(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171334
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】逆回転ツインスクリュ処理装置のための要素
(51)【国際特許分類】
B29C 48/41 20190101AFI20241204BHJP
B29C 48/505 20190101ALI20241204BHJP
B29B 7/48 20060101ALN20241204BHJP
【FI】
B29C48/41
B29C48/505
B29B7/48
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024086759
(22)【出願日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】202341036936
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】507302427
【氏名又は名称】スティール エンジニアリング プライベート リミテッド
【氏名又は名称原語表記】STEER ENGINEERING PRIVATE LIMITED
【住所又は居所原語表記】290,4TH Main,4TH Phase,Peenya Industrial Area,Bangalore 560 058(IN)
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】パドマナブハン, バブ
【テーマコード(参考)】
4F201
4F207
【Fターム(参考)】
4F201AJ08
4F201BA01
4F201BC02
4F201BD05
4F201BK02
4F201BK13
4F201BK28
4F207AJ08
4F207KA01
4F207KK13
4F207KL17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】材料混合能力を向上できる逆回転ツインスクリュ処理装置および逆回転処理装置の要素を提供する。
【解決手段】要素は、処理装置のスクリュシャフトに取り付けるための軸方向孔を有する。要素または要素の一部は、その上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを備える。さらに、要素は、要素の半径方向平面において定義され、第1曲線と第2曲線とを組み合わせることによって得られる関数的に連続した曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備える。第2曲線は、要素の中心軸および第1曲線の2つの極点のうちの1つを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像である。第1曲線は、特定の数式で定義される。
【選択図】
図3A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆回転ツインスクリュ処理装置のための要素であって、該要素は、前記処理装置のスクリュシャフトに取り付けるための軸方向孔を有し、前記要素は、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを備え、前記要素は、該要素の半径方向平面において定義され、第1曲線と第2曲線とを組み合わせることによって得られる関数的に連続な曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを有し、前記第1曲線が数式によって表され、前記第2曲線が、前記要素の中心軸と前記第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する前記第1曲線の鏡像であり、前記第1曲線が、以下の数式によって定義される、要素。
【数19】
【数20】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、前記要素または前記ローブ輪郭の外径、
Diは、前記要素または前記ローブ輪郭の内径、
Nは、前記1以上のローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【請求項2】
前記半径方向部分の角度αが、0から2πまで変化する、請求項1に記載の要素。
【請求項3】
前記半径方向部分が、π/Nによって定義される、請求項1に記載の要素。
【請求項4】
前記第1曲線の前記2つの極点のうちの一方が、前記要素または前記ローブ輪郭の前記外径(Do)上に位置する、請求項1に記載の要素。
【請求項5】
前記1以上のローブが整数ローブであり、前記フライトが整数ローブフライトである、請求項1に記載の要素。
【請求項6】
前記1以上のローブが非整数ローブであり、前記フライトが非整数ローブフライトである、請求項1に記載の要素。
【請求項7】
前記1以上のローブが分数ローブであり、前記フライトが分数ローブフライトである、請求項1に記載の要素。
【請求項8】
前記フライトが、前記要素の軸方向長さに沿って1回以上変化し、前記フライトの変化が、前記軸方向長さに沿った前記1以上のローブの変化を伴う、請求項1に記載の要素。
【請求項9】
前記フライトが、整数ローブフライトから非整数ローブフライトへ、またはその逆、または整数ローブフライトから別の整数ローブフライトへ、または非整数ローブフライトから別の非整数ローブフライトへ変化する、請求項8に記載の要素。
【請求項10】
軸方向に螺旋状に変化した前記1以上のローブの前記ローブ輪郭が、前記少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを画定する、請求項1に記載の要素。
