0019】
センサ20は、例えば、センサ20から最も近い処理システム10とペアリングされる。ここで、センサ20から最も近い処理システム10とは、センサ20から処理システム10への通信における遅延が最も小さくなる処理システム10、又は、センサ20から処理システム10への通信の消費電力が最も小さくなる処理システム10を言う。すなわち、センサ20から最も近い処理システム10とは、センサ20から処理システム10への通信が低遅延かつ省電力となるような処理システム10を言う。
【0020】
より詳細には、図1に示すように、センサ20a及びセンサ20bは、処理システム10aとペアリングされる。また、センサ20c及びセンサ20dは、処理システム10bとペアリングされる。また、センサ20e及びセンサ20fは、処理システム10cとペアリングされる。
【0021】
(1.3)アクチュエータ
複数のアクチュエータ30の各々は、空間AR1の状態に対して変化をもたらす挙動を示すデバイスである。本開示において、アクチュエータ30とは、気流、音、明るさの変化などの空間AR1の状態変化を生じさせるデバイスを指し、機械的な運動を行うものに限られない。すなわち、アクチュエータ30とは、処理システム10における演算処理の結果に基づいて、空間AR1の状態を変化させるデバイスを言う。
【0022】
複数のアクチュエータ30の各々は、図3に示すように、空間AR1に対して働きかけを行う動作部31と、通信部32と、制御部33と、を備える。複数のアクチュエータ30の各々は、例えば、照明器具、空調機、スピーカ、表示装置等である。
【0023】
動作部31は、例えば、照明、空調、気流、音声、画像の少なくとも1つを変化させる。具体的には、動作部31は、例えば、照明器具の発光部、空調機の室内機、スピーカの発音部、表示装置の表示部、等である。動作部31は、通信部32を介して処理システム10から受信した制御指示に従って動作する。
【0024】
通信部32は、例えば、Bluetooth、BLE、無線LAN、有線LANなど、処理システム10との通信を可能とする通信インターフェースである。
【0025】
制御部33は、アクチュエータ30とペアリング状態にある処理システム10を記憶している。制御部33は、ペアリング状態にある処理システム10から制御指示を受信すると、制御指示に基づく動作を行うよう動作部31を制御する。
【0026】
より詳細には、図1に示すように、アクチュエータ30a及びアクチュエータ30bは、処理システム10aとペアリングされる。また、アクチュエータ30c及びアクチュエータ30dは、処理システム10bとペアリングされる。また、アクチュエータ30e及びアクチュエータ30fは、処理システム10cとペアリングされる。
【0027】
(1.4)処理システム
複数の処理システム10の各々は、図1に示すように、ペアリング状態にあるセンサ20から空間AR1の状態を示す信号を受信し、受信した信号に基づいて推定モデル41を用いる演算処理を行う。複数の処理システム10は、演算処理の結果に基づいて、空間AR1に設けられている複数のアクチュエータ30を制御する。例えば、処理システム10は、センサ20から空間AR1の画像を示す信号に基づいて、空間AR1への人数を推測し、空間AR1内の人数に合わせて空調機であるアクチュエータ30を制御する。
【0028】
例えば、処理システム10aは、センサ20aから受信した空間AR1の状態を示す信号、及び、センサ20bから受信した空間AR1の状態を示す信号に基づき、推定モデル41(図4参照)を用いる演算処理を行う。ここで、演算処理の結果に基づき制御されるアクチュエータ30はアクチュエータ30a及びアクチュエータ30bに限られず、アクチュエータ30c~30fのいずれかであってもよい。推定モデル41を用いる演算処理は、人の感情、人の活性度、人の体感温度、及び、異常推論のうち少なくとも1つに関する演算処理である。例えば、センサ20が空間AR1の状態として画像を出力する場合、演算処理は、分類(classification)、検出(detection)、セマンティックセグメンテーション、インスタンスのうち1つ以上を含む。
【0029】
複数の処理システム10の各々は、例えば、空間AR1である部屋の天井裏及び壁に配置されている。
【0030】
処理システム10は、図4に示すように、選定部11と、余裕度共有部12と、演算委任部13と、演算部14と、記憶部15と、通信部16と、制御部17と、を備える。
【0031】
選定部11は、センサ20から受信する信号に基づいて推定モデル41を用いた演算処理について、演算部14で行うか、同じ構成を有する他の処理システム10(以下、「第2処理システム10」という)に演算処理を委任するかの選定を行う。第2処理システム10は、複数の処理システム10のうち、選定部11を備える処理システム10(以下、「第1処理システム10」ともいう)以外のいずれか1つの処理システム10である。ここで、第2処理システム10が第1処理システム10と同じ構成を有するとは、第2処理システム10が推定モデル41を用いた演算処理を行うための最小限の構成を少なくとも有することを指す。推定モデル41を用いた演算処理を行うための最小限の構成は、具体的には、演算部14、通信部16、及び、制御部17である。すなわち、第2処理システム10は、第1処理システム10と完全に同じ構成である必要はない。
【0032】
選定部11は、例えば、演算処理の結果として制御対象となるアクチュエータ30が処理システム10とペアリング状態にある場合には、演算部14で処理すると選定する。一方、選定部11は、例えば、演算処理の結果として制御対象となるアクチュエータ30が第2処理システム10とペアリング状態にある場合には、第2処理システム10で処理すると選定する。例えば、センサ20aがマイクでありアクチュエータ30aがスピーカである場合、第1処理システム10aの選定部11は、センサ20aから取得する空間AR1の音声を示す信号に基づく演算処理を第1処理システム10aの演算部14が行うように選定する。また、例えば、センサ20bがカメラであり、空間AR11の温度を制御する空調機がアクチュエータ30cである場合、第1処理システム10aの選定部11は、センサ20bから取得する画像信号に基づく演算処理を第2処理システム10b又は10cが行うように選定する。
