(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171259
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】吸込ノズル及び吸込ノズルを備えた掃除機
(51)【国際特許分類】
A47L 9/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A47L9/02 A
A47L9/02 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088236
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100157808
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 耕平
(72)【発明者】
【氏名】赤瀬 美樹
(72)【発明者】
【氏名】大高 弘之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】椋本 英治
【テーマコード(参考)】
3B061
【Fターム(参考)】
3B061AA09
(57)【要約】
【課題】左右の回動ケースに作用している吸引力の相互作用を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示の吸込ノズルは、ノズル本体と、ノズル本体から左右方向に突出した基本位置から床面に沿って前方又は後方に回動可能にノズル本体に対して左右に間隔を空けて接続された一対の回動ケースと、一対の回動ケースを床面から浮いた状態で支持するように一対の回動ケースの下側に設けられた支持部と、一対の回動ケースの間に配置された仕切部と、を備えている。仕切部は、基本位置にある一対の回動ケースのうち一方の回動ケースの吸込空間に作用している吸引力が、基本位置にある一対の回動ケースのうち他方の回動ケースの下側の空間に作用することを抑制するように、一対の回動ケースの下側の空間を左右に仕切っている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引力が作用すると塵埃が流れる吸引管に接続可能であるとともに前記吸引管に向かって流れる塵埃の通過を許容する連通空間を形成しているノズル本体と、
前記吸引力によって塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間をそれぞれ形成しているとともに、前記ノズル本体から左右方向に突出した基本位置から床面に沿って前方又は後方に回動可能に前記ノズル本体に対して左右に間隔を空けて接続された一対の回動ケースと、
前記一対の回動ケースを床面から浮いた状態で支持するように前記一対の回動ケースの下側に設けられた支持部と、
前記一対の回動ケースの間に配置された仕切部と、を備え、
前記仕切部は、前記基本位置にある前記一対の回動ケースのうち一方の回動ケースの吸込空間に作用している吸引力が、前記基本位置にある前記一対の回動ケースのうち他方の回動ケースの下側の空間に作用することを抑制するように、前記一対の回動ケースの下側の空間を左右に仕切っている、吸込ノズル。
【請求項2】
前記支持部は、前記一対の回動ケースに跨って延設されて、前記一対の回動ケースを支持するように構成されている、請求項1に記載の吸込ノズル。
【請求項3】
前記一方の回動ケースを前記ノズル本体に接続するとともに、前記連通空間に作用している吸引力が前記一方の回動ケースの前記吸込空間に作用することを許容するケース接続部を更に備え、
前記ケース接続部は、前記一方の回動ケース及び前記ノズル本体のうち一方に設けられた軸部と、前記一方の回動ケース及び前記ノズル本体のうち他方に設けられているとともに前記軸部が挿入される軸受部と、
周方向に互いに間隔を空けた位置で前記軸部の外周面及び前記軸受部の内周面のうち一方から径方向に突出して前記軸部の前記外周面及び前記軸受部の前記内周面のうち他方に接触する第1突出部及び第2突出部と、を有しており、
前記第1突出部及び前記第2突出部の間には、塵埃の落下を許容する除去空間が形成されている、請求項1又は2に記載の吸込ノズル。
【請求項4】
前記支持部を前記ノズル本体に固定する固定脚と、
前記一方の回動ケースを前記ノズル本体に接続するとともに、前記連通空間に作用している吸引力が前記一方の回動ケースの前記吸込空間に作用することを許容するケース接続部と、を更に備え、
前記ノズル本体は、前記ケース接続部に上側から被さって前記連通空間を前記ケース接続部の周囲で形成しつつ前記ケース接続部を収容する収容部を有しており、
前記支持部は、前記一方の回動ケースの下端と係合するように構成されており、
前記固定脚は、前記ケース接続部を貫通するように前記支持部から上向きに延設されて、前記収容部に接続されている、請求項1に記載の吸込ノズル。
【請求項5】
前記一方の回動ケースは、左側の回動ケースであり、
前記ケース接続部は、前記ノズル本体から左方に突出した基本位置にある前記左側の回動ケースの右端部分を前記ノズル本体に接続するように構成されているともに、前記左側の回動ケースが前記基本位置にあるときに前記連通空間と前記ケース接続部の内部空間とが連通するように右向きに開口している、請求項4に記載の吸込ノズル。
【請求項6】
前記一方の回動ケースは、右側の回動ケースであり、
前記ケース接続部は、前記ノズル本体から右方に突出した基本位置にある前記右側の回動ケースの左端部分を前記ノズル本体に接続するように構成されているともに、前記右側の回動ケースが前記基本位置にあるときに前記連通空間と前記ケース接続部の内部空間とが連通するように左向きに開口している、請求項4に記載の吸込ノズル。
【請求項7】
前記支持部は、前記一方の回動ケースの前記吸込空間が前記支持部の前側で開口するように、前記一方の回動ケースの前記下端における後部に係合しており、
前記固定脚は、前記ケース接続部の前記内部空間の径方向における中央に張り出さないように、前記ケース接続部の内周面における後側部分に沿って延設されている、請求項5又は6に記載の吸込ノズル。
【請求項8】
前記固定脚は、前記ケース接続部の前記内周面の前記後側部分に接触している、請求項7に記載の吸込ノズル。
【請求項9】
前記ケース接続部は、
前記一方の回動ケースに設けられているとともに前記ケース接続部の前記内周面を形成している軸部と、
前記ノズル本体に設けられているとともに前記軸部が挿入される軸受部と、を有しており、
前記吸込ノズルは、前記ケース接続部の前記内周面における前記後側部分及び前記固定脚の後面のうち一方から突出して前記ケース接続部の前記内周面における前記後側部分及び前記固定脚の前記後面のうち他方に接触する突条を更に備え、
前記突条は、前記固定脚の前記後面よりも幅狭であり、前記突条の左側又は右側には、塵埃の落下を許容する除去空間が形成されている、請求項7に記載の吸込ノズル。
【請求項10】
前記一方の回動ケースに外力が作用していない状態で前記一方の回動ケースが前記ノズル本体から左方又は右方に突出する基本位置に前記一方の回動ケースを位置決めする位置決め機構を更に備え、
前記位置決め機構は、前記軸部及び前記軸受部の上側に設けられている、請求項3に記載の吸込ノズル。
【請求項11】
前記位置決め機構は、
前記回動ケースの回動に伴って前記軸部の軸回りに角変位するように前記軸部に設けられた押出片と、
前記回動ケースが前記基本位置から第1回動方向に回動するときに前記押出片に接触して前記押出片の角変位を規制するように設けられた第1腕部と、前記回動ケースが前記基本位置から前記第1回動方向とは反対の第2回動方向に回動するときに前記押出片に接触して前記押出片の角変位を規制するように設けられた第2腕部と、前記第1腕部と前記第2腕部とに繋がった弾性変形可能な弾性接続部と、を有している弾性規制片と、を有しており、
前記軸受部には、前記押出片と協働して前記弾性接続部を弾性変形させて前記弾性接続部に復元力を蓄えさせる変形促進部が設けられており、
前記変形促進部は、前記第1腕部及び前記第2腕部のうち一方の腕部が前記軸部の軸回りに角変位することを許容するように前記一方の腕部と係合しているとともに、前記一方の腕部が前記軸部の軸回りに角変位しているときに、前記第1腕部及び前記第2腕部のうち他方の腕部が前記軸部の軸回りに回動することを規制するように構成されており、
前記回動ケースは、前記押出片が前記一方の腕部を押し出すと回動し、前記一方の腕部が前記押出片を押し戻すように前記弾性接続部が弾性変形した状態から復元すると前記基本位置に戻る、請求項10に記載の吸込ノズル。
【請求項12】
前記弾性規制片は、前記弾性接続部がコイル状に形成されたトーションばねを含んでいる、請求項11に記載の吸込ノズル。
【請求項13】
前記支持部を前記ノズル本体に固定する固定脚を更に備え、
前記ノズル本体は、前記ケース接続部に上側から被さって前記連通空間を前記ケース接続部の周囲で形成しつつ前記ケース接続部を収容する収容部を有しており、
前記支持部は、前記回動ケースの下端と係合するように構成されており、
前記固定脚は、前記ケース接続部と前記弾性接続部とを貫通するように前記支持部から上向きに延設されて、前記収容部に接続されている、請求項12に記載の吸込ノズル。
【請求項14】
前記弾性規制片を支持するように前記弾性規制片の下側に設けられたばね座部を更に備え、
前記収容部は、前記弾性規制片の上向きの変位を規制するように構成されている、請求項13に記載の吸込ノズル。
【請求項15】
塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、
前記吸引源の吸引力によって吸い込まれた塵埃が流れる吸引管と、
請求項1、2及び4のいずれか1項に記載の吸込ノズルと、を備えている、掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面に沿って回動可能な回動ケースを有している吸込ノズルと、この吸込ノズルを備えた掃除機と、に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、
図20に示す掃除機300が開示されている。この掃除機300は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源311を内蔵した掃除機本体310と、掃除機本体310から延設された吸引管320と、吸引管320の先端に取り付けられて床面上を移動する吸込ノズル330と、を備えている。吸引源311が作動すると、吸引源311の吸引力により、塵埃は、吸込ノズル330を通じて、吸引管320を流れる。吸込ノズル330は、床面上の幅広い領域から塵埃を除去するために、