【請求項11】
逆回転スクリュを収容する軸方向孔を有する逆回転ツインスクリュ処理装置のための逆回転スクリュであって、前記逆回転スクリュの少なくとも一部分が、要素の半径方向平面内で定義され、第1曲線と第2曲線とを結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備え、前記第1曲線が数式によって表され、前記第2曲線が、前記要素の中心軸と前記第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する前記第1曲線の鏡像であり、前記第1曲線が、以下の数式によって定義される、逆回転スクリュ。
【数21】
【数22】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、前記逆回転スクリュまたは前記ローブ輪郭の外径、
Diは、前記逆回転スクリュまたは前記ローブ輪郭の内径、
Nは、前記1以上のローブの数、
αは、前記半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【請求項12】
前記逆回転スクリュの少なくとも一部分が、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを画定する、請求項11に記載の逆回転スクリュ。
【請求項13】
逆回転ツインスクリュ処理装置であって、
第1円筒孔および第2円筒孔を画定するバレルであって、前記第1円筒孔および前記第2円筒孔が交差してチャンバを形成する、バレルと、
前記第1円筒孔内において軸回りに回転する第1シャフトと、
前記第2円筒孔内において軸回りに回転する第2シャフトと、
前記第1シャフトおよび前記第2シャフトにそれぞれ結合された少なくとも1つの要素であって、前記第1シャフトおよび前記第2シャフトに取り付けるための軸方向孔を有し、その上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを備え、半径方向平面において規定され、第1曲線と第2曲線とを組み合わせることによって得られる関数的に連続した曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備える、少なくとも1つの要素と、を備え、
前記第1曲線が数式によって表され、前記第2曲線が、前記少なくとも1つの要素の中心軸と前記第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する前記第1曲線の鏡像であり、前記第1曲線が、以下の数式で定義される、逆回転ツインスクリュ処理装置。
【数23】
【数24】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、前記少なくとも1つの要素または前記ローブ輪郭の外径、
Diは、前記少なくとも1つの要素または前記ローブ輪郭の内径、
Nは、前記1以上のローブの数、
αは、前記半径方向平面上の前記第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【請求項14】
前記ローブ輪郭が、前記第1シャフトに結合された前記少なくとも1つの要素の頂部と前記第2シャフトに結合された前記少なくとも1つの要素の谷部との間にクリアランスが画定されるように、前記頂部と前記谷部とを画定する、請求項13に記載の逆回転ツインスクリュ処理装置。
【請求項15】
前記クリアランスが150μmから250μmの範囲である、請求項13に記載の逆回転ツインスクリュ処理装置。
【請求項16】
第1シャフトおよび第2シャフトを有するツインスクリュ処理装置のための一対の要素であって、前記第1シャフトに結合されるように適合された第1要素と、前記第2シャフトに結合されるように適合された第2要素とを備え、前記第1要素および前記第2要素が、それぞれ、それらの上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを有し、前記第1要素および前記第2要素の半径方向平面においてそれぞれ定義されるローブ輪郭を有する1以上のローブを有し、前記ローブ輪郭が、第1曲線と第2曲線とを結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供され、前記第1曲線が数式によって表され、前記第2曲線が、前記第1要素または前記第2要素の中心軸と前記第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する前記第1曲線の鏡像であり、前記第1曲線が、以下の数式によって定義される、要素。
【数25】
【数26】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、前記第1要素、前記第2要素または前記ローブ輪郭の外径、
Diは、前記第1要素、前記第2要素または前記ローブ輪郭の内径、
Nは、前記1以上のローブの数、
αは、前記半径方向平面上の前記第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ツインスクリュ処理装置の分野に関する。より詳細には、本開示は、逆回転ツインスクリュ処理装置のための要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ツインスクリュ押出機のような逆回転ツインスクリュ処理装置は、互いに重なる2つの平行な孔を有する長いバレルを備えることが当技術分野において知られている。2つの平行なシャフトにそれぞれ取り付けられたスクリュなどの処理要素が、孔内に配置される。各要素には、要素の長さに沿って延び、要素の根元直径よりも大きな径方向の直径を有する隆起部分またはローブからなるフライトが形成されている。ローブの数は、整数ローブまたは非整数ローブのフライトをそれぞれ形成する整数であっても非整数であってもよい。
