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特開2024-171345情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171345
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、情報処理プログラム、および情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G04G 13/02 20060101AFI20241204BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20241204BHJP
   A61B 5/11 20060101ALN20241204BHJP
【FI】
G04G13/02 Z
A61B5/16 130
A61B5/11 110
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139934
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2023211161の分割
【原出願日】2019-12-25
(31)【優先権主張番号】P 2018248120
(32)【優先日】2018-12-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519459148
【氏名又は名称】南 紀之
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大菅 星哉
(72)【発明者】
【氏名】高取 純一
(72)【発明者】
【氏名】服部 定良
(72)【発明者】
【氏名】山川 隼平
(72)【発明者】
【氏名】松田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】近藤 誠宏
(57)【要約】
【課題】ユーザの睡眠状態およびユーザの現在の身体の状態に応じた処理を実行可能な新たな構成を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部と、検知部からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、検知部からの出力に基づいて、ユーザの現在の身体の状態を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部と、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行する処理実行部とを含む。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部と、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部と、
前記睡眠状態測定部により測定される前記ユーザの睡眠状態、および、前記ユーザ状態測定部により測定される前記ユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行する処理実行部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記検知部は、ドップラーセンサを含み、
前記睡眠状態測定部は、前記ドップラーセンサからの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定し、
前記ユーザ状態測定部は、前記ドップラーセンサからの出力に基づいて、前記ユーザ状態を測定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記睡眠状態測定部および前記ユーザ状態測定部は、前記検知部からの出力に対して、並列的に測定を実行する、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ユーザ状態は、前記ユーザが動作中および静止中のいずれであるかの情報を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記ユーザ状態は、前記ユーザが前記検知部の測定範囲内に存在しているか否かの情報を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記処理実行部は、前記睡眠状態測定部により測定される前記ユーザの睡眠状態、および、前記ユーザ状態測定部により測定される前記ユーザ状態の両方に基づいて、前記所定処理を実行する、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記所定処理は、前記ユーザに対する音声アラームに関する処理を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記ユーザ状態測定部は、前記ユーザ状態として、前記ユーザが就寝する範囲として設定された就寝範囲内に前記ユーザが存在しているか否かを測定する、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記処理実行部は、音声アラームの出力中において、前記ユーザが前記就寝範囲内に存在していないと判定された期間が第1の所定時間以上になると、当該出力中の音声アラームの音量を低減する、請求項8に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記処理実行部は、音声アラームの出力中において、前記ユーザが前記就寝範囲内に存在していないと判定された期間が第2の所定時間以上になると、当該出力中の音声アラームを停止する、請求項8または9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記所定処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含み、
前記処理実行部は、前記予め設定された時刻が到来したときに、前記ユーザが前記就寝範囲内に存在していないと判定されると、音声アラームに代えて、第1の音声メッセージを出力する、請求項8~10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの体動を検知する体動検知部をさらに備える、請求項11に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記処理実行部は、前記第1の音声メッセージを出力した後に、前記体動検知部により前記ユーザの体動が検知されると、音声アラームの出力を延期する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
前記処理実行部は、前記第1の音声メッセージを出力した後に、前記体動検知部により前記ユーザの体動が待機時間において検知されなければ、前記所定処理の実行を終了する、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項15】
前記所定処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含み、
前記処理実行部は、前記予め設定された時刻が到来したときに、前記睡眠状態測定部により前記ユーザが起床していると判定されると、音声アラームに代えて、第2の音声メッセージを出力する、請求項8~10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項16】
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの体動を検知する体動検知部をさらに備える、請求項15に記載の情報処理装置。
【請求項17】
前記処理実行部は、前記第2の音声メッセージを出力した後に、前記体動検知部により前記ユーザの体動が検知されると、音声アラームを出力する処理を終了する、請求項16に記載の情報処理装置。
【請求項18】
前記処理実行部は、前記第2の音声メッセージを出力した後に、前記体動検知部により前記ユーザの体動が検知されなければ、音声アラームを出力する、請求項16または17に記載の情報処理装置。
【請求項19】
前記所定処理は、前記ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったと判定されると、音声アラームを出力する処理を含む、請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項20】
前記処理実行部は、前記睡眠状態測定部による測定結果に基づいて算出されるスコアに基づいて、前記ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったか否かを判定する、請求項19に記載の情報処理装置。
【請求項21】
ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部と、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、
前記睡眠状態測定部により逐次測定される睡眠状態に基づいて、所定のリアルタイム処理を実行する処理実行部とを備える、情報処理装置。
【請求項22】
前記睡眠状態測定部は、前記ユーザについて少なくとも睡眠開始から覚醒までの測定期間の前記出力を蓄積したデータに基づいて、当該測定期間の睡眠状態を算出する、請求項21に記載の情報処理装置。
【請求項23】
前記所定のリアルタイム処理はアラームの制御についてのものである、請求項21または22に記載の情報処理装置。
【請求項24】
前記所定のリアルタイム処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出
力する処理を含み、
前記処理実行部は、前記予め設定された時刻よりも前に前記睡眠状態が所定の状態になったことに応じて前記リアルタイム処理を行う、請求項23に記載の情報処理装置。
