(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171296
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】衣服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/005 20060101AFI20241204BHJP
A41D 13/002 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023168990
(22)【出願日】2023-09-29
(31)【優先権主張番号】P 2023087844
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】516313829
【氏名又は名称】サンコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】山光 博康
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AC02
3B211AC03
(57)【要約】
【課題】本開示の衣服は、容易に衣服から冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることができる。
【解決手段】本開示に係る衣服は、ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、前記金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、前記冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることが可能な脱着ユニットが設けられたものである。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
前記冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることが可能な脱着ユニットが設けられた衣服。
【請求項2】
前記冷却ユニットは、体に対して外側に、係合穴と保持部とが設けられた冷却ユニット板を有し、
前記脱着ユニットは、体に対して外側に、突起部と空洞部とを有し、
前記係合穴に突前記起部が嵌め込まれ、前記冷却ユニットが移動させられることで、前記空洞部に前記保持部が嵌り込み、前記冷却ユニットと前記脱着ユニットとが固定される請求項1に記載の衣服。
【請求項3】
前記脱着ユニットと接続された第1ベルト及び第2ベルトとを有し、
前記第1ベルトが人の片方の肩に通され、前記第2ベルトが人の他の肩に通されることで、前記衣服が人に装着される請求項1に記載の衣服。
【請求項4】
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
前記冷却ユニットの電力と前記送風ファンの電力とを連動して制御する制御装置を備えた衣服。
【請求項5】
人の背中側の両側に、2つの前記冷却ユニットが配置され、
前記2つの冷却ユニットの間に、フルハーネス型墜落防止用器具のランヤードを取り出すための開口部が設けられた請求項1または4に記載の衣服。
【請求項6】
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記衣服の一部又は全部が、通気遮断生地である衣服。
【請求項7】
前記通気遮断生地は織物であり、前記通気遮断生地の1インチ当たりの緯糸の本数と1インチ当たりの経糸との合計の本数が、200本以上250本以下である請求項6に記載の衣服。
【請求項8】
前記通気遮断生地の内側又は外側の少なくとも1つは、チタン加工されている請求項6に記載の衣服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペルチェ素子と送風ファンとを有する衣服に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術である特許文献1には、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中の腰の辺りに2つの送風ファンとを有する衣服が記載されている。
特許文献1は、ペルチェ素子の冷却部で、人の背中を冷やすとともに、2つの送風ファンで外気を衣服の中に取り込み、体を冷却している。その際、冷却ユニットの排熱ファンは、熱交換プレートの熱を衣服から排熱するとともに、2つの送風ファンで外気を衣服の中に取り込んだ空気を衣服の外へ排出している。
また、特許文献1には、冷却ユニットが、衣服に対して着脱自在に構成されていると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1では、どのようにして、冷却ユニットが、衣服に対して着脱自在に構成されているかの記載がなされておらず、改善の余地がある。
本開示の一態様の衣服は、上記の課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る衣服は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることが可能な脱着ユニットが設けられたものである。
【0006】
