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特開2024-171305運搬用容器及び運搬用容器の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171305
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】運搬用容器及び運搬用容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 6/40 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65D6/40
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024105
(22)【出願日】2024-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2023088207
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 昌秀
(72)【発明者】
【氏名】柴垣 和浩
(72)【発明者】
【氏名】市原 直樹
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061AB09
3E061CA06
3E061DA14
3E061DA15
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】内部に水が浸入したときに、底壁の上面の水が抜けやすい運搬用容器を提供する。
【解決手段】運搬用容器9は、底壁1と、底壁1から起立する複数の側壁7と、を備える。底壁1の上面13は、底壁1の外周縁部16の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面10を含む。底壁1の下面14には、下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる嵌合突出部6が設けられている。底壁1の外周縁部16には、内外に貫通する排水孔3が設けられている。底壁1の上面13には、排水孔3に向けて水を流すための排水溝4が設けられている。排水溝4の少なくとも一部が、嵌合突出部6の上に位置する。排水溝4の代わりに、排水用ヒケ5が設けられてもよい。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底壁と、
前記底壁から起立する複数の側壁と、を備え、
前記底壁の上面は、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を含み、
前記底壁の下面には、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部が設けられ、
前記底壁の前記外周縁部には、内外に貫通する排水孔が設けられ、
前記底壁の前記上面には、前記排水孔に向けて水を流すための排水溝が設けられ、
前記排水溝の少なくとも一部が、前記嵌合突出部の上に位置する、
運搬用容器。
【請求項2】
前記排水溝の一部は、前記底壁の前記上面の中央部に設けられ、前記排水溝の前記一部の下端は、前記底壁の前記外周縁部よりも上に位置する、
請求項1の運搬用容器。
【請求項3】
合成樹脂材料を用いた射出成形により形成された底壁と、
前記底壁から起立する複数の側壁と、を備え、
前記底壁の上面は、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を含み、
前記底壁の下面には、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部が設けられ、
前記底壁の前記外周縁部には、内外に貫通する排水孔が設けられ、
前記底壁の前記上面には、前記嵌合突出部に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケが設けられている、
運搬用容器。
【請求項4】
前記排水用ヒケの一部は、前記底壁の前記上面の中央部に設けられ、前記排水用ヒケの前記一部の下端は、前記底壁の前記外周縁部よりも上に位置する、
請求項3の運搬用容器。
【請求項5】
前記複数の側壁に支持される蓋を、更に備え、
前記蓋の上面には、前記蓋の外周縁部にまで連続した溝が設けられ、
前記運搬用容器を段積みしたときに、
上側の運搬用容器が備える前記底壁の前記排水孔の下方に、下側の運搬用容器が備える前記蓋の前記溝が位置する、
請求項1から4のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項6】
底壁を備える運搬用容器を製造する方法であって、
合成樹脂材料を用いた射出成形により、
前記底壁の上面に、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を形成し、
前記底壁の下面に、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部を形成し、
前記底壁の前記外周縁部に、内外に貫通する排水孔を形成し、
前記底壁の前記上面には、前記嵌合突出部に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケを形成する、
運搬用容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、運搬用容器及び運搬用容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
底壁を備えた運搬用容器が、従来公知である(例えば特許文献1を参照)。この種の運搬用容器は、底壁と、底壁から起立する複数の側壁と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-95426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の運搬用容器では、内部に水が浸入したときに、底壁の上面の水が抜けにくいという問題があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、内部に水が浸入したときに、底壁の上面の水が抜けやすい運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る運搬用容器は、底壁と、前記底壁から起立する複数の側壁と、を備える。前記底壁の上面は、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を含む。前記底壁の下面には、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部が設けられる。前記底壁の前記外周縁部には、内外に貫通する排水孔が設けられる。前記底壁の前記上面には、前記排水孔に向けて水を流すための排水溝が設けられる。前記排水溝の少なくとも一部が、前記嵌合突出部の上に位置する。
