(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171343
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】計器用変圧器
(51)【国際特許分類】
H01F 38/26 20060101AFI20241204BHJP
H01F 38/38 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01F38/26
H01F38/38
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024104037
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2022545154の分割
【原出願日】2020-12-28
(31)【優先権主張番号】102020200986.4
(32)【優先日】2020-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】524190070
【氏名又は名称】ハーエスペー ホッホシュパンヌングスゲレーテ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】クナープ,ヴォルフガング
【テーマコード(参考)】
5E081
【Fターム(参考)】
5E081AA02
5E081AA11
5E081BB08
5E081CC21
5E081DD30
5E081EE14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】開閉装置からの電気絶縁性を改善する計器用変圧器を提供する。
【解決手段】三相交流電圧用の計器用変圧器1は、カプセルハウジング3と、3つの一次巻線5と、3つの二次巻線と、3つの電極7と、3つのマグネットコア9と、3つのフィードスルー接点11と、支持要素13と、3つの導電性の接触コンポーネント15と、を備える。カプセルハウジングは、支持シャフト31の回転軸線35に対して回転対称なハウジング外殻17と、ハウジングカバー19と、ブッシング21とを備え、ハウジングカバーとブッシングによって閉鎖されている。複数の接触コンポーネントは、支持プレート33上に配置されており、各接触コンポーネントには1つの一次巻線及び1つのフィードスルー接点が関連付けられており、接触コンポーネントによって、支持要素の第1の終端位置では互いに電気的に接続され、支持要素の第2の終端位置では互いに電気的に分離される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一次巻線(5)と、
それぞれの前記一次巻線(5)に対応して設けられた、前記一次巻線(5)の一端に電気的に接続された1つの電極(7)と、前記一次巻線(5)から離間した1つの電気的なフィードスルー接点(11)と、
第1の終端位置と第2の終端位置との間で回転軸(35)を中心に回転可能な支持要素(13)と、
それぞれの前記一次巻線(5)に対応して設けられ、前記支持要素(13)上に配置された1つの導電性の接触コンポーネント(15)であって、前記接触コンポーネント(15)に前記一次巻線(5)およびそれに対応した前記フィードスルー接点(11)が関連付けられており、前記接触コンポーネント(15)が前記一次巻線(5)の電極(7)を、前記支持要素(13)の第1の終端位置において前記フィードスルー接点(11)に電気的に接続し、前記支持要素の第2の終端位置において前記フィードスルー接点(11)から電気的に分離する、接触コンポーネント(15)と、
を有する計器用変圧器(1)であって、
前記接触コンポーネント(15)が少なくとも1つの転動接点(43、45、75)を有し、前記支持要素(13)の前記第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)が前記転動接点(43、45、75)を介して前記一次巻線(5)の電極(7)または前記フィードスルー接点(11)に接触する、
ことを特徴とする計器用変圧器(1)。
【請求項2】
それぞれの前記接触コンポーネント(15)が第1の転動接点(43、75)および第2の転動接点(45、75)を有し、
前記第1の転動接点(43、75)が、前記支持要素(13)の第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた一次巻線(5)の電極(7)に接触し、
前記第2の転動接点(45、75)が、前記支持要素(13)の第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた前記フィードスルー接点(11)に接触する、
