IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社文創の特許一覧

<>
  • 特開-切創抑制器具 図1
  • 特開-切創抑制器具 図2
  • 特開-切創抑制器具 図3
  • 特開-切創抑制器具 図4
  • 特開-切創抑制器具 図5
  • 特開-切創抑制器具 図6
  • 特開-切創抑制器具 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171279
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】切創抑制器具
(51)【国際特許分類】
   B26B 29/06 20060101AFI20241204BHJP
   B26D 7/01 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B26B29/06
B26D7/01 C
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088270
(22)【出願日】2023-05-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】516202637
【氏名又は名称】株式会社文創
(74)【代理人】
【識別番号】100223907
【弁理士】
【氏名又は名称】喜多 静夫
(72)【発明者】
【氏名】小西 一隆
【テーマコード(参考)】
3C021
3C061
【Fターム(参考)】
3C021BB07
3C061AA26
3C061AA31
3C061EE03
(57)【要約】
【課題】シートを刃物で切断する際の切創を抑制することができる切創抑制器具を提供することを目的とする。
【解決手段】切創抑制器具100は、前後方向に縦長な板状の底板部10と、底板部10の手前側の外縁及び外縁に接続し、底板部10の上方において、底板部10の手前側及び前側をカバーするカバー部20とを有し、底板部10の先端部には丸穴である第1連通穴10aが形成されるとともに、底板部10の後端部には長穴である第2連通穴10bが形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に縦長な板状の底板部(10)と、
前記底板部の前記前後方向と直行する幅方向の一方側である手前側の外縁及び前記底板部の前側の外縁に接続し、前記底板部の上方において、前記底板部の手前側及び前側をカバーするカバー部(20)と、を有し、
前記底板部の先端部には第1連通穴(10a)が形成されるとともに、前記底板部の後端部には第2連通穴(10b)が形成されていることを特徴とする切創抑制器具。
【請求項2】
前記カバー部は、
板状であり、その下端が前記底板部の手前側の外縁に接続している手前側カバー部(21)と、
後方が開口した曲面で構成されたドーム状であり、その下端が前記底板部の前端部の外縁に接続するとともに前記手前側カバー部の前端部に接続している前側カバー部(22)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【請求項3】
前記第1連通穴は、丸穴であり、
前記第2連通穴は、前後方向に縦長な長穴であることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項4】
前記前側カバー部は、前記第1連通穴を覆っていることを特徴とする請求項3に記載の切創抑制器具。
【請求項5】
前記底板部と前記手前側カバー部とのなす角θは、45°~75°であることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項6】
前記手前側カバー部の上端部の断面形状は、上方に位置するに従ってより奥側に位置する円弧形状に湾曲していることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項7】
前記手前側カバー部の上部の前後方向の中央部には、奥側に向かって突出する突出部(21a)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項8】
前記手前側カバー部の上部の前記突出部の前側には、手前側に向かって凹陥している第1凹陥部(21b)が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の切創抑制器具。
【請求項9】
前記手前側カバー部の上部の前記突出部の後側には、手前側に向かって凹陥している第2凹陥部(21c)が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の切創抑制器具。
【請求項10】
前記前側カバー部の奥側の下部には、前側に向かって凹陥している第3凹陥部(22a)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項11】
前記第3凹陥部は、前記前側カバー部の下方に位置するに従って、より前側に凹陥していることを特徴とする請求項10に記載の切創抑制器具。
