IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-監視システム 図1
  • 特開-監視システム 図2
  • 特開-監視システム 図3
  • 特開-監視システム 図4
  • 特開-監視システム 図5
  • 特開-監視システム 図6
  • 特開-監視システム 図7
  • 特開-監視システム 図8
  • 特開-監視システム 図9
  • 特開-監視システム 図10
  • 特開-監視システム 図11
  • 特開-監視システム 図12
  • 特開-監視システム 図13
  • 特開-監視システム 図14
  • 特開-監視システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171261
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 54/02 20060101AFI20241204BHJP
   H02P 25/064 20160101ALI20241204BHJP
【FI】
B65G54/02
H02P25/064
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088238
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷口 和也
【テーマコード(参考)】
3F021
5H540
【Fターム(参考)】
3F021AA07
3F021BA01
3F021CA01
3F021DA08
5H540AA01
5H540BA03
5H540BB01
5H540BB07
5H540BB09
5H540EE20
5H540FA04
5H540FC10
5H540GG07
(57)【要約】
【課題】搬送ステージ上を浮上して移動する搬送体の動作異常を予兆監視するとともに、該搬送ステージ上の障害物を検知することができる、監視システムを提供すること。
【解決手段】本発明に係る監視システム10は、搬送ステージ20と、該搬送ステージ20上を移動する搬送体30とを備えた搬送装置100を監視する。搬送体30は、磁石を有する。搬送ステージ20は、磁力を電力により発生させて、前記磁石との相互作用により、搬送体30を搬送ステージ20から浮上させ且つ搬送ステージ20上を移動させる磁力発生部を有している。監視システム10は、搬送ステージ20の法線方向において搬送体30が浮上する領域を検出領域Rとする測域センサー2と、該測域センサー2の検知情報に基づき、搬送ステージ20又は搬送体30の異常を判定する異常判定部14とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する搬送体とを備えた搬送装置を監視する監視システムであって、
前記搬送体は、磁石を有し、
前記搬送ステージは、磁力を発生させて、前記搬送体が備える前記磁石との相互作用により、前記搬送体を該搬送ステージから該搬送ステージの法線方向に浮上させ且つ該搬送ステージ上を移動させる磁力発生部を有しており、
前記搬送ステージの法線方向において前記搬送体が浮上する領域を検出領域とする測域センサーと、
前記測域センサーの検知情報に基づき、前記搬送ステージ又は前記搬送体の異常を判定する異常判定部とを備えている、監視システム。
【請求項2】
前記搬送ステージを前記法線方向から視たときの前記検出領域について、該搬送ステージを構成する複数の区画毎に前記検知情報を取得する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記搬送体には、識別情報が付与されており、
前記搬送装置は、前記搬送ステージ上の前記搬送体の位置情報を取得する位置情報取得部を備えており、
前記識別情報及び前記位置情報の何れか一方又は双方と、前記検知情報とを、前記区画毎に取得する、情報統合部とを備えている、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記異常判定部は、前記区画毎の前記検知情報と、前記識別情報及び前記位置情報の何れか一方又は双方とに基づいて、前記異常の種類を推定する、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記測域センサーは、前記法線方向の位置が異なる複数のセンサー部を備えている、請求項1~4の何れか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記検知情報は、前記検出領域の前記法線方向の位置の情報を含み、
前記異常判定部は、前記検出領域の前記法線方向の位置の情報に基づいて、前記異常の種類を推定する、請求項4に記載の監視システム。
【請求項7】
前記異常の種類に応じて、警報の発生信号と、前記搬送装置の制御信号とを発する異常対応信号生成部を備えている、請求項3又は6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記搬送ステージに対し、異なる位置に設置された前記測域センサーを複数備えており、
前記搬送ステージを前記法線方向から視たとき、複数の前記測域センサーそれぞれの前記検出領域どうしを合わせた複合検出領域が、該搬送ステージを少なくとも部分的に包含している、請求項1~7の何れか1項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する搬送体とを備えた搬送装置を監視する監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
搬送領域内で複数の搬送体が、レール等の無いトラックレスで走行する搬送装置が知られている。例えば特許文献1には、複数の磁石アレイを備えた可動式ステージ、及び線形で細長いコイルトレースを提供するコイルを備えた層を複数有する固定子ステージを備えた搬送装置が開示されている。この搬送装置は、コイルと磁石アレイとの相互作用によって生じる磁力によって、可動式ステージが、固定子ステージ上からZ方向に浮上するとともに該固定子ステージ上でXY方向に移動可能である。
【0003】
また特許文献2には、容器を積載した複数の搬送体と、該搬送体が移動するワークスペースと、該搬送体が積載した容器に対して処理操作を実施するユニット操作ステーションとを具備し、前記搬送体は前記ワークスペース内をトラックレスで移動可能になされており、個々の前記搬送体の経路を独立して設定可能である、システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2014-531189号公報
【特許文献2】特表2021-513487号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示の搬送装置は、可動式ステージが固定子ステージから浮上するものであるが、可動式ステージの動作異常を予兆監視すること、または固定子ステージ上の障害物を検知することについて、何ら検討されていない。また特許文献2は、搬送体が浮上して移動する技術を開示するものではなく、該搬送体の動作異常や搬送経路上の障害物の検知についても何ら検討されていない。
【0006】
本発明は、搬送ステージ上を浮上して移動する搬送体の動作異常を予兆監視するとともに、該搬送ステージ上の障害物を検知することができる、監視システムを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する搬送体とを備えた搬送装置を監視する監視システムに関する。
一実施形態として、前記搬送体は、磁石を有することが好ましい。
一実施形態として、前記搬送ステージは、磁力を発生させて、前記搬送体が備える前記磁石との相互作用により、前記搬送体を該搬送ステージから該搬送ステージの法線方向に浮上させ且つ該搬送ステージ上を移動させる磁力発生部を有していることが好ましい。
一実施形態として、前記監視システムは、前記搬送ステージの法線方向において前記搬送体が浮上する領域を検出領域とする測域センサーと、