図21に示すように、吸引管320よりも幅広になっている。
【0003】
使用者が吸込ノズル330を幅狭の空間に差し込むことを許容するために、特許文献1の吸込ノズル330は、幅方向に狭くなるように変形可能に構成されている。
【0004】
すなわち、吸込ノズル330は、左右に並んで配置された回動ケース331,332と、これらの回動ケース331,332を床面に沿って回動可能に保持するノズル本体333と、を有している。回動ケース331,332は、吸引源311の吸引力により塵埃が吸い込まれるように下方に開口した吸込空間334を形成している。また、ノズル本体333は、
図22に示すように、吸引管320の先端に接続されており、吸引管320の流路と吸込空間334とを連通する連通空間335を形成している。
【0005】
回動ケース331,332の回動を許容しつつ回動ケース331,332をノズル本体333に接続することを可能にするために、回動ケース331,332の上面からは、筒状の軸部336が突出している。また、ノズル本体333の下面からは、軸部336が挿入されるノズル軸受部337が突出している。軸部336は、ノズル軸受部337に挿入され、ノズル軸受部337内で回転可能になっている。
【0006】
回動ケース331,332に外力が作用していないとき、回動ケース331,332は、
図23(a)に示す基本位置にある。回動ケース331,332に後向きの外力が作用すると、回動ケース331,332は、基本位置から
図23(b)に示す位置に回動する。逆に、回動ケース331,332に前向きの外力が作用すると、回動ケース331,332は、基本位置から
図23(c)に示す位置に回動する。
【0007】
回動ケース331,332が床面に擦れることを防止するために、回動ケース331,332の下面からは、清掃帯338及びローラ339が突出している。回動ケース331,332は、
図24(a)~
図24(c)に示すように、清掃帯338とローラ339とによって床面から浮いた状態で支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
清掃作業中に掃除機100に吸い取られる塵埃には、毛髪などの長い塵埃が含まれる。
図24(a)では、毛髪が、左側の回動ケース331の下側であって、右側の回動ケース332の左端の近くに位置している。この毛髪は、多くの場合、左側の回動ケース331に吸い込まれる。しかし、回動ケース331,332は、床面から浮いた状態になっているので、回動ケース331,332の吸込空間334に作用している吸引力の相互作用により、以下のように、これらの回動ケース331,332に引っ掛かった状態になり得る。
【0010】
回動ケース331,332は、床面から浮いた状態になっているので、右側の回動ケース332の吸込空間334に作用している吸引力は、左側の回動ケース331の下側にある毛髪に作用し得る。たとえば、右側の回動ケース332の吸込空間334に作用している吸引力が左側の回動ケース331の吸込空間334に作用している吸引力よりも大きくなった場合には、
図24(b)に示すように、右側の回動ケース332の下側に引き寄せられ得る。その後、これらの吸込空間334に作用している吸引力が互いに等しくなった場合には、
図24(c)に示すように、毛髪の右端部分は、右側の回動ケース332内で上向きに引っ張られる一方で、毛髪の左端部分は、左側の回動ケース331内で上向きに引っ張られる。この結果、毛髪は、これらの回動ケース331,332の間に引っ掛かり、これらの回動ケース331,332のいずれにも吸い込まれない状態が生じ得る。
【0011】
本開示は、左右の回動ケースに作用している吸引力の相互作用を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本開示における吸込ノズルは、吸引力が作用すると塵埃が流れる吸引管に接続可能であるとともに吸引管に向かって流れる塵埃の通過を許容する連通空間を形成しているノズル本体と、吸引力によって塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間をそれぞれ形成しているとともに、ノズル本体から左右方向に突出した基本位置から床面に沿って前方又は後方に回動可能にノズル本体に対して左右に間隔を空けて接続された一対の回動ケースと、一対の回動ケースを床面から浮いた状態で支持するように一対の回動ケースの下側に設けられた支持部と、一対の回動ケースの間に配置された仕切部と、を備えている。仕切部は、基本位置にある一対の回動ケースのうち一方の回動ケースの吸込空間に作用している吸引力が、基本位置にある一対の回動ケースのうち他方の回動ケースの下側の空間に作用することを抑制するように、一対の回動ケースの下側の空間を左右に仕切っている。
【0013】
本開示における掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力によって吸い込まれた塵埃が流れる吸引管と、上述の吸込ノズルと、を備えている。
【発明の効果】
【0014】
上述の技術は、左右の回動ケースに作用している吸引力の相互作用を抑制することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図11】後向きの外力を受けたときの吸込ノズルの一部の平面図
【
図12】前向きの外力を受けたときの吸込ノズルの一部の平面図
【
図13】吸込ノズルの軸受ユニットの斜視図(第2実施形態)
【
図14】軸受ユニットの軸受部及び軸受部内の軸部の横断面図
【
図15】軸受ユニットの軸受部及び軸受部内の軸部の横断面図
【
図16】吸込ノズルの取付部材の斜視図(第3実施形態)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら、掃除機の第1実施形態乃至第3実施形態を詳細に説明するが、当業者の理解を容易にするために、例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0017】
<第1実施形態>
図1は、スティック型の掃除機100の概略的な断面図である。
図1を参照して、掃除機100を説明する。
【0018】
(掃除機の全体的な構造)
掃除機100は、上下方向に長い掃除機本体110と、掃除機本体110から上方に延設された握持部179と、を備えている。掃除機本体110は、略円筒状の筐体111と、筐体111に内蔵された吸引源116と、を有している。握持部179は、筐体111の上端112から延設された棒状の部分であり、使用者によって握持可能な太さを有している。握持部179の外周面には、使用者によって操作される操作部178が設けられている。使用者が操作部178を操作することにより、吸引源116は、作動したり、停止したりする。吸引源116は、塵埃を床面から吸引する吸引力を発生するように構成されており、例えば、上向きの吸引気流を発生させる回転羽根と、回転羽根を回転駆動するモータと、によって構成され得る。
【0019】
吸引源116の下側には、フィルタ部115が配置されており、フィルタ部115の更に下側では、吸引管113が上下方向に延設されている。吸引源116が作動すると、塵埃は、上向きの吸引気流に乗って吸引管113を流れる。フィルタ部115は、空気(吸引気流)の通過を許容する一方で、この空気に含まれる塵埃を捕捉するように構成されている。このため、塵埃は、フィルタ部115と吸引管113の上端との間の空間に溜められる。
【0020】
この空間に溜まった塵埃が吸引源116の停止時に吸引管113内に落下することを防止するために、吸引管113の上端には、逆止弁114が取り付けられている。逆止弁114は、吸引源116の吸引力により上向きに回動するように構成されており、吸引源116が作動しているときに、吸引管113の上端の開口を開放する開位置に変位し、吸引源116が停止しているときに、吸引管113の上端を閉じる。
【0021】
吸引管113の下端部は、幅広の床面領域から塵埃を吸い取るための吸込ノズル130に接続可能に構成されており、
図2に示すように、略円形の縦断面を有している。吸引管113の下端部を、以下の説明では、「接続端118」と称する。接続端118は、左右方向に延びる略円筒形状を有している。
【0022】
吸込ノズル130は、
図2及び
図3に示すように、接続端118に接続されたノズル本体131と、ノズル本体131から左右方向に突出する回動ケース132,133と、を有している。回動ケース132,133は、
図2に示すケース接続部147によって、左右に間隔を空けてノズル本体131に接続されている。
図3に示す回動ケース132,133は、ノズル本体131に対して左右に突出しており、以下の説明では、
図3に示す回動ケース132,133の位置を「基本位置」と称する。
図3の矢印で示すように、回動ケース132,133は、基本位置からノズル本体131との接続部回りに床面に沿って前後方向に回動可能である。
【0023】
ノズル本体131は、
図2に示すように、吸引管113の接続端118が接続される管接続部121と、管接続部121の前側でケース接続部147を収容する収容部122と、を有している。
【0024】
管接続部121は、
図4に示すベース板162、側壁163,164、カバー部材170及び流路形成片180を有している。
【0025】
ベース板162は、略水平の姿勢で設けられた略矩形状の薄板部分であり、側壁163,164は、左右に互いに離間した位置においてベース板162の上面から立設されている。側壁163,164は、ベース板162上で前後方向に延設されており、側壁163,164の後側部分には、略半円弧状の切欠部181,182が形成されている。吸引管113の接続端118の両端部は、これらの切欠部181,182上に載置され、切欠部181,182によって回転可能に支持される。
【0026】
側壁163,164において、切欠部181,182よりも前側の部分は、流路119を形成しており、この流路119は、吸引管113の接続端118が
図2に示す矢印の方向に回転すると、吸引管113の流路に連通する。側壁163,164は、流路119の左右を区画しており、ベース板162において、側壁163,164の間にある部分は、流路119の下部を区画している。
【0027】
流路形成片180は、側壁163,164の前側部分上で固定される流路板183と、流路板183の後端に接続された弧状板部184と、を有している。流路板183は、流路119の上部を区画するために設けられており、側壁163,164の前側部分に固定される。弧状板部184は、