【0007】
本開示の別様態に係る運搬用容器は、合成樹脂材料を用いた射出成形により形成された底壁と、前記底壁から起立する複数の側壁と、を備える。前記底壁の上面は、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を含む。前記底壁の下面には、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部が設けられる。前記底壁の前記外周縁部には、内外に貫通する排水孔が設けられる。前記底壁の前記上面には、前記嵌合突出部に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケが設けられる。
【0008】
本開示の更に別態様に係る運搬用容器の製造方法は、底壁を備える運搬用容器を製造する方法であって、合成樹脂材料を用いた射出成形により、前記底壁の上面に、前記底壁の外周縁部の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面を形成し、前記底壁の下面に、下方に突出した格子状の底部リブ群からなる嵌合突出部を形成し、前記底壁の前記外周縁部に、内外に貫通する排水孔を形成し、前記底壁の前記上面には、前記嵌合突出部に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケを形成する。
【発明の効果】
【0009】
本開示は、運搬用容器の内部に水が浸入したときに、運搬用容器の底壁の上面の水が抜けやすいという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1実施形態の運搬用容器の全体斜視図である。
図2図2は、同上の運搬用容器が備える底壁の斜視図である。
図3図3は、同上の底壁の平面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面である。
図5図5は、図3のB-B線断面である。
図6図6は、同上の底壁の下面図である。
図7図7は、同上の運搬用容器を上下に段積みした斜視図である。
図8図8は、第1変形例の運搬用容器の底壁の断面図である。
図9図9は、第2変形例の運搬用容器の底壁の断面図である。
図10図10は、第3変形例の運搬用容器の底壁の斜視図である。
図11図11は、第4変形例の運搬用容器の底壁の要部断面図である、
図12図12は、第5変形例の運搬用容器の底壁の要部断面図である。
図13図13は、第6変形例の運搬用容器の底壁の平面である。
図14図14は、第7変形例の運搬用容器の底壁の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.第1実施形態
(運搬用容器の全体)
図1には、第1実施形態の運搬用容器9が示されている。以下の説明で用いる上下方向等の各方向は、運搬用容器9が備える底壁1が、水平面上に置かれたときを基準とする。
【0012】
第1実施形態の運搬用容器9は、上向きの開口を有する箱型の容器本体90と、容器本体90の開口を開閉するように容器本体に連結された蓋8と、を備える。
【0013】
容器本体90は、底壁1と、底壁1の上に位置する口枠2と、底壁1及び口枠2の間で起立するように構成された複数の側壁7と、を備える。容器本体90は平面視において長方形状であり、互いに直交する長手方向D1及び短手方向D2を有する。長手方向D1及び短手方向D2は、それぞれ上下方向と直交する方向である。
【0014】
第1実施形態の運搬用容器9において、容器本体90は折り畳み可能である。容器本体90を折り畳むことで、底壁1と口枠2が上下に重なる状態となり、容器本体90の減容化が図られる。
【0015】
第1実施形態の運搬用容器9が備える底壁1、口枠2、複数の側壁7、及び蓋8は、合成樹脂材料を用いた射出成形により形成することが可能である。底壁1、口枠2、複数の側壁7、及び蓋8は、いずれも樹脂成形品である。底壁1には、排水を目的とした後述の各種構造が設けられている。
【0016】
(底壁)
図2から図6に示されるように、底壁1は、平面視において長方形状の板材である。底壁1の長手方向D1及び短手方向D2は、容器本体90の長手方向D1及び短手方向D2と一致する。底壁1は、互いに反対を向く上面13及び下面14を有する。上面13及び下面14は、ともに長方形状の外形を有する。
【0017】
底壁1は、外周縁部16と、外周縁部16で囲まれた主体部17と、を含む。主体部17は、言い換えれば、底壁1のうち外周縁部16を除いた部分である。外周縁部16と主体部17は、一体に形成されている。
【0018】
底壁1の外周縁部16は、外周縁部16の周方向に互いに距離をあけて位置する4つの角部165を有する。
【0019】
更に、底壁1は、複数の側壁7に含まれる一対の側壁7を回転可能に連結させるための一対の軸受け部15と、底壁1の最外周部分を構成する起立片18と、を備える。
【0020】
一対の軸受け部15は、底壁1の短手方向D2の両端部に設けられている。一対の軸受け部15は、各々が長手方向D1に直線状に設けられている。また、一対の軸受け部15の各々には、長手方向D1において交互に凹部と凸部が設けられている。
【0021】
起立片18は、平面視において矩形枠状をなすとともに、底壁1の他の部分よりも上方に突出している。一対の軸受け部15は、起立片18の内側に位置している。
【0022】
(底壁の上面の詳細)
底壁1の上面13は、外周縁部16の上面163と、主体部17の上面173と、を含む。外周縁部16の上面163と、主体部17の上面173と、は滑らかに連続している。
【0023】
外周縁部16の上面163は、平坦な面である。外周縁部16の上面163は、言い換えれば、底壁1の上面13の外周縁部である。
【0024】
図3等に示されるように、外周縁部16には、内外に貫通する4つの排水孔3が設けられている。第1実施形態において、4つの排水孔3は、底壁1を上下に貫通している。4つの排水孔3は、外周縁部16が有する4つの角部165に、一対一で設けられている。各排水孔3は例えば丸孔であるが、他の形状を有してもよい。
【0025】
外周縁部16の上面163は、水平面であることが好ましいが、上面163のうち排水孔3の周囲の部分が、他の部分よりも一段低く設けられてもよい。この場合、上面163のうち排水孔3の周囲の部分が、上面163のうちで最も低く位置し、ひいては底壁1の上面13のうちで最も低く位置する。
