特開 2024-171281 防犯用扉装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024171281

(43)【公開日】2024-12-11

(54)【発明の名称】防犯用扉装置

(51)【国際特許分類】

   E06B 5/11 20060101AFI20241204BHJP

   E06B 7/28 20060101ALI20241204BHJP

【ＦＩ】

E06B5/11 A

E06B7/28 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023088272

(22)【出願日】2023-05-29

(71)【出願人】

【識別番号】523202060

【氏名又は名称】上村 隆雄

(74)【代理人】

【識別番号】110003111

【氏名又は名称】あいそう弁理士法人

(72)【発明者】

【氏名】上村 隆雄

(57)【要約】      （修正有）

【課題】既存の扉に後付けで容易に取り付けることができ、また簡易迅速かつ確実に扉の開放を規制することのできる防犯用扉装置を提供すること。
【解決手段】躯体側部材１に軸支され回動自在に設けられた扉２の開放動作を規制する防犯用扉装置１０であって、防犯用扉装置１０は、躯体側部材１に固定可能な第一部材２０と、扉２側に固定可能な第二部材４０とを備え、第一部材２０には差し込み用凹部２２が設けられ、第二部材４０には、第二部材４０の本体部４２に対して回動自在な手掛用操作部４４が設けられるとともに、手掛用操作部４４には、差し込み用凹部に差し込み可能な固定用差し込み片４６が設けられ、差し込み用凹部２２の奥端部の幅は、固定用差し込み片４６の先端部の幅とほぼ同一であり、差し込み用凹部２２の断面形状は、奥端部から先端部にかけてその間隔が拡がる形状とした。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に設けられた扉の開放動作を規制する防犯用扉装置であって、前記防犯用扉装置は、前記躯体側部材に固定可能な第一部材と、前記扉側に固定可能な第二部材とを備え、前記第一部材には差し込み用凹部が設けられ、前記第二部材には、前記第二部材の本体部に対して回動自在な手掛用操作部が設けられるとともに、前記手掛用操作部には、前記差し込み用凹部に差し込み可能な固定用差し込み片が設けられた防犯用扉装置。

【請求項2】

前記差し込み用凹部の奥端部の幅は、前記固定用差し込み片の先端部の幅とほぼ同一である請求項１に記載の防犯用扉装置。

【請求項3】

前記差し込み用凹部の断面形状は、奥端部から先端部にかけてその間隔が拡がる形状である請求項１または請求項２に記載の防犯用扉装置。

【請求項4】

前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている請求項１または請求項２に記載の防犯用扉装置。

【請求項5】

前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている請求項３に記載の防犯用扉装置。

【請求項6】

建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に設けられた扉の開放動作を規制する防犯用扉装置であって、前記防犯用扉装置は、前記躯体側部材に固定可能な第一部材と、前記扉側に固定可能な第二部材とを備え、前記第一部材には差し込み用凹部が設けられ、前記第二部材には、前記第二部材の本体部に対して回動自在な手掛用操作部が設けられるとともに、前記手掛用操作部には、前記差し込み用凹部に差し込み可能な固定用差し込み片が設けられ、前記差し込み用凹部の奥端部の幅は、前記固定用差し込み片の先端部の幅とほぼ同一であり、前記差し込み用凹部の断面形状は、奥端部から先端部にかけてその間隔が拡がる形状であり、前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている防犯用扉装置。

【請求項7】

前記請求項１から請求項６のいずれかの防犯用装置が取り付けられるとともに建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に取り付け可能な扉。

【請求項8】

前記請求項１から請求項６のいずれかの防犯用装置が、前記扉の軸支位置と反対側の前記扉の端部寄りに取り付けられるとともに建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に取り付け可能な扉。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、軸支されて回動自在に設けられた扉の防犯を高めるための防犯用扉装置に関する。

【背景技術】

【0002】

従来から、建物の躯体などに対して軸支され、軸支箇所を支点として回動自在に設けられた種々の扉が多く知られている。これらの扉には、いわゆる「キー（鍵）」とは別の簡易的な防犯用扉装置が取り付けられているものがあり、例えば「ロックバー」のようなものが取り付けられたものなどが知られている。このような簡易的な防犯用扉装置では、キーのような操作では無く、例えば取り付けられたロックバーの操作のような簡便な操作により、扉の開放を規制し、また解除をすることを容易に行えるようにされている（特許文献１）。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２００３－２６２０７８公報（図３等）