前記測域センサーの検知情報に基づき、前記搬送ステージ又は前記搬送体の異常を判定する異常判定部とを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の監視システムによれば、搬送ステージ上を浮上して移動する搬送体の動作異常を予兆監視するとともに、該搬送ステージ上の障害物を検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係る監視システム及び搬送装置の一実施形態を示す斜視図と、該監視システムのブロック図である。
図2図2は、図1に示す搬送物及びこれを載せた搬送体を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す搬送体の内部を透視した斜視図である。
図4図4は、図1に示す搬送ステージを示す図であって、一部の区画を透視した状態で示す斜視図である。
図5図5は、図1に示す搬送装置のブロック図である。
図6図6は、図1に示す測域センサーの検知範囲と、搬送ステージとの位置関係を示す平面図である。
図7図7は、図1に示す測域センサーの検出領域を示す側面図である。
図8図8は、図5に示す搬送経路生成部が行う経路変更の一例を示す監視システム及び搬送装置の平面図である。
図9図9は、図1に示す測域センサーの検出領域によって作業装置の動作異常を判定する方法の一例を示す側面図である。
図10図10は、図1に示す測域センサーの検出領域によって、搬送ステージ上の支持台に搬送体を移動させる方法の一例を示す側面図である。
図11図11(a)~(c)は、本発明に係る測域センサーの配置形態を示す平面図である。
図12図12は、法線方向における検出領域の位置が互いに異なる測域センサーを示す図7相当図である。
図13図13(a)及び(b)は、監視システムが備えることができる画像処理装置の一例を示す平面図及び側面図である。
図14図14は、図1に示す監視システムが実行する監視工程のフロー図である。
図15図15は、検出領域の範囲を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下本発明の監視システムを、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。本実施形態の監視システム10は、図1に示す搬送装置100の動作等を監視する。本実施形態の搬送装置100は、搬送ステージ20と、該搬送ステージ20上を移動する複数の搬送体30と、該搬送体30の移動を含む搬送装置100の動作を制御する搬送装置制御部50とを具備している。
搬送装置100は、例えば、物品(搬送物5)を搬送ステージ20上の作業領域に搬送し、該作業領域にて該物品に対し処理を行う工程を複数回行うことで、製品を完成させる生産方法に用いることができる。複数回行われる前記工程の処理の種類はそれぞれ異なっており、充填処理、組み立て処理、切断等の加工処理等が挙げられる。搬送ステージ20上の作業領域は、これらの処理の何れかを行う領域である。
【0011】
本実施形態の搬送装置100は、搬送ステージ20が水平面に接地されており、該搬送ステージ20が水平方向に延在している。本実施形態の搬送ステージ20は、X方向とこれに直交するY方向とを有し、X方向に長い矩形形状を有している。
本実施形態の搬送ステージ20は、複数のセグメント21によって構成されている。セグメント21は、個々に電力が供給されて磁力を発生させる最小単位のハードウェアである。搬送ステージ20は、単数又は複数のセグメント21で構成することができる。また、搬送ステージ20は、複数のセグメント21を任意に並べて、所望の平面形状とすることができる。搬送ステージ20を構成する複数のセグメント21は、搬送X方向及びY方向それぞれに隣り合うセグメント21どうしの間に隙間が無い状態で並べられている。
本実施形態の搬送ステージ20において複数のセグメント21が、X方向及びY方向の双方に並べられている。これらセグメント21は、正方形の平面視形状を有している。各セグメント21の上面は、略同一平面をなしている。これにより、搬送ステージ20は、実質的にフラットな状態となっている。
【0012】
本実施形態のセグメント21は、平板状のセグメント本体22と、該セグメント本体22内に設けられた磁力発生部23とを備えている(図4参照)。本実施形態の磁力発生部23は、セグメント本体22の4辺の周縁に沿って配されたコイル23a,23b,23c,23dを含んで構成されており、電力によって磁力を発生させる。平面視においてこれらコイル23a,23b,23c,23dは、略矩形環状に配置されている。セグメント21では、互いに対向する2個のコイル23a,23dが平行に配置されており、これらコイル23a,23dと直交する別の2個のコイル23b,23cが互いに対向し且つ平行に配置されている。
【0013】
本実施形態の搬送体30は、平板状の搬送本体31と、該搬送本体31の上面に設けられ且つ搬送物5を保持する保持部35とを有している(図2参照)。この搬送本体31は、丸みを帯びた角を有する略正方形の平面視形状を有している。搬送本体31の平面視形状は、六角形又は円形等の形状であってもよい。
本実施形態の搬送体30は、搬送物5として円筒状のボトル容器を搬送する。搬送物5の種類は特に限定されず、ボトル容器、チューブ容器、スクイズ容器、袋状容器、化粧料パレット等の各種容器であってもよい。またこれら容器に内容物が収容されていてもよく、収容されていなくともよい。本実施形態の搬送体30は、保持部35を具備するが、当該保持部35を具備していなくともよい。
本実施形態の保持部35は、搬送物5の底部を収容し得る筒部と、該筒部が立設された板部とを有し、該板部が搬送本体31の上面に固定されている。以下、説明の便宜上、図2以外の図面には保持部35の図示を省略している。
【0014】
本実施形態の搬送体30は、識別可能になされており、識別情報が付与されている。識別情報は、個々の搬送体30を識別するための情報であり、例えば文字、数字、記号やこれらの組み合わせによって表示されていてもよく、光学的又は電子的に読み取り可能に表示されるものであってもよい。例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等の2次元コード、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の電子情報媒体等が用いられる。RFIDタグは、RFIDリーダー(RFIDアンテナ)によって読み取ることができる。また、識別情報は、搬送体30が有する磁石アレイ33a,33b,33c,33dの配列であってもよく、搬送体30における特定の部分の形状(個々の搬送体30に固有の形状)等であってもよい。
前記の識別情報は、搬送ステージ20上の搬送体30の映像に基づいて、該搬送体30に付与されてもよい。例えば、搬送体30に関するビデオストリームの分析に基づき、搬送体30の挙動を監視且つ分析して、搬送体30に関する複数の特徴と該搬送体30の追跡とを関連付けた識別子(識別情報)を付与してもよい。
【0015】
搬送体30は、搬送本体31の内部に磁石(永久磁石)を備えている。より詳細には、搬送本体31の内部に、搬送本体31の4辺の周縁に沿って配された磁石アレイ33a,33b,33c,33dを有している(図3参照)。
各磁石アレイ33a,33b,33c,33dは、略矩形環状に配置されている。搬送体30では、互いに対向する2個の磁石アレイ33a,33dが平行に配置されており、これら磁石アレイ33a,33dと直交する別の2個の磁石アレイ33b,33cが互いに対向し且つ平行に配置されている。
搬送体30は、複数の磁石アレイに代えて、1個の磁石アレイを備えていてもよい。
【0016】
