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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171286
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】入力装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 5/16 20200101AFI20241204BHJP
【FI】
G01L5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023104217
(22)【出願日】2023-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2023087506
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】志田 亮
【テーマコード(参考)】
2F051
【Fターム(参考)】
2F051AB02
2F051DA03
2F051DB03
(57)【要約】
【課題】操作入力を、液体を介して伝達する入力装置を提供する。
【解決手段】入力装置100は、変形可能な触覚部20及び伝達部30を有し内部に流体を収容可能な容器11を含む入力部10と、伝達部30に作用する力を検出するセンサ300と、センサ300が配置される配置部40と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変形可能な触覚部及び伝達部を有し内部に流体を収容可能な容器を含む入力部と、
前記伝達部に作用する力を検出するセンサと、
前記センサが配置される配置部と、を備える入力装置。
【請求項2】
前記センサは、前記伝達部に接触可能であり、前記伝達部に作用する力が伝達される検知部を備え、
前記検知部は、
前記触覚部に力が入力されていない場合に、前記伝達部に接触し、
前記触覚部に力が入力された場合に、前記触覚部に力が入力されていない場合と比較して強い力で、前記伝達部に接触する第1部分を含む、請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記触覚部に力が入力された場合に、前記伝達部が前記検知部に接近する方向に押し出され、前記伝達部が前記検知部に接触する、請求項2に記載の入力装置。
【請求項4】
前記検知部は、互いに交差する第1方向及び第2方向に沿う第1平面を有し、
前記センサは、前記第1方向周り又は前記第2方向周りのモーメントを検知することにより前記第1平面の中心から離れた位置の力を検知することが可能である、請求項3に記載の入力装置。
【請求項5】
前記検知部は、互いに交差する第1方向及び第2方向に沿う第1平面を有し、
前記触覚部を挟み込むように力が入力された状態で、前記触覚部が前記第1方向又は前記第2方向に連続的に加える力を変化させる場合に、前記第1部分が変形する請求項2又は3に記載の入力装置。
【請求項6】
前記センサを収容するセンサ収容部を有し、
前記センサ収容部は、
前記伝達部を上面とし、
前記伝達部と交差する方向に延びる筒部を含み、
前記筒部の前記伝達部とは反対側の部分は、前記配置部に接続され、
前記センサは、前記伝達部、前記筒部、及び前記配置部に囲まれた空間に配置されている、請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項7】
前記伝達部の厚さは、前記触覚部の厚さよりも薄く、
前記伝達部は、前記触覚部よりも変形量が大きい、請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項8】
前記伝達部の剛性は、前記触覚部の剛性よりも低い、請求項1又は2に記載の入力装置。
【請求項9】
前記センサは、前記伝達部に接触可能であり、前記伝達部に作用する力が伝達される検知部を備え、
前記伝達部は、前記触覚部の内面に接する第1部を有する請求項1に記載の入力装置。
【請求項10】
前記容器は下面部を有し、
前記伝達部は、前記第1部に連結されると共に、前記検知部と接触する第2部を備え、
前記第1部は前記第2部よりも前記容器の下面部から離れている請求項9に記載の入力装置。
【請求項11】
前記伝達部は、前記第2部に接続される第3部を有し、
前記第2部は、本体部と、前記本体部から前記第3部と重なるように張り出す張出部と、有し、
前記下面部は、前記第2部の前記張出部と前記第3部との間に挟まれている請求項10に記載の入力装置。
【請求項12】
前記容器の内部空間は、前記伝達部によって第1空間と第2空間とに分割され、
前記伝達部は、前記第1空間と第2空間とを連通する空間連通部を有する請求項9~11の何れか一項に記載の入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、使用者の操作入力を検出可能な入力装置は、操作入力による力を検出可能なセンサを備える(例えば特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-185296号公報
【特許文献2】特開2013-080325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操作入力に基づく力を、流体を介して伝達する入力装置がある(例えば、特許文献2)。近年では、操作が複雑になり、複数方向の力を、流体を介して検知する入力装置が求められている。本開示は、操作入力に基づく複数方向の力を、流体を介して伝達可能な入力装置を提供することを目的とする。また、流体を介した場合は伝達力が弱いため、操作入力に基づく複数方向の力を、部材を介して伝達可能な入力装置を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る入力装置は、変形可能な触覚部及び伝達部を有し内部に流体を収容可能な容器を含む入力部と、伝達部に作用する力を検出するセンサと、センサが配置される配置部と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、操作入力に基づく力を、流体を介して伝達可能な入力装置を提供することができる。また、操作入力に基づく複数方向の力を、部材を介して伝達可能な入力装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る入力装置を示す斜視図の一例である。
図2】第1実施形態に係る入力装置を示す断面図の一例である。
図3】センサ、及びセンサ収容部を拡大して示す断面図の一例である。
図4】X軸に沿う力Fx、Y軸に沿う力Fy、Z軸に沿う力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、及びZ軸周りのモーメントMzの向きを示す図の一例である。
図5】センサの平面図であり、伝達部から力を受けている領域を示す図の一例である。
図6】センサの平面図であり、伝達部から力を受けている領域を示す図の一例である。
