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特開2024-171331移動通信ネットワークの制御装置、移動通信ネットワーク及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171331
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】移動通信ネットワークの制御装置、移動通信ネットワーク及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04W 24/02 20090101AFI20241204BHJP
   H04W 92/10 20090101ALI20241204BHJP
   H04W 92/12 20090101ALI20241204BHJP
   H04W 92/14 20090101ALI20241204BHJP
   H04W 76/10 20180101ALI20241204BHJP
【FI】
H04W24/02
H04W92/10
H04W92/12
H04W92/14
H04W76/10
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024086433
(22)【出願日】2024-05-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-12-04
(31)【優先権主張番号】P 2023088029
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000208891
【氏名又は名称】KDDI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 涼太郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 宏典
(72)【発明者】
【氏名】長野 知幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智輝
(72)【発明者】
【氏名】峯木 巌
(72)【発明者】
【氏名】笠原 大資
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
(57)【要約】
【課題】第1機能及び第2機能の両方を実装する装置と、第1機能を実装するが第2機能を実装しない装置とが混在する状況において、コアネットワークを運用する。
【解決手段】基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、前記第1機能を含む第2装置と、前記第1装置を制御する第1制御装置と、を含む移動通信ネットワークにおいて前記第2装置を制御する制御装置は、ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを受信する受信手段と、前記要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する処理手段と、を備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、
前記第1機能を含む第2装置と、
前記第1装置を制御する第1制御装置と、
を含む移動通信ネットワークにおいて前記第2装置を制御する制御装置であって、
ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを受信する受信手段と、
前記要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する処理手段と、
を備えている、制御装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記要求メッセージに含まれる前記情報から前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するか否かを判定するための判定情報に基づき、前記第1処理と前記第2処理のうちのいずれか1つを実行する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第1処理を実行する場合、複数の前記第2装置から前記ベアラを経由させる第2装置を前記ユーザ装置の識別子に基づき選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記第1処理を実行する場合、複数の前記第2装置から前記ベアラを経由させる第2装置を複数の前記第2装置それぞれの処理負荷に基づき選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1処理を行う場合、前記処理手段は、前記第1制御装置及び前記第2装置それぞれと制御シグナリングを送受信し、
前記第2処理を行う場合、前記処理手段は、前記第1制御装置と制御シグナリングを送受信するが、前記第2装置とは制御シグナリングを送受信しない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
記処理手段は、前記第2処理を行う場合、前記第1制御装置に前記ベアラの設定を通知し、前記第1制御装置から当該通知に対する応答を受信すると、当該応答に含まれる情報に基づき、前記要求メッセージに対する応答を作成する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1機能は、サービングゲートウェイ(SGW)のユーザプレーン機能(SGW-U)であり、前記第2機能は、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)のユーザプレーン機能(PGW-U)であり、前記第1制御装置は、PGWの制御プレーン機能(PGW-C)を実装する装置であり、前記制御装置は、SGWの制御プレーン機能(SGW-C)を実装する装置である、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記要求