搬送ステージ20は、磁力を電力により発生させる磁力発生部23を有している。この磁力と、搬送体30の磁石アレイ33a,33b,33c,33dとの相互作用により、搬送体30を、搬送ステージ20から浮上させ且つ該搬送ステージ20上を移動させることができる。より詳細には、搬送ステージ20の各セグメント21が備える磁力発生部23に電力が供給されると、水平方向(X方向及びY方向)に磁力が発生する。この磁力によって、搬送体30を、搬送ステージ20(セグメント21)の上面から浮上させるとともに、水平方向(X方向及びY方向)に移動させることができる。
搬送ステージ20は、該ステージが具備する磁石の距離、角度、極性の向き又はこれらを組み合わせて変更することで、搬送体30を移動させてもよい。
【0017】
搬送体30の移動方向は、セグメント21が備える複数のコイル23a,23b,23c,23dへの電力の供給態様、例えば電力供給するコイルの組み合わせ等に応じて変化させることができる。これにより、各セグメント21上において、各搬送体30はX方向及びY方向の一方又は双方を組み合わせた方向に移動させることができる。例えば、Y方向を前後方向とし、X方向を左右方向としたとき、前、後、左、右、及びこれらの斜め方向のうち選択された所望の方向に、搬送体30を移動させることができる。例えば、図6に示すように、本実施形態の搬送体30は、X方向に移動後、Y方向に移動する経路C1,C2に沿って直進移動可能である他、X方向若しくはY方向に対して斜めの方向に直進移動する経路C3、又はX方向若しくはY方向に対して斜めの方向に湾曲移動する経路C4に移動可能である。
【0018】
さらに搬送体30は、搬送ステージ20(各セグメント21)に対して該搬送ステージ20の法線方向に浮上する。本実施形態では各搬送体30は、搬送ステージ20(各セグメント21)に対して鉛直方向Zの上方に浮上する。斯かる搬送ステージ20に対する鉛直方向Zは搬送ステージ20に対する法線方向と一致する。当該法線方向及び鉛直方向ZはX方向、Y方向それぞれと直交する方向である。また、「平面視」とは、搬送ステージ20に対する鉛直方向Z上方から、搬送ステージ20を見ることをいう。各搬送体30が搬送ステージ20(各セグメント21)から浮上する浮上量は、略同じに設定されている。浮上量は、搬送ステージ20の法線方向(以下、単に「法線方向」ともいう。)における該ステージ20と搬送体30の底面との間の距離である。すなわち本実施形態では鉛直方向Zにおける搬送体30の底面と搬送ステージ20との間の距離が、搬送体30の浮上量である。搬送をより円滑化する観点から、搬送体30の浮上量は、好ましくは3mm以上20mm以下であり、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
搬送体30は、搬送ステージ20上において移動開始地点から目標地点(例えば図6に示すセグメント21a)に到達するまでの経路(道筋)を任意に設定することができ、当該経路を個々の搬送体30に応じて設定することができる。また前記経路は、必ずしも一義的に定められるものではなく、他の搬送体30の移動や配置等に応じて任意の経路に適宜変更できるようになされている。経路の設定及び変更を含む、搬送ステージ20上の搬送体30の移動は、後述する搬送装置制御部50によって制御される。搬送装置制御部50は、ネットワークを介して、搬送ステージ20(セグメント21)と通信可能に接続されている。本実施形態では、搬送装置制御部50の制御によって、搬送体30の移動経路を設定又は変更する。搬送装置制御部50は、搬送体30とも通信可能に接続されていてもよい。
【0019】
搬送ステージ20の磁力発生部23によって搬送体30を浮上及び移動させる動作原理は、特許文献1に開示の固定子ステージのコイルによって、複数の磁石アレイを備えた可動式ステージを浮上及び移動させる原理と同様である。
【0020】
複数のセグメント21の集合体である搬送ステージ20は、搬送体30よりも大きい面積(平面寸法)を有している。セグメント21の面積(平面寸法)は、搬送体30の面積(平面寸法)よりも大きくてもよく、同等でもよく、又は小さくてもよい。本実施形態のセグメント21は、搬送体30よりも大きい面積(平面寸法)を有している。搬送体30の移動をより高精度に制御する観点から、正方形であるセグメント21の一辺の長さは、略正方形である搬送体30の一辺の長さの好ましくは2倍以上4倍以下である。
【0021】
搬送装置制御部50は、通信モジュール51、搬送情報取得部52、及び搬送経路生成部53を具備している(図5参照)。
通信モジュール51は、後述する監視システム10とともに、搬送ステージ20及び搬送体30と通信可能であり、監視システム10からの信号、並びに搬送体30の識別情報及び搬送ステージ20上の位置情報を受信する。また通信モジュール51は、搬送経路生成部53が生成又は演算した各情報(後述する搬送体30の経路情報又は経路変更情報等)を搬送ステージ20(セグメント21)に送信する。通信モジュール51としては、例えば、LTE、4G、又は5Gに対応した通信モジュールや、IEEE802.11等の既存の規格に対応した通信モジュールを用いることができる。
【0022】
搬送情報取得部52は、搬送体30の識別情報及び位置情報を経時的に取得し、これを記録する。搬送体30の位置情報は、搬送ステージ20上の搬送体30の座標位置に関する情報であり、搬送体30が実際に位置した座標位置(以下、「実績座標位置」ともいう。)、及び予定される移動経路の座標位置(以下、「予定座標位置」ともいう。)の情報が含まれる。
本実施形態においてこれら座標位置は、搬送ステージ20を平面視した場合のX方向の位置とY方向の位置(X,Y)として示される。搬送装置100の稼働中において搬送情報取得部52は、搬送体30の位置情報を、0.1~1秒毎に取得する。これにより、実績座標位置の経時的且つ連続的な変化(軌跡)を、搬送体30が実際に移動した経路として示すこと(マッピング)ができる。
予定座標位置の情報は、搬送体30の移動開始地点から目標地点までの予定経路を連続的に座標位置で示した情報である。移動開始地点及び目標開始地点それぞれは、搬送ステージ20における座標位置で示される。これにより、搬送ステージ20上の予定経路中の実績座標位置(現在地)を把握することができる。
予定座標位置の情報は、搬送経路生成部53によって生成される。生成された予定座標位置は、各搬送体30に設定される。また本実施形態の搬送装置100は、監視システム10から受信した制御信号に基づき、後述する異常対応部54が予定座標位置の情報を変更して、搬送体30の予定経路を変更する(後述する図8参照)。
【0023】
本実施形態の位置情報は、搬送ステージ20を構成する複数の区画毎に取得することが好ましい。本実施形態において当該区画は、搬送ステージ20のセグメント21又は2個以上の複数のセグメント21の集合体により構成される。例えば、正方形を形成する4個のセグメント21の集合体を1個の区画と設定することができる。より詳細な位置情報を取得する観点から、搬送ステージ20に設定される区画は、単数のセグメント21毎であることが好ましい。
【0024】
搬送情報取得部52は、搬送体30の識別情報と該搬送体30の位置情報とを関連付けて記録してもよい。本実施形態の搬送情報取得部52は、これら識別情報と位置情報とを関連付けて記録する。より詳細には、本実施形態の搬送情報取得部52は、搬送体30ごとに該搬送体30の識別情報とそれに対応する位置情報とを関連付けて記録する。識別情報及び位置情報は、搬送装置制御部50の記録部(図示せず)に保存される。
【0025】
搬送経路生成部53は、搬送ステージ20上における搬送体30の移動経路を生成又は変更する。搬送ステージ20上の移動経路は、該ステージ20上の搬送体30の座標位置を連続させた軌道として設定することができる。
搬送経路生成部53は、異常対応部54を具備している。異常対応部54は、監視システム10から受信した制御信号に基づき、異常が生じた搬送体30の退避、又は搬送装置100の停止を実行する。また異常対応部54は、監視システム10から受信した制御信号に基づき、搬送体30の移動経路を変更する。
