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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171262
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/22 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
E02F9/22 P
E02F9/22 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088239
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】武下 達也
(72)【発明者】
【氏名】角田 志樹
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB04
2D003BA02
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
(57)【要約】
【課題】移動作業において、把持装置が対象物を把持した状態を維持することと、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることを抑制することと、を両立させる。
【解決手段】作業機械100は、第1ポンプ31と、把持シリンダ29と、把持動作を行う把持装置24と、把持操作を受ける把持操作器40と、把持装置24が把持動作を行うように把持シリンダ29に作動油の圧力が作用することを許容する把持位置に把持操作に応じて切り換わる把持制御弁61と、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態において第1ポンプ31から把持シリンダ29に向かう作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止するチェック弁71と、把持操作が単独で行われることにより把持装置24が把持動作を行った後に第1ポンプ31の吐出量を減少させる吐出抑制制御を行うコントローラ90と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油を吐出する第1ポンプと、
前記作動油の供給を受けて作動する把持シリンダと、
前記把持シリンダに駆動されて作業の対象物を把持するための把持動作を行う把持装置と、
前記把持装置に前記把持動作を行わせるための操縦者による把持操作を受ける把持操作器と、
前記第1ポンプと前記把持シリンダとの間に介在し、前記把持装置が前記把持動作を行うように前記把持シリンダに前記作動油の圧力が作用することを許容する位置である把持位置に前記把持操作に応じて切り換わる把持制御弁と、
前記把持制御弁が前記把持位置に切り換えられた状態において前記第1ポンプから前記把持シリンダに向かう前記作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止するチェック弁と、
前記把持操作が単独で行われることにより前記把持装置が前記把持動作を行った後に前記第1ポンプの吐出量を減少させる吐出抑制制御を行うコントローラと、を備える作業機械。
【請求項2】
前記コントローラは、前記吐出抑制制御において前記把持操作が単独で行われることにより前記把持装置が前記把持動作を行った後に前記第1ポンプの吐出量を最小吐出量に制御する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項3】
前記コントローラは、前記把持操作が単独で行われ、かつ、前記第1ポンプの吐出圧が所定値以上に達した場合に、前記吐出抑制制御を行う、請求項1に記載の作業機械。
【請求項4】
前記コントローラは、前記把持操作が単独で行われ、かつ、前記第1ポンプの吐出圧がリリーフ圧である状態が所定時間継続した場合に、前記吐出抑制制御を行う、請求項1に記載の作業機械。
【請求項5】
前記コントローラは、前記把持操作器に対する前記把持操作が解除された場合に前記吐出抑制制御を終了する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項6】
前記コントローラからの指令に応じた2次圧を前記把持制御弁のパイロットポートに出力可能な圧力調節弁をさらに備え、
前記コントローラは、前記吐出抑制制御において、前記把持制御弁が前記把持位置に切り換えられた状態が維持されるように前記圧力調節弁を制御する、請求項1に記載の作業機械。
【請求項7】
前記コントローラからの指令に応じた2次圧を前記把持制御弁のパイロットポートに出力可能な圧力調節弁と、
シャトル弁と、をさらに備え、
前記把持操作器は、前記把持操作の大きさに応じた2次圧を出力するリモコン弁を有し、
前記シャトル弁は、前記リモコン弁から出力される前記2次圧と前記圧力調節弁から出力される前記2次圧のうち高い方を前記パイロットポートに供給するように構成される、請求項1に記載の作業機械。
【請求項8】
前記操縦者の入力を受ける入力器をさらに備え、
前記コントローラは、前記入力器が前記入力を受けた場合には前記吐出抑制制御を行わない、請求項1に記載の作業機械。
【請求項9】
作動油を吐出する第2ポンプと、
前記第2ポンプが吐出する作動油の供給を受けて作動する第2アクチュエータと、
前記第1ポンプとタンクとを接続する油路に配置されるアンロード弁と、をさらに備え、
前記第1ポンプは、前記把持シリンダと前記把持シリンダ以外の少なくとも一つのアクチュエータとに前記作動油を供給するように構成され、
前記コントローラは、前記把持操作と、前記第2アクチュエータを作動させるための操作と、が行われる一方で、前記少なくとも一つのアクチュエータを作動させるための操作が行われない場合には、前記吐出抑制制御において前記アンロード弁の開度を絞る制御を行う、請求項1~8の何れか1項に記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業の対象物を把持するための把持動作を行う把持装置を備える作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベルなどの作業機械は、上部旋回体に支持される作業装置を備える。作業装置は、例えば、ブームと、ブームの先端に取り付けられるアームと、アームの先端に取り付けられる先端アタッチメントと、を含む。作業機械が地盤の掘削を行う場合には、先端アタッチメントとしてバケットがアームの先端に取り付けられる。また、作業機械が別の作業を行う場合には、その作業の内容に応じてバケット以外の先端アタッチメントがアームの先端に取り付けられることもある。
【0003】
特許文献1は、作業の種類に応じて予備のアタッチメントを取り付ける構造を有する作業機械の油圧回路を開示している。この特許文献1では、予備のアタッチメントとして、油圧で駆動される破砕用アタッチメントが例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9-217385号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、先端アタッチメントとして例えばグラップル、フォーク、ニブラなどの把持装置を備える作業機械は、把持装置が対象物を把持する把持作業と、把持装置が対象物を把持した状態で当該対象物を運搬車の荷台などの移動先の真上に移動させる移動作業と、をこの順に行う。この場合、把持作業において把持装置が対象物を把持すると、把持装置を動かすためのアクチュエータである把持シリンダの作動圧が高くなる。そして、把持作業の後に行われる移動作業において対象物が把持装置によって把持された状態が解除されないようにするためには、移動作業中においても把持シリンダの作動圧が高い状態、すなわち、ポンプ圧が高い状態を維持する必要がある。すなわち、この移動作業では、ポンプ圧が高い状態を維持しながら、ブームシリンダ、アームシリンダなどの他のアクチュエータを動かす必要がある。従って、移動作業が開始される時点において、高いポンプ圧が他のアクチュエータに作用するため、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなりやすい。このことは、作業機械の操作性を悪化させる原因となる。
【0006】