【0003】
逆回転ツインスクリュ処理装置においては、処理要素は互いに反対方向に回転するように構成され、一般には、セルフワイピング方式ではない。逆回転ツインスクリュ処理装置は、プラスチック、食品、塗料および医薬品などの製造、配合および処理に使用される。逆回転ツインスクリュ処理装置が行う主なタスクは、材料を混合して溶融物を生成することである。逆回転ツインスクリュ処理装置および逆回転処理装置のための要素の材料混合能力を向上させる必要がある。また、材料の滞留を低減し、ワイピング能力を向上させた逆回転処理装置のための要素も必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の一態様において、処理装置のスクリュシャフトに取り付けるための軸方向孔を有する逆回転ツインスクリュ処理装置のための要素が開示されている。要素は、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを備える。要素はまた、要素の半径方向平面に画定されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備える。各ローブのローブ輪郭は、第1曲線を第2曲線に結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供される。第1曲線は数式で表され、第2曲線は、要素の中心軸および第1曲線の2つの極点のうちの1つを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像である。第1曲線は、以下の数式で定義される。
【数1】
【数2】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、ローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【0005】
本開示の他の態様において、逆回転ツインスクリュ処理装置のための逆回転スクリュが開示される。逆回転ツインスクリュ処理装置は、逆回転スクリュを収容するための軸方向孔を画定する。逆回転スクリュの少なくとも一部は、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを備える。逆回転スクリュはまた、逆回転スクリュの半径方向平面に画定されたローブ輪郭を有する1つまたは複数のローブを備える。各ローブのローブ輪郭は、第1曲線を第2曲線に結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供される。第1曲線は数式で表され、第2曲線は、要素の中心軸および第1曲線の2つの極点のうちの1つを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像である。第1曲線は、以下の数式で定義される。
【数3】
【数4】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、ローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【0006】
本開示のさらに他の態様では、逆回転ツインスクリュ処理装置が開示される。逆回転ツインスクリュ処理装置は、第1円筒孔および第2円筒孔を画定するバレルを備える。第1円筒孔および第2円筒孔は、重なってチャンバを形成する。第1シャフトが軸回りに第1円筒孔内で回転し、第2シャフトが軸回りに第2円筒孔内で回転する。少なくとも1つの要素が、第1シャフトおよび第2シャフトにそれぞれ結合されている。この要素は、第1シャフトおよび第2シャフトにそれぞれ取り付けるための軸方向孔を備える。要素はまた、その上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを備える。さらに、要素は、逆回転スクリュの半径方向平面に画定されたローブ輪郭を有する1つまたは複数のローブを備える。各ローブのローブ輪郭は、第1曲線を第2曲線に結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供される。第1曲線は数式で表され、第2曲線は、要素の中心軸および第1曲線の2つの極点のうちの1つを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像である。第1曲線は、以下の数式で定義される。
【数5】
【数6】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、ローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【0007】
本開示のさらに他の態様において、ツインスクリュ処理装置のための一対の要素が開示される。ツインスクリュ処理装置は、第1シャフトおよび第2シャフトを備える。一対の要素は、第1シャフトに結合されるように適合された第1要素および第2シャフトに結合されるように適合された第2要素を備える。第1要素および第2要素はそれぞれ、その上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを有する。さらに、第1要素および第2要素はそれぞれ、第1要素および第2要素の半径方向平面に画定されるローブ輪郭を有する1つまたは複数のローブを有する。ローブ輪郭は、第1曲線を第2曲線に結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供される。第1曲線は数式で表され、第2曲線は、第1要素または第2要素の中心軸および第1曲線の2つの極点のうちの1つを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像である。第1曲線は、以下の数式で定義される。