【0026】
底壁1の主体部17は、平面視において円形状の部分である。主体部17は、平面視における中央部が最も高くなるように、全体が凸状に湾曲している。そのため、主体部17の上面173は、その中央部が最も高くなるように、全体が凸状に湾曲した膨出面である。主体部17の上面173の中央部は、言い換えれば、底壁1の上面13の中央部である。
【0027】
主体部17の上面173の中央部は、上面173の頂部であって、上面173の最も低い部分と比較して、3mmほど高く位置する。上面173の中央部は、上面173の最も低い部分と比較して、例えば2~4mmの範囲内の寸法だけ高く位置することが好ましい。ここでの上面173の最も低い部分は、上面173の外周縁の部分であり、言い換えれば、外周縁部16の上面163との境界部分である。主体部17の上面173の傾斜角度は、0.5~2度の範囲内で設定されることが好ましく、1~2度の範囲内で設定されることが一層好ましい。
【0028】
第1実施形態の運搬用容器9では、主体部17の上面173のうち最も低い部分の高さは、外周縁部16の上面163の高さと一致する。つまり、主体部17の上面173の中央部は、外周縁部16の上面163と比較して、3mmほど高く位置する。主体部17の上面173の中央部は、外周縁部16の上面163と比較して、例えば2~4mmの範囲内の寸法だけ高く位置することが好ましい。
【0029】
主体部17の上面173は、上面173の中央部から離れた場所ほど下に位置するように全体が緩やかに傾斜した斜面10で構成されている。斜面10は、外周縁部16の周方向の全域に向けて、その中央部から下り傾斜している。言い換えると、底壁1の斜面10は、底壁1の外周縁部16の周方向のいずれの部分に向けても下り傾斜するように、全体が凸状に湾曲形成されている。
【0030】
底壁1の上面13には、排水溝4が成形されている。排水溝4は、底壁1の主体部17の上面173から、外周縁部16の上面163にかけて設けられている。排水溝4は、底壁1の主体部17から外周縁部16に向けて水を流し、ひいては外周縁部16の各排水孔3に水を流すように構成されている。
【0031】
排水溝4は、下方に凹んだ格子状の溝群45を含む。溝群45は、互いに平行である複数の第1溝451と、互いに平行である複数の第2溝452と、これら複数の第1溝451及び複数の第2溝452を囲む矩形枠状の外周溝453と、を含む。各溝451,452,453は、例えば断面U字状の溝であるが、断面円弧状、断面V字状、断面コ字状等の他の形状の溝であってもよい。
【0032】
複数の第1溝451は、同一の方向に直線状に伸びている。複数の第1溝451が伸びる方向は、長手方向D1及び短手方向D2とは異なる方向である。
【0033】
複数の第2溝452は、同一の方向に直線状に伸びている。複数の第2溝452が伸びる方向は、長手方向D1及び短手方向D2とは異なる方向であり、また、複数の第1溝451が伸びる方向とは異なる方向である。
【0034】
複数の第1溝451と複数の第2溝452は、枠状である外周溝453の内側の領域において、互いに交差している。複数の第1溝451の各々は、複数の第2溝452に含まれる1以上の第2溝452に対して、直角に交差している。同様に、複数の第2溝452の各々は、複数の第1溝451に含まれる1以上の第1溝451に対して、直角に交差している。
【0035】
底壁1の上面13の頂部(つまり主体部17の上面173の頂部)には、排水溝4の一部48が設けられている。ここでの排水溝4の一部48は、排水溝4のうち最も上に位置する部分である。排水溝4のうち最も上に位置する部分の溝底(つまり排水溝4のうち最も上に位置する部分の下端)は、底壁1の外周縁部16の上面163よりも上に位置する。
【0036】
第1実施形態の運搬用容器9において、排水溝4のうち最も上に位置する部分は、複数の第1溝451に含まれる1つの第1溝451と、複数の第2溝452に含まれる1つの第2溝452と、の交差部分で構成されているが、これに限定されない。例えば、複数の第1溝451に含まれる1つの第1溝451の中央部で構成されてもよいし、複数の第2溝452に含まれる1つの第2溝452の中央部で構成されてもよい。
【0037】
(底壁の下面の詳細)
図6に示されるように、底壁1の下面14は、外周縁部16の下面164と、主体部17の下面174と、を含む。外周縁部16の下面164と、主体部17の下面174と、は滑らかに連続している。
【0038】
第1実施形態の運搬用容器9において、外周縁部16の下面164は、平坦な面である。下面164は、水平面であることが好ましい。外周縁部16の下面164は、言い換えれば、底壁1の下面14の外周縁部である。
【0039】
主体部17の下面174は、その中央部が最も高くなるように、全体が凹状に湾曲している。主体部17の下面174の中央部は、言い換えれば、底壁1の下面14の中央部である。
【0040】
主体部17の下面174の中央部は、下面174の頂部であって、下面174の最も低い部分と比較して、3mmほど高く位置する。下面174の中央部は、下面174の最も低い部分と比較して、例えば2~4mmの範囲内の寸法だけ高く位置することが好ましい。ここでの下面174の最も低い部分は、下面174の外周縁の部分であり、言い換えれば、外周縁部16の下面164との境界部分である。
【0041】
第1実施形態の運搬用容器9では、主体部17の下面174のうち最も低い部分の高さは、外周縁部16の下面164の高さと一致する。つまり、主体部17の下面174の中央部は、外周縁部16の下面164と比較して、3mmほど高く位置する。主体部17の下面174の中央部は、外周縁部16の下面164と比較して、例えば2~4mmの範囲内の寸法だけ高く位置することが好ましい。
【0042】
主体部17の下面174は、下面174の中央部から離れた場所ほど下に位置するように全体が傾斜した斜面11で構成されている。斜面11は、外周縁部16の周方向の全域に向けて、その中央部から下り傾斜している。言い換えると、底壁1の下面14に含まれる斜面11は、底壁1の外周縁部16の周方向のいずれの部分に向けても下り傾斜するように、全体が凹状に湾曲形成されている。
【0043】
底壁1の下面14には、嵌合突出部6が設けられている。嵌合突出部6は、運搬用容器9を上下に段積みしたときに、下側の運搬用容器9に対して嵌合する部分である。底壁1の曲げ強度は、嵌合突出部6によって高められる。嵌合突出部6は、底壁1の下面14から下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる。
【0044】