【請求項12】
前記底板部の前端部の手前側及び奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【請求項13】
前記底板部の後端部の奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切創抑制器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、シートを刃物で切断する際の切創を抑制するため、特許文献1に示されるように、薄板状スケール本体上面にその全長にわたってフィン状の突起が形成されたナイフ案内用定規が有る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭60-147378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなナイフ案内用定規は、定規に手を添えた場合に、定規の前方が開いているために、定規の前方から刃物が侵入して、ユーザの手に切創ができてしまうおそれがあった。
【0005】
本発明は、シートを刃物で切断する際の切創を抑制することができる切創抑制器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明である切創抑制器具は、
前後方向に縦長な板状の底板部(10)と、
前記底板部の前記前後方向と直行する幅方向の一方側である手前側の外縁及び前記底板部の前側の外縁に接続し、前記底板部の上方において、前記底板部の手前側及び前側をカバーするカバー部(20)と、を有し、
前記底板部の先端部には第1連通穴(10a)が形成されるとともに、前記底板部の後端部には第2連通穴(10b)が形成されていることを特徴とする。
【0007】
これによれば、シートの上に定規を載置し、定規の上に、切創抑制器具を載置し、第1連通穴及び第2連通穴ごしに、作業者の指で定規を押さえつけ、この状態で、刃物を定規の外縁に添わせて、シートを切断することができる。このため、刃物側である手前側だけでなく、前側も切創抑制器具のカバー部で保護される。よって、シートを刃物で切断する際の切創を抑制することができる切創抑制器具を提供することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、
前記カバー部は、
板状であり、その下端が前記底板部の手前側の外縁に接続している手前側カバー部(21)と、
後方が開口した曲面で構成されたドーム状であり、その下端が前記底板部の前端部の外縁に接続するとともに前記手前側カバー部の前端部に接続している前側カバー部(22)と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
これによれば、作業者の手をより確実に保護することができ、より確実にシートを刃物で切断する際の切創を抑制することができる。また、前側カバー部は、曲面で構成されたドーム状であるので、前側カバー部が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明おいて、
前記第1連通穴は、丸穴であり、
前記第2連通穴は、前後方向に縦長な長穴であることを特徴とする。
【0011】
これによれば、第1連通穴に左手の人差し指を入れつつ、第2連通穴に左手の親指を入れて、第1連通穴及び第2連通穴ごしに、人差し指及び親指で定規を押さえつけることができる。丸穴である第1連通穴ごしに、左手の人差し指で定規を押さえることにより、定規に対する切創抑制器具の位置を所望の位置に固定させることができる。また、第2連通穴は、長穴であるので、作業者によって手の大きさが異なったとしても、左手の親指を第2連通穴に入れて、第2連通穴ごしに、左手の親指で定規を押さえつけることができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記前側カバー部は、前記第1連通穴を覆っていることを特徴とする。
【0013】
これによれば、前側カバー部によって、作業者の左手の人差し指を確実に保護することができる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記底板部と前記手前側カバー部とのなす角θは、45°~75°であることを特徴とする。
【0015】
上記角θが大きい場合には、手前側カバー部によって十分に作業者の左手が保護されず、上記角θが小さい場合には、手前側カバー部が作業者の左手に当たってしまう。そこで、本発明の発明者は、上記角θを45°~75°に設定することにより、手前側カバー部が作業者の左手に当たること無く、好適に手前側カバー部によって十分に作業者の左手が保護されることを見出した。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記手前側カバー部の上端部の断面形状は、上方に位置するに従ってより奥側に位置する円弧形状に湾曲していることを特徴とする。
【0017】