図7】センサの平面図であり、伝達部から力を受けている領域を示す図の一例である。
図8】第2実施形態に係る入力装置の入力部を示す断面図の一例である。
図9】第3実施形態に係る入力装置の入力部を示す断面図の一例である。
図10】第4実施形態に係る力覚センサ装置を示す斜視図の一例である。
図11】センサチップ、フレキシブル基板、及び起歪体を示す斜視図の一例である。
図12】力覚センサ装置の起歪体を示す断面斜視図の一例である。
図13】センサ、及びセンサ収容部の変形例を示す断面図の一例である。
図14】第5実施形態に係る入力装置の入力部を示す断面図の一例である。
図15】第5実施形態に係る入力装置の触覚部に力が加わった時の一例を示す図である。
図16】第5実施形態に係る入力装置の触覚部に力が加わった時の別の一例を示す図である。
図17】第5実施形態に係る入力装置の触覚部に力が加わった時のさらに別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態に係る入力装置について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
【0009】
[実施形態に係る入力装置]
図1図8を参照して、第1実施形態に係る入力装置100について説明する。図1は、第1実施形態に係る入力装置100を示す斜視図である。図2は、第1実施形態に係る入力装置100を示す断面図である。図3は、センサ300、及びセンサ収容部60を拡大して示す断面図である。図1図3には、参考のため、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。必要に応じ、他の図においても、X軸、Y軸、及びZ軸が示される。X軸、Y軸、及びZ軸は、直交していなくてもよい。XY面は、X軸及びY軸に沿う面である。XZ面は、X軸及びZ軸に沿う面である。YZ面は、Y軸及びZ軸に沿う面である。
【0010】
図1及び図2示されるように、入力装置100は、内部に流体を収容可能な容器11を含む入力部10と、配置部40とを備える。入力装置100は、図2に示されるように、センサ300を備える。入力装置100は、例えば、電子機器に対する入力操作を入力可能な装置である。入力装置100は、その他の機械、装置等に対する入力操作を入力するための装置として利用可能である。
【0011】
[入力部]
入力部10は、ユーザによって操作可能な入力部である。
【0012】
[容器11]
容器11は、流体を収容可能な容器である。流体は、液体及び気体を含む。流体は、ゲルでもよい。容器11は、触覚部20及び伝達部30を有する。容器11の内部には、空洞12が形成されている。空洞12は、触覚部20及び伝達部30によって囲まれた空間である。容器11は、例えば円錐形を成す。容器11は、円錐部及び底部を含む。また、容器11には、空洞12に流体を流入、流出させるための流通口11aが形成されている。流通口11aは、例えばシール材によりシールされている。流通口11aは、例えば頂部に形成されている。容器11は、例えば、円柱状でもよく、球体でもよく、直方体でもよい。
【0013】
[触覚部]
触覚部20は、容器11の一部を成す。触覚部20は、一部が変形可能である。触覚部20は、全部が変形可能でもよい。触覚部20は、容器11の円錐部分を形成する。触覚部20の内部の空間に、流体が収容される。触覚部20は、変形可能であり、容器11の一部を形成可能であればよい。触覚部20は、例えばシリコンから形成されている。触覚部20は、例えばゴムから形成されていてもよい。
【0014】
触覚部20は、容器11の底部の一部を含んでもよい。本例では、触覚部20は、容器11の底部の外周部を含んでいる。触覚部20は、ユーザによって操作される部分を含む。ユーザは、触覚部20をつまんだり、押したり、引っ張ったり、曲げたり、ねじったりして、操作入力することができる。
【0015】
[伝達部]
図2及び図3に示されるように、伝達部30は、容器11の底部の一部を成す。伝達部30は、少なくとも一部が変形可能であり、全部が変形可能であってもよい。伝達部30は、例えば円盤状を成す。伝達部30の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。伝達部30は、触覚部20に接合され、容器11の内部に空洞12を形成している。触覚部20の底部には開口を有する部分20aが配置されている。伝達部30は開口に配置されている。触覚部20に入力された力は、空洞12内に配置された流体を介して伝達部30に伝達される。
【0016】
[センサ]
センサ300は、伝達部30に作用する力を検出する。センサ300は、例えば力覚センサである。力覚センサの詳細については後述する。センサ300は、力覚センサに限定されない。センサ300は、例えば、静電容量センサ、ひずみゲージ、光学センサ、磁気センサでもよい。センサ300は、例えば、センサチップを有するセンサ本体300aを備える。
【0017】
[検知部]
センサ300は、検知部50を含む。検知部50には、伝達部30に作用する力が伝達される。検知部50は、伝達部30に接触可能である。検知部50は、Z軸方向において、センサ本体300aと伝達部30との間に配置されている。検知部50は、例えば円盤状を成している。検知部50の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。
【0018】
検知部50は、第1部分を含む。検知部50の第1部分は、触覚部20に力が入力されていない場合に、伝達部30に接触している。検知部50の第1部分は、触覚部20に力が入力されている場合に、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して強い力で、伝達部30に接触する。触覚部20に力が入力されていない場合とは、ユーザが触覚部20にふれていない場合である。触覚部20に力が入力されている場合とは、ユーザが触覚部20に力を加えている状態である。第1部分については、図5図7で詳細に説明する。
【0019】
伝達部30は、触覚部20に力が入力された場合に、検知部50に接近する方向に押し出される。Z軸方向において、伝達部30と検知部50との間に隙間があってもよい。伝達部30は、検知部50に接近する方向に押し出されて、検知部50に接触することができる。
【0020】
検知部50は、互いに交差するX軸方向及びY軸方向に沿う平面51を有する。平面51は、第1平面の一例である。X軸方向は、第1方向の一例である。Y軸方向は、第2方向の一例である。
【0021】
センサ300は、平面51の中心C1から離れた位置のX軸周り又はY軸周りのモーメントを検知可能である。平面51の中心C1とは、Z軸方向に見た場合の検知部50の中心でもよい。
【0022】
例えば触覚部20を挟み込むように力が入力された状態で、触覚部20がX軸方向又はY軸方向に押された場合に変形する。すると、流体を介して伝達部30がZ軸方向において検知部50の方向に押し出されるように変形する。その結果、第1部分が形成され、センサ300は、検知部50に作用する力を検知できる。