本開示は、対象物が把持装置によって把持された状態で当該対象物を移動させる移動作業において、把持装置が対象物を把持した状態を維持することと、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることを抑制することと、を両立できる作業機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
提供される作業機械は、作動油を吐出する第1ポンプと、前記作動油の供給を受けて作動する把持シリンダと、前記把持シリンダに駆動されて作業の対象物を把持するための把持動作を行う把持装置と、前記把持装置に前記把持動作を行わせるための操縦者による把持操作を受ける把持操作器と、前記第1ポンプと前記把持シリンダとの間に介在し、前記把持装置が前記把持動作を行うように前記把持シリンダに前記作動油の圧力が作用することを許容する位置である把持位置に前記把持操作に応じて切り換わる把持制御弁と、前記把持制御弁が前記把持位置に切り換えられた状態において前記第1ポンプから前記把持シリンダに向かう前記作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止するチェック弁と、前記把持操作が単独で行われることにより前記把持装置が前記把持動作を行った後に前記第1ポンプの吐出量を減少させる吐出抑制制御を行うコントローラと、を備える。
【0008】
この作業機械では、操縦者が把持操作器に対して把持操作を単独で与えると、把持制御弁が把持位置に切り換わることにより把持シリンダに作動油の圧力が作用して把持装置が把持動作を行い、これにより、対象物が把持装置に把持される。この状態、すなわち、把持制御弁が把持位置に切り換えられた状態では、チェック弁は、第1ポンプから把持シリンダに向かう作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れ、すなわち、把持シリンダから前記反対方向への作動油の流出を阻止するので、把持装置が把持動作とは反対の向きに動作することを阻止することができる。従って、把持操作が単独で行われることにより把持装置が把持動作を行った後に、コントローラが第1ポンプの吐出量を減少させる吐出抑制制御を行うことで第1ポンプの吐出圧であるポンプ圧が低下しても、把持装置が対象物を把持した状態が維持される。このことは、第1ポンプの吐出圧を低下させた状態で移動作業を開始することを可能にするので、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることが抑制される。よって、この作業機械は、対象物が把持装置によって把持された状態で当該対象物を移動させる移動作業において、把持装置が対象物を把持した状態を維持することと、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることを抑制することと、を両立できる。
【0009】
前記コントローラは、前記吐出抑制制御において前記把持操作が単独で行われることにより前記把持装置が前記把持動作を行った後に前記第1ポンプの吐出量を最小吐出量に制御することが好ましい。この構成は、第1ポンプの吐出量が最小吐出量に制御されることで第1ポンプの吐出圧を極力低減させた状態で移動作業を開始することを可能にするので、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることがより効果的に抑制される。
【0010】
前記コントローラは、前記把持操作が単独で行われ、かつ、前記第1ポンプの吐出圧が所定値以上に達した場合に、前記吐出抑制制御を行うことが好ましい。この構成は、吐出抑制制御を行うか否かを判定するための条件として、把持操作が単独で行われることだけでなく、第1ポンプの吐出圧が所定値以上に達することをさらに含む。従って、この構成では、第1ポンプの吐出圧が所定値以上に達した状態、すなわち、把持装置が対象物をより確実に把持した状態で移動作業を開始することができる。
【0011】
前記コントローラは、前記把持操作が単独で行われ、かつ、前記第1ポンプの吐出圧がリリーフ圧である状態が所定時間継続した場合に、前記吐出抑制制御を行うことが好ましい。この構成は、吐出抑制制御を行うか否かを判定するための条件として、把持操作が単独で行われることだけでなく、第1ポンプの吐出圧がリリーフ圧である状態が所定時間継続することをさらに含む。従って、この構成では、第1ポンプの吐出圧がリリーフ圧である状態が所定時間継続した状態、すなわち、把持装置が対象物をより確実に把持した状態で移動作業を開始することができる。
【0012】
前記コントローラは、前記把持操作器に対する前記把持操作が解除された場合に前記吐出抑制制御を終了することが好ましい。この構成は、吐出抑制制御を終了する条件として、把持操作が解除されることを含むので、操縦者は、把持操作を解除するという自らの意思で吐出抑制制御を終了させることができる。これにより、操縦者は、その後に行われる別の作業のための操作をスムーズに開始することができる。
【0013】
前記作業機械は、前記コントローラからの指令に応じた2次圧を前記把持制御弁のパイロットポートに出力可能な圧力調節弁をさらに備え、前記コントローラは、前記吐出抑制制御において、前記把持制御弁が前記把持位置に切り換えられた状態が維持されるように前記圧力調節弁を制御することが好ましい。この構成では、コントローラからの指令に応じて把持制御弁が把持位置に切り換えられた状態が維持されるので、把持装置が把持動作を行った後には、操縦者は把持操作器に対して把持操作を与え続けなくてよい。これにより、移動作業における操縦者の負担が軽減される。
【0014】
前記作業機械は、前記コントローラからの指令に応じた2次圧を前記把持制御弁のパイロットポートに出力可能な圧力調節弁と、シャトル弁と、をさらに備え、前記把持操作器は、前記把持操作の大きさに応じた2次圧を出力するリモコン弁を有し、前記シャトル弁は、前記リモコン弁から出力される前記2次圧と前記圧力調節弁から出力される前記2次圧のうち高い方を前記パイロットポートに供給するように構成されることが好ましい。この構成では、把持装置が把持動作を行った後、操縦者が把持操作器に対して把持操作を与え続けている場合には、リモコン弁の2次圧が把持制御弁のパイロットポートに供給され、把持制御弁が把持位置に切り換えられた状態が維持される。また、把持装置が把持動作を行った後、操縦者が把持操作器に対する把持操作を解除した場合であっても、コントローラからの指令に応じて把持制御弁が把持位置に切り換えられた状態を維持することが可能になる。従って、この構成では、操縦者は、自分の好みに応じて、移動作業において把持操作器に対して把持操作を与え続けるか否かを選択できる。
【0015】
前記作業機械は、前記操縦者の入力を受ける入力器をさらに備え、前記コントローラは、前記入力器が前記入力を受けた場合には前記吐出抑制制御を行わないことが好ましい。この構成では、操縦者の意志により吐出抑制制御の実行の有無が選択される。具体的には例えば、把持動作において最大の把持力を必要とする場合には、吐出抑制制御を行わないことを操縦者は自らの意志で選択できる。
【0016】
前記作業機械は、作動油を吐出する第2ポンプと、前記第2ポンプが吐出する作動油の供給を受けて作動する第2アクチュエータと、前記第1ポンプとタンクとを接続する油路に配置されるアンロード弁と、をさらに備え、前記第1ポンプは、前記把持シリンダと前記把持シリンダ以外の少なくとも一つのアクチュエータとに前記作動油を供給するように構成され、前記コントローラは、前記把持操作と、前記第2アクチュエータを作動させるための操作と、が行われる一方で、前記少なくとも一つのアクチュエータを作動させるための操作が行われない場合には、前記吐出抑制制御において前記アンロード弁の開度を絞る制御を行うことが好ましい。この構成では、上記のような場合においても、アンロード弁の開度が絞られることによって把持装置が対象物を把持した状態が維持されるような圧力を把持シリンダに作用させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本開示によれば、対象物が把持装置によって把持された状態で当該対象物を移動させる移動作業において、把持装置が対象物を把持した状態を維持することと、移動作業の開始時におけるブーム、アームなどの部材の動作速度が大きくなることを抑制することと、を両立できる作業機械が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本開示の実施形態に係る作業機械を示す側面図である。
図2】第1実施形態に係る作業機械における油圧回路及びコントローラを示す図である。
