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特開2024-171301電力変換装置、および、コンデンサ装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171301
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】電力変換装置、および、コンデンサ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241204BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023205449
(22)【出願日】2023-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2023087916
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 亮
(72)【発明者】
【氏名】浅井 祐哉
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA21
5H770BA02
5H770CA06
5H770DA03
5H770DA41
5H770PA12
5H770PA42
5H770PA43
5H770QA12
5H770QA16
5H770QA17
5H770QA22
5H770QA28
(57)【要約】
【課題】コンデンサ素子の放熱性能が向上した電力変換装置およびコンデンサ装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、電気部品とスイッチモジュールの間に設けられているコンデンサ装置170を有する。コンデンサ装置は、複数のコンデンサ素子21、22、23と、高電位側バスバー130と、低電位側バスバー140と、を備える。高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、複数のコンデンサ素子の電極、電気部品、および、スイッチモジュールに接続されている。高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、複数のコンデンサ素子に重なるように設けられている。高電位側バスバーの高電位側第1部位132が低電位側バスバーの低電位側第1部位141よりもコンデンサ素子から離れて設けられている。低電位側バスバーの低電位側第2部位142が高電位側バスバーの高電位側第2部位131よりもコンデンサ素子から離れて設けられている。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
前記コンデンサ装置は、
前記電気部品と前記スイッチモジュールが並ぶ並び方向(X)とは異なる幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、前記並び方向に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
前記第1電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(130)と、
前記第2電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(140)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記並び方向、および、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられている電力変換装置。
【請求項2】
前記高電位側バスバーは、前記板厚方向に位置が異なる、前記高電位側第2部位である高電位側第1延長片(131)、および、前記高電位側第1部位である高電位側第2延長片(132)と、前記高電位側第1延長片の一部と前記高電位側第2延長片の一部とを前記板厚方向でつなぐとともに、前記高電位側第1延長片の残りと前記高電位側第2延長片の残りとの間の第1空隙(130A)と並ぶ高電位側連結片(133)と、を備え、
前記低電位側バスバーは、前記板厚方向の位置が異なる、前記低電位側第1部位である低電位側第1延長片(141)、および、前記低電位側第2部位である低電位側第2延長片(142)と、前記低電位側第1延長片の一部と前記低電位側第2延長片の一部とを前記板厚方向でつなぐとともに、前記低電位側第1延長片の残りと前記低電位側第2延長片の残りとの間の第2空隙(140A)と並ぶ低電位側連結片(143)と、を備え、
前記第1空隙に前記低電位側連結片が通され、
前記第2空隙に前記高電位側連結片が通されている請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
複数の前記コンデンサ素子は、第1コンデンサ素子(21)と第2コンデンサ素子(22)を有し、
前記板厚方向で、前記高電位側第1延長片および前記低電位側第2延長片が前記第1コンデンサ素子に重なり、
前記板厚方向で、前記高電位側第2延長片および前記低電位側第2延長片が前記第2コンデンサ素子に重なり、
前記低電位側第2延長片が前記高電位側第1延長片よりも前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子よりも離れて設けられ、
前記高電位側第2延長片が前記低電位側第1延長片よりも前記板厚方向で前記第2コンデンサ素子よりも離れて設けられている請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1コンデンサ素子の前記第1電極と前記第2コンデンサ素子の前記第2電極、および、前記第1コンデンサ素子の前記第2電極と前記第2コンデンサ素子の前記第1電極とが前記並び方向で並ぶように、前記第1コンデンサ素子と前記第2コンデンサ素子とが配置され、
前記高電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記電気部品を介してバッテリ(2)に接続されている請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンデンサ装置、前記スイッチモジュール、および、前記電気部品を収納するケース(80)と、
前記ケースの底部(81)に設けられる放熱部材(60)と、をさらに有し、
前記底部の内部に前記コンデンサ装置を冷却する冷媒が流れる冷却路(88)が設けられ、
前記コンデンサ装置は、前記板厚方向に関して、前記高電位側バスバーおよび前記低電位側バスバーが前記底部に対面するように前記ケースに設けられ、
前記高電位側第2延長片、および、前記低電位側第2延長片が前記放熱部材に接触している請求項2~4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記高電位側重複部から突出して前記第1電極に電気的に接続される高電位側接続端子(136A、136B、139A、139B)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記低電位側重複部から突出して前記第2電極に電気的に接続される低電位側接続端子(146A、146B、149A、149B)と、を有し、
前記底部に、前記高電位側接続端子が収納される高電位側凹部(89A、89B)、および、前記低電位側接続端子が収納される低電位側凹部(89C、89D)が形成され、
前記放熱部材が、前記高電位側凹部の内部、および、前記低電位側凹部の内部に設けられ、
前記高電位側接続端子と前記低電位側接続端子が前記放熱部材に接触している請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1コンデンサ素子の前記第1電極と前記第2コンデンサ素子の前記第1電極、および、前記第1コンデンサ素子の前記第2電極と前記第2コンデンサ素子の前記第2電極とが前記並び方向で並ぶように、前記第1コンデンサ素子と前記第2コンデンサ素子とが配置され、
前記高電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記電気部品を介してバッテリ(2)に接続されている請求項3に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子、または、前記第2コンデンサ素子に重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記高電位側重複部から突出して前記第1電極に電気的に接続される高電位側接続端子(136A、136B、139A、139B)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子、または、前記第2コンデンサ素子に重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記低電位側重複部から突出して前記第2電極に電気的に接続される低電位側接続端子(146A、146B、149A、149B)と、を有し、
前記高電位側第2延長片に前記低電位側接続端子の一部を通すための高電位側切り欠き(137A)が設けられ、
前記低電位側第2延長片に前記高電位側接続端子の一部を通すための低電位側切り欠き(147A)が設けられている請求項7に記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記コンデンサ素子を複数有し、
各前記コンデンサ素子の前記第1電極に接続されて前記板厚方向に延びる高電位側接続バスバー(324)と、
各前記コンデンサ素子の前記第2電極に接続されて前記板厚方向に延びる低電位側接続バスバー(325)と、をさらに備え、
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部から突出して前記高電位側接続バスバーに電気的に接続される高電位側接続端子(336)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうちの少なくとも1つに前記板厚方向で重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部から突出して前記低電位側接続バスバーに電気的に接続される低電位側接続端子(346)と、を有し、
前記高電位側重複部に、前記高電位側接続バスバーが通過可能な第1貫通孔(301)と、前記低電位側接続バスバーが通過可能な第2貫通孔(302)が形成され、
前記低電位側重複部に、前記高電位側接続バスバーが通過可能な第3貫通孔(303)と、前記低電位側接続バスバーが通過可能な第4貫通孔(304)が形成され、
前記第1貫通孔および前記第3貫通孔を通った前記高電位側接続バスバーと前記高電位側接続端子とが接続され、
前記第2貫通孔および前記第4貫通孔を通った前記低電位側接続バスバーと前記低電位側接続端子とが接続されている請求項2または3に記載の電力変換装置。
【請求項10】
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、前記幅方向とは異なる並び方向(X)に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
前記第1電極に接続される高電位側バスバー(130)と、
前記第2電極に接続される低電位側バスバー(140)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記並び方向、および、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられているコンデンサ装置。
【請求項11】
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
前記コンデンサ装置は、
幅方向(Y)に離れた第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
前記第1電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(430)と、
前記第2電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(440)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられている電力変換装置。
【請求項12】
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
前記第1電極に接続される高電位側バスバー(430)と、
前記第2電極に接続される低電位側バスバー(440)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられているコンデンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に記載の開示は、電力変換装置、および、コンデンサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、電極端子部と、接続端子部と、中継端子部と、を有するバスバーが記載されている。電極端子部はコンデンサ素子の端面電極を上方から覆っている。電極端子部は、前板部と、後板部と、これらの間において矩形波状に上方に張り出す張出部と、によって構成されている。端面電極に対して、前板部と後板部の接続ピンが接触している。電極端子部と接続端子部とが中継端子部により中継されている。接続端子部が電源装置に繋がる外部端子に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/241145号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成によれば、コンデンサ素子で発生した熱が張出部で放熱されやすくなる。しかしながら、特許文献1の構成においては、コンデンサ素子と接続されている2つのバスバーの内の1つしか冷却できていないため、素子が片側からのみしか冷却されない。コンデンサ素子の放熱性能が低く改善が求められていた。
【0005】
本開示の目的は、コンデンサ素子の放熱性能が向上した電力変換装置およびコンデンサ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様による電力変換装置は、
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
コンデンサ装置は、
電気部品とスイッチモジュールが並ぶ並び方向(X)とは異なる幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、並び方向に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