ことを特徴とする請求項1に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項3】
少なくとも1つの転動接点(43、45)が導電性の外側リング(49)を備えたローラベアリング(47)を有し、
前記外側リング(49)が、前記支持要素(13)の前記第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた前記一次巻線(5)の前記電極(7)または前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた前記フィードスルー接点(11)に接触する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項4】
前記ローラベアリング(47)を有する前記転動接点(43、45)のそれぞれが導電性の保持部(51)を有し、
前記保持部(51)内に前記ローラベアリング(47)が配置されており、
前記保持部(51)が前記ローラベアリング(47)の前記外側リング(49)に摺動接点(53)により電気的に接続されている、
ことを特徴とする請求項3に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項5】
少なくとも1つの前記転動接点(75)が、導電性の滑り軸受(77)内に支承された導電性ボール(79)を有し、
前記導電性ボール(79)が、前記支持要素(13)の前記第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた前記一次巻線(5)の前記電極(7)または前記接触コンポーネント(15)に関連付けられた前記フィードスルー接点(11)に
接触する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項6】
接触コンポーネント(15)の各転動接点(43、45、75)が該接触コンポーネント(15)のベース本体(61)上に弾性的に支承されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項7】
前記接触コンポーネント(15)の前記転動接点(43、45、75)のそれぞれが少なくとも1つの板ばね要素(57)によって前記接触コンポーネント(15)のベース本体(61)上に弾性的に支持されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項8】
それぞれの前記板ばね要素が、前記板ばね要素(57)によって弾性的に支持された前記転動接点(43、45、75)を前記接触コンポーネント(15)の前記ベース本体(61)に電気的に接続することを特徴とする請求項7に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項9】
それぞれの前記転動接点(43、45、75)が、前記接触コンポーネント(15)のベース本体(61)の開口部(59)内に弾性的に支持されていることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項10】
3つの一次巻線(5)を有し、
前記3つの一次巻線(5)が前記支持要素(13)の前記回転軸(35)の周りに互いに離間して配置されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項11】
前記複数の一次巻線(5)が前記支持要素(13)の前記回転軸(35)を中心として互いに120°ずらして配置されており、
前記支持要素(13)は前記2つの終端位置の間で前記回転軸(35)を中心として60°回転することができる、
ことを特徴とする請求項10に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項12】
前記支持要素(13)が1つの支持プレート(33)および前記支持プレート(33)に結合された1つの支持シャフト(31)を有し、
前記支持プレート(31)上にそれぞれの前記接触コンポーネント(15)が配置されており、
前記支持シャフト(31)が、前記支持プレート(33)に結合されるとともに、前記支持シャフト(31)を前記回転軸(35)が通っている、
ことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項13】
前記支持プレート(33)が、それぞれの前記一次巻線(5)が配置されている第1の空間領域と、それぞれの前記フィードスルー接点(11)が配置されている第2の空間領域との間の平面内に配置されていることを特徴とする請求項12に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項14】