図3】第1実施形態に係る作業機械のコントローラが行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
図4】第2実施形態に係る作業機械における油圧回路及びコントローラを示す図である。
図5】第2実施形態に係る作業機械のコントローラが行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
図6】第2実施形態の変形例1に係る作業機械における油圧回路及びコントローラを示す図である。
図7】第2実施形態の変形例1に係る作業機械のコントローラが行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態の変形例2に係る作業機械における油圧回路及びコントローラを示す図である。
図9】第2実施形態の変形例2に係る作業機械のコントローラが行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本開示の実施形態を図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る作業機械100を示す側面図である。
【0020】
作業機械100は、地面Gを走行可能な下部走行体10と、下部走行体10の上に上下方向の軸回りに旋回可能となるように支持される上部旋回体12と、上部旋回体12に支持される作業装置14と、を備える。下部走行体10は、図略の走行フレームと、走行フレームの左側部分及び右側部分にそれぞれ支持される左右のクローラ走行装置11L,11Rと、を有する。左右のクローラ走行装置11L,11Rは、走行モータ25L,25Rを有する。上部旋回体12は、運転室であるキャブ16と、機械室18と、を有する。
【0021】
作業装置14は、ブーム20と、アーム22と、把持装置24と、を含む。ブーム20は、上部旋回体12に対して上下に回動可能となるように上部旋回体12に取り付けられる基端部と、その反対側の先端部と、を有する。アーム22は、ブーム20に対して回動可能となるようにブーム20の先端部に取り付けられる基端部と、その反対側の先端部と、を有する。
【0022】
図1に示す具体例では、把持装置24は、グラップルである。把持装置24は、アーム22の先端部に取付けられる先端アタッチメントである。把持装置24は、開閉動作を行う。この開閉動作は、作業現場において作業の対象物を把持するための把持動作と、把持された対象物を解放するための解放動作と、を含む。対象物としては、例えば、木材、廃材、建築資材などを例示できるが、これらに限られない。
【0023】
把持装置24は、支持部241と、支持部241の下端部から下方に延びる複数の把持爪242と、を有する。複数の把持爪242は、開閉動作を行うことが可能なように支持部241に支持されている。本実施形態では、把持装置24は、4つの把持爪242を有するが、これに限られず、例えば2つ又は3つの把持爪242のみを有していてもよく、5つ以上の把持爪242を有していてもよい。
【0024】
支持部241は、アーム22の先端部に設けられたアームトップピン22Pを中心に回動可能に支持されている。支持部241とアーム22とはリンク部28Aを介して連結されている。このリンク部28Aには、後述する先端アタッチメントシリンダ28のシリンダロッドの先端部が連結されている。把持装置24は先端アタッチメントシリンダ28のシリンダロッドの伸縮動作に伴ってアーム22に対して回動し、これにより、アーム22に対する把持装置24の傾斜角度が調節される。
【0025】
複数の把持爪242は、図1において実線で示される閉位置と、図1において二点鎖線で示される開位置との間で変位することが可能である。把持動作は、複数の把持爪242が開位置から閉位置に変位することを含む動作である。解放動作は、複数の把持爪242が閉位置から開位置に変位することを含む動作である。
【0026】
[第1実施形態]
図2は、本開示の第1実施形態に係る作業機械100における油圧回路及びコントローラ90を示す図である。図1及び図2に示すように、作業機械100は、複数の油圧アクチュエータと、複数の油圧ポンプと、複数の操作器と、複数の制御弁と、チェック弁71と、リリーフ弁72,73と、複数のセンサと、を備える。図2に示す油圧回路は、コントローラ90に電気的に接続されている。この油圧回路は、複数の操作器に与えられる操縦者による操作及びコントローラ90からの指令に基づいて複数の油圧アクチュエータに作動油を供給しかつその供給の方向及び流量を制御する。
【0027】
複数の油圧アクチュエータは、ブーム20を起伏させるためのブームシリンダ26と、アーム22を回動させるためのアームシリンダ27と、先端アタッチメントとしての把持装置24を回動させるための先端アタッチメントシリンダ28と、少なくとも一つの把持シリンダ29と、上部旋回体12を旋回させるための旋回モータ30と、右走行モータ25Rと、左走行モータ25Lと、を含む。なお、図1において右走行モータ25Rは左走行モータ25Lの奥側に位置する。
【0028】
ブームシリンダ26、アームシリンダ27、先端アタッチメントシリンダ28及び把持シリンダ29のそれぞれは、ボトム室とロッド室とを有する。旋回モータ30、右走行モータ25R及び左走行モータ25Lのそれぞれは、一対のポートを有する。
【0029】
ブームシリンダ26は、ボトム室に作動油が供給されることにより伸長してブーム20を起立方向であるブーム上げ方向に動かすとともにロッド室から作動油を排出する。ブームシリンダ26は、ロッド室に作動油が供給されることにより収縮してブーム20を倒伏方向であるブーム下げ方向に動かすとともにボトム室から作動油を排出する。
【0030】
アームシリンダ27は、ボトム室に作動油が供給されることにより伸長してアーム22をアーム引き方向に動かすとともにロッド室から作動油を排出する。アームシリンダ27は、ロッド室に作動油が供給されることにより収縮してアーム22をアーム押し方向に動かすとともにボトム室から作動油を排出する。アーム引き方向は、アーム22がブーム20に近づく方向であり、アーム押し方向は、アーム22がブーム20から離れる方向である。
【0031】
先端アタッチメントシリンダ28は、ボトム室に作動油が供給されることにより伸長して把持装置24を先端アタッチメント引き方向に動かすとともにロッド室から作動油を排出する。先端アタッチメントシリンダ28は、ロッド室に作動油が供給されることにより収縮して把持装置24を先端アタッチメント押し方向に動かすとともにボトム室から作動油を排出する。先端アタッチメント引き方向は、把持装置24がブーム20に近づく方向であり、先端アタッチメント押し方向は、把持装置24がブーム20から離れる方向である。
【0032】
前記少なくとも一つの把持シリンダ29は、把持装置24の複数の把持爪242を開閉動作させるための油圧アクチュエータである。本実施形態では、前記少なくとも一つの把持シリンダ29は、複数の把持シリンダ29を含む。具体的には例えば、前記少なくとも一つの把持シリンダ29は、4つの把持爪242に対応する4つの把持シリンダ29を含んでいてもよい。ただし、前記少なくとも一つの把持シリンダ29は、一つの把持シリンダ29のみを含んでいてもよい。この場合、一つの把持シリンダ29が複数の把持爪242を動かすように構成されていてもよい。複数の把持シリンダ29は互いに同じ構造を有するので、図2では、一つの把持シリンダ29のみが図示され、他の把持シリンダ29の図示は省略されている。以下では、複数の把持シリンダ29のうち、主として一つの把持シリンダ29の機能、動作等について説明するが、残りの把持シリンダ29の機能、動作等についても以下に説明するものと同様である。
【0033】
図2に示すように、把持シリンダ29は、ボトム室29aとロッド室29bとを有する。把持シリンダ29は、ボトム室29aに作動油が供給されることにより伸長して把持装置24に把持動作を行わせるとともにロッド室29bから作動油を排出する。把持シリンダ29は、ロッド室29bに作動油が供給されることにより収縮して把持装置24に解放動作を行わせるとともにボトム室29aから作動油を排出する。
【0034】
旋回モータ30は、一対のポートのうちの一方のポートに作動油が供給され、他方のポートから作動油を排出することにより上部旋回体12を下部走行体10に対して右旋回させる。旋回モータ30は、一対のポートのうちの他方のポートに作動油が供給され、一方のポートから作動油を排出することにより上部旋回体12を下部走行体10に対して左旋回させる。
