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特開2024-171312拍動情報伝達装置及び拍動情報伝達プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171312
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】拍動情報伝達装置及び拍動情報伝達プログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/0245 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 5/0255 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61B5/0245 100
A61B5/0255 Q
A61B5/0255 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024044882
(22)【出願日】2024-03-21
(31)【優先権主張番号】P 2023088095
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】菅原 孝
【テーマコード(参考)】
4C017
【Fターム(参考)】
4C017AA10
4C017AB02
4C017BC11
4C017CC01
4C017CC06
4C017DD17
4C017FF30
(57)【要約】
【課題】心臓の拍動に基づく拍動信号HBSを用いて心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達する。
【解決手段】拍動情報伝達装置は、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSを取得する拍動信号取得部51と、拍動信号HBSを所定の減衰率で減衰させながら遅延時間毎に繰り返した複数の遅延信号DLSを生成する遅延信号生成部53と、拍動信号取得部51が取得し且つ遅延信号生成部53を迂回した拍動信号HBSに、遅延信号生成部53から出力された複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSを生成する加算回路54と、加算回路54から出力される拍動発光信号HBLSに基づいて発光するように構成された発光モジュールと、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓の拍動に基づく拍動信号を取得する拍動信号取得部と、
前記拍動信号を所定の減衰率で減衰させながら遅延時間毎に繰り返した複数の遅延信号を生成する遅延信号生成部と、
前記拍動信号取得部が取得し且つ前記遅延信号生成部を迂回した前記拍動信号に、前記遅延信号生成部から出力された前記複数の遅延信号を加算した拍動出力信号を生成する加算回路と、
前記加算回路から出力される前記拍動出力信号に基づいて発光するように構成された発光モジュールと、
を備える拍動情報伝達装置。
【請求項2】
前記遅延信号生成部は、
入力された前記拍動信号を前記遅延時間だけ遅らせた前記遅延信号を生成する遅延回路と、
前記遅延回路から出力された前記遅延信号を、前記減衰率で減衰させる減衰器と、を有し、
前記減衰器で減衰された前記遅延信号は、前記遅延回路に入力される
請求項1記載の拍動情報伝達装置。
【請求項3】
前記心臓の心拍数に基づいて前記減衰率を制御する減衰率制御部を更に備える請求項1又は2に記載の拍動情報伝達装置。
【請求項4】
前記拍動信号から音声又は振動を出力するように構成された出力部を更に備える請求項1に記載の拍動情報伝達装置。
【請求項5】
前記加算回路から出力される前記拍動出力信号に基づいて振動するように構成された振動モジュールを更に備える請求項1に記載の拍動情報伝達装置。
【請求項6】
コンピュータに、
心臓の拍動に基づく拍動信号を取得するステップ、
前記拍動信号を所定の減衰率で減衰させながら遅延時間毎に繰り返した複数の遅延信号を生成するステップ、及び
前記遅延信号を生成するステップを迂回した前記拍動信号に、前記複数の遅延信号を加算した拍動出力信号を生成するステップ、
を実行させるための拍動情報伝達プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、拍動情報伝達装置及び拍動情報伝達プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、合成音声を音響的に出力すると同時に、合成音声の意味内容に依存する光信号を放出し、音声の理解を視覚的にサポートするコミュニケーション装置が記載されている。
【0003】
一方、近年、心臓の拍動、触覚及び体温などの様々な生体情報を用いたコミュニケーションが研究されている。心臓の拍動の伝達に着目すると、心臓の拍動により発生する音(鼓動)、心臓の拍動により発生する起電力(心電図)及び脈波などの検出信号を、光の明滅として視覚的に表現及び伝達する技術が研究されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2009-500679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、鼓動、心電図及び脈波などの検出信号をそのまま光信号に変換した場合、光の明滅が瞬間的なパルス状となるため、心臓の鼓動感を表現及び伝達することが困難であった。
