(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171277
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/42 20060101AFI20241204BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241204BHJP
B65H 9/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B41J11/42
G03G15/00 450
B65H9/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088267
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】森 永恒
【テーマコード(参考)】
2C058
2H072
3F102
【Fターム(参考)】
2C058AB15
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF20
2C058GA11
2C058GB03
2C058GB13
2C058GB14
2C058GB31
2C058GB33
2C058GB47
2C058GB53
2C058GC02
2C058GE02
2H072AA03
2H072AA09
2H072AA13
2H072AA24
2H072CB07
2H072HB07
2H072JA02
3F102AA11
3F102AB01
3F102BA03
3F102BB07
3F102CA05
3F102CB01
3F102CB02
3F102EA02
3F102EC03
3F102FA03
3F102FA04
(57)【要約】
【課題】 シートのオモテ面に形成される画像とシートのウラ面に形成される画像との位置にずれが生じてしまう。
【解決手段】 シートSを搬送する搬送ローラ対2118と、シートSの先端の傾きを検知するレジセンサ2103、及び2104と、検知された前記シートの先端の傾きを目標傾きに基づいて制御するASIC70、及びレジストローラ2109、及び2110と、シートSに画像を形成する記録ヘッド10と、シートSが排出される排紙積載モジュール7000と、シートSを読み取るインラインスキャナユニット1と、シートSの両面に画像が形成される場合に、第1面に画像が形成されたシートSをスイッチバックする反転部4200と、反転部4200によりスイッチバックされたシートSの先端の傾きを制御する際の目標傾きを、インラインスキャナユニット1により読み取られたシートSの読取画像に基づき生成する演算部7と、を有する。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送する搬送手段と、
前記搬送手段により前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向に対する前記シートの先端辺の傾きに応じた第1データを取得する第1取得手段と、
前記シートの姿勢を制御するシート制御手段と、
前記シート制御手段により前記姿勢が制御された前記シートに画像を形成する画像形成手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された後の前記直交方向に対する前記シートの先端辺の傾きに応じた第2データ、及び前記後端辺の傾きに応じた第3データを取得する第2取得手段と、
前記シートの両面に画像が形成される場合に、前記画像形成手段により第1面に画像が形成された前記シートをスイッチバックすることで、前記シートの前記第1面と異なる第2面に画像が形成されるように、前記スイッチバックした前記シートを前記画像形成手段に搬送する反転手段と、を有し、
前記第1取得手段は、前記シートの両面に画像が形成される場合、前記反転手段によりスイッチバックされた後に該シートの第1データを取得し、
前記シート制御手段は、前記反転手段によりスイッチバックされた後の前記シートの姿勢を、前記反転手段によりスイッチバックされる前に前記第2取得手段により取得された第2データ及び第3データと、前記反転手段によりスイッチバックされた後に前記第1取得手段により取得された第1データに基づき制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成手段は、インクを前記シートに吐出することで画像を形成する記録ヘッドを有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成手段は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電部と、前記感光体に静電潜像を形成するために前記帯電部により帯電された前記感光体を露光する露光部と、前記感光体の前記静電潜像をトナーを用いて現像する現像部と、を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート制御手段は、前記反転手段によりスイッチバックされた後の前記シートの先端辺の目標傾きを、前記反転手段によりスイッチバックされる前に前記第2取得手段により取得された前記第2データと、前記反転手段によりスイッチバックされる前に前記第2取得手段により取得された前記第3データとに基づき生成する生成部をさらに有し、