【数7】
【数8】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、第1要素、第2要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、第1要素、第2要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、1以上のローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る逆回転ツインスクリュ処理装置の例示的な説明図である。
【
図2】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における処理要素の側面図の例示的な図である。
【
図3A】本開示の実施形態による、
図2の処理要素の例示的な側面図である。
【
図3B】本開示の実施形態による、
図2の処理要素の例示的な正面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における
図2の処理要素の互いに対する相対的な回転運動を示す例示的な側面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における
図2の処理要素の互いに対する相対的な回転運動を示す例示的な側面図である。
【
図6A】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における
図2の処理要素の互いに対する相対的な回転運動を示す例示的な側面図である。
【
図6B】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における
図2の処理要素の互いに対する相対的な回転運動を示す例示的な側面図である。
【
図6C】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における
図2の処理要素の互いに対する相対的な回転運動を示す例示的な側面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における、4ローブの処理要素の例示的な側面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における、2ローブの処理要素の例示的な側面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置における、1ローブの処理要素の例示的な側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1を参照すると、本明細書において「処理装置100」と称される逆回転ツインスクリュ処理装置100の例示的な図が開示されている。処理装置100は、2つの円筒状収容孔104,106を有するハウジング102を備えていてもよい。2つの円筒状収容孔104,106は、それぞれ、互いに対して平行に配置された軸108,110を有することができる。第1スクリュシャフト112および第2スクリュシャフト114が、2つの円筒状収容孔104,106内にそれぞれ配置される。一対の処理要素116,118または「要素」が、それぞれスクリュシャフト112,114に取り付けられていてもよい。一実施形態において、それぞれのスクリュシャフトに取り付けられた複数のこのような要素対は、吸入領域、混合領域および出力領域を含む処理装置100内の様々な領域を画定することができる。要素116,118は、それぞれスクリュシャフト112,114のスプラインが係合される溝付き軸方向孔120,122を備えていてもよい。要素116,118はまた、異なる係合手段を介してスクリュシャフト112,114に取り付けるように構成されていてもよいことは明らかであろう。いくつかの実施形態において、要素116および第1スクリュシャフト112は、別個の構成要素でなくてもよく、本明細書では「逆回転スクリュ」と呼ばれる単一の構成要素を規定してもよい。同様に、要素118および第2スクリュシャフト114は、別個の構成要素でなくてもよく、別の逆回転スクリュを規定してもよい。2つの逆回転スクリュは、2つの円筒状収容孔104,106にそれぞれ収容されてもよい。このような実施形態において、2つの逆回転スクリュは、それぞれ要素116,118の外形と同様の外形を示してもよい。
【0010】
図2を参照すると、
図1の処理装置100における要素116,118それぞれの側面視の例示的な図が開示されている。一実施形態において、要素116,118は、それぞれ、ローブ205,210によって画定された3ローブであってもよい。ローブ205,210は、要素116,118のスクリュ輪郭215,220をそれぞれ画定する。要素116のスクリュ輪郭215は、要素118のスクリュ輪郭220を決定し、またはその逆も同様である。したがって、スクリュ輪郭215は生成するスクリュ輪郭と呼ばれ、スクリュ輪郭220は生成されたスクリュ輪郭と呼ばれる。本開示の一実施形態による要素116,118は、要素116,118がそれぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転されるとき、要素116が要素118のワイピングを効果的に行い、その逆も同様であるように、セルフワイピングである。一実施形態において、要素116,118は、それぞれ時計回り方向と反時計回り方向に回転してもよく、その逆でもよい。