【0006】
本開示の目的は、心臓の拍動に基づく拍動信号を用いて心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達することができる拍動情報伝達装置及び拍動情報伝達プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の実施形態の一態様は、心臓の拍動に基づく拍動信号を取得する拍動信号取得部と、拍動信号を所定の減衰率で減衰させながら遅延時間毎に繰り返した複数の遅延信号を生成する遅延信号生成部と、拍動検出部が取得し且つ遅延信号生成部を迂回した拍動信号に、遅延信号生成部から出力された複数の遅延信号を加算した拍動出力信号を生成する加算回路と、加算回路から出力される拍動出力信号に基づいて発光するように構成された発光モジュールと、を備える拍動情報伝達装置である。
【0008】
本開示の実施形態の他の一態様は、コンピュータに、心臓の拍動に基づく拍動信号を取得するステップ、拍動信号を所定の減衰率で減衰させながら遅延時間毎に繰り返した複数の遅延信号を生成するステップ、及び遅延信号を生成するステップを迂回した拍動信号に、複数の遅延信号を加算した拍動出力信号を生成するステップを実行させるための拍動情報伝達プログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、心臓の拍動に基づく拍動信号を用いて心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達することができる拍動情報伝達装置及び拍動情報伝達プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る拍動情報伝達装置2A及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を示すブロック図である。
図2図2は、図1のマイコン212Aの機能ブロック図である。
図3図3は、拍動発光信号HBLSの一例を示すグラフである。
図4A図4Aは、減衰率が、拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが十分に減衰する値に設定されている場合の拍動発光信号HBLSを示すグラフである。
図4B図4Bは、減衰率が、拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが十分に減衰する値よりも大きい値に設定されている場合の拍動発光信号HBLSを示すグラフである。
図5図5は、拍動信号HBSと拍動信号HBSを用いて生成された拍動発光信号HBLSの時間変化の一例を示すグラフである。
図6図6は、第2の実施形態に係るマイコン212Bの機能ブロック図である。
図7図7は、第3の実施形態に係る拍動情報伝達装置2B及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を示すブロック図である。
図8図8は、図7のマイコン212Cの機能ブロック図である。
図9図9は、拍動情報伝達プログラムによりマイコン212Aが実行する拍動情報伝達方法の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第5の実施形態に係る拍動情報伝達装置2C及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を示すブロック図である。
図11図11は、第6の実施形態に係る拍動情報伝達装置2D及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を示すブロック図である。
図12図12は、第7の実施形態に係る拍動情報伝達装置2E、拍動検出装置1及び出力デバイス4Aを含む拍動情報伝達システム100の構成を示すブロック図である。
図13図13は、第7の実施形態に係る出力デバイス4Aの構成を示すブロック図である。
図14図14は、第7の実施形態に係る出力デバイス4Aの外観図である。
図15図15は、第7の実施形態に係る出力デバイス4Bの外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、複数の実施形態について、添付図面を参照して説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付する。
【0012】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
図1を参照して、第1の実施形態に係る拍動情報伝達装置2A及び拍動情報伝達装置2Aを含む拍動情報伝達システム100の構成を説明する。拍動情報伝達システム100は、心臓の拍動に基づく拍動信号を検出する拍動検出装置1と、拍動検出装置1により検出された拍動信号を用いて心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達する拍動情報伝達装置2Aとを備える。
【0014】
