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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171275
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】穿刺針位置表示装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A61B8/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088261
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】304008175
【氏名又は名称】株式会社ユネクス
(74)【代理人】
【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 英範
(72)【発明者】
【氏名】寺澤 亜希浩
(72)【発明者】
【氏名】原田 親男
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601BB09
4C601DD14
4C601EE11
4C601FF03
4C601GB03
4C601KK25
4C601KK31
(57)【要約】
【課題】穿刺針の管状臓器に対する位置をより正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となるようにする穿刺針位置表示装置を提供する。
【解決手段】短軸用超音波アレイ探触子28aからの短軸画像P1を、穿刺針22の挿入手前側に向かって、上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する平行四辺形に変形した短軸画像V1とし、長軸用超音波アレイ探触子28bからの長軸画像P2を、穿刺針22の挿入手前側に向かって長軸画像P2の上辺及び下辺が下方に傾斜する平行四辺形に変形した長軸画像V2として、相互に隣接した状態で配置することで斜視図として表示させる画像表示制御部(電子制御装置70)が、備えられている。これにより、超音波画像の斜視表示により、穿刺針22の管状臓器20に対する向きや位置などの空間配置情報をより正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の長軸用超音波振動子が直線的に配列された長軸用超音波アレイ探触子、および複数個の短軸用超音波振動子が前記長軸用超音波振動子の配列方向に直交する方向に直線的に配列された短軸用超音波アレイ探触子を、生体の皮膚に載置可能に有する超音波プローブユニットと、前記長軸用超音波アレイ探触子及び前記短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて、生体内の管状臓器の横断面を示す短軸画像および前記生体内の管状臓器の縦断面を示す長軸画像を、前記皮膚の下に位置する管状臓器に対する穿刺針と共に画像表示面に表示する表示器とを、備える穿刺針位置表示装置であって、
前記短軸画像は、前記穿刺針の挿入手前側に向かって、上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する平行四辺形とし、前記長軸画像は、前記短軸画像の上辺及び下辺が水平の場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が下方に傾斜し、前記短軸画像の上辺及び下辺が上方に傾斜する場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が水平乃至下方に傾斜する平行四辺形として、相互に隣接した状態で配置することで斜視図として表示させる表示制御部を、含む
ことを特徴とする穿刺針位置表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記短軸画像及び前記長軸画像を、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺とが投影図表示における同一の平面に位置するように表示させる
ことを特徴とする請求項1の穿刺針位置表示装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺が位置する投影図表示における前記平面の手前に表示されるクリックポイントを、カーソルを用いて上下方向及び/又は左右方向にドラッグする距離に連動して、前記平面と前記短軸画像及び前記長軸画像との投影角を連続的に変化させる画像投影角制御部を、含む
ことを特徴とする請求項2の穿刺針位置表示装置。
【請求項4】
前記超音波プローブユニットに固定された本体と、前記本体に対して前記皮膚に対する距離が調節可能に装着され、前記長軸用超音波振動子の配列方向を含む面内において前記皮膚に対して一定の傾斜角度で前記穿刺針を案内する針案内部材とを有する穿刺針案内機構とを、備える
ことを特徴とする請求項1の穿刺針位置表示装置。
【請求項5】
前記短軸用超音波アレイ探触子は、前記長軸用超音波アレイ探触子の長手方向の中央部を挟んで前記長軸用超音波アレイ探触子に直交する直線上に配置されている第1短軸用超音波アレイ探触子および第2短軸用超音波アレイ探触子から構成され、
前記表示制御部は、前記第1短軸用超音波アレイ探触子からの信号と前記第2短軸用超音波アレイ探触子からの信号とに基づいて超音波ビームステアリングを用いて前記短軸画像を合成する画像合成部を、有する