前記シート制御手段は、前記反転手段によりスイッチバックされた後の前記シートの姿勢を、前記生成部により生成された前記目標傾きと前記反転手段によりスイッチバックされた後に前記第1取得手段により取得された前記第1データとに基づき制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記搬送手段により前記シートが搬送される搬送方向に直交する直交方向の前記シートの先端辺の位置に応じた第4データを取得する第3取得手段と、
前記画像形成手段により画像が形成された後の前記直交方向の前記シートの先端辺の位置に応じた第5データ、及び前記後端辺の位置に応じた第5データを取得する第4取得手段と、をさらに有し、
前記第3取得手段は、前記シートの両面に画像が形成される場合、前記反転手段によりスイッチバックされた後に該シートの第4データを取得し、
前記シート制御手段は、前記反転手段によりスイッチバックされた後の前記シートの姿勢を、前記反転手段によりスイッチバックされる前に前記第2取得手段により取得された第2データ及び第3データと、前記反転手段によりスイッチバックされる前に前記第4取得手段により取得された第5データ及び第6データと、前記反転手段によりスイッチバックされた後に前記第1取得手段により取得された第1データと、前記反転手段によりスイッチバックされた後に前記第3取得手段により取得された第4データとに基づき制御することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像形成装置によりシートに形成される画像の画像形成位置を調整する印字位置制御に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を形成する画像形成装置は、シートのオモテ面に形成される画像と該シートのウラ面に形成される画像の位置を合わせるため、シートの搬送される位置を目標位置に制御する技術が知られている。例えば、シートの一辺(基準辺と称す。)を基準として、該基準辺が目標位置となるようにシートが搬送される搬送方向に直交する方向のシートの位置を制御するものである(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、先行文献1に記載の技術では、シートの形状が原因で、オモテ面の画像とウラ面の画像の相対的な位置を高精度に制御することができなかった。これは、シートの製造ロットごとにシートの裁断に違いがあったり、シートを保管している保管場所の環境(温度や湿度)が原因でシートの形状が変化してしまうからである。シートの形状が理想的な矩形と異なる場合、オモテ面に画像を形成する際のシートの基準辺とウラ面に画像を形成する際のシートの基準辺とが平行ではないので、オモテ面の画像とウラ面の画像との間に位置ズレが生じてしまう。
【0005】
そこで、本発明は、シートのオモテ面に形成される画像とシートのウラ面に形成される画像との位置を高精度に合わせることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に記載の画像形成装置は、シートを搬送する搬送手段と、前記搬送手段により搬送される前記シートの先端の傾きを検知する検知手段と、前記検知手段により検知された前記シートの先端の傾きを目標傾きに基づいて制御するシート制御手段と、前記シート制御手段により前記傾きが制御された前記シートに画像を形成する画像形成手段と、前記画像形成手段により前記画像が形成された前記シートが排出される排出部と、前記画像形成手段と前記排出部との間に設けられ、前記画像形成手段により画像が形成された前記シートを読み取る読取手段と、前記シートの両面に画像が形成される場合に、前記画像形成手段により第1面に画像が形成された前記シートをスイッチバックすることで、前記シートの前記第1面と異なる第2面に画像が形成されるように、前記スイッチバックした前記シートを前記画像形成手段に搬送する反転手段と、前記反転手段によりスイッチバックされて搬送された前記シートの先端の傾きを前記シート制御手段が制御する際の前記目標傾きを、前記読取手段により読み取られた前記シートの読取画像に基づき生成する生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、シートのオモテ面に形成される画像とシートのウラ面に形成される画像との位置を高精度に合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】レジストレーションユニットとその周辺構成の斜視図
【
図6】表裏ずれが発生するケースを説明するための模式図
【
図7】表裏ずれが発生する別のケースを説明するための模式図
【
図8】直角度のずれと表裏ずれの測定結果を示すデータ
【
図11】シートの先端の傾きの目標を決定する方法を説明する模式図
【
図12】シートの幅方向の目標位置を決定する方法を説明する模式図
【発明を実施するための形態】
【0009】
(画像形成装置)
以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。
【0010】
図1は、インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。このインクジェット記録装置は、反応液とインクとの2液を用いてシートSにインク像を形成する記録物を製造する、枚葉式のインクジェット記録装置である。
【0011】