【請求項25】
前記リアルタイム処理は、音声出力を制御するものである、請求項21~24のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項26】
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部をさらに備え、
前記睡眠状態測定部および前記ユーザ状態測定部は、前記検知部からの出力に対して、並列的に測定を実行する、請求項21~25のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項27】
前記ユーザ状態は、前記ユーザの存在または不在を表すものである、請求項26に記載の情報処理装置。
【請求項28】
前記ユーザ状態は、前記ユーザの動作中または静止中を表すものである、請求項26または27に記載の情報処理装置。
【請求項29】
ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部を有する情報処理装置における情報処理方法であって、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定するステップと、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するステップと、
測定される前記ユーザの睡眠状態、および、測定される前記ユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行するステップとを備える、情報処理方法。
【請求項30】
ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部を備えるコンピュータで実行される情報処理プログラムであって、前記情報処理プログラムは前記コンピュータに、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定するステップと、
前記検知部からの出力に基づいて、前記ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するステップと、
測定される前記ユーザの睡眠状態、および、測定される前記ユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行するステップとを実行させる、情報処理プログラム。
【請求項31】
ユーザの動きに応じた信号を出力する検知装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
前記検知装置からの出力に基づいて、前記ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、
前記検知装置からの出力に基づいて、前記ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部と、
前記睡眠状態測定部により測定される前記ユーザの睡眠状態、および、前記ユーザ状態測定部により測定される前記ユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行する処理実行部とを含む、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ユーザの睡眠状態を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ユーザ(利用者)の呼吸、心拍、体動などの生体信号を処理して生体の睡眠深度を判定する技術が提案されている(例えば、特開2014-14708号公報を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-14708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術は、ユーザの体動や睡眠深度などを測定し、その測定結果を利用した処理を実行するのみであり、ユーザの位置や動きなどについては何ら着目するものではなかった。本開示の目的は、ユーザの睡眠状態やユーザの位置や動きに応じた処理を実行可能な新たな構成を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ある実施の形態に従う情報処理装置は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部と、検知部からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、検知部からの出力に基づいて、ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部と、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行する処理実行部とを含む。
【0006】
本構成によれば、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、ユーザに適した処理を実行できる。
【0007】
検知部は、ドップラーセンサを含んでいてもよい。睡眠状態測定部は、ドップラーセンサからの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定し、ユーザ状態測定部は、ドップラーセンサからの出力に基づいて、ユーザ状態を測定するようにしてもよい。本構成によれば、同一のドップラーセンサを用いて、ユーザの睡眠状態およびユーザ状態の両方を測定できる。
【0008】
睡眠状態測定部およびユーザ状態測定部は、検知部からの出力に対して、並列的に測定を実行するようにしてもよい。本構成によれば、睡眠状態およびユーザ状態の測定結果を並列的に取得できるので、リアルタイムで処理を実現できる。
【0009】
ユーザ状態は、ユーザが動作中および静止中のいずれであるかの情報を含んでいてもよい。本構成によれば、ユーザ状態を用いることで、例えば、ユーザが十分に覚醒しているか否かなどの状態を測定できる。
【0010】
ユーザ状態は、ユーザが検知部の測定範囲内に存在しているか否かの情報を含んでいて
もよい。本構成によれば、ユーザ状態を用いることで、ユーザが実際に存在しているか否かを測定できる。
【0011】
処理実行部は、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の両方に基づいて、所定処理を実行するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザの睡眠状態およびユーザ状態の両方を用いて、より適切な処理を実行できる。
【0012】
所定処理は、ユーザに対する音声アラームに関する処理を含んでいてもよい。本構成によれば、起床アラームなどの音声アラームに関するサービスをユーザに提供できる。
【0013】
ユーザ状態測定部は、ユーザ状態として、ユーザが就寝する範囲として設定された就寝範囲内にユーザが存在しているか否かを測定するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザが離床しているのか否かを測定できる。
【0014】
処理実行部は、音声アラームの出力中において、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定された期間が第1の所定時間以上になると、所定処理として当該出力中の音声アラームの音量を低減するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザが離床している可能性が高い場合には、自動的に音声アラームの音量が低減される。
【0015】
処理実行部は、音声アラームの出力中において、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定された期間が第2の所定時間以上になると、所定処理として当該出力中の音声アラームを停止するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザが離床していると判断されると、自動的に音声アラームが停止される。
【0016】
所定処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。処理実行部は、予め設定された時刻が到来したときに、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定されると、音声アラームに代えて、第1の音声メッセージを出力するようにしてもよい。本構成によれば、目覚ましアラームの機能などを提供できる。
【0017】
情報処理装置は、検知部からの出力に基づいて、ユーザの体動を検知する体動検知部をさらに含んでいてもよい。本構成によれば、ユーザが活動状態しているのか、安静状態であるのかを測定できる。
【0018】
処理実行部は、第1の音声メッセージを出力した後に、体動検知部によりユーザの体動が検知されると、音声アラームの出力を延期するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザの明確な意思によって、音声アラームの出力を任意に延期できる。
【0019】
処理実行部は、第1の音声メッセージを出力した後に、体動検知部によりユーザの体動が待機時間において検知されなければ、所定処理の実行を終了するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザが離床している、あるいは、不在である場合には、音声アラームの不要な出力を回避できる。
【0020】
所定処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。処理実行部は、予め設定された時刻が到来したときに、睡眠状態測定部によりユーザが起床していると判定されると、音声アラームに代えて、第2の音声メッセージを出力するようにしてもよい。本構成によれば、起床しているユーザに対しては、起床のための音声アラームではなく、起床済のユーザに適した音声メッセージを提供できる。