ことを特徴とする請求項1から4いずれか1の穿刺針位置表示装置。
【請求項6】
前記超音波プローブユニットは、前記長軸用超音波アレイ探触子の端部に隣接して前記第1短軸用超音波アレイ探触子および前記第2短軸用超音波アレイ探触子に平行に配置された第3短軸用超音波アレイ探触子を含み、
前記表示制御部は、前記第3短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて第3短軸画像を生成し、前記第3短軸画像は前記長軸画像に隣接して表示させる
ことを特徴とする請求項5の穿刺針位置表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブを用いて生体の皮膚下の管状臓器の超音波画像を表示し、管状臓器に穿刺された穿刺針の位置を表示する穿刺針位置表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
採血、薬液或いは輸液の注入などのために生体の皮膚下の管状臓器たとえば血管(動脈や静脈)、リンパ管等に対する穿刺が行なわれている。穿刺作業では、穿刺針を管状臓器の中心に刺し、管状臓器を突き抜けないようにすることが望まれるが、作業経験の少ない作業者では、穿刺針を管状臓器内に穿刺するのに時間がかかり、患者の負担が大きい場合があった。また、作業経験の多い作業者でも、穿刺針を管状臓器内に正確に穿刺されているかを見ることができないので、穿刺作業がばらついても、作業者がそれに気付き難いという問題があった。
【0003】
これに対して、複数個の長軸用超音波振動子が直線的に配列された長軸用超音波アレイ探触子、および複数個の短軸用超音波振動子が前記長軸用超音波振動子の配列方向に直交する方向に直線的に配列された短軸用超音波アレイ探触子を、生体の皮膚に載置可能に有する超音波プローブと、前記長軸用超音波アレイ探触子及び前記短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて、生体内の管状臓器の横断面を示す短軸画像および前記生体内の管状臓器の縦断面を示す長軸画像を、前記皮膚の下に位置する管状臓器に対する穿刺針と共に画像表示面に表示する表示器とを、備える穿刺針位置表示装置が提案されている。たとえば、特許文献1に記載された穿刺針位置表示装置がそれである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6078732号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の穿刺針位置表示装置では、管状臓器の横断面を示す短軸画像と縦断面を示す長軸画像を画面上に表示する場合、それ等の短軸画像及び長軸画像を横並びに表示していた。
【0006】
作業者はこれらの画像を見ながら管状臓器および針の相対的な位置関係を把握するには、頭の中で管状臓器および針の空間配置情報を変換しながら把握することが必要であり、ある程度の訓練が必要であった。
【0007】
特に針先の位置を把握することが医療事故防止の観点から重要であるが、従来の短軸画像及び長軸画像の横並びでの画像表示では管状臓器と針の位置の把握が困難で、それらの認識を誤るリスクがあった。
【0008】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、超音波画像の立体的な斜視表示を実現することで、穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報をより正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となるようにする穿刺針位置表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の要旨とするところは、(a)複数個の長軸用超音波振動子が直線的に配列された長軸用超音波アレイ探触子、および複数個の短軸用超音波振動子が前記長軸用超音波振動子の配列方向に直交する方向に直線的に配列された短軸用超音波アレイ探触子を、生体の皮膚に載置可能に有する超音波プローブと、前記長軸用超音波アレイ探触子及び前記短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて、生体内の管状臓器の横断面を示す短軸画像および前記生体内の管状臓器の縦断面を示す長軸画像を、前記皮膚の下に位置する管状臓器に対する穿刺針と共に画像表示面に表示する表示器とを、備える穿刺針位置表示装置であって、(b)前記短軸画像は、前記穿刺針の挿入手前側に向かって上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する平行四辺形とし、前記長軸画像は、前記短軸画像の上辺及び下辺が水平の場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が下方に傾斜し、前記短軸画像の上辺及び下辺が上方に傾斜する場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が水平乃至下方に傾斜する平行四辺形として、相互に隣接した状態で配置することで斜視図として表示させる表示制御部を、備えることにある。
【0010】
第2発明の要旨とするところは、第1発明において、(c)前記表示制御部は、前記短軸画像及び前記長軸画像を、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺とが投影図表示における同一の平面に位置するように表示させることにある。
