(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171338
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】物流システム、物流システム制御方法、プログラムおよびプログラム記憶媒体
(51)【国際特許分類】
B65G 1/06 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65G1/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024087093
(22)【出願日】2024-05-29
(31)【優先権主張番号】P 2023088194
(32)【優先日】2023-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000110011
【氏名又は名称】トーヨーカネツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003454
【氏名又は名称】弁理士法人友野国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 恭矢
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022AA15
3F022EE02
3F022EE09
3F022FF01
3F022JJ13
3F022JJ20
3F022LL07
3F022LL31
3F022MM01
3F022MM03
3F022MM17
3F022MM36
3F022MM37
3F022MM61
3F022NN43
(57)【要約】
【課題】 物流システムにおいて、システムの主要部に不具合が発生してもそれによる影響を最小限とし、経営効率を高めること。
【解決手段】物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、
前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部と
を備え、
前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部とを有し、
前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送することを特徴とする物流システム。
【請求項2】
故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、
前記棚間移送部を用いて、使用していない棚に移送することを特徴とする請求項1に記載の物流システム。
【請求項3】
故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、
前記棚間移送部を用いて、使用しているいずれかの特定の棚に移送することを特徴とする請求項1に記載の物流システム。
【請求項4】
故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、
前記棚間移送部を用いて、複数の前記棚へ分散して移送することを特徴とする請求項1に記載の物流システム。
【請求項5】
物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、
前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、
前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部と、前記自動倉庫を制御する自動倉庫制御部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記自動倉庫制御部が前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送するように制御する物流システム制御方法。
【請求項6】
物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、
前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、
前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送するように制御する物流システム制御プログラム。
【請求項7】
請求項6に記載のプログラムを記憶した記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば物流システム、物流システム制御方法、プログラムおよびプログラム記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近時の物流センターは、従来からの店舗向け商品の配送だけでなくECサイトからの注文に対応する個人宅配などに向けた商品の配送を両方行えるよう、店舗向け商品の配送やECサイトからの注文に対応する個人宅配などに向けた商品の配送を行う物流センターは、トラックによりパレット等で入荷した商品を、パレットごと建屋のトラックヤードに近接するフロアに一時保管したあと、通常はバッジ処理に従って、パレットをフォークリフトなどでピッキングエリアに搬送し、仕分け作業と出荷作業をおこなう。