【0021】
処理実行部は、第2の音声メッセージを出力した後に、体動検知部によりユーザの体動
が検知されると、音声アラームを出力する処理を終了するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザの体動によって音声アラームの出力が不要であると判定できる場合には、音声アラームの不要な出力を回避できる。
【0022】
処理実行部は、第2の音声メッセージを出力した後に、体動検知部によりユーザの体動が検知されなければ、音声アラームを出力するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザが起床していないと判定される場合には、起床させるために音声アラームを出力できる。
【0023】
所定処理は、ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったと判定されると、音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。本構成によれば、予め起床する時間を設定しなくても、十分に睡眠をとったと判定できる時点で、ユーザを起床させることができる。
【0024】
処理実行部は、睡眠状態測定部による測定結果に基づいて算出されるスコアに基づいて、ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったか否かを判定するようにしてもよい。本構成によれば、ユーザの睡眠の状態をスコアの形で数値化でき、それを客観的に利用できる。
【0025】
別の実施の形態に従う情報処理装置は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部と、検知部からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、睡眠状態測定部により逐次測定される睡眠状態に基づいて、所定のリアルタイム処理を実行する処理実行部とを含む。
【0026】
本構成によれば、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態に応じた処理をリアルタイムで実行できる。
【0027】
睡眠状態測定部は、ユーザについて少なくとも睡眠開始から覚醒までの測定期間の出力を蓄積したデータに基づいて、当該測定期間の睡眠状態を算出するようにしてもよい。本構成によれば、睡眠状態をより高い精度で測定できる。
【0028】
所定のリアルタイム処理はアラームの制御についてのものであってもよい。本構成によれば、ユーザの睡眠状態に応じてアラームを出力するような制御をリアルタイムで実行できる。
【0029】
所定のリアルタイム処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。処理実行部は、予め設定された時刻よりも前に睡眠状態が所定の状態になったことに応じてリアルタイム処理を行うようにしてもよい。本構成によれば、ユーザを起床させるための音声アラームを出力する処理をリアルタイムで実行できる。
【0030】
リアルタイム処理は、音声出力を制御するものであってもよい。本構成によれば、ユーザの睡眠状態などに応じて、ユーザに対して適切な音声を出力できる。
【0031】
情報処理装置は、検知部からの出力に基づいて、ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部をさらに含んでいてもよい。睡眠状態測定部およびユーザ状態測定部は、検知部からの出力に対して、並列的に測定を実行するようにしてもよい。本構成によれば、睡眠状態およびユーザ状態の測定結果の両方に応じた処理をリアルタイムで実行できる。
【0032】
ユーザ状態は、ユーザの存在または不在を表すものであってもよい。本構成によれば、
ユーザ状態を用いることで、ユーザが実際に存在しているか否かを測定できる。
【0033】
ユーザ状態は、ユーザの動作中または静止中を表すものであってもよい。本構成によれば、ユーザ状態を用いることで、例えば、ユーザが十分に覚醒しているか否かなどの状態を測定できる。
【0034】
さらに別の実施の形態に従えば、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部を有する情報処理装置における情報処理方法が提供される。情報処理方法は、検知部からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定するステップと、検知部からの出力に基づいて、ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するステップと、測定されるユーザの睡眠状態、および、測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行するステップとを含む。
【0035】
本構成によれば、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、ユーザに適した処理を実行できる。
【0036】
さらに別の実施の形態に従えば、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部を備えるコンピュータで実行される情報処理プログラムが提供される。情報処理プログラムはコンピュータに、検知部からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定するステップと、検知部からの出力に基づいて、ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するステップと、測定されるユーザの睡眠状態、および、測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行するステップとを実行させる。
【0037】
本構成によれば、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、ユーザに適した処理を実行できる。
【0038】
さらに別の実施の形態に従う情報処理システムは、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知装置と、制御装置とを含む。制御装置は、検知装置からの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定する睡眠状態測定部と、検知装置からの出力に基づいて、ユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定するユーザ状態測定部と、睡眠状態測定部により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、所定処理を実行する処理実行部とを含む。
【発明の効果】
【0039】
本開示によれば、ユーザの睡眠状態およびユーザの位置や動きに応じた処理を実行可能な新たな構成を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施の形態に従う睡眠管理システムの基本的な構成を示す概略ブロック図である。
図2】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の基本的な構成を示す概略ブロック図である。
図3】本実施の形態に従うサーバの基本的な構成を示す概略ブロック図である。
図4】本実施の形態に従う端末の基本的な構成を示す概略ブロック図である。
図5】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の利用形態の一例を示す概略図である。
図6】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の機能構成の一例を示す模式図である。
図7】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置のドップラーセンサの測定方式を説明するための図である。
図8】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置のドップラーセンサの検知信号をフーリエ変換した結果の一例を示す図である。
図9】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置のユーザの呼吸を対象にして距離を測定する方法を説明するための図である。
図10】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置における存在スコアを算出する方法を説明するための図である。
図11】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置における有効測定範囲および存在スコアの関係を説明するための図である。
図12】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置におけるユーザ状態を測定する方法を説明するための図である。
図13】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
図14】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の時刻アラームモードの動作例を示す状態遷移図である。
図15】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の時刻アラームモードにおける処理手順を示すフローチャートである。
図16】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の睡眠充足モードにおける処理手順を示すフローチャートである。