底部リブ群65は、互いに平行である複数の第1リブ651と、互いに平行である複数の第2リブ652と、これら複数の第1リブ651及び複数の第2リブ652を囲む矩形枠状の外周リブ653と、を含む。
【0045】
複数の第1リブ651は、同一の方向に直線状に伸びている。複数の第1リブ651が伸びる方向は、長手方向D1及び短手方向D2とは異なる方向である。
【0046】
複数の第2リブ652は、同一の方向に直線状に伸びている。複数の第2リブ652が伸びる方向は、長手方向D1及び短手方向D2とは異なる方向であり、また、複数の第1リブ651が伸びる方向とは異なる方向である。
【0047】
複数の第1リブ651と複数の第2リブ652は、枠状である外周リブ653の内側の領域において、互いに交差している。複数の第1リブ651の各々は、複数の第2リブ652に含まれる1以上の第2リブ652に対して、直角に交差している。同様に、複数の第2リブ652の各々は、複数の第1リブ651に含まれる1以上の第1リブ651に対して、直角に交差している。
【0048】
図4に示されるように、嵌合突出部6の下端は、底壁1の下面14に沿った(つまり底壁1の斜面11に沿った)仮想的な凹状の湾曲面上に位置している。第1実施形態の運搬用容器9において、底壁1の下面14から嵌合突出部6が突出する寸法は、嵌合突出部6の全体に亘って均一である。
【0049】
そのため、底壁1が水平面S1の上に置かれたときに、嵌合突出部6の周縁部分は水平面S1に当接し、嵌合突出部6の他の部分は水平面S1から上に離れて位置する。嵌合突出部6と水平面S1の間の上下の距離は、下面14の中央部分に近い部分ほど大きい。湾曲した底壁1は弾性を有するので、底壁1の上に高重量の内容物が置かれたときには、底壁1が弾性変形して撓む結果として、嵌合突出部6の下端の全体が、水平面S1に当接する場合がある。この場合、運搬用容器9の安定性が高まるとともに、底壁1の上面13が平坦になることから内容物の位置ずれが抑えられる。なお、嵌合突出部6の下端の全体が水平面S1に当接せずとも(つまり、嵌合突出部6の下端が水平面S1に対して部分的に当接する場合であっても)、嵌合突出部6の下端のうち水平面S1に当接する部分の割合が増大することによって、運搬用容器9の安定性が高まるとともに、内容物の位置ずれが抑えられる。
【0050】
(口枠)
図1に示されるように、口枠2は、平面視において長方形枠状に形成されている。口枠2の上下に貫通した開口が、容器本体90の開口を構成する。
【0051】
口枠2は、長手方向D1に伸びる一対の第1直線部21と、短手方向D2に伸びる一対の第2直線部22と、を一体に有する。一対の第1直線部21は、短手方向D2に距離をあけて位置し、互いに平行である。一対の第2直線部22は、長手方向D1に距離をあけて位置し、互いに平行である。
【0052】
第1直線部21と第2直線部22は、口枠2の周方向において交互にかつ連続して位置する。長手方向D1における第1直線部21の長さは、短手方向D2における第2直線部22の長さよりも、長く設けられている。
【0053】
(複数の側壁)
複数の側壁7は、4つの側壁7である。4つの側壁7は、底壁1及び口枠2の間で起立可能に構成された一対の揺動板73と、同じく底壁1及び口枠2の間で起立可能に構成された一対の折曲板74と、で構成されている。
【0054】
一対の揺動板73は、それぞれ矩形平板状の板材で構成されている。一対の揺動板73の基端縁部が、口枠2の一対の第2直線部22に対して回転可能に連結する。一対の揺動板73のそれぞれの先端縁部は、底壁1の周縁部分に対して、該周縁部分の内側から係脱可能に係合する。
【0055】
一対の揺動板73の先端縁部が底壁1に係合した状態で、一対の揺動板73は、底壁1及び口枠2の間で起立した姿勢となる。この姿勢にある一対の揺動板73を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで、一対の揺動板73は組み立て状態から折り畳み状態に切り替わる。
【0056】
一対の折曲板74は、互いに回転可能に連結された上板741及び下板742で構成されている。一対の折曲板74の上端縁部(つまり上板741の上端縁部)が、口枠2の一対の第1直線部21に対して回転可能に連結され、一対の折曲板74のそれぞれの下端縁部(つまり下板742の下端縁部)が、底壁1の一対の軸受け部15に対して回転可能に連結される。各折曲板74において、上板741及び下板742は、内側に向けて「く」字状に折れ曲がるように構成されている。
【0057】
一対の折曲板74の各々の上板741及び下板742が上下に伸びた状態で、一対の折曲板74は、底壁1及び口枠2の間で起立した姿勢となる。この姿勢にある一対の折曲板74を「く」字状に折り曲げることで、一対の折曲板74は組み立て状態から折り畳み状態に切り替わる。
【0058】
容器本体90が折り畳まれたとき、折り畳み状態の一対の揺動板73は、折り畳み状態の一対の折曲板94の上に位置する。
【0059】
(蓋)
図1に示されるように、蓋8は、対をなす第1蓋板81及び第2蓋板82を含む。
【0060】
第1蓋板81の基端縁部は、長手方向D1に伸びる一対の第1直線部21のうち1つの第1直線部21に対して、回転可能に連結されている。第2蓋板82の基端縁部は、一対の第1直線部21のうちもう1つの第1直線部21に対して、回転可能に連結されている。
【0061】
第1蓋板81及び第2蓋板82が、容器本体90の開口を閉じる閉姿勢にあるとき、第1蓋板81及び第2蓋板82の互いの先端縁部は、上下に重なって位置する。
【0062】
第1蓋板81及び第2蓋板82が閉姿勢にあるとき、第1蓋板81の上面813と、第2蓋板82の上面823と、が短手方向D2において連続して位置し、容器本体90の開口を閉じる蓋8の上面83を構成する。
【0063】
第1蓋板81の上面813には、溝84が設けられている。第1蓋板81には、長手方向D1に距離をあけて2つの溝84が設けられている。各溝84は、第1蓋板81の外周縁部にまで連続した排水溝であり、言い換えれば、蓋8の外周縁部にまで連続した排水溝である。各溝84は、第1蓋板81の外周縁に向けて下り傾斜していることが好ましい。
【0064】
第2蓋板82の上面823においても、同様の溝84が設けられている。第2蓋板82には、長手方向D1に距離をあけて2つの溝84が設けられている。各溝84は、第2蓋板82の外周縁部にまで連続した排水溝であり、言い換えれば、蓋8の外周縁部にまで連続した排水溝である。各溝84は、第2蓋板82の外周縁に向けて下り傾斜していることが好ましい。
【0065】
(段積み状態)
図7には、第1実施形態の運搬用容器9を2つ用意し、これら2つの運搬用容器9を上下に積み重ねた段積み状態を、示している。