搬送経路生成部53及び異常対応部54による移動経路の生成又は変更の実行は、公知のアルゴリズムを用いることができ、例えば、ダイクストラ法、Aスターアルゴリズム等により実行される。搬送経路生成部53は、一の搬送体30の移動経路に関し、他の搬送体30の現在位置、及び他の搬送体30の所定時間先行した移動領域(予定座標位置)を障害物として設定し、該他の搬送体30を回避する経路を生成又は変更可能になされている。
【0026】
次に、本実施形態の監視システム10の詳細について説明する。本実施形態の監視システム10は、測域センサー2と、該監視システム10の動作を制御する監視制御部4とを備えている。
本実施形態の監視システム10は、2台の測域センサー2を備えている。これら測域センサー2は、平面視において搬送ステージ20のY方向両側の外方に設置されている(図1及び図6参照)。監視システム10が備える測域センサー2の台数は特に制限されない。
【0027】
測域センサー2としては、投光部から照射されたレーザー光等の光が物体に反射又は遮光されることを受光部で検知するものを好適に用いることができる。例えば、レーザーレンジファインダ、光電センサー、光ファイバーセンサ等を用いることができる。レーザーレンジファインダは、筐体内に投光部と受光部が設けられており、投光部から発せられたレーザー光が物体に反射して受光部に戻ってくるまでの時間を計測し、搬送ステージを法線方向から視たとき(平面視したとき)の物体までの距離及び位置のデータを出力するものである。レーザーレンジファインダは、平面視において略扇状にレーザー光を走査する。斯かる略扇状の領域が法線方向から視たときの(平面視での)検出領域Rとなる(図1及び図6参照)。
本実施形態の測域センサー2は、レーザーレンジファインダであり、該測域センサー2が具備するセンサー部3が受光部となっている。平面視におけるレーザーレンジファイダによる検出領域Rの角度θ1(図15参照)は、好ましくは0°超270°以下、より好ましくは60°以上180°以下である。
また平面視において検出領域Rを線対称に二等分する中心線CLを仮定したとき、検出領域Rの半径rと該中心線CLとの間の角度θ2(図15参照)は、好ましくは0°超135°以下、より好ましくは30°以上90°以下である。
【0028】
本実施形態の監視システム10は、搬送ステージ20のY方向両側に2台の測域センサー2が配されている。これら2台の測域センサー2はX方向の位置が異なっている(図1及び図6参照)。測域センサー2からのレーザー光が検出領域Rにおいて物体によって遮断されると、測域センサー2が物体を検知する。この場合、該物体よって、投光が届かない死角となる領域が生じるため、該物体と投光方向に重なり且つ投光方向において該物体よりも測域センサー2から遠い他の物体の検知が困難になることがある。投光方向に重なる複数の物体をより確実に検知する観点から、測域センサー2を複数台備える場合、検出領域R中央の投光方向D1(以下、「中央投光方向D1」ともいう。)に直交する方向から視て、搬送ステージ20を挟んで互いの中央投光方向D1が逆向きになるように、測域センサー2が配置されることが好ましい。本実施形態では、中央投光方向D1がY方向に沿っている。この場合X方向から視て、搬送ステージ20を挟んで互いの中央投光方向D1が逆向きになるように、測域センサー2が配置されることが好ましい(図6参照)。より詳細には、一方の測域センサー2の中央投光方向D1は、Y方向の一方側に向かっており、他方の測域センサー2の中央投光方向D1は、Y方向の他方側に向かっている。中央投光方向D1は、前述の検出領域Rの中心線(図15参照)の延在方向と一致する。
【0029】
また中央投光方向D1が逆向きになるように、搬送ステージ20を挟んで両側それぞれに測域センサー2を配置する場合、中央投光方向D1と直交する方向における測域センサー2の位置が異なっていることが好ましい。例えば、中央投光方向D1がY方向に沿っている場合、搬送ステージ20を挟んで両側それぞれに配された測域センサー2は、X方向の位置が互いに異なっていることが好ましい。この場合、Y方向に沿って3個の物体が並んでいても、Y方向外方の2個の物体による投光の遮断がされ難くなり、該2個の物体に挟まれた他の物体を検知することができる。
【0030】
本実施形態の測域センサー2は、法線方向(鉛直方向Z)の位置が異なる複数のセンサー部3を備えている。すなわち、法線方向(鉛直方向Z)の位置がそれぞれ異なる検出領域Rを複数有している(図7参照)。法線方向の位置が異なるそれぞれの検出領域Rは、平面視において同形状且つ同面積である。
図7に示す測域センサー2は、法線方向において、搬送ステージ20に最も近い第1センサー部3aに対応する第1検出領域R1、該第1センサー部3aよりも搬送ステージ20から遠い第2センサー部3bに対応する第2検出領域R2、該第2センサー部3bよりも搬送ステージ20から遠い第3センサー部3cに対応する第3検出領域R3が設定されている(図7参照)。
なお図7では、説明の便宜上、搬送ステージ20と搬送体30との間を非常に大きく図示している。
【0031】
測域センサー2は、法線方向(本実施形態では鉛直方向Z)において該搬送ステージ20の上面から離れた位置を検出領域Rとする。本実施形態の検出領域Rは、搬送ステージ20の法線方向において搬送体30が浮上する領域に設定される。すなわち、検出領域Rは、法線方向において浮上している搬送体30の下面と搬送ステージ20の上面の間の空間に設定される。搬送体30が浮上する領域(以下、「浮上領域」ともいう。)は、正常に稼働した搬送装置100において磁力によって浮上する搬送体30の底面と搬送ステージ20との間の領域である。検出領域Rは、搬送ステージ20の上面と平行である。法線方向における検出領域Rの範囲は、好ましくは0.5mm以上30mm以下、より好ましくは0.5mm以上2mm以下である。当該範囲は、法線方向におけるレーザー光等の光の幅(スポット径)である。
法線方向における検出領域Rの位置は、浮上領域内であって、搬送ステージ20の上面から離れた位置に設定される。また法線方向における検出領域Rの位置は、法線方向において正常に浮上する搬送体30の底面と搬送ステージ20との間に設定される。法線方向における検出領域Rの位置は、法線方向における該領域Rに対応するセンサー部3の位置である。
また、平面視における検出領域Rは、複数のセグメント21を含む面積を有している。
【0032】
測域センサー2は、検出領域Rにおいて検知された物体の座標位置の情報を出力する。斯かる座標位置の情報は、検出領域Rにおける座標位置の情報であり、法線方向の位置が異なるセンサー部3ごとに出力される。この測域センサー2が出力する物体の座標位置を「検知座標位置」という。検知座標位置と搬送ステージ20上の位置とを対応させる観点から、搬送ステージ20を法線方向から視たとき(平面視したとき)の検出領域Rの座標位置及び座標範囲と、該搬送ステージ20の座標位置及び座標範囲とを対応させることが好ましい。これにより、位置情報と同様に、検知座標位置を、搬送ステージ20を法線方向から視たとき(平面視したとき)のX方向の位置とY方向の位置(X,Y)として示すことができる。
【0033】
監視制御部4は、ネットワークを介して、搬送装置制御部50と通信可能に接続されている。
監視制御部4は、通信モジュール11、位置情報取得部12、情報統合部13、及び異常判定部14を具備している。
通信モジュール11は、測域センサー2及び搬送装置制御部50それぞれと通信可能であり、測域センサー2が出力する検知座標位置、搬送装置制御部50からの信号、並びに搬送情報取得部52が取得した搬送体30の識別情報及び位置情報を受信する。また通信モジュール11は、異常判定部14が生成又は演算した各情報(後述する異常対応信号生成部等)を搬送装置制御部50に送信する。通信モジュール11としては、上述した搬送装置制御部50の通信モジュール51と同様の通信モジュールを用いることができる。
【0034】