図2に示すように、吸引管113の接続端118に被せられ、側壁163,164の切欠部181,182とともに吸引管113の接続端118を保持する。
【0028】
カバー部材170は、下向きに開口した略矩形箱状に形成されており、
図2に示すように、ベース板162だけでなく、収容部122をも覆うように取り付けられる。カバー部材170の後側部分には、
図4に示すように、カバー部材170の後端から前方に凹設された切欠部171が形成されている。切欠部171によって規定された空間は、吸引管113を前後方向に傾動させるために利用される。
【0029】
収容部122は、
図5に示すように、ベース板162の前端から立設された流出壁168と、流出壁168の上部から前方に突出した突出ケース部161と、を有している。流出壁168及び突出ケース部161は、
図2に示すように、ケース接続部147が収容部122に収容された状態でケース接続部147の周囲に連通空間125を形成している。
【0030】
連通空間125は、流出壁168に形成された略矩形状の流出口169を通じて流路119に連通しており、連通空間125及び流路119を通じて、塵埃が吸引管113に向けて流れることが許容される。流出口169の左端からは、
図5に示すように、側壁163が後方に延設されている。また、流出口169の右端からは、側壁164が後方に延設されている。
【0031】
突出ケース部161は、
図4に示すように、連通空間125の上側、前側、左側及び右側を区画するように構成されている。突出ケース部161の前端近くには、貫通穴165が形成されている。また、貫通穴165の後側において、左右一対の貫通穴166,167が形成されている。これらの貫通穴165~167は、ケース接続部147を収容部122に固定するために用いられる。
【0032】
突出ケース部161の下側では、
図6に示すように、回動ケース132,133が互いに左右対称に配置されている。回動ケース132,133は、下向きに開口した吸込空間134を形成している(
図3を参照)。回動ケース132の吸込空間134は、回動ケース132の左端に向けて徐々に狭まるように形成されている。回動ケース133の吸込空間134は、回動ケース133の右端に向けて徐々に狭まるように形成されている。
【0033】
回動ケース132,133は、ケース接続部147を用いて突出ケース部161に接続される。ケース接続部147は、
図6に示すように回動ケース132,133それぞれの上面から上向きに突出した略円筒状の軸部135と、これらの軸部135に接続される軸受ユニット150と、を有している。
【0034】
軸受ユニット150は、左右方向において間隔を空けて設けられた軸受部151,152と、これらの軸受部151,152を互いに接続する接続部153と、を有している。軸受部151,152は、接続部153によって一体化されている。
【0035】
接続部153には、
図7に示すように、後向きに開口した流出口159が形成されている。この流出口159は、軸受部151,152が連通空間125内に配置されたときに、流出壁168の流出口169に対向する。
【0036】
接続部153の前側部分には、
図6に示すように、軸受ユニット150を収容部122に固定するために利用される貫通穴158が形成されている。軸受ユニット150は、貫通穴158が収容部122の突出ケース部161の貫通穴165と略同軸になる位置で突出ケース部161に取り付けられる。
【0037】
軸受部151,152には、回動ケース132,133に設けられた軸部135が接続される。軸受部151,152は、互いに左右対称になっており、以下の説明では、軸受部151の構造を説明し、軸受部152の構造の説明を省略する。
【0038】
軸受部151は、下方に開口した内部空間を形成している略円筒形状を有している。この内部空間には、軸部135が収容される。軸受部151の周壁には、流入口154が形成されている。この流入口154には、回動ケース132,133を通過した塵埃が流入する。この塵埃は、流入口154を通じて、連通空間125に流入する。その後、塵埃は、流出口159,169を通じて、ノズル本体131の流路119に流入する。
【0039】
軸受部151の上端部155は、平面視において、リング状になっており、軸受部151の上端部155の中央には、貫通穴156が形成されている。軸受ユニット150は、この貫通穴156が突出ケース部161の貫通穴166と略同軸になった状態で突出ケース部161に取り付けられる。この状態では、右側の軸受部152の上端部155の貫通穴156は、突出ケース部161の貫通穴167と略同軸になる。軸受部151,152の貫通穴156は、軸受部151,152及び回動ケース132,133を突出ケース部161に取り付けられるために利用される。
【0040】
軸受部151には、回動ケース132に設けられた軸部135が挿入される。また、軸受部152には、回動ケース133に設けられた軸部135が挿入される。これらの軸部135は、左右対称であるので、回動ケース132に設けられた軸部135を以下に説明し、回動ケース132に設けられた軸部135についての説明を省略する。
【0041】
軸部135は、回動ケース132の基端部(右端部)において上向きに突出し、軸受部151に挿入される。軸部135が軸受部151に挿入されることにより、上下方向に延びる回動軸が規定される。回動ケース132が
図3に示す基本位置にあるとき、回動ケース132は、ノズル本体131に対して左向きに突出しているが、この位置から回動軸回りに床面に沿って前方又は後方に回動することができる。
【0042】
軸部135の内部空間は、回動ケース132の吸込空間134と連通している。軸部135の周壁には、
図6に示すように、開口部136が形成されている。この開口部136は、回動ケース132が基本位置にあるときに、右向きに開口しており、軸受部151の流入口154と重なる。したがって、吸込空間134は、軸部135の内部空間、開口部136、流入口154及び流出口159を介して、連通空間125に連通する。このため、吸引源116が作動すると、吸引源116の吸引力は、吸引管113の流路、管接続部121の流路119、収容部122の連通空間125及び軸部135の内部空間を通じて、回動ケース132の吸込空間134に作用する。この結果、床面上の塵埃は、吸引源116の吸引力により吸込空間134に吸い込まれる。
【0043】
なお、軸部135の周壁は、回動ケース132が基本位置から前方又は後方に回動すると、軸受部151の流入口154を部分的に塞いでもよい。しかし、軸部135の周壁は、回動ケース132が基本位置から前方及び後方に90°回動した状態において、軸受部151の流入口154を完全に塞がないように形成されることが好ましい。
【0044】
軸部135の上端部137は、平面視において、リング状になっており、軸部135の上端部137の中央には、貫通穴138が形成されている。この貫通穴138は、軸部135が軸受部151に挿入されると、軸受部151の貫通穴156に上下に重なる。
【0045】
回動ケース132,133及び軸受ユニット150は、
図8に示す取付部材190によって突出ケース部161に取り付けられる。
【0046】
取付部材190は、左右方向に長い薄板状の支持部194を有している。支持部194は、
図3に示すように、回動ケース132,133の下側に配置されて回動ケース132,133の下端と係合している。詳細には、支持部194は、左側の回動ケース132の右端部分から右側の回動ケース133の左端部分に跨って延設されて、これらの回動ケース132,133の後端部の下端と係合している。これらの回動ケース132,133は、
図2に示すように、支持部194によって、床面から浮いた状態で支持されている。なお、支持部194自体は、床面に接触しており、吸込ノズル130の前進時において、塵埃が回動ケース132,133に吸い込まれることなく床面に残っても、支持部194により、床面に残った塵埃が捕捉され得る。
【0047】
支持部194は、床面に接触しているので、使用者が吸込ノズル130を床面上で移動させると、床面に支持部194が擦れる。床面に対する支持部194の摺接により床面が傷つくことを防止するために、支持部194の下部126は、布材(例えば、起毛布)により構成される。一方、支持部194の上部127は、樹脂成型されている。
【0048】
左右方向における支持部194の中央からは、
図8に示すように、仕切部205が前方に延設されている。仕切部205の左右方向における幅は、支持部194の左右方向における幅よりも小さくなっており、仕切部205は、
図3に示すように、回動ケース132,133の間の狭い空間に差し込まれている。
【0049】
仕切部205は、回動ケース132,133にそれぞれ作用する吸引力の相互干渉を抑制するように回動ケース132,133の下側の空間をこれらの回動ケース132,133の間において左右に仕切っている。すなわち、仕切部205は、左側の回動ケース132に作用している吸引力が右側の回動ケース133の下側の空間に作用すること、及び、右側の回動ケース133に作用している吸引力が左側の回動ケース132の下側の空間に作用することを抑制する。
【0050】
仕切部205の下面は、
図2に示すように、支持部194の下面と略面一になっている。この場合、仕切部205の下面は、床面と接触するので、仕切部205の下部は、支持部194の下部126と同様に、布材(例えば、起毛布)により構成されていることが好ましい。
【0051】
仕切部205の前端からは、
図8に示すように、前柱191が立設されており、前柱191は、取付部材190を突出ケース部161に取り付けるために利用される。前柱191は、軸受ユニット150の貫通穴158に挿通可能に形成されており、前柱191の上端には、ネジ穴195が穿設されている。このネジ穴195には、突出ケース部161の貫通穴165に挿通されたネジが螺合される。
【0052】
取付部材190を突出ケース部161に固定するために、前柱191だけでなく、左右一対の固定脚128,129が更に設けられている。右側の固定脚129は、左側の固定脚128と左右対称の構造を有しているので、左側の固定脚128を以下に説明し、右側の固定脚129の説明を省略する。
【0053】
固定脚128は、支持部194から上向きに延設されて軸受部151及び軸部135を上向きに貫通するとともに、突出ケース部161に固定可能に構成されている。詳細には、固定脚128は、支持部194の左端部の前端から上向きに延設されて軸部135内に収容される下柱206と、軸部135及び軸受部151の上側で上向きに延設される上柱192と、を有している。下柱206の上端には、円板状のばね座部198が設けられており、上柱192は、ばね座部198の中心において立設されている。すなわち、上柱192は、ばね座部198を介して、下柱206に接続されている。