【0066】
ここでは、段積み状態において、相対的に下に位置する運搬用容器9を、下側の運搬用容器9Lと称し、相対的に上に位置する運搬用容器9を、上側の運搬用容器9Uと称する。上側の運搬用容器9Uは、下側の運搬用容器9Lの上に位置する。
【0067】
上側及び下側の運搬用容器9U,9Lのそれぞれにおいて、蓋8が閉姿勢にあるとき、底壁1に設けられた4つの排水孔3のそれぞれの上に、蓋8の対応する溝84が位置する。
【0068】
したがって、段積み状態では、上側の運搬用容器9Uの底壁1に設けられた4つの排水孔3のそれぞれの下方に、下側の運搬用容器9Lの蓋8の対応する溝84が位置する。上側の運搬用容器9Uの内部に浸入した水は、底壁1の外周縁部16に向けて下り傾斜した斜面10及び排水溝4を伝って、外周縁部16の上面163にまで流された後に、外周縁部16の各排水孔3を通じて下方に流れ落ち、下側の運搬用容器9Lの蓋8の対応する溝84を通じて、外部へと円滑に排出される。
【0069】
2.第2実施形態
(運搬用容器の要部)
第2実施形態の運搬用容器9について、第1実施形態の運搬用容器の図面を参照して説明する。なお、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。図中では、第2実施形態の特有の構成を示す符号を、括弧付きで示している。
【0070】
第2実施形態の運搬用容器9においては、底壁1の上面13の排水溝4の代わりに、湾曲凹状の排水用ヒケ5が形成されている。排水用ヒケ5は、嵌合突出部6に沿った形状を有する。つまり、排水用ヒケ5は、底部リブ群65に沿った形状を有する。
【0071】
排水用ヒケ5は、樹脂材料を用いた射出成形により、底壁1の下面14に上記の底部リブ群65が成形されることに伴って、底部リブ群65の上の位置において湾曲凹状に成形される。
【0072】
より詳細に述べると、排水用ヒケ5は、排水溝4の複数の第1溝451に相当する複数のヒケ部分51を含む。複数のヒケ部分51は、底部リブ群65の複数の第1リブ651の真上に位置し、複数の第1リブ651に沿った形状に成形される。更に、排水用ヒケ5は、排水溝4の複数の第2溝452に相当する複数のヒケ部分52を含む。複数のヒケ部分52は、底部リブ群65の複数の第2リブ652の真上に位置し、複数の第2リブ652に沿った形状に成形される。更に、排水用ヒケ5は、排水溝4の外周溝453に相当するヒケ部分53を含む。このヒケ部分53は、底部リブ群65の外周リブ653の真上に位置し、外周リブ653に沿った形状に成形される。
【0073】
底壁1の上面13の頂部に設けられた排水用ヒケ5の一部58は、排水用ヒケ5のうち最も上に位置する部分である。排水用ヒケ5は、排水用ヒケ5のうち最も上に位置する部分の溝底(つまり、排水用ヒケ5のうち最も上に位置する部分の下端)が、底壁1の外周縁部16の上面163よりも上に位置するように、成形されている。
【0074】
なお、射出成形によって排水用ヒケ5を狙いどおりに成形するために、底壁1の下面14から突出する嵌合突出部6の各リブ651,652,653の幅寸法は、底壁1の厚みよりも大きく設定されていることが好ましい。具体的には、嵌合突出部6の各リブ651,652,653の幅寸法は、底壁1の厚みの1.5~3倍の範囲内で設定されていることが好ましく、底壁1の厚みの2~3倍の範囲内で設定されていることが一層好ましい。
【0075】
(製造方法)
上記した第2実施形態の運搬用容器9を製造する方法(以下、単に「第2実施形態の製造方法」という。)について、説明する。
【0076】
第2実施形態の製造方法では、合成樹脂材料を用いた射出成形により、底壁1の上面13に、底壁1の外周縁部16の全体に向けて下り傾斜した斜面10を形成し、底壁1の下面14には、下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる嵌合突出部6を形成する。加えて、合成樹脂材料を用いた射出成形により、底壁1の外周縁部16には、4つの排水孔3を形成する。
【0077】
上記の射出成型の際に、底壁1の上面13のうち斜面10を含む部分に、図5等に示されるような湾曲凹状の排水用ヒケ5が成形される。排水用ヒケ5は、射出成形において合成樹脂材料が収縮する際に、嵌合突出部6が存在することに起因してその裏側で生じる凹みであり、嵌合突出部6に沿った格子状の形状を有する。第2実施形態の運搬用容器9では、この格子状の排水用ヒケ5が、4つの排水孔3に向けて水を流すための溝を構成する。
【0078】
3.変形例
上記した各実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎず、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0079】
以下、各種の変形例を列挙する。以下に列挙する変形例は、適宜に組み合わせて適用することが可能である。変形例の説明において、上記した各実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0080】
(第1変形例)
図8には、第1変形例の運搬用容器9の底壁1の断面が示されている。第1変形例では、嵌合突出部6を構成する底部リブ群65の下端が、各実施形態のように仮想的な湾曲面上に位置しているのではなく、仮想的な平坦面上に位置している。ここでの仮想的な平坦面は、底壁1が水平面S1の上に置かれたときに、水平面S1と重なる。第1変形例において、底壁1の下面14から底部リブ群65が突出する寸法は、下面14の中央部に近い部分ほど長く設けられている。第1変形例では、底部リブ群65の下端の全体が、水平面S1に当接するので、運搬用容器9の安定性が高められる。また、底壁1の強度が高められる。
【0081】
(第2変形例)
図9には、第2変形例の運搬用容器9の底壁1の断面が示されている。第2変形例では、底壁1の上面13の大部分が、1つの向きに下り傾斜する斜面10で構成されている。この変形例の斜面10は、各実施形態のように、底壁1の外周縁部16の周方向の全域に向けて下り傾斜するのではなく、外周縁部16の周方向の一部領域に向けて下り傾斜するように形成されている。底壁1の外周縁部16の周方向の一部領域は、外周縁部16の他の領域に比べて低く位置するので、この一部領域に、少なくとも1つの排水孔3が設けられることが好ましい。
【0082】
(第3変形例)
図10には、第3変形例の運搬用容器9の底壁1が示されている。第3変形例では、底壁1の上面13の排水溝4が、第1実施形態のような嵌合突出部6に沿った形状を有さず、底壁1の四隅に設けられた4つの排水孔3をつなぐX字状の形状を有している。
【0083】