要素116,118の間にはクリアランス225が設けられ、スクリュ輪郭215,220の曲率も、要素116,118がセルフワイピングできるように、予め定義された数式に基づいて構成される。設けられるクリアランス225は、予め定義され、要素116,118の長手方向の長さに沿って要素116,118の間にそれぞれ延びることができる。一実施形態において、クリアランス225は、150μmから250μmの範囲であってもよい。一実施形態において、クリアランス225は、要素116に関連するローブ205によって画定されるスクリュ輪郭215の頂部230と、要素118に関連するローブ210の間に形成されるスクリュ輪郭220の谷部235との間に画定されてもよい。一実施形態において、要素116,118は、第1スクリュシャフト112上の要素116の各断面に対して、対応する第2スクリュシャフト114上の要素118の共役または実質的に共役な断面が存在するように、その間に設けられたクリアランス225を有する一対の要素を一緒に規定することができる。明瞭さと理解のために、要素116について以下に詳細に説明するが、同じことが要素118にも適用されることが理解されよう。
【0011】
図3Aおよび
図3Bを参照すると、
図1および
図2の要素116の側面図および正面図の例示的な図が開示されている。要素116のローブ205は、それぞれローブ輪郭315を画定する。逆回転スクリュが使用される場合には、第1スクリュシャフト112に取り付けられた要素116の代わりに、逆回転スクリュが、ローブ輪郭315を画定するローブ205を備えていてもよいことが理解され得る。要素116は、内径305および外径310を画定する。一実施形態において、内径305は、ローブ205の間にそれぞれ形成された谷部240によって画定され、外径310は、ローブ205の頂部230によって画定される。一実施形態において、内径305は、ローブ輪郭315の内径に対応し、外径310は、ローブ輪郭315の外径に対応してもよい。ローブ輪郭315は、要素116の半径方向平面Rに規定される。要素116は、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライト300を備える。ローブ205のローブ輪郭315は、それぞれ、軸方向に螺旋状に変化したとき、セルフワイピングフライト300を画定する。形成されたフライト300は、切れ目や中断なく連続している。要素116に形成されるフライトの数は、要素116に設けられるローブの数に対応する。例えば、要素116のような3つのローブを有する要素においては、3つのローブを有することが、その上に螺旋状に形成された3つの連続的なセルフワイピングフライトを規定することができる。フライト300は、要素116の長手方向長さLに沿って1回以上変化してもよい。フライト変化は、長手方向長さLに沿ったローブ205の変化を伴うことがある。ローブ205の変化は、要素116上に形成されたローブの数および/またはローブに関連するローブ輪郭の変化に対応することがある。いくつかの実施形態において、ローブ205のローブ輪郭315は、それぞれ、要素116の長手方向長さL全体に沿って延びてよい。いくつかの実施形態において、ローブ205のローブ輪郭315は、それぞれ、要素116の長手方向長さLに沿った1以上の部分に沿って延びていてもよい。そのような実施形態において、フライト300は、ローブ205のローブ輪郭315を構成する1以上の部分に沿って連続的なセルフワイピングフライトを画定し、要素116の長手方向長さLに沿った残りの1以上の部分において連続的な非セルフワイピングフライトを画定してもよい。いくつかの実施形態において、要素116の長手方向長さLに沿った残りの1以上の部分におけるローブおよび/またはそれぞれのローブ輪郭の数は、ローブ輪郭315を構成する1以上の部分におけるローブ205および/またはそれぞれのローブ輪郭315の数とは異なっていてもよい。第1スクリュシャフト112に取り付けられた要素116の代わりに、逆回転スクリュが使用される場合には、ローブ205のローブ輪郭315は、それぞれ、逆回転スクリュの長手方向長さLに沿った1以上の部分に沿って延びていてもよいことが理解され得る。フライト300は、要素116の長手方向長さLに沿って延びる、典型的には1ローブから4ローブの間で変動する、「整数ローブ」と呼ばれる整数のローブを有してもよい。このような要素は、「整数ローブフライト」または整数ローブフライトを有する要素と称される。フライト300はまた、要素116の長手方向長さLに沿って延びる、分数ローブまたは無理数ローブのような、「非整数ローブ」と呼ばれる、非整数のローブを有していてもよい。このような要素は、「非整数ローブフライト」または非整数ローブフライトを有する要素と称される。さらに、フライト300は、要素116の長手方向長さLに沿って延びる整数および/または非整数ローブの異なる組み合わせを有していてもよい。一実施形態において、フライト300は、整数または非整数のローブとして開始することができる。一実施形態において、フライト300は、整数ローブフライトから非整数ローブフライトへ、またはその逆、または整数ローブフライトから別の整数ローブフライトへ、または非整数ローブフライトから別の非整数ローブフライトへ変化してもよい。
【0012】