【0054】
下柱206は、ばね座部198が軸部135の上端部137の下面に当接するまで軸部135内に挿入される。このとき、支持部194において、下柱206の後側の部分は、回動ケース132,133の下端に当接する。また、下柱206の上端のばね座部198の中央部分は、軸受部151の貫通穴156内に露出する。そして、上柱192は、軸受部151及び軸部135の上側で上下方向に延びる。
【0055】
下柱206は、略円弧状の横断面を有している。下柱206は、回動ケース132が
図3に示す基本位置にあるときにおいて、径方向における軸部135の内部空間の中央に張り出さないように、軸部135の内周面185の後側部分に沿って上向きに延設されている。下柱206の後面186は、軸部135の内周面185に面接触している。
【0056】
この状態では、固定脚128,129の上柱192は、突出ケース部161の貫通穴166,167と略同軸になっている。これらの上柱192の上端には、ネジ穴196が形成されており、これらのネジ穴196は、突出ケース部161の貫通穴166,167に対向する。取付部材190のネジ穴195,196にネジを螺合することにより、取付部材190は、突出ケース部161に固定される。また、この状態で、回動ケース132,133及び軸受ユニット150は、突出ケース部161及び支持部194によって上下に挟まれる。回動ケース132,133の下端は、支持部194に引っ掛かっており、回動ケース132,133が軸受部151,152から脱落することが防止される。
【0057】
ばね座部198上には、ばね座部198の上面から上向きに突出したリング部201が設けられている。上柱192は、リング部201の略中心において、ばね座部198から立設されている。上柱192の基端部の外径は、リング部201の内径よりも小さくなっているので、上柱192の基端部とリング部201との間には、環状溝203が形成される。リング部201の外径は、軸受部151の貫通穴156の内径よりも小さくなっており、リング部201は、軸受部151の貫通穴156内に現れる。
【0058】
(位置決め機構)
吸込ノズル130は、
図9に示すように、左側の回動ケース132を基本位置に位置決めするための位置決め機構140と、右側の回動ケース133を基本位置に位置決めするための位置決め機構140と、を有している。これらの位置決め機構140は、軸受部151,152及び軸部135の上側にそれぞれ構成されている。
【0059】
これらの位置決め機構140は、左右対称の構造を有しているので、左側の回動ケース132用の位置決め機構140を以下に説明し、右側の回動ケース133用の位置決め機構140の説明を省略する。なお、
図9に示す回動ケース132,133は、基本位置にある。すなわち、
図9の左側の回動ケース132は、ノズル本体131に対して左方に突出しており、
図9の右側の回動ケース133は、ノズル本体131に対して右方に突出している。
【0060】
位置決め機構140は、回動ケース132に外力が作用していない状態で、回動ケース132を基本位置に弾性的に位置決めする弾性規制片141と、互いに協働して弾性規制片141に弾性変形を生じさせる押出片139及び変形促進部120と、を有している。押出片139は、軸部135に設けられており、変形促進部120は、軸受部151に設けられている。具体的には、押出片139は、
図6に示すように、軸部135の上端部137から突出しており、変形促進部120は、軸受部151の上端部155から突出している。回動ケース132の回動時には、弾性規制片141は、押出片139及び変形促進部120によって弾性変形される。
【0061】
本実施形態では、弾性規制片141は、
図10に示すように、トーションばねによって構成されており、第1腕部143と、第2腕部144と、第1腕部143及び第2腕部144に繋がったコイル状の弾性接続部142と、を有している。
【0062】
弾性接続部142には、上柱192が挿通され、弾性接続部142は、弾性接続部142の軸が上下方向に向く姿勢でばね座部198上に設置されている。このとき、弾性接続部142の下端は、ばね座部198上に形成された環状溝203に嵌め込まれており、弾性規制片141は、ばね座部198によって支持されている。上柱192が弾性接続部142を軸方向に貫通しているので、弾性規制片141は、前後方向及び左右方向に位置決めされている。また、弾性規制片141がばね座部198上に設置された後に、収容部122が軸受ユニット150に上側から被せられると、弾性規制片141は、収容部122とばね座部198とによって上下に挟まれる。言い換えると、弾性規制片141は、収容部122とばね座部198とによって上下方向(軸方向)において位置決めされる。
【0063】
第1腕部143は、
図10に示すように、弾性接続部142の下端から突出している一方で、第2腕部144は、弾性接続部142の上端から突出している。このため、第1腕部143は、第2腕部144よりも低い位置にある。また、第1腕部143及び第2腕部144は、回動軸回りの周方向において互いに離間した位置において弾性接続部142から突出している。
【0064】
変形促進部120は、
図7に示すように、回動軸の左側で、軸受部151の上端部155から上向きに突出している。詳細には、変形促進部120は、貫通穴156の周縁に沿う突出部分であり、平面視において回動軸と同軸の略半円弧状になっている。
【0065】
変形促進部120は、
図7及び
図9に示すように、回動軸回りの周方向において互いに離間した位置で軸受部151の上端部155から立設された第1係合端面145及び第2係合端面146を有している。回動ケース132が基本位置にあるときには、第1係合端面145に、第1腕部143の先端部分が当接され、第2係合端面146に、第2腕部144の先端部分が当接する。
【0066】
押出片139は、
図6及び
図9に示すように、回動軸の周方向に湾曲しながら延びる略半円弧状の部材である。押出片139は、回動軸の左側且つ変形促進部120の右側で、軸受部151の上端部155の貫通穴156を通じて、軸部135の上端部137から上向きに突出している。回動軸回りの周方向における押出片139の一端部は、第1腕部143に接触し、押出片139の他端部は、第2腕部144に接触している。
【0067】
押出片139は、回動軸回りの回動ケース132の回動に伴って、回動軸回りに角変位しながら、第1腕部143又は第2腕部144を押し出す部分である。しかし、第1腕部143又は第2腕部144に対する押出片139の押出力が弾性接続部142を弾性変形させるほど大きくなければ、押出片139の角変位は、第1腕部143又は第2腕部144によって規制される。このため、第1腕部143又は第2腕部144に対する押出片139の押出力が弾性接続部142を弾性変形させるほど大きくなければ、回動ケース132は、基本位置に位置決めされる。すなわち、回動ケース132は、
図9に示すように軸受ユニット150に対して左方に突出した位置に保持される。
【0068】
一方、弾性接続部142を弾性変形させるほど強い力で押出片139が第1腕部143を押し出すと、第1腕部143は、
図11に示すように、第1係合端面145から離れる方向に角変位することができる。この状態では、回動ケース132は、回動軸回りに後方(第1回動方向)に回動することができる。なお、このとき、第2係合端面146は、第2腕部144との係合状態が保たれるように形成されており、第1腕部143が第1係合端面145から離れる方向に角変位するにつれて、弾性接続部142は、復元力を蓄えつつ弾性変形する。そして、第1腕部143に対する押出片139の押圧力がなくなると、弾性接続部142が復元し、第1腕部143は、第1係合端面145に当接する位置に戻ることができる。
【0069】
逆に、押出片139が強い力で第2腕部144を押し出すと、第2腕部144は、
図12に示すように、第2係合端面146から離れる方向に角変位することができる。この状態では、回動ケース132は、回動軸回りに前方(第2回動方向)に回動することができる。なお、このとき、第1係合端面145は、第1腕部143との係合状態が保たれるように形成されており、第2腕部144が第2係合端面146から離れる方向に角変位するにつれて、弾性接続部142は、弾性変形する。そして、第2腕部144に対する押出片139の押圧力がなくなると、弾性接続部142が復元し、第2腕部144は、第2係合端面146に当接する位置に戻ることができる。
【0070】
(掃除機の動作)
使用者が握持部179を握持して、握持部179及び掃除機本体110を後方に傾動させると、吸引管113の接続端118は、
図2の矢印の方向に回転する。この結果、吸引管113の流路は、ノズル本体131内で形成された流路119と連通する。このとき、使用者が操作部178を操作して、吸引源116を作動させると、吸引源116は、上向きの吸引力を発生させる。この吸引力により、逆止弁114は、上向きに回動して吸引管113の上端を開く。
【0071】
その後、吸引源116の吸引力は、吸引管113の流路、ノズル本体131内の流路119、流出口169,159、流入口154、開口部136及び軸部135の内部空間を通じて、回動ケース132,133の吸込空間134に作用する。なお、吸込空間134は、回動ケース132の先端に向けて狭まっているので、吸込空間134の先端においてもある程度強い吸引力が作用し得る。吸引源116の吸引力により、床面上の塵埃は、空気とともに吸込空間134に流入する。
【0072】
その後、塵埃は、軸部135の内部空間、開口部136、流入口154、流出口159,169、ノズル本体131内で形成された流路119及び吸引管113の流路を順次通過する。吸引管113の上端を通過した塵埃は、フィルタ部115によって捕捉されて、掃除機本体110内に貯留される。
【0073】
回動ケース132,133は、基本位置にあるとき、軸受ユニット150に対して左右方向に突出しているので、吸込ノズル130は、最も幅広になっている。この状態で、使用者が吸込ノズル130を前進又は後進させれば、塵埃は、床面上の幅広い領域から除去され得る。
【0074】