第1電極、電気部品、および、スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(130)と、
第2電極、電気部品、および、スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(140)と、を備え、
高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、並び方向、および、幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、コンデンサ素子に重なるように設けられ、
高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられ、
低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられている。
【0007】
本開示の一態様によるコンデンサ装置は、
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、幅方向とは異なる並び方向(X)に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
第1電極に接続される高電位側バスバー(130)と、
第2電極に接続される低電位側バスバー(140)と、を備え、
高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、並び方向、および、幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、コンデンサ素子に重なるように設けられ、
高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられ、
低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられている。
【0008】
本開示の別の一態様による電力変換装置は、
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
コンデンサ装置は、
幅方向(Y)に離れた第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
第1電極、電気部品、および、スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(430)と、
第2電極、電気部品、および、スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(440)と、を備え、
高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、コンデンサ素子に重なるように設けられ、
高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられ、
低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられている。
【0009】
本開示の別の一態様によるコンデンサ装置は、
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
第1電極に接続される高電位側バスバー(430)と、
第2電極に接続される低電位側バスバー(440)と、を備え、
高電位側バスバー、および、低電位側バスバーは、幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、コンデンサ素子に重なるように設けられ、
高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられ、
低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも板厚方向に関してコンデンサ素子から離れて設けられている。
【0010】
高電位側バスバー(130、430)の高電位側第1部位(132、431)が低電位側バスバー(140、440)の低電位側第1部位(141、441)よりも放熱されやすく、低電位側バスバーの低電位側第2部位(142、442)が高電位側バスバーの高電位側第2部位(131、432)よりも放熱されやすい。コンデンサ素子(21、22、23、421)の熱が高電位側第1部位および低電位側第2部位から積極的に放熱されやすい。コンデンサ素子の放熱効果が高まる。
【0011】
なお、上記の括弧内の参照番号は、後述の実施形態に記載の構成との対応関係を示すものに過ぎず、技術的範囲を何ら制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】車載システムを説明する電気回路図である。
図2】電力変換装置の平面図である。
図3図2のIII-III線で切った断面図である。
図4】コンデンサ装置の分解斜視図である。
図5】コンデンサ装置の斜視図である。
図6】コンデンサ素子の斜視図である。
図7】コンデンサ装置の電流経路の一部を説明する模式図である。
図8】コンデンサ装置の電流経路の一部を説明する模式図である。
図9】放熱部材が設けられたケースの平面図である。
図10図2のX-X線で切った断面図である。
図11】バスバーモジュールの製造方法を説明する模式図である。
図12】バスバーモジュールの製造方法を説明する模式図である。
図13】第2実施形態の電力変換装置の平面図である。
図14】第2実施形態のコンデンサ装置の斜視図である。
図15】第2実施形態のバスバーモジュールの製造方法を説明する模式図である。
図16】第3実施形態のコンデンサ素子の平面図である。
図17】第3実施形態のコンデンサ装置の平面図である。
図18】第3実施形態の高電位側バスバーの平面図である。
図19】第3実施形態の低電位側バスバーの平面図である。
図20】第3実施形態の絶縁板の平面図である。
図21】第4実施形態のコンデンサ装置の斜視図である。
図22】第4実施形態のコンデンサ装置の分解斜視図である。
図23】第4実施形態のバスバーモジュールの製造方法を説明する模式図である。
図24】第4実施形態のコンデンサ装置をXXIV-XXIV線に沿う断面から見た斜視図である。
図25】第4実施形態の電力変換装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本開示を実施するための複数の形態を説明する。各形態において先行する形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の形態を適用することができる。
【0014】
また、各実施形態で組み合わせが可能であることを明示している部分同士の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても実施形態同士、実施形態と変形例、および、変形例同士を部分的に組み合せることも可能である。
【0015】
(第1実施形態)
<車載システム>
図1は、車載システム1に搭載される電力変換装置10の電気回路図である。車載システム1に、バッテリ2、モータジェネレータ4、および、電力変換装置10が搭載されている。車載システム1が搭載される車両は、エンジンの駆動力とモータジェネレータ4の駆動力とを切り替えて、及び/又は、組み合わせて走行可能なハイブリッド自動車である。エンジンとモータジェネレータ4とはギア装置を介して相互に連結されている。
【0016】
電力変換装置10は、インバータ11、制御回路基板15、コンデンサ20、Yコンデンサ40、高電位側配線110、低電位側配線120、絶縁板160、および、連結バスバー150を有する。高電位側配線110はバッテリ2の正極に接続される導電部材である。低電位側配線120はバッテリ2の負極に接続される導電部材である。連結バスバー150は、インバータ11とモータジェネレータ4とを接続する導電部材である。
【0017】
インバータ11は、高電位側配線110と低電位側配線120に接続されている。インバータ11は、複数のスイッチモジュール12を有する。スイッチモジュール12はスイッチング素子13とダイオード13Aとを2つずつ有する。2つのスイッチング素子13は、高電位側配線110と低電位側配線120の間で直列接続されている。
【0018】
2つのスイッチング素子13のうち高電位側に設けられた1つのコレクタ電極に高電位側配線110につながる高電位側入力端子11Aが接続されている。2つのスイッチング素子13のうち低電位側に設けられた1つのエミッタに、低電位側配線120につながる低電位側入力端子11Bが接続されている。ダイオード13Aのアノードは対応するスイッチング素子13のエミッタに接続されている。ダイオード13Aのカソードは対応するスイッチング素子13のコレクタに接続されている。
【0019】
高電位側のスイッチング素子13のエミッタと低電位側のスイッチング素子13のコレクタに、モータジェネレータ4につながるモータ端子11Cが接続されている。複数のスイッチング素子13は、バッテリ2から供給される直流電力を、モータジェネレータ4が駆動可能な交流電力に変換する。電力変換された電力は連結バスバー150を介してモータジェネレータ4に供給される。
【0020】
制御回路基板15は、複数のスイッチング素子13をオンオフ制御する。制御回路基板15には複数のスイッチング素子13をオンオフ制御する制御回路が実装されている。複数のスイッチング素子13の接続端子11Dが制御回路基板15にはんだ接続されている。複数のスイッチング素子13の接続端子11Dが制御回路基板15に電気的に接続されている。
【0021】
Yコンデンサ40は主にインバータ11から漏れ出たノイズ成分を取り除く。Yコンデンサ40は、2つのYコンデンサ素子31、32、2つのYコンデンサバスバー41、42、および、グラウンドバスバー50を有する。2つのYコンデンサ素子31、32のうち、高電位側配線110側に設けられた1つを高電位側Yコンデンサ素子31と称する場合がある。2つのYコンデンサ素子31、32のうち低電位側配線120側に設けられた1つを低電位側Yコンデンサ素子32と称する場合がある。Yコンデンサ40は電気部品と称される場合がある。
【0022】
2つのYコンデンサバスバー41、42のうち、高電位側Yコンデンサ素子31に接続される1つを高電位側Yコンデンサバスバー41と称する場合がある。高電位側Yコンデンサ素子31が高電位側Yコンデンサバスバー41を介して高電位側配線110に電気的に接続されている。2つのYコンデンサバスバー41、42のうち、低電位側Yコンデンサ素子32に接続される1つを低電位側Yコンデンサバスバー42と称する場合がある。低電位側Yコンデンサ素子32が低電位側Yコンデンサバスバー42を介して低電位側配線120に電気的に接続されている。
【0023】
グラウンドバスバー50は、高電位側Yコンデンサ素子31に接続される高電位側GND端子と、低電位側Yコンデンサ素子32に接続される低電位側GND端子と、グラウンドに接続されるグラウンド接続端子と、を有する。グラウンドバスバー50は、高電位側GND端子と、低電位側GND端子とグラウンド端子とをつなぐように延びている。グラウンドバスバー50はシャーシ等のボディグラウンドに電気的に接続されている。
【0024】
Yコンデンサ素子31、32は、インバータ11から漏れ出たノイズ成分を、グラウンドバスバー50を介してボディグラウンドに流すことで、インバータ11からノイズ成分を取り除いている。またYコンデンサ素子31、32は、インバータ11から漏れ出すノイズ成分に限らず、PN配線110、120を流れるノイズ成分を取り除くことも可能である。高電位側配線110側と低電位側配線120を合わせてPN配線110、120と称する場合がある。
【0025】
コンデンサ20はPN配線110、120を介してインバータ11とYコンデンサ40に電気的に接続されている。コンデンサ20は第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22を有する。第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22はPN配線110、120を介してインバータ11とバッテリ2に並列接続されている。第1コンデンサ素子21および第2コンデンサ素子22は第1電極20Cと第2電極20Dを有する。第1コンデンサ素子21の第1電極20Cと第2コンデンサ素子22の第1電極20Cに高電位側配線110が接続されている。第1コンデンサ素子21の第2電極20Dと第2コンデンサ素子22の第2電極20Dに低電位側配線120が接続されている。
【0026】
コンデンサ20は主として、バッテリ2から供給される直流電圧を平滑化する。以下、高電位側配線110における、インバータ11とコンデンサ20とYコンデンサ40とをつなぐ部位を高電位側バスバー130と称する場合がある。低電位側配線120における、インバータ11とコンデンサ20とYコンデンサ40とをつなぐ部位を低電位側バスバー140と称する場合がある。高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の間に絶縁板160が設けられている。絶縁板160は一例として樹脂などの絶縁部材から成る。コンデンサ20、高電位側バスバー130、低電位側バスバー140、絶縁板160を合わせてコンデンサ装置170と称する場合がある。コンデンサ20およびコンデンサ装置170の詳細については後で説明する。
【0027】
<電力変換装置の機械的構成>
電力変換装置10の機械的構成を説明するにあたって、先に図面を説明する。図2は電力変換装置10の平面図である。図3図2のIII-III線で切った断面図である。図4はコンデンサ装置170の分解斜視図である。図5はコンデンサ装置170の斜視図である。図6はコンデンサ素子21,22の斜視図である。図7はコンデンサ装置170の電流経路の一部を説明する模式図である。図8はコンデンサ装置170の電流経路の一部を説明する模式図である。図9は放熱部材60が設けられたケース80の平面図である。図10図2のX-X線で切った断面図である。図11はバスバーモジュール180の製造方法を説明する模式図である。図12は、バスバーモジュール180の製造方法を説明する模式図である。
【0028】
電力変換装置10は、これまでに説明した構成要素の他に、放熱部材60、および、ケース80を備える。ケース80はアルミニウムなどの熱抵抗の低い部材を主材料としている。ケース80は底部81と側壁82を有する。側壁82が底部81から突出している。側壁82が底部81の周縁に沿って環状に延びている。底部81と側壁82によってケース80に収納空間87が区画されている。収納空間87に、インバータ11、Yコンデンサ40、放熱部材60、および、コンデンサ装置170が収納されている。ケース80の収納空間87で、インバータ11と、コンデンサ装置170と、Yコンデンサ40と、が直列に並んでいる。
【0029】