【0035】
右走行モータ25R及び左走行モータ25Lは、それぞれ、作動油の供給を受けて回転し、右クローラ走行装置11R及び左クローラ走行装置11Lを前進方向又は後進方向に動かす。具体的に、右走行モータ25R及び左走行モータ25Lは、一対のポートのうちの一方のポートに作動油が供給され、他方のポートから作動油を排出することにより右クローラ走行装置11R及び左クローラ走行装置11Lを前進方向に動かす。右走行モータ25R及び左走行モータ25Lは、一対のポートのうちの他方のポートに作動油が供給され、一方のポートから作動油を排出することにより右クローラ走行装置11R及び左クローラ走行装置11Lを後進方向に動かす。
【0036】
複数の油圧ポンプは、第1ポンプ31と、第2ポンプ32と、パイロットポンプ33と、を含む。これらのポンプ31,32,33のそれぞれは、図略のエンジンなどの駆動源によって駆動され、タンク内の油を吐出する。
【0037】
複数の油圧アクチュエータのそれぞれは、第1ポンプ31及び第2ポンプ32の少なくとも一方が吐出する作動油の供給を受けて作動する。本実施形態では、第1ポンプ31及び第2ポンプ32のそれぞれは、可変容量型の油圧ポンプである。第1ポンプ31及び第2ポンプ32のそれぞれは、傾転(傾転角)を調整するためのレギュレータを有する。第1ポンプ31及び第2ポンプ32のそれぞれの容量(ポンプ容量)は、コントローラ90からレギュレータに入力されるポンプ容量指令に応じて調節される。
【0038】
パイロットポンプ33は、複数の制御弁にパイロット圧を供給するためのパイロット油を吐出する。
【0039】
複数の操作器は、ブーム操作器と、アーム操作器と、先端アタッチメント操作器と、旋回操作器と、左走行操作器と、右走行操作器と、把持操作器40と、を含む。複数の操作器のそれぞれは、操縦者の操作を受けることが可能な操作レバー、操作ペダルなどの操作部と、操作部に与えられる操作に応じた2次圧を出力するリモコン弁と、を有する。なお、図2では、複数の操作器のうち把持操作器40以外の操作器の図示は省略されている。
【0040】
複数の制御弁は、ブーム制御弁51と、ブーム上げ2速制御弁52と、第1アーム制御弁53と、第2アーム制御弁54と、先端アタッチメント制御弁55と、旋回制御弁56と、左走行制御弁57と、右走行制御弁58と、走行切換弁59と、回生制御弁60と、把持制御弁61と、を含む。ブーム制御弁51、第1アーム制御弁53、第2アーム制御弁54、先端アタッチメント制御弁55、旋回制御弁56、左走行制御弁57、及び、右走行制御弁58のそれぞれは、一対のパイロットポートを有するパイロット操作式の3位置方向切換弁である。
【0041】
ブーム制御弁51は、第2ポンプ32とブームシリンダ26との間に介在し、第2ポンプ32からブームシリンダ26に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。第1アーム制御弁53は、第1ポンプ31とアームシリンダ27との間に介在し、第1ポンプ31からアームシリンダ27に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。第2アーム制御弁54は、第2ポンプ32とアームシリンダ27との間に介在し、第2ポンプ32からアームシリンダ27に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。先端アタッチメント制御弁55は、第2ポンプ32と先端アタッチメントシリンダ28との間に介在し、第2ポンプ32から先端アタッチメントシリンダ28に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。
【0042】
旋回制御弁56は、第1ポンプ31と旋回モータ30との間に介在し、第1ポンプ31から旋回モータ30に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。左走行制御弁57は、第2ポンプ32と左走行モータとの間に介在し、第2ポンプ32から左走行モータに供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。右走行制御弁58は、第1ポンプ31と右走行モータとの間に介在し、第1ポンプ31から右走行モータに供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。
【0043】
ブーム上げ2速制御弁52は、第1ポンプ31とブームシリンダ26との間に介在するブーム増速制御弁であり、第1ポンプ31から吐出される作動油の一部が第2ポンプ32から吐出される作動油と合流してブームシリンダ26のボトム室に供給されることを許容するように開弁動作する。
【0044】
走行切換弁59は、第1ポンプ31からの作動油が左走行モータ及び右走行モータに供給されることを許容する走行直進位置と、第1ポンプ31からの作動油が右走行モータに供給されることを許容する一方で左走行モータに供給されることを阻止する位置と、の間で切り換わることが可能なように構成される。
【0045】
回生制御弁60は、ブームシリンダ26から排出される作動油がアームシリンダ27及び/又は旋回モータ30に供給されることを許容する回生位置と、ブームシリンダ26から排出される作動油がアームシリンダ27及び/又は旋回モータ30に供給されることを阻止する位置と、の間で切り換わることが可能なように構成される。
【0046】
把持制御弁61は、第1ポンプ31と把持シリンダ29との間に介在し、第1ポンプ31から把持シリンダ29に供給される作動油の方向及び流量を制御するように開弁動作する。
【0047】
ブーム操作器の操作部は、操縦者によるブーム操作(ブーム上げ操作又はブーム下げ操作)を受けることが可能な操作レバーである。ブーム操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33とブーム制御弁51との間に介在する。ブーム操作器の操作レバーがブーム下げ操作を受けると、ブーム操作器のリモコン弁は、ブーム下げ操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、ブーム制御弁51の一対のパイロットポートのうちブーム下げ操作に対応するパイロットポートに入力される。これにより、ブーム制御弁51のスプールがブーム下げ操作に応じた方向にブーム下げ操作に応じたストロークでシフトし、ブーム制御弁51は、第2ポンプ32からの作動油がブームシリンダ26のロッド室に供給されることを許容するように開弁動作する。なお、ブーム操作器の操作レバーがブーム下げ操作を受けると、回生制御弁60が回生位置に切り換えられることにより、ブームシリンダ26から排出される作動油がアームシリンダ27及び/又は旋回モータ30に供給されてもよい。
【0048】
ブーム操作器の操作レバーがブーム上げ操作を受けると、ブーム操作器のリモコン弁は、ブーム上げ操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、ブーム制御弁51の一対のパイロットポートのうちブーム上げ操作に対応するパイロットポートに入力されるとともに、ブーム上げ2速制御弁52のパイロットポートに入力される。これにより、ブーム制御弁51のスプールがブーム上げ操作に応じた方向にブーム上げ操作に応じたストロークでシフトし、ブーム制御弁51は、第2ポンプ32からの作動油がブームシリンダ26のボトム室に供給されることを許容するように開弁動作し、ブーム上げ2速制御弁52は、第1ポンプ31からの作動油が第2ポンプ32からの作動油と合流してブームシリンダ26のボトム室に供給されることを許容するように開弁動作する。
【0049】
アーム操作器の操作部は、操縦者によるアーム操作(アーム引き操作又はアーム押し操作)を受けることが可能な操作レバーである。アーム操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33と第1アーム制御弁53との間に介在するとともに、パイロットポンプ33と第2アーム制御弁54との間に介在し、アーム操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、第1アーム制御弁53の一対のパイロットポートのうち、アーム操作(アーム引き操作又はアーム押し操作)に対応するパイロットポートに入力されるとともに、第2アーム制御弁54の一対のパイロットポートのうち、アーム操作(アーム引き操作又はアーム押し操作)に対応するパイロットポートに入力される。これにより、第1アーム制御弁53及び第2アーム制御弁54のそれぞれのスプールがアーム操作に応じた方向にアーム操作に応じたストロークでシフトし、第1アーム制御弁53は、第1ポンプ31からの作動油がアームシリンダ27に供給されることを許容するように開弁動作し、第2アーム制御弁54は、第2ポンプ32からの作動油がアームシリンダ27に供給されることを許容するように開弁動作する。