【0023】
[配置部]
図2及び図3に示されるように、入力装置100は、センサ300が配置される配置部40を備える。図1に示されるように、配置部40は、基部41と、支持台42と、端子43とを含む。基部41は、例えば板状を成す、基部41は、例えば机等に載置可能な底面を含む。支持台42は、基部41からZ軸方向に張り出す。支持台42は、例えば直方体状を成す。支持台42は、支持面42aを含む。支持面42aには、入力部10及びセンサ300が配置される。
【0024】
図1に示される端子43は、データ出力端子である。端子43は、基部41に設けられている。端子43は、センサ300のセンサチップと電気的に接続されている。支持台42及び基部41には、端子43とセンサチップとを接続する配線が形成されている。センサ300によって測定されたデータは、端子43を介して出力される。
【0025】
[センサ収容部]
次に図2及び図3を参照してセンサ300を収容するセンサ収容部60について説明する。入力装置100は、センサ収容部60を有する。センサ収容部60は、伝達部30及び筒部61と、を含む。筒部61の軸線方向は、Z軸方向に沿う。筒部61は、伝達部30から配置部40の支持面42aに向かって張り出す。伝達部30は、筒部61の一方の開口を閉じるように形成されている。
【0026】
筒部61の配置部40に近い方の端部には、フランジ62が形成されている。フランジ62は、筒部61から筒部61の径方向外側に張り出す。フランジ62は、配置部40の支持面42a上に配置される。センサ300は、伝達部30、筒部61、及び配置部40に囲まれた空間に配置されている。
【0027】
センサ300は、配置部40の支持台42に対して固定される。センサ300は、支持台42に対して、ねじ止めされていてもよい。
【0028】
[触覚部及び伝達部の剛性]
次に触覚部20及び伝達部30の剛性について説明する。図3に示されるように、触覚部20及び伝達部30は、同じ材質から形成されている場合は、伝達部30の厚さT30は、触覚部20の厚さT20よりも薄いことが好ましい。その結果、ユーザが触覚部20に力を加えると、流体を介して伝達部30が変形することが可能になる。
【0029】
また、剛性については下の関係が成り立つ。
「押したときの発生圧力×触覚部内面面積」を力にした触覚部全体の剛性・・・(1)
「押したときの発生圧力×伝達部面積」を力にした伝達部全体の剛性・・・(2)
(1)>(2)
すなわち、触覚部20と伝達部30の面積が同じであれば、伝達部30の剛性は、触覚部20の剛性よりも低いことが好ましい。伝達部30は、触覚部20と比較して、変形しやすい。その結果、ユーザが触覚部20に力を加えると、流体を介して伝達部30が変形することが可能になる。
【0030】
[流体]
入力部10の容器11の内部には、流体が収容されている。流体は、液体でもよく、気体でもよい。また、例えば水などの流体は例えばシリコンゲルなどのゲルでもよい。気体は、例えば空気でもよい。液体またはゲルは、例えば容器11の空洞12に充満されている。
【0031】
例えば、ユーザが触覚部20を握ると、容器11の内部の液体(流体)が変化して、伝達部30が検知部50を強い力で押す。伝達部30を介して、検知部50に力が伝達される。ユーザが触覚部20を握る握り方に応じて、容器11の内部の液体が変化する。液体が変化するとは、液体を収容する容器11の外形が変化することをいう。容器11の外形が変化することは、触覚部20及び伝達部30の形状が変化することを含む。ユーザが触覚部20に加えた力は、液体及び伝達部30を介して、検知部50に伝達される。
【0032】
[センサによる検出]
図4は、X軸に沿う力Fx、Y軸に沿う力Fy、Z軸に沿う力Fz、X軸周りのモーメントMx、Y軸周りのモーメントMy、及びZ軸周りのモーメントMzの向きを示す図である。センサ300は、例えば、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、及びZ軸方向の力Fzを検出できる。センサ300は、X軸を軸として回転させるモーメントMx、Y軸を軸として回転させるモーメントMy、及びZ軸を軸として回転させるモーメントMzを検出できる。
【0033】
なお、各図においてX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向が矢印で図示されている場合がある。X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向は、センサ300を基準とする。例えば、センサ300の向きが変化した場合には、センサ300の向きに応じてX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の向きも変化する。X軸方向は、矢印で示す向きとその逆向きの両方を含む。Y軸方向は、矢印で示す向きとその逆向きの両方を含む。Z軸方向は、矢印で示す向きとその逆向きの両方を含む。
【0034】
表1は、触覚部に対する操作と、センサによる検出との関係を示す表である。図1に記載されたセンサ300による検出は、センサ300により検出される代表的な力の方向であり、これ以外の力が検出される場合もある。ユーザが触覚部20をつまんだ場合には、センサ300は、力Fzを検出する。ここで、「つまむ」という動作は、触覚部20に加わった力が流体を介して伝達部30が検知部50に対して押し付けられることになる。触覚部20をつまむとは、触覚部20を握ることを含む。ユーザが、触覚部20をZ軸方向に押した場合には、センサ300は、力Fzを検出する。ユーザが触覚部20をY軸方向に倒した場合には、センサ300は、力Fy及びモーメントMxを検出する。ユーザが触覚部20をX軸方向に倒した場合には、センサ300は、力Fx及びモーメントMyを検出する。ユーザが触覚部20をつまんでZ軸を中心にグルグル回すように操作した場合には、センサ300は、力Fx,力Fy,力Fz,モーメントMx,及びモーメントMyを検出する。ユーザが触覚部20をつまんでZ軸を中心にひねるように操作した場合には、センサ300は、力Fz,モーメントMzを検出する。ユーザが触覚部20を操作することにより、従来のボタンを押すような入力操作や、レバーを倒すような方向入力操作を実行できる。
【0035】
【表1】
【0036】
図5図7は、センサ300の平面図であり、伝達部30から力を受けている領域を示す図である。図5に示される状態はユーザが触覚部20をつまむ、または、触覚部20をZ方向に押した場合の一例を示している。この場合、センサ300は、例えば、力Fzを検出可能である。図5では、検知部50における中心の領域R1に力が作用している。ここで、領域R1は、触覚部20に力が入力されている場合に、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して強い力で、伝達部30が検知部50に接触している部分である。領域R1は、例えば円形を成している。すなわち、領域R1は検知部50の第1部分の一例である。
【0037】