詳細に述べると、排水溝4は、長方形状である底壁1の対角線上に位置する2つの排水孔3をつなぐ直線状の溝41と、底壁1の別の対角線上に位置する2つの排水孔3をつなぐ直線状の溝42と、を含む。2つの直線状の溝41,42は、主体部17の上面173のうち最も高く位置する中央部において、交差している。第3変形例では、排水溝4の一部分だけが、嵌合突出部6の上に位置するが、排水溝4の全部が嵌合突出部6の上に位置するように、排水溝4を形成することも可能である。この場合の排水溝4は、嵌合突出部6に沿った形状を有する。各溝41,42は、例えば断面U字状の溝であるが、断面円弧状、断面V字状、断面コ字状等の他の形状の溝であってもよい。
【0084】
底壁1の上面13に、排水溝4に向けて下り傾斜する傾斜面が設けられてもよい。この場合の傾斜面は、例えば、排水溝4の各溝41,42を挟んだ両側に設けられることが好ましい。
【0085】
(第4変形例)
図11には、第4変形例の運搬用容器9の底壁1の要部が示されている。第4変形例においては、底壁1の外周縁部16と起立片18がL字状をなすように交差する角部分に、内外に貫通した排水孔3が形成されている。第4変形例において、排水孔3は、底壁1の外周縁部16と起立片18に跨って形成されている。排水孔3が底壁1の上記角部分(つまり、外周縁部16と起立片18がL字状をなすように交差する角部分)の強度低下を招くことを抑えるため、排水孔3は、所定方向に長く形成された長孔であることが好ましい。ここでの所定方向は、上記の角部分が伸びる方向と交差する方向であり、より好ましくは、上記の角部分が伸びる方向と直交する方向である。
【0086】
第4変形例では、排水孔3が、底壁1の外周縁部16の各隅の部分と、起立片18と、に跨って形成されることも好ましい。
【0087】
第4変形例の構成は、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が直接起立する一般的なコンテナにおいても、適用可能である。つまり、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が起立する一般的なコンテナにおいて、底壁1の外周縁部16と側壁7がL字状をなすように交差する角部分に、内外に貫通した排水孔3が形成されてもよい。排水孔3は、底壁1の外周縁部16と側壁7に跨って形成されてもよい。排水孔3が底壁1の上記角部分(つまり、外周縁部16と側壁7がL字状をなすように交差する角部分)の強度低下を招くことを抑えるため、排水孔3は、所定方向に長く形成された長孔であることが好ましい。ここでの所定方向は、上記の角部分が伸びる方向と交差する方向であり、より好ましくは、上記の角部分が伸びる方向と直交する方向である。排水孔3が、底壁1の外周縁部16の各隅の部分と、側壁7と、に跨って形成されることも好ましい。
【0088】
(第5変形例)
図12には、第5変形例の運搬用容器9の底壁1の要部が示されている。第5変形例では、底壁1の外周縁部16から起立する起立片18に、内外に貫通した排水孔3が形成されている。第5変形例において、排水孔3は、底壁1を上下方向に貫通するのではなく、水平方向に貫通している。
【0089】
第5変形例の構成は、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が直接起立する一般的なコンテナにおいても、適用可能である。つまり、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が起立する一般的なコンテナにおいて、底壁1の外周縁部16から起立する側壁7の下端部に、内外に貫通した排水孔3が形成されてもよい。
【0090】
また、各実施形態では、底壁1の外周縁部16に4つの排水孔3が設けられているが、排水孔3の数はこれに限定されない。底壁1の外周縁部16には、少なくとも1つの排水孔3が設けられていればよい。
【0091】
(第6変形例)
図13には、第6変形例の運搬用容器9の底壁1が示されている。第6変形例において、底壁1の主体部17の上面173は、上方に膨らんだ膨出面19で構成されている。膨出面19の中央部は、平坦面195である。膨出面19は、真上を向く平坦面195が最も高く位置するように、その全体が膨らんでいる。
【0092】
膨出面19は、平面視において矩形状の外縁190を有する。外縁190は長方形状であり、一対の短辺191と、一対の長辺192とを含む。一対の短辺191は、ともに直線状であり、かつ互いに平行である。一対の長辺192は、ともに直線状であり、かつ互いに平行である。
【0093】
膨出面19の外縁190に含まれる一対の短辺191と、平面視において長方形状である底壁1の一対の短辺と、は互いに平行である。同様に、膨出面19の外縁190に含まれる一対の長辺192と、平面視において長方形状である底壁1の一対の長辺と、は互いに平行である。
【0094】
第6変形例では、上記のように膨出面19の外縁190が、底壁1の外形と近似した形状を有しているが、これに限定されず、例えば円形状、楕円形状、八角形状等の他の形状を有することも可能である。
【0095】
また、第6変形例では、中央の平坦面195が、膨出面19の外縁190と近似した形状(言い換えれば矩形状又は長方形状)を有しているが、これに限定されず、平坦面195が例えば円形状、楕円形状、八角形状等の他の形状を有することも可能である。
【0096】
膨出面19のうち中央の平坦面195を囲む部分が、平坦面195から下り傾斜した斜面10を構成している。
【0097】
第6変形例における斜面10は、互いに反対に向けて下り傾斜した一対の第1斜面101と、互いに反対に向けて下り傾斜した一対の第2斜面102と、を含む。
【0098】
一対の第1斜面101は、中央に位置する平坦面195から、一対の短辺191に向けてそれぞれ下り傾斜している。一対の第1斜面101の傾斜角度は、互いに同一である。一対の第1斜面101は、互いに同一の外形を有する。一対の第1斜面101の外形は、ともに台形状である。
【0099】
一対の第2斜面102は、中央に位置する平坦面195から、一対の長辺192に向けてそれぞれ下り傾斜している。一対の第2斜面102の傾斜角度は、互いに同一である。一対の第2斜面102は、互いに同一の外形を有する。一対の第2斜面102の外形は、ともに台形状である。
【0100】
一対の第1斜面101の傾斜角度と、一対の第2斜面102の傾斜角度と、は互いに同一である。
【0101】
また、図13に示されるような平面視において、各第1斜面101の傾斜方向(つまり長手方向D1)の寸法aと、各第2斜面102の傾斜方向(つまり短手方向D2)の寸法bと、は互いに同一である。なお、寸法aと寸法bとが互いに同一であることは必須でなく、寸法aが寸法bより小さく設けられてもよいし、寸法aが寸法bより大きく設けられてもよい。