回動ケース132,133は、軸部135を介して、軸受ユニット150に対して前後方向に回動可能に取り付けられている。しかし、軸部135の上端部137から突出した押出片139の周方向における両端部は、弾性規制片141の第1腕部143及び第2腕部144に接触しているので、回動ケース132,133は、小さな力では回動せず、基本位置に留められる。言い換えると、回動ケース132,133を後方(第1回動方向)に回動させようとする外力によって、押出片139は、第1腕部143を押し出そうとする。しかし、第1腕部143に対する押出片139の押出力が弾性接続部142を弾性変形させるほど大きくなければ、押出片139の角変位は、第1腕部143によって規制される。また、回動ケース132,133を前方(第2回動方向)に回動させようとする外力が生じたときの押出片139の押出力が弾性接続部142を弾性変形させるほど大きくなければ、押出片139の角変位は、第2腕部144によって規制される。
【0075】
しかし、使用者が吸込ノズル130を前進させているときに、回動ケース132の前端が障害物に衝突すれば、この衝突に起因する外力は、回動ケース132を後方に回動させ得る。この場合、この外力によって、軸部135は、軸受部151内で回動軸回りに回転する(
図9において、反時計回り(第1回動方向))。軸部135の反時計回りの回転により、軸部135の上端部137から立設された押出片139は、第1腕部143が第1係合端面145から離れる方向に第1腕部143を押し出す。これにより、押出片139は、第1腕部143を伴って、回動軸回りに角変位することができる。この間、コイル状の弾性接続部142に挿入された上柱192により、弾性規制片141全体が変位することが防止されている。また、第1係合端面145とは反対側の第2係合端面146は、第2腕部144との係合状態を維持し、第2腕部144が回動軸回りに角変位することを規制する。このため、弾性接続部142及び第2腕部144が所定の位置に保持されつつ第1腕部143が回動軸回りに角変位する。この結果、回動ケース132は、回動軸回りに回動することができる。この状態では、第1腕部143の角変位に伴って、弾性接続部142の弾性変形量が増し、弾性接続部142に復元力が蓄えられる。その後、回動ケース132に作用している外力がなくなると、弾性規制片141は、第1腕部143が第1係合端面145に当接するまで復元する。この結果、押出片139が第1腕部143によって元の位置に押し戻されて、回動ケース132は、基本位置に戻る。
【0076】
逆に、使用者が吸込ノズル130を後進させているときに、回動ケース132の後端が障害物に衝突すれば、この衝突に起因する外力は、回動ケース132を前方に回動させ得る。この場合、この外力によって、軸部135は、軸受部151内で回動軸回りに回転する(
図9において、時計回り(第2回動方向))。軸部135の時計回りの回転により、押出片139は、第2腕部144が第2係合端面146から離れる方向に第2腕部144を押し出す。これにより、押出片139は、第2腕部144を伴って、回動軸回りに角変位することができる。この間、コイル状の弾性接続部142に挿入された上柱192により、弾性規制片141全体が変位することが防止されている。また、第1係合端面145は、第1腕部143との係合状態を維持している。このため、弾性接続部142及び第1腕部143が所定の位置に保持されつつ第2腕部144が回動軸回りに角変位する。この結果、回動ケース132は、回動軸回りに回動することができる。この状態では、第2腕部144の角変位に伴って、弾性接続部142の弾性変形量が増す。その後、回動ケース132に作用している外力がなくなると、弾性規制片141は、第2腕部144が第2係合端面146に当接するまで復元する。この結果、押出片139が第2腕部144によって元の位置に押し戻されて、回動ケース132は、基本位置に戻る。
【0077】
回動ケース133も、回動ケース132と同様に前後方向に回動可能である。このため、回動ケース133の回動動作については、説明を省略する。
【0078】
上述の実施形態では、回動ケース132,133は、基本位置にあるとき、軸受部151に対して幅方向に突出しており、吸込ノズル130は、幅広になっている。この状態で、使用者が吸引源116を作動させて吸込ノズル130を前進又は後進させれば、吸引源116の吸引力により、床面上の幅広い領域から塵埃が除去される。
【0079】
使用者が吸込ノズル130を前進又は後進させているとき、回動ケース132は、床面から抗力(たとえば、床面からの摩擦力)を受け得る。しかし、この抗力が弾性規制片141の弾性接続部142を弾性変形させるほど大きくなければ、回動ケース132,133は、基本位置に保たれる。したがって、回動ケース132,133が不必要に回動することはない。
【0080】
一方、使用者が吸込ノズル130を前進させて狭い空間に差し込もうとすると、この狭い空間の周囲にある家具に回動ケース132が接触し得る。この場合、回動ケース132は、弾性規制片141の弾性接続部142を弾性変形させるほど大きな後向きの外力を受け得る。この外力によって、回動ケース132は、回動軸回りに後方に回動し得る。回動ケース132が後方に回動すれば、吸込ノズル130は、回動ケース132が基本位置にあるときよりも幅狭になる。このため、使用者は、吸込ノズル130を狭い空間に差し込むことができる。
【0081】
使用者が吸込ノズル130を後進させているときに、回動ケース132が例えば机の脚に引っ掛かることが想定される。この場合、回動ケース132は、弾性規制片141の弾性接続部142を弾性変形させるほど大きな前向きの外力を受け得る。この外力によって、回動ケース132は、回動軸回りに前方に回動し得る。このため、回動ケース132が机の脚に引っ掛かって吸込ノズル130の後進が妨げられるような事態が回避され得る。使用者が吸込ノズル130を更に後進させると、回動ケース132は、前方に回動しながら机の脚を通過して、弾性規制片141の弾性接続部142の復元力により基本位置に戻る。
【0082】
回動ケース132,133は、支持部194によって床面から浮いた状態で支持されている。このため、回動ケース132,133が床面に擦れて床面を傷つけることが支持部194によって防止されている。一方、支持部194は、回動ケース132,133に吸い込まれず床面に残った塵埃を捕捉できるように床面に接触しているが、支持部194の下部126は、布材により構成されているので、床面上の傷の発生は抑制される。
【0083】
支持部194によって捕捉された塵埃は、支持部194の前側に溜まり得る。支持部194は、回動ケース132,133の後端部を支持しているので、支持部194の前側では、
図3に示すように、回動ケース132,133の吸込空間134が開口している。このため、支持部194の前側に溜まった塵埃は、これらの吸込空間134に吸い込まれ得る。したがって、回動ケース132,133の間の床面領域に残る塵埃は、少なくなり得る。
【0084】
回動ケース132,133の間隔が狭ければ狭いほど、これらの回動ケース132,133の間の床面領域に残る塵埃は少なくなる。したがって、回動ケース132,133の間隔は、できるだけ小さく設定されることが好ましい。回動ケース132,133を互いに近い位置に配置するために、これらの回動ケース132,133に設けられた軸部135の内部空間が固定脚128,129の配設に利用されている。このため、固定脚128,129を配設に利用される空間を、回動ケース132,133の間に設ける必要はなく、回動ケース132,133は、
図3に示すように、互いに近い位置に配置され得る。
【0085】
固定脚128,129は、上述のように軸部135に挿入されているが、以下の理由から、回動ケース132,133内の塵埃の流れを妨げにくくなっている。すなわち、左側の回動ケース132が
図3に示す基本位置にあるとき、回動ケース132の軸部135は、回動ケース132の右端部分に位置しており、回動ケース132によって形成された吸込空間134の大部分は、軸部135に対して左側にある。このため、基本位置にある左側の回動ケース132に吸い込まれる塵埃の大部分は、軸部135の左側から吸い込まれる。
【0086】
このとき、左側の回動ケース132の軸部135の開口部136は、右向きに開口しており、軸部135の左側から吸い込まれた塵埃は、右向きに流れる。軸部135内にある固定脚128の下柱206は、軸部135の内周面185の後側部分に沿って上向きに延設されており、
図3に示すように軸部135の内部空間の中央部分に位置していない。このため、右向きに流れる塵埃が下柱206に引っ掛かりにくくなっている。
【0087】
また、下柱206の後面186は、軸部135の内周面185の後側部分に面接触しているので、下柱206の後面186と軸部135の内周面185との間を通過する気流の発生が抑制されている。このため、下柱206の後面186と軸部135の内周面185との間への塵埃の進入も抑制される。右側の回動ケース133及び固定脚129は、左側の回動ケース132及び固定脚128と左右対称の構造を有しており、右側の回動ケース133内において固定脚129に塵埃が引っ掛かることも同様に抑制される。
【0088】
なお、軸部135に対する回転抵抗を軽減するために、下柱206の後面186が軸部135の内周面185から離れた位置にあるように下柱206が設けられていてもよい。
【0089】
回動ケース132,133の間の狭い空間に仕切部205が差し込まれている。仕切部205は、以下に述べるような吸引力の相互干渉を防止する。
【0090】
仮に、仕切部205が設けられていなければ、回動ケース132,132は、支持部194によって床面から浮いた状態で支持されているので、これらの回動ケース132,133の下側の空間は、左右に連通する。毛髪などの長い塵埃が左側の回動ケース132の右端部の下側に存在している場合には、この塵埃には、左側の回動ケース132からの吸引力だけでなく、右側の回動ケース133からの吸引力が作用し得る。
【0091】
回動ケース132,133がともに基本位置にある場合、回動ケース132,133の吸込空間134に作用している吸引力は、略等しい大きさになるが、清掃作業の間、左側の回動ケース132のみが回動する状態が生じ得る。この場合、左側の回動ケース132の軸部135の周壁が軸受部151の流入口154を塞ぐ面積が大きくなり得る。この結果、左側の回動ケース132の吸込空間134に作用している吸引力が、右側の回動ケース133の吸込空間134に作用している吸引力よりも小さくなり得る。この状態では、塵埃は、右側の回動ケース133側に引き寄せられ得る。塵埃の右方への移動により、塵埃の右端部分が右側の回動ケース133の下側にあり、塵埃の左端部分が左側の回動ケース132の下側にある状態が生じ得る。このとき、左側の回動ケース132が基本位置に戻れば、回動ケース132,133の吸込空間134に作用している吸引力は、略等しい大きさになり、塵埃の左端部分及び右端部分は、略等しい吸引力で引っ張られ得る。この場合、塵埃が回動ケース132,133の間に引っ掛かった状態で塵埃の両端部が上向きに互いに等しい吸引力で引っ張られる。このため、塵埃は、回動ケース132,133のいずれにも吸引されず、回動ケース132,133の間に引っ掛かった状態になり得る。
