(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171271
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】表示制御装置
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20241204BHJP
G06T 15/00 20110101ALI20241204BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241204BHJP
B60R 1/27 20220101ALI20241204BHJP
【FI】
H04N7/18 J
G06T15/00
G06T19/00 A
B60R1/27
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088255
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001487
【氏名又は名称】フォルシアクラリオン・エレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塩口 拓真
【テーマコード(参考)】
5B050
5B080
5C054
【Fターム(参考)】
5B050BA09
5B050BA13
5B050CA07
5B050DA07
5B050EA07
5B050EA12
5B050EA18
5B050EA19
5B050EA27
5B050EA28
5B050FA02
5B050FA09
5B050GA08
5B080AA19
5B080BA02
5B080DA06
5B080FA02
5B080FA03
5B080FA09
5B080FA17
5B080GA00
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FD03
5C054FE09
5C054FE13
5C054FE14
5C054HA30
(57)【要約】
【課題】車両の周辺の障害物に関する情報を効果的に提供する。
【解決手段】表示制御装置30は、車両の周辺を撮影した画像に基づいて、障害物の位置を視野に含む仮想視点から車両を見た画像を生成する画像生成部31と、前記仮想視点から前記車両を見た画像に、前記車両を3次元で表現する車両モデルを描画する描画部35と、前記車両モデルの部分領域ごとに前記車両モデルの透過率を制御する制御部34を備え、前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部34は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を強調して描画し、前記車両モデルのうち、前記部分領域以外を不透明ではない所定の透過率で描画することを特徴とする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺を撮影した画像に基づいて、障害物の位置を視野に含む仮想視点から車両を見た画像を生成する画像生成部と、
前記仮想視点から前記車両を見た画像に、前記車両を3次元で表現する車両モデルを描画する描画部と、
前記車両モデルの部分領域ごとに前記車両モデルの透過率を制御する制御部を備え、
前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、
前記制御部は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を強調して描画し、
前記車両モデルのうち、前記部分領域以外を不透明ではない所定の透過率で描画することを特徴とする表示制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
ユーザーによる操作に基づいて、前記パーツと前記障害物とを前記車両モデル越しではなく表示できる位置に前記仮想視点の位置を変更する視点変更部を備え、
前記視点変更部は、前記仮想視点の位置から最も近い位置であって、前記パーツと前記障害物とを前記車両モデル越しではなく表示できる位置に前記仮想視点の位置を変更することを特徴とする。
【請求項3】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記車両モデルによって所定比率以上が覆われる障害物が存在しないとき、前記制御部は、前記車両モデルを不透明で描画することを特徴とする表示制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、
前記制御部は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域の透過率を当該部分領域以外の透過率よりも低く、かつ不透明でない透過率とすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記障害物の位置を取得する障害物情報取得部を備え、