それぞれの前記フィードスルー接点(11)が凸状の接触表面(29)を有し、
前記接触表面(29)が前記支持要素(13)の前記第1の終端位置において1つの転動接点(43、45、75)によって接触される、
ことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【請求項15】
カプセルハウジング(3)を有し、
前記カプセルハウジング(3)の内部にそれぞれの前記一次巻線(5)と、それぞれの前記フィードスルー接点(11)と、前記支持要素(13)と、それぞれの前記接触コンポーネント(15)が配置されている、
ことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の計器用変圧器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は計器用変圧器に関する。
【0002】
本発明は特に高圧開閉装置用の計器用変圧器に関する。このような計器用変圧器により、測定、保護または制御の目的のために、高電圧が比例的に、かつ、正しい位相精度でより低い値に変換される。この目的のために、誘導形の計器用変圧器は一般に、少なくとも1つのマグネットコアを有し、その回りに一次巻線および少なくとも1つの二次巻線が巻かれている。開閉装置の特別な動作状態では、例えば特定の試運転試験のためには、計器用変圧器を開閉装置の残りの部分から絶縁する必要がある。というのは、そうしなければ、計器用変圧器が破損したり破壊されたりする可能性があるからである。この目的のために、計器用変圧器は、例えば、計器用変圧器と開閉装置の残りの部分との間の電気的接続を分離することができる絶縁装置を有するとよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、開閉装置からの電気絶縁性が改善された計器用変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題は本発明に基づき、請求項1の特徴を有する計器用変圧器によって解決される。
【0005】
本発明の有利な形態は従属請求項の主題である。
【0006】
本発明による計器用変圧器は、
少なくとも1つの一次巻線と、
各一次巻線のための、その一次巻線の一端に電気的に接続された1つの電極と、その一次巻線から離間した1つの電気的なフィードスルー接点と、
第1の終端位置と第2の終端位置との間で回転軸を中心に回転可能な支持要素と、
各一次巻線のための、支持要素上に配置された1つの導電性の接触コンポーネントであって、この接触コンポーネントに一次巻線およびこれに対応したフィードスルー接点が関連付けられており、この接触コンポーネントは一次巻線の電極を、支持要素の第1の終端位置においてフィードスルー接点に電気的に接続し、支持要素の第2の終端位置においてフィードスルー接点から電気的に絶縁する、接触コンポーネントと、
を備え、
接触コンポーネントは少なくとも1つの転動接点を有し、支持要素の第1の終端位置において、接触コンポーネントがこの転動接点を介して一次巻線の電極またはフィードスルー接点に接触する。
【0007】
本発明による計器用変圧器により、この計器用変圧器の一次巻線とこれに関連付けられたフィードスルー接点との間の少なくとも1つの電流経路を、これらの電流経路のそれぞれに対し1つの接触コンポーネントが配置された支持要素を回転させることによって、開閉することが可能になる。この電流経路は、支持要素の第1の終端位置において接触コンポーネントによって閉じられ、支持要素の第2の終端位置において開かれる。この接触コンポーネントは転動接点によって、第1の終端位置において、一次巻線の一端に電気的に接続された電極または/およびフィードスルー接点と接触する。これにより有利に、接触コンポーネントと電極および/またはフィードスルー接点との間の摩擦が、例えば、接触コンポーネントと電極および/またはフィードスルー接点との間の摺動接点と比較して、低減する(滑り摩擦の代わりに転がり摩擦)。摩擦が小さいので、転動接点の摩耗は、例えば摺動接点に比べて減少する。
【0008】
本発明の一実施形態では、各接触コンポーネントは第1の転動接点および第2の転動接点を有し、第1の転動接点は支持要素の第1の終端位置において、この接触コンポーネントに関連付けられた一次巻線の電極に接触し、第2の転動接点は支持要素の第1の終端位置において、この接触コンポーネントに関連付けられたフィードスルー接点に接触する。
【0009】
言い換えると、本発明の前述の実施形態では、各接触コンポーネントが2つの転動接点を有し、第1の終端位置ではそのうちの1つが一次巻線の電極に接触し、他の1つがフィードスルー接点に接触し、第2の終端位置では、それぞれがその電極およびそのフィードスルー接点から分離されている。このようにして、各接触コンポーネントは有利に低摩擦の転動接点によって、一次巻線の電極とそれに関連付けられたフィードスルー接点との間の電気的接続を、電極側およびフィードスルー接点側の両方で、閉じたり開いたりする。