図6に示される状態はユーザが触覚部20をX軸負方向、Y軸正方向に倒した場合の一例を示している。ここでは、矢印が示す方向を正方向、矢印とは反対向きを負方向とする。この場合、センサ300は、例えば、力Fz、モーメントMx、及びモーメントMyを検出する。図6では、検知部50における中心から外れた領域R2に力が作用している。なお、センサ300はモーメントMx、モーメントMyを検出することにより、検知部50の中心からどの程度離れた位置にあるかを検出することができる。ここで、領域R2は触覚部20に力が入力されている場合に、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して強い力で、伝達部30が検知部50に接触している部分である。倒し方によって、領域R2は円にはならず、例えば、検知部50の周方向に不定形に湾曲するような形状を成している。すなわち、領域R2は検知部50の第1部分の一例である。
【0038】
図7に示される状態はユーザが触覚部20をつまんで、Z軸方向にグルグル回す場合の一例を示している。言い換えれば、ユーザが触覚部20をつまんでX軸方向、または、Y軸方向、または、X軸方向とY軸方向に連続的に加える力を変化させる場合である。この場合、センサ300は、例えば、力Fz、モーメントMx、及びモーメントMyを検出する。図7では、検知部50における中心から外れた領域R31~R33に力が作用している。ここで、領域R31~R33は触覚部20に力が入力されている場合に、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して強い力で、伝達部30が検知部50に接触している部分である。領域R31~R33は、例えば、検知部50の周方向に不定形に湾曲するような形状を成している。力が作用する領域は、例えば、領域R31、領域R32、領域R33の順に変化する。領域R1,R2,R31~R33は、検知部50の第1部分の一例である。
【0039】
[第1実施形態に係る入力装置の作用効果]
第1実施形態に係る入力装置100は、変形可能な触覚部20及び伝達部30を有し内部に流体を収容可能な容器11を含む入力部10と、伝達部30に作用する力を検出するセンサ300と、センサ300が配置される配置部40と、を備える。この入力装置100によれば、ユーザが触覚部20を操作して入力した力を、容器11内の流体を介して、センサ300に伝達することができる。
【0040】
本実施形態に係る入力装置100によれば、複数方向の力を容器11の内部の空洞12に収容された流体を介して、センサ300に伝達することができる。入力装置100では、複雑な操作に基づく複数方向の力を、流体を介してセンサ300に伝達できる。
【0041】
入力装置100において、センサ300は、伝達部30に接触可能であり、伝達部30に作用する力が伝達される検知部50を備える。検知部50は、触覚部20に力が入力されていない場合に、伝達部30に接触する。検知部50は、触覚部20に力が入力された場合に、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して強い力で、伝達部30に接触する第1部分を含む。センサ300は、第1部分に伝達された力を検出することができる。
【0042】
入力装置100では、触覚部20に力が入力された場合に、伝達部30が検知部50に接近する方向に押し出され、伝達部30が検知部50に強く接触する部分が生じる。その結果、センサ300は、検知部50を介して伝達された力を検出することができる。なお、「伝達部30が検知部50に強く接触する部分が生じる」とは、触覚部20に力が入力されていない場合と比較して、伝達部30が検知部50に強く接触することをいう。
【0043】
入力装置100では、検知部50は、互いに交差するX軸方向(第1方向)及びY軸方向(第2方向)に沿う平面(第1平面)51を有する。センサ300は、平面51の中心C1から離れた位置である領域R1,R2のX軸周り又はY軸周りのモーメントを検知可能である。センサ300は、X軸周りのモーメントMxを検知することにより、平面51の中心から離れた位置の力を検知することができる。センサ300は、Y軸周りのモーメントMyを検出することにより、力が加わった位置が平面51の中心からどれだけ離れているかを検出することができる。
【0044】
また、入力装置100では、触覚部20を挟み込むように力が入力された状態で、触覚部20がX軸方向又はY軸方向に連続的に加える力を変化させる場合に、第1部分が変形する。「連続的に加える力を変化させる場合」とは、加えられる力が一定ではない場合でもよい。
【0045】
また、入力装置100は、センサ300を収容するセンサ収容部60を有する。センサ収容部60は、伝達部30を上面とし、伝達部30と交差する方向に延びる筒部61を含む。筒部61の伝達部30とは反対側の部分であるフランジ62は、配置部に接続され、センサ300は、伝達部30、筒部61、及び配置部40に囲まれた空間に配置されている。入力装置100によれば、センサ収容部60の内部に、センサ300を配置することができる。なお、「伝達部を上面とし」とは、上面を形成する部分に、伝達部が配置されていることをいう。
【0046】
また、入力装置100において、伝達部30の厚さT30は、触覚部20の厚さT20よりも薄く、伝達部30は、触覚部20よりも変形量が大きい。入力装置100では、伝達部30が変形することにより、センサ300に力を伝達することができる。
【0047】
また、入力装置100において、伝達部30の剛性は、触覚部20の剛性よりも低い。入力装置100では、伝達部30が変形することにより、センサ300に力を伝達することができる。
【0048】
また、入力装置100において、流体は、液体又はゲルでもよい。入力装置100では、容器11の内部の液体又はゲルを介して、伝達部30に力を伝達することができる。センサ300は、伝達部30を介して伝達された力を検出することができる。
【0049】
一般に圧縮率は液体よりも気体の方が大きい。流体に水を使うことにより、入力した力をセンサ300に効率よく伝えることができる。一方、気体を使うことにより、入力した力を減衰させてセンサ300に入力することができる。すなわち、液体、気体、ゲルを使い分けることにより、求められる力覚をセンサ300が出力することができる。
【0050】
[第2実施形態に係る入力装置]
次に、図8を参照して第2実施形態に係る入力装置100Bについて説明する。図8は、第2実施形態に係る入力装置100Bの入力部10を示す断面図である。図8に示される第2実施形態に係る入力装置100Bが、第1実施形態に係る入力装置100と違う点は、触覚部20に代えて、触覚部20とは形状が異なる触覚部20Bを備える点である。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0051】
入力装置100Bの触覚部20Bは、例えば円柱状(円筒状)を成している。触覚部20Bの内部には、流体が収容される空間が形成されている。
【0052】