メッセージに含まれる前記情報は、前記ベアラを終端する前記第2機能を判定するための情報を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記要求メッセージに含まれる前記情報は、アクセスポイント名(APN)を示す情報を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記受信手段が、ユーザ装置のハンドオーバに伴うベアラの経路変更を要求する変更要求メッセージを受信すると、前記処理手段は、当該変更要求メッセージに含まれる情報に基づき、変更後のベアラの経路において前記第2装置を経由させるか否かを判定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記変更要求メッセージに含まれる前記情報は、アクセスポイント名(APN)を示す情報、又は、前記ベアラの識別子を示す情報を含む、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
装置の1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項13】
移動通信ネットワークであって、
基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、
前記第1機能を含む第2装置と、
前記第1装置を制御する第1制御装置と、
前記第2装置を制御する第2制御装置と、
を備え、
前記第2制御装置は、ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを受信した場合、当該要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する、移動通信ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動通信ネットワークの制御構成に関する。
【背景技術】
【0002】
3GPP(登録商標)規格の移動通信ネットワークに関し、非特許文献1は、制御プレーン(CP)とユーザプレーン(UP)とを分離したCUPSアーキテクチャを開示している。
【0003】
非特許文献1によると、サービングゲートウェイ(SGW)は、制御プレーン(CP)の機能であるSGW-Cと、ユーザプレーン(UP)の機能でSGW-Uに分離され、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)は、CPの機能であるPGW-Cと、UPの機能でPGW-Uに分離されている。SGW及びPGWは、第4世代(ロングタームエボリューション(LTE)としても参照される)のコアネットワークの機能/装置である。LTEのコアネットワークは、EPCとしても参照される。
【0004】
SGW-Cは、1つ以上のSGW-Uを制御することができる。同様に、PGW-Cは、1つ以上のPGW-Uを制御することができる。SGW-Uは、基地局(BS)を収容し、PGW-Uは、SGW-Uを収容する。PGW-Uは、インターネット等の外部のデータネットワーク(DN)にも接続される。BSは、ユーザ装置(UE)と無線で通信する。UEは、無線デバイス(WD)とも呼ばれる。EPCではUEとDNとを接続するために、"EPSベアラ"と呼ばれるコネクションが、UEとDNに接続するPGW-Uとの間で設定される。EPSベアラの内のUEとBSとの間の区間は"データ無線ベアラ"として参照される。EPSベアラの内のBSとSGW-Uとの間の区間は"S1ベアラ"として参照される。EPSベアラの内のSGW-UとPGW-Uとの間の区間は"S5/S8ベアラ"として参照される。以下では、EPSベアラを単に"ベアラ"と表記する。なお、非特許文献1は、SGW-U及びPGW-Uの機能を1つの装置に実装し、SGW-C及びPGW-Cの機能を1つの装置に実装する構成も開示している。
【0005】
第5世代(ニューレディオ(NR)としても参照される)のコアネットワーク(5GC)においては、セッション管理機能(SMF)と、ユーザプレーン機能(UPF)が定義される。UPFは、DNに接続され得る。5GCにおいては、UEとDNとを接続するために、プロトコルデータユニット(PDU)セッションと呼ばれるコネクションが、UEとDNに接続するUPFとの間で設定される。SMFはPDUセッションの設定等の制御を行う。5GCにおけるSMFは、EPCにおけるPGW-Cに対応し、5GCにおけるUPFは、EPCにおけるPGW-Uに対応する。このため、非特許文献2は、SMF及びPGW-Cの機能を1つの装置に実装し、UPF及びPGW-Uの機能を1つの装置に実装する構成を開示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】3GPP TS 23.214 V16.2.0 (2020-09)
【非特許文献2】3GPP TS 23.501 V16.10.0 (2021-09)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図1は、非特許文献1に記載のCUPSアーキテクチャを採用したEPCの一例を示している。なお、BSは、コアネットワークの装置ではないが、構成の理解のために表示している。図1において、点線は制御シグナリングの経路を示しており、実線はユーザパケットの経路を示している。なお、装置間を接続する線には、当該装置間のインタフェース名を記載している。図1は、SGW-U、PGW-U、SGW-C、PGW-Cそれぞれの機能を個別の装置とした場合の構成である。モビリティ管理機能(MME)は、UEの位置を管理すると共に、UEがコアネットワークに送信する制御シグナリングの窓口としての機能を有する。例えば、UEが送信するベアラの設定を要求する制御シグナリングは、MMEに転送される。MMEは、ベアラの設定を要求する制御シグナリングをUEから受信すると、SGW-C及びPGW-Cと連携して、UEとPGW-Uとの間でBS及びSGW-Uを介するベアラを設定する。MMEは、例えば、移動通信ネットワークがサービス提供する地理的範囲を分割したエリアに関連付けられる。MMEは、関連付けられたエリアに在圏するUEと制御シグナリングを送受信する。