図17】本実施の形態に従う睡眠アラーム装置の時刻アラームモードにおける別の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0042】
本実施の形態における情報処理装置は、一例として睡眠アラーム装置として説明する。携帯型(可搬型とも言う)の装置であってもよいし、据置型の装置であってもよい。
【0043】
[A.睡眠管理システムの構成]
まず、本実施の形態に従う睡眠管理システム1の全体および各装置の構成例について概略する。
【0044】
(a1:睡眠管理システム1)
図1は、本実施の形態に従う睡眠管理システム1の基本的な構成を示す概略ブロック図である。図1を参照して、睡眠管理システム1は、睡眠アラーム装置2と、サーバ6と、端末8とを含み、互いにネットワーク4で接続されている。
【0045】
ネットワーク4を介して、睡眠アラーム装置2、サーバ6および端末8との間で情報の授受が可能になっている。ネットワーク4は、無線通信あるいは有線通信のいずれの方式を採用してもよい。
【0046】
睡眠アラーム装置2は、ユーザの睡眠を管理する。睡眠アラーム装置2は、ユーザを目覚めさせるためのアラーム機能を有するとともに、ユーザの動きに応じた信号を非接触で検知するセンサ機能を有している。睡眠アラーム装置2は、報知条件が満たされた場合に、報知部の一例であるスピーカ等からアラーム音を出力して報知動作を行い、報知停止条件が満たされた場合に、アラーム音の出力を停止する。
【0047】
サーバ6は、睡眠アラーム装置2で取得した睡眠データを保存する。
【0048】
端末8は、睡眠アラーム装置2のアラーム機能の設定とともに、ユーザの睡眠状態の情報を取得して表示する。端末8は、携帯電話やスマートフォンといった、携帯型(可搬型とも言う)の装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ等の据置型の装置であってもよい。
【0049】
(a2:睡眠アラーム装置2)
図2は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の基本的な構成を示す概略ブロック図である。図2を参照して、睡眠アラーム装置2は、時計20と、ディスプレイ21と、スピーカ22と、メモリ23と、通信装置24と、LED25と、照度センサ26と、CPU27と、マイク28と、入力装置29と、ドップラーセンサ30と、内部バス32とを含む。各部は、内部バス32で接続されている。
【0050】
CPU27は、プロセッサの一例であり、睡眠アラーム装置2で実行される各種の情報処理を実現するための情報処理部に相当する。CPU27は、メモリ23を用いて各種の情報処理を実行する。
【0051】
メモリ23は、睡眠アラーム装置2において実行される処理プログラム231を格納する。図2には、メモリ23が睡眠アラーム装置2に内蔵される記憶部である場合について例示されているが、例えば、光ディスクやカートリッジ等の、睡眠アラーム装置2に着脱可能な記憶媒体であってもよいし、これらの記憶部および記憶媒体の両方であってもよい。
【0052】
CPU27は、メモリ23に格納されている処理プログラム231に基づいて各種機能に係る処理および各種機能ブロックを実現する。
【0053】
時計20は、時刻を計時する機能を有する。ディスプレイ21は、時刻等の情報を表示する。スピーカ22は、報知音としてアラーム音を出力する。通信装置24は、ネットワーク4を介して外部の装置(例えば、サーバ6および端末8など)と通信するためのインターフェースである。LED25は、指示に従って点灯し、睡眠アラーム装置2の周囲を明るくする。マイク28は、外部からの音声入力を受け付ける。入力装置29は、各種の操作ボタンを有する。
【0054】
ドップラーセンサ30は、検知部の少なくとも一部を構成し、電波(マイクロ波)を測定対象に照射して、測定対象(典型的には、ユーザ)の動きに応じた信号(以下、「検知信号」とも称す。)を出力する。
【0055】
(a3:サーバ6)
図3は、本実施の形態に従うサーバ6の基本的な構成を示す概略ブロック図である。図3を参照して、サーバ6は、CPU60と、メモリ62と、通信装置64と、内部バス66とを含む。各部は、内部バス66で接続されている。
【0056】
CPU60は、プロセッサの一例であり、サーバ6で実行される各種の情報処理を実現するための情報処理部に相当する。CPU60は、メモリ62を用いて各種の情報処理を実行する。
【0057】
メモリ62は、サーバ6において実行される各種プログラムや、ユーザの就寝時にリアルタイムに測定された睡眠に関するデータなどを格納する。図3には、メモリ62がサーバ6に内蔵される記憶部である場合について例示されているが、例えば、光ディスクやカートリッジ等の、サーバ6に着脱可能な記憶媒体であってもよいし、これらの記憶部およ
び記憶媒体の両方であってもよい。
【0058】
通信装置64は、ネットワーク4を介して外部の装置(例えば、睡眠アラーム装置2および端末8など)と通信するためのインターフェースである。
【0059】
(a4:端末8)
図4は、本実施の形態に従う端末8の基本的な構成を示す概略ブロック図である。図4を参照して、端末8は、CPU80と、ディスプレイ82と、通信装置84と、メモリ86と、入力装置88と、内部バス89とを含む。各部は、内部バス89で接続されている。
【0060】
CPU80は、プロセッサの一例であり、端末8で実行される各種の情報処理を実現するための情報処理部に相当する。CPU80は、メモリ86を用いて各種の情報処理を実行する。
【0061】
メモリ86は、端末8において実行される各種プログラムを格納する。図4には、メモリ86が端末8に内蔵される記憶部である場合について例示されているが、例えば、メモリカード等の、端末8に着脱可能な記憶媒体であってもよいし、これらの記憶部および記憶媒体の両方であってもよい。
【0062】
通信装置84は、ネットワーク4を介して外部の装置(例えば、睡眠アラーム装置2およびサーバ6など)と通信するためのインターフェースである。
【0063】
入力装置88は、任意のボタン、キー、タッチパネルなどを含む。
【0064】
[B.睡眠アラーム装置2の利用形態]
次に、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の利用形態の位置例について説明する。
【0065】
図5は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の利用形態の一例を示す概略図である。図5を参照して、睡眠アラーム装置2は、ユーザのベッドBD等に隣接して配置される。
【0066】
睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からユーザに対して入射波を照射し、ユーザで入射波が反射して生じ得る反射波を受信する。そして、睡眠アラーム装置2は、照射した入射波および受信した反射波に基づいて、ユーザに関する各種情報を測定する。睡眠アラーム装置2の観測領域は、ユーザのベッドBDの所定領域(所定範囲)に対応する。
【0067】
睡眠アラーム装置2は、時計機能およびアラーム機能を有していてもよい。この場合、睡眠アラーム装置2は、報知条件が満たされた場合にスピーカ22からアラーム音を出力するようにしてもよい。また、ディスプレイ21には、一例として時計20が計時する現在時刻として「AM6:00」が表示されている。
【0068】
[C.機能構成]
次に、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の機能構成について説明する。睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30を用いて、ユーザに関する各種情報を測定可能になっている。
【0069】
ユーザに関する各種情報としては、(1)ユーザまでの距離、(2)ユーザの動きの大きさ、(3)ユーザの在否の確率、(4)ユーザの睡眠状態、(5)ユーザの位置や動き
(以下、「ユーザ状態」とも称す。)などを含む。これらの情報を利用して、各種処理が実行される。なお、これらの情報のすべてを測定できるようにする必要はなく、必要に応じて、適宜測定するための機能を実装すればよい。
【0070】
図6は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の機能構成の一例を示す模式図である。図6を参照して、睡眠アラーム装置2は、後述するような睡眠に関する各種処理を実行するために必要な情報を取得あるいは算出する。より具体的には、睡眠アラーム装置2は、その機能構成として、フーリエ変換部2701と、体動検知部2702と、第1距離測定部2703と、検知結果蓄積部2704と、第2距離測定部2705と、存在判定部2706と、設定受付部2707と、睡眠状態測定部2708と、ユーザ状態測定部2709と、睡眠状態蓄積部2710と、睡眠分析部2711と、処理実行部2720とを含む。
【0071】
これらの機能は、睡眠アラーム装置2のCPU27がメモリ23に格納あるいは展開された処理プログラム231を予め設定された順序で実行することで実現されてもよい。以下、睡眠アラーム装置2に含まれる各機能について詳述する。
【0072】
(c1:ドップラーセンサ30およびフーリエ変換部2701)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30を用いて、測定範囲内に存在する測定対象(典型的には、ユーザ)までの距離、および、当該測定対象の動きをリアルタイムに検知できるように構成されてもよい。
【0073】