前記画像生成部は、前記障害物の位置に基づいて、前記仮想視点から車両を見た画像における障害物を描画することを特徴とする表示制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載の表示制御装置であって、
前記障害物の位置が前記車両の位置よりも前記仮想視点に近いとき、
前記制御部は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を前記障害物の像に重ねて表示することを特徴とする表示制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記制御部は、前記障害物に接触する可能性がある部分領域の外縁よりも内側の透過率を前記障害物と前記車両との距離が小さいほど大きい値とすることを特徴とする表示制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の表示制御装置であって、
前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部は、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を明滅させることを特徴とする表示制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された表示装置の画面を制御する表示制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の周辺に存在する障害物を検出する技術がある。特許文献1には「車両の移動方向に直交する方向に存在する障害物までの距離を測定する距離測定手段3と、障害物を含む周辺画像を取得する画像入力手段2と、移動に伴って遷移する自車位置を逐次特定する自車位置特定手段4と、距離と自車位置とに基づいて障害物の車両の移動方向に沿う面を第一平面として設定する第一平面設定手段5と、車両の移動方向における第一平面の面端部を推定する面端部推定手段6と、面端部を含む領域を画像認識領域として設定する画像認識領域設定手段7と、画像認識領域における障害物の形状特徴を画像認識する画像認識手段8と、第一平面と画像認識手段の認識結果とに基づいて障害物を立体的に認識する立体形状認識手段9と、を備える。」との記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両のユーザーに対して障害物の検知結果を出力する方法として、仮想の視点からの画像を表示する方法がある。仮想の視点からの画像は、複数のカメラの撮影結果から生成する。仮想の視点からの画像に車両モデルを追加して描画すれば、仮想の視点からの画像は車両と障害物との位置関係を表示できる。
【0005】
仮想の視点からの画像に追加する車両モデルが不透明であると、障害物が車両モデルで隠される場合がある。仮想の視点からの画像に追加する車両モデルをフレームのみで表示すれば、車両のどこに障害物が接触する可能性があるか、車両に障害物が接触する可能性はどの程度かについての判断が困難である。
【0006】
本発明では、車両の周辺の障害物に関する情報を効果的に提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、代表的な本発明の表示制御装置の一つは、車両の周辺を撮影した画像に基づいて、障害物の位置を視野に含む仮想視点から車両を見た画像を生成する画像生成部と、前記仮想視点から前記車両を見た画像に、前記車両を3次元で表現する車両モデルを描画する描画部と、前記車両モデルの部分領域ごとに前記車両モデルの透過率を制御する制御部を備え、前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を強調して描画し、前記車両モデルのうち、前記部分領域以外を不透明ではない所定の透過率で描画することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両の周辺の障害物に関する情報を効果的に提供できる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1の表示制御装置が生成する画面の説明図
【
図4】表示制御装置の処理動作を示すフローチャート
【
図5】障害物の位置が車両の位置よりも仮想視点に近いときの画面例
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を用いて実施例を説明する。
【実施例0011】
図1は、実施例1の表示制御装置が生成する画面の説明図である。実施例1の表示制御装置は、車両に搭載された複数のカメラから取得した画像を合成し、仮想の視点から所定の位置を見た画像を生成する。表示制御装置は、仮想の視点から車両が存在する方向を見た画像に、車両を3次元で表現する車両モデル11を追加する。車両に搭載された表示装置が、表示制御装置によって生成された画像を表示する。