位置情報取得部12は、測域センサー2が出力した検知座標位置を、測域センサー2が具備するセンサー部3の法線方向の位置と関連付けて記録する。斯かるセンサー部3の法線方向の位置は、該センサー部3に対応する検出領域Rの法線方向の位置である。本実施形態の測域センサー2は、法線方向の位置が異なる複数のセンサー部3を備えているので、検知座標位置がどのセンサー部3によって検知されたものであるのかを関連付ける。検知座標位置とセンサー部3の法線方向の位置とが関連付けられた情報を、以下、「検知情報」ともいう。このようにして、位置情報取得部12は、検知情報を取得する。
【0035】
また位置情報取得部12は、搬送ステージ20を法線方向から視たときの検出領域Rについて、検知情報を、搬送ステージ20を構成する複数の区画(単一のセグメント21又は2個以上の複数のセグメント21の集合体)毎に取得することが好ましい。これにより、検知情報、及び検知座標位置と平面視において重なる区画を把握することができる。例えば、搬送体30から搬送物5が意図せず搬送ステージ20上に落下した場合、法線方向において搬送ステージ20に最も近いセンサー部3aの検出領域R1で該搬送物5が検知される。この落下した搬送物5の検知情報に基づき、該搬送物5の落下地点を特定できるとともに、該落下地点が搬送ステージ20におけるどの区画に該当するのかを把握することができる。この場合、搬送ステージ20を法線方向から視たとき(平面視したとき)の検出領域Rの座標位置及び座標範囲と、該搬送ステージ20の座標位置及び座標範囲とを対応させることが好ましい。
【0036】
情報統合部13は、位置情報取得部12が取得した検知情報と、搬送体30の識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方を、区画毎に取得する。これにより、搬送ステージ20を法線方向から視たとき(平面視したとき)の検知情報(検知座標位置)と、搬送体30の位置情報との関係を把握することができる。すなわち搬送ステージ20を法線方向から視たときの、測域センサー2が検知した物体の位置と、搬送体30の位置との関係を把握することができる。例えば測域センサー2が検知した物体が、浮上量が不足している搬送体30である場合、検知情報の検知座標位置と、該搬送体30の実績座標位置とが一致する。また、平面視における前述の落下した搬送物5の位置が、落下が生じていない他の搬送体30の予定経路中(予定座標位置)に存するか否かを把握することができる。
本実施形態の情報統合部13は、区画毎に取得した検知情報と、搬送体30の識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方とを、搬送ステージ20上の座標位置としてマッピングし、これを統合情報として記録する。この統合情報は、監視システム10の記録部(図示せず)に保存される。
【0037】
例えば情報統合部13は、検知情報とともに、搬送体30の識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方を、単数のセグメント21からなる区画毎に取得してもよい。この場合、単数のセグメント21と単数の区画とを1対1で対応させられるので、監視制御部4又は搬送装置制御部50が行う各種の制御処理がシンプルとなる点で好ましい。
また情報統合部13は、単数のセグメント21を複数の細区画に区分し、検知情報と、搬送体30の識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方を、細区画毎に取得してもよい。この場合、検知情報の分解能をより向上できるので、後述する異常対応部54が実行する移動経路の生成又は変更の精度をより向上できる点で好ましい。
【0038】
異常判定部14は、検知情報に基づき、搬送ステージ20又は搬送体30の異常を判定する。本実施形態の異常判定部14は、検知情報を含む統合情報に基づき、搬送ステージ20又は搬送体30の異常を判定する。本実施形態の異常判定部14は、以下の事項を異常として判定する。
(1)搬送ステージ20上の障害物9の発生
(2)搬送体30の浮上量の低下
前記(1)の異常は、例えば落下した搬送物5が、搬送体30の予定経路上にある場合、該搬送物5が搬送の障害物9となり得る。また意図せず磁力が消失して搬送ステージ20上に落下した搬送体30も障害物9となり得る。前者は搬送ステージ20の異常となり、後者は搬送体30の異常となる。異常判定部14は、平面視において搬送ステージ20を少なくとも部分的に包含する検出領域R内の、前記(1)の障害物9を1箇所又は複数箇所で検知することができる。
【0039】
前記(2)の異常は、搬送体30が正常に浮上したときの浮上量(以下、「正常浮上量」ともいう。)に比して、搬送体30の浮上量が低い状態を意味する。例えば、搬送体30が具備するコイル、及び搬送ステージ20を構成する単数又は複数のセグメント21の少なくとも一方に故障又は該故障の予兆が生じると、浮上量の低下が生じ得る。すなわち前記(2)の原因には、搬送体30及び搬送ステージ20の少なくとも一方の故障の発生又はその予兆が含まれる。
異常判定部14は、検出領域Rにおいて前記(2)の異常が生じた単数若しくは複数の搬送体30又は区画を検知することができる。例えば、特定の区画で複数の搬送体30の浮上量が低下する一方で、他の区画では当該搬送体30の浮上量が正常である場合、当該特定の区画に故障又はその予兆となる不具合が生じたと考えられる。一方、特定の搬送体30が、複数の区画にわたって浮上量の低下を生じている場合は、当該特定の搬送体30が故障又はその予兆となる不具合を生じていると考えられる。
このように本実施形態の監視システム10は、前記(2)の異常を検知することで、搬送体30又は搬送ステージ20の故障又はその予兆を監視することができる。
【0040】
本実施形態の異常判定部14は、検知情報に含まれる検出領域R(センサー部3)の法線方向の位置に基づき、測域センサー2が検知した物体が、障害物9であるか否かを判断することができる。例えば、図7に示すように、法線方向の位置が異なる複数のセンサー部3のうち、搬送ステージ20に最も近い第1センサー部3aの検出領域R1により物体が検知された場合、当該物体を障害物9として判定できる。すなわち、前記(1)の異常であると判断できる。以下、第1センサー部3aに対応する検出領域R1を、「障害物検出領域」ともいう。
一方、第1センサー部3a以外のセンサー部3b,3cの検出領域R2,R3で物体が検知された場合、当該物体は搬送ステージ20から浮上していると判定でき、前記(2)の異常であると判断できる。以下、第1センサー部3a以外のセンサー部3b,3cに対応する検出領域R2,R3を、「浮上検出領域」ともいう。
【0041】
前記(1)の異常判定をより容易とする観点から、法線方向における障害物検出領域R1と搬送ステージ20との間の距離L1(図7参照)は、搬送体30が正常に浮上したときの浮上量L10に対して好ましくは1%以上25%以下、より好ましくは5%以上10%以下である。法線方向における障害物検出領域R1と搬送ステージ20との間の距離L1(図7参照)は、好ましくは0.1mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.0mm以下である。前記距離L1は、法線方向における搬送ステージ20とセンサー部3との間の最小距離であり、測域センサー2が複数のセンサー部3を備える場合は、法線方向において最も搬送ステージ20に近いセンサー部3aと搬送ステージ20との間の距離である。
【0042】
前記(2)の異常判定をより容易とする観点から、法線方向における浮上検出領域と搬送ステージ20との間の距離L2(図7参照)は、搬送体30が正常に浮上したときの浮上量L10に対して好ましくは90%以上99%以下、より好ましくは95%以上98%以下である。法線方向における浮上検出領域と搬送ステージ20との間の距離L2(図7参照)は、好ましくは1.5mm以上3.0mm以下、より好ましくは1.5mm以上2.0mm以下である。前記距離L2は、法線方向における搬送ステージ20と浮上検出領域が設定されたセンサー部3との間の距離である。測域センサー2が複数のセンサー部3を備える場合、前記距離L2は、法線方向において最も搬送ステージ20に近いセンサー部3a以外のセンサー部3b,3cと搬送ステージ20との間の距離である。