【0010】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つの転動接点が導電性の外側リングを備えたローラベアリングを有し、この外側リングが、支持要素の第1の終端位置において、この接触コンポーネントに関連付けられた一次巻線の電極またはこの接触コンポーネントに関連付けられたフィードスルー接点に接触する。すなわち、本発明のこの実施形態では、一次巻線の電極またはフィードスルー接点への転動接点の電気的接続はローラベアリングの外側リングを介して行われる。
【0011】
本発明の上記実施形態の更なる展開において、ローラベアリングを有する各転動接点は導電性の保持部を有し、この保持部内にローラベアリングが配置されており、この保持部はローラベアリングの外側リングに摺動接点により電気的に接続されている。外側リングと保持部との摺動接点を介した電気的接続により、例えば、急速な過渡現象による大電流により外側リングと保持部の間のギャップを通って生じるアークに起因して外側リングと保持部との間に溶着が生じるリスクが有利に回避される。
【0012】
本発明のさらなる実施形態では、少なくとも1つの転動接点は、導電性の滑り軸受内に支承された導電性のボールを有し、この導電性ボールが、支持要素の第1の終端位置において、その接触コンポーネントに関連付けられた一次巻線の電極またはその接触コンポーネントに関連付けられたフィードスルー接点に接触する。すなわち、本発明のこの実施形態では、一次巻線の電極への、または、フィードスルー接点への転動接点の電気的接続は滑り軸受内に支承されたボールによって行われる。
【0013】
本発明のさらなる実施形態では、接触コンポーネントの各転動接点は、その接触コンポーネントのベース本体上に弾性的に支承されている。これにより、一次巻線の電極またはフィードスルー接点に接触する際の接触コンポーネント上の転動接点の位置および転動接点の接触圧力を、電極またはフィードスルー接点の表面に柔軟に適応させることができる。
【0014】
本発明のさらなる実施形態では、接触コンポーネントの各転動接点は、少なくとも1つの板ばね要素によって接触コンポーネントのベース本体上に弾性的に支承されている。さらに、各板ばね要素は、その板ばね要素によって弾性的に支承された転動接点を接触コンポーネントのベース本体に電気的に接続することができる。板ばね要素による転動接点の弾性的な支承および転動接点の接触コンポーネントのベース本体への電気的接続は、例えば螺旋ばねの使用と比べて、板ばね要素のインダクタンスが小さいという利点を有する。
【0015】
本発明の前述の実施形態のさらなる展開において、各転動接点は接触コンポーネントのベース本体の開口部内に弾性的に支承されている。さらに、内部に転動接点が弾性的に支承されている接触コンポーネントのベース本体内の各開口部は、外側表面が凸状であるベース本体の壁で囲むことができる。接触コンポーネントのベース本体の開口部内で転動接点を支承することによって、この転動接点を有利に保護することができる。開口部を囲んでいる適切な凸状外側表面を有する周囲壁を貫いて開口部を作ることにより、さらに、有利に転動接点の電気シールドが得られる。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、計器用変圧器は3つの一次巻線を有し、これらの一次巻線は支持要素の回転軸の周りに互いに離間して配置されている。特に、これらの一次巻線は支持要素の回転軸を中心として互いに120°ずらして配置することができ、さらに、この支持要素は2つの終端位置の間で回転軸を中心として60°回転することができる。本発明のこれらの形態により、特に三相交流電圧に適した計器用変圧器の設計が実現できる。
【0017】
本発明のさらなる実施形態では、この支持要素は1つの支持プレートおよびこの支持プレートに結合された1つの支持シャフトを有し、その支持プレート上に各接触コンポーネントが配置され、その支持シャフトを回転軸が通っている。この支持プレートは、例えば、各一次巻線が配置されている第1の空間領域と、各フィードスルー接点が配置されている第2の空間領域との間の平面内に配置されている。本発明のこれらの構成により、幾何学的に単純で目的に適った支持要素の設計および配置を実現することができる。
【0018】
本発明のさらなる実施形態では、各フィードスルー接点は凸状の接触表面を有し、この接触表面は、支持要素の第1の終端位置において1つの転動接点によって接触される。本発明のこの形態により有利に、フィードスルー接点の転動接点との滑らかな接続ないし転動接点からの滑らかな分離が可能となる。