「心臓の拍動」とは、心臓が周期的に収縮と弛緩を繰り返す運動を示す。心臓の拍動により血液が送り出される。単位時間あたりに心臓が拍動する回数を心拍数という。「心臓の拍動に基づく拍動信号」には、心臓の拍動により発生する音である鼓動、心臓の拍動により発生する微弱な起電力、及び動脈の拍動である脈拍などを検出した電気信号が含まれる。さらに「拍動信号」には、胸部に取り付けた心電センサによる心電信号、手首などに取り付けられた光センサによる血流(ヘモグロビン)の変化を計測した脈波信号が含まれる。心臓の拍動は「心拍」とも呼ばれる。鼓動は心拍音とも呼ばれる。微弱な起電力の時間変化をグラフにしたものが心電図に相当する。
【0015】
拍動検出装置1には、胸部に取り付けた心電センサ、手首などに取り付けられた光学式の脈波センサなど、鼓動、微弱な起電力及び脈拍などの電気信号からなる拍動信号を検出する全ての装置が含まれる。例えば、拍動検出装置1は、心臓又は動脈から発生する可聴域の振動を検出する聴診器と、検出した振動を電気信号に変換するマイクとを備えていてもよい。聴診器を用いず、マイクが可聴域の振動を直接検出してもよい。
【0016】
拍動検出装置1により検出された拍動信号は、通信手段3Aを介して、拍動情報伝達装置2Aへ送信される。通信手段3Aには、拍動信号を有線又は無線にて拍動情報伝達装置2Aへ送信するための全ての通信設備及び通信機器が含まれる。通信手段3Aは、ケーブル、ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)、ワイファイ(Wi-Fi:登録商標)及びインターネットの少なくとも1つを介して、拍動検出装置1と拍動情報伝達装置2Aとを接続する。通信手段3Aは、パソコン、スマートフォンなどの通信端末や各種サーバーの間を有線や無線でつなぎ、情報の伝送を行うための通信設備であるコンピュータネットワークであってもよい。通信手段3Aによれば、拍動検出装置1と拍動情報伝達装置2Aとを個別の装置として構成することができる。
【0017】
拍動情報伝達装置2Aは、信号処理部21と、発光モジュール22とを有する。
【0018】
信号処理部21は、拍動検出装置1から通信手段3Aを介して受信した拍動信号を処理することにより、心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達する拍動出力信号としての拍動発光信号を生成及び出力する。例えば、信号処理部21は、A/D変換回路211と、マイコン212Aと、D/A変換回路213とを有する。A/D変換回路211は、通信手段3Aを介して受信した拍動信号(アナログ信号)をデジタル信号へ変換する。マイコン212Aは、デジタル信号である拍動信号を処理して拍動発光信号を生成する。D/A変換回路213は、デジタル信号である拍動発光信号をアナログ信号へ変換する。信号処理部21は、アナログ信号である拍動発光信号を出力する。A/D変換回路211、マイコン212A、及びD/A変換回路213は、例えば、プリント基板上に搭載された電子部品にて実現可能である。A/D変換回路211及びD/A変換回路213は、既知の回路技術を用いて実現可能である。尚、A/D変換回路211は通信手段3Aにて拍動信号がデジタル伝送される場合は機能的に省略可能である。
【0019】
マイコン212Aは、CPU(中央処理装置)、メモリ、及び入出力ポートを備える汎用のマイクロコントローラである。後述するコンピュータプログラム(拍動情報伝達プログラム)をマイコン212Aにインストールして実行する。これにより、マイコン212Aは、図2を参照して後述する複数の情報処理手段53、54として機能する。ここでは、ソフトウェアによって拍動情報伝達装置2Aの一部を実現する例を示すが、もちろん、各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、複数の情報処理手段53、54を構成することも可能である。専用のハードウェアには、DSP(デジタルシグナルプロセッサ)など特定用途向け集積回路(ASIC)や従来型の回路部品のような装置が含まれる。
【0020】
発光モジュール22は、信号処理部21から出力された拍動発光信号に基づいて発光する発光部222と、発光部222を駆動する光駆動回路221とを有する。発光部222は、拍動発光信号の強度に応じて輝度を変化させることができれば、特に問わない。例えば、白熱電球、発光ダイオード(LED)、垂直共振器型面発光レーザ(VCSEL)など、既知の発光体と拡散レンズなどを組み合わせて実施可能である。光駆動回路221は、拍動発光信号の強度に応じて発光部222から射出される光の輝度を変化させることができれば、その回路構成は問わない。
【0021】
図2は、マイコン212Aの機能ブロック図である。図2に示すように、マイコン212Aは、拍動信号取得部の一例である入力ポート51と、遅延信号生成部53と、加算回路54とを少なくとも備える。遅延信号生成部53及び加算回路54は、前記した拍動情報伝達プログラムにより実現可能な情報処理手段の例である。
【0022】