本実施形態のインクジェット記録装置は、給紙モジュール1000、プリントモジュール2000、乾燥モジュール3000、定着モジュール4000、冷却モジュール5000、反転モジュール6000、排紙積載モジュール7000を備える。給紙モジュール1000から供給されるカット紙(以下ではシートS)は、搬送経路に沿って搬送され、各モジュールで処理がなされ、排紙積載モジュール7000に排出される。
【0012】
給紙モジュール1000は、シートSを収容する収納庫1100a~cが3つ配置されており、収納庫1100a~cは、装置正面側へ引き出し可能な構成である。シートSは、各収納庫1100a~cにおいて分離ベルトおよび搬送ローラにより1枚ずつ給送され、プリントモジュール2000へ搬送される。なお、収納庫1100a~cは3つであることに限定はされず、1つや2つ、あるいは4つ以上を有する構成でもよい。
【0013】
プリントモジュール2000は、レジストレーションユニット2100、プリントベルトユニット2200、記録部2300を有する。給紙モジュール1000から搬送されたシートSは、レジストレーションユニット2100によりシートSの傾きやシートSが搬送される搬送方向に直交する直交方向(シートSの幅方向)の位置が補正されプリントベルトユニット2200へ搬送される。搬送経路に対し、プリントベルトユニット2200と対向する位置に記録部2300が配置される。記録部2300は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッド10(
図2)によりインクを吐出してシートS上に画像を形成する。シートSは、プリントベルトユニット2200により吸着搬送されることにより、記録ヘッド10(
図2)とのクリアランスが確保される。
【0014】
また、記録ヘッド10(
図2)は搬送方向に沿って複数並べられている。本例では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色に加えて、反応液に対応した計5つのライン型記録ヘッドを有する。各ライン型記録ヘッドは、その長手方向に複数のインク吐出口が並んだ構成となっている。なお、色数および記録ヘッド10(
図2)の数は5つに限定はされない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。各色のインクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド10(
図2)に供給される。記録部2300で印字されたシートSは、プリントベルトユニット2200により搬送され、記録部2300の搬送方向下流側に配置されたインラインスキャナユニット1(
図2)を用いて読み取られる。本実施形態に記載のインクジェット記録装置は、インラインスキャナユニット1(
図2)によって読み取られたシートSの読取画像に基づき、シートSに形成された画像の位置ズレや色濃度を検出して、後続の印刷画像を補正することができる。
【0015】
乾燥モジュール3000は、デカップリング部3200、乾燥ベルトユニット3300、温風吹付部3400を有し、記録部2300でシートS上に付与されたインクに含まれる液体分を減少させ、シートSとインクとの定着性を高めるユニットである。プリントモジュール2000の記録部2300で印字されたシートSは、乾燥モジュール3000内に配置されたデカップリング部3200に搬送される。デカップリング部3200では、上方から風圧とベルトの摩擦でシートSを搬送することができ、ベルト上にシートSを保持して搬送することで、ベルト上のシートSのズレを防ぐ。デカップリング部3200から搬送されたシートSは、乾燥ベルトユニット3300にて吸着搬送されると同時に、ベルト上方に配置された温風吹付部3400から熱風を付与してシートSのインク付与面を乾燥させる。
【0016】
定着モジュール4000は、上ベルトユニットと下ベルトユニットとから構成される定着ベルトユニット4100を有する。定着モジュール4000は、乾燥モジュール3000から搬送されたシートSを、加熱した上ベルトユニットと下ベルトユニットの間を通過させることで、インク溶媒をシートSに十分に浸透させる。
【0017】
冷却モジュール5000は、冷却部5100を複数有し、定着モジュール4000から搬送された高温のシートSを冷却する。冷却部5100は、外気をファンで冷却ボックス内に取り込んで、冷却ボックス内の圧力を高め、搬送ガイドに形成されたノズルから噴き出す風をシートSに当てることにより、シートSを冷却する構成である。冷却部5100は、搬送経路に対し両側に配置され、シートSを両面から冷却することができる。また、冷却モジュール5000内には搬送経路切換え部を有し、シートSを反転モジュール6000に搬送する場合と、両面印刷時に使用する両面搬送経路に搬送する場合に応じて、シートSの搬送経路を切り換えることができる。両面印刷時、シートSは冷却モジュール5000の下方の搬送経路に搬送され、定着モジュール4000、乾燥モジュール3000、プリントモジュール2000、給紙モジュール1000の両面搬送経路に沿って更に搬送される。その後、プリントモジュール2000のレジストレーションユニット2100、プリントベルトユニット2200へと搬送され、記録部2300でシートSの第2面に画像が印字される。定着モジュール4000の両面搬送部は、シートSの表裏を反転させる反転部4200を有する。
【0018】
反転モジュール6000は反転部6400を有し、排出すべきシートSの表裏を反転させることができ、排出されるシートSの表裏向きを変更することができる。
【0019】