非整数ローブ要素は、分数ローブ要素であってもよい。1ローブ要素、2ローブ要素、3ローブ要素および/または4ローブ要素から形成される分数ローブ要素の例は、米国特許第6783270号明細書、米国特許第10207423号明細書、および米国特許第10239233号明細書に記載されている。非整数ローブ要素は、無理数ローブ要素であってもよい。無理数ローブ要素は、米国特許第8753003号明細書に記載されている。分数ローブ要素は、第1整数要素(n)と第2整数要素(N)との間に予め定義された分数を挟んだ要素であり、N/nは整数であり、分数は第1整数および第2整数間の遷移の度合いを決定する。1フライトローブおよび2ローブは、1.2.xxのような分数ローブを形成することができ、xxは、1から99の任意の数とすることができる。1から99の数は、分数ローブが1フライト要素または2ローブ要素のどちらにより似て見えるかを規定する。1.2.xxという表記の数字1と2は、それぞれ1フライト要素(1)と2ローブ要素(2)との中間にあるローブ要素を表す。したがって、1.4.50と表される分数ローブ要素は、1フライト要素と4ローブ要素との中間の要素を表す。
【0013】
各ローブ205のローブ輪郭315は、第1曲線320を第2曲線325に結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供される。第1曲線320は、予め定義された数式によって表される。第2曲線325は、要素116の中心軸Cおよび第1曲線320の2つの極点(330,335)のうちの1つを通る半径方向軸RAに関する第1曲線320の鏡像である。第1曲線320は、以下の数式で定義される。
【数9】
【数10】
ここで、
x,yは、半径方向平面Rに定義されたデカルト座標、
Doは、要素116またはローブ輪郭315の外径310、
Diは、要素116またはローブ輪郭315の内径305、
Nは、ローブ205の数、
αは、半径方向平面Rにおいて第1曲線320によって画定される半径方向部分340の角度
である。
【0014】
一実施形態において、第2曲線325は、要素116の中心軸Cおよび要素116の外径310(Do)またはローブ輪郭315上にある第1曲線320の極点330を通る半径方向軸RAに関する第1曲線320の鏡像である。一実施形態において、半径方向部分340の角度αは、0から2πラジアンの間で変化する。一実施形態において、半径方向部分340は、要素116またはローブ輪郭315の外径310(Do)に由来する円形部分に対応する。一実施形態において、半径方向部分340は、πラジアン/Nによって定義される。
【0015】
図4~
図5および
図6A~
図6Cを参照すると、
図1の逆回転ツインスクリュ処理装置100における要素116に対する要素118の相対回転運動の例示的な側面図が開示されている。要素116,118がそれぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転されるとき、要素116は、要素118の完全なワイピングをもたらす。特に、要素116,118間に設けられたクリアランス225は、それぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転される間に、要素116の1以上のローブ205によって画定されたローブ輪郭315の頂部230が、要素118の1以上のローブ210の間に形成されたローブ輪郭315の谷部235の中へ、かつ/またはそこから離れるように移動するときにセルフワイピング作用を促進する。同様に、要素118も、要素116,118がそれぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転されるときに、要素116の完全なワイピングを行う。特に、要素116,118の間に設けられたクリアランス225は、それぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転される間に、要素118の1以上のローブ210によって画定されたローブ輪郭315の頂部245が、要素116の1以上のローブ205の間に形成されたローブ輪郭315の谷部240の中へ、および/またはそこから離れるように移動するときに、セルフワイピング作用を促進する。したがって、要素116,118は、要素116,118がそれぞれ反対方向A,Bに同時に逆回転される際に、互いの間で連続的なセルフワイピング作用をもたらす。
【0016】
図7~
図9を参照すると、
図1の1ローブ、2ローブおよび4ローブ要素116,118の例示的な側面図が開示されている。1ローブ、2ローブおよび4ローブ要素116,118に関連するローブ705,805,905は、それぞれ、ローブ輪郭710,810,910によって画定される。各要素、例えば、要素116のローブ輪郭710,810,910は、それぞれ第1曲線720,820,920を第2曲線725,825,925に結合することによって得られる関数的に連続する曲線715,815,915によって提供される。第1曲線720,820,920は数式で表される。第2曲線725,825,925は、要素116の中心軸Cと、第1曲線720,820,920それぞれの2つの極点(730,735)、(830,835)、(930,935)のうちの1つとを通る半径方向軸RAに関する各第1曲線720,820,920の鏡像である。第1曲線720,820,920は、それぞれ以下の数式で定義される。
【数11】
【数12】
ここで、
x,yは、1以上の要素の半径方向平面Rに定義されたデカルト座標、
Doは、それぞれ1以上の要素または1以上のローブ輪郭710,810,910の外径、
Diは、それぞれ1以上の要素または1以上のローブ輪郭710,810,910の内径、
Nは、1以上の要素内のローブ705,805,905の数、
αは、それぞれ半径方向平面Rにおける第1曲線720,820,920によって画定される半径方向部分740,840,940の角度
である。
【0017】
具体的な実施形態を以下に説明する。