ドップラーセンサ30は、測定対象に対して入射波を照射し、測定対象で入射波が反射して生じ得る反射波を受信する。測定対象が動くことにより、反射波の周波数が入射波の周波数から変化するという現象を利用して、測定対象であるユーザの動きに応じた信号を出力する。ドップラーセンサ30を用いた測定方式として、連続波(CW:Continuous Wave)方式や周波数変調連続波(FMCW:Frequency Modulated Continuous Wave)方式が知られている。本実施の形態においては、いずれの方式を採用してもよいが、典型例として、FMCW方式を採用した場合の処理について説明する。
【0074】
図7は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2のドップラーセンサ30の測定方式を説明するための図である。図7(a)を参照して、ドップラーセンサ30から照射する入射波の周波数を所定周期毎に繰り返し変化(スイープ)させる。図7には、中心周波数fを中心として、繰り返し周期T毎に周波数幅dfの範囲で単調変化(単調増加および単調減少)させる例を示す。すなわち、図7には、周波数がノコギリ歯状に変化する波形を示す。
【0075】
このような周波数を変化させることで、反射波の周波数も追従して変化することになる。但し、測定対象までの距離(すなわち、ドップラーセンサ30を基準とする測定対象の位置)および動きに応じて、入射波と反射波との間の遅延時間の大きさ、および、入射波と反射波との間の周波数差(ドップラーシフト)の大きさは変化する。
【0076】
ドップラーセンサ30内の混合器によって、送信波と反射波とを混合することで、中間周波数の検知信号が出力される。出力される検知信号は、図7(b)に示されるようなビート周波数fを主成分として含むことになる。ビート周波数fは、送信波と反射波との間の周波数差に相当するものであり、測定対象までの距離および測定対象の動きを反映する。ビート周波数fを主成分とする検知信号の時間波形をフーリエ変換することで、測定対象までの距離および測定対象の動きの大きさを示す情報を取得できる。
【0077】
図8は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2のドップラーセンサ30の検知信号をフーリエ変換した結果の一例を示す図である。図8を参照して、ドップラーセンサ30の検知信号をフーリエ変換することで、距離と動きとの関係を示す検知結果(距離-動き情報)を取得できる。より具体的には、図8に示すフーリエ変換の結果において、横軸は距離を示し、縦軸は動きの大きさを示す。なお、図8には、距離と動きの大きさとを連続的に示しているが、所定距離毎に区切られた区間毎に動きの大きさが規定されることもある。以下の説明では、各区間を特定する番号を「index」と呼ぶこともある。
【0078】
図8に示す検知結果の例では、2つのピークが現れており、それぞれのピークの位置が距離を示し、それぞれのピークの高さが動きの大きさを示す。図8に示す例では、距離d1および距離d2の位置に測定対象が存在することが分かる。
【0079】
フーリエ変換部2701は、ドップラーセンサ30の所定期間に亘る検知信号をフーリエ変換する。フーリエ変換の手法としては任意の手法を採用できるが、典型的には、FFT(Fast Fourier Transform)を採用してもよい。フーリエ変換の対象となる検知信号としては、周波数を増加させる区間に得られた時間波形と、周波数を減少させる区間に得られた時間波形とを分離してもよい。例えば、図7に示される繰り返し周期のうち、周波数を増加させる区間に得られた時間波形のみを1または複数まとめてフーリエ変換してもよいし、図7に示される繰り返し周期のうち、周波数を減少させる区間に得られた時間波形のみを1または複数まとめてフーリエ変換してもよい。
【0080】
フーリエ変換部2701から出力されるフーリエ変換の結果(距離-動き情報)は、繰り返し周期毎または繰り返し周期の整数倍毎に更新されることになる。以下の説明においては、フーリエ変換の結果(距離-動き情報)の各々を「フレーム」と称することもある。
【0081】
なお、フーリエ変換部2701は、ドップラーセンサ30の一部に組み入れられてもよい。そのため、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部としては、ドップラーセンサ30単体からなる構成であってもよいし、ドップラーセンサ30およびフーリエ変換部2701の両方を含むような構成であってもよい。また、複数のドップラーセンサ30を採用してもよい。
【0082】
(c2:体動検知部2702)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30を用いて、寝返りや手を振る動作のように、比較的大きい体動を検出できるようにしてもよい。ユーザの呼吸や心拍による微小な動きとは、例えば入射波と反射波の変化量や、周期性により区別することができる。
【0083】
本明細書において、寝返りや手を振る動作のように比較的大きいユーザの動きを「体動」と呼び、呼吸や心拍等の微小な動きと合わせて「動き」と呼ぶことがある。
【0084】
さらに睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からのユーザの動きに応じた検知信号に基づいて、ユーザの体動の大きさを検知できるように構成されてもよい。以下の説明においては、ユーザの体動の大きさを示す指標を「体動スコア」と称することもある。
【0085】
体動スコアは、ユーザの比較的大きな体の動き(ベッドに入る動作や寝返りなど)の発生確率を示す指標である。本実施の形態においては、ユーザが体を大きく動かすほど、体動スコアの値も大きくなるように設定される。
【0086】
体動検知部2702(図6)は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部からの出
力に基づいて、ユーザの体動を検知する。より具体的には、体動検知部2702は、フーリエ変換部2701から出力されるフーリエ変換の結果(距離-動き情報)を参照して、動きの大きさが最大であるピークを特定し、当該特定したピークの動きの大きさを、ユーザの体動の大きさ(体動スコア)として出力する。例えば、体動スコアは、0~1の小数値を含む範囲に正規化された値として出力するようにしてもよい。
【0087】
なお、検知精度を高めるために、特定されたピークの動きの大きさが予め設定されたしきい値を超える場合に限って、ユーザの体動があると判定して、ユーザの体動の大きさとして出力するようにしてもよい。すなわち、特定されたピークの動きの大きさが予め設定されたしきい値以下の場合には、ユーザの体動(体動スコア)を「0」と決定してもよい。
【0088】
図8に示すようなFMCW方式を用いた場合には、距離毎の信号の強さ(すなわち、動きの大きさ)を算出し、その算出された距離と動きの大きさとの関係において存在するピークを検知し、そのピークの動きの大きさから体動スコアを決定する。
【0089】
(c3:第1距離測定部2703および第2距離測定部2705)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からの出力に基づいて、測定対象であるユーザまでの距離を測定できるように構成されてもよい。このようなユーザまでの距離の測定方法として、以下に説明するような、動きの大きさを利用した2種類の測定方法の少なくとも一方を採用できる。
【0090】
より具体的には、ユーザの体動を対象にして距離を測定する方法(第1距離測定部2703)と、ユーザの呼吸を対象にして距離を測定する方法(検知結果蓄積部2704および第2距離測定部2705)との少なくとも一方を採用し得る。すなわち、第1距離測定部2703および第2距離測定部2705の少なくとも一方は、ドップラーセンサ30からの出力に基づいて、ユーザまでの距離を測定する距離測定部に相当する。
【0091】
(i)第1距離測定部2703
第1距離測定部2703は、図8に示すように、フーリエ変換部2701から出力される距離と動きとの関係を示す検知結果(距離-動き情報)に現れるピークを、ユーザの体動が検知された距離として特定し、ユーザまでの距離(図6において「距離(体動検知に基づく距離)」と標記される)として出力する。
【0092】
このようなユーザの体動を対象にして距離を測定することで、高速かつ精度の高い距離の測定を実現できる。
【0093】
(ii)検知結果蓄積部2704および第2距離測定部2705
第2距離測定部2705は、ユーザの呼吸などの小さな動きを対象にして距離を測定する。通常、ユーザの呼吸によって生じる動きの成分は相対的に小さいので、フレーム毎に測定することは難しい。そこで、第2距離測定部2705は、複数のフレームについての検知結果(距離-動き情報)を用いることで、測定精度を向上させる。
【0094】
図9は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2のユーザの呼吸を対象にして距離を測定する方法を説明するための図である。図9を参照して、所定期間においてそれぞれ取得された検知結果(距離-動き情報)を、距離毎に積算することで、積算検知結果を算出できる。例えば、所定期間としては、数~10数秒の期間において取得された検知結果を積算するようにしてもよい。
【0095】
そして、算出された積算検知結果を参照して、動き積算値の大きさが最大であるピーク
を特定し、当該特定したピークに対応する距離を、測定された距離(呼吸検知に基づく距離)として出力するようにしてもよい。また、当該特定したピークの大きさを小さな動きを示す値として出力するようにしてもよい。
【0096】
より具体的には、検知結果蓄積部2704は、各フレームの検知結果を所定期間に亘って蓄積する。なお、検知結果蓄積部2704は、例えば、リングバッファなどを用いて実装することで、各フレームの検知結果を蓄積すべき期間の間だけ保持し、その後は新たな検知結果で上書きされることで、自動的に削除することができる。第2距離測定部2705は、検知結果蓄積部2704に蓄積された所定期間の亘る検知結果に基づく動きの大きさを距離毎に積算することで、図9のような動き積算値のグラフを得る。そして、動き積算値のピークとなる距離(index)の値を距離(呼吸検知に基づく距離)として採用する。