側壁82は、第1側壁83、第2側壁84、第3側壁85、第4側壁86を有する。第1側壁83、および、第3側壁85が、インバータ11、コンデンサ20、および、Yコンデンサ40の並び方向Xに離間している。第2側壁84、および、第4側壁86が、コンデンサ20の幅方向Yに離間している。また並び方向Xと幅方向Yに直交する高さ方向Zに関して、インバータ11、コンデンサ装置170、および、Yコンデンサ40が底部81に重なっている。またコンデンサ装置170においては、高さ方向ZでPNバスバー130、140がコンデンサ20に重なっている。コンデンサ装置170は、PNバスバー130、140が高さ方向Zで底部81に対面するようにケース80に設けられている。高電位側バスバー130と低電位側バスバー140を合わせてPNバスバー130、140と称する場合がある。
【0030】
第1側壁83、第2側壁84、第3側壁85、第4側壁86が時計回りに連続している。第1側壁83が並び方向Xでインバータ11に対向している。第3側壁85が並び方向XでYコンデンサ40に対向している。インバータ11とYコンデンサ40の間に、コンデンサ装置170が設けられている。なお、一例として第3側壁85に、バッテリ2に接続されるコネクタ2Aが設けられている。コネクタ2Aおよびハーネスなどの導電部材を介してバッテリ2の電力がYコンデンサ40、コンデンサ装置170、インバータ11の順に供給される。
【0031】
またケース80の底部81に冷媒が流れる冷却路88が形成されている。冷却路88を流れる冷媒によって、インバータ11と、コンデンサ装置170と、Yコンデンサ40と、が冷却されている。一例として、冷却路88は、インバータ11と、コンデンサ装置170と、Yコンデンサ40とが並ぶ、並び方向Xに沿って延びている。しかしながら冷却路88の延びる方向はこれに限定されない。冷却路88は例えばU字状に折り返して延びていても良い。
【0032】
放熱部材60は空気よりも熱伝導率の高い材料を主原料として構成されている部材である。放熱部材60は、例えば、放熱シート、ギャップフィラー、放熱グリス、放熱接着剤等などである。一例として放熱部材60は2液硬化型の樹脂から成る。放熱部材60は、液体の主剤と液体硬化剤を混ぜあわせた後、常温で放置することで液体から固体に変化する性質を有する。放熱部材60は底部81に設けられている。より詳しく言えば、底部81における、コンデンサ装置170の高さ方向Zの投影領域に、放熱部材60が設けられている。コンデンサ装置170と底部81の間に放熱部材60が設けられている。放熱部材60を介してコンデンサ装置170の熱がケース80に放熱される。
【0033】
<コンデンサ>
コンデンサ20は、第1コンデンサモジュール20Aと、第2コンデンサモジュール20Bを有する。第1コンデンサモジュール20Aは、第1コンデンサ素子21、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25B、および、第1コンデンサケース28Aを有する。第2コンデンサモジュール20Bは、第2コンデンサ素子22、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26B、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27B、および、第2コンデンサケース28Bを有する。
【0034】
収納空間87において第1コンデンサモジュール20Aと第2コンデンサモジュール20Bは並び方向Xに並んでいる。第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22は並び方向Xで並んでいる。第1コンデンサ素子21は並び方向XでYコンデンサ40に隣り合う。第2コンデンサ素子22は並び方向Xでインバータ11に隣り合う。第1コンデンサ素子21は第2コンデンサ素子22よりも第3側壁85の近くに設けられている。第2コンデンサ素子22は第1コンデンサ素子21よりも第1側壁83の近くに設けられている。
【0035】
コンデンサ素子21、22は、一定の体積をもつ立体形状である。コンデンサ素子21、22は、例えば、円柱、楕円柱、多角柱、立方体、直方体などの立体形状によって提供される場合がある。コンデンサ素子21、22は、直交する3方向である、並び方向X、幅方向Y、および、高さ方向Zに長さを有している。なお、コンデンサ素子21、22は第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22を合わせた総称である。
【0036】
コンデンサ素子21、22は、第1端面、第2端面、および、側面を有している。2つの端面はコンデンサ素子21、22の幅方向Yに離間して設けられている。側面は、第1端面と第2端面とをつないでいる。側面は、第1端面と第2端面の縁に沿うように延びている。側面は、幅方向Yに沿う軸を中心に周方向に第1端面と第2端面の縁に沿って延びているとも言える。コンデンサ素子21、22の第1端面に第1電極20Cが設けられている。コンデンサ素子21、22の第2端面に第2電極20Dが設けられている。
【0037】
第1コンデンサ素子21において、第1電極20Cと第2電極20Dが幅方向Yに離れて並んでいる。第1コンデンサ素子21の第1電極20Cが幅方向Yに関して第2側壁84に向かい合う。第1コンデンサ素子21の第2電極20Dが幅方向Yに関して第4側壁86に向かい合う。第2コンデンサ素子22において、第1電極20Cと第2電極20Dが幅方向Yに離れて並んでいる。第2コンデンサ素子22の第1電極20Cが幅方向Yに関して第4側壁86に向かい合う。第2コンデンサ素子22の第2電極20Dが幅方向Yに関して第2側壁84に向かい合う。並び方向Xに関して第1コンデンサ素子21の第1電極20Cと第2コンデンサ素子22の第2電極20Dとが並ぶ。並び方向Xに関して第1コンデンサ素子21の第2電極20Dと第2コンデンサ素子22の第1電極20Cとが並ぶ。
【0038】
第1コンデンサ素子21の第1電極20Cに一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bが接続されている。第1コンデンサ素子21の第2電極20Dに一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが接続されている。第2コンデンサ素子22の第1電極20Cに一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bが接続されている。第2コンデンサ素子22の第2電極20Dに一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bが接続されている。第2側壁84に一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bと一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bが対向している。第4側壁86に一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bと一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bが対向している。
【0039】
なお本実施形態においては、コンデンサモジュール20A、20Bは一対の高電位側接続バスバー24A、24B、26A、26Bを有しているが一対でなくてもよい。コンデンサモジュール20A、20Bは一対の低電位側接続バスバー25A、25B、27A、27Bを有しているが一対でなくてもよい。なお、コンデンサモジュール20A、20Bは第1コンデンサモジュール20Aと第2コンデンサモジュール20Bを合わせた総称である。高電位側接続バスバー24A、24B、26A、26Bは高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、高電位側第2接続バスバー26A、26Bを合わせた総称である。低電位側接続バスバー25A、25B、27A、27Bは、低電位側第1接続バスバー25A、25B、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bを合わせた総称である。
【0040】
高電位側第1接続バスバー24A、24Bが第1電極20Cから遠ざかるように高さ方向Zに延びている。高電位側第2接続バスバー26A、26Bが第2電極20Dから遠ざかるように高さ方向Zに延びている。高電位側第2接続バスバー26A、26Bが第1電極20Cから遠ざかるように高さ方向Zに延びている。高電位側第2接続バスバー26A、26Bが第2電極20Dから遠ざかるように高さ方向Zに延びている。
【0041】
第1コンデンサ素子21、高電位側第1接続バスバー24A、24Bの一部、および、低電位側第1接続バスバー25A、25Bが、第1コンデンサケース28Aに収納されている。第1コンデンサケース28Aに封止部材が充填されて、第1コンデンサ素子21、高電位側第1接続バスバー24A、24Bの一部、および、低電位側第1接続バスバー25A、25Bの一部が、第1コンデンサケース28Aに固定される。
【0042】
封止部材から高電位側第1接続バスバー24A、24Bの残り、および、低電位側第1接続バスバー25A、25Bの残りが露出されている。これによって第1コンデンサモジュール20Aが形成されている。なお、第1コンデンサケース28Aにおける、高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、低電位側第1接続バスバー25A、25Bの露出される側の面を第1露出面29Aと称することがある。第1露出面29Aから高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、低電位側第1接続バスバー25A、25Bが露出されている。
【0043】
第2コンデンサ素子22、高電位側第2接続バスバー26A、26Bの一部、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bの一部が、第2コンデンサケース28Bに収納されている。第2コンデンサケース28Bに封止部材が充填されて、第2コンデンサ素子22、高電位側第2接続バスバー26A、26Bの一部、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bの一部が、第1コンデンサケース28Aに固定される。
【0044】
封止部材から高電位側第2接続バスバー26A、26Bの残り、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bの残りが露出されている。これによって第2コンデンサモジュール20Bが形成されている。なお、第2コンデンサケース28Bにおける、高電位側第2接続バスバー26A、26B、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bの露出される側の面を第2露出面29Bと称することがある。第2露出面29Bから高電位側第2接続バスバー26A、26B、および、低電位側第2接続バスバー27A、27Bが露出されている。
【0045】
PNバスバー130、140、および、絶縁板160は、合わせてバスバーモジュール180と称される場合がある。バスバーモジュール180は、第1コンデンサモジュール20Aおよび第2コンデンサモジュール20Bに高さ方向Zで重なる。バスバーモジュール180は、第1コンデンサモジュール20Aの第1露出面29Aと第2コンデンサモジュール20Bの第2露出面29Bを覆うように設けられている。バスバーモジュール180は高さ方向Zで第1コンデンサモジュール20Aおよび第2コンデンサモジュール20Bに重なるように並び方向Xに関して2つのコンデンサモジュール20A、20Bに渡って設けられている。高電位側バスバー130の詳細および低電位側バスバー140の詳細を以下で説明する。
【0046】
<高電位側バスバー>
高電位側バスバー130は、高電位側で、インバータ11と、コンデンサ20と、Yコンデンサ40と、を電気的に接続する通電経路である。高電位側バスバー130は高さ方向Zに板厚を有する。高さ方向Zは板厚方向と称される場合がある。高電位側バスバー130は、高電位側第1延長片131と、高電位側第2延長片132と、高電位側連結片133と、を有する。高電位側第1延長片131は、第1コンデンサ素子21とYコンデンサ40とを電気的に接続する部位である。高電位側第2延長片132は、第2コンデンサ素子22とインバータ11とを電気的に接続する部位である。高電位側連結片133は高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132とを電気的および機械的につなぐ部位である。並び方向Xに関して高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132の間に高電位側連結片133が設けられている。高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132が高電位側連結片133で連結されて、高電位側バスバー130全体が並び方向Xに延びている。
【0047】
高電位側第1延長片131は高さ方向Zにおいて第1コンデンサ素子21に重なるように設けられている。高電位側第1延長片131は、第1露出面29Aから第1接続バスバー24、25が露出される側において、第1コンデンサ素子21に重なるように設けられている。なお、第1接続バスバー24、25とは一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bおよび一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bをまとめた総称である。高電位側第2延長片132は高さ方向Zにおいて第2コンデンサ素子22に重なるように設けられている。高電位側第2延長片132は、第2露出面29Bから第2接続バスバー26、27が露出される側において、第2コンデンサ素子22に重なるように設けられている。なお、第2接続バスバー26、27とは一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bおよび一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bをまとめた総称である。
【0048】
また高電位側第1延長片131における高電位側第2延長片132側の高電位側第1縁部131Aは、一部が高電位側第2延長片132側に突出している。高電位側第2延長片132における高電位側第1延長片131側の高電位側第2縁部132Aは、一部が高電位側第1延長片131側に突出している。高電位側第1縁部131Aの突出部分は、自身の幅方向Yの中心から第2側壁84側の端部に渡って設けられている。高電位側第2縁部132Aの突出部分は、自身の幅方向Yの中心から第2側壁84側の端部に渡って設けられている。高電位側連結片133は、高電位側第1縁部131Aの突出部分と、高電位側第2縁部132Aの突出部分とを繋ぐように延びている。高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132と高電位側連結片133とによって、高電位側連結片133と幅方向Yで並ぶ第1空隙130Aが区画されている。