【0050】
先端アタッチメント操作器の操作部は、操縦者による先端アタッチメント操作(引き操作又は押し操作)を受けることが可能な操作レバーである。先端アタッチメント操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33と先端アタッチメント制御弁55との間に介在し、先端アタッチメント操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、先端アタッチメント制御弁55の一対のパイロットポートのうち、先端アタッチメント操作(引き操作又は押し操作)に対応するパイロットポートに入力される。これにより、先端アタッチメント制御弁55のスプールが先端アタッチメント操作に応じた方向にブーム操作に応じたストロークでシフトし、先端アタッチメント制御弁55は、第2ポンプ32からの作動油が先端アタッチメントシリンダ28に供給されることを許容するように開弁動作する。
【0051】
旋回操作器の操作部は、操縦者による旋回操作(左旋回操作又は右旋回操作)を受けることが可能な操作レバーである。旋回操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33と旋回制御弁56との間に介在し、旋回操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、旋回制御弁56の一対のパイロットポートのうち、旋回操作(左旋回操作又は右旋回操作)に対応するパイロットポートに入力される。これにより、旋回制御弁56のスプールが旋回操作に応じた方向に旋回操作に応じたストロークでシフトし、旋回制御弁56は、第1ポンプ31からの作動油が旋回モータ30に供給されることを許容するように開弁動作する。
【0052】
左走行操作器の操作部は、操縦者による左走行操作(左前進操作又は左後進操作)を受けることが可能な操作レバー及び/又は操作ペダルである。左走行操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33と左走行制御弁57との間に介在し、左走行操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、左走行制御弁57の一対のパイロットポートのうち、左走行操作に対応するパイロットポートに入力される。これにより、左走行制御弁57のスプールが左走行操作に応じた方向に左走行操作に応じたストロークでシフトし、左走行制御弁57は、第2ポンプ32からの作動油が左走行モータに供給されることを許容するように開弁動作する。
【0053】
右走行操作器の操作部は、操縦者による右走行操作(右前進操作又は右後進操作)を受けることが可能な操作レバー及び/又は操作ペダルである。右走行操作器のリモコン弁は、パイロットポンプ33と右走行制御弁58との間に介在し、右走行操作に応じた2次圧を出力する。当該2次圧は、右走行制御弁58の一対のパイロットポートのうち、右走行操作に対応するパイロットポートに入力される。これにより、右走行制御弁58のスプールが右走行操作に応じた方向に右走行操作に応じたストロークでシフトし、右走行制御弁58は、第1ポンプ31からの作動油が右走行モータに供給されることを許容するように開弁動作する。
【0054】
把持操作器40の操作部である把持操作部41は、操縦者による操作(把持操作又は解放操作)を受けることが可能な操作ペダルである。把持操作部41は、操縦者による操作を受けることが可能な操作レバーであってもよい。把持操作器40のリモコン弁42は、パイロットポンプ33と把持制御弁61との間に介在し、把持操作部41に与えられる操作に応じた2次圧を出力する。
【0055】
具体的には、把持操作器40の把持操作部41が把持操作を受けると、把持操作器40のリモコン弁42は、把持制御弁61の一方のパイロットポートである把持パイロットポート(図2では左側のパイロットポート)に油路PL1を介して2次圧を供給し、把持制御弁61は、中立位置(図2では中央の位置)から把持位置(図2では左側の位置)に切り換わる。把持位置は、把持装置24が把持動作を行うように把持シリンダ29に対して第1ポンプ31からの作動油の圧力が作用することを把持制御弁61が許容する位置である。把持制御弁61が把持位置に切り換わると、第1ポンプ31からの作動油は、油路L1、把持制御弁61及び油路L2を介して把持シリンダ29のボトム室29aに供給され、把持シリンダ29のロッド室29bから作動油が油路L3に排出される。これにより、把持シリンダ29が伸長して把持装置24が把持動作を行う。油路L3に排出された作動油は、把持制御弁61及びタンク油路TLを介してタンクに戻る。タンク油路TLには背圧弁70が設けられていてもよい。
【0056】
一方、把持操作器40の把持操作部41が解放操作を受けると、把持操作器40のリモコン弁42は、把持制御弁61の他方のパイロットポートである解放パイロットポート(図2では右側のパイロットポート)に油路PL2を介して2次圧を供給し、把持制御弁61は、中立位置から解放位置(図2では右側の位置)に切り換わる。解放位置は、把持装置24が解放動作を行うように把持シリンダ29に対して第1ポンプ31からの作動油の圧力が作用することを把持制御弁61が許容する位置である。把持制御弁61が解放位置に切り換わると、第1ポンプ31からの作動油は、油路L1、把持制御弁61及び油路L3を介して把持シリンダ29のロッド室29bに供給され、把持シリンダ29のボトム室29aから作動油が油路L2に排出される。これにより、把持シリンダ29が収縮して把持装置24が解放動作を行う。油路L2に排出された作動油は、把持制御弁61及びタンク油路TLを介してタンクに戻る。
【0057】
チェック弁71は、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態において第1ポンプ31から油路L1を通じて把持シリンダ29のボトム室29aに向かう作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止する。すなわち、チェック弁71は、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態において把持シリンダ29のボトム室29aの作動油が油路L1に排出されることを阻止する。チェック弁71は、第1ポンプ31と把持制御弁61とを接続する油路L1に配置されている。
【0058】
また、チェック弁71は、把持制御弁61が解放位置に切り換えられた状態において第1ポンプ31から油路L1を通じて把持シリンダ29のロッド室29bに向かう作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止する。
【0059】
リリーフ弁72は、把持シリンダ29のボトム室29aに作用する作動油の圧力が所定のリリーフ圧(把持リリーフ圧)に達すると、油路L2を流れる作動油の一部又は全部を、タンク油路TLを介してタンクに逃がす。これにより、第1ポンプ31の吐出圧(ポンプ圧)、及び、把持シリンダ29のボトム室29aの圧力は、把持リリーフ圧に維持される。リリーフ弁72は、油路L2とタンク油路TLとをつなぐ第1リリーフ油路RL1に配置されている。リリーフ弁72における把持リリーフ圧は、把持装置24が把持位置にある状態を維持することが可能な大きさに設定される。
【0060】
リリーフ弁73は、把持シリンダ29のロッド室29bに作用する作動油の圧力が所定のリリーフ圧(解放リリーフ圧)に達すると、油路L3を流れる作動油の一部又は全部を、タンク油路TLを介してタンクに逃がす。これにより、第1ポンプ31の吐出圧(ポンプ圧)、及び、把持シリンダ29のロッド室29bの圧力は、解放リリーフ圧に維持される。リリーフ弁73は、油路L3とタンク油路TLとをつなぐ第2リリーフ油路RL2に配置されている。リリーフ弁73における解放リリーフ圧は、把持装置24が解放位置にある状態を維持することが可能な大きさに設定される。
【0061】