【0003】
このため店舗の展示用棚位置に合わせて6輪台車などを配置して商品補充を行う店舗向けには、注文に合わせて商品を投入したオリコンを6輪台車に積んで出荷する。個人宅配向けには、段ボール箱を出荷箱として商品を出荷する。
【0004】
物量の多い物流センターは、建屋が複層階で構成されていて、1階が数日分の物量に対応できるパレットの保管場所となり、少なくとも前日に、たとえば1階から2階にフォークリフトでパレットを作業フロアに搬送、仮置きし、作業員が段ボールからECサイト向け商品を小分けして自動倉庫の保管用トレイに入れて自動倉庫に一時保存し、当日、注文に合わせて商品を自動倉庫から順立しながら出庫し、作業ステーションまで搬送し、作業員が商品を段ボール箱(出荷箱)に投入し、出荷箱はコンベヤによりトラックヤードに搬送される。出荷箱は、2階に一時保存されていて、作業員が商品を段ボール箱(出荷箱)に投入するタイミングに合わせて、作業ステーションに搬送されてくる。
【0005】
店舗向け商品については、翌日のバッジ処理に向けて、少なくとも前日に。たとえば1階から3階にフォークリフトでパレットを作業フロアに搬送、仮置きし、当日、作業員が手元のオリコンを組立て、入荷用の段ボール箱から注文書の行単位に商品をピッキングして、オリコンに投入し6輪台車に積む。作業員は6輪台車をトラックヤードまで搬送する。
【0006】
トラックは、建屋のスロープを使いながら各階のトラックヤードで出荷箱、6輪台車の搬出を行っている。
【0007】
拡大する物量に対応するため、建屋の容積率と作業人数に対しての経営効率を高めることが求められている。
【0008】
特許文献1では、コンピュータ管理された大型自動倉庫において、一時入庫された多品種多数の商品を、顧客である出荷先別に、必要な時間に必要な数だけ的確に選択し、指定された出荷容器に正確に投入(ピッキング又はアソート)し、高速で出荷させることのできる経済効率も格段に高い入出庫完全自動の大型自動倉庫システムが提案されている。
【0009】
しかし、小分け作業ラインとピッキング作業ラインが、自動倉庫の1アイルと、1対1の関係にあり、しかも、自動倉庫のアイル間での商品の入ったトレイ(シャトル)の移送について言及されていないことから、もしアイル間での移送がないとすれば、シャトルの出庫及び各作業ステーションで商品をピッキング後のシャトルを各アイルに戻す再入庫の際に、各アイル内で、上下方向に多層に収容されているシャトルを降下・上昇させるリフタが故障した場合に、その作業ステーションでの作業が困難となり、出庫の遅延などの重大な事象となるという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第6506368号公報
【特許文献2】特許第7004424号公報
【特許文献3】特許第6185619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上述したこれまでの問題点の解決を企図したものであり、システムの主要部に不具合が発生してもそれによる影響を最小限とし、経営効率を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る物流システムは、物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送することを特徴とする。
【0013】
ここで、各々の棚は、アイルと称してもよく、水平方向及び垂直方向に複数のアイテムを収容できるようになっている。
【0014】
リフト機構とは、これらの各段を水平方向に移送されるアイテムをピッキングなどの目的で、所定の高さまで上下方向に移送するものであり、リフタ、リフト、あるいはリフターとも称する。
【0015】
リフト機構の障害とは、ハードウエアの故障や調整不良のほか、ソフトウエアのトラブル、作業員の操作ミスなどが含まれる。
【0016】
棚間移送部とは、複数の棚の間をアイテムを移送する部分であり、例えば特許文献2に記載されるような多段の伸縮式弾性機構を用いるもの、あるいは特許文献3に記載されるような多段の伸縮機構が好適であるが、これに限定されず、どのようなものであってもアイテムを複数の棚の間で移送できるものであればよい。
【0017】
このようにすると、各棚(アイル)の根幹部分であるリフタが作動しなくなっても、他の棚にアイテムを移送することによって、作業を進めることができるという大きな効果を奏する。
【0018】
本発明の第2の態様として、第1の態様の物流システムにおいて、故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、前記棚間移送部を用いて、使用していない棚に移送するようにしてもよい。
【0019】
すなわち、棚の列のうち、使用していない棚がある場合は、その棚に当日処理分など作業に必要なアイテムを棚間移送し、その棚において作業を進行させることとする。
【0020】
このようにすると、棚間移送の時間のみ、ロス時間となるが、それ以外は全体に大きな影響を与えることなく、作業を進行させることができる。
【0021】
本発明の第3の態様として、第1の態様の物流システムにおいて、故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、前記棚間移送部を用いて、使用しているいずれかの特定の棚に移送するようにしてもよい。