【0092】
一方、仕切部205が設けられていれば、回動ケース132,133の下側の空間は、仕切部205によって左右に仕切られる。このため、左側の回動ケース132の吸込空間134に作用している吸引力の影響は、右側の回動ケース133の下側の空間に作用しにくくなる。また、右側の回動ケース133の吸込空間134に作用している吸引力の影響は、左側の回動ケース132の下側の空間に作用しにくくなる。このため、上述の吸引力の相互干渉の問題は、仕切部205によって抑制される。言い換えると、仕切部205を設けることにより、吸引力の相互干渉の問題を抑制しつつ、回動ケース132,133を互いに近い位置に配置することが可能になる。
【0093】
<第2実施形態>
塵埃は、吸引源116の吸引力により、吸込空間134、軸部135の内部空間、連通空間125、ノズル本体131の流路119及び吸引管113の流路を順次通過する。塵埃が軸部135内を通過し、軸受部151,152の流入口154に流入するとき、この塵埃の一部が軸部135と軸受部151,152との間に噛み込まれ得る。この状態が続けば、回動ケース132,133の回動は、軸部135と軸受部151,152との間に入り込んだ塵埃によって妨げられ得る。
【0094】
このような問題を解消するために、軸受部151,152は、
図13に示すように、底面視において略円形の内周面211と、内周面211から径方向における内方に突出した複数の突出部212と、を有している。なお、第2実施形態の軸受部151,152は、突出部212が設けられている点を除いて、第1実施形態の軸受部151,152と同一である。
【0095】
複数の突出部212は、周方向に互いに間隔を空けて設けられているとともに軸方向に延びている。軸受部151,152の内周面211は、
図14に示すように、軸部135の外周面215の外径よりも大きな内径を有しており、軸受部151,152の内周面211と軸部135の外周面215との間に空間が形成されている。なお、第2実施形態の軸部135は、第1実施形態の軸部135と同じであり、平面視において、略円形である。
【0096】
複数の突出部212の内端(先端)は、軸部135の外周面215に接触している。これらの突出部212は、軸受部151,152に対して軸部135が略同軸の状態を維持できるように配置されている。また、これらの突出部212の長さは、軸受部151,152内で傾斜しないように設定されている。
【0097】
これらの突出部212のうち1つを、以下の説明では、「第1突出部212a」と称する。また、第1突出部212aに対して周方向に間隔を空けて隣り合う他の突出部212を、「第2突出部212b」と称する。
【0098】
第1突出部212a及び第2突出部212bの間には、除去空間214が形成されている。この除去空間214は、軸部135及び軸受部151,152の間に入り込んだ塵埃の除去に利用される。
【0099】
塵埃が軸部135の開口部136を通過して、軸受部151,152の流入口154に流入するときに、塵埃の一部が第1突出部212a又は第2突出部212bの内端(先端)と軸部135との間の接触部分に挟まることが想定される。この塵埃が多くなれば、軸受部151,152内での軸部135の回転(ひいては、回動ケース132,133の回動)が妨げられ得る。本実施形態では、このような回転不良の発生を抑制するために、周方向に隣り合う第1突出部212a及び第2突出部212bの間で除去空間214が上下方向に延設されている。除去空間214の下端は、開放されており、除去空間214に入った塵埃は、重力の作用によってケース接続部147の外に落下する。
【0100】
すなわち、軸受部151,152内で軸部135が回転すると、第1突出部212a及び第2突出部212bは、軸部135に対して周方向に相対的に移動する。また、第1突出部212a及び第2突出部212bの移動に伴って、これらの間の除去空間214も軸部135に対して周方向に移動する。このとき、突出部212と軸部135の外周面215との間に噛み込んだ塵埃は、第1突出部212a及び第2突出部212bの移動によりある程度引きずられるものの、除去空間214ほどには大きく移動しない。このため、除去空間214の移動量がある程度大きくなると、塵埃は、突出部212と軸部135の外周面215との間から抜け出て、除去空間214内に入る。そして、塵埃は、除去空間214からケース接続部147の外に落下し、軸受部151,152内での軸部135の回転不良の発生が抑制される。
【0101】
図14の突出部212は、略三角形状の横断面を有している。これにより、軸部135の外周面215に対する突出部212の接触部分の面積が低減され、軸部135の外周面215と軸受部151,152の内周面211との間に噛み込む塵埃が低減されている。代替的に、突出部212の横断面は、他の形状であってもよい。たとえば、突出部212は、略長方形状の横断面を有していてもよいし、略台形状の横断面を有していてもよいし、略半円形の横断面を有していてもよい。
【0102】
図13では、複数の突出部212が軸受部151,152側に設けられている。代替的に、これらの突出部212は、
図15に示すように、軸部135側に設けられていてもよい。すなわち、軸部135は、底面視において、略円形の外周面215と、外周面215から径方向における外方に突出した複数の突出部212と、を有している。これらの突出部212の外端(先端)が軸受部151,152の内周面211に当接することにより、隣り合う突出部212の間に除去空間214が形成され得る。
図15の構造においても、除去空間214を通じて塵埃を除去することが可能である。
【0103】
第2実施形態において、複数の突出部212は、軸受部151,152内での軸部135の傾動を抑制するように上下方向に延設された突出部により構成されている。代替的に、複数の突出部212は、軸受部151,152内での軸部135の傾動を抑制するように点在した複数の突起により構成されていてもよい。
【0104】
<第3実施形態>
軸部135と固定脚128,129との間に塵埃が挟まることが想定される。この塵埃も軸部135の回転を妨げ得るので、軸部135と固定脚128,129との間に塵埃が挟まった塵埃を除去できるように、固定脚128,129は、
図16に示すように構成されていてもよい。
【0105】
図16に示す固定脚128,129の下柱206の後面186には、上下方向に延びる複数の突条187が設けられている。固定脚128,129の下柱206が軸部135内に挿入されると、下柱206の後面186は、
図17に示すように、軸部135の内周面185から前方に離間した位置で立設される。複数の突条187は、回動軸回りの周方向において間隔を空けて設けられており、上下方向に延設されている。これらの突条187の後端(先端)は、軸部135の内周面185の後側部分に当接する。各突条187の後端(先端)の左右幅は、下柱206の左右幅よりも小さくなっているが、軸部135の内周面185の後側部分と突条187との間を通過しようとする気流の発生を抑制するのに十分な大きさを有していることが好ましい。
【0106】
各突条187の左側及び/又は右側には、塵埃を除去するための除去空間188が形成されている。除去空間188は、突条187と同様に上下方向に延びている。
【0107】
塵埃が突条187後端(先端)と軸部135の内周面185との間の接触部分に挟まっても、軸部135が回転すると、この塵埃は、除去空間188に入り込み得る。除去空間188は、上下方向に延設されているので、除去空間188に入った塵埃は、重力の作用により落下し、軸部135と固定脚128,129との間から離脱し得る。
【0108】
図16及び
図17では、複数の突条187が設けられている。しかし、単一の突条187だけが設けられていてもよい。突条187の左右幅が小さければ小さいほど、突条187と軸部135の内周面185との接触部分に挟まった塵埃を、軸部135の回転により除去空間188に移動させやすくなる(以下、「除去容易性」と称する)。一方、突条187の左右幅の低下に伴い、突条187と軸部135の内周面185との接触部分のシール性が弱まり、これらの間を気流が通過しやすくなる。このため、単一の突条187だけが設けられる場合には、この突条187の左右幅は、除去容易性を保ちつつ、高いシール性が得られるように設定されることが好ましい。
【0109】
図16及び
図17では、突条187は、下柱206側に設けられている。代替的に、突条187は、
図18に示すように、軸部135側に設けられている。この場合、突出部は、回動ケース132,133が基本位置にあるときに、下柱206の後面186に当接する位置に設けられる。
【0110】
第1実施形態乃至第3実施形態では、軸部135は、回動ケース132に設けられているが、ノズル本体131に軸部135が設けられていてもよい。この場合、回動ケース132,133に軸受部151,152が設けられる。
【0111】
第1実施形態乃至第3実施形態では、仕切部205は、床面に接触するように構成されている。代替的に、仕切部205は、回動ケース132,133間における吸引力の相互干渉を抑制できれば、床面から浮いていてもよい。この場合、吸込ノズル130が床面上を移動するときにおいて吸込ノズル130が床面から受ける摩擦力が低減され得る。
【0112】
第1実施形態乃至第3実施形態では、支持部194は、左右の回動ケース132,133に跨って延設された単一の板状部材によって構成されている。代替的に、支持部194は、回動ケース132,133を個別に支持する一対の部材によって構成されていてもよい。
【0113】
第1実施形態乃至第3実施形態では、支持部194は、床面に接触している。代替的に、支持部194は、床面から浮いた状態でノズル本体131に固定されてもよい。この場合、吸込ノズル130の下面に取り付けられたローラ等が床面に接地され得る。
【0114】
第1実施形態乃至第3実施形態では、弾性規制片141として、トーションばねが用いられている。代替的に、弾性規制片141は、
図19に示すような板ばねにより構成されていてもよい。
図19の弾性接続部142は、湾曲した板状に形成され得る。この場合、上柱192は、弾性接続部142を厚さ方向に挟んで位置決めするように構成されていてもよい。
【0115】