【0012】
画像D1は、障害物21の像と、車両モデルとを含む。障害物21は、カメラが撮影した画像から認識するか、LiDAR(Light Detection And Ranging)等のセンサによって認識する。障害物21の形状と車両との位置関係も認識結果に含まれる。説明の便宜上、実施例では障害物21を球形で示す。
【0013】
画像D1は、仮想の視点から車両が存在する方向を見た画像に、不透明の車両モデル11を描画した画像である。画像D1では、障害物21が車両モデル11に隠れることがある。障害物21が車両モデル11に隠れると、ユーザーが障害物21に気付かない、ユーザーが、障害物21が車両と接触する可能性を評価することが難しい、といった問題が生じる。
車両モデルを常にフレームのみで表示すれば、障害物21が隠れることはない。この場合、車両のどこに障害物が接触する可能性があるか、車両に障害物が接触する可能性はどの程度かについての判断が困難である。
【0014】
本実施例では、「障害物が隠れる」とは、「画像D1において車両モデルが障害物を覆う面積が所定比率以上である」状態とする。
実施例1の表示制御装置は、障害物21が車両モデルに隠れる場合に、画像D2を生成する。画像D2は、車両モデルのうち、障害物21に接触する可能性があるパーツを強調して描画し、障害物21に接触する可能性があるパーツ以外を所定の透過率で描画した画像である。
図1では、障害物21に接触する可能性があるパーツ13は、車両の右前のドアである。画像D2は、パーツ13以外の車両モデル12を、車体の長さと幅を矩形で示すことで、車輪の位置と角度を模式的に示す。車両モデル12は、パーツ13と車輪以外が透過率100%の車両モデルである。
透過率が100%である部分領域は、完全に透明である。透過率が0%である部分領域は、不透明である。
パーツは、車両を構成する部品であり、ドア、バンパー、ミラー、車両の底部などである。
【0015】
車両モデル12は、車体の長さと幅を矩形で示すことで、高さ方向の情報を省略しつつ、障害物と車体の位置関係を示せる。車両モデル12は、車輪の位置と角度を示すことで、車両の挙動予測を可能とする。
【0016】
車両モデル12は、パーツ13と車輪以外を100%よりも低い透過率としてもよい。透過率が低ければ、車両モデル12の形状と周囲との関係が確認しやすくなる。車両モデル12が100%未満の透過率であるとき、障害物21に接触する可能性があるパーツ13の透過率は、車両モデル12の透過率よりも低くすることが好適である。パーツ13の透過率は、0%よりも高いことが好適であるが、0%とすることを妨げるものでは無い。
【0017】
表示制御装置は、パーツ13を車両モデル12よりも低い透過率で強調することにより、パーツ13に障害物21が接触する可能性があることをユーザーに示す。障害物21との距離に応じて、パーツ13の表示態様を変更してもよい。表示制御装置は、障害物21に接触する可能性があるパーツの外縁(フレーム)よりも内側の透過率を障害物21と車両との距離が小さいほど大きい値とすることができる。表示制御装置は、パーツ13の色を距離に応じて変更することができる。表示制御装置は、パーツ13を明滅させ、その間隔を距離に応じて変更できる。
【0018】
図2は、仮想の視点の説明図である。
図2では、車両10の周囲に仮想のカメラの軌道Vo1がある。カメラが車両の周囲を撮影した画像における視点は、実空間においてカメラが設置されている位置に対応する。言い換えると、カメラから車両の周囲を見た画像である。カメラから車両の周囲を見た画像は、実空間においてカメラが設置されている位置とは異なる位置から車両の周囲を見たかのような画像へ変換される。この変換後の画像における視点は、実空間においてカメラが設置されている位置とは異なる位置に設定することが可能であり、この位置が仮想の視点である。仮想視点は、軌道Vo1の任意の点に設定できる。仮想視点Vp1は、車両10の左前方に位置する。画像D1及び画像D2は、仮想視点Vp1から車両10の周囲を見た画像である。
【0019】
図3は、表示制御装置の構成図である。表示制御装置30は、表示装置40、カメラ50、LiDARユニット60等と接続する。
表示装置40は、例えば車両のダッシュボードに設けられる。表示装置40は、例えばタッチパネルディスプレイである。
カメラ50は、車両10の周囲を撮影する。撮影範囲の異なる複数のカメラ50の撮影結果を合成することで、どの方向に存在する障害物も撮影できる。
LiDARユニット60は、車両10の周囲を光等で走査し、障害物の位置と形状を検出するユニットである。LiDARユニット60に代えて、若しくはLiDARユニット60に加えてレーダやソナーを用いてもよい。
【0020】