【0011】
第3発明の要旨とするところは、第2発明において、(d)前記表示制御部は、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺が位置する投影図表示における前記平面の手前に表示されるクリックポイントを、カーソルを用いて上下方向及び/又は左右方向にドラッグする距離に連動して、前記平面と前記短軸画像及び前記長軸画像との投影角を連続的に変化させる画像投影角制御部を、含むものである。
【0012】
第4発明の要旨とするところは、第1発明において、(e)前記超音波プローブに固定された本体と、前記本体に対して前記皮膚に対する距離が調節可能に装着され、前記長軸用超音波振動子の配列方向を含む面内において前記皮膚に対して一定の傾斜角度で前記穿刺針を案内する針案内部材とを有する穿刺針案内機構とを、備えることにある。
【0013】
第5発明の要旨とするところは、第1から第4のいずれか1の発明において、(f)前記短軸用超音波アレイ探触子は、前記長軸用超音波アレイ探触子の長手方向の中央部を挟んで前記長軸用超音波アレイ探触子に直交する直線上に配置されている第1短軸用超音波アレイ探触子および第2短軸用超音波アレイ探触子から構成され、(g)前記表示制御部は、前記第1短軸用超音波アレイ探触子からの信号と前記第2短軸用超音波アレイ探触子からの信号とに基づいて超音波ビームステアリングを用いて前記短軸画像を合成する画像合成部を、有することにある。
【0014】
第6発明の要旨とするところは、第5発明において、(h)前記超音波プローブは、前記長軸用超音波アレイ探触子の端部に隣接して前記第1短軸用超音波アレイ探触子および第2短軸用超音波アレイ探触子に平行に配置された第3短軸用超音波アレイ探触子を含み、(i)前記表示制御部は、前記第3短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて第3短軸画像を生成し、前記第3短軸画像は前記長軸画像に隣接して表示させることにある。
【発明の効果】
【0015】
第1発明の穿刺針位置表示装置によれば、複数個の長軸用超音波振動子が直線的に配列された長軸用超音波アレイ探触子、および複数個の短軸用超音波振動子が前記長軸用超音波振動子の配列方向に直交する方向に直線的に配列された短軸用超音波アレイ探触子を、生体の皮膚に載置可能に有する超音波プローブと、前記長軸用超音波アレイ探触子及び前記短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて、生体内の管状臓器の横断面を示す短軸画像および前記生体内の管状臓器の縦断面を示す長軸画像を、前記皮膚の下に位置する管状臓器に対する穿刺針と共に画像表示面に表示する表示器とを、備える穿刺針位置表示装置において、前記短軸画像は、前記穿刺針の挿入手前側に向かって上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する平行四辺形とし、前記長軸画像は、前記短軸画像の上辺及び下辺が水平の場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が下方に傾斜し、前記短軸画像の上辺及び下辺が上方に傾斜する場合は前記穿刺針の挿入手前側に向かって前記長軸画像の上辺及び下辺が水平乃至下方に傾斜する平行四辺形として、相互に隣接した状態で配置することで斜視図として表示させる表示制御部を、備えている。これにより、前記表示器に表示された前記短軸画像及び前記長軸画像による斜視表示により、穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報を、より正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【0016】
第2発明の穿刺針位置表示装置によれば、前記表示制御部は、前記短軸画像及び前記長軸画像を、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺とが投影図表示における同一の平面に位置するように表示させる。これにより、表示された斜視画像がより立体的に認知しやすくなる。これにより、穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報を、より正確に把握することができ、管状臓器に対する穿刺針の穿刺作業が正確となる。
【0017】
第3発明の穿刺針位置表示装置によれば、前記表示制御部は、前記短軸画像の下辺と前記長軸画像の下辺が位置する投影図表示における前記平面の手前に表示されるクリックポイントを、カーソルを用いて上下方向及び/又は左右方向にドラッグする距離に連動して、前記平面と前記短軸画像及び前記長軸画像との投影角を連続的に変化させる画像投影角制御部を備える。これにより、穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報が把握しやすい好適な投影角を、作業者が設定できるようになり、管状臓器に対する穿刺針の穿刺作業が正確となる。
【0018】
第4発明の穿刺針位置表示装置によれば、前記超音波プローブに固定された本体と、前記本体に対して前記皮膚に対する距離が調節可能に装着され、前記長軸用超音波振動子の配列方向を含む面内において前記皮膚に対して一定の傾斜角度で前記穿刺針を案内する針案内部材とを有する穿刺針案内機構とを備える。これにより、前記穿刺針の角度が前記穿刺針案内機構によって一定の角度で案内されるので、前記穿刺針の操作に高度な手技を要することがなく、穿刺作業をより安定かつ正確に実施できる。