【0008】
図2は、非特許文献1に記載のCUPSアーキテクチャを採用したEPCの他の例を示している。図2のSGW-U+PGW-Uは、SGW-U及びPGW-Uの機能を実装した装置を示し、SGW-C+PGW-Cは、SGW-C及びPGW-Cの機能を実装した装置を示している。
【0009】
図2の構成では、DNとUEとの間でユーザパケットを転送する装置が図1の構成より少ないため、図2の構成の方が図1の構成よりパケットの転送効率は高くなる。しかしながら、SGW-Cは、MMEと同様に、エリアに関連付けられ、UEがエリア間を移動する際に当該UE向けのベアラを制御するSGW-Cは変更され得る。一方、PGW-Cは、DNに関連付けられ、UEが移動しても当該UE向けのベアラを制御するPGW-Cは変更されない。したがって、SGW-CとPGW-Cの機能を1つの装置に実装すると、UEの移動に伴い、本来では不要なPGW-Cの変更が生じ、制御が複雑となる。
【0010】
さらに、SGW-UとPGW-Uを1つの装置に実装するとしても、既存のSGW-U及び既存のPGW-Uを一度にSGW-U及びPGW-Uの両方を実装する装置に置き換えることは難しい。したがって、SGW-U(第1機能)及びPGW-U(第2機能)の両方の機能を実装する装置と、SGW-U(第1機能)を実装するがPGW-U(第2機能)を実装しない装置が混在する状況でコアネットワークを運用する必要がある。
【0011】
本開示は、第1機能及び第2機能の両方を実装する装置と、第1機能を実装するが第2機能を実装しない装置とが混在する状況において、コアネットワークを運用するための技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様によると、基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、前記第1機能を含む第2装置と、前記第1装置を制御する第1制御装置と、を含む移動通信ネットワークにおいて前記第2装置を制御する制御装置は、ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを受信する受信手段と、前記要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する処理手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0013】
本開示によると、第1機能及び第2機能の両方を実装する装置と、第1機能を実装するが第2機能を実装しない装置とが混在する状況において、コアネットワークを運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】非特許文献1に開示された移動通信ネットワークの構成例を示す図。
図2】非特許文献1に開示された移動通信ネットワークの構成例を示す図。
図3】一実施形態による移動通信ネットワークの構成図。
図4】一実施形態による移動通信ネットワークの構成例を示す図。
図5図4の状態からUEがハンドオーバした状態を示す図。
図6】ベアラ設定処理の一例を示すシーケンス図。
図7】ハンドオーバ処理の一例を示すシーケンス図。
図8】一実施形態による移動通信ネットワークの構成例を示す図。
図9】判定情報の例を示す図。
図10】ベアラ設定処理の別の例を示すシーケンス図。
図11】ベアラ設定処理のさらに別の例を示すシーケンス図。
図12】一実施形態による移動通信ネットワークの構成例を示す図。
図13図12の状態からUEがハンドオーバした状態を示す図。
図14】ハンドオーバ処理の一例を示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうちの二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0016】
<第一実施形態>
図3は、本実施形態による移動通信ネットワークのコアネットワークの構成図である。なお、BSは、コアネットワークの装置ではないが、構成の理解のために表示している。本実施形態では、SGW-UとPGW-Uの両方の機能を1つの装置(以下、SGW-U+PGW-Uと表記する。)に実装するが、PGW-Cの機能とSGW-Cの機能は個別の装置として実装する。PGW-Cは、SGW-U+PGW-Uの内のPGW-Uの機能を制御する。SGW-Cは、SGW-U+PGW-Uの内のSGW-Uの機能を制御する。SGW-Cは、例えば、MMEと同様にエリアに関連付けられ、エリア内のUE向けのベアラを制御する。SGW-Cは、SGW-U+PGW-Uを制御する際、SGW-U+PGW-Uに対して直接制御シグナリングを送信するのではなく、PGW-Cに制御シグナリングを送信し、PGW-Cを介してSGW-U+PGW-Uの内のSGW-Uを制御する。
【0017】
図4は、本実施形態による移動通信ネットワークの構成例を示している。図4において、MME#1及びSGW-C#1は、エリア#1内のBS#1を含む1つ以上のBSに接続するUEの制御を担当する。同様に、MME#2及びSGW-C#2は、エリア#2内のBS#2を含む1つ以上のBSに接続するUEの制御を担当する。SGW-U+PGW-Uは、DNに接続する。PGW-Cは、SGW-U+PGW-Uと制御シグナリングを送受信する。
【0018】
図4において、UE#1は、エリア#1のBS#1に接続し、UE#1には、SGW-U+PGW-Uとの間でBS#1を介するベアラが設定されている。図6は、UE#1に対する新たなベアラの設定処理のシーケンス図である。なお、図6のシーケンスは、基本的には、非特許文献1に開示されているシーケンスと同様であるため、以下では、非特許文献1に開示されている図1の構成の場合のシーケンスとの相違点を中心に説明する。図6のシーケンスは、UE#1がBS#1を介してMME#1にベアラの設定要求を送信したことにより開始される。
【0019】