表示制御装置30は、画像生成部31、障害物情報取得部32、判断部33、制御部34及び描画部35を有する。CPU(Central Processing Unit)が対応するプログラムを実行することで、画像生成部31、障害物情報取得部32、判断部33、制御部34及び描画部35の機能を実現してもよい。
【0021】
画像生成部31は、複数のカメラ50が車両10の周辺を撮影した画像に基づいて、障害物の位置を視野に含む仮想視点から車両10を見た画像を生成する。
【0022】
障害物情報取得部32は、LiDARユニット60などの出力に基づいて、車両10の周囲に所在する障害物の位置を取得する。
画像生成部31は、障害物情報取得部32によって取得された障害物の位置に基づいて、仮想視点から車両を見た画像における障害物を描画する。
【0023】
判断部33は、仮想視点の位置と、障害物の位置とに基づいて、障害物が車両10で隠れているかどうかを判断する。
判断部33は、仮想視点の位置と、障害物の位置とに基づいて、障害物に接触する可能性のあるパーツの有無を判定する。
【0024】
描画部35は、仮想視点から車両10を見た画像に、車両10を3次元で表現する車両モデルを描画する。
制御部34は、車両モデルの透過率を車両モデルの部分領域ごとに制御する。画像において、車両モデルが障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、制御部34は、車両モデルのうち、障害物に接触する可能性がある部分領域を強調して描画し、部分領域以外を不透明ではない所定の透過率で描画する。
【0025】
部分領域は、車両10を構成するパーツ(ドア、バンパー、ミラー、底面など)に対応する。
車両モデルによって所定比率以上が覆われる障害物が存在しないとき、制御部34は、車両モデルを不透明で描画する。
画像において、車両モデルが障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、制御部34は、車両モデルのうち、障害物に接触する可能性がある部分領域の透過率を当該部分領域以外の透過率よりも低く、かつ不透明でない透過率とする。
【0026】
制御部34は、車両モデルや部分領域の表示態様を適宜変更できる。制御部34は、障害物に接触する可能性がある部分領域の外縁よりも内側の透過率を障害物と車両との距離が小さいほど大きい値に設定できる。制御部34は、車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、障害物に接触する可能性がある部分領域を明滅させることができる。
【0027】
障害物が車両と仮想視点との間に位置するとき、制御部34は、車両モデルのうち、障害物に接触する可能性がなく、障害物の像と画像上の位置が重複しない部分領域を不透明で描画し、車両モデルのうち障害物に接触する可能性がある部分領域を障害物の像に対して不透明でない透過率で描画する。制御部34が描画するとは、制御部34が車両モデルやパーツの透過率を決定し、決定された透過率で描画部35が車両モデルやパーツを描画することをいう。
【0028】
図4は、表示制御装置30の処理動作を示すフローチャートである。表示制御装置30は、ステップS101からステップS110を順次実行する。
ステップS101:画像生成部31は、複数のカメラ50が撮影した画像に基づいて、仮想視点の画像を生成する。その後、ステップS102に進む。
ステップS102:障害物情報取得部32は、LiDARユニット60等から車両10の周囲に存在する障害物の情報を取得する。その後、ステップS103に進む。
ステップS103:画像生成部31は、障害物の情報を用いて車両モデルを仮想視点の画像に配置する。その後、ステップS104に進む。
ステップS104:判断部33は、障害物の位置と車両モデルの位置に基づいて、車両モデルで隠される障害物の有無を判定する。その後、ステップS105に進む。
ステップS105:判断部33は、該当する障害物がなければ(ステップS105;No)、ステップS106に進む。該当する障害物があれば(ステップS105;Yes)、ステップS107に進む。
ステップS106:制御部34は、車両モデルを不透明で描画し、処理を終了する。
ステップS107:制御部34は、車両モデルを透過して描画し、ステップS108に進む。
【0029】
ステップS108:判断部33は、障害物に接触する可能性のあるパーツの有無を判定する。その後、ステップS109に進む。
ステップS109:判断部33は、該当するパーツがあれば(ステップS109;Yes)、ステップS110に進む。判断部33は、該当するパーツがなければ(ステップS110;Yes)、処理を終了する。
ステップS110:制御部34は、該当するパーツを所定の透過率で強調表示し、処理を終了する。
【0030】
図5は障害物が車両と仮想視点との間に位置する、すなわち、障害物の位置が車両の位置よりも仮想視点に近いときの画面例である。この場合、制御部34は、車両モデルのうち、障害物に接触する可能性がなく、障害物の像と画像上の位置が重複しない部分領域を不透明で描画する。制御部34は、車両モデルのうち障害物に接触する可能性がある部分領域を障害物の像に対して不透明でない透過率で描画する。