【0019】
第5発明の穿刺針位置表示装置によれば、前記短軸用超音波アレイ探触子は、前記長軸用超音波アレイ探触子の長手方向の中央部を挟んで前記長軸用超音波アレイ探触子に直交する直線上に配置されている第1短軸用超音波アレイ探触子および第2短軸用超音波アレイ探触子から構成され、前記表示制御部は、前記第1短軸用超音波アレイ探触子からの信号と前記第2短軸用超音波アレイ探触子からの信号とに基づいて超音波ビームステアリングを用いて前記短軸画像を合成する画像合成部を、有する。これにより、前記長軸用超音波アレイ探触子は前記第1短軸用超音波アレイ探触子及び前記第2短軸用超音波アレイ探触子との交点よりも突き出した部分を有しているので、長軸画像において管状臓器に到達する前から穿刺針を表示することができ、斜視表示により、穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報を、より正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【0020】
第6発明の穿刺針位置表示装置によれば、前記超音波プローブは、前記長軸用超音波アレイ探触子の端部に隣接して前記第1短軸用超音波アレイ探触子および第2短軸用超音波アレイ探触子に平行に配置された第3短軸用超音波アレイ探触子を含み、前記表示制御部は、前記第3短軸用超音波アレイ探触子に受信された反射信号に基づいて第3短軸画像を生成し、前記第3短軸画像は前記長軸画像に隣接して表示させる。これにより、前記短軸画像内に表示される管状臓器と前記第3短軸画像内に表示される管状臓器をそれぞれの画像の左右方向の中央に位置させるように前記超音波プローブの位置をずらすことにより、前記長軸用超音波アレイ探触子を管状臓器の真上に位置決めすることが容易となり、斜視表示により穿刺針の管状臓器に対する向きや位置などの空間配置情報を、より正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施例である穿刺針位置表示装置を説明する斜視図である。
図2図1の穿刺針位置表示装置の表示対象である管状臓器に対する超音波プローブの姿勢、配置及び構成を概略的に説明する斜視図である。
図3図1の穿刺針位置表示装置において、一定の針傾斜角度の穿刺針の先端が管状臓器の深さ方向の中央に到達した状態での、斜視表示を行う前の超音波画像について、短軸画像、長軸画像、第3短軸画像として順に並べた図である。
図4図3の画像を平行四辺形画像に変形することを説明する模式図である。
図5図4の画像を配置し、画面上での表示方法を説明する模式図である。
図6図5の表示画像において、基準面を格子で表示した場合を示す模式図である。
図7図1の穿刺針位置表示装置の表示画像を斜視表示にする場合に操作するクリックポイントを説明する模式図である。
図8図7の表示画像からクリックポイントのカーソルドラッグにより、斜視表示とした場合を示す模式図である。
図9図8の表示画像からクリックポイントのカーソルドラッグをさらに行い、投影角を大きくした場合を示す模式図である。
図10】本発明の他の実施例を示す図1に相当する図である。
図11図10の超音波プローブユニットを示す正面図、および超音波プローブユニットが載置された皮膚下の模式図である。
図12図10の超音波プローブユニットを示す右側面図、および超音波プローブユニットが載置された皮膚下の模式図である。
図13】本発明の他の実施例を示す図2に相当する図である。
図14図13の超音波プローブユニットにおいて、長軸画像が水平な場合の表示画像を示す図5に相当する図である。
図15図13の超音波プローブユニットにおいて、短軸画像が水平な場合の表示画像を示す図5に相当する図である。
図16】本発明の他の実施例の穿刺針位置表示装置を説明する模式図である。
図17図16の実施例において、超音波画像を示す図3に相当する図である。
図18図16の実施例において、表示画像を示す図5に相当する図である。
図19図16の実施例に、更に短軸用超音波アレイ探触子追加した穿刺針位置表示装置の実施例を説明する模式図である。
図20図19の実施例において、超音波画像を示す図3に相当する図である。
図21図19の実施例において、表示画像を示す図5に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例0023】
図1は、センサ支持器10により支持された超音波プローブユニット28を用いて、生体14の一部好適には上腕16における皮膚18(厳密には表皮)の上からその皮膚18下に位置する静脈血管、動脈血管、リンパ管等の管状臓器20に対して、カテーテルや注射針等の穿刺針22の穿刺作業を支援する穿刺針位置表示装置24の全体的な構成を例示する斜視図である。
【0024】
センサ支持器10は、図示しない台座に固定された基台30と、超音波プローブユニット28が皮膚18に垂直なz方向に移動可能に支持され且つ押圧アクチュエータ32によって上腕16に向かって押圧可能に支持されるユニット支持部材34と、基台30に自在型固定具36を介して基端部が連結された第1アーム38と、先端部がユニット支持部材34に自在型固定具40を介して連結された第2アーム42とを、備えている。
【0025】