第2実施形態に係る入力装置100Bにおいても、第1実施形態に係る入力装置100と同様の作用効果を奏する。触覚部20Bは、円柱状を成すように形成されていてもよい。入力部10の容器11は、円筒体を含むものでもよい。触覚部20Bの形状は、円柱状に限定されず、例えば、直方体、立方体を成していてもよく、その他の形状を含むものでもよい。
【0053】
[第3実施形態に係る入力装置]
次に、図9を参照して第3実施形態に係る入力装置100Cについて説明する。図9は、第3実施形態に係る入力装置100Cの入力部10を示す断面図である。図9に示される第3実施形態に係る入力装置100Cが、第1実施形態に係る入力装置100と違う点は、触覚部20に代えて、触覚部20とは形状が異なる触覚部20Cを備える点である。なお、第3実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0054】
入力装置100Cの触覚部20Cは、例えば球体を成している。触覚部20Cの内部には、流体が収容される空間が形成されている。触覚部20Cは、球面を含む。
【0055】
第3実施形態に係る入力装置100Cにおいても、第1実施形態に係る入力装置100と同様の作用効果を奏する。触覚部20Cは、球体を成すように形成されていてもよい。入力部10の容器11は、球体を含むものでもよい。触覚部20Cの形状は、球体に限定されず、例えば、半円形状、曲面を有する形状でもよく、その他の形状を含むものでもよい。
【0056】
[第4実施形態に係る力覚センサ装置301]
次に、第4実施形態に係る力覚センサ装置301について説明する。力覚センサ装置301は、上記のセンサ300として適用可能なものである。本実施形態に係る力覚センサ装置301は、X軸方向の力Fx、Y軸方向の力Fy、及びZ軸方向の力Fzを検出できる。力覚センサ装置301は、X軸を軸として回転させるモーメントMx、Y軸を軸として回転させるモーメントMy、及びZ軸を軸として回転させるモーメントMzを検出できる。
【0057】
[力覚センサ装置の概略構成]
図10は、第4実施形態に係る力覚センサ装置を示す斜視図である。図11は、センサチップ、フレキシブル基板、及び起歪体を示す斜視図である。
【0058】
図10及び図11に示される本実施形態に係る力覚センサ装置301は、センサチップ410と、起歪体320と、フレキシブル基板330と、受力部340と、カバー350とを備える。受力部(検知部)340は、伝達部30と接触するように配置される。受力部340は、図2及び図3に示される検知部50である。起歪体320は、配置部40上に配置される接続部540を有する。力覚センサ装置301は、例えば小型の力覚センサ装置である。カバー350は、筒状を成す。起歪体320の一部、及びセンサチップ410は、カバー350内に収容されている。フレキシブル基板330は、センサチップ410に接続されている。
【0059】
[受力部]
力覚センサ装置301は、伝達部30に対してZ軸方向に対向して配置される。力覚センサ装置301の受力部340は、伝達部30に接続される。受力部340は、例えば円盤状を成す。受力部340には、複数のねじ穴342が形成されている。
【0060】
受力部340の天面には、伝達部30に接触する複数の接触面344(平面51、第1平面)が形成されている。受力部340の天面は、Z軸方向においてカバー350から離れた位置に配置されている。複数の接触面344は、ねじ穴342の周囲に形成されている。複数の接触面344は、接触面344の周囲の取付面346よりも、Z軸方向において外側に張り出す段差面として形成されている。接触面344は、所定の表面粗さを有する。受力部340は、例えばステンレス鋼から形成できる。受力部340は、例えば溶接によって起歪体320に固定されてもよい。
【0061】
[接続部]
力覚センサ装置301は、配置部40の支持面42aに対してZ軸方向に対向して配置される。配置部40は、Z軸方向において、力覚センサ装置301に対して伝達部30と反対側に配置される。力覚センサ装置301の接続部540は、配置部40に接続される。接続部540は、例えば円盤状を成す。図2及び図3に示されるように、接続部540には、複数のねじ穴542が形成されている。ねじ穴542に挿通されるねじにより、接続部540は、配置部40に取り付けられる。
【0062】
接続部540の底面には、配置部40の支持面42aに接触する複数の接触面が形成されている。接続部540の底面は、Z軸方向においてカバー350から離れた位置に配置されている。複数の接触面は、ねじ穴542の周囲に形成されている。
【0063】
[センサチップ]
センサチップ410は、図11に示されるように、起歪体320に搭載されている。センサチップ410は、起歪体320の上面側に、起歪体320から突出しないように接着されている。センサチップ410は、Z軸方向において受力部340に近い位置に配置されている。
【0064】
センサチップ410は、1チップで6軸を検知するMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサチップであり、SOI(Silicon On Insulator)基板等の半導体基板から形成されている。センサチップ110の平面形状は、例えば、3000μm角程度の正方形とすることができる。なお、センサチップ410の構成は、本出願人により出願された特許出願(特開2018-185296号公報)等により知られているので、詳細な説明は省略する。
【0065】
[フレキシブル基板]
フレキシブル基板330は、センサチップ410に対して信号の入出力を行う。フレキシブル基板330の一端側は、センサチップ410に接続され、カバー350内に配置されている。フレキシブル基板330の一端側は適宜屈曲された状態で、起歪体320の上面及び側面に配置されている。フレキシブル基板330の各電極331は、例えばボンディングワイヤによってセンサチップ410と電気的に接続されている。
【0066】
フレキシブル基板330には、能動部品332,333が実装されている。能動部品332,333は、アナログの電気信号をディジタルの電気信号に変換するIC(ADコンバータ)を含む。能動部品332,333は、例えば、センサチップ410から出力される力Fx,Fy,Fzを検出するブリッジ回路からのアナログ信号をディジタルの電気信号に変換する。フレキシブル基板330には、受動部品339が設けられている。受動部品339は、能動部品332,333に接続される抵抗及びコンデンサを含む。
【0067】
[起歪体]
次に、図12を参照して、起歪体320について説明する。図12は、力覚センサ装置の起歪体を示す断面斜視図である。
【0068】
接続部540は、起歪体320の一部であり、Z軸方向において、受力部340から離れた位置に配置されている。起歪体320のうち、接続部540よりも上側の部分は、上述したように、カバー350によって覆われている。
【0069】
起歪体320は、上述した接続部540と、接続部540の上方に配置されてセンサチップ410を搭載するセンサチップ搭載部となるブロック体328と、ブロック体328の周囲に配置された複数の柱322aと、複数の柱322aを連結する複数の梁323a,323b,323dと、を備える。