【0043】
本実施形態の浮上検出領域は、法線方向の位置が異なる複数領域R2,R3に設定されている。この場合、搬送体30の浮上量の検知精度をより向上させる観点から、法線方向の位置が異なる浮上検出領域R2,R3どうし間の距離L3(図7参照)は、好ましくは0.1mm以上2.0mm以下、より好ましくは0.5mm以上1.0mm以下である。前記距離L3は、法線方向に隣り合う浮上検出領域R2,R3間の距離である。
【0044】
本実施形態の異常判定部14は、法線方向における検出領域Rの位置の情報に基づいて、すなわち検出領域Rが障害物検出領域R1であるか浮上検出領域R2,R3であるかによって、下記表1のように異常の種類を推定できる。すなわち、前記(1)又は(2)を推定することができる。
【0045】
【表1】
【0046】
前記(1)又は(2)の異常判定をより容易にする観点から、異常判定部14は、区画毎の検知座標位置と、識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方とに基づいて、異常の種類を推定することが好ましい。
例えば、障害物検出領域R1又は浮上検出領域における検知情報(検知座標位置)と、搬送体30の位置情報とに基づき、該検出領域において検知された物体が、搬送体30であるか搬送体30以外のものであるかを推定することができる。より詳細には、検知情報の検知座標位置と搬送体30の実績位置座標とが一致している場合、搬送体30による異常であることが推定できる。また、検知情報の検知座標位置と搬送体30の実績位置座標とが一致していない場合、搬送体30以外のもの、例えば搬送物5による異常であることが推定できる。
本実施形態の異常判定部14は、法線方向における検出領域Rの位置の情報(検出領域Rが障害物検出領域R1であるか浮上検出領域であるか)に加え、区画毎の検知情報と位置情報とに基づき、下記表2のように異常の種類を推定できる。
【0047】
【表2】
【0048】
また検出領域Rにおいて複数の物体を検知し、該複数の物体が検知された区画が同一である場合、異常判定部14は、当該区画に異常が生じたことが推定できる。また、特定の区画にて搬送体30の浮上量が低下する一方、他の区画にて搬送体30の浮上量が回復した場合、当該特定の区画に異常が生じたことが推定できる。これらの異常は、前記区画を構成するセグメント21のコイルや電気系統に異常が生じたことを推定できる。斯かる異常を、「区画異常」ともいう。
区画異常の推定に関し、区画が単数のセグメント21からなると、異常が生じたセグメント21を容易に特定できる点で好ましい。
【0049】
本実施形態の異常判定部14は、推定した異常の種類の情報に基づき、該異常に対応するための信号を発する異常対応信号生成部15を備えている。異常対応信号生成部15は、異常の種類に応じて、警報の発生信号と搬送装置100に対する制御信号とを発する。
例えば、異常対応信号生成部15が警報の発生信号を発すると、監視制御部4に備えられたスピーカーを介して警報を発する。あるいは監視制御部4に備えられたディスプレイ等の表示手段に、警報情報を表示し、警報を発する。前記信号により発生される警報は、視覚的な情報であってもよく、聴覚的な情報であってもよい。
【0050】
装置100に対する制御信号は、前記(1)の障害物9の落下地点と推定される検知座標位置の情報、又は前記(2)の浮上量が低下した搬送体30の識別情報とその浮上量の情報を含む。斯かる情報を含む制御信号が搬送装置制御部50に受信されると、該制御信号に基づき、搬送装置制御部50の異常対応部54が、搬送装置100の稼働又は動作を変更する。図8に、搬送装置100の動作を変更する形態を図示する。斯かる動作は、搬送体30の移動経路(予定経路)の変更又は退避経路の設定に関する。当該移動経路の目標地点はセグメント21aに設定されている。
【0051】
例えば制御信号が前記(1)の障害物9の落下地点と推定される検知座標位置の情報を含む場合、異常対応部54が検知座標位置の情報に基づき、搬送体30の予定経路を迂回経路に変更するか、又は搬送装置100の稼働を停止するかを判断する。
異常対応部54は、検知座標位置が搬送体30の予定経路C10上にない場合は、該予定経路C10のまま搬送体30を走行させる。一方、検知座標位置が予定経路C10上にある場合は、予定経路C10を変更し、検知座標位置を避けた迂回経路C11を構築できるか否かを判断する。迂回経路C11を構築できる場合、異常対応部54は、予定経路C10の予定座標位置を迂回経路C11の座標位置に変更して、該予定経路を変更する(図8参照)。検知座標位置が他の搬送体30の予定経路に干渉する等して、該検知座標位置を避けた迂回経路を構築できない場合は、搬送装置100の稼働の停止を実行する。
【0052】
制御信号が前記(2)の搬送体30の識別情報と該搬送体30の浮上量の情報とを含む場合であって、区画異常でない場合、異常対応部54が、搬送体30の浮上量の情報に基づき、浮上量が低下した搬送体30を特定する。そして浮上量が低下した搬送体30を搬送ステージ20上の特定の箇所に退避させるか、又は退避させないで搬送を続行させるかを判断する。より詳細には、搬送体30の浮上量が極端に少ない場合は、搬送体30の目標地点を退避地点bに設定して、予定経路C13を退避経路C14に変更する(図8参照)。これにより、搬送体30の落下を予知しつつ、該落下による他の搬送体30の予定経路C12への干渉を予め防ぐことができる。この場合、退避地点bは所定の座標位置又は区画(例えば単数のセグメント21)毎に設定することができる。
また、浮上量の減少幅が搬送に影響しない程度である場合は、搬送体30の搬送を続行させる。なお、当該搬送体30について、同じ経路を繰り返し移動させるように設定されている場合、1サイクルの移動を終えて当初の移動開始地点に復帰させる代わりに、当該搬送体30を別の位置(退避地点b)に移動させ且つ待機させてもよい。浮上量が減少した搬送体30を別の位置に移動させた後、監視制御部4に備えられたディスプレイ等の表示手段に、該搬送体30を別の位置に待機させている旨の情報を表示してもよい。斯かる制御は、1サイクルの移動の終了のタイミングに代えて、搬送体30の移動経路を切り替えるタイミング、又は搬送装置100のメンテナンスのタイミングで実施してもよい。
また浮上量が減少した搬送体30又は区画異常が多数ある場合は、搬送装置100の稼働の停止を実行する。
【0053】
上述した監視システム10は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、カメラ、表示部、ユーザーが入力操作を行う入力装置等を含んで構成される。CPUは、画像表示のためのグラフィックスプロセッサ(Graphics Processing Unit(GPU))、High-Definition(HD)ビデオ等のエンコーディング及びデコーディングを行うマルチメディアプロセッサ、ディスプレイを制御するディスプレイコントローラ、及び給電及び充電を制御するためのパワーマネジメントIntegrated Circuit(IC)等を含んでもよい。監視システム10が備える表示部には、表示と操作の機能を兼ねたタッチパネル等を用いてもよい。
また監視システム10は、人為的に操作されてもよい。この場合、入力装置としては、タッチパネルやキーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス、マイクロフォン等が挙げられる。
搬送装置制御部50も、監視システム10と同様の上記構成とすることができる。
【0054】
監視システム10の各部(異常判定部14等)が行う処理は、CPUがROMやディスクなどに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより実現される。前記処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよく、ASICとFPGAの組み合わせにより実現されてもよい。