【0102】
斜面10は、4つの凸曲面104を更に含む。凸曲面104は、これに隣接する第1斜面101と第2斜面102とをつなぐ面である。4つの凸曲面104は、互いに同一の外形を有する。各凸曲面104の外形は、ほぼ長方形状であり、互いに平行である一対の直線状の辺を含む。上記のように、第6変形例では、寸法aと寸法bとが互いに同一であり、かつ一対の第1斜面101の傾斜角度と一対の第2斜面102の傾斜角度とが互いに同一であるから、隣接する第1斜面101と第2斜面102とは凸曲面104を介して滑らかにつながる。
【0103】
上記の斜面10において、一対の第1斜面101と、一対の第2斜面102と、は4つの凸曲面104を介して交互に連続している。平坦面195を囲む周方向において互いに隣接して位置する第1斜面101と第2斜面102とは、4つの凸曲面104のうち対応する1つの凸曲面104を介して、滑らかに連続している。なお、斜面10において凸曲面104は必須ではなく、凸曲面104を介さずに第1斜面101と第2斜面102とが連続することもあり得る。
【0104】
第6変形例では、外周縁部16の上面163のうち、底壁1に設けられた一対の突段部12と隣接する部分が、平坦面168で構成されている。一対の突段部12は、一対の揺動板73が係合する部分であり、底壁1の長手方向D1の両端部に設けられている。外周縁部16の上面163のうち突段部12と隣接する部分は、言い換えれば、底壁1の短辺と斜面10との間の部分である。一対の揺動板73のそれぞれの先端縁部は、一対の突段部12のうち対応する1つの突段部12に対して、内側から係脱可能に係合する。
【0105】
第6変形例では、底壁1の一対の突段部12に対して、長手方向D2における内側の位置にそれぞれ平坦面168が設けられているので、一対の揺動板73を回転させたときに、各揺動板73の先端縁部が底壁1と干渉することが避けられる。
【0106】
第6変形例では、斜面10の下端縁部が、平坦面168に対して滑らかにつながる湾曲面194で構成されている。凹曲面状である湾曲面194を介して、斜面10と平坦面168とは円滑に連続している。斜面10の上端縁部は、平坦面195に対して滑らかにつながる湾曲面196で構成されている。湾曲面196は、平坦面195を全周にわたって囲むように、環状に形成されている。凸曲面状である湾曲面196を介して、斜面10と平坦面195とは円滑に連続している。
【0107】
第1斜面101の傾斜方向(つまり長手方向D1)において、平坦面195の寸法は、第1斜面101の寸法aよりも長く、かつ平坦面168の寸法よりも長い。第1斜面101の傾斜方向における平坦面168の寸法は、第1斜面101の寸法aよりも短い。上記の寸法設定により、第1斜面101は比較的大きな傾斜角度を有する。
【0108】
なお、平坦面168が設けられる部分は上記に限定されず、例えば、外周縁部16の上面163のうち、底壁1に設けられた一対の軸受け部15と隣接する部分(言い換えれば、底壁1の長辺と斜面10との間の部分)に、平坦面168が設けられてもよい。
【0109】
第6変形例では、底壁1に排水溝4や排水用ヒケ5が設けられていないが、底壁1の上面13に、排水溝4と排水用ヒケ5の少なくとも一方が設けられてもよい。
【0110】
第6変形例では、図4等に示された第1実施形態と同様に、底壁1が備える嵌合突出部6(図13では不図示)の突出寸法が、全体にわたって均一であることが好ましい。この場合、底壁1が水平面上に置かれたときに、嵌合突出部6の周縁部分は当該水平面に当接し、嵌合突出部6のうち平坦面195の下方に位置する中央部分においては、当該水平面との間で隙間が形成される。
【0111】
また、図8に示された第1変形例と同様に、底壁1が備える嵌合突出部6の下端が、仮想的な平坦面上に位置することも好ましい。この場合には、嵌合突出部6の周縁部分と比較して、嵌合突出部6のうち平坦面195の下方に位置する中央部分においては上下の寸法が長くなる。そのため、底壁1の中央部には大きなヒケが生じやすく、第2実施形態のような排水用ヒケ5を形成する場合には、平坦面195において排水用ヒケ5を比較的深く形成することができる。
【0112】
(第7変形例)
図14には、第7変形例の運搬用容器9の底壁1の要部断面が示されている。第7変形例において、外周縁部16の上面163には、底壁1の斜面10から離れた部分ほど上に位置するように上り傾斜した傾斜面169が、設けられている。傾斜面169は、外周縁部16の周方向の全域に段部を形成するように設けられてもよいし、外周縁部16の周方向の一部にだけ段部を形成するように設けられてもよい。
【0113】
第7変形例では、底壁1の上面13において、斜面10とこれの外側に位置する傾斜面169との間に平坦面167が設けられているが、平坦面167が設けられず、斜面10と傾斜面169とが連続してもよい。この場合、斜面10と傾斜面169との境界線の部分が、底壁1の上面13のうち最も低い部分となる。
【0114】
(他の変形例)
各実施形態では、外周縁部16の角部165に排水孔3が設けられているが、外周縁部16のうち排水孔3が設けられる部分はこれに限定されず、外周縁部16のうち角部165を除いた部分に排水孔3が設けられてもよい。また、排水孔3が、底壁1の一対の軸受け部15の両方又は一方に設けられてもよい。この場合の排水孔3は、軸受け部15の長手方向D1の両端部又は一端部に設けられることが好ましい。排水孔3は、凹部と凸部を有する軸受け部15のうち、1つ又は複数の凹部の底面に設けられることが好ましく、また、軸受け部15の長手方向D1の両端部又は一端部に位置する凹部の底面に設けられることが好ましい。
【0115】
各実施形態では、容器本体90が折り畳み可能であるが、これに限定されず、例えば、複数の側壁7の全部又は一部が底壁1に固定されていてもよく、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が起立する一般的なコンテナであってもよい。
【0116】
各実施形態では、排水孔3は、底壁1において起立片18から水平方向に距離をあけた位置に設けられているが、各隅の排水孔3が、起立片18との間に距離をあけずに設けられてもよい。この場合、底壁1の各隅において、排水孔3と起立片18の間に平坦面が形成されない。
【0117】
これは、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が直接起立する一般的なコンテナにおいても、同様である。つまり、底壁1の外周縁部16から4つの側壁7が起立する一般的なコンテナにおいて、各隅の排水孔3が、隣接する側壁7から水平方向に距離をあけた位置に設けられてもよいし、隣接する側壁7との間に距離をあけずに設けられてもよい。各隅の排水孔3が、底壁1の三面交点を含む部分に設けられることも好ましい。ここでの三面交点は、平面視においてL字状に交差する2つの側壁7の各々の内側面と、底壁1の上面13と、が交差する点である。