【0049】
また高さ方向Zに関して高電位側第1延長片131の位置と高電位側第2延長片132の位置とが異なっている。高電位側第1延長片131が高電位側第2延長片132よりも高さ方向Zに関してコンデンサ20の近くに設けられている。高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132の高さ方向Zの位置が異なるために、高電位側連結片133は高電位側第1延長片131から高電位側第2延長片132に向かってコンデンサ20から遠ざかるように斜めに延びている。高電位側第1縁部131Aの突出部分、高電位側連結片133、および、高電位側第2縁部132Aの突出部分によって段差形状が形成されている。
【0050】
<低電位側バスバー>
低電位側バスバー140は、低電位側で、インバータ11と、コンデンサ20と、Yコンデンサ40と、を電気的に接続する通電経路である。低電位側バスバー140は高さ方向Zに板厚を有する。低電位側バスバー140は、低電位側第1延長片141と、低電位側第2延長片142と、低電位側連結片143と、を有する。低電位側第1延長片141は、第2コンデンサ素子22とインバータ11とを電気的に接続する部位である。低電位側第2延長片142は、第1コンデンサ素子21とYコンデンサ40とを電気的に接続する部位である。低電位側連結片143は低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142とを電気的および機械的につなぐ部位である。並び方向Xに関して低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142の間に低電位側連結片143が設けられている。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142が低電位側連結片143で連結されて、低電位側バスバー140全体が並び方向Xに延びている。
【0051】
低電位側第1延長片141は高さ方向Zにおいて第2コンデンサ素子22に重なるように設けられている。低電位側第1延長片141は第2露出面29Bから第2接続バスバー26、27が露出される側において、第2コンデンサ素子22に重なるように設けられている。低電位側第2延長片142は高さ方向Zにおいて第1コンデンサ素子21に重なるように設けられている。低電位側第2延長片142は第1露出面29Aから第1接続バスバー24、25が露出される側において、第1コンデンサ素子21に重なるように設けられている。低電位側第1延長片141における低電位側第2延長片142側の低電位側第1縁部141Aは、一部が低電位側第2延長片142側に突出している。低電位側第2延長片142における低電位側第1延長片141側の低電位側第2縁部142Aは、一部が低電位側第1延長片141側に突出している。
【0052】
低電位側第1縁部141Aの突出部分は、自身の幅方向Yの中心から第4側壁86側の端部に渡って設けられている。低電位側第2縁部12Aの突出部分は、自身の幅方向Yの中心から第2側壁84側の端部に渡って設けられている。低電位側連結片143は、低電位側第1縁部141Aの突出部分と、低電位側第2縁部142Aの突出部分とを繋ぐように延びている。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142と低電位側連結片143とによって、低電位側連結片143と幅方向Yで並ぶ第2空隙140Aが区画されている。
【0053】
また高さ方向Zに関して低電位側第1延長片141の位置と低電位側第2延長片142の位置とが異なっている。低電位側第1延長片141が低電位側第2延長片142よりも高さ方向Zに関してコンデンサ20の近くに設けられている。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142の高さ方向Zの位置が異なるために、低電位側連結片143は低電位側第1延長片141から低電位側第2延長片142に向かってコンデンサ20から遠ざかるように斜めに延びている。低電位側第1縁部141Aの突出部分、低電位側連結片143、および、低電位側第2縁部142Aの突出部分によって段差形状が形成されている。
【0054】
<高電位側バスバーと低電位側バスバー>
上記したように高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132と高電位側連結片133とによって第1空隙130Aが区画されている。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142と低電位側連結片143によって第2空隙140Aが区画されている。高電位側バスバー130は第4側壁86側から第2側壁84側に凹む凹形状をしている。低電位側バスバー140は第2側壁84側から第4側壁86側に凹む凹形状をしている。第1空隙130Aに低電位側連結片143が通されている。第2空隙140Aに高電位側連結片133が通されている。
【0055】
上記したように高電位側連結片133は高電位側第1延長片131から高電位側第2延長片132に向かってコンデンサ20から遠ざかるように斜めに延びている。低電位側連結片143は低電位側第1延長片141から低電位側第2延長片142に向かってコンデンサ20から遠ざかるように斜めに延びている。空隙130A、140Aに、斜め方向に延びる連結片133、143が通されている。そのために第1コンデンサ素子21側において、低電位側第2延長片142が高電位側第1延長片131よりも高さ方向Zで第1コンデンサ素子21から離れて設けられている。高さ方向Zにおける第1コンデンサ素子21と低電位側第2延長片142の長さが、高さ方向Zにおける第1コンデンサ素子21と高電位側第1延長片131の長さよりも長い。第2コンデンサ素子22側において、高電位側第2延長片132が低電位側第1延長片141よりも高さ方向Zで第2コンデンサ素子22から離れて設けられている。高さ方向Zにおける第2コンデンサ素子22と高電位側第2延長片132の長さが、高さ方向Zにおける第2コンデンサ素子22と低電位側第1延長片141の長さよりも長い。PNバスバー130、140は、第1コンデンサ素子21側と第2コンデンサ素子22側で高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の高さ方向Zの順序が入れ替わるように延びている。
【0056】
高電位側第1延長片131は、高電位側第1重複部134と、高電位側Yコンデンサ接続端子135と、一対の高電位側第1接続端子136A、136Bと、を有する。高電位側第1重複部134は高さ方向Zで第1コンデンサ素子21に重なる部位である。高電位側第1重複部134は幅方向Yと並び方向Xに沿って延びている。高電位側Yコンデンサ接続端子135はYコンデンサ40の高電位側Yコンデンサバスバー41に接続される端子である。高電位側Yコンデンサ接続端子135は、高電位側第1重複部134における、第3側壁85側の端部に設けられ、高電位側第1重複部134から遠ざかるように延びている。高電位側Yコンデンサ接続端子135と高電位側Yコンデンサバスバー41とがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続される。
【0057】
一対の高電位側第1接続端子136A、136Bは、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bに接続される端子である。一対の高電位側第1接続端子136A、136Bは、高電位側第1重複部134における、第2側壁84側の端部に設けられている。一対の高電位側第1接続端子136A、136Bが、第1露出面29Aから遠ざかるように突出している。一対の高電位側第1接続端子136A、136Bのうちの1つと、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bのうちの1つが幅方向Yで重なっている。一対の高電位側第1接続端子136A、136Bのうち別の1つと、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bのうち別の1つが幅方向Yで重なっている。
【0058】
高電位側第1接続端子136A、136Bと高電位側第1接続バスバー24A、24Bとが、溶接によって電気的および機械的に接続されている。また高電位側第1重複部134における、第4側壁86側の端部には、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが通過可能な高電位側第1切り欠き134Aが形成されている。高電位側第1切り欠き134Aを介して一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが高電位側第1重複部134よりも第1露出面29Aから離れるように延びている。
【0059】
高電位側第2延長片132は、高電位側第2重複部137と、高電位側インバータ接続端子138と、一対の高電位側第2接続端子139A、139Bと、を有する。高電位側第2重複部137は高さ方向Zで第2コンデンサ素子22に重なる部位である。高電位側第2重複部137は幅方向Yと並び方向Xに沿って延びている。高電位側インバータ接続端子138はインバータ11の高電位側入力端子11Aに接続される端子である。高電位側インバータ接続端子138は高電位側第2重複部137における、第1側壁83側の端部に設けられ、高電位側第2重複部137から遠ざかるように延びている。高電位側インバータ接続端子138と高電位側入力端子11Aとがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続される。
【0060】
一対の高電位側第2接続端子139A、139Bは、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bに接続される端子である。一対の高電位側第2接続端子139A、139Bは、高電位側第2重複部137における、第4側壁86側の端部に設けられている。一対の高電位側第2接続端子139A、139Bが第2露出面29Bから遠ざかるように突出している。一対の高電位側第2接続端子139A、139Bのうちの1つと、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bの1つが幅方向Yで重なっている。一対の高電位側第2接続端子139A、139Bのうち別の1つと、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bのうち別の1つが幅方向Yで重なっている。
【0061】
高電位側第2接続端子139A、139Bと高電位側第2接続バスバー26A、26Bとが、溶接によって電気的および機械的に接続されている。また高電位側第2重複部137における、第2側壁84側の端部には、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bと一対の低電位側第2接続端子146A、146Bが通過可能な高電位側第2切り欠き137Aが形成されている。高電位側第2切り欠き137Aを介して一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bと一対の低電位側第2接続端子146A、146Bが高電位側第2重複部137よりも第2露出面29Bから離れるように延びている。
【0062】
低電位側第1延長片141は、低電位側第1重複部144と、低電位側インバータ接続端子145と、一対の低電位側第2接続端子146A、146Bと、を有する。低電位側第1重複部144は高さ方向Zで第2コンデンサ素子22に重なる部位である。低電位側第1重複部144は幅方向Yと並び方向Xに沿って延びている。低電位側インバータ接続端子145はインバータ11の低電位側入力端子11Bに接続される端子である。低電位側インバータ接続端子145は低電位側第1重複部144における、第1側壁83側の端部に設けられ、低電位側第1重複部144から遠ざかるように延びている。低電位側インバータ接続端子145と低電位側入力端子11Bとがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続される。
【0063】
一対の低電位側第2接続端子146A、146Bは、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bに接続される端子である。一対の低電位側第2接続端子146A、146Bは、低電位側第1重複部144における、第2側壁84側の端部に設けられている。一対の低電位側第2接続端子146A、146Bが、第2露出面29Bから遠ざかるように突出している。一対の低電位側第2接続端子146A、146Bのうちの1つと、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bのうちの1つが幅方向Yで重なっている。一対の低電位側第2接続端子146A、146Bのうちの別の1つと、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bのうちの別の1つが幅方向Yで重なっている。
【0064】
低電位側第2接続端子146A、146Bと低電位側第2接続バスバー27A、27Bとが、溶接によって電気的および機械的に接続されている。また低電位側第1重複部144における、第4側壁86側の端部には、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bが通過可能な低電位側第2切り欠き144Aが形成されている。低電位側第2切り欠き144Aを介して一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bが低電位側第1重複部144よりも第2露出面29Bから離れるように延びている。
【0065】
低電位側第2延長片142は、低電位側第2重複部147と、低電位側Yコンデンサ接続端子148と、一対の低電位側第1接続端子149A、149Bと、を有する。低電位側第2重複部147は高さ方向Zで第1コンデンサ素子21に重なる部位である。低電位側第2重複部147は幅方向Yと並び方向Xに沿って延びている。低電位側Yコンデンサ接続端子148はYコンデンサ40の低電位側Yコンデンサバスバー42に接続される端子である。低電位側Yコンデンサ接続端子148は低電位側第2重複部147における、第3側壁85側の端部に設けられ、低電位側第2重複部147から遠ざかるように延びている。低電位側Yコンデンサ接続端子148と低電位側Yコンデンサバスバー42とがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続されている。