【0019】
本発明のさらなる実施形態では、計器用変圧器はカプセルハウジングを有し、その内部に各一次巻線、各フィードスルー接点、前記支持要素および各接触コンポーネントが配置されている。これにより、計器用変圧器の構成要素を、計器用変圧器の周囲の水分などの悪条件から有利に保護することができる。さらに、このカプセルハウジングは、絶縁ガスで充填するために、必要に応じてガス密にすることができる。
【0020】
本発明の上述した特性、特徴および利点、並びに、それらが達成される方法を、図面と共に以下の複数の実施例に基づきより明確に、より分かり易く説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図2】
図1に示す計器用変圧器の接触コンポーネントの部分の斜視図
【
図3】
図1に示す計器用変圧器の接触コンポーネントの断面図
【
図5】計器用変圧器の第2の実施例における転動接点の模式図これらの図面中で同一部品には同一参照符号が付されている。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1(FIG1)は、計器用変圧器1の第1の実施例の斜視図である。この計器用変圧器1は、1つのカプセルハウジング3と、3つの一次巻線5と、3つの二次巻線と、3つの電極7と、3つのマグネットコア9と、3つのフィードスルー接点11と、1つの支持要素13と、3つの導電性の接触コンポーネント15とを備えている。この計器用変圧器1は三相交流電圧用に設計されている。
【0023】
カプセルハウジング3は破断面で示されており、1つのハウジング外殻17と、1つのハウジングカバー19と、1つのブッシング21とを備えている。ハウジング外殻17の上部はハウジングカバー19によって、下部はブッシング21によって閉鎖されている。ハウジング外殻17のブッシング側にはフランジ23があり、その上にブッシング21が配置されている。ハウジング外殻17はハウジングカバー19とブッシング21とに、それぞれねじ結合部25,27によって結合されている。二次巻線、一次巻線5、電極7、マグネットコア9、フィードスルー接点11、接触コンポーネント15および支持要素13は、カプセルハウジング3内に配設されている。
【0024】
これらのフィードスルー接点11はブッシング21上に配置されていて、それぞれブッシング21を通して外部と電気的に接触させることができ、それにより、フィードスルー接点11を例えば開閉装置の電気ケーブルに接続することができる。各フィードスルー接点11は、ハウジングカバー19を向いた凸状の接触表面29を有している。
【0025】
支持要素13は、支持シャフト31と、この支持シャフト31上に配置された支持プレート33とを備えている。支持要素13は第1の終端位置と第2の終端位置の間で、支持シャフト31の長手軸線と一致する回転軸線35を中心として、60°回転させることができる。
【0026】
ハウジング外殻17は、ハウジングカバー19とブッシング21の略中心を通っている回転軸線35に対して基本的に回転対称である。
【0027】
各マグネットコア9は1つの脚部を有し、その周りに二次巻線の1つおよび一次巻線5の1つが巻かれている。この場合、一次巻線5が二次巻線の周囲に巻かれているので、二次巻線は
図1では見えない。これらの二次巻線および一次巻線5によって囲まれた複数のマグネットコア9の脚部は、回転軸線35に垂直な平面内で回転軸線35の周りに星形に、互いに120°ずれて配置されている。各一次巻線5の一端は電極7と接続されており、この電極は一次巻線5の中央部の周囲に配置されている。
【0028】
支持要素13の支持プレート33は、複数の一次巻線5が配置された第1の空間領域と複数のフィードスルー接点11が配置された第2の空間領域との間の平面内に配置されている。
【0029】
複数の接触コンポーネント15が支持プレート33上に配置されている。各接触コンポーネント15には1つの一次巻線5および1つのフィードスルー接点11が関連付けられており、これらはこの接触コンポーネント15によって、支持要素13の第1の終端位置では互いに電気的に接続され、支持要素13の第2の終端位置では互いに電気的に分離されている。
図1に示す計器用変圧器1の接触コンポーネント15を、
図2から4に基づき詳細に説明する。
【0030】
ハウジングカバー19には、支持要素13を回転させるための機構37および計器用変圧器1用の接続箱39が配置されている。この機構37はレバー41を含み、このレバーによって支持要素13を手動でその2つの終端位置間で回転させることができる。
【0031】
図2(FIG2)は、