複数のセンサは、第1ポンプ31の吐出圧(ポンプ圧)を検出するポンプ圧センサ81と、複数の操作器のリモコン弁が出力する2次圧を検出する複数のパイロット圧センサと、を含む。複数のパイロット圧センサは、図2に示すように把持操作器40のリモコン弁42が出力する2次圧を検出するパイロット圧センサ82を含む。パイロット圧センサ82は、把持操作器40のリモコン弁42と把持制御弁61の把持パイロットポートとをつなぐ油路PL1における作動油の圧力を検出する。なお、複数のパイロット圧センサのうちパイロット圧センサ82以外のパイロット圧センサの図示は省略されている。複数のセンサのそれぞれが検出する検出結果は、コントローラ90に入力される。
【0062】
コントローラ90は、CPU、MPUなどの演算処理装置と、メモリと、を備えるコンピュータを含む。コントローラ90は、作業機械100の動作を制御する。
【0063】
コントローラ90は、把持操作が単独で行われることにより把持装置24が把持動作を行った後に第1ポンプ31の傾転を小さくするように制御することで第1ポンプ31の吐出量を減少させる吐出抑制制御を行う。
【0064】
この作業機械100では、操縦者が把持操作器40に対して把持操作を単独で与えると、把持制御弁61が把持位置に切り換わることにより把持シリンダ29のボトム室29aに作動油の圧力が作用して把持装置24が把持動作を行い、これにより、対象物が把持装置24に把持される。この状態、すなわち、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態では、チェック弁71は、第1ポンプ31からの作動油が油路L1を通じて把持シリンダ29のボトム室29aに向かう作動油の流れを許容する一方でその反対方向の流れを阻止する。すなわち、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態では、チェック弁71は、把持シリンダ29のボトム室29aの作動油が前記反対方向に流れて油路L1に流出するのを阻止するので、把持装置24が把持動作とは反対の向きに動作することを阻止すること、すなわち、把持装置24が解放動作を行うことを阻止することができる。従って、把持操作が単独で行われることにより把持装置24が把持動作を行った後に、コントローラ90が第1ポンプ31の吐出量を減少させる吐出抑制制御を行うことで第1ポンプ31の吐出圧であるポンプ圧が低下しても、把持装置24が対象物を把持した状態が維持される。このことは、対象物が把持装置24によって把持された状態で当該対象物を移動させる移動作業を第1ポンプ31の吐出圧を低下させた状態で開始することを可能にする。例えば、移動作業の開始時に操縦者がアーム操作(例えばアーム引き操作)を行う場合、第1ポンプ31からの作動油の供給を受けるアームシリンダ27には、移動作業の開始時において減少後の第1ポンプ31の吐出圧が作用するので、第1ポンプ31の吐出圧を減少させない場合と比較して、移動作業の開始時におけるアーム22の動作速度が大きくなることが抑制される。第1ポンプ31からの作動油の供給を受ける他の油圧アクチュエータを作動させるための操作を操縦者が移動作業の開始時に行う場合も、これと同様である。よって、この作業機械100は、対象物が把持装置24によって把持された状態で当該対象物を移動させる移動作業において、把持装置24が対象物を把持した状態を維持することと、移動作業の開始時におけるアーム22などの部材の動作速度が大きくなることを抑制することと、を両立できる。
【0065】
本実施形態では、操縦者は、把持操作器40の把持操作部41に対して把持操作(例えば最大操作量での把持操作)を与え続けることにより、移動作業中に把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態を維持することができる。
【0066】
コントローラ90は、吐出抑制制御において把持操作が単独で行われることにより把持装置24が把持動作を行った後に第1ポンプ31の傾転を最小傾転とすることにより第1ポンプ31の吐出量を最小吐出量に制御することが好ましい。吐出抑制制御において第1ポンプ31の吐出量が最小吐出量に制御されることで第1ポンプ31の吐出圧を極力低減させた状態で移動作業を開始することを可能になる。これにより、移動作業の開始時におけるアーム22などの部材の動作速度が大きくなることがより効果的に抑制される。
【0067】
コントローラ90は、把持操作が単独で行われ、かつ、第1ポンプ31の吐出圧が所定値以上に達した場合に、吐出抑制制御を行うことが好ましい。この場合、吐出抑制制御を行うか否かを判定するための条件は、把持操作が単独で行われることだけでなく、第1ポンプ31の吐出圧が所定値以上に達することをさらに含む。従って、第1ポンプ31の吐出圧が所定値以上に達した状態、すなわち、把持装置24が対象物をより確実に把持した状態で移動作業を開始することができる。
【0068】
コントローラ90は、把持操作が単独で行われ、かつ、第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続した場合に、吐出抑制制御を行うことが好ましい。この場合、吐出抑制制御を行うか否かを判定するための条件は、把持操作が単独で行われることだけでなく、第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続することをさらに含む。従って、第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続した状態、すなわち、把持装置24が対象物をより確実に把持した状態で移動作業を開始することができる。
【0069】
コントローラ90は、把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除された場合に吐出抑制制御を終了することが好ましい。この場合、吐出抑制制御を終了する条件は、把持操作が解除されることを含むので、操縦者は、把持操作を解除するという自らの意思で吐出抑制制御を終了させることができる。これにより、操縦者は、その後に行われる別の作業のための操作をスムーズに開始することができる。把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除された場合には、例えば、把持操作器40の把持操作部41が中立位置に戻った場合、把持操作部41が解放操作を受けた場合、などが含まれる。
【0070】
図3は、第1実施形態に係る作業機械100のコントローラ90が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0071】
コントローラ90は、把持操作が単独で行われているか否かを判定する(図3のステップS1)。コントローラ90は、例えば、複数のパイロット圧センサからコントローラ90に入力される検出結果に基づいて把持操作が単独で行われているか否かを判定することができる。具体的には例えば、コントローラ90は、パイロット圧センサ82からコントローラ90に入力される検出結果に基づいて把持操作が行われているか否かを判定するとともに、パイロット圧センサ82以外のパイロット圧センサからコントローラ90に入力される検出結果に基づいて他の操作が行われているか否かを判定することで、把持操作が単独で行われているか否かを判定する。把持操作が単独で行われていない場合には(ステップS1においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始しない。
【0072】
把持操作が単独で行われている場合には(ステップS1においてYES)、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出圧がリリーフ弁72において設定された把持リリーフ圧である状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS2)。コントローラ90は、例えば、ポンプ圧センサ81からコントローラ90に入力される検出結果に基づいて第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続したか否かを判定することができる。第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続していない場合には(ステップS2においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始しない。前記所定時間は、例えば数秒(具体的には例えば2秒)に設定されてもよい。