図2及び図3に示すように、マイコン212Aは、入力ポート51から、拍動信号HBSを取得する。遅延信号生成部53は、拍動信号HBSを減衰率で減衰させながら遅延時間DT毎に繰り返した複数の遅延信号DLS1、DLS2、DLS3、・・・、DLS10を生成する。以後、複数の遅延信号DLS1、DLS2、DLS3、・・・、DLS10を纏めて、複数の遅延信号DLSと呼ぶ。図3には、10の遅延信号DLS1、DLS2、DLS3、・・・、DLS10を例示するが、複数の遅延信号DLSの数は10に限定されない。加算回路54は、拍動信号HBSに遅延信号生成部53から出力された複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSを生成する。図1の発光モジュール22は、加算回路54から出力される拍動発光信号HBLSに基づいて発光する。加算回路54は、入力ポート51が取得し且つ遅延信号生成部53を迂回した拍動信号HBSに、複数の遅延信号DLSを加算して、拍動発光信号HBLSを生成する。マイコン212Aは、デジタル信号である拍動発光信号HBLSを出力する。
【0023】
図5は、拍動信号HBSと拍動信号HBSを用いて生成された拍動発光信号HBLSの時間変化の一例を示すグラフである。縦軸が拍動信号HBS及び拍動発光信号HBLSの信号強度を示し、横軸が時間を示す。図5に示すように、拍動信号HBSは、心臓が拍動する周期(拍動周期)HBCで、その強度が不連続又はパルス状に変化する信号である。拍動信号HBSをそのまま光信号に変換した場合、光の明滅が不連続又はパルス状となるため、心臓の鼓動感を表現及び伝達することができない。そこで、信号処理部21は、拍動信号HBSに複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSを生成する。図3の遅延時間DTを十分に短くすることにより、拍動信号HBSに複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSは、所定の減衰率で減衰する、連続する1つの光信号として視認され得る。拍動発光信号HBLSに基づいて発光モジュール22を発光させる。人間が有する残像効果によって、発光モジュール22の発光は、所定の減衰率で減衰する、連続する1つの光として視認され、心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達することができる。
【0024】
図2に戻り、遅延信号生成部53は、例えば、遅延回路531と、減衰器532とを有していてもよい。遅延回路531は、入力された拍動信号HBSを遅延時間DTだけ遅らせた遅延信号を生成する。減衰器532は、遅延回路531から出力された遅延信号を減衰率で減衰させる。減衰器532で減衰された各遅延信号DLS1~DLS9は、遅延回路531に再度入力される。遅延時間DT及び減衰率は、それぞれ予め定められた値である。これにより、拍動信号HBSを減衰率で減衰させながら遅延時間DT毎に繰り返した複数の遅延信号DLSを生成することができる。
【0025】
マイコン212Aは、入力ポート51から取得した拍動信号HBSに含まれるノイズを除去するためのローパスフィルタ52を更に有していてもよい。ローパスフィルタ52は、予め定めた周波数以上のノイズ成分を拍動信号HBSから除去する。遅延信号生成部53には、ローパスフィルタ52から出力された拍動信号HBSが入力される。
【0026】
遅延信号生成部53は、遅延回路531から出力された複数の遅延信号DLSの強度を加算回路54に入力する前に減衰させる第2の減衰器533を更に有していてもよい。第2の減衰器533によれば、複数の遅延信号DLS全体の強度を一括して低減させることができる。
【0027】
図4A及び図4Bは、減衰率が異なる2つの拍動発光信号HBLSを示すグラフである。縦軸は拍動発光信号HBLSの強度を示し、横軸は時間を示す。第1の実施形態では、図4Aに示すように、減衰率は、拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが十分に減衰する値に設定されている。これにより、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。減衰率が小さ過ぎると、心臓の次の拍動の時に遅延信号DLSが十分に減衰しないため、光の輝度の変化が小さくなり、心臓の鼓動感を表現できない。一方、減衰率が大き過ぎると、図4Bに示すように、心臓の次の拍動の時よりも前に遅延信号DLSがほぼゼロまで減衰してしまうため、光の明滅が不連続又はパルス状になり、心臓の鼓動感を表現できない。
【0028】
例えば、減衰率は、図4Aに示すように、心臓の次の拍動の時に遅延信号DLSが数%まで減衰する値に設定されていてもよい。これにより、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。
【0029】
また、遅延時間DTは、人間が有する残像効果により連続点灯として認識できる残像持続時間以下に設定されている。或いは、遅延時間DTは、人間が有する視覚の時間分解能以下に設定してもよい。以後、視覚の時間分解能と残像持続時間を纏めて、残像持続時間と表記する。これにより、遅延時間毎に繰り返される複数の遅延信号DLSは、連続する1つの光信号として視認されるので、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。
【0030】