【0097】
このような複数のフレームに亘る検知結果を積算して得られる積算検知結果を利用することで、体動が少ない状況であっても、当該ユーザまでの距離を正確に測定できる。すなわち、ユーザの小さな動きでも測定できる。
【0098】
(c4:存在判定部2706)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からの出力に基づいてユーザが測定範囲内に存在しているか否かを判定できるように構成されてもよい。存在判定部2706は、このようなユーザが測定範囲内に存在しているか否かを判定するための指標として、「存在スコア」を算出する。存在判定部2706は、第2距離測定部2705の測定結果(積算検知結果果)に基づいて、ユーザが存在しているか否かを判定する。
【0099】
存在スコアは、ドップラーセンサ30からの出力に基づいて、測定範囲内(あるいは、予め設定された有効測定範囲内もしくはユーザが任意に設定する有効測定範囲内)における動きの大きさを算出して、ユーザが測定範囲内に存在することの確からしさを示す指標である。例えば、存在スコアは、0~1の小数値を含む範囲に正規化された値として出力するようにしてもよい。
【0100】
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ユーザが存在していない環境では、第2距離測定部2705において算出される積算検知結果のグラフに特徴的な波形が現れるという、新たな知見を利用する。
【0101】
図10は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2における存在スコアを算出する方法を説明するための図である。図10を参照して、大きさや形状等の異なるいくつかの寝室について、ユーザが存在していない状態で実測を行い、それぞれの環境において積算検知結果を算出する。その算出したそれぞれの積算検知結果のグラフについて、各距離について、各グラフが示す動き積算値のうち最大のものを採用し、採用した各値により構成されるグラフを作成することで、不在モデルを予め決定する。
【0102】
このように作成された不在モデルと実測された積算検知結果とを比較して、その形状の類似度を評価することで、存在スコアを算出する。なお、不在モデルおよび積算検知結果をそれぞれ正規化した上で、類似度を算出するようにしてもよい。
【0103】
ユーザが測定範囲内に存在している可能性が高いほど、存在スコアは大きな値を示すように設計した場合には、不在モデルと積算検知結果との間の類似度が高いほど、存在スコアは小さい値を示すことになる。
【0104】
そのため、類似度および存在スコアをいずれも0~1の小数値を含む範囲に正規化した場合には、存在スコア=(1-類似度)として算出できる。
【0105】
上述の説明においては、不在モデルとの形状の類似度に基づいて存在スコアを算出する例を示したが、このような類似度を判定する方法に代えて、実測された積算検知結果が多くの位置(index)において不在モデルの値を上回らない場合に存在スコアが高くなるようにしてもよい。
【0106】
なお、測定対象のユーザ以外のユーザが測定範囲内に存在している場合も想定される。この場合、測定対象のユーザ以外のユーザを測定してしまうことになる。そこで、特定のユーザのみを測定対象とできるように、有効測定範囲を設定できるようにしてもよい。この場合、有効測定範囲は、ユーザが就寝する範囲として設定された就寝範囲に相当し、距離を測定可能な測定範囲よりも狭い範囲となる。
【0107】
設定受付部2707は、入力装置29あるいはマイク28からのユーザ入力に従って、有効測定範囲の設定をユーザから受け付ける。有効測定範囲は、予めデフォルト設定されていてもよいが、設定受付部2707により任意に設定あるいは変更できるようにしてもよい。
【0108】
存在判定部2706は、第2距離測定部2705により測定された距離(呼吸検知に基づく距離)が有効測定範囲外になると、ユーザ状態が不在であると判定する。
【0109】
通常、有効測定範囲は、睡眠アラーム装置2からの所定距離内(例えば、100cm)に設定される。測定されたユーザまでの距離がこの距離を超えている場合には、存在スコアは「0」に固定される。有効測定範囲としては、睡眠アラーム装置2からの距離の上限および下限の一方のみを定義してもよいし、上限および下限の両方を定義してもよい。以下では、基本的には、睡眠アラーム装置2からの距離の上限が設定される例について説明する。
【0110】
図11は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2における有効測定範囲および存在スコアの関係を説明するための図である。図11(a)には、積算検知結果に現れるピークの位置(index)が有効測定範囲内に存在する例を示す。図11(a)に示す例では、存在スコアは、ユーザが存在する可能性を示す何らかの値(≠0)を示す。
【0111】
これに対して、図11(b)には、積算検知結果に現れるピークの位置(index)が有効測定範囲外に存在する例を示す。図11(b)に示す例では、測定範囲にユーザが存在している可能性は高いものの、有効測定範囲内にユーザは存在しないと判定できるので、存在スコアは「0」に固定される。すなわち、存在判定部2706は、測定されたユーザまでの距離(距離(呼吸検知に基づく距離))が有効測定範囲内になければ、ユーザが存在しないと判定する。
【0112】
このような有効測定範囲を設定することで、例えば、睡眠アラーム装置2の測定範囲内に、測定対象のユーザおよび測定対象外のユーザが就寝しているような状況において、測定対象のユーザが先に起床した場合に、残った測定対象外のユーザを測定対象として測定し続けてしまうことにより、誤った測定結果を出力するような事態を回避できる。
【0113】
(c5:睡眠状態測定部2708)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からの出力に基づいてユーザの睡眠状態をリアルタイムに測定できるように構成されてもよい。より具体的には、睡眠状態測定部2708(図6)は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部か
らの出力に基づいて、ユーザの睡眠状態をリアルタイムに測定する。本実施の形態において、睡眠状態測定部2708は、検知部の一例であるドップラーセンサ30から出力される検知信号を利用して、ユーザの睡眠状態を測定する。
【0114】
ユーザの睡眠状態は、例えば、不在(absence)、覚醒(wake/presence)、浅い眠り(light sleep)、深い眠り(deep sleep)、および、レム睡眠(REM sleep)の5種類を含んでいてもよい。より少ない種類の分類であってもよいし、より多くの種類の分類であってもよい。
【0115】
典型的には、睡眠状態測定部2708は、機械学習の手法を用いて、予め作成された学習済みモデルを用いて実現してもよい。この場合、任意の被験者に対して、ドップラーセンサ30から入射波を照射して検知信号(あるいは、検知信号をフーリエ変換して得られる検知結果)を取得するとともに、並行して、当該被験者を公知の手法で測定して睡眠状態の値を取得する。検知信号あるいは検知結果に対応する睡眠状態の値をタグ付けすることで学習済みモデルを生成でき、生成された学習済みモデルを用いて公知の手法で学習済みモデルを生成できる。
【0116】
このような任意の方法で作成された学習済みモデルを用いることで、ドップラーセンサ30からの出力に基づいてユーザの睡眠状態をリアルタイムに測定するための睡眠状態測定部2708を実現できる。
【0117】
睡眠状態測定部2708で睡眠状態を逐次測定する場合(リアルタイム測定)には、睡眠開始から直前までの検知信号の一部または全部が用いられる。すなわち、睡眠状態を逐次測定する場合には、直前までの過去の一部または全部のデータを参照することになる。
【0118】
一方、睡眠状態測定部2708を用いることで睡眠状態を事後的に測定することもできる(ポストプロセス測定)。この場合には、ある睡眠状態を測定したい時刻の前後において測定された検知信号を用いることができる。睡眠状態の測定精度を高めるためには、ユーザの睡眠開始から覚醒までの検知信号の全部または一部を用いるようにしてもよい。
【0119】
ある期間に亘る検知信号を保持するために、睡眠状態測定部2708には、データ蓄積部2712を設けてもよい。睡眠状態測定部2708のデータ蓄積部2712は、ユーザが睡眠開始してから覚醒するまでの期間に亘る検知信号を保持できるように構成することが好ましい。このように、ポストプロセス測定においては、睡眠状態測定部2708は、ユーザについて少なくとも睡眠開始から覚醒までの測定期間の出力を蓄積したデータに基づいて、当該測定期間の睡眠状態を算出することになる。この算出される睡眠状態は、睡眠開始から覚醒までの測定期間の全部または一部に亘る時系列データとして出力されてもよい。なお、このポストプロセス測定は、睡眠状態測定部2708とは別の処理部が行うようにしてもよい。
【0120】
なお、図6には、フーリエ変換部2701から出力される検知結果(距離-動き情報)が睡眠状態測定部2708に入力される構成を例示するが、これに限らず、ドップラーセンサ30からの検知信号をそのまま睡眠状態測定部2708に入力するようにしてもよい。
【0121】
また、睡眠状態測定部2708には、存在判定部2706により算出される存在スコアが入力される。存在スコアは、ユーザが測定範囲(または有効測定範囲)に存在しているか否かを判定するための指標であり、この存在スコアの値が予め設定されたしきい値(例えば、0.05)未満になると、睡眠状態として「不在」を強制的に出力するようにしてもよい。上述したように、存在判定部2706は、第2距離測定部2705により測定さ