本開示の別の態様に係る衣服は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、冷却ユニットの電力と送風ファンの電力とを連動して制御する制御装置を備えたものである。
本開示のさらに別の態様に係る衣服は、ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、前記衣服の一部又は全部が、通気遮断生地である。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様の衣服は、脱着ユニットを用いて、容易に衣服から冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることができる。
また、制御装置を用いて、冷却ユニットの電力と送風ファンの電力とを連動して制御でき、人の好みにあわせることができる。
また、人の背中側の両側に、2つの冷却ユニットを配置し、2つの冷却ユニットの間に、開口部を設けることで、フルハーネス型墜落防止用器具のランヤードまたは連結ベルトを衣服から取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態1における衣服の概略の構成を示す正面図である。
【
図2】実施形態1における衣服の概略の構成を示す背面図である。
【
図3】実施形態1における表側生地及び裏側生地の内側の概略の図である。
【
図4】実施形態1における衣服の風の流れ示す概略の図である。
【
図5A】実施形態1における冷却ユニットの概略の斜視図である。
【
図5B】実施形態1における冷却ユニットの概略の分解斜視図である。
【
図6A】実施形態1における冷却ユニットの脱着方法を示す概略図である。
【
図6B】実施形態1における冷却ユニットの脱着方法を示す概略図である。
【
図7】実施形態1における脱着ユニットの概略図である。
【
図8】実施形態1における衣服が洗濯可能な状態であることを示す図である。
【
図9】実施形態1における衣服の配線関係を示す概略図である。
【
図10】実施形態1における第1リモコンの動作を示す概略のフローチャートである。
【
図11】実施形態2におけるフルハーネス型墜落防止用器具の概略の図である。
【
図12】実施形態2における衣裏側生地の概略図である。
【
図13】実施形態3における衣服の配線関係を示す概略図である。
【
図14】実施形態3における第2リモコンの概略の斜視図である。
【
図15A】実施形態3における第2リモコンの概略の平面図である。
【
図15B】実施形態3における第2リモコンの概略の正面図である。
【
図16】実施形態3における衣服の概略の背面図である。
【
図17A】実施形態4における衣服の概略の斜視図である。
【
図17B】実施形態4における衣服の概略の側面図である。
【
図18A】実施形態5における衣服の概略の背面図である。
【
図18B】実施形態5における衣服の概略の側面図である。
【
図18C】実施形態5における変形例1の衣服の概略の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示により具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態1)
【0010】
まず、衣服1(冷蔵服とも称す)の全体の概略の構成を説明してから、各構成要素の詳細について説明する。
【0011】
(衣服の全体構成について)
以下、本開示の実施形態1における衣服1の概略について図面を用いて説明する。
図1は、実施形態1における衣服1の全体の概略の正面図で、
図2は、衣服1の概略の背面図である。
ここで、衣服1を人の体に装着したときを基準として、衣服1の中心線(
図1のファスナ23で示される線)より左手側を左側、右手側を右側と定義する。また、衣服1を人の体に装着したときを基準として、人の体に最も近い側を内側、人の体から最も離れている側を外側と定義する。
【0012】
図1、2に示す様に、衣服1は、人の体の前側に配置される表側生地2と、人の体の後側(背中側)に配置される裏側生地3とを有するベスト型の衣服1である。
表側生地2は、ファスナ23と、左側及び右側に2つのポケット24とを有する。
裏側生地3は、冷却ユニット5と、左側及び右側に2つの送風ファン20とを有する。
図3は、実施形態1における表側生地2及び裏側生地3の内側の概略の図である。
図3に示す様に、裏側生地3の内側には、冷却ユニット5と、2つの送風ファン20と、脱着ユニット30と、第1ベルト40と、第2ベルト50と、第1ベルト止め46と、第2ベルト止め56とを有している。
【0013】
人の背中のほぼ真ん中の肩の位置に冷却ユニット5が配置され、人の腰の位置に左側及び右側の2つの送風ファン20が配置されている。
冷却ユニット5は、脱着ユニット30に嵌まり込んでいる(詳細については後述する)。
【0014】
図4は、実施形態1における衣服1の風の流れを示す概略の図である。
図4に示す様に、2つの送風ファン20により、外気が衣服1の中に送り込まれ、送り込まれた外気は、冷却ユニット5の排熱ファン7により、衣服1の外へ排出される。このようにして、人の背中が冷やされる。
【0015】
(冷却ユニット)
図5Aは、実施形態1における冷却ユニット5の概略の斜視図で、
図5Bは、実施形態1における冷却ユニット5の概略の分解斜視図である。
【0016】
図5A示す様に、冷却ユニット5は、冷却ユニット板14と収容部18とを有する。