例えば、遅延時間DTは、100ms以下である。光の強さ、色などにより残像持続時間は変化するが、人間が平均的に残像を継続して知覚する時間は100smと言われている。よって、遅延時間DTが100ms以下であれば、遅延時間DT毎に繰り返される複数の遅延信号DLSは、連続する1つの光信号として視認される。一方、遅延時間DTが短すぎると、心臓の次の拍動の時よりも前に遅延信号DLSは減衰してしまい、心臓の鼓動感を表現できない。よって、遅延時間DTの下限値は、心臓の次の拍動の時に遅延信号が数%まで減衰する値に設定される。
【0031】
図4Aは、遅延時間DTを30ms、ゲイン(増幅率)を0.9とし、心拍数が毎分60回、拍動周期HBCが1000msである場合の拍動発光信号HBLSを示す。拍動周期HBCの間に、計33回の遅延信号DLSが発生し、次の拍動の時には遅延信号DLSは十分(3%程度まで)減衰している。
【0032】
一方、図4Bは、ゲイン(増幅率)を0.7とし、その他の条件を図4Aと同じにした場合の拍動発光信号HBLSを示す。減衰率が高過ぎ、つまりゲインが低過ぎたため、拍動から300ms後には、既に遅延信号DLSは3%程度まで減衰している。これでは、光の明滅は、心拍信号と同じように不連続又はパルス状になってしまう。
【0033】
上述した第1の実施形態において、信号処理部21を拍動検出装置1内に設けてもよい。または、信号処理部21内の一部機能、例えばA/D変換回路211およびローパスフィルタ52を拍動検出装置1内に設けてもよい。または、拍動検出装置1と拍動情報伝達装置2Aとを同一の装置として構成してもよい。これらのいずれかの構成を適宜選択して用いることで、実施態様に応じてシステム内の構成を簡易化することができる。
【0034】
(第2の実施形態)
図6を参照して、第2の実施形態に係るマイコン212Bの構成を説明する。マイコン212Bは、図1に示したマイコン212Aに比べて、心拍数に基づいて減衰率を制御する減衰率制御部535を更に有する点で相違するが、その他の点では一致している。マイコン212A以外の拍動情報伝達装置2Aの構成及び拍動情報伝達システム100は、第1実施形態と一致している。
【0035】
減衰率制御部535は、心拍数から拍動周期HBCを算出し、拍動周期HBCの間に遅延信号が十分に減衰するように減衰率を制御し得る。具体的には、心拍数が高くなる(拍動周期HBCが短くなる)程、減衰率を高くする。これにより、拍動周期HBCが変化しても、拍動周期HBCの間に遅延信号が十分に減衰するように減衰率を制御することができる。よって、心拍数の高低によらず、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。
【0036】
減衰率制御部535には、拍動信号HBSが入力され、拍動周期HBCを算出する。減衰率制御部535は、予め、拍動周期HBCと減衰率との対応関係を示すデータテーブル、或いは、拍動周期HBCを変数として減衰率を求める演算機能を有している。減衰率制御部535は、データテーブルまたは演算機能を用いて、拍動周期HBCの間に遅延信号が十分に減衰する減衰率を算出することができる。
【0037】
減衰率制御部535は、心臓の拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが減衰するように減衰率を制御する。これにより、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。減衰率が小さ過ぎると、心臓の次の拍動の時に遅延信号が十分に減衰しないため、光の輝度の変化が小さくなり、心臓の鼓動感を表現できない。一方、減衰率が大き過ぎると、図4Bに示すように、心臓の次の拍動の時よりも前に遅延信号DLSがほぼゼロまで減衰してしまうため、光の明滅が不連続又はパルス状になり、心臓の鼓動感を表現できない。
【0038】
減衰率制御部535は、心臓の次の拍動の時に遅延信号が数%まで減衰するように減衰率を制御する。これにより、心臓の鼓動感を光の明滅として表現することができる。
【0039】
減衰率制御部535は、心臓の拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが減衰するように、減衰率及び遅延時間DTの一方を一定に保持し、他方を制御してもよい。あるいは、減衰率及び遅延時間の双方を同時に制御してもいい。心臓の拍動周期HBCの間に遅延信号DLSが減衰するにように、減衰率の代わりに又は減衰率に加えて遅延時間DTを制御してもよい。すなわち、減衰率制御部535は、心臓の拍動周期の間に遅延信号DLSが減衰するように、減衰率及び遅延時間の少なくともいずれか一方を制御すればよい。
【0040】
上記した減衰率制御部535は、制御動作を連続的に実施してもよいし、所定期間内の拍動周期HBCの平均値に基づいて所定期間ごとに実施してもよい。
【0041】
(第3の実施形態)
図7を参照して、第3の実施形態に係る拍動情報伝達装置2B及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を説明する。図7の拍動情報伝達システム100は、拍動情報伝達装置2Bがスピーカ23を更に有する点、及びマイコン212Cの構成が図1のマイコン212Aと相違する点を除き、図1の拍動情報伝達システム100と一致している。スピーカ23は、拍動信号HBSから振動を出力するように構成された出力部の一例である。スピーカ23は、振動板を有し、振動板を可聴域で振動させてその振動を空気等に伝える。
【0042】