図1に示された計器用変圧器1の接触コンポーネント15の部分の斜視図である。
【0032】
図3(FIG3)および
図4(FIG4)は、
図1に示す計器用変圧器1の接触コンポーネント15を示す。
図3は接触コンポーネント15の断面図であり、
図4は接触コンポーネント15の斜視図である。
【0033】
この接触コンポーネント15は、2つの転動接点43、45を備えている。各転動接点43、45は、導電性の外側リング49を備えた1つのローラベアリング47を有する。支持要素13の第1の終端位置において、第1の転動接点43の外側リング49は、この接触コンポーネント15に関連付けられた一次巻線5の電極7に接触する。支持要素13の第1の終端位置において、第2の転動接点45の外側リング49は、接触コンポーネント15に関連付けられたフィードスルー接点11の接触表面29に接触する。さらに、各転動接点43、45は導電性の保持部51を有し、この保持部51の内部にローラベアリング47が配置されており、この保持部は摺動接点53によってローラベアリング47の外側リング49と電気的に接続されている。この摺動接点53はばね接点として形成されており、このばね接点はねじ結合部55によって保持部51に固定され、与圧をかけられて外側リング49に当接している。
【0034】
各転動接点43、45は、接触コンポーネント15の導電性のベース本体61の開口部59内で板ばね要素57によって弾性的に支承されている。また、この板ばね要素57は、ローラベアリング47の保持部51をベース本体61に電気的に接続している。この場合、転動接点43、45は開口部59内でガイド63によりガイドされ、板ばね要素57はガイド63の外側で開口部59の開口底部65からローラベアリング47の保持部51まで延びている。ガイド63はねじ結合部67によってベース本体61に固定されている。
【0035】
接触コンポーネント15のベース本体61の複数の開口部59は、それぞれ、ベース本体61の、凸状の外側表面71を有する壁69によって囲まれている。これらの接触コンポーネント15は、ネジ結合部73で支持プレート33に固定されている。
【0036】
図5(FIG5)は、計器用変圧器1の第2の実施例における接触コンポーネント15の転動接点75を模式的に示す。この転動接点75は、導電性の滑り軸受77に支承された導電性のボール79を有し、ここでは、滑り軸受77は断面図で示されている。第2の実施例は、転動接点75の設計を除けば、
図1から
図4に示された計器用変圧器1の第1の実施例と同じである。すなわち、第2の実施例の各接触コンポーネント15は2つの転動接点75を有し、これらは
図1から
図4に示された実施例の転動接点43、45と同様に、それぞれ、接触コンポーネント15のベース本体61の開口部59の内部で弾性的に支承されている。
【0037】
本発明を好ましい複数の実施例によって図示し詳細に説明してきたが、本発明は、開示された実施例によって限定されるものではなく、当業者ならばそこから他の変形例を、本発明の保護範囲から逸脱することなく、導出することができる。他の実施例では、計器用変圧器1は、例えば、マグネットコア9の星形配置の代わりに正三角形の3辺に沿った配置とすることができ、または、3個以外のマグネットコアおよび/または一次巻線5を有することができる。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの一次巻線(5)と、
それぞれの前記一次巻線(5)に対応して設けられた、前記一次巻線(5)の一端に電気的に接続された1つの電極(7)と、前記一次巻線(5)から離間した1つの電気的なフィードスルー接点(11)と、
第1の終端位置と第2の終端位置との間で回転軸(35)を中心に回転可能な支持要素(13)と、
それぞれの前記一次巻線(5)に対応して設けられ、前記支持要素(13)上に配置された1つの導電性の接触コンポーネント(15)であって、前記接触コンポーネント(15)に前記一次巻線(5)およびそれに対応した前記フィードスルー接点(11)が関連付けられており、前記接触コンポーネント(15)が前記一次巻線(5)の電極(7)を、前記支持要素(13)の第1の終端位置において前記フィードスルー接点(11)に電気的に接続し、前記支持要素の第2の終端位置において前記フィードスルー接点(11)から電気的に分離する、接触コンポーネント(15)と、
を有する計器用変圧器(1)であって、
前記接触コンポーネント(15)が少なくとも1つの転動接点(43、45、75)を有し、前記支持要素(13)の前記第1の終端位置において、前記接触コンポーネント(15)が前記転動接点(43、45、75)を介して前記一次巻線(5)の電極(7)または前記フィードスルー接点(11)に接触する、
ことを特徴とする計器用変圧器(1)。
【外国語明細書】