冷却ユニット板14は、冷却ユニット5の外側に配置され、収容部18を保持するものである。冷却ユニット板14は、摘み部15と、排気口19とを有し、外周部に4個の係合穴16と4個の保持部17とを有する。
【0017】
図5B示す様に、冷却ユニット5は、収容部18に、排熱ファン7、熱交換プレート8と、ペルチェ素子9と、金属板12とを有している。
ペルチェ素子9は、電流が流れることで、加熱部10が発熱し、冷却部11が冷却される。
【0018】
加熱部10と熱交換プレート8とは接触しており、熱交換プレート8の熱が排熱ファン7で冷やされ、排熱ファン7で熱交換プレート8の熱が体の外に排出される。
冷却部11とアルミニウム製の金属板12とは接触しており、冷却部11は金属板12を冷却し、冷却部11で冷却された金属板12と人の背中側の衣服とが接触して、人の背中を冷やすことができる。
【0019】
(脱着ユニット)
図7は、実施形態1における脱着ユニット30の概略図である。
図7の右上の図は、脱着ユニット30の拡大図である。
脱着ユニット30は、内側板31と外側板32(
図6)とを有する。
図6、7に示す様に、内側板31と外側板32とが裏側生地3を挟み込むことで、脱着ユニット30が裏側生地3に固定されている。
図6A、6Bに示す様に、外側板32は、外側に4個の突起部34を有している。
突起部34は、コの字形状をしており、空洞部35を有している。後述するが、空洞部35に保持部17が嵌まり込む。
【0020】
(冷却ユニットと脱着ユニットとの着脱方法)
図6A、6Bを用いて、冷却ユニット5を脱着ユニット30からの取り外す方法について説明する。
図6Aは、冷却ユニット5と脱着ユニット30とが固定されている状態を示す図である。
【0021】
最初は、
図6A示す様に、脱着ユニット30の空洞部35と冷却ユニット5の保持部17とが嵌まり込んでいる。この時、突起部34は、係合穴16より裏側生地3の首に近い場所(紙面の左上)に位置し、係合穴16は貫通した状態である。
【0022】
次に、
図6B示す様に、摘み部15を用いて、摘み部15を首側(紙面の左上側)に移動させ、係合穴16が突起部34の位置に来るまで冷却ユニット5を移動させる。
【0023】
最後に、冷却ユニット5を外側に引き出すと、冷却ユニット5は脱着ユニット30から取り外すことができる。
【0024】
冷却ユニット5を脱着ユニット30に装着する方法について説明する。
【0025】
上記とは逆で、まず、
図6B示す様に、突起部34に冷却ユニット5の係合穴16を嵌め込む。
【0026】
次に、
図6A示す様に、摘み部15を用いて、摘み部15を裏側生地3の裾側(紙面の右下側)に移動させ、突起部34と保持部17とが部分的に接触する位置まで冷却ユニット5を移動させる。
【0027】
最後に、カッチっと音がするまで、冷却ユニット5を移動させ、突起部34と保持部17とを完全に係合させる。このようにして、冷却ユニット5を脱着ユニット30に装着させることができる。
【0028】
上記態様によれば、冷却ユニット5が脱着ユニット30に嵌まり込んだり外れたりして、冷却ユニット5を衣服1から容易に脱着できる。
【0029】
(脱着ユニットと衣服との着脱方法)
図8は、冷却ユニット5と、脱着ユニット30と、送風ファン20とが衣服1から取り外されている状態を示す図である。
図8の右上の図は、後述する冷却ユニット開口60周辺の拡大図である。
図8に示す様に、衣服1は、冷却ユニット開口60と脱着ユニット開口61とを有している。
図7の拡大図に示す様に、内側板31は内側板穴38を有し、外側板32は外側板突起39を有している。この場合、外側板突起39は、内側板穴38を貫通している。
脱着ユニット30を衣服1に装着する方法について説明する。
【0030】
まず、外側板32の外側板突起39を脱着ユニット開口61に挿入し、外側板突起39を脱着ユニット開口61から飛び出させる。
【0031】
次に、飛び出させた外側板突起39と内側板穴38とを嵌合させる。
このように、外側板突起39と内側板穴38とが裏側生地3を挟み込むことで、脱着ユニット30が衣服1に装着できる。
【0032】
脱着ユニット30を衣服1から取り外す方法について説明する。
【0033】
まず、飛び出している外側板突起39と内側板穴38との嵌合を外す。
【0034】
次に、内側板31を衣服1から引き抜く。
【0035】
最後に、外側板突起39を脱着ユニット開口61から引き抜き、外側板32を衣服1から引き抜く。
このようにして、脱着ユニット30が衣服1から取り外すことができる。
上記態様によれば、脱着ユニット30を衣服1に対して容易に脱着できる。
【0036】
(ベルト)
図3に示す様に、第1ベルト40と第2ベルト50とは、脱着ユニット30の内側板31と接続している。第1ベルト40と第2ベルト50とは、あたかもリュックサックのベルトのように、第1ベルト40が人の左肩に通され、第2ベルトが人の右肩に通される。そのことで、衣服1の中で比較的重い脱着ユニット30を背負うことができる。
【0037】
図3、7に示す様に、第1ベルト40は、第1上側ベルト41と第1下側ベルト42とを有する。第1上側ベルト41は、裏側生地3に設けられた第1ベルト止め46を通って、衣服1を人が装着した時、下にずり落ちないようになっている。
第1上側ベルト41は第1凹状バッフル44を有し、第1下側ベルト42は第1凸状バッフル45を有している。
第1凸状バッフル45と第1凹状バッフル44とが嵌合して、第1バッフル43を構成する。
【0038】