【0066】
一対の低電位側第1接続端子149A、149Bは、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bに接続される端子である。一対の低電位側第1接続端子149A、149Bは、低電位側第2重複部147における、第4側壁86側の端部に設けられている。一対の低電位側第1接続端子149A、149Bが、第1露出面29Aから遠ざかるように突出している。一対の低電位側第1接続端子149A、149Bのうちの1つと、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bのうちの1つが幅方向Yで重なっている。一対の低電位側第1接続端子149A、149Bのうちの別の1つと、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bのうちの別の1つが幅方向Yで重なっている。
【0067】
低電位側第1接続端子149A、149Bと一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bとが、溶接によって電気的および機械的に接続されている。また低電位側第2重複部147における、第2側壁84側の端部には、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、一対の高電位側第1接続端子136A、136Bが通過可能な低電位側第1切り欠き147Aが形成されている。低電位側第1切り欠き147Aを介して一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、一対の高電位側第1接続端子136A、136Bが低電位側第2重複部147よりも第1露出面29Aから離れるように延びている。
【0068】
なお、高電位側第1重複部134および高電位側第2重複部137を合わせて高電位側重複部134、137と称される場合がある。低電位側第1重複部144および低電位側第2重複部147を合わせて低電位側重複部144、147と称される場合がある。高電位側第2切り欠き137Aは高電位側切り欠きと称される場合がある。低電位側第1切り欠き147Aは低電位側切り欠きと称される場合がある。
【0069】
<絶縁板>
高さ方向Zに関して高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の間に絶縁板160が設けられている。絶縁板160は高電位側バスバー130と低電位側バスバー140とを電気的に絶縁する役割を担っている。絶縁板160は、第1絶縁片161と、第2絶縁片162と、連結絶縁片163と、を有する。第1絶縁片161および第2絶縁片162は幅方向Yと並び方向Xに拡がる板形状をしている。第1絶縁片161と第2絶縁片162とが並び方向Xで離れて設けられている。第1絶縁片161の第2絶縁片162側の絶縁第1縁部161Aと、第2絶縁片162の第1絶縁片161側の絶縁第2縁部162Aとをつなぐように連結絶縁片163が設けられている。
【0070】
連結絶縁片163は、絶縁第1縁部161Aの幅方向Yの中央部分と絶縁第2縁部162Aの幅方向Yの中央部分とをつなぐように設けられている。第2側壁84側において、絶縁第1縁部161Aと連結絶縁片163と絶縁第2縁部162Aとによって第1絶縁空隙164が区画されている。幅方向Yに第4側壁86側において、絶縁第1縁部161Aと連結絶縁片163と絶縁第2縁部162Aとによって第2絶縁空隙165が区画されている。
【0071】
第1絶縁空隙164に高電位側連結片133が通り、第2絶縁空隙165に低電位側連結片143が通るように、高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の間に絶縁板160が設けられている。幅方向Yに関して高電位側連結片133と低電位側連結片143の間に連結絶縁片163が設けられている。連結絶縁片163は高電位側連結片133と低電位側連結片143とが絶縁可能な程度、高さ方向Zに長さを有している。
【0072】
第1絶縁片161は、絶縁第1縁部161Aにおける連結絶縁片163よりも第2側壁84側の部位に、高さ方向Zに突出する第1絶縁突出部166を有している。第2絶縁片162は、第2絶縁片162における連結絶縁片163よりも第4側壁86側の部位に、高さ方向Zに突出する第2絶縁突出部167を有している。第1絶縁突出部166および第2絶縁突出部167の突出方向は連結絶縁片163の突出方向と一致する。第1絶縁突出部166と連結絶縁片163と第2絶縁突出部167とが同一材料によって連続して延びている。
【0073】
第1コンデンサ素子21側において、高電位側第1重複部134と低電位側第2重複部147の間に第1絶縁片161が設けられている。高さ方向Zに関して、第1コンデンサ素子21に、高電位側第1重複部134、第1絶縁片161、および、低電位側第2重複部147が重なっている。第2コンデンサ素子22側において、低電位側第1重複部144と高電位側第2重複部137の間に第2絶縁片162が設けられている。高さ方向Zに関して、第2コンデンサ素子22に、低電位側第1重複部144、第2絶縁片162、および、高電位側第2重複部137が重なっている。
【0074】
第1絶縁片161の第2側壁84側の端部には、高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、高電位側第1接続端子136A、136Bが通過可能な第1絶縁切り欠き161Bが形成されている。第1絶縁切り欠き161Bは低電位側第1切り欠き147Aと高さ方向Zで重なっている。第1絶縁切り欠き161Bと低電位側第1切り欠き147Aが重なってできた空隙に、高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、高電位側第1接続端子136A、136Bが通されている。
【0075】
第2絶縁片162の第2側壁84側の端部には、低電位側第2接続バスバー27A、27B、および、低電位側第2接続端子146A、146Bが通過可能な第2絶縁切り欠き162Bが形成されている。第2絶縁切り欠き162Bは高電位側第2切り欠き137Aと高さ方向Zで重なっている。第2絶縁切り欠き162Bと高電位側第2切り欠き137Aが重なってできた空隙に、低電位側第2接続バスバー27A、27B、および、低電位側第2接続端子146A、146Bが通されている。
【0076】
<通電経路>
高電位側Yコンデンサ接続端子135および低電位側Yコンデンサ接続端子148はYコンデンサ40を介してバッテリ2に接続されている。第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22は並列接続されている。先に第1コンデンサ素子21に流れる電流の電流経路を説明する。図7においては、第1コンデンサ素子21に流れる電流の電流経路を矢印で表す。高電位側Yコンデンサ接続端子135に流れた電流は、高電位側第1重複部134、高電位側第1接続端子136A、136B、および、高電位側第1接続バスバー24A、24Bを介して、第1コンデンサ素子21の第1電極20Cに流れる。第1コンデンサ素子21においては第1電極20Cから第2電極20Dに向かって電流が流れる。第2電極20Dに流れた電流は低電位側第1接続バスバー25A、25B、低電位側第1接続端子149A、149B、および、低電位側第2重複部147を介して、低電位側Yコンデンサ接続端子148に流れる。低電位側Yコンデンサ接続端子148からYコンデンサ40を介してバッテリ2に電流が流れる。
【0077】
次に第2コンデンサ素子22に流れる電流の電流経路を説明する。図8においては、第2コンデンサ素子22に流れる電流の電流経路を矢印で表す。高電位側Yコンデンサ接続端子135に流れた電流は、高電位側第1重複部134、高電位側連結片133、高電位側第2重複部137に流れる。そして電流は、高電位側第2接続端子139A、139B、および、高電位側第2接続バスバー26A、26Bを介して、第2コンデンサ素子22の第1電極20Cに流れる。第2コンデンサ素子22においては第1電極20Cから第2電極20Dに向かって電流が流れる。第2電極20Dに流れた電流は、低電位側第2接続バスバー27A、27B、低電位側第2接続端子146A、146B、低電位側第1重複部144に流れる。そして電流は、低電位側連結片143、および、低電位側第2重複部147を介して低電位側Yコンデンサ接続端子148に流れる。低電位側Yコンデンサ接続端子148からYコンデンサ40を介してバッテリ2に電流が流れる。
【0078】
第2コンデンサ素子22に流れる電流の電流経路のうち、高電位側第2延長片132における高電位側連結片133から高電位側第2接続端子139A、139Bを結ぶ電流経路を第1経路と称する場合がある。低電位側第1延長片141における低電位側第2接続端子146A、146Bと低電位側連結片143とを結ぶ電流経路を第2経路と称する場合がある。高さ方向Zから見て第1経路の一部と第2経路の一部とが交差している。第1経路の一部と第2経路の一部が並走しているとも言える。第1経路と第2経路の並走している箇所においては、第1経路のまわりに発生する磁界と第2経路のまわりに発生する磁界が互いに打ち消し合っている。
【0079】
<コンデンサ装置の冷却>
ケース80の底部81は、幅方向Y、並び方向X、および、高さ方向Zに関して長さを有する。底部81は高さ方向Zに離間する表面81Aと裏面81Bを有する。底部81における表面81Aと裏面81Bの間に冷却路88が形成されている。表面81Aに、インバータ11、Yコンデンサ40、および、コンデンサ装置170が設けられている。コンデンサ装置170は、高電位側第2重複部137および低電位側第2重複部147が表面81Aに高さ方向Zで重なるように、底部81に設けられている。
【0080】
また底部81には表面81Aから裏面81Bに向かって凹む凹部89が複数形成されている。凹部89は接続バスバーおよび接続端子を収納する収納部の役割を有する。凹部89は、一対の第1凹部89Aと、一対の第2凹部89Bと、一対の第3凹部89Cと、一対の第4凹部89Dを有する。一対の第1凹部89Aに、一対の高電位側第1接続端子136A、136B、および、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bが収納されている。一対の第2凹部89Bに、一対の低電位側第1接続端子149A、149B、および、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが収納されている。一対の第3凹部89Cに、一対の高電位側第2接続端子139A、139B、および、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bが収納されている。一対の第4凹部89Dに、一対の低電位側第2接続端子146A、146B、および、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bが収納されている。
【0081】
放熱部材60はコンデンサ装置170の底部81への高さ方向Zの投影領域全体に設けられている。放熱部材60は常温で放置することで硬化する2液硬化型の樹脂である。製造時において放熱部材60は液体である。製造時に放熱部材60が表面81Aに塗布される。放熱部材60が表面81Aに塗布されると、重力などによって放熱部材60が複数の凹部89に入り込む。複数の凹部89の表面に放熱部材60が接触する。接続バスバーおよび接続端子に、凹部89に設けられた放熱部材60が接触する。
【0082】
コンデンサ装置170は、高電位側第2重複部137および低電位側第2重複部147が表面81Aに高さ方向Zで重なるように、底部81に設けられている。低電位側第2重複部147が高電位側第1重複部134よりも表面81A側に設けられている。高電位側第2重複部137が低電位側第1重複部144よりも表面81A側に設けられている。そのために高電位側第2重複部137および低電位側第2重複部147が表面81A側で放熱部材60に接触している。
【0083】
<製造方法>
コンデンサ装置170、および、電力変換装置10の製造方法を説明する。先にコンデンサ装置170の製造方法を説明する。2つのコンデンサ素子21、22、2つのコンデンサケース28A、28B、封止部材、第1接続バスバー24、25、および、第2接続バスバー26、27を準備する。
【0084】
第1コンデンサ素子21の第1電極20Cに一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bをはんだ接続する。第1コンデンサ素子21の第2電極20Dに一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bをはんだ接続する。第1コンデンサケース28Aに第1コンデンサ素子21を収納する。第1コンデンサケース28Aの収納空間に封止部材を充填する。これによれば封止部材を介して第1コンデンサケース28Aに第1コンデンサ素子21、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが固定される。第1露出面29Aから一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bが露出される。第2コンデンサモジュール30Bにおいても第1コンデンサモジュール20Aと同様の製造方法であるために説明を省略する。
【0085】
次に高電位側バスバー130、低電位側バスバー140、および、絶縁板160を用いてバスバーモジュール180を組む。まず低電位側第2重複部147の裏面に第1絶縁片161が重なり、低電位側第1重複部144の表面に第2絶縁片162が重なるように、低電位側バスバー140と絶縁板160とを重なる。次に高電位側バスバー130の第1空隙130Aを低電位側連結片143および連結絶縁片163に通す。次に第1空隙130Aを中心に高電位側バスバー130をひねるようにして高電位側バスバー130を低電位側バスバー140に近づける。低電位側第1切り欠き147Aに高電位側第1接続端子136A、136Bを通しつつ、第1絶縁片161の裏側に高電位側第1重複部134を重ねる。高電位側第2切り欠き137Aに低電位側第2接続端子146A、146Bを通しつつ、第2絶縁片162の表面側に高電位側第2重複部137を重ねる。
【0086】
次にケース80の底部81に放熱部材60を塗布する。底部81におけるコンデンサ装置170の投影領域、および、凹部89を覆うように放熱部材60を底部81に塗布する。放熱部材60は液状であるために重力などによって凹部89に入り込む。凹部89において放熱部材60の底部81への接着面積が増大する。次にコンデンサ装置170を底部81に近付ける。高電位側第2重複部137および低電位側第2重複部147を放熱部材60に接触させる。