【0033】
なお、選定部11の選定基準は、例えば、演算に用いる推定モデル41を記憶部15が保持しているか否かに基づいてもよい。例えば、センサ20cがマイクであり、第1処理システム10bが音声に対応する推定モデル41を有していない場合、第1処理システム10bは、センサ20cから取得する音声信号に基づく演算処理を他の第2処理システム10a又は10cが行うように選定する。
【0034】
また、選定部11は、演算処理の内容に応じて演算処理を選定してもよい。演算処理の内容は、例えば、人の粗密、人の移動、環境データ、及び、エネルギー消費のうち少なくとも1つに関する。より具体的には、演算処理の内容は、空間AR1の人の粗密、空間AR1への人の出入り、又は、これらに起因する消費エネルギーの削減、環境負荷の低減に関する。
【0035】
余裕度共有部12は、演算部14の処理余裕度を算出する。演算部14の処理余裕度とは、演算部14の演算処理能力にどの程度の余裕があるかを示すパラメータである。演算部14の処理余裕度は、例えば、演算部14における単位時間において演算を行っていない時間の割合である。例えば、演算部14が全く演算処理を行っていない場合、処理余裕度は100%である。また、例えば、演算部14において、単位時間の3/4に演算を行い、残りの単位時間の1/4に演算を行っていない場合、処理余裕度は25%である。
【0036】
また、余裕度共有部12は、第2処理システム10から、第2処理システム10の処理余裕度を取得する。余裕度共有部12は、例えば、第2処理システム10と通信可能な第1処理システム10に対して、演算部14の処理余裕度を定期的に出力する。余裕度共有部12は、算出した演算部14の処理余裕度と、第2処理システム10から取得した第2処理システム10の処理余裕度とを、余裕度情報43として記憶部15に保存し、又は記憶部15の余裕度情報43を更新する。
【0037】
演算委任部13は、第2処理システム10に委任すると選定部11が選定した演算処理について、第1処理システム10の処理余裕度よりも処理余裕度の大きい処理システム10に、その演算処理の一部を実行させる。例えば、第1処理システム10aの演算委任部13は、処理システム10bの処理余裕度が第1処理システム10aの処理余裕度よりも大きい場合、第2処理システム10bに演算処理の一部を委任する。
【0038】
ここで、演算委任部13は、第1処理システム10の処理余裕度よりも処理余裕度の大きい処理システム10が複数存在する場合には、そのうち最も処理余裕度の大きい第2処理システム10に、第2処理システム10に委任すると選定部11が選定した演算処理の一部を委任する。例えば、第1処理システム10aの演算委任部13は、処理システム10b及び10cの各々の処理余裕度がいずれも第1処理システム10aの処理余裕度よりも大きい場合には、以下のように演算処理の一部を委任する第2処理システム10を決定する。すなわち、第1処理システム10aの演算委任部13は、処理システム10bの処理余裕度が処理システム10cの処理余裕度以上であれば、第2処理システム10bに演算処理を委任し、処理システム10bの処理余裕度が処理システム10cの処理余裕度未満であれば、第2処理システム10cに演算処理の一部を委任する。
【0039】
演算委任部13は、委任対象の演算処理について、その演算に必要な情報を第2処理システム10に出力する。演算委任部13は、例えば、推定モデル41のうち、第2処理システム10が委任される演算処理を行うために必要な一部である部分モデル42を出力する。推定モデル41は、例えば、図5に示すように、入力層50と、出力層70と、複数の中間層60(図5では2つの中間層61及び62)とを含む、ニューラルネットワークである。演算委任部13は、ニューラルネットワークである推定モデル41を複数のノードを基準として、複数のノードの入力側と出力側で分割し、その一方を部分モデル42とする。ここで、推定モデル41の分割の基準となる複数のノードは、1つの中間層60を構成していることが好ましい。より好ましくは、部分モデル42は、ニューラルネットワークである推定モデル41のうち、入力層50から特定の中間層60まで、又は、特定の中間層60から出力層70までの部分である。部分モデル42は、例えば、推定モデル41のうち、特定の中間層62から出力層70までの部分である。
【0040】
演算部14は、センサ20から受信する信号に基づいて推定モデル41を用いた演算処理を行う。より詳細には、演算部14は、選定部11が演算部14で処理すると選定した演算について、演算に必要な信号をセンサ20から取得し、演算に使用する推定モデル41を記憶部15から取得する。そして、演算部14は、推定モデル41の入力層50にセンサ20から取得した信号を入力し、出力層70の出力データを算出する。
【0041】
また、演算部14は、第2処理システム10に委任すると選定部11が選定した演算処理について、推定モデル41のうち、部分モデル42以外の部分を用いて、中間データを算出する。より詳細には、演算部14は、推定モデル41の入力層50にセンサ20から取得した信号を入力し、特定の中間層62に入力されるデータを中間データとして算出する。演算委任部13は、中間データと、部分モデル42とを、第2処理システム10に出力する。
【0042】
また、第2処理システム10の演算部14は、第1処理システム10の演算委任部13によって委任された演算処理を実行する。より詳細には、第2処理システム10の演算部14は、第1処理システム10の演算委任部13から、部分モデル42と、中間データとを受信する。第2処理システム10の演算部14は、推定モデル41の特定の中間層62に相当する部分モデル42の入力層に中間データを入力し、出力層70の出力データを算出する。
【0043】