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら前述したような従来の防犯用扉装置では、既存の扉に後付けで取り付けることは容易では無く、また簡易迅速かつ確実に扉の開放を規制するという点でもいまだ十分ではなかった。

【0005】

本発明は、前述した従来の防犯用扉装置の問題点を解決するものであり、既存の扉に後付けで容易に取り付けることができ、また簡易迅速かつ確実に扉の開放を規制することのできる防犯用扉装置を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0006】

前述の目的を達成する手段は、以下のものである。
（１）建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に設けられた扉の開放動作を規制する防犯用扉装置であって、前記防犯用扉装置は、前記躯体側部材に固定可能な第一部材と、前記扉側に固定可能な第二部材とを備え、前記第一部材には差し込み用凹部が設けられ、前記第二部材には、前記第二部材の本体部に対して回動自在な手掛用操作部が設けられるとともに、前記手掛用操作部には、前記差し込み用凹部に差し込み可能な固定用差し込み片が設けられた防犯用扉装置。

【0007】

（２）前記差し込み用凹部の奥端部の幅は、前記固定用差し込み片の先端部の幅とほぼ同一である（１）に記載の防犯用扉装置。
（３）前記差し込み用凹部の断面形状は、奥端部から先端部にかけてその間隔が拡がる形状である（１）または（２）に記載の防犯用扉装置。
（４）前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている（１）または（２）に記載の防犯用扉装置。
（５）前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている（３）に記載の防犯用扉装置。
（６）建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に設けられた扉の開放動作を規制する防犯用扉装置であって、前記防犯用扉装置は、前記躯体側部材に固定可能な第一部材と、前記扉側に固定可能な第二部材とを備え、前記第一部材には差し込み用凹部が設けられ、前記第二部材には、前記第二部材の本体部に対して回動自在な手掛用操作部が設けられるとともに、前記手掛用操作部には、前記差し込み用凹部に差し込み可能な固定用差し込み片が設けられ、前記差し込み用凹部の奥端部の幅は、前記固定用差し込み片の先端部の幅とほぼ同一であり、前記差し込み用凹部の断面形状は、奥端部から先端部にかけてその間隔が拡がる形状であり、前記手掛用操作部には、前記手掛用操作部を回動操作する際に把持が可能な操作用片が設けられている防犯用扉装置。
（７）前記（１）から（６）のいずれかの防犯用装置が取り付けられるとともに建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に取り付け可能な扉。
（８）前記（１）から（６）のいずれかの防犯用装置が、前記扉の軸支位置と反対側の前記扉の端部寄りに取り付けられるとともに建物の柱や枠体等の躯体側部材に軸支され軸支位置を支点として回動自在に取り付け可能な扉。

【発明の効果】

【0008】

本発明の防犯用扉装置は前述のように構成されているので、既存の扉に後付けで容易に取り付けることができ、また簡易迅速かつ確実に扉の開放を規制することができる。

【図面の簡単な説明】

【0009】

【図1】図１は、扉に取り付けた状態の本発明の防犯用扉装置の平面視断面図である。

【図2】図２は、防犯用扉装置の第一部材の平面図である。

【図3】図３は、図１の第一部材の側面図である。

【図4】図４は、防犯用扉装置の第二部材の平面図である。

【図5】図５は、図４の第二部材の側面図である。

【図6】図６は、手掛用操作部を折りたたんだ状態の図４の第二部材の平面図である。

【図7】図７は、扉に取り付けた状態の本発明の別の防犯用扉装置の平面視断面図である。

【図8】図８は、扉に取り付けた状態の本発明のさらに別の防犯用扉装置の平面視断面図である。

【図9】図９は、扉に取り付けた状態の本発明のさらに別の防犯用扉装置の平面視断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0010】

以下、本発明の防犯用扉装置について、図面に示した実施の形態を用いて説明する。図１の例に示されるように、本発明の防犯用扉装置１０は、建物の柱や扉を固定する枠体等の躯体側部材１に固定される第一部材２０と、片開きでこの躯体側部材１に蝶番を用いて開閉自在に軸支されている扉２に固定される第二部材４０を備えている。本発明の扉装置１０は、第二部材４０の手掛用操作部４４の固定用差し込み片４６を、第一部材２０の差し込み用凹部２２に差し込んで固定することにより扉２の開放を規制して、簡易迅速に防犯を実現しようとするものである。なお、４は戸当たりである。