S10でMME#1は、SGW-C#1にセッション作成要求を送信する。S10におけるセッション作成要求は、UE#1に対する新たなベアラの設定を要求する設定要求メッセージに対応する。図1の構成の場合、SGW-C#1は、MME#1からセッション作成要求を受信すると、SGW-Uとパケット転送制御プロトコル(PFCP)に基づく制御シグナリングを送受信して、ベアラ設定のために必要な制御をSGW-Uに対して行う。しかしながら、本実施形態において、SGW-C#1は、PGW-Cを介してSGW-U+PGW-UのSGW-Uを制御し、PFCPによりSGW-U+PGW-Uと直接通信しない。よって、SGW-C#1は、S11で、PGW-Cにセッション作成要求を送信する。なお、SGW-C#1は、PGW-Cに送信するセッション作成要求に、SGW-U+PGW-UのSGW-Uを制御するために必要な情報を含める。
【0020】
SGW-C#1からセッション作成要求を受信すると、PGW-Cは、S12において、SGW-U+PGW-UにPFCPセッション確立要求を送信し、S13において、SGW-U+PGW-UからPFCPセッション確立応答を受信する。つまり、PGW-Cは、ベアラの設定に必要な制御をSGW-U+PGW-Uに対して行う。S12及びS13の処理は、図2の構成の場合にSGW-C+PGW-CとSGW-U+PGW-Uとの間で行われる処理と同様である。PFCPセッション確立応答の受信により、PGW-Cは、S14で、セッション作成応答をSGW-C#1に送信し、SGW-C#1は、S15で、PGW-Cより受信したセッション作成応答中のセッション情報を基にセッション作成応答を作成し、MME#1に送信する。その後、MME#1は、BS#1及びUE#1と制御シグナリングを送受信してベアラの無線区間側に対する処理を行う。
【0021】
ベアラの無線区間側に対する処理が完了すると、無線区間側の処理結果の通知のため、MME#1は、S16で、SGW-C#1にベアラ修正要求を送信する。図1の構成の場合、SGW-C#1は、MME#1からベアラ修正要求を受信すると、無線区間の処理結果をSGW-Uに反映させるために必要な制御をSGW-Uに対して行う。しかしながら、本実施形態において、SGW-C#1は、PGW-Cを介してSGW-U+PGW-UのSGW-Uを制御し、SGW-U+PGW-Uと直接通信しない。よって、SGW-C#1は、S17で、PGW-Cにベアラ修正要求を送信する。なお、SGW-C#1は、無線区間の処理結果をSGW-U+PGW-UのSGW-Uに反映させるために必要な情報を、PGW-Cに送信するベアラ修正要求に含める。
【0022】
SGW-C#1からベアラ修正要求を受信すると、PGW-Cは、S18において、SGW-U+PGW-UにPFCPセッション修正要求を送信し、S19において、SGW-U+PGW-UからPFCPセッション修正応答を受信する。つまり、PGW-Cは、無線区間の処理結果をSGW-U+PGW-Uに反映させる処理を行う。S18及びS19の処理は、図2の構成の場合にSGW-C+PGW-CとSGW-U+PGW-Uとの間で行われる処理と同様である。PFCPセッション修正応答の受信により、PGW-Cは、S20で、ベアラ修正応答をSGW-C#1に送信し、SGW-C#1は、S21で、ベアラ修正応答をMME#1に送信する。これにより、UE#1とSGW-U+PGW-Uとの間のベアラが確立される。
【0023】
図5は、図4の状態のUE#1がエリア#2に向けて移動することでBS#1からBS#2にハンドオーバされた状態を示している。図7は、BS#1からBS#2へのハンドオーバ処理のシーケンス図である。図6と同様に、図7では、図1の構成の場合のシーケンスとの相違点を中心に説明する。図7のシーケンスは、無線区間の処理が完了し、ターゲットであるBS#2がMME#2に切替要求を送信したことにより開始される。
【0024】
S30でMME#2は、SGW-C#2にセッション作成要求を送信する。S30におけるセッション作成要求は、UE#1のハンドオーバにより、UE#1とSGW-U+PGW-Uとを接続するベアラの経路変更を要求する変更要求メッセージに対応する。図1の構成の場合、SGW-C#2は、MME#2からセッション作成要求を受信すると、SGW-Uとパケット転送制御プロトコル(PFCP)に基づく制御シグナリングを送受信して、ベアラ設定のために必要な制御をSGW-Uに対して行う。しかしながら、図6のS10及びS11の処理で説明したのと同様に、本実施形態では、SGW-Uとの制御シグナリングの送受信は必要ない。したがって、SGW-C#2は、S31で、PGW-Cにベアラ修正要求を送信する。当該ベアラ修正要求には、SGW-U+PGW-UのSGW-Uの制御に必要な情報が含められる。
【0025】
SGW-C#2からベアラ修正要求を受信すると、PGW-Cは、S32において、SGW-U+PGW-UにPFCPセッション修正要求を送信し、S33において、SGW-U+PGW-UからPFCPセッション修正応答を受信する。S32及びS33の処理により、ベアラの経路は、BS#1を介する経路から、BS#2を介する経路に変更される。S32及びS33の処理は、図2の構成の場合にSGW-C+PGW-CとSGW-U+PGW-Uとの間で行われる処理と同様である。PFCPセッション修正応答の受信により、PGW-Cは、S34で、ベアラ修正応答をSGW-C#2に送信し、SGW-C#2は、S35で、セッション作成応答をMME#2に送信する。
【0026】
以上、UPのSGW-Uと、PGW-Uについては、1つの装置として実装することでユーザパケットの転送効率を高くする。一方、UEの移動による収容変更が生じ得るSGW-Cと、UEの移動による収容変更が生じないPGW-Cについては、1つの装置として実装するのではなく、個別の装置として実装する。この構成によりUEの移動に伴う制御を複雑化させることなく、ユーザパケットの転送効率を高くすることができる。さらに、PGW-Cについては、5GCのSMFと同じ1つの装置として実装することもできる。この場合、5GCのUPFについては、SGW-U+PGW-Uと同じ1つの装置として実装され得る。
【0027】
<第二実施形態>