第2上側ベルト51は、裏側生地3に設けられた第2ベルト止め56を通って、衣服1を人が装着した時、下にずり落ちないようになっている。
第2上側ベルト51は第2凹状バッフル54を有し、第2下側ベルト52は第2凸状バッフル55を有している。
第2凸状バッフル55と第2凹状バッフル54とが嵌合して、第2バッフル53を構成する。
上記態様によれば、第1ベルトが人の片方の肩に通され、第2ベルトが人の他の肩に通されることで、衣服の中で比較的重い脱着ユニットを背負うことができ、衣服を人に装着することができる。
尚、
図3の第1ベルト40と第2ベルト50とは、伸ばしたり縮めたりして、長さを調整できる。
【0039】
(送風ファン)
図2、3に示す様に、裏側生地3の左側右側には、2つの送風ファン20と2つの送風ファン支持体21とが設けられている。送風ファン支持体21は、裏側生地3の内部に埋め込まれた厚手の生地で送風ファン20を支えるものである。
【0040】
送風ファン20は、裏側生地3の内側に配置された送風ファン本体26と、裏側生地3の外側に配置された送風ファンケース27とを有する。
送風ファン本体26は、モータとファンとを備えている。
送風ファンケース27の外周はおねじとなっており、送風ファン本体26の外周はめねじとなっており、双方を相対的に回転させることで、送風ファン本体26と送風ファンケース27とは一体となる。
【0041】
送風ファン20を送風ファン支持体21に固定する場合について説明する。
図8に示す様に、裏側生地3には、送風ファン支持体21を貫通する送風ファン貫通孔28が設けられている。
【0042】
まず、送風ファン貫通孔28に送風ファンケース27が差し込まれる。
【0043】
次に、送風ファンケース27と送風ファン本体26の双方を時計回りに回転させることで、送風ファンケース27と送風ファン本体26とで、送風ファン支持体21を挟み込み、送風ファン20は送風ファン支持体21に固定される。
【0044】
送風ファン20を送風ファン支持体21から取り外す場合について説明する。
【0045】
取り外す場合は、上記とは逆で、まず、送風ファンケース27と送風ファン本体26の双方を反時計回りに回転させる。
【0046】
次に、送風ファン本体26を送風ファンケース27から取り外す。そして、送風ファンケース27を送風ファン貫通孔28から引き出すと、送風ファン20は送風ファン支持体21から取り外すことができる。
【0047】
上記態様によれば、送風ファンを衣服に対して容易に脱着できる。
また、上記態様によれば、脱着ユニット及び送風ファンを衣服に対して容易に取り外すことができるので、衣服を洗濯できる。
【0048】
(電力制御)
図9は、実施形態1における衣服1の配線関係を示す概略図である。
第1リモコン(制御装置)70を中心に、第1リモコン70とバッテリー80とが第1ケーブル81で接続され、第1リモコン70と冷却ユニット5とが第2ケーブル82で接続され、第1リモコン70と右側の送風ファン20とが第5ケーブル85で接続され、第1リモコン70と左側の送風ファン20とが第4ケーブル84で接続されている。尚、第4ケーブル84と第5ケーブル85とは、第3ケーブル83の途中から分岐している。
尚、
図3に示す様に、裏側生地3に、第2ケーブル82を止めるケーブル止め64が設けられている。また、第1リモコン70とバッテリー80とを収容する内側ポケット65が設けられている。
【0049】
第1リモコン70は、電源ボタン71と、ペルチェボタン72と、第1冷却ランプ73と、第2冷却ランプ74と、ペルチェランプ75とを有している。
バッテリー80は、電力を供給するもので、モバイルバッテリーが好ましい。
第1ケーブル81は、モバイルバッテリーと接続性のよいUSBケーブルが好ましい。
【0050】
第1ケーブル81の第1リモコン70側の一端は、例えば、USB Type-Cの雄型端子が採用されており、第1ケーブル81の他端は、例えば、USB Type-Aの雄型端子が採用されている。
第1リモコン70の一端は、例えば、USB Type-Cの雌型端子が採用されており、第1ケーブル81の一端と第1リモコン70の一端とは、着脱可能となっている。
【0051】
図10は、実施形態1における第1リモコン70の動作を示す概略のフローチャートである。
【0052】
(S1)
電源ボタン71を長押し(例えば、3秒以上)すると、バッテリー80から冷却ユニット5と2つの送風ファン20に電力が供給され、システムが起動する。
もう一度、電源ボタン71を長押し(例えば、3秒以上)すると、バッテリー80から冷却ユニット5と2つの送風ファン20への電力供給が停止される。
【0053】
(S2)
S2は、電源ボタン71を長押して、システムが起動した時の図である。
第1冷却ランプ73と、第2冷却ランプ74と、ペルチェランプ75とが点灯する。
この時、2つの送風ファン(冷却ファン)20への電力供給は最大の「強」で、冷却ユニット(ペルチェ素子)5への電力供給も最大の「強」である。
【0054】
(S3)
電源ボタン71を1度押すと、第1冷却ランプ73が消灯し、第2冷却ランプ74と、ペルチェランプ75とが点灯する。
この時、2つの送風ファン20への電力供給は中間の「中」で、冷却ユニット5への電力供給も中間の「中」である。
このS3の場合、ゆらぎモードとなる。
ゆらぎモードとは、一定の所定の時間、冷却ユニット5及び2つの送風ファン20に電力が供給される動作と、一定の所定の時間、冷却ユニット5及び2つの送風ファン20への電力供給が停止される動作とを繰り返すモードである。このことにより、バッテリー80の電力を節約できる。