演算部14は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)など、演算処理のためのハードウェアを含む。
【0044】
記憶部15は、推定モデル41、及び、複数の処理システム10の各々における処理余裕度を記憶している記憶媒体である。
【0045】
通信部16は、センサ20、アクチュエータ30、及び、他の処理システム10との通信を可能とする通信インターフェースである。通信部16は、例えば、Bluetooth、BLE、無線LAN、有線LANなどのインターフェースである。
【0046】
制御部17は、選定部11が演算部14で演算すると選定した演算処理、又は、選定部11が一部を第2処理システム10で演算すると選定した演算処理、の各々について、その演算結果に基づいてアクチュエータ30に指示を送信する。また、第2処理システム10の制御部17は、第1処理システム10から委任された演算処理の結果を、第1処理システム10に送信する。
【0047】
処理システム10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における処理システム10としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0048】
また、処理システム10における複数の機能が、1つの筐体内に集約されていることは処理システム10に必須の構成ではなく、処理システム10の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、演算部14の一部は、処理システム10とは異なる筐体に設けられてもよい。
【0049】
反対に、実施形態1において、処理システム10、センサ20、及びアクチュエータ30に分散されている空間制御システム1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。例えば、センサ20と処理システム10とに分散されている空間制御システム1の一部の機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0050】
(2)動作
図6は、実施形態1に係る(第1)処理システム10における、ペアリングされているセンサ20からの信号の受信に基づく一連の動作を示すフローチャートである。
【0051】
処理システム10の選定部11は、センサ20からの信号の受信に基づく演算処理を選定する(ステップS11)。より詳細には、選定部11は、センサ20からの信号の受信に基づく演算処理について、第2処理システム10に委任する演算処理か、全てを第1処理システム10の演算部14が行う演算処理かのいずれかとして選定する。
【0052】
演算処理が「第2処理システム10に委任する演算処理」である場合(ステップS12でYes)、処理システム10の演算委任部13は、その演算処理を委任する対象の処理システム10を決定する(ステップS13)。演算委任部13は、記憶部15の余裕度情報43に基づいて、第1処理システム10以外の複数の処理システム10のうち、最も処理余裕度の大きい第2処理システム10を、その演算処理における委任対象とする。
【0053】
次に、第1処理システム10の演算部14は、演算処理の一部を実行する(ステップS14)。演算部14は、推定モデル41のうち、入力層50から所定の中間層62までの部分を用いて、推定モデル41を用いる演算処理の一部を実行する。演算部14は、演算処理の一部の結果として、中間データを算出する。中間データは、推定モデル41のうち中間層62に入力されるデータである。
【0054】
次に、第1処理システム10の演算委任部13は、演算処理の残りを第2処理システム10に委任する(ステップS15)。第1処理システム10の演算委任部13は、部分モデル42と、中間データとを、第2処理システム10に送信する。第2処理システム10は、推定モデル41の中間層62に相当する部分モデル42の入力層に中間データを入力し、出力層70の出力データを算出する。出力データは、推定モデル41を用いる演算処理の出力データと一致する。第1処理システム10の演算委任部13は、第2処理システム10から、演算結果である出力データを受信する。
【0055】
次に、第1処理システム10の制御部17は、出力データに基づいてアクチュエータ30を制御する(ステップS16)。第1処理システム10の制御部17は、出力データとして推定される空間AR1の状態に基づいて、アクチュエータ30を制御する。例えば、制御部17は、空間AR1にいる人の体感温度が上昇していることが推定されると、空調機であるアクチュエータ30に設定温度を下げるよう指示する。また、例えば、制御部17は、空間AR1にいる人の活性度が低下していることが推定されると、表示装置であるアクチュエータ30に画像を表示するように指示する。
【0056】
一方、演算処理が「全てを第1処理システム10の演算部14が行う演算処理」である場合(ステップS12でNo)、第1処理システム10の演算部14は、センサ20からの信号の受信に基づく演算処理の全部を実行する(ステップS17)。第1処理システム10の演算部14は、推定モデル41の入力層50にセンサ20から受信した信号を入力し、推定モデル41の出力層70の出力データを算出する。続く処理は、上述のステップS16の通りである。
【0057】
(3)処理システムの負荷分担の例
実施形態1に係る空間制御システム1における、複数の処理システム10の各々について処理余裕度が変化する態様の例を以下に示す。
【0058】
例えば、ある時刻における、処理システム10の各々の処理負荷及び処理余裕度は以下の通りである。ここで、処理負荷とは、演算部14の演算処理能力がどの程度既に使用されているかを示すパラメータである。処理負荷は、例えば、演算部14に空き時間が生じていれば、単位時間当たりに演算部14が演算処理を行った時間の割合である。また、処理負荷は、例えば、演算部に空き時間が生じていなければ、単位時間当たりの、演算部14が実際に行った演算量に対し、演算部14が行うべき演算量の割合である。例えば、演算部14が単位時間の1/4に演算を行い、単位時間の3/4に演算を行っていない場合、処理負荷は25%である。また、例えば、演算部14が、単位時間において、行うべき演算処理の5/6に相当する演算を行い、行うべき演算処理の1/6が未処理となっている場合、処理負荷は120%である。つまり、処理負荷が100%を超えている状態は、演算部14の演算能力が不足している状態を示す。