【0031】
図5の画像D11は、障害物に接触する可能性のあるパーツがないときに画面に表示する画像である。画像D11は、不透明の車両モデル11と、障害物22の像を含む。障害物22も不透明である。制御部34は、車両モデル11のうち、障害物22で隠れる部分については描画しない。画像D11は、障害物22が車両よりも仮想視点側にあることをシンプルに示す。
【0032】
図5の画像D12は、障害物に接触する可能性のあるパーツがあるときに画面に表示する画像である。画像D12は、不透明の車両モデル11と、障害物22の像と、障害物22に接触する可能性のあるパーツ14を含む。障害物22も不透明である。制御部34は、障害物22に接触する可能性のあるパーツ14を障害物22の像に対して所定の透過率で描画し、パーツ14を障害物22の像に重ねて表示する。例えば、パーツ14を障害物22の像に重ねて表示するために、パーツ14が描画されたレイヤーを障害物22の像が描画されたレイヤーよりも上位に設定する。これによって、パーツ14が障害物で隠れることを避けることができる。画像D12は、障害物22が車両よりも仮想視点側にあることと、障害物22にパーツ14が接触する可能性があることを示す。パーツ14の表示態様は、パーツ13の表示態様と同様に、適宜変更できる。
【0033】
描画部35が、制御部34の指定した透過率でパーツ14を描画するために任意の手法を用いることができる。障害物、車両モデル及びパーツをそれぞれ異なるレイヤーにおいて重ねる手法であってもよいし、αブレンドを用いてもよい。
【0034】
仮想の視点から見た画像において障害物と車両の一方が他方を隠すとき、表示制御装置30は、障害物と接触する可能性のあるパーツを模式的に表示する。ユーザーは、この表示を確認した後、視点を変更して状況を確認することが考えられる。表示制御装置30は、障害物と接触する可能性のあるパーツを模式的に表示した状態で、所定の操作を受け付けた場合に、仮想の視点の位置を変更する視点変更部36を備えても良い。所定の操作としては、例えば障害物と接触する可能性のあるパーツの模式的な表示に対するタッチ操作を用いる。
【0035】
図6及び
図7は、視点を変更する制御の説明図である。
図6の仮想視点Vp1からの画像では、車両10が障害物21を隠す。
図6では、右前のドアであるパーツ13を障害物21と接触する可能性のあるパーツとする。
図6の状態で表示制御装置30は、
図1の画像D2を表示する。
視点変更部36は、ユーザーによる操作に基づいて、パーツ13と障害物21を車両モデル越しではなく表示できる仮想視点を探索する。ユーザーによる操作の例は、ユーザーが画像D2のパーツ13に触れるタッチ操作だが、これ以外の操作も含む。操作は、ユーザーがパーツ13と障害物21との位置関係を確認したいことを示唆する操作であればよい。探索の結果、車両10の前方からの視点Vp2と、車両10の後方からの視点Vp3とが得られる。
視点変更部36は、規定の軌道Vo1を仮想視点Vp1から仮想視点Vp2まで移動する経路R2と、規定の軌道Vo1を仮想視点Vp1から仮想視点Vp3まで移動する経路R3を比較する。比較の結果、視点変更部36は、経路R3よりも短い経路である経路R2を選択する。言い換えると、視点変更部36は現在の仮想視点Vp1から最も近い仮想視点Vp2であって、パーツ13と障害物21を車両モデル越しではなく表示できる仮想視点を選択する。視点変更部36は、経路R3よりも短い経路R2に沿って、仮想視点を仮想視点Vp1から仮想視点Vp2に変更する。画像生成部31と描画部35は、仮想視点を経路R2に沿って順次移動させ、仮想視点Vp2で停止するアニメーションを生成してもよい。このアニメーションによって、ドライバーは仮想視点が移動する方向を理解しやすい。表示制御装置30は、より短い経路を選択して仮想視点を移動させるので、ユーザーは接触する可能性のあるパーツの状態を迅速に確認できる。
【0036】
図7は、視点の変更の変形例である。
図6に示した制御では、表示制御装置30は、規定の軌道Vo1に沿って視点の移動を行った。
図7では、表示制御装置30は、障害物21と接触する可能性のあるパーツ13を中心とし、パーツ13から仮想視点Vp1までを半径とした経路R4を生成し、経路R4に沿って仮想視点をVp1からVp4に移動する。表示制御装置30がパーツ13を中心として等距離に仮想視点を移動すると、規定の軌道を用いるよりも早くユーザーによるパーツ13の確認が可能である。
【0037】