続いて、第二実施形態について第一実施形態との相違点を中心に説明する。第一実施形態では、コアネットワークにおける個別のSGW-U及び個別のPGW-Uの総てがSGW-U+PGW-Uに置き換わり、よって、SGW-U+PGW-Uが、BSを直接収容する形態のみになった場合のものであった。しかしながら、個別のSGW-Uの数は多いため、個別のSGW-Uと、SGW-U+PGW-Uが混在する状況でコアネットワークを運用する期間が生じ得る。本実施形態は、個別のSGW-Uと、SGW-U+PGW-Uが混在しているコアネットワークの制御に関する。
【0028】
図8は、本実施形態による移動通信ネットワークの構成例を示している。図8において、SGW-U+PGW-Uは、DNに接続すると共に、エリア#1内のBS#1を含む1つ以上のBSを収容し得る。また、SGW-U+PGW-Uは、エリア#1内の個別のSGW-Uを収容し得る。SGW-U#1は、個別のSGW-Uであり、エリア#1内のBS#1を含む1つ以上のBSを収容し得る。なお、図8においては、個別のSGW-Uとして1つのSGW-U#1のみを示しているが、エリア#1には、複数の個別のSGW-Uが存在し得る。
【0029】
MME#1及びSGW-C#1は、エリア#1内のBS#1を含む1つ以上のBSに接続するUEの制御を担当する。SGW-C#1は、個別のSGW-Uと、SGW-U+PGW-Uの内のSGW-U機能と、を制御し得る。SGW-C#1は、PGW-Cと制御シグナリングを送受信し、かつ、個別のSGW-UとPFCPに基づく制御シグナリングを送受する様に構成される。PGW-Cは、SGW-C#1と制御シグナリングを送受信し、かつ、SGW-U+PGW-UとPFCPに基づく制御シグナリングを送受信する様に構成される。PGW-Cは、SGW-U+PGW-Uを実装した装置を制御する。
【0030】
本実施形態においては、図9(A)に示す判定情報がSGW-C#1に格納される。或いは、本実施形態においては、図9(A)に示す判定情報がコアネットワークのデータベース機能を有するノードに格納され、SGW-C#1は、データベース機能を有するノードにアクセスして図9(A)に示す判定情報を参照できるように構成される。判定情報は、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定するかをSGW-Cが判定するための情報である。なお、個別のSGW-Uを経由させる場合、個別のSGW-Uは、SGW-U+PGW-U内のPGW-U機能に収容される。
【0031】
図9(A)に示す判定情報の"収容"が"SGW-U+PGW-U"であることは、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定すること、つまり、SGW-U+PGW-Uの内のSGW-U機能がBSを収容することを示している。一方、図9(A)に示す判定情報の"収容"が"SGW-U"であることは、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定すること、つまり、個別のSGW-UがBSを収容し、SGW-U+PGW-Uの内のPGW-U機能が個別のSGW-Uを収容することを示している。
【0032】
図9(A)によると、アクセスポイント名(APN)がAPN#1である場合、UEには個別のSGW-Uを経由するベアラが設定される。APNがAPN#2又はAPN#3である場合も同様に、UEには個別のSGW-Uを経由するベアラが設定される。また、APNがAPN#1~#3以外の場合は、UEには個別のSGW-Uを経由しないベアラが設定される。なお、APNとは、ベアラのDN側の終端点を判定するための情報、つまり、ベアラを終端するPGW-Uを特定するための情報である。
【0033】
図10は、UE#1に対するベアラの設定処理の一例を示すシーケンス図である。図10において、UE#1には、DNに接続する際に使用するAPNとしてAPN#4が設定されているものとする。なお、図10に示すシーケンスのうちの図6に示す第一実施形態のシーケンスと同様の処理ステップに対しては同じステップ番号を付与して実施形態の理解に必要な範囲でのみ説明を行う。
【0034】
S10でMME#1は、SGW-C#1にセッション作成要求を送信する。S10におけるセッション作成要求は、UE#1に対する新たなベアラの設定を要求する設定要求メッセージに対応する。セッション作成要求には、UE#1がMME#1に送信したAPN#4を示す情報が含まれる。S40において、SGW-C#1は、図9(A)に示す判定情報に基づき、UE#1に対して個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定すると判定する。したがって、その後のシーケンスは、図6に示す第一実施形態と同様になる。図8の参照符号1は、図10のシーケンスで設定されるベアラのうちのBS1#1とSGW-U+PGW-Uとの間の経路を示している。なお、APNは、ベアラを終端するPGW-Uを示すものであるため、コアネットワーク内において複数のSGW-U+PGW-Uが運用されている場合、どのSGW-U+PGW-Uにベアラを設定するかはAPNに基づき決定される。
【0035】
図11は、UE#1に対するベアラの設定処理の他の例を示すシーケンス図である。図11において、UE#1には、DNに接続する際に使用するAPNとしてAPN#1が設定されているものとする。なお、図11に示すシーケンスのうちの図6に示す第一実施形態のシーケンスと同様の処理ステップに対しては同じステップ番号を付与して実施形態の理解に必要な範囲でのみ説明を行う。
【0036】
S10でMME#1は、SGW-C#1にセッション作成要求を送信する。S10におけるセッション作成要求は、UE#1に対する新たなベアラの設定を要求する設定要求メッセージに対応する。セッション作成要求には、UE#1がMME#1に送信したAPN#1を示す情報が含まれる。S40において、SGW-C#1は、図9(A)に示す判定情報に基づき、UE#1に対して個別のSGW-Uを経由するベアラを設定すると判定する。エリア#1に複数の個別のSGW-Uが有る場合、SGW-C#1は、複数の個別のSGW-UからUE#1に対するベアラを経由させるSGW-Uを選択する。この選択は、例えば、UE#1の識別子に基づき得る。或いは、この選択は、個別のSGW-Uの処理負荷、例えば、個別のSGW-Uがその時点において処理しているベアラ数に基づき得る。図11において、SGW-C#1は、SGW-U#1を選択したものとする。