【0073】
第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続した場合には(ステップS2においてYES)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始する(ステップS3)。吐出抑制制御において、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出量を減少させる。本実施形態では、吐出抑制制御において、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出量を最小吐出量に制御する。
【0074】
吐出抑制制御において、コントローラ90は、把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除されたか否かを判定する(ステップS4)。コントローラ90は、例えば、パイロット圧センサ82からコントローラ90に入力される検出結果に基づいて把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除されたか否かを判定することができる。具体的には例えば、コントローラ90は、把持操作器40のリモコン弁42が出力する2次圧が所定の圧力閾値以下に低下した場合には、把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除されたと判定してもよい。
【0075】
把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除されていない場合には(ステップS4においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を継続する。把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除された場合には(ステップS4においてYES)、コントローラ90は、吐出抑制制御を終了し(ステップS5)、ステップS1以降の処理を繰り返す。
【0076】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態に係る作業機械100における油圧回路及びコントローラ90を示す図である。第2実施形態に係る作業機械100と第1実施形態に係る作業機械100との主な相違点は以下のとおりである。第2実施形態に係る作業機械100における以下の相違点以外の構成は、第1実施形態に係る作業機械100と同様である。
【0077】
図4に示す作業機械100は、コントローラ90からの指令に応じた2次圧を把持制御弁61の把持パイロットポートに出力可能な圧力調節弁75をさらに備える。この第2実施形態では、コントローラ90は、吐出抑制制御において、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態が維持されるように圧力調節弁75を制御する。この第2実施形態では、コントローラ90からの指令に応じて把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態が維持されるので、把持装置24が把持動作を行った後には、操縦者は把持操作器40に対して把持操作を与え続けなくてよい。これにより、移動作業における操縦者の負担が軽減される。
【0078】
また、この第2実施形態では、作業機械100は、シャトル弁76をさらに備える。シャトル弁76は、把持操作器40の把持操作部41が把持操作を受けた場合に把持操作器40のリモコン弁42から出力される2次圧と圧力調節弁75から出力される2次圧のうち高い方を把持制御弁61の把持パイロットポートに供給するように構成される。この場合、把持装置24が把持動作を行った後、操縦者が把持操作器40の把持操作部41に対して把持操作を与え続けている場合には、リモコン弁42の2次圧が把持制御弁61の把持パイロットポートに供給され、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態が維持される。また、把持装置24が把持動作を行った後、操縦者が把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作を解除した場合であっても、コントローラ90からの指令に応じて把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態を維持することが可能になる。従って、この第2実施形態では、操縦者は、自分の好みに応じて、移動作業において把持操作器40の把持操作部41に対して把持操作を与え続けるか否かを選択できる。
【0079】
シャトル弁76は、一対の入力ポートと一つの出力ポートとを有する。圧力調節弁75は、パイロットポンプ33とシャトル弁76の一方の入力ポートとをつなぐ油路PL3に配置されている。把持操作器40は、把持操作部41が把持操作を受けた場合に把持操作器40のリモコン弁42から2次圧を出力する出力ポートを有し、この出力ポートとシャトル弁76の他方の入力ポートとが油路PL4によってつながれている。シャトル弁76の出力ポートと把持制御弁61の把持パイロットポートは油路PL5によってつながれている。
【0080】
圧力調節弁75は、コントローラ90からの指令が入力されるソレノイドを有する。圧力調節弁75は、コントローラ90からの指令に応じて、パイロットポンプ33とシャトル弁76の一方の入力ポートとが連通する連通位置と、パイロットポンプ33とシャトル弁76の一方の入力ポートとの連通を阻止し、シャトル弁76の一方の入力ポートをタンクにつなぐ阻止位置と、の間に切り換わることが可能な電磁切換弁である。ただし、圧力調節弁75は、上記のような電磁切換弁に限られない。
【0081】
なお、図4では、把持操作器40のリモコン弁42と把持制御弁61の解放パイロットポートとをつなぐ油路PL2における作動油の圧力を検出するパイロット圧センサ83が図示されている。このパイロット圧センサ83は、図2に示す第1実施形態に係る油圧回路にも設けられていてもよい。
【0082】
図5は、第2実施形態に係る作業機械100のコントローラ90が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。
【0083】
コントローラ90は、把持操作が単独で行われているか否かを判定する(図5のステップS11)。図5のステップS11は、図3のステップS1と同様の処理である。把持操作が単独で行われていない場合には(ステップS11においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始しない。
【0084】
把持操作が単独で行われている場合には(ステップS11においてYES)、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続したか否かを判定する(ステップS12)。図5のステップS12は、図3のステップS2と同様の処理である。第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続していない場合には(ステップS12においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始しない。
【0085】
第1ポンプ31の吐出圧が把持リリーフ圧である状態が所定時間継続した場合には(ステップS12においてYES)、コントローラ90は、吐出抑制制御を開始する(ステップS13)。吐出抑制制御において、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出量を減少させる前に、圧力調節弁75が連通位置に切り換わるように圧力調節弁75を励磁状態にするための指令を出力する。次に、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出量を減少させる。本実施形態では、吐出抑制制御において、コントローラ90は、第1ポンプ31の吐出量を最小吐出量に制御する。
【0086】