【0022】
すなわち、使用していない棚がない、あるいは離隔しており棚間移送が容易でないなどの場合、使用中のいずれかの棚に、アイテムをまとめて移送するようにする。この場合、なるべく近接している棚で、作業が早く終了すると推定される棚に移送することが望ましい。
【0023】
このようにすると、移送先の棚の作業が完了次第、リフタ故障の棚の分の作業が開始でき、ロス時間を短くすることができる。
【0024】
なお、リフタ故障の棚の分の作業の全部または一部の方が優先度が高い場合には、元々の棚に関する作業を一旦停止して、リフタ故障の棚の分の全部または一部の作業を先行させ、終了次第、元々の棚の作業に戻るようにしてもよい。
【0025】
本発明の第4の態様として、第1の態様の物流システムにおいて、故障した前記リフト機構を含む棚のアイテムのうち、作業に必要なアイテムを、前記棚間移送部を用いて、複数の前記棚へ分散して移送するようにしてもよい。
【0026】
ここで、元々同梱されるべき商品を収容したアイテムは、同じ棚に移送することが望ましい。
【0027】
このようにすると、故障したリフタに関する棚以外の棚の分の作業が終了後、複数の棚において、故障したリフタに関する棚の分のピッキング作業を実行することができ、全体として、作業の終了が早まることが期待できる。
【0028】
この場合でも、リフタ故障の棚の分の作業の全部または一部の方が優先度が高い場合には、元々の棚に関する作業を一旦停止して、リフタ故障の棚の分の全部または一部の作業を先行させ、終了次第、元々の棚の作業に戻るようにしてもよい。
【0029】
また、上記課題を解決するために、本発明の第5の態様に係る物流システム制御方法は、物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部と、前記自動倉庫を制御する自動倉庫制御部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送するように前記自動倉庫制御部が制御することを特徴とする。
【0030】
さらに、上記課題を解決するために、本発明の第6の態様に係る物流システム制御プログラムは、物流に供するアイテムを所定の保管形態で複数保管する倉庫と、前記アイテムを所定の搬送形態で搬送する搬送部とを備え、前記倉庫は、区分けごとに水平方向の位置が識別できる単一フロアを垂直方向に複数段に構成する棚と、前記アイテムを水平方向に搬送するための前記棚の間に設けた走行部と、前記アイテムを垂直方向に搬送するリフト機構と、前記アイテムを前記棚の間で水平方向に移送可能な棚間移送部とを有し、前記リフト機構に障害が発生した場合に、前記棚間移送部によって前記アイテムを棚間で移送するように制御する物流システム制御プログラムであることを特徴とする。
【0031】
本発明の第7の態様として、第6の態様に係るプログラムを記憶した記録媒体として実現してもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の各態様によれば、物流センターにおいてシステムの主要部に不具合が発生してもそれによる影響を最小限とし、経営効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施形態による自動倉庫の概略を示す斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態による自動倉庫における基本の商品配置を説明する図である。
【
図3】本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合についての運用形態を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合についての別の運用形態を説明する図である。
【
図5】本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合について、更に別の運用形態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示したものであって、本発明の技術的思想は、下記のものに特定されるものではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内において、種々の変更を加えることができる。特に、図面は模式的なものであり、現実のものとは異なることに留意すべきである。既に公知の技術である部分は説明を省略している。
【0035】
<構成>
図1は、本発明の一実施形態により自動倉庫1の概要を説明する斜視図である。同図に示されるように、この自動倉庫の例はマルチシャトル(登録商標)と呼ばれる水平方向に走行するシャトル(シャトルカー)と垂直方向に走行するリフタによって商品を収容するアイテムを移送するものである。
【0036】
なお、自動倉庫1は、マルチシャトルシステムに限定せず、スタッカクレーン式のシステムや、ロボットによるシステムであっても同様の思想が実現できる。
【0037】