第1実施形態乃至第3実施形態では、回動ケース132,133は、基本位置から前方及び後方に回動可能になっている。代替的に、回動ケース132,133は、基本位置から前方にのみ回動可能になっていてもよいし、基本位置から後方にのみ回動可能になっていてもよい。この場合、第1腕部143及び第2腕部144のうち一方の腕部が変形促進部120に固定され得る。
【0116】
第1実施形態乃至第3実施形態では、回動ケース132が基本位置にあるとき、第1腕部143及び第2腕部144は、押出片139の両端部に接触している。このため、第1腕部143と押出片139との間及び第2腕部144と押出片139との間には、空隙は生じておらず、回動ケース132のガタが抑制されている。しかし、回動ケース132のガタが許容されれば、回動ケース132が基本位置にあるときにおいて、押出片139は、第1腕部143及び第2腕部144のうち少なくとも一方に接触しない状態になり得るように形成されてもよい。
【0117】
第1実施形態乃至第3実施形態では、掃除機100は、スティック型である。代替的に、掃除機100は、自走式の掃除機(いわゆる、ロボット掃除機)又はキャニスタ型の掃除機であってもよい。
【0118】
(効果等)
上述の実施形態に係る吸込ノズル130及び掃除機100は、以下の特徴を有しているとともに、以下の効果を奏する。
【0119】
上述の実施形態に係る一の局面に係る吸込ノズルは、吸引力が作用すると塵埃が流れる吸引管に接続可能であるとともに吸引管に向かって流れる塵埃の通過を許容する連通空間を形成しているノズル本体と、吸引力によって塵埃が吸い込まれるように開口した吸込空間をそれぞれ形成しているとともに、ノズル本体から左右方向に突出した基本位置から床面に沿って前方又は後方に回動可能にノズル本体に対して左右に間隔を空けて接続された一対の回動ケースと、一対の回動ケースを床面から浮いた状態で支持するように一対の回動ケースの下側に設けられた支持部と、一対の回動ケースの間に配置された仕切部と、を備えている。仕切部は、基本位置にある一対の回動ケースのうち一方の回動ケースの吸込空間に作用している吸引力が、基本位置にある一対の回動ケースのうち他方の回動ケースの下側の空間に作用することを抑制するように、一対の回動ケースの下側の空間を左右に仕切っている。
【0120】
上述の構成では、一対の回動ケースがノズル本体に対して左右方向に突出した基本位置にあれば、幅広の空間から塵埃を吸引することができる。そして、これらの回動ケースが基本位置から床面に沿って前方又は後方に回動すれば、吸込ノズルは、幅狭になり、使用者は、吸込ノズルを幅狭の空間に挿入することができる。これらの回動ケースが回動するときに床面に擦れて床面が傷つけられることを抑制するために、これらの回動ケースの下側に支持部が設けられている。すなわち、支持部は、一対の回動ケースを床面から浮いた状態で支持しているので、これらの回動ケースが回動するときに床面に擦れることが抑制される。
【0121】
一対の回動ケースは、ノズル本体に対して左右に間隔を空けて接続されているが、この間隔が過度に広くなっていれば、これらの回動ケースの間の床面領域上の塵埃が吸引されないことが想定される。このため、これらの回動ケースの左右の間隔は、ある程度小さくなっていることが好ましい。しかし、この間隔が小さくなると、以下に述べるように、これらの回動ケースに作用している吸引力の相互干渉の問題が生じ得る。
【0122】
一対の回動ケースが支持部によって床面上で浮いた状態になっているので、これらの回動ケースのうち一方の回動ケースに作用している吸引力は、これらの回動ケースの下側の空間を通じて、他方の回動ケースの下側の空間にも作用し得る。たとえば、左側の回動ケースの下側であって且つ右側の回動ケースの近くに毛髪が存在していた場合、この毛髪は、左右の回動ケースの両方から吸引力を受け得る。この場合、毛髪の左端は、左側の回動ケースに作用している吸引力によって引っ張られる一方で、毛髪の右端は、右側の回動ケースに作用している吸引力によって引っ張られ得る。この状態では、毛髪は、左右の回動ケースの間に引っ掛かった状態を維持し、吸引されないことが生じ得る。
【0123】
このような問題を回避するために、一対の回動ケースの間に一対の仕切部が設けられ、この仕切部により、一対の回動ケースの下側の空間が左右に仕切られている。仕切部が存在しているので、右側の回動ケースに作用している吸引力は、左側の回動ケースの下側の空間に作用しにくくなる。このため、左側の回動ケースの下側であって且つ右側の回動ケースの近くに毛髪が存在していても、毛髪が右側の回動ケースに作用している吸引力により右方に引っ張られることが抑制され、この毛髪は、左側の回動ケースの吸込空間に吸い込まれやすくなる。逆に、毛髪が右側の回動ケースの下側であって且つ左側の回動ケースの近くにある場合には、この毛髪は、右側の回動ケースの吸込空間に吸い込まれやすくなる。
【0124】
上述の構成において、支持部は、一対の回動ケースに跨って延設されて、一対の回動ケースを支持するように構成されていてもよい。
【0125】
上述の構成では、支持部は、一対の回動ケースに跨って延設されて、一対の回動ケースを支持しているので、これらの回動ケースを個別に支持するための複数の部品を用意しなくてもよい。すなわち、支持部は、単一の部品で構成され得る。
【0126】
上述の構成において、吸込ノズルは、一方の回動ケースをノズル本体に接続するとともに、連通空間に作用している吸引力が一方の回動ケースの吸込空間に作用することを許容するケース接続部を更に備えていてもよい。ケース接続部は、一方の回動ケース及びノズル本体のうち一方に設けられた軸部と、一方の回動ケース及びノズル本体のうち他方に設けられているとともに軸部が挿入される軸受部と、周方向に互いに間隔を空けた位置で軸部の外周面及び軸受部の内周面のうち一方から径方向に突出して軸部の外周面及び軸受部の内周面のうち他方に接触する第1突出部及び第2突出部と、を有していてもよい。第1突出部及び第2突出部の間には、塵埃の落下を許容する除去空間が形成されていてもよい。
【0127】
上述の構成では、ノズル本体の連通空間に作用している吸引力は、ケース接続部を通じて一方の回動ケースの吸込空間に作用する。このため、一方の回動ケースの吸込空間に吸い込まれた塵埃は、ケース接続部を通じて、ノズル本体の連通空間に流入する。その後、塵埃は、連通空間を通過して吸引管を流れる。塵埃がケース接続部を通過するとき、塵埃がケース接続部の軸部の外周面と軸受部の内周面との接触部分に噛み込むことが想定される。すなわち、軸部の外周面に第1突出部及び第2突出部が設けられている場合には、第1突出部又は第2突出部と軸受部の内周面との間に塵埃が噛み込み得る。軸受部の内周面に第1突出部及び第2突出部が設けられている場合には、第1突出部又は第2突出部と軸部の外周面との間に塵埃が噛み込み得る。
【0128】
このとき、使用者が一方の回動ケースを回動させて、軸受部に対して軸部を相対的に回動させれば、第1突出部及び第2突出部は、周方向に移動する。また、第1突出部及び第2突出部の移動に伴って、これらの間の除去空間も周方向に移動する。このとき、第1突出部又は第2突出部と軸部の外周面又は軸受部の内周面との間に噛み込んだ塵埃は、第1突出部及び第2突出部の移動によりある程度引きずられるものの、除去空間ほどには大きく移動しない。このため、除去空間がある程度移動すると、塵埃は、除去空間に入り、除去空間内で落下する。これにより、塵埃は、ケース接続部から除去され得る。
【0129】
上述の構成において、吸込ノズルは、支持部をノズル本体に固定する固定脚と、一方の回動ケースをノズル本体に接続するとともに、連通空間に作用している吸引力が一方の回動ケースの吸込空間に作用することを許容するケース接続部と、を更に備えていてもよい。ノズル本体は、ケース接続部に上側から被さって連通空間をケース接続部の周囲で形成しつつケース接続部を収容する収容部を有していてもよい。支持部は、一方の回動ケースの下端と係合するように構成されていてもよい。固定脚は、ケース接続部を貫通するように支持部から上向きに延設されて、収容部に接続されていてもよい。
【0130】
上述の構成では、一方の回動ケースの吸込空間に吸い込まれた塵埃は、ケース接続部を収容する収容部によってケース接続部の周囲に形成された連通空間に流入する。その後、塵埃は、連通空間を通過して吸引管を流れる。
【0131】
収容部は、連通空間を形成するためだけでなく、回動ケースを床面から浮いた状態で支持する支持部を固定するためにも用いられる。すなわち、収容部は、ケース接続部に上側から被さっており、支持部から上向きに延設された固定脚がこの収容部に接続されている。支持部は、回動ケースの下端と係合しているので、ケース接続部の軸部及び軸受部が上下に分離することが防止される。また、固定脚は、ケース接続部を貫通しているので、ケース接続部の内部空間が固定脚の配設に有効に利用される。
【0132】
上述の構成において、一方の回動ケースは、左側の回動ケースであってもよい。ケース接続部は、ノズル本体から左方に突出した基本位置にある左側の回動ケースの右端部分をノズル本体に接続するように構成されているともに、左側の回動ケースが基本位置にあるときに連通空間とケース接続部の内部空間とが連通するように右向きに開口していてもよい。
【0133】
上述の構成では、ケース接続部は、ノズル本体から左方に突出した基本位置にある左側の回動ケースの右端部分をノズル本体に接続するように構成されている。したがって、塵埃の多くは、左側の回動ケースが基本位置にあるときには、ケース接続部の左側で吸込空間に吸い込まれる。このため、塵埃の多くは、左側の回動ケースの吸込空間内では、この回動ケースの右端部分に設けられたケース接続部に向けて右向きに流れる。このとき、ケース接続部は、右向きに開口しているので、塵埃は、ケース接続部から右向きに流れて連通空間に流入する。吸込空間における流れ方向を大きく変えることなく、塵埃をケース接続部から流出させることができるので、塵埃の円滑な流れが促され得る。
【0134】
上述の構成において、一方の回動ケースは、右側の回動ケースであってもよい。ケース接続部は、ノズル本体から右方に突出した基本位置にある右側の回動ケースの左端部分をノズル本体に接続するように構成されているともに、右側の回動ケースが基本位置にあるときに連通空間とケース接続部の内部空間とが連通するように左向きに開口していてもよい。
【0135】