【0059】
【表1】
【0060】
次に、空間AR11から人がいなくなり、空間AR12の人数が増える変化が生じる。したがって、処理システム10aにペアリングされているセンサ20a、及び、処理システム10bにペアリングされているセンサ20dが空間AR12の状態変化を検出する。これにより、処理システム10aにおいて、センサ20aからの信号に基づく演算処理を行う必要がなくなり、演算部14の処理負荷が0%に変化する。また、処理システム10bにおいて、処理システム10bの演算部14の演算能力に対し100%の負荷となる、センサ20dからの信号に基づく演算処理が新たに生じる。
【0061】
このとき、処理システム10の選定部11がこの演算処理を演算部14で実行すると選定した場合、処理システム10の各々の処理負荷及び処理余裕度は以下の通りとなる。
【0062】
【表2】
【0063】
したがって、処理システム10bでは、演算部14の処理能力を超える演算を行う必要がある。そのため、処理システム10bでは、演算処理、及び、演算処理に基づくアクチュエータ30への制御指示に遅延が発生する可能性がある。
【0064】
一方、第1処理システム10bの選定部11が、センサ20dからの信号に基づく演算処理の一部を第2処理システム10に実行させると選定する場合、第1処理システム10bの演算委任部13は、以下のように第2処理システム10を決定する。すなわち、第1処理システム10bの演算委任部13は、第1処理システム10bの処理余裕度0%より処理余裕度が大きい処理システム10a及び10cのうち、処理余裕度が100%である第2処理システム10aにその演算処理の一部を委任する。したがって、第1処理システム10bの演算委任部13は、演算処理のうち30%に相当する一部を第2処理システム10aに委任すると決定すると、処理システム10の各々の処理負荷及び処理余裕度は以下の通りとなる。
【0065】
【表3】
【0066】
したがって、実施形態1に係る空間制御システム1では、演算処理の委任が発生した場合には、演算を効率化することが可能である。
【0067】
(4)効果
実施形態1に係る処理システム10は、センサ20が検知する空間AR1の状態変化に基づき推定モデル41を用いる演算処理を行ってアクチュエータ30を制御する。処理システム10は、選定部11と、余裕度共有部12と、演算委任部13と、制御部17と、を備える。選定部11は、演算処理の一部を選定する。余裕度共有部12は、(第1)処理システム10の処理余裕度を算出し、第1処理システム10とは異なる第2処理システム10の処理余裕度を取得する。演算委任部13は、第1処理システム10の処理余裕度よりも処理余裕度の大きい第2処理システム10に、選定部11が選定した演算処理の一部を実行させる。制御部17は、演算処理の結果に基づきアクチュエータ30を制御する。これにより、処理余裕度の小さい第1処理システム10が行う演算の一部を、処理余裕度の大きい第2処理システム10が代行することが可能となる。したがって、複数の処理システム10の間で処理負荷が平均化され、演算処理の効率化が可能となる。
【0068】
また、実施形態1に係る処理システム10は、アクチュエータ30を用いて、照明、空調、気流、音声、及び、画像のうち少なくとも1つを制御する。したがって、処理システム10を用いて、空間AR1の状態変化に基づく、空間AR1の演出又は環境の制御が可能となる。
【0069】
また、実施形態1に係る処理システム10では、センサ20から、状態変化として、画像と音声のうち少なくとも1つを取得する。これにより、処理システム10は、空間AR1の人の移動等に基づく、空間AR1の演出又は環境の制御が可能となる。
【0070】
また、実施形態1に係る処理システム10は、演算処理の一部を実施する演算部14を備える。演算部14は、演算処理を実施する機能を有する。これにより、処理システム10とは別に演算処理のための設備を必要としない。
【0071】
また、実施形態1に係る処理システム10は、複数のセンサ20と通信可能である。選定部11は、複数のセンサ20のうち、最も近いセンサ20が検知する空間AR1の状態変化に基づき演算処理を選定する。これにより、センサ20が検知する空間AR1の状態変化について、センサ20から低遅延又は低電力で通信可能な処理システム10が、その状態変化に基づく演算処理を行う。したがって、センサ20の消費電力を削減することが可能となる。また、空間制御システム1において、センサ20が空間AR1の状態変化を検知してから処理システム10が演算処理を開始するまでの所要時間を短縮することが可能となる。
【0072】
また、実施形態1に係る処理システム10では、演算委任部13は、他の処理システム10に演算処理の一部を実行させるための部分モデル42を、推定モデル41を分割して生成する。したがって、処理システム10では、演算結果に影響を及ぼさないように、かつ、容易に、演算処理の一部を他の処理システム10に実行させることができる。
【0073】
また、実施形態1に係る処理システム10では、推定モデル41は、入力層、出力層、及び少なくとも1つの中間層を備えるニューラルネットワークである。演算委任部13は、演算処理を、ニューラルネットワークである推定モデル41の入力層から所定の中間層までの演算と、ニューラルネットワークである推定モデル41の所定の中間層から出力層までの演算とに分割する。したがって、第1処理システム10と、第2処理システム10との間での演算途中の中間データのやり取りを最小限とすることができる。また、第1処理システム10と、第2処理システム10との間で、センサ20が検知する空間AR1の状態変化と、推定結果の一方をやり取りする必要がなくなる。