排紙積載モジュール7000は、トップトレイ7200と積載部7500を有し、反転モジュール6000から搬送されたシートSを整列積載する。トップトレイ7200はシートSが排出される排出部として機能する。あるいは、積載部7500はシートSが排出される排出部として機能する。
【0020】
(インク)
インクはインク全質量を基準として、0.1質量%~20.0質量%の樹脂成分と水及び水溶性有機溶剤、色材、Wax、添加剤を含有する。
【0021】
(乾燥機能部)
シートSに付与された反応液およびインクの液体成分を加熱乾燥させる加熱乾燥モジュール3000は、反応液およびインクを加熱乾燥させることで、反応液およびインク中の水分蒸発が促進され、シートSのコックリングを抑制することができる。
【0022】
乾燥モジュール3000は加熱乾燥できるいかなる装置であってもよく、従来から知られている各種装置を適宜用いることができるが、温風乾燥機、ヒーターが好ましい。ヒーターの種類も特に制限はなく、公知の方法から適宜選択して適用することが好ましいが、中でも、電熱線、赤外線ヒーターによる加熱が安全性やエネルギー効率の点から好ましい。
【0023】
(プリントモジュール)
図2はプリントモジュール2000の概略断面図である。プリントベルトユニット2200は、プリントベルト25と、プリントベルト25を張架する4本の張架ローラ21~24と不図示のファンとを備える。記録ヘッド10に対向するプリントベルト25のベルト表面は、張架ローラ21と張架ローラ24とで張架された作像面26と呼ばれる。プリントベルト25には不図示の吸引穴が形成されている。ファン(不図示)が吸引穴から吸気することで、プリントベルト25はシートSを吸着したまま搬送する。
図2の搬送方向に沿って搬送されたシートSはプリントベルト25に担持され、作像面26を通過する間に、記録ヘッド10によって画像が形成される。
【0024】
また、シートSが搬送される搬送方向において記録ヘッド10より下流にプリントベルト25上のシートSとシートSに形成された画像を読み取るインラインスキャナユニット1が設置されている。
【0025】
(プリントベルトユニット)
図3はプリントベルトユニット2200の要部斜視図を示す。張架ローラ21はプリントベルト25を回転させる駆動ローラである。張架ローラ22はプリントベルト25の内面からプリントベルト25の外側に向けてプリントベルト25を押圧するテンションローラである。張架ローラ24はプリントベルト25の回転によって従動回転する従動ローラである。
【0026】
エッジセンサ30a、及び30bは、プリントベルト25のエッジ部を検出する。エッジセンサ30a、及び30bにより検出されたエッジ部の位置に基づきプリントベルト25の寄り量が検知される。張架ローラ23は、シートSが搬送される搬送方向に直交する幅方向(記録ヘッド10の長手方向)へのプリントベルト25の寄り移動を補正するように、モータ50によって張架ローラ23の一方の端部が揺動される。張架ローラ23とモータ50はプリントベルト25の寄り移動を補正するためのステアリングローラとして機能する。なお、記録ヘッド10の長手方向はプリントベルトユニット2200がシートSを斜送せずに搬送した場合の搬送方向(既定の搬送方向)に直交する。
【0027】
また、エッジセンサ30aにより検知されたエッジ部の位置が目標位置となるように、張架ローラ24はエッジセンサ30aに基づきモータ40によって張架ローラ24の軸線方向(スラスト方向)へ移動する。同様に、エッジセンサ30bにより検知されたエッジ部の位置が目標位置となるように、張架ローラ21はエッジセンサ30bに基づきモータ40によって張架ローラ21の軸線方向(スラスト方向)へ移動する。
【0028】
スラスト方向への移動量は繰り返し検出されるエッジ位置とプリントベルト25の1周前のエッジ位置との差分が小さくなるように決定される。このスラスト方向への移動によるプリントベルト25の位置制御はプリントベルト25が回転している間は常に行われる。
【0029】
(レジストレーションユニット2100)
図4はレジストレーションユニット2100とその周辺構成の斜視図である。
図5はレジストレーションユニット2100の要部概略図である。レジストレーションユニット2100は、イメージセンサ2101及び2102、レジセンサ2103及び2104、モータ2105及び2106、ステアリングモータ2107及び2108、レジストローラ2109及び2110を備える。レジストレーションユニット2100よりもシートSの搬送方向上流には搬送ローラ対2119が配置されている。搬送ローラ対2119よりもシートSの搬送方向上流には搬送ローラ対2118が配置されている。搬送ローラ対2118及び2119はレジストレーションユニット2100へシートSを搬送する。
【0030】
レジストレーションユニット2100のレジストローラ2109及び2110は、搬送ローラ対2118及び2119から搬送されたシートSを受け取る。レジストローラ2109及び2110はポリウレタン製のゴムローラである。レジストローラ2109はモータ2105により回転駆動される。レジストローラ2109はレジストローラ2109と対向する従動ローラ(不図示)を押圧することでシートSを挟持するニップ部を形成している。レジストローラ2110はモータ2106により回転駆動される。レジストローラ2110はレジストローラ2110と対向する従動ローラ(不図示)を押圧することでシートSを挟持するニップ部を形成している。モータ2105及び2106が駆動することでレジストローラ2109及び2110がシートSをプリントベルトユニット2200へ向けて搬送する。
【0031】