超音波プローブユニット28は、管状臓器20の2ケ所の横断面を示す短軸画像V1とV3および管状臓器20の縦断面を示す長軸画像V2と、それら短軸画像V1とV3内および長軸画像V2内に位置する穿刺針22の先端部とを検出するための超音波センサとして機能するものである。超音波プローブユニット28は、底面において装着時には管状臓器20に平行な方向の直線に沿って配列された複数個の圧電素子から成る超音波振動子ae1乃至aenを有する長軸用超音波アレイ探触子28b、長軸用超音波アレイ探触子28bの端部に隣接して装着時には管状臓器20に対して交差する方向、好適には直交する方向に複数個の圧電素子から成る超音波振動子ae1乃至aemを有する短軸用超音波アレイ探触子28aおよび第3の短軸用超音波アレイ探触子28cが略1平面内に位置し且つH型を成すように備えている。
【0026】
短軸用超音波アレイ探触子28aおよび長軸用超音波アレイ探触子28bおよび第3の短軸用超音波アレイ探触子28cが備える超音波振動子は、図2に示すように、それぞれ独立して駆動可能な多数個の圧電素子aeが一列に配列されることにより、構成されている。図2は、超音波プローブユニット28が押圧アクチュエータ32によってz方向に上腕16に向かって押圧されるときの、短軸用超音波アレイ探触子28aおよび長軸用超音波アレイ探触子28bおよび第3の短軸用超音波アレイ探触子28cの管状臓器20に対する相対位置を示している。管状臓器20の長手方向をz方向に直交するy方向としたとき、長軸用超音波アレイ探触子28bはその長手方向がy方向と平行となり、短軸用超音波アレイ探触子28aおよび第3の短軸用超音波アレイ探触子28cは、y方向に直交するx方向に平行となる。
【0027】
図1に戻って、画像表示制御部として機能する電子制御装置70は、超音波駆動制御部80、検波処理部82、超音波信号処理部84、及び表示制御部92を、機能的に備えている。表示制御部92は、超音波画像の斜視表示のための投影角制御を行う画像投影角制御部94と、超音波画像の表示画面への配置を制御する画像配置制御部96を備える。これらの制御機能は、電子制御装置70に機能的に備えられたものであるが、それらの制御機能のうち一部乃至全部が電子制御装置70とは別体の制御部として構成され、相互に情報の通信を行うことにより以下に詳述する制御を行うサーバ等であってもよい。
【0028】
超音波駆動制御回路74は、電子制御装置70に備えられた超音波駆動制御部80からの指令に従って超音波プローブユニット28から管状臓器20への超音波の放射を制御する。例えば、短軸用超音波アレイ探触子28aにおいて1列に配列された多数個の超音波振動子ae1乃至aemのうち、その端の超音波振動子ae1から開口部振動子と称される一定数の超音波振動子群例えば64個の超音波振動子単位で10MHz程度の周波数で所定の位相差を付与しつつ同時駆動するビームフォーミング駆動することにより超音波振動子の配列方向において収束性の超音波ビームを管状臓器20に向かって順次放射させる。そして、超音波振動子を1個ずつずらしながら移動させた開口部振動子から超音波ビームをスキャン(走査)させたときの放射毎の反射波を受信し、電子制御装置70へ入力させる。電子制御装置70へ入力された反射波信号は、検波処理部82により検波され、超音波信号処理部84により以下に詳述する画像合成可能な情報として処理される。超音波信号処理部84は、管状臓器20と他の組織との伝播速度差によりそれらの境界から反射される超音波反射信号間の時間差処理や、その反射信号に基づく短軸画像P1、長軸画像P2および第3の短軸画像P3を含む超音波画像の合成処理、短軸画像P1或いは長軸画像P2或いは第3の短軸画像P3中の管状臓器20の画像の特定処理等を行って、短軸用超音波アレイ探触子28a直下の超音波二次元画像である短軸画像P1、長軸用超音波アレイ探触子28b直下の超音波二次元画像である長軸画像P2、及び第3の短軸用超音波アレイ探触子28c直下の超音波二次元画像である短軸画像P3から成る画像データを所定の周期で繰り返し生成するとともに、その画像データを順次記憶する。画像投影角制御部94は、短軸画像P1、長軸画像P2、第3の短軸画像P3を、予め設定された、短軸画像に対する投影角θ1、及び長軸画像に対する投影角θ2にもとづき、矩形画像から平行四辺形画像への変形処理(以下、投影角処理とする)を行い、短軸画像V1、長軸画像V2、第3短軸画像V3に遂次変換する。画像配置制御部96は、表示器72の表示領域に、短軸画像V1、長軸画像V2、第3短軸画像V3を、相互に隣接して配置し、表示器72に表示させる。
【0029】
図3は、図1の穿刺針位置表示装置において、一定の針傾斜角度の穿刺針22の先端が管状臓器の深さ方向の中央に到達した状態での、超音波信号処理部84が生成した矩形の短軸画像P1、長軸画像P2、第3短軸画像P3を示している。これ等の短軸画像P1、長軸画像P2、第3短軸画像P3は、画像投影角制御部94による投影角処理が行われる前の超音波画像である。
【0030】