【0118】
各実施形態では、容器本体90に蓋8が回転可能に連結されているが、これに限定されず、容器本体90に対して蓋8が着脱可能に載せられるものでもよい。また、各実施形態では、第1蓋板81及び第2蓋板82で蓋8が構成されているが、これに限定されず、蓋8が一枚の蓋板で構成されてもよい。運搬用容器9が、蓋8を備えないことも有り得る。
【0119】
各実施形態では、主体部17の上面173が凸状に湾曲しているのに対して外周縁部16の上面163は平坦に設けられているが、これに限定されず、主体部17の上面173から外周縁部16の上面163に至るまでの全体(つまり、底壁1の上面13の全体)が凸状に湾曲してもよい。
【0120】
第1実施形態では底壁1の上面13に排水溝4が設けられ、第2実施形態では底壁1の上面13に排水用ヒケ5が設けられているが、これに限定されず、底壁1の上面13に、排水溝4と排水用ヒケ5の両方が設けられてもよい。
【0121】
4.まとめ
上記の各実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係る運搬用容器9は、底壁1と、底壁1から起立する複数の側壁7と、を備える。底壁1の上面13は、底壁1の外周縁部16の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面10を含む。底壁1の下面14には、下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる嵌合突出部6が設けられている。底壁1の外周縁部16には、内外に貫通する排水孔3が設けられている。底壁1の上面13には、排水孔3に向けて水を流すための排水溝4が設けられている。排水溝4の少なくとも一部が、嵌合突出部6の上に位置する。
【0122】
この態様によれば、運搬用容器9の内部に浸入した水は、底壁1の斜面10及び排水溝4を伝って底壁1の外周縁部16に流され、排水孔3を通じて外部へと円滑に排出される。そのため、運搬用容器9の底壁1の上面13の水が抜けやすい。
【0123】
本開示の第2態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、排水溝4の一部48は、底壁1の上面13の中央部に設けられ、排水溝4の一部48の下端は、底壁1の外周縁部16よりも上に位置する。
【0124】
この態様によれば、運搬用容器9の内部に浸入した水が、底壁1の排水溝4で滞留することが抑えられる。運搬用容器9の内部に浸入した水は、排水溝4を伝って、底壁1の外周縁部16に円滑に流される。
【0125】
本開示の第3態様に係る運搬用容器9は、合成樹脂材料を用いた射出成形により形成された底壁1と、底壁1から起立する複数の側壁7と、を備える。底壁1の上面13は、底壁1の外周縁部16の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面10を含む。底壁1の下面14には、下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる嵌合突出部6が設けられている。底壁1の外周縁部16には、内外に貫通する排水孔3が設けられている。底壁1の上面13には、嵌合突出部6に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケ5が設けられている。
【0126】
この態様によれば、運搬用容器9の内部に浸入した水は、底壁1の斜面10及び排水用ヒケ5を伝って底壁1の外周縁部16に流され、排水孔3を通じて外部へと円滑に排出される。そのため、運搬用容器9の底壁1の上面13の水が抜けやすい。
【0127】
本開示の第4態様に係る運搬用容器9では、第3態様に加えて、排水用ヒケ5の一部58は、底壁1の上面13の中央部に設けられている。排水用ヒケ5の一部58の下端は、底壁1の外周縁部16よりも上に位置する。
【0128】
この態様によれば、運搬用容器9の内部に浸入した水が、底壁1の排水用ヒケ5で滞留することが抑えられる。運搬用容器9の内部に浸入した水は、排水用ヒケ5を伝って、底壁1の外周縁部16に円滑に流される。
【0129】
本開示の第5態様に係る運搬用容器9では、第1態様から第4態様のいずれか1つに加えて、複数の側壁7に支持される蓋8を、更に備える。蓋8の上面83には、蓋8の外周縁部にまで連続した溝84が設けられている。運搬用容器9を段積みしたときに、上側の運搬用容器9Uが備える底壁1の排水孔3の下方に、下側の運搬用容器9Lが備える蓋8の溝84が位置する。
【0130】
この態様によれば、上側の運搬用容器9Uの内部に浸入した水は、上側の運搬用容器9Uが備える底壁1の外周縁部16に流され、排水孔3を通じて下方に排出される。ここで排出された水は、下側の運搬用容器9Lが備える蓋8の溝84を通じて、外部へと円滑に排出される。下側の運搬用容器9Lの内部に水が浸入したときは、下側の運搬用容器9Lが備える底壁1の外周縁部16に流され、排水孔3を通じて外部へと円滑に排出される。そのため、上側及び下側の運搬用容器9U,9Lの両方において内部の水が抜けやすくなる。
【0131】
本開示の第6態様に係る運搬用容器9の製造方法は、底壁1を備える運搬用容器9を製造する方法である。この方法では、合成樹脂材料を用いた射出成形により、底壁1の上面13に、底壁1の外周縁部16の全体又は一部に向けて下り傾斜した斜面10を形成し、底壁1の下面14に、下方に突出した格子状の底部リブ群65からなる嵌合突出部6を形成し、底壁1の外周縁部16に、内外に貫通する排水孔3を形成し、底壁1の上面13には、嵌合突出部6に沿った形状を有する湾曲凹状の排水用ヒケ5を形成する。
【0132】
この態様によれば、上記の製造方法で製造された運搬用容器9の内部に浸入した水は、底壁1の斜面10及び排水用ヒケ5を伝って底壁1の外周縁部16に流され、排水孔3を通じて外部へと円滑に排出される。そのため、運搬用容器9の底壁1の上面13の水が抜けやすい。
【符号の説明】
【0133】
1 底壁
10 斜面
16 外周縁部
3 排水孔
4 排水溝
48 一部
5 排水用ヒケ
58 一部
6 嵌合突出部
65 底部リブ群
7 側壁
8 蓋
83 上面
84 溝
9 運搬用容器
9U 上側の運搬用容器
9L 下側の運搬用容器
図1
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