【0037】
SGW-C#1は、S50において、SGW-U#1にPFCPセッション確立要求を送信する。当該PFCPセッション確立要求は、SGW-U#1が、SGW-U+PGW-UのうちのPGW-U機能との間でS5/S8ベアラを確立するための情報を含む。SGW-C#1からセッション作成要求を受信すると、SGW-U#1は、S51において、SGW-C#1から受信したセッション確立要求に対する応答であるPFCPセッション確立応答をSGW-C#1を送信する。
【0038】
SGW-C#1は、S52において、PGW-Cにセッション作成要求を送信する。このセッション作成要求は、SGW-U#1との間でS5/S8ベアラを確立するための情報を含む。SGW-C#1からセッション作成要求を受信すると、PGW-Cは、S53において、SGW-U+PGW-UにPFCPセッション確立要求を送信し、S54において、SGW-U+PGW-UからPFCPセッション確立応答を受信する。この、PFCPセッション確立要求は、SGW-U#1との間でベアラを確立するための情報を含む。PFCPセッション確立応答の受信により、PGW-Cは、S55で、セッション作成応答をSGW-C#1に送信し、SGW-C#1は、S56で、セッション作成応答をMME#1に送信する。その後、MME#1は、BS#1及びUE#1と制御シグナリングを送受信してベアラの無線区間側に対する処理を行う。
【0039】
ベアラの無線区間側に対する処理が完了すると、無線区間側の処理結果の通知のため、MME#1は、S57で、SGW-C#1にベアラ修正要求を送信する。SGW-C#1は、S58で、MME#1からのベアラ修正要求に応答して、SGW-U#1にPFCPセッション修正要求を送信して無線区間側の処理結果をSGW-U#1に反映させる処理を行う。SGW-U#1は、S59で、PFCPセッション修正要求の応答として、PFCPセッション修正応答をSGW-C#1に送信する。PFCPセッション修正応答の受信により、SGW-C#1は、S60で、ベアラ修正応答をMME#1に送信する。これにより、UE#1とSGW-U+PGW-UのPGW-U機能との間で、SGW-U#1及びBS#1を介するベアラが確立される。図8の参照符号2は、図11のシーケンスで設定されるベアラのうちのBS1#1とSGW-U+PGW-Uとの間の経路を示している。
【0040】
なお、図9(A)の判定情報は、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをAPNに関連付けて示すが、どのSGW-Uを経由させるかについては示さないものであった。したがって、エリア内に複数の個別のSGW-Uが存在する場合、SGW-C#1は、ベアラを経由させる個別のSGW-Uを選択していた。しかしながら、図9(B)に示す様に、判定情報において、ベアラを経由させる個別のSGW-Uを示す構成とすることもできる。図9(B)に示す判定情報によると、APNがAPN#1である場合、ベアラはSGW-U#1を介して設定され、APNがAPN#2である場合、ベアラはSGW-U#2を介して設定される。
【0041】
なお、本実施形態では、APNに基づき個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cに判定させていた。しかしながら、MMEからSGW-Cに送信されるセッション作成要求に含められる別の情報に基づき個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定する構成とすることもできる。
【0042】
MMEのエリアを跨ぐハンドオーバ、つまり、MMEの変更を伴うハンドオーバ時も同様であり、SGW-Cは、MMEからのセッション作成要求に含まれるAPNに基づきベアラの経路を判定する。図7のシーケンスで説明すると、SGW-C#2は、S30において、MME#2からセッション作成要求を受信すると、セッション作成要求に含まれるAPNに基づきベアラの経路を判定する。なお、エリア#1において、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定していたとしても、エリア#2においては、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定することができる。つまり、SGW-C#1が使用する判定情報は、APN#1の場合には個別のSGW-Uを経由するベアラを設定することを示すが、SGW-C#2が使用する判定情報は、APN#1の場合には個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定することを示すものとすることができる。その逆も同様であり、エリア#1において、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定していたとしても、エリア#2においては、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定することができる。
【0043】
個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定する場合、図7のS31以降の処理が実行される。個別のSGW-Uを経由させる場合、SGW-C#1は、ベアラを経由させる個別のSGW-U及びPGW-Cそれぞれと制御シグナリグを送受信することで個別のSGW-Uを介するベアラを設定する。
【0044】
続いて、エリアを跨がない、つまり、MMEが変更されない場合のハンドオーバについて説明する。具体的には、図12に示す様にBS#1に接続しているUE#1が、図13に示す様にBS#3にハンドオーバされる際の処理について説明する。図14のシーケンスは、無線区間の処理が完了し、ターゲットであるBS#3がMME#1に切替要求を送信したことにより開始される。
【0045】