図4は、表示制御部92が斜視表示を行う場合の、図3の短軸画像P1、長軸画像P2、第3短軸画像P3からの投影角処理を説明する図である。x軸に平行な短軸画像P1及び第3短軸画像P3に対して、穿刺針22の挿入手前側に向かって上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する向きで投影角θ1を設定する。画像投影角制御部94は、短軸画像P1および第3短軸画像P3を、それぞれの上辺および下辺、すなわち短軸画像P1は上辺ABと下辺DC、第3短軸画像P3は上辺IJと下辺LKをθ1の角度で傾斜させた平行四辺形画像に変換する。短軸画像P1は短軸画像V1に、第3短軸画像P3は第3短軸画像V3に変換される。y軸に平行な長軸画像P2に対しては、短軸画像V1及び第3短軸画像V3の上辺及び下辺が水平、すなわち投影角θ1が0度の場合は、穿刺針22の挿入手前側に向かって長軸画像P2の上辺EF及び下辺HGが下方に傾斜する向きで、短軸画像V1及び第3短軸画像V3の上辺及び下辺が上方に傾斜、すなわちθ1が正の角度の場合は、穿刺針22の挿入手前側に向かって長軸画像P2の上辺EF及び下辺HGが水平乃至下方に傾斜する向きで、投影角θ2が設定される。画像投影角制御部94は、長軸画像P2を、長軸画像P2の上辺EFと下辺HGをθ2の角度で傾斜させた平行四辺形画像である長軸画像V2に変換する。
【0031】
投影角処理は、好適には、超音波画像P1、P2、P3内の座標変換で実施される。たとえば、短軸画像P1から短軸画像V1への変換を例として説明すると、画像P1の頂点Cを原点(0,0)とし、頂点D方向を+x座標、頂点B方向を+y座標とした場合、P1内の画像(x1,y1)は、次の(1)式でV1内の画像(x2,y2)に座標変換される。
(x2,y2)=(x1,y1+x1×tanθ1) ・・・(1)
長軸画像P2、第3短軸画像P3についても、好適には(1)式と同様な方式で座標変換が可能である。
【0032】
投影角θ1およびθ2は、規定される傾斜方向の範囲で、検証により予め見出された好適な値が初期値として設定されてもよいし、或いは作業者の操作により好適な値が設定されてもよい。ここで、投影角θ1およびθ2の絶対値は、同じ値であっても良いし、違う値でもよく、一方の値が0度であってもよい。
【0033】
本実施例では、超音波信号処理部84の生成画像に対し、画像投影角制御部94が投影角処理を行うが、画像投影角制御部94の指令により、超音波信号処理部84が投影角処理も行い、短軸画像V1、長軸画像V2、第3短軸画像V3を生成するものであってもよい。
【0034】
図5は、画像配置制御部96の、投影角処理された短軸画像V1、長軸画像V2、第3短軸画像V3の、表示器72の表示領域への配置を説明している。画像配置制御部96は、初めに穿刺方向手前側の短軸画像V1を、表示領域の右端側に配置する。次に短軸画像V1の左辺BCと長軸画像V2の右辺EHが隣接する位置に長軸画像V2を配置する。次に長軸画像V2の左辺FGと第3短軸画像V3の右辺ILが隣接する位置に第3短軸画像V3を配置することで、画像V1、V2、V3全ての斜視表示を行う。短軸画像V1、長軸画像V2、第3の短軸画像V3の隣接の方法、すなわち隣接する辺の間隔及び上下方向のずれ幅については、検証により予め見出された好適な値を初期値としてもよいし、或いは作業者の操作により好適な値を設定できるようにしてもよい。
【0035】
画像配置制御部96は、投影角処理された画像V1、V2、V3を、おのおのの画像の下辺、すなわち短軸画像V1の下辺DCと長軸画像V2の下辺HGと第3短軸画像V3の下辺LKが投影図表示における同一の平面(以下、基準面VPとする)に位置するように配置し、基準面VPもあわせて表示することで、より立体的に視覚しやすい効果を付加することができる。
【0036】
また、図6は基準面VPを格子表示した例であり、表示パターンや模様の変更など、他にも視覚効果向上の工夫が可能である。
【0037】
本実施例では、投影角処理した画像を隣接して配置していたが、短軸画像V1に半透明化する画像処理を施し、長軸画像V2とオーバーラップするように配置すれば、より立体的な視覚効果向上につながり、空間情報の把握がより容易になる。また、このような半透明化による視覚効果向上処理は、長軸画像V2など、他の画像にも適用可能である。
【0038】
表示制御部92は、基準面VPの手前に表示されるクリックポイントPを、カーソルを用いて上下方向及び/又は左右方向にドラッグする距離に連動して、基準面VPと短軸画像及び長軸画像との投影角θ1およびθ2を連続的に変化させる。カーソルドラッグの方向、距離を検知し、画像投影角制御部94及び画像配置制御部96が連携して、表示画像の短軸方向の投影角θ1、長軸方向の投影角θ2の変更と表示処理を行う。図7図8図9は、投影角の変更を作業者の操作により行った場合の実施例である。画面上の基準面VPに表示されるクリックポイントPを下方にドラッグすることで、図7の斜視表示無しから、図8のθ1=15度、θ2=-15度、および図9のθ1=30度、θ2=-30度へ投影角を変更した例を示している。
【0039】
上述のように、本実施例の穿刺針位置表示装置24によれば、複数個の長軸用超音波振動子ae1乃至aenが直線的に配列された長軸用超音波アレイ探触子28b、および長軸用超音波アレイ探触子28bの端部に隣接して複数個の短軸用超音波振動子ae1乃至aemが長軸用超音波振動子ae1乃至aenの配列方向に直交する方向に直線的に配列された短軸用超音波アレイ探触子28aを、生体の皮膚に載置可能に有する超音波プローブユニット28と、長軸用超音波アレイ探触子28b及び短軸用超音波アレイ探触子28aに受信された反射信号に基づいて、生体内の管状臓器20の横断面を示す短軸画像V1および管状臓器20の縦断面を示す長軸画像V2を、皮膚18の下に位置する管状臓器20に対する穿刺針22と共に画像表示面に表示する表示器72とを備え、短軸画像V1は、穿刺針22の挿入手前側に向かって上辺及び下辺が水平乃至上方に傾斜する平行四辺形とし、長軸画像V2は、短軸画像V1の傾斜が水平の場合は穿刺針22の挿入手前側に向かって長軸画像V2の上辺及び下辺が下方に傾斜し、短軸画像V1の傾斜が上方の場合は穿刺針22の挿入手前側に向かって長軸画像V2の上辺及び下辺が水平乃至下方に傾斜する平行四辺形として、相互に隣接した状態で配置することにより、斜視図として表示させる表示制御部92を備えている。これにより、超音波画像の斜視表示により、穿刺針22の管状臓器20に対する向きや位置などの空間配置情報をより正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【0040】