これによれば、手前側カバー部によって、作業者の左手を好適に保護することができる。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記手前側カバー部の上部の前後方向の中央部には、奥側に向かって突出する突出部(21a)が形成されていることを特徴とする。
【0019】
これによれば、作業者の左手を好適に保護することができる。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記手前側カバー部の上部の前記突出部の前側には、手前側に向かって凹陥している第1凹陥部(21b)が形成されていることを特徴とする。
【0021】
これによれば、第1凹陥部によって、手前側カバー部が作業者の左手の人差し指に当たることが抑制される。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記手前側カバー部の上部の前記突出部の後側には、手前側に向かって凹陥している第2凹陥部(21c)が形成されていることを特徴とする。
【0023】
これによれば、第2凹陥部によって、手前側カバー部が作業者の左手の親指に当たることが抑制される。
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記前側カバー部の奥側の下部には、前側に向かって凹陥している第3凹陥部(22a)が形成されていることを特徴とする。
【0025】
これによれば、前側カバー部が、作業者の左手の人差し指に当たることが抑制される。
【0026】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の発明において、前記第3凹陥部は、前記前側カバー部の下方に位置するに従って、より前側に凹陥していることを特徴とする。
【0027】
これによれば、前側カバー部が、作業者の左手の人差し指に当たることがより一層抑制される。
【0028】
請求項12に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記底板部の前端部の手前側及び奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする。
【0029】
これによれば、切創抑制器具の前端部の手前側及び奥側の角部が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0030】
請求項13に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記底板部の後端部の奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする。
【0031】
これによれば、底板部の後端部の奥側の角部が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0032】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の一実施形態の切創抑制器具の平面図である。
図2】本発明の一実施形態の切創抑制器具の底面図である。
図3】本発明の一実施形態の切創抑制器具の正面図である。
図4】本発明の一実施形態の切創抑制器具の背面図である。
図5】本発明の一実施形態の切創抑制器具の右側側面図である。
図6】本発明の一実施形態の切創抑制器具の左側側面図である。
図7】切創抑制器具の使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(切創抑制器具の構造)
以下に、図1図6を用いて、本発明の一実施形態である切創抑制器具100について説明する。なお、図1において、紙面左右方向を切創抑制器具100の前後方向、紙面上下方向を切創抑制器具100の前後方向、紙面右側を切創抑制器具100の前側、紙面左側を切創抑制器具100の後側、紙面上側を切創抑制器具100の奥側、紙面下側を切創抑制器具100の手前側とする。また、図5において、紙面左右方向を切創抑制器具100の幅方向、紙面上下方向を切創抑制器具100の上下方向、紙面右側を切創抑制器具100の奥側、紙面左側を切創抑制器具100の手前側、紙面上側を切創抑制器具100の上側、紙面下側を切創抑制器具100の下側とする。
【0035】
切創抑制器具100は、壁紙や床材等のシート900を、カッターナイフ等の刃物400(図7示)で切断する際に、刃物400で手を切ってしまうことを抑制するためのものである。
【0036】
切創抑制器具100は、底板部10とカバー部20とから構成されている。底板部10は、前後方向に縦長な略長方形板状である。底板部10の四隅は、角が切り落とされ、円弧形状となっている。これにより、切創抑制器具100の使用時に、底板部10の四隅が他の物体に引っかかり難くなっている。
【0037】
図1に示すように、底板部10の前端部には、丸穴の第1連通穴10aが形成されている。底板部10の後端部には、前後方向に縦長な長穴の第2連通穴10bが形成されている。第1連通穴10a及び第2連通穴10bは、底板部10の幅方向の中央部に形成され、幅方向に関して同じ位置に形成されている。