レジセンサ2103及び2104は、シートSの先端辺(及び後端辺)が検知位置を通過するタイミングを検知する。レジセンサ2103の検知位置とレジセンサ2104の検知位置とは、シートSの搬送方向に直交する幅方向において異なる。レジセンサ2103がシートSの先端辺を検知したタイミングとレジセンサ2104がシートのSの先端辺を検知したタイミングとの差分から、既定の搬送方向に直交する直交方向に対するシートSの先端辺の傾き(斜行量)が求まる。ここで、レジストローラ2109とレジストローラ2110は各々異なる駆動モータ(モータ2105、及び2106)によって駆動される。
図5に示すように、レジストレーションユニット2100は、レジストローラ2109の搬送速度VLとレジストローラ2110の搬送速度VRの速度差を調整することで、シートの斜行を補正できる。
【0032】
また、レジストレーションユニット2100は、シートSの搬送方向に直交する方向に対するレジストローラ2109の回転軸の角度を変更する。レジストローラ2109の回転軸はステアリング軸2115に支持される。ステアリング軸2115の軸線方向はレジストローラ2109に搬送されるシートS表面に垂直な方向である。ステアリング軸2115は、駆動入力ギア2111Lとモータギア2112Lを介してステアリングモータ2107によって軸線方向を中心に回転する。これによりレジストローラ2109の回転軸がステアリング軸2115の回転軸を中心に揺動して、レジストローラ2109によるシートSの斜送方向が制御される。ここで、斜送方向とは既定の搬送方向に対してシートSが斜めに搬送される(斜送の)方向である。
【0033】
同様に、レジストレーションユニット2100は、シートSの搬送方向に直交する方向に対するレジストローラ2110の回転軸の角度を変更する。レジストローラ2110の回転軸はステアリング軸2116に支持される。ステアリング軸2116の軸線方向はレジストローラ2110に搬送されるシートS表面に垂直な方向である。ステアリング軸2116は、駆動入力ギア2111Rとモータギア2112Rを介してステアリングモータ2108によって軸線方向を中心に回転する。これによりレジストローラ2110の回転軸がステアリング軸2116の回転軸を中心に揺動して、レジストローラ2110によるシートSの斜送方向が制御される。
【0034】
図5(a)は、レジストローラ2109、及び2110の回転軸の角度がシートSの搬送方向に直交する直交方向(幅方向)と平行である場合にレジストローラ2109、及び2110がシートSに搬送力を与える方向を示している。ステアリング軸2115、及び2116が回転することで、レジストローラ2109、及び2110がシートSに搬送力を与える方向が
図5(b)に示すように変化する。
【0035】
ここで、説明は
図4に戻る。イメージセンサ2101はシートSの一方のエッジ部を検知し、イメージセンサ2102はシートSの他方のエッジ部を検知する。レジストレーションユニット2100は、シートSのエッジ部の検知結果から幅方向においてシートSの位置を検知し、シートSの幅方向の位置が目標位置(幅方向)となるように、レジストローラ2109、及び2110の回転軸の角度が調整される。ここで目標位置(幅方向)は、例えばプリントベルト25の幅方向の中心位置とする。
【0036】
図5(c)は、レジストローラ2109、及び2110にシートSが搬送される前の模式図である。
図5(d)に示すように、レジストレーションユニット2100はレジストローラ2109及び2110の搬送速度VL、及びVRの速度差が、レジセンサ2103及び2104により検知された搬送されたシートSの先端辺の傾き(斜行量)に基づき制御される。ここでは説明をわかりやすくするため、シートSが回転し、シートSの先端辺が幅方向と平行となるように、シートSの姿勢が制御されている。さらに、
図5(e)に示すように、レジストレーションユニット2100はレジストローラ2109、及び2110の回転軸の角度が、イメージセンサ2101、及び2102により検知されたシートSのエッジ部の位置に基づき制御される。これにより、幅方向におけるシートSの搬送位置が目標位置(幅方向)よりもレジストローラ2110側に位置する場合であっても、シートSが斜めに搬送され、シートSが目標位置(幅方向)に到達した状態でプリントベルト25はシートを担持する。
【0037】
(表裏ずれ)
インクジェット記録装置は、第1面(オモテ面)に画像が形成されたシートSを反転部4200を用いてスイッチバックすることで、搬送方向に対する該シートSの表裏が入れ替わる。反転部4200からのシートSは再びプリントベルト25に担持されて記録ヘッド10により画像が形成される。このとき、シートSの第2面(ウラ面)が上向きになった状態でプリントベルト25に担持され、シート第2面(ウラ面)に記録ヘッド10により画像が形成される。両面印刷時にシートSをスイッチバックする構成においては、第1面目の基準となる先端辺と第2面目の基準となる先端辺(第1面目に画像を形成した際のシートSの後端辺)が逆になる。
【0038】
そのため、シートSの先端辺が搬送方向に直交する幅方向に平行となるようにシートSの姿勢を制御する構成では、
図6に示すように、シートSの先端辺と後端辺が平行でない場合に、第1面の基準となる辺の傾きと第2面の基準となる辺の傾きが異なる。これにより、シートSの第1面に形成された画像とシートSの第2面に形成された画像との間にθ2-θ1分のずれが生じる。
【0039】