れる距離に基づいて、有効測定範囲内にユーザが存在する場合に限って、有効な存在スコアを出力する。このような存在スコアを利用することで、睡眠状態測定部2708は、第2距離測定部2705の測定結果に基づいて、第2距離測定部2705が測定可能な測定範囲よりも狭い有効測定範囲内に存在するユーザを対象として睡眠状態を測定することができる。言い換えれば、有効測定範囲外に存在するユーザについての睡眠状態を誤って測定することを防止できる。
【0122】
なお、図6には、存在判定部2706により算出される存在スコアの値が予め設定されたしきい値未満になると、睡眠状態として「不在」を出力する構成例を示すが、これに限らず、有効測定範囲内に存在するユーザを対象として睡眠状態を測定できるものであれば、どのような構成を採用してもよい。例えば、フーリエ変換部2701から出力される検知結果(距離-動き情報)のうち、有効測定範囲内にある成分のみを利用して睡眠状態を測定するようにしてもよい。
【0123】
以上のような睡眠状態測定部2708を採用することで、ドップラーセンサ30を用いてユーザの睡眠状態をリアルタイムに測定できる。
【0124】
(c6:ユーザ状態測定部2709)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30からの出力に基づいてユーザの位置および動きの少なくとも一方を示すユーザ状態を測定できるように構成されてもよい。このユーザ状態は、ユーザの睡眠状態とは異なるものとなる。ユーザ状態は、ユーザが動作中および静止中のいずれであるかの情報を含んでいてもよい。すなわち、ユーザ状態は、ユーザの動作中または静止中を表すものであってもよい。
【0125】
さらに、ユーザ状態は、ユーザがドップラーセンサを含む検知部の測定範囲内に存在しているか否かの情報(不在)を含むようにしてもよい。すなわち、ユーザ状態は、ユーザの存在または不存在を表すものであってもよい。その結果、ユーザ状態としては、例えば、動作中、静止中、不在の3種類を含んでいてもよい。
【0126】
典型的には、ユーザ状態測定部2709は、存在スコアおよび体動スコアに基づいて、いずれのユーザ状態であるかを判定する。
【0127】
図12は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2におけるユーザ状態を測定する方法を説明するための図である。図12を参照して、ユーザ状態測定部2709は、ユーザ状態の各状態に対応するステートマシーンSM1を保持している。具体的には、ステートマシーンSM1は、不在ステートST1と、動作中ステートST2と、静止中ステートST3とを含む。
【0128】
不在ステートST1には、動作中ステートST2への遷移TR1が規定されている。動作中ステートST2には、不在ステートST1への遷移TR2と、静止中ステートST3への遷移TR3とが規定されている。静止中ステートST3には、動作中ステートST2への遷移TR4と、不在ステートST1への遷移TR5とが規定されている。
【0129】
以下、それぞれの遷移条件について説明する。
【0130】
不在ステートST1から動作中ステートST2への遷移TR1は、ユーザが存在していることを条件として実行される。この遷移条件としては、例えば、存在スコアの値が予め設定されたしきい値TH1(例えば、0.95)を超えている状態が所定期間継続することを採用してもよい。しきい値TH1は、ユーザが存在しているとの可能性が十分に高いと考えられる存在スコアの値の範囲に基づいて決定されてもよい。
【0131】
動作中ステートST2から不在ステートST1への遷移TR2は、ユーザが存在していないことを条件として実行される。この遷移条件としては、例えば、存在スコアの値が予め設定されたしきい値TH2(例えば、0.05)未満である状態が所定期間継続することを採用してもよい。しきい値TH2は、ユーザが不在であるとの可能性が十分に高いと考えられる存在スコアの値の範囲に基づいて決定されてもよい。
【0132】
また、静止中ステートST3から不在ステートST1への遷移TR5についても、遷移TR2と同様の条件で実行されてもよい。
【0133】
上述したように、存在判定部2706は、有効測定範囲が設定される場合には、有効測定範囲内にユーザの動きが検知されなければ、存在スコアは「0」に固定されるので、不在ステートST1へ遷移することになる。そのため、ユーザ状態測定部は、ユーザ状態として、ユーザが就寝する範囲として設定された就寝範囲である有効測定範囲内にユーザが存在しているか否か(すなわち、「不在」、あるいは、それ以外)を測定することになる。
【0134】
動作中ステートST2から静止中ステートST3への遷移TR3は、ユーザの体動が相対的に小さいことを条件として実行される。この遷移条件としては、例えば、体動スコアの値がしきい値TH4未満であり、かつ、存在スコアの値がしきい値TH1を超えている状態が所定期間継続することを採用してもよい。しきい値TH4は、ユーザの体動が十分に小さいと考えられる体動スコアの値の範囲に基づいて決定されてもよい。
【0135】
静止中ステートST3から動作中ステートST2への遷移TR4は、ユーザの体動が相対的に大きいことを条件として実行される。この遷移条件としては、例えば、体動スコアの値がしきい値TH3を超えていること、または、存在スコアの値がしきい値TH1未満であることを採用してもよい。しきい値TH3は、ユーザの体動が十分に大きいと考えられる体動スコアの値の範囲に基づいて決定されてもよい。
【0136】
以上のように、ユーザ状態測定部2709は、各ステートに応じた遷移条件を逐次判定して3つのステートのうち、いずれのステートであるかを決定する。
【0137】
なお、図12に示すようなステートマシーンSM1そのものを実装するのではなく、それぞれの遷移条件に基づいて状態フラグを逐次更新するような実装形態を採用してもよい。
【0138】
また、睡眠状態測定部2708およびユーザ状態測定部2709は、いずれも「不在」という状態を出力することになるため、状況に応じて一方や両方の情報を使い分けるようにすればよい。
【0139】
(c7:睡眠状態蓄積部2710および睡眠分析部2711)
睡眠状態蓄積部2710は、睡眠状態測定部2708により測定された睡眠状態を所定期間(例えば睡眠開始から起床まで)に亘って蓄積する。睡眠状態測定部2708により測定された睡眠状態に加えて、関連する情報についても併せて蓄積するようにしてもよい。
【0140】
睡眠分析部2711は、睡眠状態蓄積部2710に蓄積された睡眠状態および関連する情報を分析する。睡眠分析部2711は、例えば、就寝中のユーザの睡眠充足度などを算出する。
【0141】
(c8:処理実行部2720)
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、上述したような処理によって取得される各種情報を用いて、後述するような各種処理を実行する。処理実行部2720は、睡眠状態測定部2708により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部2709により測定されるユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、後述するような各種処理を実行する。なお、処理実行部2720は、後述するような各種処理の実行にあたって、睡眠状態測定部2708により測定されるユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態測定部2709により測定されるユーザ状態の両方を利用してもよい。さらに、処理実行部2720は、各種処理の実行に際して、ユーザの体動を対象にして測定された距離、ユーザの呼吸を対象にして測定された距離、体動スコア、存在スコア、睡眠分析結果などを利用するようにしてもよい。
【0142】
図6に示すように、睡眠状態測定部2708およびユーザ状態測定部2709は、ユーザの動きに応じた信号を出力する検知部からの出力に対して、並列的に測定を実行できるようになっており、処理実行部2720は、それぞれの測定結果(ユーザの睡眠状態、および、ユーザ状態)を利用した処理を実行できる。
【0143】
処理実行部2720による各種処理の実行に従って、ディスプレイ21、スピーカ22、通信装置24、LED25などが駆動されてもよい。
【0144】
図13は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2が実行する処理の概要を示すフローチャートである。図13に示す各ステップは、典型的には、睡眠アラーム装置2のCPU27がメモリ23に格納された処理プログラム231を実行することで実現される。
【0145】
図13を参照して、睡眠アラーム装置2は、ドップラーセンサ30の検知信号をフーリエ変換することで、距離と動きとの関係を示す検知結果(距離-動き情報)を取得する(ステップS1)。
【0146】
続いて、睡眠アラーム装置2は、取得した検知結果(距離-動き情報)に基づいて、ユーザの睡眠状態を測定する(ステップS2)とともに、取得した検知結果(距離-動き情報)に基づいて、ユーザ状態を測定する(ステップS3)。
【0147】
そして、睡眠アラーム装置2は、ステップS2において測定したユーザの睡眠状態、および、ステップS3において測定したユーザ状態に基づいて、必要に応じた処理(リアルタイム処理)を実行する(ステップS4)。
【0148】
図13に示される一連の処理は、睡眠アラーム装置2が有効に設定されている間、繰り返し実行される。
【0149】
上述したように、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の処理実行部2720により実行される処理は、睡眠状態測定部2708により逐次測定される睡眠状態、および/または、ユーザ状態測定部2709により逐次測定されるユーザ状態に基づいて逐次実行されるリアルタイム処理となる。すなわち、処理実行部2720は、睡眠状態測定部2708により逐次測定される睡眠状態に基づいて、リアルタイム処理を実行する。後述するように、リアルタイム処理としては、アラームの制御についてのものであってもよい。