本実施例の穿刺針位置表示装置24によれば、表示制御部92は、短軸画像V1と長軸画像V2及び第3短軸画像V3を、短軸画像V1の下辺と長軸画像V2の下辺及び第3短軸画像V3の下辺とが投影図表示における同一平面である基準面VPに位置するように表示させる。これにより、表示された斜視画像がより立体的に認知しやすくなる。穿刺針22の管状臓器20に対する向きや位置などの空間配置情報をより正確に把握することができ、管状臓器20に対する穿刺針22の穿刺作業が正確となる。
【0041】
本実施例の穿刺針位置表示装置24によれば、表示制御部92は、基準面VPの手前に表示されるクリックポイントPを、カーソルを用いて上下方向及び/又は左右方向にドラッグする距離に連動して、基準面VPと短軸画像V1と長軸画像V2及び第3短軸画像V3の投影角を連続的に変化させる表示制御部92を備える。これにより、穿刺針22の管状臓器20に対する向きや位置などの空間配置情報が把握しやすい好適な投影角を、作業者が設定できるようになり、管状臓器20に対する穿刺針22の穿刺作業が正確となる。
【実施例0042】
次に、本発明の他の実施例を説明する。以下の説明において、前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
図10は、穿刺針位置表示装置24の他の例を示している。本実施例の穿刺針位置表示装置24は、皮膚18に対する距離が調節可能に超音波プローブ28に装着され、長軸用超音波振動子ae1乃至aenの配列方向を含む面内において皮膚18に対して一定の傾斜角度で穿刺針22を案内する針案内部材56を有する穿刺針案内機構52を、備えている。
【0044】
図11図12に示すように、超音波プローブユニット28は、穿刺針案内機構52を備える。穿刺針案内機構52は、プローブ本体に嵌め着けにより固定された四角枠状の案内機構固定部54と、案内機構固定部54に対して皮膚18に対する上下方向の距離が調節可能に装着され、長軸用超音波アレイ探触子28bの配列方向を含む面内において皮膚18に対して一定の傾斜角度θn、たとえば45度の傾斜角度θnで穿刺針22を、穿刺針22の長手方向に案内する断面U字状の案内溝58が形成された針案内部材56とを、一体的に備える。案内溝58は、穿刺針22の皮膚18内への穿刺後において、超音波プローブユニット28の穿刺針22からの取り外しを可能とする。
【0045】
本実施例の穿刺針位置表示装置24によれば、超音波プローブユニット28に固定された本体と、超音波プローブユニット28本体に対して皮膚18に対する距離が調節可能に装着され、長軸用超音波振動子ae1乃至aenの配列方向を含む面内において皮膚18に対して一定の傾斜角度で穿刺針22を案内する針案内部材56を有する穿刺針案内機構52とを備える。これにより、皮膚18に対する傾斜角を一定に維持し穿刺針22が直進するように穿刺針22の向きを維持することができるので、穿刺針22の操作に高度な手技を要することがなく、穿刺作業をより安定かつ正確に実施できる。
【実施例0046】
本発明は、超音波プローブユニット28に搭載される超音波アレイ探触子の配置、構成において、実施例1で示すH型の配置、構成に限らず、他の配置、構成にも適用可能である。図13図16図19は、超音波プローブユニット28の超音波アレイ探触子の配置、構成についての他の実施例を示している。
【0047】
図13は、実施例1の超音波アレイ探触子の配置、構成から、第3短軸用超音波アレイ探触子28cを除き、短軸用超音波アレイ探触子28aと長軸用超音波アレイ探触子28bが略1平面内に位置し且つT型を成すように配列した実施例である。
【0048】
図14図15は、超音波プローブユニット28の超音波アレイ探触子が図13に示すように配置、構成された場合の斜視表示を示した模式図である。図14は、短軸用超音波アレイ探触子28aの短軸画像V1の上辺及び下辺が穿刺針挿入手前側に向かって上方に傾斜し、長軸用超音波アレイ探触子28bの長軸画像V2の上辺及び下辺が水平な場合の斜視表示例である。図15は、長軸用超音波アレイ探触子28bの長軸画像V2の上辺及び下辺が穿刺針挿入手前側に向かって下方に傾斜し、短軸用超音波アレイ探触子28aの短軸画像V1の上辺及び下辺が水平な場合の斜視表示例である。このように、短軸画像V1及び長軸画像V2のどちらか一方の画像の上辺及び下辺に傾斜があれば、もう一方の画像の上辺及び下辺は水平でも斜視表示が可能である。また、本実施例では、画像配置制御部96により、短軸画像V1の長軸画像V2側の一部が、長軸画像V2の短軸画像の一部に重なるように、短軸用超音波アレイ探触子28aの短軸画像V1及び長軸用超音波アレイ探触子28bの長軸画像V2が隣接して斜視表示される。
【実施例0049】