また、第2面目の画像が形成される際のシートSの先端辺の中心位置が第1面目の画像が形成される際のシートSの先端辺の中心位置となるようにシートSの幅方向のシートSの搬送位置(通過位置)が制御される。この構成では、搬送方向に対するシートSの先端辺の角度にかかわらず、シートSの幅方向においてずれが生じる可能性がある。
図7に示すように、シートSの搬送方向に直交する幅方向の両端辺が搬送方向に対して傾いている場合に、シートSの幅方向の搬送位置が誤って補正されてしまう。この場合、第1面に形成された画像の位置と第2面に形成された画像の位置との間に先端辺と後端辺の中心位置の差に相当するずれが生じる。
【0040】
図8に先端辺と後端辺の中心位置のずれ(シートSの直角度のずれ)によるシートSの幅方向のずれに関して発明者達の実験結果のデータを示す。
図8(a)は、500枚分のシートSの直角度のずれを1枚ずつ測定した結果である。X軸(横軸)が通紙枚数であり、Y軸(縦軸)がシートSの直角度のずれ量を表している。
図8(b)は、500枚分のシートSの第1面の画像と第2面の画像の画像形成位置のずれ(以降表裏ずれと称す)を測定した結果である。X軸(横軸)が通紙枚数であり、Y軸(縦軸)が表裏ずれ量を表している。なお、シートSの直角度のずれ量とは、
図8(c)に示すように、シートSの先端辺の角から先端辺に直角な仮想直線を描いた場合に、シートSの後端辺の角と仮想直線との距離と定義する。
【0041】
図8(a)に示すシートSの直角度のずれの傾向は、
図8(b)の表裏ずれの傾向に似ている。このことから、シートSの先端と後端の形状の差異によりシートSに形成される画像の表裏ずれが発生していることがわかる。このようなシートSの先端と後端の形状差異(平行度や直角度のずれ)は紙裁断時のずれや環境変動による紙の収縮により発生することがわかっている。また、複数のシートSに画像を形成している間にも変動することがわかっている。
【0042】
そこで、本実施形態に記載のインクジェット記録装置は、第1面に画像が形成された後のシートSの形状を取得し、シートSの第2面に画像が形成される際のシートSの先端辺の傾き(斜行量)を第1面目のシートSの先端辺、及び後端辺の傾きに基づき制御する。インクジェット記録装置は、シートSの第2面に画像が形成される際、スイッチバック後のシートSの先端辺の傾き(斜行量)が第2面用の目標傾きとなるようにシートSの姿勢が制御される。
【0043】
第1面に画像が形成される際のシートSの先端辺の傾き(斜行量)を第1面用の目標傾きとなるように補正しても、シートSの先端辺の傾き(斜行量)に補正誤差が残っている可能性がある。そのため、本実施形態に記載のインクジェット記録装置は、第2面目の先端辺の目標傾きを、第1面に画像が形成された後のシートSの後端辺の傾きだけではなく、第1面に画像が形成された後のシートSの先端辺の傾き(斜行量)も用いて決定している。
【0044】
また、本実施形態に記載のインクジェット記録装置は、シートSの第2面に画像が形成される際のシートSの幅方向においてシートSが通過する位置(基準位置)を、第1面に画像が形成された後のシートSの形状に基づき制御する。第1面に画像が形成された後に、シートSの先端辺の中心位置、及びシートSの後端辺の中心位置がシートSの形状から取得される。そして、インクジェット記録装置は、第2面目シートSの先端辺の中心位置の目標位置を、第1面目のシートSの先端辺の中心位置と第1面目のシートSの後端辺の中心位置の差分だけシートSの幅方向にシフトする。
【0045】
また、シートSの搬送方向において先端側、及び後端側の余白長さは予め決まった値となっている。しかし、シートSの搬送方向の先端辺と後端辺とが平行でない場合、第1面目の画像と第2面目の画像の画像形成位置が搬送方向においてずれてしまう可能性がある。そこで、本実施形態のインクジェット記録装置は、シートSの四隅の角の座標からシートSの搬送方向の長さを検知し、検知長さがシートサイズに対応する標準的な搬送方向の長さ(称呼の長さ)と比較し、第2面目の画像の先端の余白長さを調整する。具体的には、検知長さが基準長さよりも長い場合、第1面目の画像の後端の余白長さが長くなるので、検知長さと基準長さの差分だけ第2面目の画像の先端側の余白長さを予め決まった値よりも長くする。一方、検知長さが基準長さよりも短い場合、第1面目の画像の後端側の余白長さが短くなるので、検知長さと基準長さの差分だけ第2面目の画像の先端側の余白長さを予め決まった値よりも短くする。
【0046】
シートSの形状、四隅の角、シートSの搬送方向の長さを検知するため、インクジェット記録装置は、搬送方向において記録ヘッド10(
図2)より下流にインラインスキャナユニット1を有する。インラインスキャナユニット1は、第1面目の画像が形成された直後のシートSを記録ヘッド10(
図2)がインクを吐出する記録位置より搬送方向下流の読取位置において読み取ることができる。インクジェット記録装置はインラインスキャナユニット1により読み取られたシートSの読取画像に基づき、シートSの形状、四隅の角、シートSの搬送方向の長さを取得し、第2面目に画像を形成するときのシートSの搬送を制御する。
【0047】
(インラインスキャナユニット)
図9に記録ヘッド10(