S70で、MME#1は、SGW-C#1に対してベアラ修正要求を送信する。S70におけるベアラ修正要求は、UE#1のハンドオーバにより、UE#1とSGW-U+PGW-Uとを接続する既存のベアラの経路変更を要求する変更要求メッセージに対応する。ベアラ修正要求は、APN情報を含まない。したがって、SGW-Cは、MMEの変更を伴わないハンドオーバの場合、図9(C)に示す判定情報を使用して個別のSGW-Uを経由させるか否かを判定する様に構成される。図9(C)の判定情報は、ベアラ修正要求に含まれるEPSベアラの識別子(ベアラID)と、個別のSGW-Uを経由させるか否かとの関係を示している。図9(C)によると、ベアラIDがB_ID#1やB_ID#2の場合には、個別のSGW-Uを介するベアラが設定される。一方、ベアラIDがB_ID#1やB_ID#2とは異なる場合には、個別のSGW-Uを介さないベアラが設定される。
【0046】
図14においてはベアラIDがB_ID#3であるため、SGW-C#1は、S71において、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定すると判定する。したがって、SGW-C#1は、図7のS31~S34と同様の処理を行う。SGW-C#1は、S34でPGW-Cからベアラ修正応答を受信すると、S72において、S70で受信したベアラ修正要求の応答であるベアラ修正応答をMME#1に送信する。なお、ベアラIDが、B_ID#1や、B_ID#2の場合、つまり、個別のSGW-Uを経由させる場合、SGW-C#1は、ベアラを経由させる個別のSGW-U及びPGW-Cそれぞれと制御シグナリグを送受信することで個別のSGW-Uを介するベアラを設定する。なお、ハンドオーバ前後において個別のSGW-Uが同じである場合、つまり、ハンドオーバ前後においてS5/S8ベアラが同じである場合、SGW-C#1は、個別のSGW-Uのみと制御シグナリングを送受信する。
【0047】
なお、MMEの変更を伴わないハンドオーバの場合には、ハンドオーバ前の構成を引き継ぐ構成とすることもできる。つまり、ハンドオーバ前において個別のSGW-Uを経由していた場合、ハンドオーバ後のベアラも当該個別のSGW-Uを経由させ、ハンドオーバ前において個別のSGW-Uを経由していない場合、ハンドオーバ後のベアラも個別のSGW-Uを経由させない構成とすることができる。
【0048】
以上、MMEがSGW-Cに送信するベアラの設定を要求する要求メッセージに、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定するための情報を含める。要求メッセージは、新たなベアラの設定を要求するメッセージである。個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定するための情報は、例えば、APNであり得る。SGW-Cは、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定すると判定すると、PGW-C及び個別のSGW-Uの両方と制御シグナリングを送受信する第1処理を実行する。第1処理は、図11のS50以降の処理である。一方、SGW-Cは、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定すると判定すると、PGW-Cのみと制御シグナリングを送受信する第2処理を実行する。第2処理は、図10のS11以降の処理である。
【0049】
また、ハンドオーバに伴いMMEがSGW-Cに送信する、ベアラの経路変更を要求する変更要求メッセージに、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定するための情報を含める。MMEの変更を伴うハンドオーバ時に個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定するための情報は、例えば、APNであり得る。一方、MMEの変更を伴わないハンドオーバ時に個別のSGW-Uを経由するベアラを設定するか否かをSGW-Cが判定するための情報は、例えば、ベアラ識別子であり得る。SGW-Cは、個別のSGW-Uを経由するベアラを設定すると判定すると、PGW-C及び個別のSGW-Uの両方と制御シグナリングを送受信する。なお、ハンドオーバ前後で個別のSGW-Uが同じである場合、SGW-Cは、個別のSGW-Uのみと制御シグナリングを送受信する。SGW-Cは、個別のSGW-Uを経由しないベアラを設定すると判定すると、PGW-Cのみと制御シグナリングを送受信する。
【0050】
この構成により、SGW-U+PGW-Uと、個別のSGW-Uが混在している状況においてコアネットワークを運用・制御することができる。特に、SGW-U+PGW-Uと、個別のSGW-Uが混在している状況において、個別のSGW-Uと、SGW-U+PGW-U内のSGW-Uの機能の負荷分散を行うことができる。
【0051】
本開示によるSGW-C、PGW-C、SGW-U及びSGW-U+PGW-Uは、1つ以上のプロセッサを有する装置の当該1つ以上のプロセッサで実行されると、当該装置を上記実施形態で説明したSGW-C、PGW-C、SGW-U及びSGW-U+PGW-Uとして機能させるコンピュータプログラムにより実現され得る。コンピュータプログラムは、1つ以上のプロセッサが実行可能なプログラム命令を含み得る。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一時的な記憶媒体に記憶されて、又は、ネットワーク経由で配布が可能なものである。
【0052】
以上の構成により、第1機能及び第2機能の両方を実装する装置と、第1機能を実装するが第2機能を実装しない装置とが混在する状況において、コアネットワークを運用することができる。したがって、国連が主導する持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「レジリエントなインフラを整備し、持続可能な産業化を推進するとともに、イノベーションの拡大を図る」に貢献することが可能となる。
【0053】