【0070】
複数の柱322aは、Z軸方向に見て、接続部540の中心に対して均等(点対称)となるように配置されている。柱322aは、土台である接続部540からZ軸方向に突出している。Z軸方向において、柱322aの接続部540とは反対側の端部は、梁323a,323b,323dによって連結されている。
【0071】
ブロック体328は、Z軸方向に見て、複数の柱322aの中心に配置されている。ブロック体328は、Z軸方向に見て例えば正方形を成している。ブロック体328は、Z軸方向に見て、正方形を成すものに限定されず、その他の多角形でもよく、円形でもよい。ブロック体328の太さは、柱322aよりも太い。ブロック体328のZ軸方向の長さは、柱322aよりも短い。
【0072】
ブロック体328は、Z軸方向において、接続部540から離れた位置に配置されている。ブロック体328は、Z軸方向に見て、仮想の円の径方向に延びる複数の接続用梁328aを介して複数の柱322aに接続されている。Z軸方向に見て、接続用梁328aは、ブロック体328の角部と、角部と対向する複数の柱322a,322bとを接続する。
【0073】
接続用梁328aは、Z軸方向において、柱322a,322bの中間より下側に接続されていてもよい。接続用梁328aの太さ及び厚さは、柱322a,322b及び梁323aよりも細くかつ薄く形成されている。これにより、接続用梁328aの剛性を、柱322a,322b及び梁323a,323b,323dの剛性よりも低くできる。
【0074】
複数の梁323a,323b,323dは、Z軸方向において、接続部540とは反対側に張り出す部分を含む。複数の梁323aは、複数の柱322a,322bよりも接続部540とは反対側に張り出している。Z軸方向において、梁323aの接続部540とは反対側の面には、入力部324a,324b,324dが形成されている。入力部324a,324b,324dは、Z軸方向において、受力部340に最も近い位置に配置され、接続部540から最も離れた位置に配置されている。Z軸方向に見て、入力部324a,324b,324dは、隣接する複数の柱322a,322bの中間位置に配置されている。
【0075】
起歪体320は、複数の梁323a,323b,323dから径方向内側に延びる複数の梁326a,326b,326dを有する。複数の梁326a,326b,326dは、Z軸方向に見て、ブロック体328に重なる位置まで延びる。複数の梁323a,323b,323dの先端部には、複数の第1接触部327a,327b,327dが形成されている。第1接触部327a,327b,327dは、センサチップ410と接触する接触面を有する。複数の第1接触部327a,327b,327dは、複数の梁326a,326b,326dを介して、入力部324a,324b,324dに連結されている。複数の第1接触部327a,327b,327dは、Z軸方向に見て、ブロック体328に重なる位置に配置されている。複数の第1接触部327a,327b,327dは、Z軸方向において、ブロック体328と離間している。複数の第1接触部327a,327b,327dは、Z軸方向において、ブロック体328に対して、接続部540とは反対側に配置されている。
【0076】
また、ブロック体328には、Z軸方向において、接続部540とは反対側に突出する複数の第2接触部325b,325eが設けられている。複数の第2接触部325b,325eは、センサチップ410と接触する面を含む。第2接触部325eは、Z軸方向に見て、ブロック体328の中心に配置されている。複数の第2接触部325a,325b,325dは、Z軸方向に見て、ブロック体328の角部に対応する位置に配置されている。X軸方向及びY軸方向において、複数の第2接触部325b間に、複数の第1接触部327a,327b,327dが配置されている。
【0077】
力覚センサ装置301では、受力部340に負荷が作用すると、センサチップ410に接触する複数の第1接触部327a,327b,327dと、複数の第2接触部325b,325eとの間に相対変位が発生する。センサチップ410は、第1接触部327a,327b,327dと、第2接触部325a,325b,325eとの間の相対変位を検出して、力Fx、力Fy、力Fz、モーメントMx、モーメントMy、及びモーメントMzを検知する(検知可能である)。本実施形態に係る力覚センサ装置301は周知技術である。
【0078】
なお、入力装置100に搭載されるセンサ300は、上記の力覚センサ装置301に限定されず、その他の構造の力覚センサ装置でもよい。
【0079】
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【0080】
図13は、センサ、及びセンサ収容部の変形例を示す断面図の一例である。上記の実施形態では、触覚部20に力が入力されていない場合に、伝達部30が検知部50に接触する場合について説明しているが、図13に示すように、触覚部20に力が入力されていない場合に、伝達部30は、検知部50に接触していなくてもよい。図13に示すように伝達部30と検知部50の間には空間52が形成されている。
【0081】
図13に示す場合は、ユーザが触覚部20に力を加えると、伝達部30が検知部50の方向に突出し、伝達部30の一部が検知部50の一部と接触する。この接触した部分が検知部50の第1部分となる。その結果、センサ300は、第1部分に伝達された力を検出することができる。
【0082】
触覚部20に力を加えていない状態で、伝達部30と検知部50が接触していないため、触覚部20に微小な力が加わっても、伝達部30と検知部50が接触しない。すなわち、振動などの微小な力では検知部50の第1部分は形成されず、センサ300は力を検出しない。その結果、振動などの雑音に強い入力装置が提供できる。
【0083】
上記の実施形態では、検知部50が平面51を有する場合について説明しているが、検知部50は、例えば、湾曲面を有するものでもよい。
【0084】
[第5実施形態に係る入力装置]
次に、図14図17を参照して第5実施形態に係る入力装置100Dについて説明する。図14は、第5実施形態に係る入力装置100Dの入力部10を示す断面図の一例である。図14に示される第5実施形態に係る入力装置100Dが、第1実施形態に係る入力装置100と違う点は、伝達部30とは形状が異なる伝達部30Dを備える点である。なお、第5実施形態の説明において、第1実施形態と同様の説明は省略する。
【0085】
第5実施形態に係る入力装置100Dは、伝達部30Dを備える。伝達部30Dは、容器11を構成する触覚部20の内面に接する第1部31を有している。第1部31はZ軸方向に見て、例えば円形を成している。第1部31は、リング状を成していてもよい。第1部31は、Z軸方向に見て周方向に連続している。第1部31は、Z軸方向において、容器11の底面から離れている。第1部31は、周方向に連続して触覚部20の内面に接している。第1部31は、全周において触覚部20の内面に接していてもよい。容器11の底面は、Z軸方向において、第1部31より検知部50に近い部分でもよい。