図2)の搬送方向下流に設けられたインラインスキャナユニット1の概略断面図を示す。インラインスキャナユニット1はプリントベルト25に担持されたシートSの形状とシートS上の画像(トンボマーク)を読み取る。インラインスキャナユニット1はハウジング2と、ハウジング2に収容されたラインセンサ3と、読取ガラス4と、基準板6とを有する。ラインセンサ3は不図示の光源から光を照射し、シートSからの反射光を読取ガラス4を介して受光することで、シートSの読取画像を生成する。ラインセンサはCIS、或いはCCDである。なお、インラインスキャナユニット1は、基準板6からの反射光がラインセンサ3に受光されるようにラインセンサ3を移動可能である。インラインスキャナユニット1はラインセンサ3に受光された基準板6からの反射光に基づきラインセンサ3の各画素の出力値を目標値に制御するシェーディング補正を実行する。
【0048】
(システム構成)
図10はインクジェット記録装置の制御ブロック図である。以下では、レジストレーションユニット2100によりシートSの搬送を制御する搬送制御が
図10の制御ブロック図を用いて説明される。
【0049】
コントローラ9はCPU90を備え、インクジェット記録装置の全体を制御する。RAM91は、CPU90が処理のために使用するシステムワークメモリである。ROM92には、インクジェット記録装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。HDD93には、インラインスキャナユニット1のCIS3によって読み取られたシートSの読取画像や、演算部7により演算された第2面用の目標傾き、第2面用の目標位置の補正値、及び第2面目の余白長さが各シートに対応付けて格納される。
【0050】
演算部7は、HDD93に格納された第1面目のシートSの読取画像から、シートSの四隅の角の座標を決定し、この座標に基づいて第1面目の先端辺、及び後端辺の傾きを求める。ここで、第1面目の先端辺の傾きとは、第1面に画像が形成された後にインラインスキャナユニット1の読取位置において取得される、既定の搬送方向に対するシートSの先端辺の傾きである。また、第1面目の後端辺の傾きとは、第1面に画像が形成された後にインラインスキャナユニット1の読取位置において取得される、既定の搬送方向に対するシートSの後端辺の傾きである。演算部7は、第2面目用の目標傾きを第1面目の先端辺、及び後端辺の傾きに基づいて算出する。演算部7は、第2面目用の目標傾きを第1面目に画像が形成された後であって且つスイッチバックされる前のシートSの先端辺の傾きに応じたデータ及び後端辺の傾きに応じたデータに基づき生成する第1生成部として機能する。さらに、演算部7は、シートSの四隅の角の座標に基づいて第1面目の先端辺、及び後端辺の中心位置の座標を求め、第2面目用の目標位置(幅方向)の補正値を第1面目の先端辺、及び後端辺の中心位置の座標に基づいて算出する。演算部7は、第2面目用の目標位置(幅方向)を第1面目に画像が形成された後であって且つスイッチバックされる前の幅方向におけるシートSの先端辺の位置に応じたデータ及び後端辺の位置に応じたデータに基づき生成する第2生成部として機能する。さらに、演算部7は、シートSの搬送方向の長さを第1面目の先端辺、及び後端辺の中心位置の座標に基づいて算出し、シートSの第2面目の先端の余白長さを決定する。
【0051】
ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略)70はレジストレーションユニット2100を制御する。レジストレーションユニット2100とASIC70は、シートSの先端辺の傾き(斜行量)を制御するシート制御手段として機能する。また、レジストレーションユニット2100とASIC70は、シートSの幅方向の位置を制御するシート制御手段としても機能する。なお、以下ではASIC70がレジストレーションユニット2100を制御するが、コントローラ9のCPU90がASIC70の代わりにレジストレーションユニット2100を制御する構成であってもよい。
【0052】
シートSの第1面に画像が形成される場合、ASIC70はイメージセンサ2101及び2102によりシートSの幅方向の端部を検知すると共に、レジセンサ2103及び2104によりシートSの搬送方向の先端辺の傾き(斜行量)を検知する。そして、ASIC70はシートSの先端辺の傾き(斜行量)が第1面用の目標傾きとなるように、レジセンサ2103及び2104の検知結果に基づきレジストローラ2109及び2110の速度差を決定する。ここで、第1面用の目標傾きは、シートSの先端辺がシートSの幅方向と平行となる傾きであり、予め決まっている。目標傾きに制御するための2つのレジストローラ2109及び2110の速度差と先端辺の傾き(検知した傾き)の関係は、ROM92にデータとして予め格納されている。ASIC70はROM92に格納されたデータから先端辺の傾き(検知した傾き)に基づき、シートSの第1面に画像を形成する際の2つのレジストローラ2109及び2110の速度差(第1面目の速度差)を決定する。そして、ASIC70は、前述の第1面目の速度差に基づきモータ2105及び2106の回転速度を制御する。
【0053】
また、ASIC70はシートSの先端辺の中心位置が目標位置となるように、イメージセンサ2101及び2102の検知結果に基づきレジストローラ2109及び2110の回転軸の傾きを決定する。ここで、第1面用の目標位置は予め決まっており、ROM92に格納されている。ASIC70はROM92に格納された目標位置となるようにステアリングモータ2107及び2108の回転量を制御する。
【0054】
次に、シートSの両面(オモテ面とウラ面)に画像が形成される場合、記録ヘッド10がシートSの第1面に画像を形成した後、シートSは搬送方向において記録ヘッド10の下流に設けられたインラインスキャナユニット1によって読み取られる。
【0055】