【0038】
カバー部20は、底板部10の手前側の外縁及び前側の外縁に接続し、底板部10の上方において、底板部10の手前側及び前側をカバーするものである。カバー部20は、手前側カバー部21と、前側カバー部22とから構成されている。手前側カバー部21と前側カバー部22とは、連続的に形成され、一体となっている。手前側カバー部21と前側カバー部22との接続部には、角が無く、滑らかな曲面となっている。
【0039】
手前側カバー部21は、板状であり、その下端は、底板部10の手前側の外縁に接続している。図6に示すように、底板部10と手前側カバー部21とのなす角θは、90°以下であり、45°~75°であることが好ましく、本実施形態では、60°である。手前側カバー部21の上端部の断面形状は、上方に位置するに従ってより奥側に位置する円弧形状に湾曲している。手前側カバー部21は、このような形状によって、底板部10の上方において、底板部10の手前側をカバーしている。
【0040】
図1に示すように、手前側カバー部21の上部の前後方向の中央部には、奥側に向かって略円弧形状に突出する突出部21aが形成されている。手前側カバー部21の上部の突出部21aの前側には、手前側に向かって略円弧形状に凹陥している第1凹陥部21bが形成されている。第1凹陥部21bが形成されている前後方向の位置は、第1連通穴10aの後方である。手前側カバー部21の上部の突出部21aの後側には、手前側に向かって凹陥している第2凹陥部21cが形成されている。第2凹陥部21cが形成されている。第2凹陥部21cが形成されている手前側カバー部21の外縁は、後方に位置するに従って、手前側に位置している。第2凹陥部21cの前後方向の位置は、第2連通穴10bが形成されている位置である。第1凹陥部21b、突出部21a、及び第2凹陥部21cの外縁は、滑らかな曲線で一体に連続的に形成されている。
【0041】
前側カバー部22は、後方が開口した曲面で構成されたドーム状(略半球形状)であり、その下端が底板部10の前端部の外縁に接続している。前側カバー部22は、図1に示すように、切創抑制器具100を上面視した場合に、第1連通穴10aを完全に覆っている。前側カバー部22の後端は、手前側カバー部21の前端と接続している。図4に示すように、前側カバー部22の奥側の下部には、前側に向かって凹陥している第3凹陥部22aが形成されている。第3凹陥部22aが形成されている前側カバー部22の外縁は、下方に位置するに従って、前側に位置している。つまり、第3凹陥部22aは、前側カバー部22の下方に位置するに従って、より前側に凹陥している。
【0042】
(切創抑制器具の使用方法の説明)
以下に、図7を用いて、切創抑制器具100の使用方法について説明する。シート900を刃物で切断する際には、図7に示すように、シート900の上に定規500を載置し、定規500の上に、切創抑制器具100を載置する。そして、第1連通穴10aに左手の人差し指を入れつつ、第2連通穴10bに左手の親指を入れて、第1連通穴10a及び第2連通穴10bごしに、人差し指及び親指で定規500を押さえつける。この状態で、刃物400を定規500の外縁に添わせて、シート900を切断する。もし、刃物400が定規500の外縁から外れたとしても、カバー部20によって作業者の左手の前側及び手前側(刃物側)がカバーされているので、作業者の左手に切創が発生することが抑制される。
【0043】
(本実施形態の効果)
以下に本実施形態の切創抑制器具100の効果について説明する。
切創抑制器具100は、前後方向に縦長な板状の底板部10と、底板部10の前後方向と直行する幅方向の一方側である手前側の外縁及び底板部10の前側の外縁に接続し、底板部10の上方において、底板部10の手前側及び前側をカバーするカバー部20とを有する。そして、底板部10の先端部には第1連通穴10aが形成されるとともに、底板部10の後端部には第2連通穴10bが形成されている。
【0044】
これによれば、図7に示すように、シート900の上に定規500を載置し、定規500の上に、切創抑制器具100を載置し、第1連通穴10a及び第2連通穴10bごしに、作業者の指で定規500を押さえつけ、この状態で、刃物400を定規500の外縁に添わせて、シート900を切断することができる。このため、刃物400側である手前側だけでなく、前側も切創抑制器具100のカバー部20で保護される。よって、シート900を刃物400で切断する際の切創を抑制することができる切創抑制器具100を提供することができる。
【0045】
また、カバー部20は、板状であり、その下端が底板部10の手前側の外縁に接続している手前側カバー部21と、後方が開口した曲面で構成されたドーム状であり、その下端が底板部10の前端部の外縁に接続するとともに手前側カバー部21の前端部に接続している前側カバー部22とを備えている。
【0046】
これによれば、作業者の手をより確実に保護することができ、より確実にシート900を刃物400で切断する際の切創を抑制することができる。また、前側カバー部22は、曲面で構成されたドーム状であるので、前側カバー部22が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0047】