【0055】
(S4)
電源ボタン71をもう1度押すと、第1冷却ランプ73が点灯し、第2冷却ランプ74が消灯し、ペルチェランプ75が点灯する。
この時、2つの送風ファン20への電力供給は最小の「弱」で、冷却ユニット5への電力供給も最小の「弱」である。
【0056】
(S5)
電源ボタン71をもう1度押すと、第1冷却ランプ73が消灯し、第2冷却ランプ74が消灯し、ペルチェランプ75が点灯する。
この時、2つの送風ファン20への電力供給は停止し、2つの送風ファン20の回転は止まり、冷却ユニット5への電力供給は最大の「強」となる。
【0057】
電源ボタン71をもう1度押すと、S2の状態へ戻る。
【0058】
ペルチェボタン72について、説明する。ペルチェボタン72は、S2、S3、S4で動作する。
【0059】
ペルチェボタン72が押されると、ペルチェランプ75が消灯し、冷却ユニット5への電力供給が停止する。
この時、電源ボタン71を押す度に、2つの送風ファン20への電力供給を、「強(S2)」、「中(S3)」、「弱(S4)」に変化させることができる。
【0060】
再度、ペルチェボタン72が押されると、S2、S3、S4において、ペルチェランプが点灯し、冷却ユニット5への電力供給が行われる。S2、S3、S4において、上記したように、冷却ユニット5への電力供給と2つの送風ファンへの電力供給は、連動して、「強(S2)」、「中(S3)」、「弱(S4)」と変化する。
【0061】
尚、
図10では、冷却ファン及びペルチェ素子への電力供給の強さの切替えを、強、中、弱の3段階としたが、強、弱の2段階としてもよい。
【0062】
上記態様によれば、冷却ユニットの電力と送風ファンの電力とを連動させて、制御装置で制御できる。
【0063】
(異常検知)
制御装置70は、中央演算処理装置(CPU)、メモリ等の記憶装置、第1電流検知装置、第2電流検知装置などを有している(図示せず)。
記憶装置には、2つの送風ファン20のモータの電流(単に、送風ファン電流と称す)の閾値(IT1)と、排熱ファン7のモータの電流(単に、排熱ファン電流と称す)の閾値(IT2)とが記憶されている。
下記動作の主要な動作は、制御装置70により実行される。
【0064】
まず、送風ファン20について説明する。
制御装置70は、送風ファン電流を検知する第1電流検知装置を有している。
第1電流検知装置は、送風ファン電流をアナログデジタル変換(A/D変換)して、現在の送風ファン電流の値(I1)をCPUに送る。
【0065】
CPUは、記憶装置に記憶されている送風ファン電流の閾値(IT1)と、現在の送風ファン電流の値(I1)とを比較し、現在の送風ファン電流の値(I1)が、送風ファン電流の閾値(IT1)を超えた場合(I1>IT1)、送風ファン20への電力供給を停止する。
I1>IT1の状態は、2つの送風ファン20のモータのいずれか一方、又は両方に過電流が流れている状態である。
そして、第1冷却ランプ73、第2冷却ランプ74、ペルチェランプ75の少なくとも1つ、または、上記ランプの全てを点滅させ、ユーザに異常を知らせる(エラーモード)。
【0066】
ユーザは、2つの送風ファン20に、釘などの異物が挟まっていないかの確認をし、もし異物が挟まっておれば、異物を除去する。
エラーモードを解除するには、ユーザが、第1ケーブル81の一方の端部(接続部)をバッテリー80または第1リモコン(制御装置)70から抜き、再度元の状態になるように差し込むことで、エラーモードは解除される。
【0067】
このように、送風ファン20に異物が挟まっても、送風ファン20のモータが故障するのを未然に防ぐことができる。
【0068】
尚、上記送風ファン20の異常検知手段を設けたが、上記送風ファン20の異常検知手段を設けない形態としてもよい。
【0069】
次、排熱ファン7について説明する。
制御装置70は、排熱ファン電流を検知する第2電流検知装置を有している。
第2電流検知装置は、排熱ファン電流をアナログデジタル変換(A/D変換)して、現在の排熱ファン電流の値(I2)をCPUに送る。
【0070】
CPUは、記憶装置に記憶されている排熱ファンの閾値(IT2)と、現在の排熱ファンの値(I2)とを比較し、現在の排熱ファンの値(I2)が、排熱ファンの閾値(IT2)を超えた場合(I2>IT2)、排熱ファン7への電力供給を停止する。
I2>IT2の状態は、排熱ファン7のモータに過電流が流れている状態である。
そして、第1冷却ランプ73、第2冷却ランプ74、ペルチェランプ75の少なくとも1つ、または、上記ランプの全てを点滅させ、ユーザに異常を知らせる(エラーモード)。
【0071】
ユーザは、排熱ファン7に、釘などの異物が挟まっていないかの確認をし、もし異物が挟まっておれば、異物を除去する。
エラーモードを解除するには、ユーザが、第1ケーブル81の一方の端部(接続部)をバッテリー80または第1リモコン(制御装置)70から抜き、再度元の状態になるように差し込むことで、エラーモードは解除される。
【0072】
このように、排熱ファン7に異物が挟まっても、排熱ファン7のモータが故障するのを未然に防ぐことができる。
【0073】
尚、第1電流検知装置、第2電流検知装置は、制御装置70以外の衣服1のいずれかの場所に別途設けられていてもよい。
尚、第1電流検知装置、第2電流検知装置で、A/D変換を行ったが、制御装置70に