演算部7は、シートSの先端辺と後端辺の平行度のずれが原因の表裏ずれを抑制するため、シートSの第2面目に画像が形成される前に、第2面用の先端辺の目標傾きを決定する。第2面用の目標傾きを決定する方法について
図11を用いて説明する。
【0056】
演算部7は、第1面に画像が形成された後にインラインスキャナユニット1により読み取られたシートSの読取画像に基づき、第1面に画像が形成された後のシートSの4隅の角の位置(X1,Y1)~(X4,Y4)を検知する。演算部7は、シートSの先端辺の角度θ1をθ1=Arctan((Y2-Y1)/(X2-X1))により計算し、シートSの後端辺の角度θ2をθ2=arctan((Y4-Y3)/(X4-X3))により計算する。そして、演算部7は、シートSの先端辺と後端辺の平行度のずれをシートSの先端辺と後端辺の角度差θ2-θ1として決定する。
【0057】
さらに、演算部7は、シートSの直角度が原因の表裏ずれを抑制するため、シートSの第2面目に画像が形成される前に、第2面用の幅方向の目標位置を決定する。第2面用の目標位置の補正値を決定する方法について
図12を用いて説明する。
【0058】
演算部7は、シートSの先端辺の中心位置XleadをXlead=X2-X1により計算し、シートSの後端辺の中心位置XrearをXrear=X4-X3として計算する。そして、第2面用の目標位置の補正値ΔXをΔX=(X4-X3)-(X2-X1)により算出する。
【0059】
次に、インラインスキャナユニット1によって読み取られたシートSは、反転部4200へ搬送される。反転部4200ではシートSの搬送を停止した後、反転部4200のローラ(不図示)が逆回転することでシートSがスイッチバックされる。反転部4200においてスイッチバックしたシートSは、第2面を上向きにした状態で再びレジストレーションユニット2100に搬送される。
【0060】
シートSの第2面に画像が形成される場合、ASIC70はイメージセンサ2101及び2102によりシートSの幅方向の端部を検知すると共に、レジセンサ2103及び2104によりシートSの搬送方向の先端辺の傾き(斜行量)を検知する。そして、ASIC70はシートSの先端辺の傾き(斜行量)が第2面用の先端辺の目標傾き(目標斜行量)となるように、レジセンサ2103及び2104の検知結果に基づきレジストローラ2109及び2110の速度差を決定する。第2面の先端辺の傾き(斜行量)を制御するための速度差もROM92に格納されたデータを参照して決定される。ASIC70はROM92に格納されたデータから先端辺の傾き(検知した斜行量)に基づき、シートSの第2面に画像を形成する際の2つのレジストローラ2109及び2110の速度差(第2面目の速度差)を決定する。そして、ASIC70は、前述の第2面目の2つのレジストローラ2109及び2110の速度差に基づきモータ2105及び2106の回転速度を制御する。
【0061】
また、ASIC70はシートSの先端辺の中心位置が第2面用の目標位置となるように、イメージセンサ2101、及び2102の検知結果に基づきレジストローラ2109、及び2110の回転軸の傾きを決定する。なお、ASIC70は、第2面用の目標位置を第1面用の目標位置にΔXを加算することで決定する。ASIC70は第2面要の目標位置となるようにステアリングモータ2107、及び2108の回転量を制御する。
【0062】
以上説明したように、レジストレーションユニット2100によるシートSの搬送を制御することで、シートSの第1面の画像と第2面の画像との表裏ズレを高精度に抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態の演算部7は、表裏ズレを抑制するために、第2面用の目標傾きと第2面用の目標位置との両方を、インラインスキャナユニット1によるシートSの読取画像を用いて生成している。しかしながら、第2面用の目標位置を可変せず、第2面用の目標傾きをインラインスキャナユニット1によるシートSの読取画像を用いて生成する構成としてもよい。この構成によっても、平行度のずれによる表裏ズレが抑制されるので、第2面用の目標傾きを可変しない構成と比較して画像形成位置のズレを抑制することができる。また、第2面用の目標傾きを可変せず、第2面用の目標位置をインラインスキャナユニット1によるシートSの読取画像を用いて生成する構成としてもよい。この構成によっても、直角度のずれによる表裏ズレが抑制されるので、第2面用の目標位置を可変しない構成と比較して画像形成位置のズレを抑制することができる。
【0064】
また、上記説明においてインクジェット記録装置において画像の表裏ずれを抑制する方法について説明したが、シートSに画像を形成する画像形成装置であれば、記録方式はインクジェット方式に限定されない。例えば、画像形成装置は、感光体と、感光体を帯電する帯電部と、感光体に静電潜像を形成するために感光体を露光する露光部と、感光体の静電潜像をトナーを用いて現像する現像部とを有する電子写真方式の画像形成装置であってもよい。この電子写真方式の画像形成装置は、シートSの搬送方向において、画像をシートSに転写する転写部の上流にレジストレーションユニット2100を有し、転写部の下流にインラインスキャナユニット1を有する構成であればよい。
【符号の説明】
【0065】
S シート
1 インラインスキャナユニット
7 演算部
10 記録ヘッド
70 ASIC
2103 レジセンサ
2104 レジセンサ
2109 レジストローラ
2110 レジストローラ
2118 搬送ローラ対
4200 反転部
7000 排紙積載モジュール