【0074】
また、実施形態1に係る処理システム10は、他の処理システム10に推定モデル41の一部を送信する。これにより、他の処理システム10が推定モデル41を記憶していなくても、推定モデル41を用いる演算処理の一部を行うことができる。
【0075】
また、実施形態1に係る処理システム10では、選定部11は、人の粗密、人の移動、環境データ、及び、エネルギー消費のうち少なくとも1つに関する演算処理を選定する。これにより、空間制御システム1が空間AR1に対し、省エネルギーかつ環境負荷の小さい空間制御が可能となる。
【0076】
また、実施形態1に係る処理システム10では、演算処理は、人の感情、人の活性度、人の体感温度、及び、異常推論のうち少なくとも1つに関する演算処理である。これにより、空間制御システム1が空間AR1に対し、空間AR1にいる人を基準とする制御が可能となる。
【0077】
また、実施形態1に係る空間制御システム1は、第1処理システム10及び第2処理システム10を備える。第2処理システム10は、第1処理システム10の演算委任部13の指示に基づき、第1処理システム10の選定部11が選定した演算処理の一部を実行する。これにより、処理余裕度の小さい第1処理システム10が行う演算の一部を、処理余裕度の大きい第2処理システム10が代行することが可能となる。したがって、複数の処理システム10の間で処理負荷が平均化され、演算処理の効率化が可能となる。
【0078】
(実施形態2)
実施形態2に係る処理システム10では、選定部11が演算処理について優先度を設定する。
【0079】
実施形態2に係る処理システム10では、選定部11は、センサ20から受信した空間AR1の状態変化に基づく演算処理について、優先度を設定する。選定部11は、演算処理に対し、演算部14により演算すべき演算処理ほど高い優先度を設定し、一部を第2処理システム10に委任してよい演算処理ほど低い優先度を設定する。選定部11は、例えば、演算処理の結果に基づいて制御されるアクチュエータ30が処理システム10とペアリングされている場合には、演算処理の優先度を高くする。また、選定部11は、例えば、演算処理に用いる推定モデル41が処理システム10の記憶部15に記憶されていない場合は、演算処理の優先度を低く設定する。
【0080】
演算委任部13は、複数の演算処理のうち、優先度の低い演算処理から順に、他の処理システム10に演算させる。このとき、演算委任部13は、処理システム10の処理余裕度よりも処理余裕度が大きい第2処理システム10に、演算処理を実行させる。これにより、優先度の低い演算処理の演算負荷による、演算部14の演算リソースの低下を防ぐことができる。
【0081】
制御部17は、複数の演算処理のうち、優先度の高い演算処理から順に、演算部14に演算させる。これにより、処理システム10の演算部14が行うことが好ましい演算処理については、演算部14が速やかに実行することができる。
【0082】
(実施形態3)
実施形態3に係る処理システム10では、選定部11が処理システム10とセンサ20又はアクチュエータ30とのペアリングを必要に応じて変更する。
【0083】
実施形態3に係る処理システム10では、選定部11は、処理システム10にペアリングされている複数のセンサ20の各々が検知する空間AR1内の状態変化に基づいて演算処理を選定する。より詳細には、例えば、処理システム10aの選定部11は、センサ20aが検知する空間AR1内の状態変化に基づいて演算処理を選定する。また、処理システム10aの選定部11は、センサ20bが検知する空間AR1内の状態変化に基づいて演算処理を選定する。
【0084】
選定部11は、第1処理システム10にペアリングされている複数のセンサ20のうち、第1処理システム10の処理余裕度への影響が大きいセンサ20を、第2処理システム10と対応させる。例えば、第1処理システム10aの選定部11は、センサ20aが検知する空間AR1内の状態変化に基づく演算処理と、センサ20bが検知する空間AR1内の状態変化に基づく演算処理と、の各々について、演算部14の処理余裕度に与える影響度を算出する。そして、センサ20aとセンサ20bとのうち、センサ20が検知する空間AR1内の状態変化に基づく演算処理の演算負荷の大きいセンサ20を選択する。例えば、センサ20aとセンサ20bの各々が検知する空間AR1内の状態変化に基づく演算処理の演算負荷がそれぞれ、演算部14の処理能力の40%と20%とである場合、選定部11は、センサ20aを選択する。
【0085】
そして、選定部11は、演算部14の処理余裕度に与える影響度が大きいセンサ20について、第2処理システム10と対応させる。選定部11は、余裕度情報43に基づき、他の処理システム10のうち、処理余裕度の大きい第2処理システム10と、選択したセンサ20とをペアリングさせる。
【0086】
例えば、選定部11が余裕度情報43に基づき、第2処理システム10bとセンサ20aとをペアリングさせる場合、以下の処理を行う。選定部11は、センサ20aとペアリングを実行する指示を、第2処理システム10bに対し、通信部16から送信する。選定部11は、第2処理システム10bから指示を受領した旨の信号を受信すると、センサ20aに対してペアリング解除信号を送信する。第2処理システム10bは、センサ20aに対してペアリング要求信号を送信する。センサ20aは、第1処理システム10aからペアリング解除信号を受信し、第2処理システム10bからペアリング要求信号を受信すると、第2処理システム10bとのペアリングを行う。
【0087】
これにより、センサ20aが検知する空間AR1内の状態変化を示す信号は、第2処理システム10bに送信されるようになる。したがって、センサ20の各々が検知する空間AR1内の状態変化に基づく演算処理の演算負荷を、複数の処理システム10のうち特定の処理システム10に集中しないように分担することが可能となる。
【0088】