図には、垂直方向に多段を有し各段にアイテムを保管できる左側の棚11、同様に右側の棚31、両側の棚の間にシャトル51が走行できる水平方向の走行路21、垂直方向にアイテムを移送できるリフタ101、シャトル51からリフタ101に、あるいはリフタ101からシャトル51へアイテムを移動させるための仮置きコンベヤ41、リフタ101の左右に設けられたシャトル置台111などを備えている。
【0038】
本発明では、各通路に沿った左右の棚を含めてアイルと呼ぶ。ここでは、アイル1001について説明したが、隣接するアイル1002についても同様の構造である。
【0039】
図2は、本発明の一実施形態による自動倉庫における基本の商品配置を説明する図である。図に示すように、自動倉庫1は、アイル1001、アイル1002、アイル1003、アイル1004、アイル1005、アイル1006で構成されている。アイル1001は、左棚11、走行路21、右棚31、シャトル51、リフタ101を1単位として構成され、作業員P1が待機する作業ステーション71に移送するための出庫コンベヤ61、作業ステーション71でピッキングされた、あるいは補充されたシャトル51を再入庫する再入庫コンベヤ81が接続されている。左棚11に商品aが保管されているアイテムが、右棚31に商品bが保管されているアイテムと、商品cが保管されているアイテムとが配置されている。。
【0040】
なお、本図において、アイル1001の左棚11、走行路21、右棚31、シャトル51は、多層(多段)に構成されており、例示されたものは、説明の都合上、同一層に存するように描かれているが、多層のどの層にあってもよく、各層を走行するシャトル51及びリフタ101によって、これらのアイテムの移送が実現できる。この表示方法は、他のアイルにおいても同様である。
【0041】
アイル1002は、左棚12(図には番号の表示なし)、走行路22(図には番号の表示なし)、右棚32(図には番号の表示なし)、シャトル52(図には番号の表示なし)、リフタ102(図には番号の表示なし)を1つのアイルとして構成され、作業員P2が待機する作業ステーション72(図には番号の表示なし)に接続されている。左棚12に商品eが保管されているアイテム、右棚32に商品aが保管されているアイテムと、商品dとが保管されているアイテムとが配置されている。
【0042】
アイル1003は、左棚13(図には番号の表示なし)、走行路23(図には番号の表示なし)、右棚33(図には番号の表示なし)、シャトル53(図には番号の表示なし)、リフタ103(図には番号の表示なし)を1つのアイルとして構成され、作業員P3が待機する作業ステーション73(図には番号の表示なし)に接続されている。左棚13に商品fが保管されているアイテムと、商品gが保管されているアイテム、右棚33に商品hが保管されているアイテムが配置されている。
【0043】
アイル1004は、左棚14(図には番号の表示なし)、走行路24(図には番号の表示なし)、右棚34(図には番号の表示なし)、シャトル54(図には番号の表示なし)、リフタ104(図には番号の表示なし)を1つのアイルとして構成され、作業員P4が待機する作業ステーション74(図には番号の表示なし)に接続されている。左棚14に商品cが保管されているアイテム、右棚34に商品jが保管されているアイテムと商品kが保管されているアイテムとが配置されている。
【0044】
アイル1005は、左棚15(図には番号の表示なし)、走行路25(図には番号の表示なし)、右棚35(図には番号の表示なし)、シャトル55(図には番号の表示なし)、リフタ105(図には番号の表示なし)を1つのアイルとして構成され、作業員P5が待機する作業ステーション75(図には番号の表示なし)に接続されている。左棚15に商品aが保管されているアイテムと、商品eが保管されているアイテム、右棚35に商品fが保管されているアイテムが配置されている。
【0045】
アイル1006は、左棚16(図には番号の表示なし)、走行路26(図には番号の表示なし)、右棚36(図には番号の表示なし)、シャトル56(図には番号の表示なし)、リフタ106(図には番号の表示なし)を1つのアイルとして構成され、作業員P6が待機する作業ステーション76(図には番号の表示なし)に接続されている。左棚16に商品bが保管されているアイテムと、商品dが保管されているアイテムと、右棚36に商品kが保管されているアイテムとが配置されている。
【0046】
ただし、自動倉庫1のアイル、および作業ステーションは、6つの構成に限定されず、2以上であれば、いくつ設けてもよい。
【0047】
また、これらの複数のアイル1001-1006を含む自動倉庫1は、自動倉庫制御部Cを有し、アイテムの出庫順(順立)、商品の補充、前工程や後工程との情報伝達などの機能を果たしている。
【0048】
制御部Cのハードウエアの構成としては、CPU、記憶部、入力部、出力部などを有するサーバが好適であるが、倉庫全体の制御を行うWMSの一部であってもよく、クラウドコンピューティングによる構成でもよい。
【0049】
また、以下では、商品が保管されているアイテムを、単に商品、あるいは保管されている商品と表現することがある。
【0050】
シャトル51、52、53、54、55は、棚間移送部の一例である多段アーム機能(多段の伸縮機構)を備え、アイルの左右の棚に商品を移送する。さらに、各アイルに対して背面配置の棚に対しても、多段アーム機能により商品を移送することが可能である。後述するアイル間の商品移送および仮置きの手順は、一実施例であり限定はされない。