また、図1に示すように、第1連通穴10aは、丸穴であり、第2連通穴10bは、前後方向に縦長な長穴である。
【0048】
これによれば、第1連通穴10aに左手の人差し指を入れつつ、第2連通穴10bに左手の親指を入れて、第1連通穴10a及び第2連通穴10bごしに、人差し指及び親指で定規500を押さえつけることができる。丸穴である第1連通穴10aごしに、左手の人差し指で定規500を押さえることにより、定規500に対する切創抑制器具100の位置を所望の位置に固定させることができる。また、第2連通穴10bは、長穴であるので、作業者によって手の大きさが異なったとしても、左手の親指を第2連通穴10bに入れて、第2連通穴10bごしに、左手の親指で定規500を押さえつけることができる。
【0049】
また、図1に示すように、前側カバー部22は、第1連通穴10aを覆っている。
【0050】
これによれば、前側カバー部22によって、作業者の左手の人差し指を確実に保護することができる。
【0051】
また、図6に示すように、底板部10と手前側カバー部21とのなす角θは、45°~75°である。
【0052】
上記角θが大きい場合には、手前側カバー部21によって十分に作業者の左手が保護されず、上記角θが小さい場合には、手前側カバー部21が作業者の左手に当たってしまう。そこで、本発明の発明者は、上記角θを45°~75°に設定することにより、手前側カバー部21が作業者の左手に当たること無く、好適に手前側カバー部21によって十分に作業者の左手が保護されることを見出した。
【0053】
また、図6に示すように、手前側カバー部21の上端部の断面形状は、上方に位置するに従ってより奥側に位置する円弧形状に湾曲している。
【0054】
これによれば、手前側カバー部21によって、作業者の左手を好適に保護することができる。
【0055】
また、図1に示すように、手前側カバー部21の上部の前後方向の中央部には、奥側に向かって突出する突出部21aが形成されている。
【0056】
これによれば、作業者の左手を好適に保護することができる。
【0057】
また、図1に示すように、突出部21aの前側には、手前側に向かって凹陥している第1凹陥部21bが形成されている。
【0058】
これによれば、第1凹陥部21bによって、手前側カバー部21が作業者の左手の人差し指に当たることが抑制される。
【0059】
また、図1に示すように、手前側カバー部21の上部の突出部21aの後側には、手前側に向かって凹陥している第2凹陥部21cが形成されている。
【0060】
これによれば、第2凹陥部21cによって、手前側カバー部21が作業者の左手の親指に当たることが抑制される。
【0061】
また、図4に示すように、前側カバー部22の奥側の下部には、前側に向かって凹陥している第3凹陥部22aが形成されている。
【0062】
これによれば、前側カバー部22が、作業者の左手の人差し指に当たることが抑制される。
【0063】
また、図4に示すように、第3凹陥部22aは、前側カバー部22の下方に位置するに従って、より前側に凹陥している。
【0064】
これによれば、前側カバー部22が、作業者の左手の人差し指に当たることがより一層抑制される。
【0065】
また、図1に示すように、底板部10の前端部の手前側及び奥側の角部は、円弧形状である。
【0066】
これによれば、切創抑制器具100の前端部の手前側及び奥側の角部が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0067】
また、図1に示すように、底板部10の後端部の奥側の角部は、円弧形状である。
【0068】
これによれば、底板部10の後端部の奥側の角部が他の物体に引っかかってしまうことが抑制される。
【0069】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う切創抑制器具100もまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0070】
100 切創抑制器具
10 底板部
10a 第1連通穴
10b 第2連通穴
20 カバー部
21 手前側カバー部
21a 突出部
21b 第1凹陥部
21c 第2凹陥部
22 前側カバー部
22a 第3凹陥部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定規でシートを切断する際に用いられる切創抑制器具であって、
前後方向に縦長な板状の底板部(10)と、
前記底板部の前記前後方向と直行する幅方向の一方側である手前側の外縁及び前記底板部の前側の外縁に接続し、前記底板部の上方において、前記底板部の手前側及び前側をカバーするカバー部(20)と、を有し、
前記底板部の先端部に人差し指が入る第1連通穴(10a)が形成されるとともに、前記底板部の後端部には親指が入る第2連通穴(10b)が形成され