スピーカ23は、拍動信号HBSから音声を出力するように構成されている。スピーカ23には、信号処理部21のD/A変換回路213から出力された拍動信号HBS(アナログ信号)が入力される。スピーカ23は、拍動信号HBSに基づく音声を出力する。スピーカ23の駆動方式及び振動板の種類などは問わず、ボイスコイルスピーカ、MEMSスピーカ等、どのような種類のスピーカ23を用いてもよい。D/A変換回路213は、2チャンネルを有し、拍動信号HBSと拍動発光信号HBLSを同時に出力する。拍動信号HBSはパルス状の信号であるが、スピーカ23から出力される音声は、心臓の鼓動感を表現及び伝達することができる。拍動検出装置1がマイクであり、可聴域の振動を直接検出する場合、拍動情報伝達装置2Bは、通信手段3Aを介して取得した拍動信号HBSを音声信号として信号処理部21を介さずにスピーカ23へ直接出力してもよい。
【0043】
図8は、図7のマイコン212Cの機能ブロック図である。マイコン212Cは、図2のマイコン212Aと比べて、ローパスフィルタ52から出力された拍動信号HBSを出力する点が相違するが、その他の点で一致している。出力された拍動信号HBS(デジタル信号)は、図7のD/A変換回路213に入力され、アナログ信号に変換された後に、スピーカ23に入力される。
【0044】
第3の実施形態によれば、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSから、光信号及び音声信号を同時に出力することができる。なお、第3の実施形態を、減衰率制御部535を有する第2の実施形態と組み合わせて実施してもよい。また、拍動情報伝達装置2Bは、スピーカ23に替えて、またはスピーカ23に加えて、振動板を振動させるバイブレーターを備えていてもよい。バイブレーターは、拍動信号HBSから振動を出力するように構成された出力部の他の例である。バイブレーターは心臓の拍動に合わせて振動板の振動を出力する。バイブレーターが備える振動板の上に利用者の手を載せるなど、利用者の人体の一部を振動板に接触させることにより、振動板の振動によって心臓の鼓動感を表現及び伝達することができる。心臓の鼓動感は、空気の振動である音声のみならず、振動板自体の振動によっても表現及び伝達することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
第4の実施形態では、図9を参照して、マイコン212Aにインストールされ、実行されるコンピュータプログラム(拍動情報伝達プログラム)の実施例を説明する。図9は、拍動情報伝達プログラムによりマイコン212Aが実行する拍動情報伝達方法の一例を示すフローチャートである。
【0046】
拍動情報伝達プログラムは、コンピュータの一例であるマイコン212A、212Cを、拍動信号取得部の一例である入力ポート51、遅延信号生成部53、及び加算回路54として機能させるコンピュータプログラムである。図9に示すように、先ずステップS1において、入力ポート51は、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSを取得する。ステップS2に進み、遅延信号生成部53は、拍動信号HBSを減衰率で減衰させながら遅延時間DT毎に繰り返した複数の遅延信号DLSを生成する。ステップS3に進み、加算回路54は、入力ポート51が取得し且つ遅延信号生成部53を迂回した拍動信号HBSに、遅延信号生成部53から出力された複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSを生成する。最後に、ステップS4において、マイコン212Aは、出力ポートから発光モジュール22へ拍動発光信号HBLSを出力する。
【0047】
遅延時間DTを十分に短くすることにより、拍動信号HBSに複数の遅延信号DLSを加算した拍動発光信号HBLSは、所定の減衰率で減衰する、連続する1つの光信号として視認され得る。よって、拍動情報伝達プログラムによれば、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSを用いて心臓の鼓動感を光の明滅で表現及び伝達するための拍動発光信号HBLSを生成することができる。
【0048】
(第5の実施形態)
図10を参照して、第5の実施形態に係る拍動情報伝達装置2C及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を説明する。図10の拍動情報伝達システム100は、拍動情報伝達装置2Cが信号記憶部24を更に有する点、信号処理部21が記憶制御部214および読出部215を有する点を除き、図1の拍動情報伝達システム100と一致している。記憶制御部214は、マイコン212Aが生成した拍動発光信号HBLSを信号記憶部24に記憶させる。読出部215は、任意のタイミング、例えば利用者により指定されたタイミングで、信号記憶部24に記憶された拍動発光信号HBLSを読み出して、D/A変換回路213に送出する。
【0049】
第5の実施形態によれば、マイコン212Aが生成した拍動発光信号HBLSを記憶させる信号記憶部24を設けることで、拍動検出装置1が拍動を検出したタイミングとは異なる任意のタイミングで、拍動から生成された拍動発光信号HBLSに基づいて発光モジュール22を発光させることができる。
【0050】