上述の構成では、ケース接続部は、ノズル本体から右方に突出した基本位置にある右側の回動ケースの左端部分をノズル本体に接続するように構成されている。したがって、塵埃の多くは、右側の回動ケースが基本位置にあるときには、ケース接続部の右側で吸込空間に吸い込まれる。このため、塵埃の多くは、右側の回動ケースの吸込空間内では、この回動ケースの左端部分に設けられたケース接続部に向けて左向きに流れる。このとき、ケース接続部は、左向きに開口しているので、塵埃は、ケース接続部から左向きに流れて連通空間に流入する。吸込空間における流れ方向を大きく変えることなく、塵埃をケース接続部から流出させることができるので、塵埃の円滑な流れが促され得る。
【0136】
上述の構成において、支持部は、一方の回動ケースの吸込空間が支持部の前側で開口するように、一方の回動ケースの下端における後部に係合していてもよい。固定脚は、ケース接続部の内部空間の径方向における中央に張り出さないように、ケース接続部の内周面における後側部分に沿って延設されていてもよい。
【0137】
上述の構成では、使用者が吸込ノズルを前進させると、吸込空間に吸い込まれることなく床面に残った塵埃は、支持部によって捕捉されて、支持部の前側に溜まり得る。そして、支持部の前側では、吸込空間が開口しているので、支持部の前側に溜まった塵埃は、事後的に吸引され得る。このとき、固定脚は、ケース接続部の内周面における後側部分に沿って延設されており、固定脚を支持部から前側に大きく突出した位置で上向きに延設しなくてもよい。このため、吸込空間の開口部分が固定脚によって大きく塞がれることが抑制される。また、塵埃がケース接続部の内部空間を通過するとき、この内部空間の径方向における中央を通過する塵埃は、ケース接続部の内周面における後側部分の近傍を通過する塵埃よりも多くなると考えられる。このため、固定脚をケース接続部の内部空間の径方向における中央に張り出さないようにケース接続部の内周面における後側部分に沿うように配置することにより、固定脚に引っ掛かる塵埃を少なくすることができる。
【0138】
上述の構成において、固定脚は、ケース接続部の内周面の後側部分に接触していてもよい。
【0139】
上述の構成では、固定脚は、ケース接続部の内周面の後側部分に接触しているので、軸部の内周面における後側部分と固定脚との間での空気の流れを抑制することができる。このため、ケース接続部の内周面における後側部分と固定脚との間に塵埃が入り込むことを抑制することができる。
【0140】
上述の構成において、ケース接続部は、一方の回動ケースに設けられているとともにケース接続部の内周面を形成している軸部と、ノズル本体に設けられているとともに軸部が挿入される軸受部と、を有していてもよい。吸込ノズルは、ケース接続部の内周面における後側部分及び固定脚の後面のうち一方から突出してケース接続部の内周面における後側部分及び固定脚の後面のうち他方に接触する突条を更に備えていてもよい。突条は、固定脚の後面よりも幅狭であり、突条の左側又は右側には、塵埃の落下を許容する除去空間が形成されていてもよい。
【0141】
上述の構成では、ケース接続部の内周面は、軸受部に挿入された軸部によって構成されるが、固定脚と軸部との接触部分に塵埃が噛み込んだ場合、この塵埃によって、軸受部内の軸部の回転が妨げられ得る。固定脚と軸部との接触部分に塵埃が噛み込むことを防止するために、ケース接続部の内周面における後側部分及び固定脚の後面のうち一方から突出してケース接続部の内周面における後側部分及び固定脚の後面のうち他方に接触する突条が設けられている。突条は、固定脚の後面よりも幅狭であり、突条と固定脚又は軸部との接触面積が小さくなり、塵埃の噛み込みが抑制される。
【0142】
仮に、固定脚とケース接続部の内周面における後側部分との接触部分に塵埃が噛み込んだとしても、この塵埃は、以下のように除去され得る。すなわち、軸部は、一方の回動ケースに設けられているので、使用者が回動ケースを前方又は後方に回動させれば、軸部は、固定脚に対して相対的に角変位する。この場合、突条と固定脚又は軸部との接触部分に噛み込んだ塵埃は、軸部の角変位に伴って移動し、この接触部分の左側又は右側に形成された除去空間に入り得る。除去空間に入った塵埃は、重力の作用によって落下することができる。
【0143】
上述の構成において、吸込ノズルは、一方の回動ケースに外力が作用していない状態で一方の回動ケースがノズル本体から左方又は右方に突出する基本位置に一方の回動ケースを位置決めする位置決め機構を更に備えていてもよい。位置決め機構は、軸部及び軸受部の上側に設けられていてもよい。
【0144】
仮に、軸部の外周面と軸受部の内周面とに位置決め機構を設けようとすれば、塵埃を除去するための除去空間を形成しにくくなる。一方、ケース接続部(すなわち、軸部及び軸受部)の上側に位置決め機構を設ければ、除去空間の形成が位置決め機構によって妨げられることはない。このため、上述の構成では、位置決め機構がケース接続部の上側に設けられている。
【0145】
上述の構成において、位置決め機構は、回動ケースの回動に伴って軸部の軸回りに角変位するように軸部に設けられた押出片と、回動ケースが基本位置から第1回動方向に回動するときに押出片に接触して押出片の角変位を規制するように設けられた第1腕部と、回動ケースが基本位置から第1回動方向とは反対の第2回動方向に回動するときに押出片に接触して押出片の角変位を規制するように設けられた第2腕部と、第1腕部と第2腕部とに繋がった弾性変形可能な弾性接続部と、を有している弾性規制片と、を有している。軸受部には、押出片と協働して弾性接続部を弾性変形させて弾性接続部に復元力を蓄えさせる変形促進部が設けられていてもよい。変形促進部は、第1腕部及び第2腕部のうち一方の腕部が軸部の軸回りに角変位することを許容するように一方の腕部と係合しているとともに、一方の腕部が軸部の軸回りに角変位しているときに、第1腕部及び第2腕部のうち他方の腕部が軸部の軸回りに回動することを規制するように構成されていてもよい。回動ケースは、押出片が一方の腕部を押し出すと回動し、一方の腕部が押出片を押し戻すように弾性接続部が弾性変形した状態から復元すると基本位置に戻ってもよい。
【0146】
上述の構成では、回動ケースが障害物に衝突し、後向きの外力を受ければ、回動ケースは、床面に沿って後方に回動する。逆に、前向きの外力を受ければ、回動ケースは、床面に沿って前方に回動する。回動ケースの前後方向の回動により、吸込ノズルは、幅狭になり、使用者は、障害物の存在に拘わらず、吸込ノズルを狭い空間に挿入することができる。
【0147】
回動ケースが基本位置から回動しようとすると、軸部に設けられた押出片は、軸部の軸回りに角変位し、第1腕部又は第2腕部を押し出そうとする。このとき、押出片が第1腕部又は第2腕部に加える力が弾性接続部を弾性変形させるほど大きくなければ、押出片の角変位は、第1腕部又は第2腕部によって妨げられる。この場合、回動ケースは、回動せず、基本位置に留まる。
【0148】
一方、回動ケースが、前向き又は後向きの大きな外力を受ければ、押出片は、第1腕部又は第2腕部を押し出す。押出片が第1腕部及び第2腕部のうち一方の腕部を押し出すと、この腕部は、軸部の軸回りに角変位することができ、回動ケースは、ある程度大きく回動することができる。一方の腕部が軸部の軸回りに角変位しているとき、第1腕部及び第2腕部のうち他方の腕部の角変位は、変形促進部によって規制され、第1腕部及び第2腕部が繋がった弾性接続部が弾性変形し、弾性接続部に復元力が蓄えられる。その後、回動ケースに作用している外力がなくなれば、弾性接続部の復元力により、押出片は、一方の腕部によって元の位置に押し戻される。すなわち、回動ケースは、基本位置に戻される。
【0149】
上述の構成において、弾性規制片は、弾性接続部がコイル状に形成されたトーションばねを含んでいてもよい。
【0150】
上述の構成では、弾性規制片としてトーションばねが利用可能である。
【0151】
上述の構成において、吸込ノズルは、支持部をノズル本体に固定する固定脚を更に備えていてもよい。ノズル本体は、ケース接続部に上側から被さって連通空間をケース接続部の周囲で形成しつつケース接続部を収容する収容部を有していてもよい。支持部は、回動ケースの下端と係合するように構成されていてもよい。固定脚は、ケース接続部と弾性接続部とを貫通するように支持部から上向きに延設されて、収容部に接続されていてもよい。
【0152】
上述の構成では、固定脚は、軸部だけでなく、弾性接続部をも貫通しているので、弾性規制片は、前後方向及び/又は左右方向において位置決めされている。すなわち、固定脚は、支持部を収容部に固定するためだけでなく、位置決め機構の弾性規制片を位置決めするためにも利用される。
【0153】
上述の構成において、吸込ノズルは、弾性規制片を支持するように弾性規制片の下側に設けられたばね座部を更に備えていてもよい。収容部は、弾性規制片の上向きの変位を規制するように構成されていてもよい。
【0154】
上述の構成では、弾性規制片を支持するために、ばね座部が弾性規制片の下側に設けられており、弾性規制片が下方に変位することが規制される。また、収容部は、弾性規制片の上向きの変位を規制するように構成されているので、軸方向における変位は、ばね座部と収容部とによって規制され得る。
【0155】
上述の実施形態に係る他の局面に係る掃除機は、塵埃を吸引する吸引力を発生する吸引源と、吸引源の吸引力によって吸い込まれた塵埃が流れる吸引管と、上述の吸込ノズルと、を備えている。
【産業上の利用可能性】
【0156】
上述の実施形態の吸込ノズル及び掃除機は、清掃作業に用いられる装置に好適に利用される。
【符号の説明】
【0157】
100・・・・・・・・・・・掃除機
113・・・・・・・・・・・吸引管
116・・・・・・・・・・・吸引源
120・・・・・・・・・・・変形促進部
122・・・・・・・・・・・収容部
125・・・・・・・・・・・連通空間
128,129・・・・・・・固定脚
130・・・・・・・・・・・吸込ノズル
131・・・・・・・・・・・ノズル本体
132,133・・・・・・・回動ケース
134・・・・・・・・・・・吸込空間
135・・・・・・・・・・・軸部
139・・・・・・・・・・・押出片
140・・・・・・・・・・・位置決め機構
141・・・・・・・・・・・弾性規制片
142・・・・・・・・・・・弾性接続部
143・・・・・・・・・・・第1腕部
144・・・・・・・・・・・第2腕部
147・・・・・・・・・・・ケース接続部
151,152・・・・・・・軸受部
185・・・・・・・・・・・内周面
186・・・・・・・・・・・後面
187・・・・・・・・・・・突条
188・・・・・・・・・・・除去空間
194・・・・・・・・・・・支持部
198・・・・・・・・・・・ばね座部
205・・・・・・・・・・・仕切部
211・・・・・・・・・・・内周面
212a・・・・・・・・・・第1突出部
212b・・・・・・・・・・第2突出部
214・・・・・・・・・・・除去空間
215・・・・・・・・・・・外周面