【0011】

第一部材２０と第二部材４０とは、ともにアルミ製である。材質はアルミに限らず、ステンレス製等の他の金属や、硬質プラスチックなどの一定以上の強度のある材質でも良い。また強度の他、耐侵食性・耐久性等を備えた材質が望ましい。

【0012】

第一部材２０は、図２及び図３に示されるように、縦長の薄い板状に形成されている。本例ではその長さは５００ｍｍ又は７００ｍｍのものとしている。その長さに特に制限は無いが、強度等の確保と扉２の確実な開放規制を行うためには、一定以上の長さを有することが望ましい。

【0013】

第一部材２０の先端には、差し込み用凹部２２が形成されている。この差し込み用凹部２２は、前述したように、第二部材４０の手掛用操作部４４の固定用差し込み片４６を差し込んで固定するために機能する。図２に示されるように、差し込み用凹部２２はその内側の形状が、先端にかけてやや広がったおおよそ「Ｖ」字状に形成されている。先端にかけてやや広がった形状とすることにより、固定用差し込み片４６を差し込み用凹部２２内に容易に差し込むことができるように構成されている。

【0014】

一方で、差し込み用凹部２２の奥端部２３の幅は、固定用差し込み片４６の厚みよりわずかに大きい程度に形成されており、差し込み用凹部２２の先端部２４の幅も固定用差し込み片４６の厚みに対して大きな隙間ができない程度の幅（具体的には隙間は１ｍｍ～２ｍｍ程度）とされている。このため、差し込まれた固定用差し込み片４６がその厚み方向に移動しようとしても、差し込み用凹部２２からは容易には抜脱しないように構成されており、したがって、固定用差し込み片４６が差し込まれた第二部材４０が固定された扉２の開放規制も確実に行えるように構成されている。

【0015】

図３に示されるように、第一部材２０は縦長形状に形成されており、差し込み用凹部２２と反対側の本体部２５には、多数のビス孔２６が穿設されている。図１にも示されるように、第一部材２０は、これらのビス孔２６に挿通された多数のビス３により躯体側部材１に堅固に固定されている。

【0016】

次いで第二部材４０について説明する。第二部材４０は、図１に示されるように、本体部４２と本体部４２の一端側に回動自在に軸支された手掛用操作部４４を備えている。図４及び図５に示されるように、手掛用操作部４４を伸ばした状態では、第二部材４０は縦長の薄い板状に形成されている。本例ではその長さは５００ｍｍ又は７００ｍｍのものとしている。その長さに特に制限は無いが、強度等の確保と扉２の確実な開放規制を行うためには、一定以上の長さを有することが望ましい。また、図５に示されるように、本体部４２には多数のビス孔４３が穿設されており、図１にも示されるように、第二部材４０は、これらのビス孔４３に挿通された多数のビス３により扉２に堅固に固定されている。そして、手掛用操作部４４は、図１及び図６に示されるように、本体部４２に対して、約１８０度まで回動自在に軸支されている。

【0017】

図１、図４から図６に示されるように、手掛用操作部４４の先端には、前述のように固定用差し込み片４６が設けられている。固定用差し込み片４６は本体部４２の先端寄りから突設されており、本体部４２に対してほぼ垂直の角度で延設されている。また、この固定用差し込み片４６よりも本体部４２の先端寄りには、手掛用操作部４４を回動させて、固定用差し込み片４６を第二部材４０の差し込み用凹部２２へ差し込み又は抜く際に手でつまんで操作するための操作用片４８が設けられている。操作用片４８は本体部４２の先端から、本体部４２に対して約４０度の角度で延設されている。手掛用操作部４４の回動操作は、この操作用片４８を利用してより簡便に行うことができる。

【0018】

このように構成された防犯用扉装置１０は、図１に示される例では、外開きタイプの扉２の軸支位置から遠い位置付近に取り付けられている。扉２に固定された第二部材４０は、通常時には、実線で示されるように、手掛用操作部４４が折りたたまれた状態とされている。そして、防犯等のために扉２が開放されないようにしたい場合には、手掛用操作部４４の操作用片４８を摘まんで手掛用操作部４４を伸ばすように回動させ、点線で示されるように、躯体側部材１に固定された第一部材２０の差し込み用凹部２２に、手掛用操作部４４の固定用差し込み片４６を挿嵌して固定する。回動可能な手掛用操作部４４の軸支位置と扉２の軸支位置は大きく異なっており、また、回動半径も異なる。このため、扉２を開こうとしても差し込み用凹部２２から固定用差し込み片４６は容易には抜脱しない。特に、防犯用装置１０では、回動可能な手掛用操作部４４の軸支位置は、扉２の軸支位置と反対側の扉２の端部に取り付けられているため、その軸支位置が大きく異なっており、手掛用操作部４４の固定用差し込み片４６の回動軌跡と扉２の回動軌跡が大きく相違する。したがって、扉２も容易に開かれることもない。そしてその後に扉２を開けたい場合には、手掛用操作部４４を回動させて折りたためば良い。