【0086】
また、伝達部30Dは、検知部50の上面に接する第2部32を有している。第2部32は、検知部50に対して例えばネジで固定されている。第2部32には、ネジを挿通するため貫通孔32cが設けられている。なお、第2部32は変形しなくてもよい。
【0087】
第2部32は、例えば円盤状を成している。第2部32の厚さ方向は、Z軸方向に沿う。
【0088】
また、伝達部30Dは、第2部32に接触する第3部33を有している。第3部33は、例えばリング状を成している。第3部33は第2部32を保持する。また、第3部33は第2部32と接触していても良い。第3部33には、第2部32が嵌る開口が形成されている。第2部32は、第3部33の開口に嵌っている。第2部32の外周部は、第3部33の開口の内周面に接している。伝達部30Dは、第1部31と第3部33とを連結する連結部34を有する。
【0089】
ここで、第1部31は、Z軸方向において第2部32よりも容器11の底面から離れた位置に存在している。同様に、第1部31は、Z軸方向において第3部よりも容器11の底面から離れた位置に存在している。第1部31は、第2部32及び第3部33よりも上方に配置されている。
【0090】
すなわち、第5実施形態に係る伝達部30Dは、触覚部20に作用した力を伝達部30Dの第1部31、連結部34、第3部33、及び第2部32を介してセンサ300の検知部に入力することができる。その結果、入力装置100Dでは、触覚部20に入力された力を、容器11の内部の流体を介して伝達部30Dを変形させて検知部50に伝える伝達経路に加え、触覚部20の変形を、伝達部30Dを介して検知部50に伝える伝達経路も形成される。そのため、入力装置100Dでは、触覚部20に入力された力の検出精度が向上する。
【0091】
例えば、伝達部30Dの第1部31、連結部34、第3部33の材料としては、ABS(acrylonitrile butadiene styrene)樹脂、シリコンゴム、又はアクリル樹脂などを使用できる。また、流体に水などの液体を用いる場合、伝達部30Dの第1部31、連結部34、第3部33の材料としては、耐水性に優れたシリコンゴム、又はアクリル樹脂が好ましい。また、第2部32の材料としてはSUS304などのステンレスが使用できる。ステンレスは、例えばオーステナイト系ステンレス鋼でもよい。ここで、触覚部20に入力された力を検知部50に伝えるために、第5実施形態の伝達部30Dの剛性は、触覚部20の剛性より高いことが好ましい。また、第5実施形態の伝達部30Dは変形しなくても良い。
【0092】
また、容器11は下面部13を有している。下面部13は変形可能であっても良い。ここで、伝達部30Dの第2部32は下面部13に形成された開口に配置されている。容器11は、触覚部20、下面部13、及び第2部32を含む。
【0093】
伝達部30Dの第1部31は、触覚部20の内周面に沿って円周状に一周するように配置されている。第2部32は、下面部13の開口を塞ぐ蓋でもよい。すなわち、伝達部30Dは、容器11の内部の空洞12を、空間12Aと空間12Bの2つに分割する。ここで、伝達部30Dは、空間12Aと空間12Bを連通する空間連通部35を有している。空洞12は、内部空間の一例である。空間12Aは、第1空間の一例であり、空間12Bは、第2空間の一例である。
【0094】
この構成により、触覚部20に力を加えた場合に、空間12A内の流体は空間連通部35を介して空間Bに移動可能である。ここで、下面部13が変形可能であることにより、触覚部20に過度の力が加わっても、空間12A内の流体が空間12Bに移動する。下面部13が変形することにより、下面部13は緩衝部として作用する。その結果、連結部34に作用する力を緩和することにより、連結部34が破損することが防止される。
【0095】
伝達部30Dの第2部32は、本体部32a及び張出部32bを有する。本体部32aは、例えば円盤状を成す。本体部32aの厚さ方向は、Z軸方向に沿う。本体部32aは、第3部33の開口部に配置されている。本体部32aは、下面部13の開口部に配置されている。本体部32aは、Z軸方向において、検知部50の上に配置されている。Z軸方向に見て、本体部32aは、検知部50に重なるように配置されている。
【0096】
張出部32bは、本体部32aの側面から径方向(X軸方向及びY軸方向)外側に張り出す。張出部32bは、Z軸方向に見て、検知部50よりも径方向外側に張り出している。Z軸方向に見て、張出部32bは第3部33と重なるように配置されている。すなわち、張出部32b及び第3部33は、Z軸方向に対向している。
【0097】
ここで、第2部32の本体部32a及び第3部33はX軸方向及びY軸方向において接触していなくても良い。張出部32b及び第3部33が接続されることにより、第1部31から第3部33に伝達されたX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向の力は、第2部32に伝達される。
【0098】
また、下面部13は、張出部32bと第3部33に挟まれている。容器11の内部の流体は、下面部13により封止されている。その結果、下面部13は、流体を封止する効果を高めることができる。
【0099】
下面部13は、円盤状を成す。下面部13の板厚方向は、Z軸方向に沿う。下面部13の中央には、開口部が形成されている。下面部13は、触覚部20の底部を構成する。
【0100】
図15は、ユーザが触覚部20をつまんだ場合の入力装置100Dを示す。図15に示される場合には、ユーザが触覚部20をつまむことにより、触覚部20に対してX軸方向又はY軸方向に力Fx,Fyが働く。この力は伝達部30Dの第1部31に伝わる。図15では、Y軸方向において、ユーザが触覚部20をつまむ動作を一例として説明する。ここで、第1部31がZ軸方向から見てY軸方向に径が短くなるように歪む。ここで、第1部31は、Z軸方向において第2部32よりも容器11の底面から離れた位置に存在している。ここで、第1部31のY軸方向に径が短くなった分だけ、連結部34をZ軸方向に押す力に変換される。そして、連結部34は、第3部33をZ軸方向に押す。このように第1部31に伝達された力は、Z軸方向に沿う力に変換される。
【0101】
第3部33に伝達された力は、第2部32を介してセンサ300に伝わり、センサ300は力Fzを検出する。ユーザが触覚部20を押した場合には、伝達部30Dの第1部31は、Z軸方向に移動する。この移動に連動して、連結部34、第3部33、及び第2部32がZ軸方向に移動し、センサ300は力Fzを検出する。
【0102】
図16は、Y軸方向に触覚部20が倒れている状態を示す。図16では、点PA,PBが示されている。点PA,PBは、Y軸方向において、触覚部20の内周面と第1部31とが接触する位置の点でもよい。点PA,PBは、Y軸方向に対向する。図16に示される状態では、点PAと点PBとを結ぶ仮想の直線L1は、X軸方向に見て、センサ300の平面51に対して傾斜している。点PAは、Z軸方向において、点PBよりも下面部13に近い。