また、実施形態3に係る処理システム10では、選定部11は、処理システム10にペアリングされている複数のアクチュエータ30の各々の動作に係る演算処理を選定する。選定部11は、処理システム10にペアリングされている複数のセンサ20のうち、第1処理システム10の処理余裕度への影響が大きいアクチュエータ30を、第2処理システム10と対応させる。
【0089】
例えば、処理システム10aの選定部11は、アクチュエータ30aの動作に関連する演算処理と、アクチュエータ30bの動作に関連する演算処理と、の各々について、演算部14の処理余裕度に与える影響度を算出する。そして、アクチュエータ30aの動作に関連する演算処理と、アクチュエータ30bの動作に関連する演算処理と、のうち、演算負荷の大きい演算処理に対応するアクチュエータ30を選択する。例えば、アクチュエータ30aの動作に関連する演算処理と、アクチュエータ30bの動作に関連する演算処理と、の各々の演算負荷がそれぞれ、演算部14の処理能力の30%と50%とである場合、選定部11は、アクチュエータ30bを選択する。
【0090】
そして、選定部11は、演算部14の処理余裕度に与える影響度が大きいアクチュエータ30について、第2処理システム10と対応させる。選定部11は、余裕度情報43に基づき、処理システム10のうち、処理余裕度の大きい第2処理システム10と、選択したアクチュエータ30とをペアリングさせる。
【0091】
例えば、選定部11が余裕度情報43に基づき、第2処理システム10bとアクチュエータ30bとをペアリングさせる場合、以下の処理を行う。選定部11は、アクチュエータ30bとペアリングを実行する指示を、第2処理システム10bに対し、通信部16から送信する。選定部11は、第2処理システム10bから指示を受領した旨の信号を受信すると、アクチュエータ30bに対してペアリング解除信号を送信する。第2処理システム10bは、アクチュエータ30bに対してペアリング要求信号を送信する。アクチュエータ30bは、第1処理システム10aからペアリング解除信号を受信し、第2処理システム10bからペアリング要求信号を受信すると、第2処理システム10bとのペアリングを行う。
【0092】
これにより、アクチュエータ30bに対する制御指示の送信は、第2処理システム10bが行う。また、アクチュエータ30bに対する制御指示に係る演算処理は、主として第2処理システム10bが行う。したがって、アクチュエータ30の各々に対する制御指示に係る演算処理の演算負荷を、複数の処理システム10のうち特定の処理システム10に集中しないように分担することが可能となる。
【0093】
(実施形態に係るその他の変形例)
(1)実施形態1~3では、複数の空間AR11~AR13の各々に処理システム10と2個のセンサ20、2個のアクチュエータ30が設けられているが、センサ20は、1つの空間AR11に1つだけでもよいし、3以上設置されてもよい。同様に、アクチュエータ30は、1つの空間AR11に1つだけでもよいし、3以上設置されてもよい。
【0094】
また、1つのセンサ20又は1つのアクチュエータ30を、空間AR11と空間AR12とで共用してもよい。
【0095】
また、処理システム10の各々は空間AR11~AR13に一対一で対応している必要はない。例えば、空間AR13に複数の処理システム10が設置されていてもよい。また、1つの処理システム10は、空間AR11及びAR12とで共用されてもよい。
【0096】
(2)実施形態1~3では、空間AR11~AR13は互いに区切られている。しかしながら、例えば、空間AR11と空間AR12とは区切られていなくてもよい。また、空間AR11~AR13は、例えば、可動式のパーティションが設けられているなど、連続した空間としても区切られた空間としても使用可能に構成されていてもよい。
【0097】
また、空間AR1は単一の空間でなくてもよい。空間AR1は、空間AR11と、空間AR12と、空間AR13と、を含む。例えば、空間AR11と空間AR12とが隣接し、空間AR13は、空間AR11及び空間AR12とは隣接していない。すなわち、空間AR11及びAR12と、空間AR13とは物理的に離れている。ここで、「空間AR13は、空間AR11及びAR12と物理的に離れている」とは、空間AR13が、空間AR11及びAR12のいずれとも連続せず他の空間から孤立していることを言う。例えば、空間AR11及びAR12は同じ建物の同じフロアに設けられており、空間AR13は空間AR11及びAR12とは同じ建物の別フロアに設けられている。また、例えば、空間AR13は、空間AR11及びAR12とは別の建物に設けられている。これにより、空間制御システム1は、空間AR1が物理的に連続している単一の空間でなくても制御が可能となる。
【0098】
(3)実施形態1~3では、第1処理システム10は演算処理の一部を第2処理システム10に委任するが、第1処理システム10は、演算処理を3以上に分割し、そのうち2以上を、2以上の第2処理システム10に委任してもよい。例えば、第1処理システム10bは、センサ20cが検出した空間AR1の状態変化に基づく演算処理を3分割し、そのうちの1つを第2処理システム10aに委任し、他の1つを第2処理システム10cに委任してもよい。これにより、複数の処理システム10の間で演算負荷を平均化し、演算リソースをより効率的に使用することができる。
【0099】
また、第1処理システム10は、例えば、自身の処理負荷が100%を超えないように、演算処理の一部を第2処理システム10に委任するとしてもよい。これにより、演算部14の演算能力不足により第1処理システム10が行うべき演算処理に遅延が生じ、又は演算処理が行われない事態の発生を低減させることができる。
【0100】
(4)実施形態1~3では、処理システム10の演算部14はCPU、GPU、FPGA又はASICなど、演算処理を行うための構成を有しているが、演算部14は、演算装置と接続されていてもよい。演算装置は、例えば、CPU、GPU、FPGA又はASICなどの演算処理を行う構成を有する。これにより、例えば、処理システム10の製造後に演算部14の演算能力を向上させることが可能となる。
【0101】