本実施形態において、信号記憶部24に記憶する信号は、拍動発光信号HBLSに限らず、入力ポート51から取得した拍動信号HBS、またはローパスフィルタ52から出力された拍動信号HBSであってもよい。信号処理部21は、記憶された拍動信号HBSを任意のタイミング、例えば利用者により指定されたタイミングで読み出し、拍動発光信号HBLSを生成して出力してもよい。信号記憶部24に拍動発光信号HBLSを記憶する場合は、拍動信号HBSを記憶する場合に比べて、記憶した信号を利用者の指定等により読み出したときに拍動発光信号HBLSを生成する処理を必要とせず、読み出し時の処理を簡易にすることができる点で好ましい。
【0051】
(第6の実施形態)
上述した第3の実施形態では、信号処理部21が、拍動信号HBSによって振動板を振動させる場合の例を記載したが、第6の実施形態では、拍動発光信号HBLSと同様に遅延信号加算処理を行った拍動振動信号HBVSによって振動モジュールを振動させる場合について説明する。
【0052】
図11を参照して、第6の実施形態に係る拍動情報伝達装置2D及び拍動検出装置1を含む拍動情報伝達システム100の構成を説明する。図11の拍動情報伝達システム100は、図1に示した拍動情報伝達装置2Aに比べて、信号処理部21内のマイコン212Dが、デジタル信号である拍動信号を処理して拍動出力信号としての拍動振動信号HBVSを生成する点、および信号処理部21に通信可能に接続されたモジュールが振動モジュール25である点で相違するが、その他の点では一致している。
【0053】
マイコン212Dは、図2に示すように、マイコン212Aと同様に複数の遅延信号DLSを生成し、生成した遅延信号DLSを拍動信号HBSに加算した拍動振動信号HBVSを生成する。
【0054】
振動モジュール25は、信号処理部21から出力された拍動振動信号HBVSに基づいて振動する振動部252と、振動部252を駆動する振動駆動回路251とを有する。振動部252としては、例えば電磁駆動により錘を振動させるハプテックデバイス、圧電駆動型のデバイス、または静電駆動型のデバイス等を用いて構成することができるが、振動とエネルギーとのバランスを考慮するとハプテックデバイスが好ましい。また振動部252としては、他にも拍動振動信号HBVSで示される強度で振動するように振動モジュール25の振幅を調整させることができれば、その回路構成は問わない。
【0055】
第6の実施形態によれば、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSから出力する振動信号により、心臓の鼓動感を振動で表現及び伝達することができる。
【0056】
(第7の実施形態)
図12および図13を参照して、第7の実施形態に係る拍動情報伝達装置2E、拍動検出装置1、及び出力デバイス4Aを含む拍動情報伝達システム100の構成を説明する。図12の拍動情報伝達システム100は、図1に示した拍動情報伝達装置2Aに比べて、発光モジュール22等の出力モジュールを、拍動情報伝達装置2Eと別媒体である出力デバイス4A内に設ける点で異なっている。
【0057】
本実施形態による拍動情報伝達装置2Eは、信号処理部21を有する。信号処理部21内のマイコン212Eは、デジタル信号である拍動信号を処理して拍動出力信号としての拍動発光信号HBLSおよび拍動振動信号HBVSを生成する。マイコン212Eは、拍動発光信号HBLSおよび拍動振動信号HBVSとして共有する1種類の信号を生成してもよいし、それぞれ異なる信号を生成してもよい。信号処理部21で生成された信号は、通信手段3Aを介して、出力デバイス4Aに送信される。
【0058】
出力デバイス4Aは、図13に示すように、所定形状の本体部40A内に、出力モジュールとして発光モジュール22、スピーカ23、振動モジュール25、および発熱モジュール41を有し、この他に信号取得部42、バッテリー43、および放熱シート44を有する。信号取得部42は、拍動情報伝達装置2Eから送信された信号を取得する。
【0059】
発光モジュール22の発光部222を2つのLED(Light Emitting Diode)で構成し、光駆動回路221が、これらの2つのLEDの各極性をバッテリー43のプラス極とマイナス極とに対して逆に並列接続させて発光させてもよい。このように発光部222を2つのLEDで構成することで、より高い明度で発光させることができる。
【0060】
発熱モジュール41は、例えばペルチェ素子を用いて構成され、信号処理部21から拍動発光信号または拍動振動信号を取得すると、本体部40Aの表面が一般的な人体の体温と同等の温度になるように発熱する。また発熱モジュール41は、本体部40Aの表面が、体温計(図示せず)で計測され拍動検出対象者の体温と同等の温度になるように発熱してもよい。バッテリー43は、発光モジュール22、スピーカ23、振動モジュール25、発熱モジュール41、および信号取得部42に電力を供給する。放熱シート44は、本体部40A内の熱伝導率を向上させて発熱モジュール41による発熱を効率良く本体部40Aの表面に伝導させる。
【0061】
図14は、出力デバイス4Aの外観図である。出力デバイス4Aは携帯型のデバイスであり、本体部40Aが、樹脂を用いて人の手のひら内に収まる大きさでハート型に形成されている。この本体部40A内に、発光モジュール22に加えてスピーカ23、振動モジュール25、発熱モジュール41、信号取得部42、バッテリー43、および放熱シート44が設けられている。