図16は、短軸用超音波アレイ探触子が、長軸用超音波アレイ探触子28bの長手方向の中央部を挟んで長軸用超音波アレイ探触子28bに直交する直線上に配置されている第1短軸用超音波アレイ探触子28a1および第2短軸用超音波アレイ探触子28a2から構成され、超音波プローブユニット28が、略1平面内に位置し且つ十文字型を成すように配列された長軸用超音波アレイ探触子28bと、第1短軸用超音波アレイ探触子28a1および第2短軸用超音波アレイ探触子28a2から構成された実施例である。
【0050】
本実施例では、表示制御部92に第1短軸用超音波アレイ探触子28a1及び第2短軸用超音波アレイ探触子28a2からの信号にもとづいて超音波ビームステアリングを行なって短軸画像V1を合成する画像合成部98を備える。超音波信号処理部84及び画像合成部98は、図17で示すように、長軸用超音波アレイ探触子28bで受信される管状臓器20の縦断面を示す長軸画像のうち、長軸用超音波アレイ探触子28bの穿刺方向手前側の端部から第1短軸用超音波アレイ探触子28a1及び第2短軸用超音波アレイ探触子28a2の交点までの第1長軸画像P0、第1短軸用超音波アレイ探触子28a1および第2短軸用超音波アレイ探触子28a2からの信号にもとづいて合成される管状臓器20の横断面を示す短軸画像P1、管状臓器20の縦断面を示す長軸画像のうち第1短軸用超音波アレイ探触子28a1および第2短軸用超音波アレイ探触子28a2との交点から長軸用超音波アレイ探触子28bの穿刺方向奥手側の端部までの第2長軸画像P2、を生成する。画像投影角制御部94は、第1長軸画像P0、短軸画像P1、第2長軸画像P2を、設定された投影角θ1及びθ2にもとづき、投影角処理を行い、第1長軸画像V0、短軸画像V1、第2長軸画像V2に遂次変換する。画像配置制御部96は、表示器72の表示領域に、第1長軸画像V0、短軸画像V1、第2長軸画像V2を、隣接して配置し、表示する。
【0051】
図18は、超音波プローブユニット28の超音波アレイ探触子が図16に示すように配置、構成された場合の斜視表示を示した模式図である。
【0052】
本実施例では、長軸用超音波アレイ探触子28bは第1短軸用超音波アレイ探触子28a1及び第2短軸用超音波アレイ探触子28a2との交点よりも突き出した部分を有しているので、第1長軸画像V0において管状臓器20に到達する前から穿刺針22を表示することができ、穿刺作業が容易となる。
【実施例0053】
図19は、図16の超音波アレイ探触子の配置、構成に、長軸用超音波アレイ探触子28bの穿刺方向奥手側の端部に隣接し、かつ第1短軸用超音波アレイ探触子28a1および第2短軸用超音波アレイ探触子28a2に平行に、第3短軸用超音波アレイ探触子28cを追加した実施例である。
【0054】
超音波信号処理部84及び画像合成部98は、図20で示すように、図17での第1長軸画像P0、短軸画像P1、第2長軸画像P2に加え、第3短軸用超音波アレイ探触子28cで受信される第3短軸画像P3を生成する。画像投影角制御部94は、第1長軸画像P0、短軸画像P1、第2長軸画像P2、第3短軸画像P3を、設定された投影角θ1及びθ2にもとづき、投影角処理を行い、第1長軸画像V0、短軸画像V1、第2長軸画像V2、第3短軸画像V3に遂次変換する。画像配置制御部96は、表示器72の表示領域に、第1長軸画像V0、短軸画像V1、第2長軸画像V2、第3短軸画像V3を、隣接して配置し、表示させる。
【0055】
図21は、超音波プローブユニット28の超音波アレイ探触子が図19に示すように配置、構成された場合の斜視表示を示した模式図である。
【0056】
本実施例の場合、短軸画像P1もしくはV1内に表示される管状臓器20と、第3短軸画像P3もしくはV3内に表示される管状臓器20を、それぞれの画像の左右方向の中央に位置させるように超音波プローブユニットの位置をずらすことで、長軸用超音波アレイ探触子28bを管状臓器20の真上に位置決めすることが容易となる。
【0057】
上述のように、本実施例の穿刺針位置表示装置24によれば、超音波プローブユニット28に搭載される超音波アレイ探触子28a1、28a2、28b、28cの配置、構成に即応した超音波画像の斜視表示が可能である。これにより、穿刺針22の管状臓器20に対する向きや位置などの空間配置情報をより正確に把握することができ、穿刺作業が格段に正確となる。
【0058】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0059】
たとえば、前述の実施例において、超音波プローブユニット28は、上腕16に対して当てられるものであったが、生体の前腕や、生体の大腿部、頸部、胸部のような他の部分に当てられてもよい。
【0060】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0061】
24:穿刺針位置表示装置
28:超音波プローブユニット
28a:短軸用超音波アレイ探触子
28a1:第1短軸用超音波アレイ探触子
28a2:第2短軸用超音波アレイ探触子
28b:長軸用超音波アレイ探触子
28c:第3短軸用超音波アレイ探触子
52:穿刺針案内機構
70:電子制御装置(画像表示制御部)
72:表示器
74:超音波駆動制御回路
80:超音波駆動制御部
82:検波処理部
84:超音波信号処理部
92:表示制御部
94:画像投影角制御部
96:画像配置制御部
98:画像合成部
V1、V3:短軸画像
V0、V2:長軸画像
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
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