(5)実施形態1~3では、推定モデル41を所定の中間層62で分割するが、推定モデル41の中間層60は3以上の中間層を有していてもよい。また、推定モデル41の分割の基準となる所定の中間層は、中間層61でもよいし、中間層60が3以上の中間層を含む場合には、そのうちの任意の1つでもよい。
【0102】
なお、推定モデル41の分割の基準となる複数のノードは、1つの中間層60を構成していなくてもよい。推定モデル41の分割の基準となる複数のノードは、複数のノードの各々に接続するリンクの数が小さくなるように選択される。又は、推定モデル41の分割の基準となる複数のノードは、複数のノードに含まれるノードの数が小さくなるように選択される。これにより、中間データを小さくすることが可能となる。
【0103】
(6)実施形態1~3では、第1処理システム10の演算委任部13は、第2処理システム10に演算処理を委任する際に部分モデル42を送信する。しかしながら、処理システム10の演算委任部13は、第2処理システム10に演算を委任するか否かに関わらず、部分モデル42を空間制御システム1内の処理システム10に送信してもよい。これにより、処理システム10は、中間データを受け取ることで演算処理の一部を実施可能となるため、第2処理システム10として動作する際に、演算処理の所要時間が短縮される。
【0104】
(態様)
第1の態様に係る処理システム(10)は、センサ(20)が検知する空間(AR1)の状態変化に基づき推定モデル(41)を用いる演算処理を行ってアクチュエータ(30)を制御する。処理システム(10)は、選定部(11)と、余裕度共有部(12)と、演算委任部(13)と、制御部(17)と、を備える。選定部(11)は、演算処理の一部を選定する。余裕度共有部(12)は、処理システム(10)の処理余裕度を算出し、第2処理システム(10)の処理余裕度を取得する。第2処理システム(10)は、処理システム(10)である第1処理システム(10)と同じ構成を備える。演算委任部(13)は、第1処理システム(10)の処理余裕度よりも処理余裕度の大きい第2処理システム(10)に、選定部(11)が選定した演算処理の一部を演算させる。制御部(17)は、演算処理の結果に基づきアクチュエータ(30)を制御する。
【0105】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、複数の処理システム(10)の間で処理負荷が平均化される。したがって、複数の処理システム(10)の間で、演算処理の効率化が可能となる。
【0106】
第2の態様に係る処理システム(10)は、第1の態様において、アクチュエータ(30)を用いて、照明、空調、気流、音声、及び、画像のうち少なくとも1つを制御する。
【0107】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、空間(AR1)の状態変化に基づく、空間(AR1)の演出又は環境の制御が可能となる。
【0108】
第3の態様に係る処理システム(10)は、第1又は第2の態様において、センサ(20)から、状態変化として、画像と音声のうち少なくとも1つを取得する。
【0109】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、空間(AR1)における人の移動等に基づき、空間(AR1)の演出又は環境の制御が可能となる。
【0110】
第4の態様に係る処理システム(10)は、第1から第3の態様のいずれかにおいて、演算処理の一部を実施する演算部(14)を更に備える。演算部(14)は、演算処理を実施する機能を有しており、又は、演算処理を実施する演算装置に接続されている。
【0111】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、処理システム(10)とは別に演算処理のための設備を必要としない。又は、上記態様に係る処理システム(10)によれば、処理システム(10)の製造後に、演算部(14)の演算能力を向上させることができる。
【0112】
第5の態様に係る処理システム(10)は、第1から第4の態様のいずれかにおいて、センサ(20)を含む、空間の状態変化を検知する複数のセンサ(20)と通信可能である。選定部(11)は、複数のセンサ(20)のうち、最も近いセンサ(20)が検知する空間(AR1)の状態変化に基づき演算処理を選定する。
【0113】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、センサ(20)が検知する空間(AR1)の状態変化について、センサ(20)から低遅延又は低電力で通信可能な処理システム(10)が、その状態変化に基づく演算処理を行う。したがって、センサ(20)の消費電力を削減することが可能となる。また、センサ(20)が空間(AR1)の状態変化を検知してから処理システム(10)が演算処理を行うまでの所要時間を短縮することが可能となる。
【0114】
第6の態様に係る処理システム(10)では、第1から第5の態様のいずれかにおいて、演算委任部(13)は、第2処理システム(10)に演算処理の一部を演算させるための部分モデル(42)を、推定モデル(41)を分割して生成する。
【0115】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、演算処理の結果に影響を及ぼさないように、かつ、容易に、演算処理の一部を他の処理システム(10)に実行させることができる。
【0116】
第7の態様に係る処理システム(10)では、第6の態様において、推定モデル(41)は、ニューラルネットワーク(41)である。演算委任部(13)は、ニューラルネットワーク(41)におけるノード間のリンク数が少ない箇所で、推定モデル(41)を分割する。
【0117】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、第2処理システム(10)で行う演算処理と第2処理システム(10)で行う演算処理とのいずれも効率化することができる。
【0118】