【0062】
出力デバイス4Aでは、拍動情報伝達装置2Eから送信される信号に基づいて、発光モジュール22が発光し、スピーカ23が音声を出力し、振動モジュール25が振動し、発熱モジュール41が発熱する。
【0063】
第7の実施形態によれば、心臓の拍動に基づく拍動信号HBSから、心臓の鼓動感を表現した光信号及び振動信号と音声信号とを、携帯型の出力デバイス4Aから同時に出力することができる。またこの出力デバイス4Aでは、心臓の鼓動感を表現した信号が出力されているときに、本体部40Aの表面を人体の体温と同等の温度にして、拍動情報伝達装置2Eから離れた場所で出力デバイス4Aを持っている利用者に、よりリアルに心臓の鼓動感を認識させることができる。
【0064】
本実施形態において、出力デバイス4Aには、発光モジュール22、スピーカ23、振動モジュール25、および発熱モジュール41のうち、少なくともいずれか1つが設けられていればよい。
【0065】
また本実施形態において、拍動検出装置1をマイクで構成して拍動信号HBSを取得するかまたは、センサ等で構成された拍動検出装置1とは別に、マイクをさらに設けてもよい。このようにマイクを用いる場合には、拍動検出対象者等から発せられる音声も含めて収音し、収音した音声を、拍動情報伝達装置2Eを介してスピーカ23から出力させてもよい。このとき拍動情報伝達装置2Eは、音声として出力させる信号に対してはローパスフィルタを設けないかまたは、ローパスフィルタのカットオフ周波数を拍動信号の処理の場合よりも高く設定してもよい。このように設定することで、音声を高い精度で出力させることができる。
【0066】
また、上述したようにマイクを用いて取得した拍動信号HBSを分岐させて、一方の信号はローパスフィルタでノイズ成分を除去して拍動発光信号HBLSの生成に用い、他方の信号はローパスフィルタを介さずに拍動信号HBSを音声としてスピーカ23から出力させてもよい。
【0067】
また、出力デバイス4A内のスピーカ23と振動モジュール25とを一体化して、骨伝導スピーカを設置してもよい。このように骨伝導スピーカを用いて拍動情報伝達システム100を構成することで、出力デバイス4Aの利用者に、よりリアルに心臓の鼓動感を認識させることができる。
【0068】
鼓動から生成した拍動出力信号を出力するデバイスとして、図15に示すような人型の外観に形成された本体部40Bを有する出力デバイス4Bを用いてもよい。出力デバイス4Bは、出力モジュールとして発光モジュール22およびスピーカ23を有し、この他に信号取得部42およびバッテリー43を有し、拍動出力信号に基づいて発光モジュール22を発光させ、またスピーカ23から音声を出力させる。
【0069】
また、鼓動から生成した拍動出力信号を出力するデバイスとして、表示部およびスピーカを備えたスマートデバイス等の情報処理装置を用いてもよい。情報処理装置は、表示部に発光モジュールとして例えばアバター画像を表示させ、拍動出力信号に基づいてアバター画像内を発光させ、スピーカから音声を出力させる。
【0070】
本発明は以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。ブルートゥース(Bluetooth:登録商標)、ワイファイ(Wi-Fi:登録商標)及びインターネットの少なくともいずれか1つを用いて、拍動検出装置と拍動情報伝達装置との間、拍動情報伝達装置と出力デバイスとの間、または拍動検出装置と出力デバイスとの間を無線接続してもよい。これにより、拍動検出装置を装着する利用者の心臓の拍動を、他の利用者が所持する拍動情報伝達装置または出力デバイスへ光の明滅または振動の少なくともいずれかで伝達することができる。
【0071】
拍動情報伝達装置2A~2Eは、それぞれが有する機能に相当する電子部品を備える汎用の電子機器、例えば、スマートフォン、タブレットPC、ラップトップ型PCを用いて実現可能である。通信手段3Aを介してこれらの電子機器を拍動検出装置1と無線接続し、電子機器内の信号処理部21に拍動情報伝達プログラムをインストールし実行することにより、拍動情報伝達装置2A~2E及び拍動情報伝達システム100を実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 拍動検出装置
2A~2E 拍動情報伝達装置
3A、3B 通信手段
21 信号処理部
22 発光モジュール
23 スピーカ
24 信号記憶部
25 振動モジュール
41 発熱モジュール
42 信号取得部
43 バッテリー
44 放熱シート
51 入力ポート(拍動信号取得部)
52 ローパスフィルタ
53 遅延信号生成部
53 情報処理手段
54 情報処理手段
54 加算回路
100 拍動情報伝達システム
211 A/D変換回路
212A~212E マイコン
214 記憶制御部
215 読出部
251振動駆動回路
252 振動部
531 遅延回路
532 減衰器
535 減衰率制御部
DLS、DLS1~DLS10 遅延信号
DT 遅延時間
HBC 拍動周期
HBLS 拍動発光信号
HBS 拍動信号
HBVS 拍動振動信号
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15