上述してきたように、実施例に開示した表示制御装置30は、車両の周辺を撮影した画像に基づいて、前記障害物の位置を視野に含む仮想視点から車両を見た画像を生成する画像生成部31と、前記仮想視点から前記車両を見た画像に、前記車両を3次元で表現する車両モデルを描画する描画部35と、前記車両モデルの部分領域ごとに前記車両モデルの透過率を制御する制御部34を備え、前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部34は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を強調して描画し、前記車両モデルのうち、前記部分領域以外を不透明ではない所定の透過率で描画することを特徴とする。
この表示制御装置30は、車両の周辺の障害物に関する情報を効果的に提供する。この表示制御装置30は、仮想の視点から車両をみた画像において、車両で隠されている障害物があるとき、ユーザーが、障害物に接触する可能性がある車両のパーツを直感的に理解しやすい画像を表示する。
【0038】
部分領域は、前記車両を構成するパーツに対応することが好適である。障害物に接触する可能性のある個所をパーツ単位で強調すれば、ユーザーは、パーツに応じた状況判断が可能である。例えば、パーツがドアミラーであれば、ユーザーは「車体から突出している」というドアミラーの特徴を考慮して衝突の回避に関する判断ができる。パーツがドアであれば、ユーザーはドア開閉に関する判断が可能である。接触する可能性のあるパーツが複数であれば、ユーザーはパーツ数に応じて被害が大きくなると判断できる。
また、ユーザーによる操作に基づいて、前記パーツと前記障害物とを前記車両モデル越しではなく表示できる位置に前記仮想視点の位置を変更する視点変更部36を備え、前記視点変更部36は、前記仮想視点の位置から最も近い位置であって、前記パーツと前記障害物とを前記車両モデル越しではなく表示できる位置に前記仮想視点の位置を変更する。この構成では、ユーザーは接触する可能性のあるパーツの状態を迅速に確認できる。
【0039】
開示の表示制御装置30では、前記車両モデルによって所定比率以上が覆われる障害物が存在しないとき、前記制御部34は、前記車両モデルを不透明で描画する。
車両モデルを不透明で表示すれば、表示制御装置30は、実際に見た場合に近い画像を提供できる。
【0040】
開示の表示制御装置30では、前記画像において、前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域の透過率を当該部分領域以外の透過率よりも低く、かつ不透明でない透過率とする。
障害物に接触する可能性がある部分領域の透過率を当該部分領域以外の透過率よりも低く、かつ不透明でない透過率とすれば、表示制御装置30は、障害物の画像と、障害物に接触する可能性のある部分領域とを同時に表示できる。
【0041】
開示の表示制御装置30は、前記障害物の位置を取得する障害物情報取得部32を備え、前記画像生成部31は、前記障害物の位置に基づいて、前記仮想視点から車両を見た画像における障害物を描画する。
この構成では、表示制御装置30は、より正確な位置に障害物を描画できる。
【0042】
開示の表示制御装置30は、前記仮想視点の位置と、前記障害物の位置とに基づいて、前記障害物が車両で隠れているかどうかを判断する判断部33を備える。
この構成では、表示制御装置30は、障害物が車両で隠れるか否かを高い精度で判断できる。
【0043】
開示の表示制御装置30では、前記障害物の位置が前記車両の位置よりも前記仮想視点に近いとき、前記制御部34は、前記車両モデルのうち、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を前記障害物の像に重ねて表示する。
この構成では、表示制御装置30は、障害物で隠れた箇所における接触の可能性を報知できる。
【0044】
前記制御部34は、前記障害物に接触する可能性がある部分領域の外縁よりも内側の透過率を前記障害物と前記車両との距離が小さいほど大きい値とすることができる。
この場合、障害物が車両に近いほど、車両の一部が透明に近くなって障害物が明確に表示される。
【0045】
前記車両モデルが前記障害物を覆う面積が所定比率以上であるとき、前記制御部34は、前記障害物に接触する可能性がある部分領域を明滅させることができる。
この場合、ユーザーが障害物に接触する可能性があるパーツに気づきやすくなる。
【0046】
開示の実施例は、発明を限定するものではない。本発明は開示の実施例に加え、様々な変形例を含むことができる。上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。構成の削除に限らず、構成の置き換えや追加も可能である。
一例として、表示制御装置30の機能と表示装置40の機能を有する車載装置として実施してもよい。
10:車両、11:車両モデル、12:車両モデル、13,14:パーツ、21,22:障害物、30:表示制御装置、31:画像生成部、32:障害物情報取得部、33:判断部、34:制御部、35:描画部、36:支点変更部、40:表示装置、50:カメラ、60:LiDARユニット