吐出抑制制御において、コントローラ90は、吐出抑制制御を終了することを指示するための終了操作が行われたか否かを判定する(ステップS14)。終了操作は、操縦者が吐出抑制制御を終了することを指示することが可能なものであればよく、終了操作の具体的な内容は特に限定されない。終了操作は、例えば、把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除された後、再び、把持操作部41に対して把持操作が行われることであってもよい。また、終了操作は、例えば、把持操作器40の把持操作部41に対する把持操作が解除されることであってもよい。コントローラ90は、例えば、パイロット圧センサ82からコントローラ90に入力される検出結果に基づいて前記終了操作が行われたか否かを判定することができる。
【0087】
終了操作が行われていない場合には(ステップS14においてNO)、コントローラ90は、吐出抑制制御を継続する。終了操作が行われた場合には(ステップS14においてYES)、コントローラ90は、吐出抑制制御を終了し(ステップS15)、ステップS11以降の処理を繰り返す。
【0088】
[第2実施形態の変形例1]
図6は、第2実施形態の変形例1に係る作業機械100における油圧回路及びコントローラ90を示す図である。図6に示す第2実施形態の変形例1に係る作業機械100と図4に示す第2実施形態に係る作業機械100との主な相違点は以下のとおりであり、第2実施形態の変形例1に係る作業機械100における以下の相違点以外の構成は、図4に示す第2実施形態に係る作業機械100と同様である。
【0089】
この変形例1に係る作業機械100は、操縦者の入力を受ける入力器77をさらに備える。入力器77が前記入力を受けたことを示す信号は、コントローラ90に入力される。変形例1では、コントローラ90は、入力器77が前記入力を受けた場合に、吐出抑制制御を行わない。この変形例1では、操縦者の意志により吐出抑制制御の実行の有無が選択される。具体的には例えば、把持動作において最大の把持力を必要とする場合には、吐出抑制制御を行わないことを操縦者は自らの意志で選択できる。
【0090】
入力器77は、例えば、キャブ16に配置されるスイッチであってもよい。このスイッチは、操縦者が操作可能である。入力器77は、例えば、ディスプレーにおけるタッチパネルの一部分であってもよい。
【0091】
図7は、第2実施形態の変形例1に係る作業機械100のコントローラ90が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。図7に示すフローチャートは、ステップS10をさらに含む点で図5に示すフローチャートと相違する。図7に示すフローチャートにおけるステップS11-S15は、図5に示すフローチャートにおけるステップS11-S15と同じである。
【0092】
図7に示すように、コントローラ90は、ステップS10において入力器77が入力を受けたか否かを判定する。入力器77が入力を受けていない場合には(ステップS10においてNO)、コントローラ90は、ステップS11-S14の処理を行う。一方、入力器77が入力を受けた場合には(ステップS10においてYES)、コントローラ90は、ステップS11-S14の処理を行わない(吐出抑制制御を行わない)。
【0093】
[第2実施形態の変形例2]
図8は、第2実施形態の変形例2に係る作業機械100における油圧回路及びコントローラ90を示す図である。図8に示す第2実施形態の変形例2に係る作業機械100と図4に示す第2実施形態に係る作業機械100との主な相違点は以下のとおりであり、第2実施形態の変形例2に係る作業機械100における以下の相違点以外の構成は、図4に示す第2実施形態に係る作業機械100と同様である。
【0094】
作業機械100は、第1ポンプ31とタンクとを接続するタンク油路TLに配置されるアンロード弁78と、アンロード弁78のパイロットポートに供給するパイロット圧を調節する電磁比例弁79と、をさらに備える。アンロード弁78の開度は、パイロット圧に応じて調節される。
【0095】
第1ポンプ31からの作動油の供給を受ける油圧アクチュエータ(第1アクチュエータ)を作動させるための操作が行われていない状況で、把持操作と、第2ポンプ32からの作動油の供給を受ける油圧アクチュエータ(第2アクチュエータ)を作動させるための操作が行われている場合には、コントローラ90は、吐出抑制制御において、アンロード弁78の開度を絞る制御を行う。この変形例2では、上記のような場合においても、アンロード弁78の開度が絞られることによって把持装置24が対象物を把持した状態が維持されるような圧力を把持シリンダ29に作用させることができる。図8に具体例として示す油圧回路では、第1アクチュエータとしては、旋回モータ30、アームシリンダ27などを例示でき、第2アクチュエータとしては、バケットシリンダ28などを例示できる。
【0096】
図9は、第2実施形態の変形例2に係る作業機械100のコントローラ90が行う演算処理の一例を示すフローチャートである。図9に示すフローチャートは、ステップS21,S22をさらに含む点で図5に示すフローチャートと相違する。図9に示すフローチャートにおけるステップS11-S15は、図5に示すフローチャートにおけるステップS11-S15と同じである。従って、以下では、図9におけるステップS21,S22について主に説明する。
【0097】
コントローラ90は、ステップS13において吐出抑制制御を開始し、ステップS21において、第1ポンプ31からの作動油の供給を受ける油圧アクチュエータを作動させるための操作(第1操作)が行われているか否かを判定する。第1操作が行われている場合(ステップS21においてYES)、コントローラ90は、ステップS14の処理を行う。
【0098】
一方、第1操作が行われていない場合(ステップS21においてNO)、コントローラ90は、アンロード弁78の開度が絞られるように電磁比例弁79に指令を入力し(ステップS22)、ステップS14の処理を行う。
【0099】
[その他の変形例]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例を含む。
【0100】
(A)把持装置について
前記実施形態では、把持装置24がグラップルであるが、本開示における把持装置は、グラップルに限られず、例えば、フォーク、ニブラなどの他の把持装置であってもよい。
【0101】
(B)操作器について
前記実施形態では、複数の操作器のそれぞれは、操作部とリモコン弁とを有するが、本開示における複数の操作器は、いわゆる電気レバーを備えたものであってもよい。この場合、複数の操作器のそれぞれは、操縦者の操作を受ける操作部と、操作部が受けた操作に対応する信号をコントローラに出力する出力部と、を含む。
【0102】
(C)吐出抑制制御について
前記実施形態では、コントローラ90は、吐出抑制制御において把持操作が単独で行われることにより把持装置24が把持動作を行った後に第1ポンプ31の吐出量を最小吐出量に制御するが、必ずしも最小吐出量に制御しなくてもよい。
【0103】
(D)作業機械100は、操縦者の入力を受ける第2入力器を備え、第2入力器が前記入力を受けたことを示す信号は、コントローラ90に入力され、コントローラ90は、第2入力器が前記入力を受けた場合に、把持操作の大きさにかかわらず(把持操作の有無にかかわらず)、把持制御弁61が把持位置に切り換えられた状態が維持されるように圧力調節弁75を制御してもよい。すなわち、この変形例では、吐出抑制制御を行うか否かを判定するための条件として、第2入力器が前記入力を受けたことをさらに含む。この変形例では、操縦者は、移動作業において、把持操作器40の把持操作部41に対して把持操作を与え続けることで把持制御弁61の位置を把持位置に維持させることができ、また、把持操作器40の把持操作部41に対して把持操作を与え続けなくても、入力器77に入力を行うことで把持制御弁61の位置を把持位置に維持させることができる。
【符号の説明】
【0104】
10 :下部走行体
12 :上部旋回体
14 :作業装置
20 :ブーム
22 :アーム
24 :把持装置
26 :ブームシリンダ
27 :アームシリンダ
28 :先端アタッチメントシリンダ
29 :把持シリンダ
29a :ボトム室
29b :ロッド室
30 :旋回モータ
31 :第1ポンプ
32 :第2ポンプ
40 :把持操作器
41 :把持操作部
42 :リモコン弁
61 :把持制御弁
71 :チェック弁
72 :リリーフ弁
75 :圧力調節弁
76 :シャトル弁
77 :入力器
78 :アンロード弁
79 :電磁比例弁
81 :ポンプ圧センサ
82 :パイロット圧センサ
90 :コントローラ
100 :作業機械
TL :タンク油路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9