搬送装置制御部50の各部(異常対応部54等)が行う処理も、上記と同様の態様で実現される。
【0055】
本実施形態の監視システム10は、搬送装置100の動作の監視以外に、該搬送装置100を用いた生産方法の動作管理に用いることができる。
図9及び図10に示す形態では、搬送体30に載置された搬送物5である容器に対し、作業装置W2,Wが作業を行っている。
図9に示す作業装置W2は、搬送物5である容器にキャップを取り付ける取り付け装置W2である。このキャップは、内周面に螺条部が形成されており、開口部を有する容器の口首部の外周面に形成された螺条部と、螺合可能である。取り付け装置W2は、キャップを把持し且つ昇降可能な把持ハンド63を具備する。把持ハンド63に把持されたキャップの中心軸と、容器の中心軸とを重ねた状態で、搬送体30が重心を中心に回転するとともに、キャップを把持した状態の把持ハンド63が下降する。これにより、口首部とキャプとを螺合させることができる。一方、取り付け装置W2においてキャップの中心軸と、容器の中心軸とがずれた状態で、把持ハンド63が下降すると、該把持ハンド63と容器とが接触し、該ハンド63によって容器及びこれを積載する搬送体30が下方に押し込まれる。監視システム10は、把持ハンド63の押し込みに起因する搬送体30の浮上量の減少を検出領域Rによって検出することができる。これにより取り付け装置W2の動作異常を検知することができる。
また、取り付け装置W2が嵌合によりキャップを容器に取り付けるものである場合、把持ハンド63の下降により、容器及びこれを積載する搬送体30が下方に押し込まれる。特に嵌合不良時は、把持ハンド63の押し込みが過度になり易いので、該押し込みによる搬送体30の浮上量の減少を検出領域Rによって検出することができる。
【0056】
本実施形態の監視システム10は、搬送ステージ20上に設けられた支持台25上に搬送体30を移動させ、該支持台25において作業装置Wが搬送物に対し作業を行う生産方法に用いることができる。図10に示す作業装置Wは、搬送物5である容器本体の内部に内容物を充填する充填装置である。図10に示す形態では、搬送ステージ20上に支持台25が設けられており、該支持台25の上方に作業装置Wの作業部が設置されている。搬送体30は浮上量が、法線方向における第2検出領域R2の位置よりも大きい場合に、支持台25上に移動することができ、第2検出領域R2の位置に浮上量が満たない場合は、支持台25上に移動することができない。これにより監視システム10は、支持台25上で行われる作業装置Wによる作業処理の有無を、浮上量によって搬送体30毎に把握することができる。また、支持台25上での作業は、搬送体30に対し下方に押し込む力が生じる作業に好ましく適用することができる。斯かる作業としては、搬送体30上の搬送物5に対してキャップ等のパーツを下方に押し込む嵌合等が挙げられる。
なお、図10に示す形態において支持台25は、搬送装置100の磁力に影響しない材質により構成されている。
【0057】
本発明の監視システムは、上述した実施形態に限定されない。以下に、本発明に係る監視システムの別の実施形態について説明する。以下では、別の実施形態について、図1図8に示す実施形態と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、図1図8に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
【0058】
上述した実施形態の監視システム10は、搬送ステージ20に対し、異なる位置に設置された測域センサー2を複数備えている(図6参照)。この場合、平面視において複数の検出領域Rどうしを合わせた複合検出領域TRが形成される。複合検出領域TRは、複数の検出領域Rが平面視において部分的に重複してもよい。また平面視において、複合検出領域TRは、搬送ステージ20を少なくとも部分的に包含していればよい。
搬送体30が走行する領域全体に亘って測域センサー2による検出を行う観点から、搬送ステージ20を法線方向から視たとき(平面視したとき)、複合検出領域TRが、該搬送ステージ20の全域を網羅していることが好ましい。斯かる観点から、複数の測域センサー2c,2dは、搬送ステージ20の輪郭の対角線上に位置していることが好ましい〔図11(a)及び(b)参照〕。
また監視システム10は、2個超の測域センサー2を具備していてもよい〔図11(b)参照〕。この場合、例えば搬送ステージ20の輪郭の各角部近傍に、測域センサー2を配置してもよい。
【0059】
搬送体30が走行する領域全体に亘って測域センサー2による検出を行う観点から、測域センサー2は可動であってもよい。例えば、図11(c)に示すように、測域センサー2は回動可能なものであってもよく、移動可能なものであってもよい。
前者の場合、モーター等の駆動源(図示せず)によって鉛直軸回りに回動可能になされている。また後者の場合、一方向に延びるレールを備えたスライド機構7によって、該一方向に往復移動可能になされている。
【0060】
また監視システム10が測域センサー2を複数備えている場合、測域センサー2間で法線方向における検出領域Rの位置が異なっていてもよい。例えば図12に示す監視システムでは、一方の測域センサー2fの検出領域Raが、法線方向(鉛直方向Z)において他方の測域センサー2eの検出領域Rb,Rc間に位置している。
【0061】
監視システムは、測域センサー2に加えて、画像処理装置6を備えていてもよい〔図13(a)及び(b)参照〕。画像処理装置6は、カメラ等の撮像手段と、通信モジュールと、画像処理部とを備えている(図示せず)。画像処理装置6が備える通信モジュールは、監視制御部4が備える通信モジュール11と同様の構成とすることができる。
本実施形態の撮像手段は、搬送ステージ20の法線方向(鉛直方向)に離れた位置に設置されており、該搬送ステージ20上を撮像できるようになされている。撮像手段は、監視制御部4の位置情報取得部12が取得した検知座標位置の情報に基づき、該座標位置を含む領域を撮像する。
画像処理部は、撮像手段が撮像した画像について、パターンマッチング法、色面積測定等の画像処理を行い、画像に映る物体の特徴から、該物体が搬送物5であるか否かの判定、又は搬送物5の種類の判定を行う。また、画像処理部は、搬送物5に表示されたバーコード等の二次元コードを読み取ることで、前記物体が搬送物5であるか否かの判定、又は搬送物5の種類の判定を実行してもよい。
【0062】
本実施形態の監視システムは、撮像手段が撮像する領域6R(以下、「撮像領域6R」ともいう。)内に搬送体30が存在する場合〔図13(a)参照〕、画像処理部は、撮像領域6Rの座標範囲の情報を搬送装置制御部50に送信する。搬送装置制御部50の異常対応部54は、撮像領域6Rの座標範囲の情報に基づき、該撮像領域6Rから搬送体30を退避させる、又は撮像領域6R内への侵入を防止する退避信号を生成し、これを搬送ステージ20上の搬送体30に送信する。退避信号は、撮像領域6Rの座標範囲外に搬送体30を誘導するための信号である。退避信号によって、搬送体30を撮像領域6R外に移動させた後、撮像手段は撮像領域6Rを撮像する〔図13(b)参照〕。これにより、搬送体30又は該搬送体30に積載された搬送物5が画像に映りこまないので、背景との差分処理を行い易くなり、前述したパターンマッチング法等の画像処理の精度をより向上させることができる。
【0063】
次に、上述した図1図8に示す実施形態の監視システム10を用いた、搬送装置100の監視工程のフローを、図14を用いて説明する。
本実施形態の監視工程は、先ず監視システム10を稼働して、その一環として測域センサー2も起動する(ステップS1)。図14に示すフローでは、搬送装置100の稼動を省略している。搬送装置100の稼働は、ステップS1の後に行うことが好ましい。続くステップS2では、測域センサー2が検出領域Rにおける物体の有無を検知する。本実施形態の監視システム10は、X方向及びY方向からなる平面に対し、検出領域Rの範囲でレーザー光を走査する。測域センサー2による検知が無い場合、ステップS2を繰り返す。ステップS2は0.2回/秒以上10000回/秒以下の頻度で実行される。