【0087】
一対の第1凹部89Aに、一対の高電位側第1接続端子136A、136B、および、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bを挿入する。一対の高電位側第1接続端子136A、136B、および、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24Bに放熱部材60に接触させる。一対の第2凹部89Bに、一対の低電位側第1接続端子149A、149B、および、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bを挿入する。一対の低電位側第1接続端子149A、149B、および、一対の低電位側第1接続バスバー25A、25Bに放熱部材60に接触させる。
【0088】
一対の第3凹部89Cに、一対の高電位側第2接続端子139A、139B、および、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bを挿入する。一対の高電位側第2接続端子139A、139B、および、一対の高電位側第2接続バスバー26A、26Bに放熱部材60に接触させる。一対の第4凹部89Dに、一対の低電位側第2接続端子146A、146B、および、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bを挿入する。一対の低電位側第2接続端子146A、146B、および、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27Bに放熱部材60に接触させる。
【0089】
最後にケース80の収納空間87におけるコンデンサ装置170と第3側壁85の間にYコンデンサ40を配置する。ケース80の収納空間87におけるコンデンサ装置170と第1側壁83の間にインバータ11を配置する。高電位側インバータ接続端子138と低電位側インバータ接続端子145にインバータ11を電気的および機械的に接続する。高電位側Yコンデンサ接続端子135および低電位側Yコンデンサ接続端子148にYコンデンサ40を電気的および機械的に接続する。このようにして電力変換装置10を製造する。
【0090】
<作用効果>
電力変換装置10はコンデンサ装置170を有する。コンデンサ装置170はYコンデンサ40とインバータ11の間に設けられている。第1コンデンサ素子21および第2コンデンサ素子22は幅方向Yに離れた端面に電極を有している。コンデンサ素子21、22が有する第1端面に第1電極20Cが設けられている。コンデンサ素子21、22が有する第2端面に第2電極20Dが設けられている。第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22は並び方向Xに関して並んでいる。
【0091】
高電位側バスバー130は、Yコンデンサ40、コンデンサ素子21、22の第1電極20C、および、インバータ11を電気的に接続している。低電位側バスバー140は、Yコンデンサ40、コンデンサ素子21、22の第2電極20D、および、インバータ11を電気的に接続している。高電位側バスバー130および低電位側バスバー140は、コンデンサ素子21、22に高さ方向Zで重なっている。高電位側バスバー130の高電位側第2延長片132が低電位側バスバー140の低電位側第1延長片141よりも高さ方向Zでコンデンサ素子22から離れて設けられている。低電位側バスバー140の低電位側第2延長片142が高電位側バスバー130の高電位側第1延長片131よりも高さ方向Zでコンデンサ素子21から離れて設けられている。高電位側第2延長片132は高電位側第1部位に相当する。低電位側第1延長片141は低電位側第1部位に相当する。低電位側第2延長片142は低電位側第2部位に相当する。高電位側第1延長片131は高電位側第2部位に相当する。
【0092】
これによれば高電位側第2延長片132が低電位側第1延長片141よりも放熱されやすい。低電位側第2延長片142が高電位側第1延長片131よりも放熱されやすい。コンデンサ素子21、22の熱が高電位側バスバー130の一部および低電位側バスバー140の残りから外部に放熱されやすい。コンデンサ素子21、22の熱が高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の両方から放熱されやすいために、コンデンサ素子21、22の放熱効果が高まる。インバータ11の出力を増大させることができる。
【0093】
高電位側バスバー130は、高電位側第1延長片131、高電位側第2延長片132、および、高電位側連結片133を有する。高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132とは、高さ方向Zに位置が異なっている。高電位側連結片133は、高電位側第1延長片131の一部と高電位側第2延長片132の一部を高さ方向Zで繋いでいる。高電位側連結片133は、高電位側第1延長片131の残りと高電位側第2延長片132の残りとの間の第1空隙130Aと幅方向Yで並んでいる。
【0094】
低電位側バスバー140は、低電位側第1延長片141、低電位側第2延長片142、および、低電位側連結片143を有する。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142とは、高さ方向Zに位置が異なっている。低電位側連結片143は、低電位側第1延長片141の一部と低電位側第2延長片142の一部を高さ方向Zで繋いでいる。低電位側連結片143は、低電位側第1延長片141の残りと低電位側第2延長片142の残りとの間の第2空隙140Aと幅方向Yで並んでいる。第1空隙130Aに低電位側連結片143が通されている。第2空隙140Aに高電位側連結片133が通されている。幅方向Yの体格を抑えつつ、コンデンサ素子21、22の放熱効果を高めることができる。
【0095】
高電位側第1延長片131と低電位側第2延長片142が高さ方向Zで第1コンデンサ素子21に重なっている。高さ方向Zに関して低電位側第2延長片142が高電位側第1延長片131よりも第1コンデンサ素子21よりも離れて設けられている。低電位側第1延長片141と高電位側第2延長片132が高さ方向Zで第2コンデンサ素子22に重なっている。高さ方向Zに関して高電位側第2延長片132が低電位側第1延長片141よりも第2コンデンサ素子22よりも離れて設けられている。コンデンサ装置170をコンデンサ素子21、22の幅方向Yにおける体格程度の大きさに抑えつつ、コンデンサ素子21、22の放熱効果を高めることができる。
【0096】
並び方向Xに関して第1コンデンサ素子21と第2コンデンサ素子22が並んでいる。第1コンデンサ素子21の第1電極20Cと第2コンデンサ素子22の第2電極20Dが並び方向Xで並んでいる。第1コンデンサ素子21の第2電極20Dと第2コンデンサ素子22の第1電極20Cとが並び方向Xで並んでいる。高電位側第1延長片131および低電位側第2延長片142はYコンデンサ40を介してバッテリ2に接続されている。
【0097】
高電位側第1延長片131に流れた電流は、高電位側連結片133、および、高電位側第2延長片132を介して、第2コンデンサ素子22の第1電極20Cに流れる。第2コンデンサ素子22においては第1電極20Cから第2電極20Dに向かって電流が流れる。第2電極20Dに流れた電流は、低電位側第1延長片141、低電位側第1重複部144、および、低電位側第2延長片142を介してYコンデンサ40に流れる。電流はYコンデンサ40を介してバッテリ2に電流が流れる。
【0098】
高さ方向Zから見て高電位側第2延長片132に流れる電流経路と低電位側第1延長片141に流れる電流経路とが交差している。高電位側第2延長片132に流れる電流経路の一部と低電位側第1延長片141に流れる電流経路の一部が並走しているとも言える。そのために高電位側第2延長片132に流れる電流経路のまわりに発生する磁界と、低電位側第1延長片141に流れる電流経路のまわりに発生する磁界とが打ち消し合う。これによれば、バッテリ2の正極からコンデンサ素子21、22を介してバッテリ2の負極に流れる電流経路のインダクタンスの増大を抑制できる。
【0099】
電力変換装置10は、ケース80と放熱部材60をさらに有する。ケース80は、インバータ11、Yコンデンサ40、および、コンデンサ装置170を収納する。ケース80の底部81に放熱部材60が設けられている。底部81の内部にコンデンサ装置170を冷却するために冷媒が流れる冷却路88が設けられている。コンデンサ装置170は高さ方向Zに関して、高電位側バスバー130および低電位側バスバー140が底部81に対面するようにケース80に設けられている。高電位側第2延長片132および低電位側第2延長片142が放熱部材60に接触している。これによれば、高電位側バスバー130および低電位側バスバー140が積極的に冷却される。高電位側バスバー130および低電位側バスバー140に接続されているコンデンサ素子21、22が効率的に放熱される。
【0100】
高電位側第1延長片131は、高電位側第1重複部134と、高電位側第1接続端子136A、136Bと、を有する。高電位側第1重複部134は高さ方向Zで第1コンデンサ素子21に重なる。高電位側第1接続端子136A、136Bは幅方向Yの端部に設けられ、第1コンデンサ素子21の第1電極20Cに電気的に接続されている。高電位側第1接続端子136A、136Bは高電位側第1重複部134から遠ざかるように突出している。高電位側第2延長片132は、高電位側第2重複部137と、高電位側第2接続端子139A、139Bと、を有する。高電位側第2重複部137は高さ方向Zで第2コンデンサ素子22に重なる。高電位側第2接続端子139A、139Bは幅方向Yの端部に設けられ、第2コンデンサ素子22の第1電極20Cに電気的に接続されている。高電位側第2接続端子139A、139Bは高電位側第2重複部137から遠ざかるように突出している。
【0101】
低電位側第1延長片141は、低電位側第1重複部144と、低電位側第2接続端子146A、146Bと、を有する。低電位側第1重複部144は高さ方向Zで第2コンデンサ素子22に重なる。低電位側第2接続端子146A、146Bは幅方向Yの端部に設けられ、第2コンデンサ素子22の第2電極20Dに電気的に接続されている。低電位側第2接続端子146A、146Bは低電位側第1重複部144から遠ざかるように突出している。低電位側第2延長片142は、低電位側第2重複部147と、低電位側第1接続端子149A、149Bと、を有する。低電位側第2重複部147は高さ方向Zで第1コンデンサ素子21に重なる。低電位側第1接続端子149A、149Bは幅方向Yの端部に設けられ、第1コンデンサ素子21の第2電極20Dに電気的に接続されている。低電位側第1接続端子149A、149Bは低電位側第2重複部147から遠ざかるように突出している。
【0102】
底部81に一対の高電位側第1接続端子136A、136Bが収納される一対の第1凹部89Aが設けられている。底部81に一対の高電位側第2接続端子139A、139Bが収納される一対の第2凹部89Bが設けられている。底部81に一対の低電位側第1接続端子149A、149Bが収納される一対の第3凹部89Cが設けられている。底部81に一対の低電位側第2接続端子146A、146Bが収納される一対の第4凹部89Dが設けられている。第1凹部89A、第2凹部89B、第3凹部89C、および、第4凹部89Dの内部に放熱部材60が設けられている。
【0103】
第1凹部89Aと第2凹部89Bを合わせて高電位側凹部89A、89Bと称する場合がある。高電位側第1接続端子136A、136B、および、高電位側第2接続端子139A、139Bを合わせて高電位側接続端子136A、136B、139A、139Bと称する場合がある。高電位側接続端子136A、136B、139A、139Bが高電位側凹部89A、89Bの内部で放熱部材60に接触している。
【0104】
第3凹部89Cと第4凹部89Dを合わせて低電位側凹部89C、89Dと称する場合がある。低電位側第1接続端子149A、149B、および、低電位側第2接続端子146A、146Bを合わせて低電位側接続端子146A、146B、149A、149Bと称する場合がある。低電位側接続端子146A、146B、149A、149Bが低電位側凹部89C、89Dの内部で放熱部材60に接触している。これによれば、高電位側バスバー130および低電位側バスバー140の放熱性能が向上する。コンデンサ素子21、22が効率的に放熱される。
【0105】
(第2実施形態)
次に第2実施形態について説明する。図13は第2実施形態の電力変換装置10の平面図である。図14は第2実施形態のコンデンサ装置170の斜視図である。図15は第2実施形態のバスバーモジュール180の製造方法を説明する模式図である。第2実施形態は第1実施形態と共通の構成を含むために、以下においては、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。以下に記載のない構成については第1実施形態と同様である。第2実施形態においては、並び方向Xに関して第1コンデンサ素子21の第1電極20Cと第2コンデンサ素子22の第1電極20Cとが並んでいる。並び方向Xに関して第1コンデンサ素子21の第2電極20Dと第2コンデンサ素子22の第2電極20Dとが並んでいる。
【0106】
一対の高電位側第1接続端子136A、136Bは、高電位側第1重複部134における、第2側壁84側の端部に設けられている。一対の高電位側第2接続端子139A、139Bは、高電位側第2重複部137における、第2側壁84側の端部に設けられている。一対の低電位側第2接続端子146A、146Bは、低電位側第1重複部144における、第4側壁86側の端部に設けられている。一対の低電位側第1接続端子149A、149Bは、低電位側第2重複部147における、第4側壁86側の端部に設けられている。
【0107】
高電位側Yコンデンサ接続端子135は、高電位側第1重複部134における、第3側壁85側の端部に設けられ、高電位側第1重複部134から遠ざかるように延びている。高電位側Yコンデンサ接続端子135と高電位側Yコンデンサバスバー41とがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続される。低電位側Yコンデンサ接続端子148は低電位側第2重複部147における、第3側壁85側の端部に設けられ、低電位側第2重複部147から遠ざかるように延びている。低電位側Yコンデンサ接続端子148と低電位側Yコンデンサバスバー42とがボルトなどの締結部材を介して電気的および機械的に接続されている。
【0108】