【0019】

次いで、本発明の防犯用扉装置の別の例について説明する。図７に示されるように、この防犯用扉装置１１は、前述の防犯用扉装置１０と異なり、躯体側部材１に扉２を固定する蝶番５の近くに取り付けられるものである。防犯用扉装置１１の基本構成は防犯用扉装置１０とほぼ同一であり、その使用方法も同一である。

【0020】

次いで、本発明の防犯用扉装置のさらに別の例について説明する。図８に示されるように、この防犯用扉装置１２は、前述の防犯用扉装置１０，１１と異なり、内開きタイプの扉２に取り付けられるものである。防犯用扉装置１２の基本構成も、防犯用扉装置１０，１１とほぼ同一であり、その使用方法も同一であるが、図８に示されるように、扉２が開く方向が防犯用扉装置１０，１１の例とは異なり逆方向に開かれる。しかしながら、扉２を開こうとした際に差し込み用凹部２２から固定用差し込み片４６は容易には抜脱しないことは同様であり、扉２の開放を規制することができる。この防犯用扉装置１２は、内開きタイプの扉２の軸支位置から遠い位置付近に取り付けられているが、図９に示されるように、内開きタイプの扉２において躯体側部材１に扉２を固定する蝶番５の近くに取り付けられる防犯用扉装置１３とすることもできる。

【0021】

このように構成される防犯用扉装置１０から１３は、それぞれ一つのみを取り付けるだけに限られない。同種の防犯用扉装置１０から１３のいずれかを複数個取り付けても良い。また異なる種類の防犯用扉装置１０から１３の複数を取り付けても良い。例えば、外開きタイプの扉２の左右に、防犯用扉装置１０及び１１を取り付けても良く、また複数の防犯用扉装置１０と複数の防犯用扉装置１１を取り付けても良い。扉１の開放規制をより強固に行い防犯効果を高めるためには、可能な限り多数の防犯用扉装置を取り付けて多数か所で第一部材２０と第二部材４０とを固定可能とすることが望ましい。またさらに、扉２の左右端だけではなく、扉２の上端又は扉２の下端にも、防犯用装置を取り付けておくことがさらに望ましい。

【0022】

本発明の防犯用扉装置は、前述した防犯用扉装置１０から１３に限られるものでは無く、本発明の主旨の範囲内で種々の変更が可能である。例えば、防犯用扉装置の形状は種々のものに変更可能である。前述の防犯用扉装置１０から１３のように縦長のものに限られない。また第一部材の差し込み用凹部の形状は、前述の防犯用扉装置１０から１３のように「Ｖ」字状に限定するものでは無く他の形状、例えば「ロ」字状などとすることもできる。しかしながら前述のように「Ｖ」字状として、手掛用操作部の固定用差し込み片を容易に差し込めるように構成することが好ましい。

【0023】

また、固定用差し込み片をより堅固に固定用差し込み凹部に固定するために、差し込み後に固定用差し込み片が外れないようするための「クリップ」等を設けたり、差し込み用凹部に差し込まれた状態で固定用差し込み片が簡単には外れないようにするために差し込み用凹部に「突起」等を設け、固定用差し込み片にこの突起に引っ掛けることのできる「引っ掛け片」等を設けたりしておくことも良い。

【0024】

また、前述の防犯用扉装置１０から１３は、いずれも扉が平面視左側の位置で軸支されたいわゆる「左吊り」タイプの扉に取り付ける例を示したが、「右吊り」タイプの扉に取り付けることも可能である。

【産業上の利用可能性】

【0025】

本発明は、扉の開放を規制して防犯を行うための防犯用扉装置に広く利用することができる。

【符号の説明】

【0026】

１；躯体側部材、２；扉、３；ビス、４；戸当たり、５；蝶番、１０，１１，１２，１３；防犯用扉装置、２０；第一部材、２２；差し込み用凹部、２３；奥端部、２４；先端部、２５；本体部、２６；ビス孔、４０；第二部材、４２；本体部、４３；ビス孔、４４；手掛用操作部、４６；固定用差し込み片、４８；操作用片４８。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】