第8の態様に係る処理システム(10)では、第7の態様において、演算委任部(13)は、演算処理を、ニューラルネットワーク(41)の入力層(50)から所定の中間層(62)までの演算と、ニューラルネットワーク(41)の所定の中間層(62)から出力層(70)までの演算とに分割する。
【0119】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、第1処理システム(10)と、第2処理システム(10)との間での演算途中の中間データのやり取りを最小限とすることができる。また、第1処理システム(10)と、第2処理システム(10)との間で、センサ(20)が検知する空間(AR1)の状態変化と、推定結果の一方をやり取りする必要がなくなる。
【0120】
第9の態様に係る処理システム(10)は、第6から第8の態様のいずれかにおいて、第2処理システム(10)に部分モデル(42)を送信する。
【0121】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、第2処理システム(10)が推定モデル(41)を記憶していなくても、推定モデル(41)を用いる演算処理の一部を行うことができる。
【0122】
第10の態様に係る処理システム(10)では、第1から第9の態様のいずれかにおいて、選定部(11)は、人の粗密、人の移動、環境データ、及び、エネルギー消費のうち少なくとも1つに関する演算処理を選定する。
【0123】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、空間(AR1)に対し、省エネルギーかつ環境負荷の小さい空間制御が可能となる。
【0124】
第11の態様に係る処理システム(10)では、第1から第10の態様のいずれかにおいて、演算処理は、人の感情、人の活性度、人の体感温度、及び、異常推論のうち少なくとも1つに関する演算処理である。
【0125】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、空間(AR1)に対し、空間(AR1)にいる人を基準とする制御が可能となる。
【0126】
第12の態様に係る処理システム(10)では、第1から第11の態様のいずれかにおいて、選定部(11)は、演算処理を含む複数の演算処理を選定する。選定部(11)は、複数の演算処理の各々に優先度を設定する。演算委任部(13)は、優先度の低い演算処理から順に、第2処理システム(10)に前記複数の演算処理を実行させる。
【0127】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、優先度の低い演算処理の演算負荷による、演算部(14)の演算リソースの低下を防ぐことができる。
【0128】
第13の態様に係る処理システム(10)は、第1から第12の態様のいずれかにおいて、センサ(20)を含む、空間の状態変化を検知する複数のセンサ(20)と通信可能である。選定部(11)は、複数のセンサ(20)の各々が検知する空間(AR1)の状態変化に基づき演算処理を選定する。選定部(11)は、複数のセンサ(20)のうち処理システム(10)の処理余裕度への影響の大きいセンサ(20)を、第2処理システム(10)と対応させる。
【0129】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、センサ(20)の各々が検知する空間(AR1)内の状態変化に基づく演算処理の演算負荷を、複数の処理システム(10)のうち特定の処理システム(10)に集中しないように分担することが可能となる。
【0130】
第14の態様に係る処理システム(10)は、第1から第13の態様のいずれかにおいて、アクチュエータ(30)を含む複数のアクチュエータ(30)と通信可能である。選定部(11)は、複数のアクチュエータ(30)のいずれかの動作に係る演算処理を選定する。選定部(11)は、複数のアクチュエータ(30)のうち処理システム(10)の処理余裕度への影響の大きいアクチュエータ(30)を、第2処理システム(10)と対応させる。
【0131】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、アクチュエータ(30)の各々に対する制御指示に係る演算処理の演算負荷を、複数の処理システム(10)のうち特定の処理システム(10)に集中しないように分担することが可能となる。
【0132】
第15の態様に係る処理システム(10)では、第1から第14の態様のいずれかにおいて、センサ(20)及びアクチュエータ(30)が設けられる空間(AR1)は、複数の小空間(AR11~AR13)を含む。複数の小空間(AR11~AR13)のうち1つ(AR13)は複数の小空間のうち残りの小空間(AR11~AR12)と互いに物理的に離れている。
【0133】
上記態様に係る処理システム(10)によれば、空間(AR1)が物理的に連続していなくても制御が可能となる。
【0134】
第16の態様に係る空間制御システム(1)は、第1処理システム(10)及び第2処理システム(10)を備える。第1処理システム(10)及び第2処理システム(10)は、第1から第15の態様に係る処理システム(10)である。第2処理システム(10)は、第1処理システム(10)の演算委任部(13)の指示に基づき、第1処理システム(10)の選定部(11)が選定した演算処理の一部を実行する。
【0135】
上記態様に係る空間制御システム(1)によれば、複数の処理システム(10)の間で処理負荷が平均化される。したがって、複数の処理システム(10)の間で、演算処理の効率化が可能となる。
【符号の説明】
【0136】
10 処理システム(第1処理システム、第2処理システム)
11 選定部
12 余裕度共有部
13 演算委任部
14 演算部
20 センサ
30 アクチュエータ
41 推定モデル
42 部分モデル
50 入力層
62 中間層
70 出力層
AR1 空間
AR11、AR12、AR13 空間(小空間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6