また第2実施形態においては、高電位側第2重複部137における、第4側壁86側の端部に一対の高電位側第2切り欠き137Aが設けられている。一対の高電位側第2切り欠き137Aには、一対の低電位側第2接続バスバー27A、27B、および、低電位側第2接続端子146A、146Bが通されている。高電位側第2切り欠き137Aを介して一対の低電位側第2接続バスバー27A、27B、および、低電位側第2接続端子146A、146Bが高電位側第2重複部137よりも第2露出面29Bから離れるように延びている。
【0109】
低電位側第2重複部147における、第2側壁84側の端部に一対の低電位側第1切り欠き147Aが設けられている。低電位側第1切り欠き147Aには、一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、高電位側第1接続端子136A、136Bが通されている。低電位側第1切り欠き147Aを介して一対の高電位側第1接続バスバー24A、24B、および、高電位側第1接続端子136A、136Bが低電位側第2重複部147よりも第1露出面29Aから離れるように延びている。
【0110】
第2実施形態のバスバーモジュール180を製造する際、第1実施形態とは異なり、高電位側バスバー130を幅方向Yに沿って移動させることで、高電位側第2切り欠き137Aに低電位側第2接続端子146A、146Bを通すことができる。低電位側バスバー140を幅方向Yに沿って移動させることで、低電位側第1切り欠き147Aに高電位側第1接続端子136A、136Bを通すことができる。第1実施形態とは異なり、高電位側バスバー130と低電位側バスバー140を重なる際ひねる必要がない。高電位側バスバー130と低電位側バスバー140をスライドするだけでバスバーモジュール180を組み立てることができる。そのために製造性がよい。
【0111】
(第3実施形態)
次に第3実施形態について説明する。図16は第3実施形態の第3コンデンサ素子23の平面図である。図17は第3実施形態のコンデンサ装置170の平面図である。図18は第3実施形態の高電位側バスバー130の平面図である。図19は第3実施形態の低電位側バスバー140の平面図である。図20は第3実施形態の絶縁板160の平面図である。第3実施形態は第1実施形態と共通の構成を含むために、以下においては、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。以下に記載のない構成については第1実施形態と同様である。第3実施形態においては、9個の第3コンデンサモジュール20Eが並び方向Xと幅方向Yに3行3列に並ぶ態様で設けられている。なお第3コンデンサモジュール20Eの個数は9個に限定されない。
【0112】
第3コンデンサモジュール20Eは第1コンデンサモジュール20Aまたは第2コンデンサモジュール20Bの構成に等しい。第3コンデンサモジュール20Eは第3コンデンサ素子23を有する。第3実施形態においては、各行において並び方向Xに関して3個の第3コンデンサ素子23の第1電極20Cが並んでいる。各行において並び方向Xに関して3個の第3コンデンサ素子23の第2電極20Dが並んでいる。
【0113】
一例として1つの第3コンデンサモジュール20Eにおいて第2側壁84側に第2電極20Dが設けられている。第4側壁86側に第1電極20Cが設けられている。1つの第3コンデンサモジュール20Eにおいて第1電極20Cに一対の高電位側接続バスバー324が設けられている。1つの第3コンデンサモジュール20Eにおいて第2電極20Dに一対の低電位側接続バスバー325が設けられている。並び方向Xに関して6個の高電位側接続バスバー324が並んでいる。並び方向Xに関して6個の低電位側接続バスバー325が並んでいる。第3コンデンサモジュール20Eの第3露出面29Cにバスバーモジュール180が設けられている。
【0114】
高電位側第1延長片131が、1列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第3側壁側の半分に、高さ方向Zで重なるように設けられている。高電位側第2延長片132が、3列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第1側壁側の半分に、高さ方向Zで重なるように設けられている。高電位側第1延長片131と高電位側第2延長片132が、第2側壁84側において2列目に並ぶ第3コンデンサ素子23に接続された一対の接続バスバーの間で、高電位側連結片133を介して連結されている。
【0115】
低電位側第1延長片141が、3列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第1側壁側の半分に、高さ方向Zで重なるように設けられている。低電位側第2延長片142が、1列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第3側壁側の半分に、高さ方向Zで重なるように設けられている。低電位側第1延長片141と低電位側第2延長片142が、第4側壁86側において2列目に並ぶ第3コンデンサ素子23に接続された一対の接続バスバーの間で、低電位側連結片143を介して連結されている。
【0116】
高電位側バスバー130と低電位側バスバー140の間に絶縁板160が設けられている。高電位側第1延長片131と低電位側第2延長片142の間に第1絶縁片161が設けられている。低電位側第1延長片141と高電位側第2延長片132の間に第2絶縁片162が設けられている。高電位側連結片133と低電位側連結片143の間に連結絶縁片163が設けられている。低電位側第2延長片142が高電位側第1延長片131よりも、1列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第3側壁側の半分から離れて設けられている。高電位側第2延長片132が低電位側第1延長片141よりも、3列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23、および、2列目に並ぶ3個の第3コンデンサ素子23における第1側壁側の半分から離れて設けられている。
【0117】
高電位側第1延長片131および高電位側第2延長片132に、高電位側接続バスバー324に接続される高電位側接続端子336が設けられている。高電位側接続端子336は高電位側第1延長片131および高電位側第2延長片132から突出するように延びている。低電位側第1延長片141および低電位側第2延長片142に、低電位側接続バスバー325に接続される低電位側接続端子346が設けられている。低電位側接続端子346は低電位側第1延長片141および低電位側第2延長片142から突出するように延びている。
【0118】
また高電位側第1延長片131および高電位側第2延長片132に、高電位側接続バスバー324を通す第1貫通孔301と、低電位側接続バスバー325を通す第2貫通孔302が設けられている。低電位側第1延長片141および低電位側第2延長片142に、高電位側接続バスバー324を通す第3貫通孔303と、低電位側接続バスバー325を通す第4貫通孔304が設けられている。また第1絶縁片161および第2絶縁片162に、高電位側接続バスバー324を通す第5貫通孔305と、低電位側接続バスバー325を通す第6貫通孔306が設けられている。
【0119】
高さ方向Zに関して第1貫通孔301と第3貫通孔303と第5貫通孔305とが重なっている。高さ方向Zに関して第2貫通孔302と第4貫通孔304と第6貫通孔306とが重なっている。第1貫通孔301の縁に高電位側接続端子336が設けられている。第1貫通孔301と第3貫通孔303と第5貫通孔305が重なった空隙に、高電位側接続バスバー324が通されている。高電位側接続端子336と高電位側接続バスバー324とが電気的および機械的に接続されている。
【0120】
第2貫通孔302の縁に低電位側接続端子346が設けられている。第2貫通孔302と第4貫通孔304と第6貫通孔306が重なった空隙に、低電位側接続バスバー325が通されている。低電位側接続端子346と低電位側接続バスバー325とが電気的および機械的に接続されている。このような構造にすることで複数の第3コンデンサモジュール20Eに対してもPNバスバー130、140を電気的に接続することができる。
【0121】
(第4実施形態)
次に第4実施形態について説明する。図21は第4実施形態のコンデンサ装置170の斜視図である。図22は第4実施形態のコンデンサ装置170の分解斜視図である。図23は第4実施形態のバスバーモジュール180の製造方法を説明する模式図である。図24は第4実施形態のコンデンサ装置170をXXIV-XXIV線に沿う断面から見た斜視図である。図25は第4実施形態の電力変換装置10の断面図である。なお、図21から図25においては絶縁板160の構成を省略している。第4実施形態のコンデンサ装置170およびバスバーモジュール180は絶縁板160を有していてもよく、有していなくてもよい。第4実施形態は第1実施形態と共通の構成を含むために、以下においては、第1実施形態と異なる構成のみを説明する。以下に記載のない構成については第1実施形態と同様である。
【0122】
一例として第4実施形態のコンデンサ20は1つの第4コンデンサモジュール20Fを有する。なお、第4コンデンサモジュール20Fの個数は1つに限定されない。第4実施形態のコンデンサ20は第4コンデンサモジュール20Fを複数有していても良い。第4コンデンサモジュール20Fは、1つの第4コンデンサ素子421、1つの高電位側接続バスバー422、および、1つの低電位側接続バスバー423を有する。第4コンデンサ素子421の第1電極20Cに高電位側接続バスバー422接続されている。第4コンデンサ素子421の第2電極20Dに低電位接続バスバー423が接続されている。
【0123】
バスバーモジュール180が、第4コンデンサモジュール20Fに高さ方向Zで重なる。第4実施形態のバスバーモジュール180は、高電位側バスバー430と低電位側バスバー440を有する。高電位側バスバー430および低電位側バスバー440は高さ方向Zに板厚を有する。高電位側バスバー430は、高電位側第1接続片431と、高電位側第2片432と、高電位側連結片433と、を有する。高電位側第1接続片431は、第4コンデンサ素子421と、Yコンデンサ40と、インバータ11と、を高電位側において電気的に接続する部位である。高さ方向Z面視で高電位側第1接続片431は環状を成している。高電位側第1接続片431は高さ方向Zに沿う軸周りに環状に延びている。高電位側第1接続片431は高さ方向Zに貫通する孔431Aを囲む枠形状であるとも言える。
【0124】
高電位側第1接続片431の一辺に高電位側連結片433を介して高電位側第2接続片432が接続されている。高電位側第2接続片432は高電位側第1接続片431に片持ち支持されている。高電位側第1接続片431と高電位側第2接続片432はXY平面に沿って延びている。高さ方向Zに関して高電位側第1接続片431が高電位側第2接続片432よりも第4コンデンサ素子421から遠くに設けられている。高電位側連結片433は高電位側第1接続片431と高電位側第2接続片432をつなぐ役割を担っている。高電位側第1接続片431と高電位側第2接続片432と高電位側連結片433は同一材料によって一体的に連結されている。
【0125】
低電位側バスバー440は、低電位側第1接続片441と、低電位側第2接続片442と、低電位側連結片443と、を有する。低電位側第1接続片441は、第4コンデンサ素子421と、Yコンデンサ40と、インバータ11と、を低電位側において電気的に接続する部位である。高さ方向Z面視で低電位側第1接続片441は環状を成している。低電位側第1接続片441は高さ方向Zに沿う軸周りに環状に延びている。低電位側第1接続片441は高さ方向Zに貫通する孔441Aを囲む枠形状であるとも言える。
【0126】
低電位側第1接続片441の一辺に低電位側連結片443を介して低電位側第2接続片442が接続されている。低電位側第2接続片442は低電位側第1接続片441に片持ち支持されている。低電位側第1接続片441と低電位側第2接続片442はXY平面に沿って延びている。高さ方向Zに関して低電位側第2接続片442が低電位側第1接続441よりも第4コンデンサ素子421から遠くに設けられている。低電位側連結片443は低電位側第1接続片441と低電位側第2接続片442をつなぐ役割を担っている。低電位側第1接続片441と低電位側第2接続片442と低電位側連結片443は同一材料によって一体的に連結されている。
【0127】
バスバーモジュール180において、高電位側第1接続片431と低電位側第1接続片441が高さ方向Zで重なっている。高電位側第1接続片431が低電位側第1接続片441よりも高さ方向Zに関して第4コンデンサ素子421から遠くに設けられている。高電位側第2接続片432と低電位側第2接続片442が高さ方向Zで重なっている。低電位側第2接続片442が高電位側第2接続片432よりも高さ方向Zに関して第4コンデンサ素子421から遠くに設けられている。孔431Aと孔441Aとが高さ方向Zで重なっている。
【0128】
上記したように第1電極20Cに高電位側接続バスバー422が接続されている。第2電極20Dに低電位側接続バスバー423が接続されている。高電位側接続バスバー422は高さ方向Zに延びている。図示しないが高電位側第2接続片432には高電位側接続バスバー422を通す孔が形成されている。孔を通った高電位側接続バスバー422が高電位側第2接続片432に電気的に接続されている。なお、低電位側第2接続片442には低高電位側接続バスバー422が通過可能な切り欠きが形成されている。これによればコンデンサ装置170を組付けた後、高電位側第2接続片432と高電位側接続バスバー422を溶接などによって接合させることができる。
【0129】
また図示しないが低電位側第1接続片441には低電位側接続バスバー423を通す孔が形成されている。孔を通った低電位側接続バスバー423が低電位側第1接続片441に電気的に接続されている。なお、高電位側第1接続片431には低電位側接続バスバー423が通過可能な切り欠きが形成されている。これによればコンデンサ装置170を組付けた後、低電位側第1接続片441と低電位側接続バスバー423を溶接などによって接合させることができる。
【0130】
また図24および図25に示すように、高さ方向Zに関して高電位側放熱片432と第4コンデンサ素子421との距離と、低電位側接続片441と第4コンデンサ素子421との距離とが等しい。高さ方向Zに関して低電位側放熱片442と第4コンデンサ素子421との距離と、高電位側接続片431と低電位側放熱片442との距離とが等しい。高さ方向Zに関して、低電位側放熱片442および高電位側接続片431が、低電位側接続片441および高電位側放熱片432よりも第4コンデンサ素子421から遠くに設けられている。これによれば、低電位側放熱片442および高電位側接続片431で第4コンデンサ素子421の熱が放熱される。コンデンサ素子421の放熱効果が高まる。インバータ11の出力を増大させることができる。