逆回転ツインスクリュ処理装置のための要素であって、該要素は、処理装置のスクリュシャフトに取り付けるための軸方向孔を有し、要素は、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続的なセルフワイピングフライトを備え、要素は、要素の半径方向平面において定義され、第1曲線と第2曲線とを組み合わせることによって得られる関数的に連続な曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備え、第1曲線は数式によって表され、第2曲線は、要素の中心軸と第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像であり、第1曲線が以下の数式によって定義される要素。
【数13】
【数14】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、1以上のローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【0018】
半径方向部分の角度αが0から2πの範囲で変化する、そのような1以上の要素。
【0019】
半径方向の断面が、π/Nで定義される、そのような1以上の要素。
【0020】
第1曲線の2つの極点の一方が、要素またはローブ輪郭の外径(Do)上にある、そのような1以上の要素。
【0021】
1以上のローブが整数ローブであり、フライトが整数ローブフライトである、そのような1以上の要素。
【0022】
1以上のローブが非整数ローブであり、フライトが非整数ローブフライトである、そのような1以上の要素。
【0023】
1つ以上のローブが分数ローブであり、フライトが分数ローブフライトである、そのような1以上の要素。
【0024】
フライトが要素の軸方向長さに沿って1回以上変化し、フライトの変化が軸方向長さに沿った1つ以上のローブの変化を伴う、そのような1以上の要素。
【0025】
フライトが整数ローブフライトから非整数ローブフライトへ、またはその逆、あるいは整数ローブフライトから別の整数ローブフライトへ、または非整数ローブフライトから別の非整数ローブフライトへ変化する、そのような1以上の要素。
【0026】
軸方向に螺旋状に変化した1以上のローブのローブ輪郭が、少なくとも1つの連続したセルフワイピングフライトを画定する、そのような1以上の要素。
【0027】
逆回転スクリュを収容する軸方向孔を有する逆回転ツインスクリュ処理装置のための逆回転スクリュであって、逆回転スクリュの少なくとも一部分が、要素の半径方向平面内で定義され、第1曲線と第2曲線とを結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供されるローブ輪郭を有する1以上のローブを備え、第1曲線が数式によって表され、第2曲線が、要素の中心軸と第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸についての第1曲線の鏡像であり、第1曲線が、以下の数式によって定義される逆回転スクリュ。
【数15】
【数16】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、逆回転スクリュまたはローブ輪郭の外径、
Diは、逆回転スクリュまたはローブ輪郭の内径、
Nは、1以上のローブの数、
αは、半径方向平面上の第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【0028】
逆回転スクリュの少なくとも一部分が、その上に螺旋状に形成された少なくとも1つの連続したセルフワイピングフライトを画定する、そのような1以上の逆回転スクリュ。
【0029】
第1シャフトおよび第2シャフトを有するツインスクリュ処理装置のための一対の要素であって、第1シャフトに結合されるように適合された第1要素と、第2シャフトに結合されるように適合された第2要素とを備え、第1要素および第2要素はそれぞれ、その上に螺旋状に形成された連続的なセルフワイピングフライトを有し、かつ、第1要素および第2要素の半径方向平面においてそれぞれ定義されるローブ輪郭を有する1以上のローブを有し、ローブ輪郭が、第1曲線と第2曲線とを結合することによって得られる関数的に連続な曲線によって提供され、第1曲線が数式によって表され、第2曲線が、第1要素または第2要素の中心軸と第1曲線の2つの極点のうちの1つとを通る半径方向軸に関する第1曲線の鏡像であり、第1曲線が、以下の数式によって定義される要素。
【数17】
【数18】
ここで、
x,yは、半径方向平面に定義されたデカルト座標、
Doは、第1要素、第2要素またはローブ輪郭の外径、
Diは、第1要素、第2要素またはローブ輪郭の内径、
Nは、1以上のローブの数、
αは、半径方向平面において第1曲線によって画定される半径方向部分の角度
である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本開示によって教示されるような要素116,118は、セルフワイピング式であり、逆回転ツインスクリュ処理装置での使用に適している。その結果、教示されるような要素116,118は、処理装置100の混合および/または溶融能力を改善することができ、均質な溶融混合の達成に役立ち得る。加えて、教示されるような要素116,118はまた、材料の停滞を低減し、溶融および均質化プロセス中の材料の伸長流動を改善することができる。さらに、教示されるような要素116,118は、処理装置100における溶融および/または均質化プロセスに一般的に関与するよりも低いプロセス温度での材料の溶融および/または均質化を促進することができる。特に、要素116,118は、APIを含む医薬成分のような温度に敏感な材料の処理に適している。また、要素116,118は、リサイクルのための廃棄物のような融点または軟化点が異なる混合材料の処理にも適している。
【外国語明細書】