【0051】
<運用>
通常の運用においては、制御部Cの機能により、各アイルに、そのアイルの1日に処理する分、あるいは1作業者が処理する分が、保管されており、アイル間の棚間移動は必要がないように運用されている。ここで、いずれかのアイルのリフタが故障した場合を考える。
【0052】
図3は本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合についての運用形態を説明する図である。図に示すように、アイル1003のリフタ103がリフタ故障したため、アイル1003の左棚13に保管されている商品fと、商品gと、右棚33に保管されている商品hは、P3の作業ステーション73に出庫できない。
【0053】
ここで、アイル1004が使用されておらず、空きスペースがあるとき、シャトル53の多段アーム機能により、商品fはアイル1004の左棚14に、商品gはアイル1004の左棚14に移送される。商品hは、アイル1004のシャトル54の多段アーム機能により、アイル1004の右棚34に移送される。商品f、商品g、商品hは、リフタ104から作業ステーション74に搬送され、作業ステーション74に移った作業員P3により集品される。
【0054】
図4は本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合についての別の運用形態を説明する図である。図に示すように、アイル1003のリフタ103がリフタ故障したため、アイル1003の左棚13に保管されている商品fと、商品gと、右棚33に保管されている商品hは、作業員P3の作業ステーション73に出庫できない。他のアイルの棚の空きスペースを検索し、アイル1005に空きスペースがあるとき、シャトル53の多段アーム機能により、商品f、商品gはアイル1004の左棚14に仮置きされる、または、アイル1003の右棚33に仮置きされ、シャトル54の多段アーム機能により、商品f、商品gはアイル1005の左棚15に移送される。商品hはアイル1003の右棚33から、シャトル54の多段アーム機能により、アイル1004の右棚34、またはアイル1005の左棚15に移送され、シャトル55の多段アーム機能によりアイル1005の右棚35に移送される。リフタ105から作業ステーション75に搬送され、作業員P5の作業が終了した後で、移動してきた作業員P3により集品される。
【0055】
なお、この場合、元々の作業員P3の作業を作業員P5が代行するようにしても構わない。また、元々のアイル1005での作業員P5の作業より、アイル1003から棚間移送された商品の集品作業を急ぐ場合は、順序を変更してもよい。
【0056】
図5は本発明の一実施形態による自動倉庫におけるリフタ故障した場合について、更に別の運用形態を説明する図である。図に示すように、アイル1003のリフタ103がリフタ故障しているため、アイル1003の左棚13に保管されている商品fと、商品gと、右棚33に保管されている商品hは、P3の作業ステーション83に出庫できない。他のアイルの棚に空きスペースを検索し、アイル1001に空きスペースがあるとき、シャトル52の多段アーム機能により、商品fはアイル1002の左棚12に仮置きされる、または、アイル1001の右棚31に仮置きされ、シャトル51の多段アーム機能により、アイル1001の左棚11に移送され、リフタ101から作業ステーション71に搬送され、作業員P1、あるいは移動してきた作業員P3により集品される。商品gはシャトル53の多段アーム機能により、アイル1004の左棚14に移送され、リフタ104から作業ステーション74に搬送され、作業員P4、あるいは移動してきた作業員P3により集品される。商品hはシャトル53の多段アーム機能により、アイル1002の右棚32に仮置きされ、シャトル52の多段アーム機能により、アイル1001右棚31に移送され、リフタ101から作業ステーション71に搬送され、作業員P1、あるいは移動してきた作業員P3により集品される。
【0057】
この場合、商品fと商品hとは同一仕向け先に向け、同梱されるものであるため、同一のアイルに移送されることが望ましい。
【0058】
なお、これまでの説明で、理解を容易にするために、棚間移動させる商品を、各アイルの同一位置に移動させるように表現したが、所望のアイルの中であれば、同一位置であることを要しない。
【0059】
なお、作業員によって集品、あるいはピッキングされた商品は、図示しないコンベヤや無人台車(AGV、AMR)などで運ばれてくる集品箱あるいは出荷箱などに投入され、後工程に送られる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の各態様に係る物流システムは、物流の自動倉庫におけるリフタという主要部分に障害が発生しても、作業が継続できるようにしたから、物流業界において、広く産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0061】
1 自動倉庫
S 自動倉庫制御部
11-16 左側棚
21-26 走行路
31-36 右側棚
41-46 仮置きコンベヤ
51-56 シャトル
61-66 出庫コンベヤ
71-76 作業ステーション
81-86 再入庫コンベヤ
101-106 リフタ
111-116 シャトル置台