【0131】
なお、第4実施形態においては、高電位側第1接続片431は高電位側第1部位に相当する。低電位側第1接続片441は低電位側第1部位に相当する。低電位側第2接続片442は低電位側第2部位に相当する。高電位側第2接続片432は高電位側第2部位に相当する。
【0132】
以下に第4実施形態のコンデンサ装置170および電力変換装置10の製造方法について説明する。コンデンサ装置170の製造にあたって、高電位側第2接続片432の開放端と低電位側第2接続片442の開放端とが向かい合うように、高電位側バスバー430と低電位側バスバー440が配置される。この状態で低電位側第2接続片442を孔431Aに通して、高電位側第2接続片432に高さ方向Zで重ねる。
【0133】
次に高電位側第2接続片432に設けられた図示しない孔に高電位側接続バスバー422を通す。電位側接続バスバー422と高電位側第2接続片432とを溶接などによって電気的に接続する。低電位側第1接続片441に設けられた図示しない孔に低電位側接続バスバー423を通す。低電位側接続バスバー423と低電位側第1接続片441とを溶接などによって電気的に接続する。このようにして製造されたコンデンサ装置170を、バスバーモジュール180が底部81に対向するようにケース80に配置する。そしてバスバーモジュール180にインバータ11およびYコンデンサ40を電気的に接続する。このようにして電力変換装置10を製造する。
【0134】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範ちゅうや思想範囲に入るものである。
【0135】
(技術的思想の開示)
この明細書は、以下に列挙する複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0136】
(技術的思想1)
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
前記コンデンサ装置は、
前記電気部品と前記スイッチモジュールが並ぶ並び方向(X)とは異なる幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、前記並び方向に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
前記第1電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(130)と、
前記第2電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(140)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記並び方向、および、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられている電力変換装置。
【0137】
(技術的思想2)
前記高電位側バスバーは、前記板厚方向に位置が異なる、前記高電位側第2部位である高電位側第1延長片(131)、および、前記高電位側第1部位である高電位側第2延長片(132)と、前記高電位側第1延長片の一部と前記高電位側第2延長片の一部とを前記板厚方向でつなぐとともに、前記高電位側第1延長片の残りと前記高電位側第2延長片の残りとの間の第1空隙(130A)と並ぶ高電位側連結片(133)と、を備え、
前記低電位側バスバーは、前記板厚方向の位置が異なる、前記低電位側第1部位である低電位側第1延長片(141)、および、前記低電位側第2部位である低電位側第2延長片(142)と、前記低電位側第1延長片の一部と前記低電位側第2延長片の一部とを前記板厚方向でつなぐとともに、前記低電位側第1延長片の残りと前記低電位側第2延長片の残りとの間の第2空隙(140A)と並ぶ低電位側連結片(143)と、を備え、
前記第1空隙に前記低電位側連結片が通され、
前記第2空隙に前記高電位側連結片が通されている技術的思想1に記載の電力変換装置。
【0138】
(技術的思想3)
複数の前記コンデンサ素子は、第1コンデンサ素子(21)と第2コンデンサ素子(22)を有し、
前記板厚方向で、前記高電位側第1延長片および前記低電位側第2延長片が前記第1コンデンサ素子に重なり、
前記板厚方向で、前記高電位側第2延長片および前記低電位側第2延長片が前記第2コンデンサ素子に重なり、
前記低電位側第2延長片が前記高電位側第1延長片よりも前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子よりも離れて設けられ、
前記高電位側第2延長片が前記低電位側第1延長片よりも前記板厚方向で前記第2コンデンサ素子よりも離れて設けられている技術的思想2に記載の電力変換装置。
【0139】
(技術的思想4)
前記第1コンデンサ素子の前記第1電極と前記第2コンデンサ素子の前記第2電極、および、前記第1コンデンサ素子の前記第2電極と前記第2コンデンサ素子の前記第1電極とが前記並び方向で並ぶように、前記第1コンデンサ素子と前記第2コンデンサ素子とが配置され、
前記高電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記電気部品を介してバッテリ(2)に接続されている技術的思想3に記載の電力変換装置。
【0140】
(技術的思想5)
前記コンデンサ装置、前記スイッチモジュール、および、前記電気部品を収納するケース(80)と、
前記ケースの底部(81)に設けられる放熱部材(60)と、をさらに有し、
前記底部の内部に前記コンデンサ装置を冷却する冷媒が流れる冷却路(88)が設けられ、
前記コンデンサ装置は、前記板厚方向に関して、前記高電位側バスバーおよび前記低電位側バスバーが前記底部に対面するように前記ケースに設けられ、
前記高電位側第2延長片、および、前記低電位側第2延長片が前記放熱部材に接触している技術的思想2~4のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【0141】
(技術的思想6)
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記高電位側重複部から突出して前記第1電極に電気的に接続される高電位側接続端子(136A、136B、139A、139B)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記低電位側重複部から突出して前記第2電極に電気的に接続される低電位側接続端子(146A、146B、149A、149B)と、を有し、
前記底部に、前記高電位側接続端子が収納される高電位側凹部(89A、89B)、および、前記低電位側接続端子が収納される低電位側凹部(89C、89D)が形成され、
前記放熱部材が、前記高電位側凹部の内部、および、前記低電位側凹部の内部に設けられ、
前記高電位側接続端子と前記低電位側接続端子が前記放熱部材に接触している技術的思想2~5のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【0142】
(技術的思想7)
前記第1コンデンサ素子の前記第1電極と前記第2コンデンサ素子の前記第1電極、および、前記第1コンデンサ素子の前記第2電極と前記第2コンデンサ素子の前記第2電極とが前記並び方向で並ぶように、前記第1コンデンサ素子と前記第2コンデンサ素子とが配置され、
前記高電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記電気部品を介してバッテリ(2)に接続されている技術的思想3に記載の電力変換装置。
【0143】
(技術的思想8)
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子、または、前記第2コンデンサ素子に重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記高電位側重複部から突出して前記第1電極に電気的に接続される高電位側接続端子(136A、136B、139A、139B)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、前記板厚方向で前記第1コンデンサ素子、または、前記第2コンデンサ素子に重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部における前記幅方向の端部に設けられ、前記低電位側重複部から突出して前記第2電極に電気的に接続される低電位側接続端子(146A、146B、149A、149B)と、を有し、
前記高電位側第2延長片に前記低電位側接続端子の一部を通すための高電位側切り欠き(137A)が設けられ、
前記低電位側第2延長片に前記高電位側接続端子の一部を通すための低電位側切り欠き(147A)が設けられている技術的思想7に記載の電力変換装置。
【0144】
(技術的思想9)
前記コンデンサ素子を複数有し、
各前記コンデンサ素子の前記第1電極に接続されて前記板厚方向に延びる高電位側接続バスバー(324)と、
各前記コンデンサ素子の前記第2電極に接続されて前記板厚方向に延びる低電位側接続バスバー(325)と、をさらに備え、
前記高電位側第1延長片、および、前記高電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうち少なくとも1つに前記板厚方向で重なる高電位側重複部(134、137)と、前記高電位側重複部から突出して前記高電位側接続バスバーに電気的に接続される高電位側接続端子(336)と、を有し、
前記低電位側第1延長片、および、前記低電位側第2延長片は、複数の前記コンデンサ素子のうちの少なくとも1つに前記板厚方向で重なる低電位側重複部(144、147)と、前記低電位側重複部から突出して前記低電位側接続バスバーに電気的に接続される低電位側接続端子(346)と、を有し、
前記高電位側重複部に、前記高電位側接続バスバーが通過可能な第1貫通孔(301)と、前記低電位側接続バスバーが通過可能な第2貫通孔(302)が形成され、
前記低電位側重複部に、前記高電位側接続バスバーが通過可能な第3貫通孔(303)と、前記低電位側接続バスバーが通過可能な第4貫通孔(304)が形成され、
前記第1貫通孔および前記第3貫通孔を通った前記高電位側接続バスバーと前記高電位側接続端子とが接続され、
前記第2貫通孔および前記第4貫通孔を通った前記低電位側接続バスバーと前記低電位側接続端子とが接続されている技術的思想2または3に記載の電力変換装置。
【0145】
(技術的思想10)
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有し、前記幅方向とは異なる並び方向(X)に並ぶ複数のコンデンサ素子(21、22、23)と、
前記第1電極に接続される高電位側バスバー(130)と、
前記第2電極に接続される低電位側バスバー(140)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記並び方向、および、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(132)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(141)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(142)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(131)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられているコンデンサ装置。
【0146】
(技術的思想11)
電気部品(40)とスイッチモジュール(12)の間に設けられているコンデンサ装置(170)を有する電力変換装置(10)であって、
前記コンデンサ装置は、
幅方向(Y)に離れた第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
前記第1電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する高電位側バスバー(430)と、
前記第2電極、前記電気部品、および、前記スイッチモジュールを電気的に接続する低電位側バスバー(440)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられている電力変換装置。
【0147】
(技術的思想12)
幅方向(Y)に離れた端面に第1電極(20C)と第2電極(20D)を有するコンデンサ素子(421)と、
前記第1電極に接続される高電位側バスバー(430)と、
前記第2電極に接続される低電位側バスバー(440)と、を備え、
前記高電位側バスバー、および、前記低電位側バスバーは、前記幅方向とは異なる板厚方向(Z)に関して、前記コンデンサ素子に重なるように設けられ、
前記高電位側バスバーの高電位側第1部位(431)が前記低電位側バスバーの低電位側第1部位(441)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられ、
前記低電位側バスバーの低電位側第2部位(442)が前記高電位側バスバーの高電位側第2部位(432)よりも前記板厚方向に関して前記コンデンサ素子から離れて設けられているコンデンサ装置。
【符号の説明】
【0148】
2 バッテリ、 10 電力変換装置、 12 スイッチモジュール、 20C 第1電極、 20D 第2電極、 21、22、23、421 コンデンサ素子、 40 電気部品、 60 放熱部材、 80 ケース、 81 底部、 88 冷却路、 89A、89B 高電位側凹部、 89C、89D 低電位側凹部、
130、430 高電位側バスバー、 130A 第1空隙、 131 高電位側第1延長片、 132 高電位側第2延長片、 133 高電位側連結片、 134 高電位側重複部、 136A、136B 高電位側接続端子、 137 高電位側重複部、 137A 高電位側切り欠き、 139A、139B 高電位側接続端子、
140、440 低電位側バスバー、 140A 第2空隙、 141 低電位側第1延長片、 142 低電位側第2延長片、 143 低電位側連結片、 144 低電位側重複部、 146A、146B 低電位側接続端子、 147 低電位側重複部、 147A 低電位側切り欠き、 149A、149B 低電位側接続端子、
170 コンデンサ装置、
301 第1貫通孔、 302 第2貫通孔、 303 第3貫通孔、 304 第4貫通孔、 324、422 高電位側接続バスバー、 325、423 低電位側接続バスバー、
431 高電位側第1接続片、 432 高電位側第2接続片、 441 低電位側第1接続片、 442 低電位側第2接続片、 X 並び方向、 Y 幅方向、 Z 高さ方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25