【0064】
ステップS2において測域センサー2が物体を検知した場合、すなわち測域センサー2によって検出領域Rに物体が検知された場合、ステップS3に進む。ステップS3では、監視制御部4の異常判定部14が、区間(セグメント21)毎の検知情報(法線方向における検出領域Rの位置及び検知座標位置)の情報と、識別情報及び位置情報の何れか一方又は双方とに基づいて、異常の種類を推測する。すなわち、前記(1)の異常であるか、前記(2)の異常であるかを推測する。
ステップS3において前記(1)の異常と推測した場合、ステップS4に進む。ステップS4では、ステップS3で推定された前記(1)の異常の検知座標位置及び検出領域Rの法線方向の位置の情報に基づき、異常対応信号生成部15が警報の発生信号及び制御信号を発する。
【0065】
続くステップS5では、制御信号に基づき、検知座標位置が搬送体30の予定経路上にあるか否かを、異常対応部54が判定する。検知座標位置が予定経路上にない場合は、ステップS2に戻る。この場合、搬送体30は予定経路に沿った走行が維持される。
ステップS5において、検知座標位置が搬送体30の予定経路上にある場合は、ステップS6に進み、該検知座標位置を避けた迂回経路に変更可能か否かを搬送装置制御部50の異常対応部54が判定する。ステップS6において迂回経路に変更可能であると判定した場合は、ステップS7に進み、予定座標位置を迂回経路の座標位置に変更して、該迂回経路に変更する。これにより、搬送体30は、迂回経路に沿って走行する。そしてステップS7の後、ステップS2に戻る。
ステップS6において迂回経路に変更できない場合は、ステップS13に進み、搬送装置100の稼動を停止する。
【0066】
ステップS3において、異常の種類を前記(2)の異常と推測した場合、ステップS8に進む。ステップS8では、ステップS3で推定された前記(2)の異常の検知座標位置、搬送体30の識別情報及び位置情報に基づき、異常判定部14が区画異常であるか否かを判定する。区画異常は、測域センサー2によって複数回検知された検知情報について、これら検知座標位置が同一の区画である場合、又は特定の区画で浮上量が低下する一方、他の区画で該浮上量が回復した場合に、これを区画異常と判定することができる。ステップS8において区画異常と判定された場合、ステップS9に進み、異常対応信号生成部15が警報の発生信号と制御信号とを発信する。このステップS9の後、ステップS6に進む。ステップS6では、制御信号に基づき、異常対応部54が、区画異常と判定された区画を避けた迂回経路に変更可能か否かを判定する。このステップS6以降は、上記と同様のフローとなる。
【0067】
ステップS8において区画異常ではないと判定された場合、ステップS10に進み、異常対応信号生成部15が制御信号を発信する。続くステップS11では、制御信号を受信した異常対応部54が、浮上量が低下した搬送体30を退避させるか否かを判定する。ステップS11において搬送体30を退避させる場合、ステップS12に進む。ステップS12では、異常対応信号生成部15が、浮上量が低下した搬送体30を退避させる退避信号及び警報の発生信号を発する。このステップS12の後、ステップS2に戻る。これにより、浮上量が低下した搬送体30を退避させつつ、搬送装置100の稼働を継続する。
ステップS12では、制御信号を受信した直後のタイミングで退避信号を発してもよく、適宜のタイミングで退避信号を発してもよい。例えば、搬送体30が同じ経路を繰り返し移動させる設定になっている場合、該搬送体30が1サイクルの移動を終えたタイミングで、異常対応信号生成部15が退避信号を発してもよい。また、斯かるタイミングに代えて、搬送体30の移動経路を切り替えるタイミング、又は搬送装置100のメンテナンスのタイミングで退避信号を発してもよい。
ステップS11において搬送体30を退避させることができないと判定された場合、ステップS13に進み、搬送装置100の稼動を停止する。
【0068】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態の監視システム10は、複数台の測域センサー2を備えるものであったが、測域センサー2を1台のみ備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
2 測域センサー
3 センサー部
3a 第1センサー部
3b 第2センサー部
3c 第3センサー部
4 監視制御部
5 搬送物
6 画像処理装置
7 スライド機構
9 障害物
10 監視システム
11 通信モジュール
12 位置情報取得部
13 情報統合部
14 異常判定部
15 異常対応信号生成部
20 搬送ステージ
21 セグメント
22 セグメント本体
23 磁力発生部
23a,23b,23c,23d コイル
25 支持台
30 搬送体
31 搬送本体
33a,33b,33c,33d 磁石アレイ
35 保持部
50 搬送装置制御部
51 通信モジュール
52 搬送情報取得部
53 搬送経路生成部
63 把持ハンド
100 搬送装置
b 退避地点
C1,C2,C3,C4 経路
C10,C12,C13 予定経路
C11 迂回経路
C14 退避経路
D1 投光方向
R 検出領域
R1 第1検出領域
R2 第2検出領域
R3 第3検出領域
TR 複合検出領域
W 作業装置
W2 取り付け装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ステージと、該搬送ステージ上を移動する搬送体とを備えた搬送装置を監視する監視システムであって、
前記搬送体は、磁石を有し、
前記搬送ステージは、磁力を発生させて、前記搬送体が備える前記磁石との相互作用により、前記搬送体を該搬送ステージから該搬送ステージの法線方向に浮上させ且つ該搬送ステージ上を移動させる磁力発生部を有しており、
前記搬送ステージの法線方向において前記搬送体が浮上する領域を検出領域とする測域センサーと、
前記測域センサーの検知情報に基づき、前記搬送ステージ又は前記搬送体の異常を判定する異常判定部とを備えている、監視システム。
【請求項2】
前記搬送ステージを前記法線方向から視たときの前記検出領域について、該搬送ステージを構成する複数の区画毎に前記検知情報を取得する、請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記搬送体には、識別情報が付与されており、
前記搬送装置は、前記搬送ステージ上の前記搬送体の位置情報を取得する位置情報取得部を備えており、
前記識別情報及び前記位置情報の何れか一方又は双方と、前記検知情報とを、前記区画毎に取得する、情報統合部とを備えている、請求項2に記載の監視システム。
【請求項4】
前記異常判定部は、前記区画毎の前記検知情報と、前記識別情報及び前記位置情報の何れか一方又は双方とに基づいて、前記異常の種類を推定する、請求項3に記載の監視システム。
【請求項5】
前記測域センサーは、前記法線方向の位置が異なる複数のセンサー部を備えている、請求項1~4の何れか1項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記検知情報は、前記検出領域の前記法線方向の位置の情報を含み、
前記異常判定部は、前記検出領域の前記法線方向の位置の情報に基づいて、前記異常の種類を推定する、請求項4に記載の監視システム。
【請求項7】
前記異常の種類に応じて、警報の発生信号と、前記搬送装置の制御信号とを発する異常対応信号生成部を備えている、請求項3又は6に記載の監視システム。
【請求項8】
前記搬送ステージに対し、異なる位置に設置された前記測域センサーを複数備えており、
前記搬送ステージを前記法線方向から視たとき、複数の前記測域センサーそれぞれの前記検出領域どうしを合わせた複合検出領域が、該搬送ステージを少なくとも部分的に包含している、請求項1又は2に記載の監視システム。