発明は上記の実施形態に制限されるものではなく、発明の要旨の範囲内で、種々の変形・変更が可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2024-11-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、
前記第1機能を含む第2装置と、
前記第1装置を制御する第1制御装置と、
ユーザ装置からの制御シグナリングを受信する管理装置と、
を含む移動通信ネットワークにおいて前記第2装置を制御する制御装置であって、
ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを前記管理装置から受信する受信手段と、
前記要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する処理手段と、
を備えている、制御装置。
【請求項2】
前記処理手段は、前記要求メッセージに含まれる前記情報から前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するか否かを判定するための判定情報に基づき、前記第1処理と前記第2処理のうちのいずれか1つを実行する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記処理手段は、前記第1処理を実行する場合、複数の前記第2装置から前記ベアラを経由させる第2装置を前記ユーザ装置の識別子に基づき選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記処理手段は、前記第1処理を実行する場合、複数の前記第2装置から前記ベアラを経由させる第2装置を複数の前記第2装置それぞれの処理負荷に基づき選択する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第1処理を行う場合、前記処理手段は、前記第1制御装置及び前記第2装置それぞれと制御シグナリングを送受信し、
前記第2処理を行う場合、前記処理手段は、前記第1制御装置と制御シグナリングを送受信するが、前記第2装置とは制御シグナリングを送受信しない、請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
記処理手段は、前記第2処理を行う場合、前記第1制御装置に前記ベアラの設定を通知し、前記第1制御装置から当該通知に対する応答を受信すると、当該応答に含まれる情報に基づき、前記要求メッセージに対する応答を作成する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記第1機能は、サービングゲートウェイ(SGW)のユーザプレーン機能(SGW-U)であり、前記第2機能は、パケットデータネットワークゲートウェイ(PGW)のユーザプレーン機能(PGW-U)であり、前記第1制御装置は、PGWの制御プレーン機能(PGW-C)を実装する装置であり、前記制御装置は、SGWの制御プレーン機能(SGW-C)を実装する装置である、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項8】
前記要求メッセージに含まれる前記情報は、前記ベアラを終端する前記第2機能を判定するための情報を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記要求メッセージに含まれる前記情報は、アクセスポイント名(APN)を示す情報を含む、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記受信手段が、ユーザ装置のハンドオーバに伴うベアラの経路変更を要求する変更要求メッセージを前記管理装置から受信すると、前記処理手段は、当該変更要求メッセージに含まれる情報に基づき、変更後のベアラの経路において前記第2装置を経由させるか否かを判定する、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記変更要求メッセージに含まれる前記情報は、アクセスポイント名(APN)を示す情報、又は、前記ベアラの識別子を示す情報を含む、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記管理装置は、モビリティ管理機能(MME)を実装する装置である、請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置
【請求項13】
装置の1つ以上のプロセッサで実行されると、前記装置を請求項1から6のいずれか1項に記載の制御装置として機能させるコンピュータプログラム。
【請求項14】
移動通信ネットワークであって、
基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、
前記第1機能を含む第2装置と、
前記第1装置を制御する第1制御装置と、
前記第2装置を制御する第2制御装置と、
ユーザ装置からの制御シグナリングを受信する管理装置と、
を備え、
前記第2制御装置は、ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを、前記管理装置から受信した場合、当該要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する、移動通信ネットワーク。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
本発明の一態様によると、基地局を収容する第1機能と、外部のデータネットワークに接続する第2機能と、を含む第1装置と、前記第1機能を含む第2装置と、前記第1装置を制御する第1制御装置と、ユーザ装置からの制御シグナリングを受信する管理装置と、を含む移動通信ネットワークにおいて前記第2装置を制御する制御装置は、ユーザ装置と前記第1装置とを接続するベアラの設定を要求する要求メッセージを前記管理装置から受信する受信手段と、前記要求メッセージに含まれる情報に基づき、前記第2装置を経由する前記ベアラを設定するための第1処理と、前記第2装置を経由しない前記ベアラを設定するための第2処理と、のうちのいずれか1つを実行する処理手段と、を備えている。