前記第1連通穴及び前記第2連通穴ごしに、前記人差し指及び前記親指で前記シート上に載置された前記定規を押さえつけ、この状態で、刃物を前記定規の外縁に添わせて、前記シートを切断するように構成され、この際に前記カバー部で前記人差し指及び前記親指が保護されるように構成されていることを特徴とする切創抑制器具。
【請求項2】
前記カバー部は、
板状であり、その下端が前記底板部の手前側の外縁に接続している手前側カバー部(21)と、
後方が開口した曲面で構成されたドーム状であり、その下端が前記底板部の前端部の外縁に接続するとともに前記手前側カバー部の前端部に接続している前側カバー部(22)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【請求項3】
前記第1連通穴は、丸穴であり、
前記第2連通穴は、前後方向に縦長な長穴であることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項4】
前記前側カバー部は、前記第1連通穴を覆っていることを特徴とする請求項3に記載の切創抑制器具。
【請求項5】
前記底板部と前記手前側カバー部とのなす角θは、45°~75°であることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項6】
前記手前側カバー部の上端部の断面形状は、上方に位置するに従ってより奥側に位置する円弧形状に湾曲していることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項7】
前記手前側カバー部の上部の前後方向の中央部には、手を保護するための突出部(21a)が奥側に向かって突出形成されていることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項8】
前記手前側カバー部の上部の前記突出部の前側には、前記カバー部が前記人差し指に当たることを抑制するための第1凹陥部(21b)が手前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする請求項7に記載の切創抑制器具。
【請求項9】
前記手前側カバー部の上部の前記突出部の後側には、前記カバー部が前記親指に当たることを抑制するための第2凹陥部(21c)が手前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする請求項7に記載の切創抑制器具。
【請求項10】
前記前側カバー部の奥側の下部には、前記人差し指に当たることを抑制するための第3凹陥部(22a)が前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする請求項2に記載の切創抑制器具。
【請求項11】
前記第3凹陥部は、前記前側カバー部の下方に位置するに従って、より前側に凹陥していることを特徴とする請求項10に記載の切創抑制器具。
【請求項12】
前記底板部の前端部の手前側及び奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【請求項13】
前記底板部の後端部の奥側の角部は、円弧形状であることを特徴とする請求項1に記載の切創抑制器具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
上記目的を達成するためになされた、請求項1に記載の発明である切創抑制器具は、
定規でシートを切断する際に用いられる切創抑制器具であって、
前後方向に縦長な板状の底板部(10)と、
前記底板部の前記前後方向と直行する幅方向の一方側である手前側の外縁及び前記底板部の前側の外縁に接続し、前記底板部の上方において、前記底板部の手前側及び前側をカバーするカバー部(20)と、を有し、
前記底板部の先端部に人差し指が入る第1連通穴(10a)が形成されるとともに、前記底板部の後端部には親指が入る第2連通穴(10b)が形成され
前記第1連通穴及び前記第2連通穴ごしに、前記人差し指及び前記親指で前記シート上に載置された前記定規を押さえつけ、この状態で、刃物を前記定規の外縁に添わせて、前記シートを切断するように構成され、この際に前記カバー部で前記人差し指及び前記親指が保護されるように構成されていることを特徴とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記手前側カバー部の上部の前記突出部の前側には、前記カバー部が前記人差し指に当たることを抑制するための第1凹陥部(21b)が手前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、前記手前側カバー部の上部の前記突出部の後側には、前記カバー部が前記親指に当たることを抑制するための第2凹陥部(21c)が手前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
請求項10に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記前側カバー部の奥側の下部には、前記人差し指に当たることを抑制するための第3凹陥部(22a)が前側に向かって凹陥形成されていることを特徴とする。