、別途A/D変換装置を設けて、A/D変換を行ってもよい。
【0074】
(実施形態2)
実施形態2は、人がフルハーネス型墜落防止用器具94を装着し、さらに衣服100を重ね着する場合の態様である。
【0075】
図11は、実施形態2におけるフルハーネス型墜落防止用器具94の概略の図である。
図12は、実施形態2における裏側生地3の概略図である。
【0076】
図11に示す様に、人が、フルハーネス型墜落防止用器具94を装着している。フルハーネス型墜落防止用器具94は、フック96とショックアブソーバ97とを備えたランヤード95と、連結ベルト98とを有する。
【0077】
図12に示す様に、裏側生地3は、2つの冷却ユニット5と、耳部90と、開口部91とを有する。
開口部91は、裏側生地3の中心線92上に配置されている。耳部90は、開口部91を覆うカバーで、裏側生地3の中心線92上に配置されている。
【0078】
衣服100とフルハーネス型墜落防止用器具94とを重ねて装着する場合、開口部91からランヤード95または連結ベルト98を体の外へ排出することができる。その際、2つの冷却ユニット5は、耳部90を避けて左右に配置されているので、ランヤード95または連結ベルト98と接触することがない。言い換えれば、耳部90及び開口部91は、2つの冷却ユニット5の間に配置されている。
上記態様によれば、2つの冷却ユニットの間に開口部を設けることで、フルハーネス型墜落防止用器具のランヤードまたは連結ベルトを衣服から取り出すことができる。
【0079】
(実施形態3)
実施形態3は、実施形態1と比べて、(1)後述する第6ケーブル86の一端と後述する第2リモコン77の一端とが接合して外せない構成と、(2)送風ファン20の中心を腰部の位置から、腰部と背中との間の位置へと移動させた構成とが異なる。
上記した2つの構成以外の構成は、実施形態1の構成と同様である。
図13は実施形態3における衣服101の配線関係を示す概略図で、
図14は実施形態3における第2リモコン77の概略の斜視図で、
図15Aは実施形態3における第2リモコン77の概略の平面図で、
図15Bは実施形態3における第2リモコン77の概略の正面図である。
【0080】
まず、実施形態3の第6ケーブル86の一端と第2リモコン77の一端とが接合して外せない構成について説明する。
図13、14、15A、15Bに示す様に、実施形態3の第2リモコン77の一端には第1リモコン接続部88が設けられ、第2リモコン77の他端には第2リモコン接続部89が設けられている。
【0081】
第1リモコン接続部88と第6ケーブル86の一端とが、物理的に接続されており、第6ケーブル86の一端は、第1リモコン接続部88から取り外すことができないようになっている。また、第1リモコン接続部88は、第2リモコン77から取り外すことができないように、固定されている。
【0082】
第2リモコン77の他端において、第2ケーブル82の一端及び第3ケーブル83の一端と、第2リモコン接続部89とが、物理的に接続されている。第2リモコン接続部89も第2リモコン77から取り外すことができないように、固定されている。
【0083】
第6ケーブル86は、バッテリー80(
図9)の電力を第2リモコン77に送るケーブルであり、第6ケーブル86の他端はケーブル端子87が設けられている。
ケーブル端子87は、バッテリー80と物理的及び電気的に接続可能な、例えば、USB Type-Aの雄型端子が好ましい。
【0084】
上記態様によれば、第2リモコン77と第1リモコン接続部88(第6ケーブル86の一端)とが、実施形態1のように抜き差しできないように固定されているので、第1リモコン接続部88(第6ケーブル86の一端)が壊れるのを防止できる。また、ケーブル端子87がUSB Type-Aの雄型端子になっているので、市販で多く使用されているモバイルバッテリーと接続することが可能である。
【0085】
次に、送風ファン20の中心を腰部の位置から、腰部と背中の間の位置へと移動させた構成について説明する。
図16は、実施形態3における衣服101の概略の背面図である。
図16に示す様に、送風ファン20の中心を、実施形態1の腰部の位置から、腰部の上部の位置、腰部と背中の間の位置、または、背中の下部の位置のいずれか1つの位置へと移動させた構成となっている。
具体的には、衣服101を人が装着した状態を基準として、送風ファン支持体21の下端部22の位置を、腰部の下部の位置から、3cm~7cm上に、好ましくは4~6cm上に移動させている。
上記態様によれば、送風ファン20が冷却ユニット5(排熱ファン7)に接近するので、送風ファン20から吸気される風を排熱ファン7に多く送ることができる。その結果、排熱ファン7の排気能力を向上させることができので、冷却ユニット5で体をより冷やすことができる。
【0086】
(実施形態4)
実施形態4は、実施形態1~3と比べて、送風ファン20を体の側面に設けた点が異なる。上記した構成以外の構成は、実施形態1の構成と同様である。
図17Aは実施形態4における衣服102の概略の斜視図で、
図17Bは実施形態4における衣服102の概略の側面図である。
実施形態1~3の衣服1、100、101の各々は、背中の腰部に、2つの送風ファン20が配置されている。