【0103】
触覚部20がY軸方向に押されている状態において、触覚部20と第1部31とが接触する位置は、Z軸方向において非平衡となる。換言すると、X軸方向に見て、第1部31は、Z軸と直交する方向に対して傾斜している。この状態において、センサ300に伝達される力は、モーメントMxである。モーメントMxは、図4に示されるように、X軸まわりのモーメントである。
【0104】
また、この状態において、点PAは下面部13に近づくように移動する。すなわち、伝達部30Dの第1部31がZ軸方向に移動する。この移動に連動して、連結部34、第3部33、第2部32がZ軸方向に移動し、センサ300は力Fzを検出する。このように、ユーザが触覚部20をY軸方向に倒した場合には、センサ300はモーメントMx及び力Fzを検知する。
【0105】
また、ユーザによる触覚部20の倒し方によっては、触覚部20がY軸方向に移動する場合もある。この時は、伝達部30Dの第1部31がY軸方向に移動し、連結部34を介して第3部33がY軸方向に移動し、第3部33に連結された第2部32がY軸方向に移動する。そして、第2部32をY軸方向に押す力がセンサ300に伝わり、センサ300は力Fyを検出する。ユーザが触覚部20をX軸方向に倒した場合も同様に、センサ300は力Fxを検出する。
【0106】
図17は、ユーザが触覚部20をつまんでZ軸を中心に触覚部20をグルグル回した場合の力の向きを示す。グルグル回すとは、例えば複数回連続して回すことでもよい。このとき、触覚部20に入力される力の向きは、連続的に変化する。
【0107】
ユーザが触覚部20をつまむことによりセンサ300は力Fzを検出する。この状態で、Z軸を中心に触覚部20の上部をグルグル回すことにより、触覚部20の上部にX軸方向及びY軸方向の力が入力される。触覚部20の上部は、X軸方向及びY軸方向に順次倒れた状態となる。センサ300は、触覚部20の上部がX軸方向及びY軸方向に倒れた状態を検知することができる。
【0108】
この状態において、センサ300はモーメントMx及びモーメントMyを検知する。さらに、この状態において、触覚部20の上部が倒れる向きは、連続的に変化することにより、X軸方向及びY軸方向に触覚部20を押す力Fx,Fyが加わる。よって、センサ300は力Fx及び力Fyを検知する。
【0109】
次に触覚部20の上部をつまんでZ軸を中心にひねるように操作した場合について説明する。上述したように、ユーザが触覚部20の上部をつまむことにより、センサ300は下向きの力Fzを検出することができる。Z軸は、センサ300の中心を通り、Z軸方向に延在する軸でもよい。
【0110】
この状態において、ユーザが、触覚部20の上部を、Z軸を中心にひねることにより、触覚部20の内周面と接続された第1部31は、Z軸まわりに回転するように移動できる。この状態において、触覚部20から第1部31に伝達された力は、連結部34、第3部33、及び第2部32を介してセンサ300に伝達される。センサ300は、力Fzに加えてモーメントMzを検出することができる。
【0111】
下記の表2は、触覚部20に対する操作と、センサ300による検出との関係を示す表である。
【0112】
【表2】
【0113】
また、第5実施形態に係る入力装置100Dは、上記の第1~第4実施形態に係る入力装置100,100B,100Cと同様な作用効果を奏する。センサ300は、伝達部30Dを介して伝達された力を検出することができる。入力装置100Dによれば、操作入力に基づく複数方向の力を、変形可能な部材(第1部31、連結部34、及び第3部33)を介して伝達することができる。
【0114】
入力装置100Dでは、触覚部20に対する操作入力に基づく複数方向の力(力Fx,Fy,Fz、及びモーメントMx,My,Mz)を、第1部31、連結部34、及び第3部33を介して第2部32に伝達することができる。さらに、入力装置100Dでは、容器11内の流体を介して第2部32に伝達する伝達経路と、第1部31、連結部34、及び第3部を介する力の伝達経路との両方を利用することができ、センサ300における力の検出精度の向上を図ることができる。
【0115】
センサ300は、伝達部30Dに接触可能であり、伝達部30Dに作用する力が伝達される検知部50を備える。伝達部30Dは、触覚部20の内面に接する第1部31を有する。
【0116】
このような構成の入力装置100Dによれば、触覚部20に入力された力が第1部31に伝達される。第1部31に伝達された力は、センサ300の検知部50に伝達される。センサ300は、検知部50に伝達された力を検出できる。
【0117】
入力装置100Dにおいて、容器11は下面部13を有する。伝達部30Dは、第1部31に連結されると共に、検知部50と接触する第2部32を備える。第1部31は第2部32よりも容器11の下面部13から離れている。
【0118】
このような構成の入力装置100Dでは、下面部13によって容器11の底部を形成することができる。下面部13に対して、第2部32よりも離れた位置に第1部31を配置することができる。第1部31に伝達された力は、第2部を介して、検知部50に伝達される。
【0119】
入力装置100Dにおいて、伝達部30Dは、第2部32に接続される第3部33を有する。第2部32は、本体部32aと、本体部32aから第3部33と重なるように張り出す張出部32bと、有する。下面部13は、第2部32の張出部32bと第3部33との間に挟まれている。
【0120】
この構成の入力装置100Dによれば、下面部13を第2部32の張出部32bと第3部33とによって挟むことにより、伝達部30Dが触覚部20に対して、保持される。
【0121】
入力装置100Dにおいて、容器11の空洞(内部空間)12は、伝達部30Dによって空間(第1空間)12Aと空間(第2空間)12Bとに分割される。伝達部30Dは、空間12Aと空間12Bとを連通する空間連通部35を有する。
【0122】
この構成の入力装置100Dによれば、容器11の空洞12の内部の流体は、空間連通部35である開口を通じて、空間12Aと空間12Bとの間で移動できる。これにより、触覚部20を適宜変更させると共に、流体を介して、検知部50に力を伝達することができる。
【符号の説明】
【0123】
100,100B,100C,100D:入力装置、10:入力部、11:容器、12:空洞(内部空間)、12A:第1空間、12B:第2空間、20,20B,20C:触覚部、30,30D:伝達部、31:第1部、32:第2部、33:第3部、34:連結部、35:開口(空間連通部)40:配置部、50:検知部、51:平面(第1平面)、60:センサ収容部、61:筒部、62:フランジ、300:センサ、300a:センサ本体、301:力覚センサ装置(センサ)、C1:中心(第1平面の中心)、R1:領域、R2:領域、R31~R33:領域、T20:厚さ(触覚部の厚さ)、T30:厚さ(触覚部の厚さ)、X…X軸方向(第1方向)、Y…Y軸方向(第2方向)、Z…Z軸方向。
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17