その場合、運転者が衣服1、100、101を装着して、トラック、バス、タクシーなどの車を運転すると、2つの送風ファン20が車の椅子と接触する。その結果、2つの送風ファン20が運転者の背中に当たり、運転者に不快感が生じるという新たな課題が発生する。また、2つの送風ファン20の吸入口が椅子で塞がれるので、2つの送風ファン20により吸入される風の量が減少し、冷却ユニット5の冷却能力が低下するという新たな課題が発生する。
【0087】
そこで、実施形態4では、
図17A、17Bに示す様に、体の両側の側面に2つの送風ファン20を配置し、2つの送風ファン20と車の椅子とを接触させない構造とした。
図17Bにおいて、アームホール(袖ぐり)110が模式的に描かれている。
図17Bに示す様に、送風ファン20は、体の両側の側面で、腰部に配置されている。
上記態様によれば、体の両側の側面に2つの送風ファン20を配置し、2つの送風ファン20が運転者の背中に当たることがないようにしたので、運転者が不快感を生じなくすることができる。また、2つの送風ファン20の吸入口が椅子で塞がれることがないので、冷却ユニット5の冷却能力が低下することを防止できる。
【0088】
(実施形態5)
実施形態5は、実施形態1~4と比べて、衣服103の表側生地2及び裏側生地3に、通気性を抑えた通気遮断生地112を用いた点が異なる。上記した構成以外の構成は、実施形態1の構成と同様である。
図18Aは実施形態5における衣服103の概略の背面図で、
図18Bは実施形態5における衣服103の概略の側面図である。
【0089】
図18A、18Bに示す様に、実線の矢印は送風ファン20及び冷却ユニット5の排熱ファン7による空気の流れを表している。一点鎖線は、冷却ユニット5の金属板12により冷却された空気の流れを表している。
【0090】
まず、送風ファン20及び冷却ユニット5の排熱ファン7による空気の流れについて、説明する。
送風ファン20により、衣服103の外気が衣服103の内部に取り入れられる。
取り入れられた空気は、主に以下の3つの経路を経て、衣服103の外に排出される。
(1)当該空気は、腰部から背中に、排熱ファン7により背中から衣服103の外に排出される。
(2)当該空気は、腰部から背中に、背中から頚部に、頚部から衣服103の外に排出される。
(3)当該空気は、腰部から腹部に、腹部から胸部に、胸部から頚部に、頚部から衣服103の外に排出される。
【0091】
実施形態5では、表側生地2の一部又は全部に、及び/又は、裏側生地3の一部又は全部に、通気遮断生地112を用いている。そのことにより、表側生地2、及び/又は、裏側生地3に当たった空気は跳ね返される。冷却ユニット5は体と接触しており、冷却ユニット5と接触している衣服103は、体と近接している。
衣服103の冷却ユニット5と接触していない箇所は、体から離れ、膨らんだ状態となっており、体との間に空間を有している(
図18B)。
ここで、表側生地2の全部、裏側生地3の全部の意味について説明する。
表側生地2の全部、裏側生地3の全部の意味は、表側生地2、裏側生地3の主要な部分という意味で、衣服103の縁を補強する補助ライン、ポケットの表面、ポケットの縁などの補助的な部分を除く意味である。
【0092】
次に、冷却ユニット5の金属板12により冷却された空気の流れ(一点鎖線)について説明する。
図18A、18Bの一点鎖線のように、冷却ユニット5の金属板12は、金属板12の周りの空気を冷却する。金属板12は、衣服103の裏側生地3側の背中の空間において、送風ファン20により衣服103の内部に取り込まれた空気を冷却する。冷却された空気は、衣服103の表側生地2側の胸部及び腹部の空間に移動する。衣服103の表側生地2側及び裏側生地3側で冷却された空気は、頚部から外に排出させられる。
また、衣服103の表側生地2側及び裏側生地3側で冷却された空気の一部は、排熱ファン7により衣服103の外に排出させられる。
【0093】
次に、衣服103の通気遮断生地112について、説明する。
衣服103の通気遮断生地112は、織物である。
通気遮断生地112とは、防風性を有する生地、又は通気性が抑制された生地のことである。言い換えれば、通気遮断生地112とは、衣服103の外側の空気が内側に侵入され難く、衣服103の内側の空気が外側に排出され難い生地のことである。
つまり、通気遮断生地112の密度は、通常の衣服の密度より大きくなっている。
【0094】
織物の密度と、1インチ当たりの緯糸の打ち込み本数と1インチ当たりの経糸打ち込み本数との合計の本数(以後、単に、緯糸及び経糸の合計本数と称す)とは相関関係があるので、織物の密度は、緯糸及び経糸の合計本数で表すことができる。
【0095】
一般的な、防風性を有さない生地、又は通気性が抑制されていない生地の1インチ当たりの経糸の打ち込み本数は110本で、1インチ当たりの緯糸の打ち込み本数は70本以上80本以下で、緯糸及び経糸の合計本数は180本以上190本以下である。
一方、衣服103の1インチ当たりの経糸の打ち込み本数は、例えば、90本で、1インチ当たりの緯糸の打ち込み本数は、例えば、145本で、緯糸及び経糸の合計本数は235本である。
よって、衣服103の緯糸及び経糸の合計本数は、200本以上300本以下が好ましく、さらに、200本以上250本以下が好ましい。
【0096】
上記態様によれば、衣服103に通気遮断生地112を用いることで、金属板12により冷却された空気により、体全体を冷却することができる。また、冷たさを感じやすい頚部を冷やすことができる。
【0097】
(変形例1)
図18Cは、実施形態5における変形例1の衣服104の概略の側面図である。
図18Cに示す様に、変形例1の衣服104は、実施形態5の衣服103の通気遮断生地112の内側に加工層113を設けている。また、通気遮断生地112の外側に加工層113を設けてもよい。
加工層113とは、通気遮断生地112の内側、又は外側に、通気遮断生地112の密度を大きくする加工が施される層のことである。
具体的な加工方法は、シレ-加工(カレンダー加工)、チタン加工(チタンコーティング)などである。
特に、チタン加工は、赤外線、紫外線を反射し、遮断するので、衣服104の内部の温度上昇を抑えることができるので、好ましい。
【0098】
尚、実施形態1~4に係る発明は、矛盾が生じない限り、置き換えたり、組合せたりすることができる。
【0099】
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の衣服を含む。
【0100】
〔項目1〕
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
前記冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることが可能な脱着ユニットが設けられた衣服。
上記態様よれば、脱着ユニットを用いて、容易に、衣服から冷却ユニットを装着したり、取り外したりすることができる。
【0101】
〔項目2〕
前記冷却ユニットは、体に対して外側に、係合穴と保持部とが設けられた冷却ユニット板を有し、
前記脱着ユニットは、体に対して外側に、突起部と空洞部とを有し、
前記係合穴に突前記起部が嵌め込まれ、前記冷却ユニットが移動させられることで、前記空洞部に前記保持部が嵌り込み、前記冷却ユニットと前記脱着ユニットとが固定される項目1に記載の衣服。
上記態様よれば、係合穴に突起部が嵌め込まれ、冷却ユニットが移動させられることで、空洞部に保持部が嵌り込み、冷却ユニットと脱着ユニットとが固定できる。
【0102】
〔項目3〕
前記脱着ユニットと接続された第1ベルト及び第2ベルトとを有し、
前記第1ベルトが人の片方の肩に通され、前記第2ベルトが人の他の肩に通されることで、前記衣服が人に装着される項目1に記載の衣服。
上記態様よれば、第1ベルト及び第2ベルトを人の肩にかけることで、しっかりと衣服を装着することができる。
【0103】
〔項目4〕
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記金属板は、体に対して最も近い内側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
前記冷却ユニットの電力と前記送風ファンの電力とを連動して制御する制御装置を備えた衣服。
上記態様よれば、制御装置を用いて、冷却ユニットの電力と送風ファンの電力とを連動して制御でき、人の好みにあわせることができる。
【0104】
〔項目5〕
人の背中側の両側に、2つの前記冷却ユニットが配置され、
前記2つの冷却ユニットの間に、フルハーネス型墜落防止用器具のランヤードを取り出すための開口部が設けられた項目1乃至4のいずれかに記載の衣服。
上記態様よれば、人の背中側の両側に、2つの冷却ユニットを配置し、2つの冷却ユニットの間に、開口部を設けることで、フルハーネス型墜落防止用器具のランヤードまたは連結ベルトを衣服から取り出すことができる。
【0105】
〔項目6〕
ペルチェ素子と、前記ペルチェ素子の冷却部である金属板と、前記ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、前記熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、送風ファンとを有する衣服であって、
前記衣服の一部又は全部が、通気遮断生地である衣服。
上記態様によれば、衣服に通気遮断生地を用いることで、金属板により冷却された空気により、体全体を冷却することができる。また、冷たさを感じやすい頚部を冷やすことができる。
【0106】
〔項目7〕
前記通気遮断生地は織物であり、前記通気遮断生地の1インチ当たりの緯糸の本数と1インチ当たりの経糸との合計の本数が、200本以上250本以下である請求項6に記載の衣服。
上記態様によれば、前記通気遮断生地の1インチ当たりの緯糸の本数と1インチ当たりの経糸との合計の本数が200本以上250本以下とする通気遮断生地を用いることで、金属板により冷却された空気により、体全体を冷却することができる。また、冷たさを感じやすい頚部を冷やすことができる。
【0107】
〔項目8〕
前記通気遮断生地の内側又は外側の少なくとも1つは、チタン加工されている請求項6に記載の衣服。
上記態様によれば、通気遮断生地の内側、又は外側に、チタン加工が施されることで、通気遮断生地の密度を大きくすることができる。また、チタン加工が施されることで、赤外線、紫外線を反射し、遮断するので、衣服の内部の温度上昇を抑えることができる。
【符号の説明】
【0108】
1、100-104 衣服(冷蔵服)
2 表側生地
3 裏側生地
5 冷却ユニット
7 排熱ファン
8 熱交換プレート
9 ペルチェ素子
10 加熱部
11 冷却部
12 金属板
16 係合穴
17 保持部
20 送風ファン
30 脱着ユニット
34 突起部
35 空洞部
40 第1ベルト
50 第2ベルト
70 第1リモコン(制御装置)
77 第2リモコン(制御装置)
87 ケーブル端子
88 第1リモコン接続部
89 第2リモコン接続部
112 通気遮断生地
113 加工層