【0150】
このようなアラームの制御の典型例としては、ユーザを起床させることなどを目的として、予め設定された定められた条件が成立すると、スピーカ22などから音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。このように、睡眠アラーム装置2の処理実行部2720は、ユーザに対する音声アラームに関する処理を含む各種処理を実行する。このように
、リアルタイム処理としては、音声出力を制御するものであってもよい。
【0151】
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、音声アラームを出力するモードとして、(1)予め設定されたアラーム設定時刻の到来を条件とするモード(以下、「時刻アラームモード」とも称す。)と、(2)ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったことを条件とするモード(以下、「睡眠充足モード」とも称す。)とを実行可能であってもよい。
【0152】
以下、主として、睡眠アラーム装置2が有しているユーザを目覚めさせるためのアラーム機能について説明する。
【0153】
[D.時刻アラームモード]
時刻アラームモードにおいて、睡眠アラーム装置2(処理実行部2720)は、予め設定された時刻(アラーム設定時刻)が到来すると、音声アラームを出力する処理を実行する。このように睡眠アラーム装置2の処理実行部2720が実行するリアルタイム処理は、予め設定された時刻が到来すると、音声アラームを出力する処理を含んでいてもよい。但し、アラーム設定時刻におけるユーザの睡眠状態およびユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、睡眠アラーム装置2が実行する処理内容を異ならせるようにしてもよい。
【0154】
図14は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の時刻アラームモードの動作例を示す状態遷移図である。図14を参照して、処理実行部2720は、時刻アラームモードに対応するステートマシーンSM2を保持している。
【0155】
ステートマシーンSM2において、アラーム設定時刻が到来するとステートST11がセットされる。ステートST11においては、ユーザの睡眠状態およびユーザ状態が参照されて、ステートST12,ST16,ST17のいずれかへ遷移する。
【0156】
アラーム設定時刻において、ユーザが就寝している場合(すなわち、睡眠状態が「浅い眠り」、「深い眠り」、「レム睡眠」のいずれか)、または、ユーザ状態が「静止中」である場合には、ステートST11からステートST12への遷移TR11が生じる。ステートST12への遷移条件は、ユーザが就寝中あるいは十分に覚醒していない状態であることが意図されている。
【0157】
アラーム設定時刻において、ユーザが不在である場合(すなわち、睡眠状態が「不在」、または、ユーザ状態が「不在」)には、ステートST11からステートST16への遷移TR17が生じる。ステートST16への遷移条件は、ユーザが既に離床している状態であることが意図されている。
【0158】
アラーム設定時刻において、ユーザが起床している場合(すなわち、睡眠状態が「起床」、または、ユーザ状態が「動作中」)には、ステートST11からステートST17への遷移TR21が生じる。ステートST17への遷移条件は、ユーザが十分に覚醒している状態であることが意図されている。
【0159】
ステートST12において、睡眠アラーム装置2は、スピーカ22から音声アラームを出力する。この音声アラームの出力は、ステートST13またはステートST15への遷移条件が成立するまで継続する。
【0160】
より具体的には、ステートST12において、ユーザが不在である状態(すなわち、睡眠状態が「不在」、または、ユーザ状態が「不在」)が時間T1以上継続すると、ステートST13への遷移TR12が生じる。ステートST13への遷移条件は、ユーザが離床している可能性が高い状態であることが意図されている。
【0161】
ステートST13において、睡眠アラーム装置2は、出力中の音声アラームの音声を小さくする(アラームの小音量化)。このように、処理実行部2720は、音声アラームの出力中において、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定された期間が時間T1(第1の所定時間)以上になると、当該出力中の音声アラームの音量を低減する。
【0162】
ステートST13において、ユーザが不在である状態(すなわち、睡眠状態が「不在」、または、ユーザ状態が「不在」)が時間T2以上継続すると、ステートST14への遷移TR13が生じる。ステートST14への遷移条件は、ユーザが離床していることが確認された状態であることが意図されている。
【0163】
ステートST14において、睡眠アラーム装置2は、出力中の音声アラームを停止する(アラーム停止)。このように、処理実行部2720は、音声アラームの出力中において、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定された期間が時間T2(第2の所定時間)以上になると、出力中の音声アラームを停止する。音声アラームの停止後、ステートST18への遷移TR14が生じる。ステートST18において、時刻アラームモードのサービスが終了となる。なお、時刻アラームモードのサービスが終了したことを通知する音声メッセージをスピーカ22から出力してもよい。
【0164】
一方、ステートST12において、ユーザから出力停止指示が与えられると、ステートST15への遷移TR15が生じる。同様に、ステートST13において、ユーザから出力停止指示が与えられると、ステートST15への遷移TR16が生じる。ステートST15への遷移条件は、ユーザが、音声アラームを一旦停止して、所定時間後に再度出力することを指示したことを意味する。ステートST15において、睡眠アラーム装置2は、音声アラームの出力を待機する。
【0165】
ステートST15において、予め定められた出力条件が成立すると(例えば、ステートST15になってから所定時間経過)、ステートST12への遷移TR20が生じる。ステートST12において、睡眠アラーム装置2は音声アラームを出力あるいは再出力する。
【0166】
一方、ステートST15において、予め定められた終了条件が成立すると(例えば、ユーザが不在である状態が時間T3以上継続)、ステートST18への遷移TR24が生じる。ステートST18において、時刻アラームモードのサービスが終了となる。
【0167】
ステートST16において、睡眠アラーム装置2は、ユーザが不在であることを前提とした音声メッセージをスピーカ22から出力する(不在時音声案内)。この不在時音声案内に対応する音声メッセージは、例えば、「近くにいらっしゃらないようなので、音声アラームを終了します。終了させたくない場合には、体を動かすなどの合図をお願いします。」といったものであってもよい。このように、処理実行部2720は、予め設定された時刻が到来したときに、ユーザが就寝範囲内に存在していないと判定されると、音声アラームに代えて、ユーザが不在であることを前提とした音声メッセージ(第1の音声メッセージ)を出力する。
【0168】
ステートST16においては、音声メッセージの出力後の、ユーザの体動の有無が判定される。ステートST16において、ユーザの体動が検知されなければ、ステートST18への遷移TR18が生じる。ステートST18において、時刻アラームモードのサービスが終了となる。ステートST18への遷移条件は、ユーザが既に離床している場合であって、音声アラームの出力が不要な状態であることが意図されている。このように、処理実行部2720は、ユーザが不在であることを前提とした音声メッセージ(第1の音声メ
ッセージ)を出力した後に、体動検知部2702によりユーザの体動が待機時間において検知されなければ、一連の処理の実行を終了する。
【0169】
一方、ステートST16において、ユーザの体動が検知されると、ステートST15への遷移TR19が生じる。ステートST15において、睡眠アラーム装置2は、音声アラームの出力を待機する。ステートST15への遷移条件は、ユーザが既に離床していると判定されているものの、それが誤検知である可能性を考慮し、音声アラームの再出力が必要な状態であることが意図されている。このように、処理実行部2720は、ユーザが不在であることを前提とした音声メッセージ(第1の音声メッセージ)を出力した後に、体動検知部2702によりユーザの体動が検知されると、音声アラームの出力を延期する。
【0170】
ステートST17において、睡眠アラーム装置2は、ユーザが既に覚醒している状態であることを前提とした音声メッセージをスピーカ22から出力する(起床済音声案内)。この起床済音声案内に対応する音声メッセージは、例えば、「もうお目覚めのようですね。音声アラームを終了させたい場合には、体を動かすなどの合図をお願いします。」といったものであってもよい。このように、処理実行部2720は、予め設定された時刻が到来したときに、睡眠状態測定部2708によりユーザが起床していると判定されると、音声アラームに代えて、ユーザが既に覚醒している状態であることを前提とした音声メッセージ(第2の音声メッセージ)を出力する。
【0171】
ステートST17においては、音声メッセージの出力後の、ユーザの体動の有無が判定される。ステートST17において、ユーザの体動が検知されると、ステートST18への遷移TR22が生じる。ステートST18において、時刻アラームモードのサービスが終了となる。ステートST18への遷移条件は、ユーザが既に覚醒している場合であって、音声アラームの出力が不要な状態であることが意図されている。このように、処理実行部2720は、ユーザが既に覚醒している状態であることを前提とした音声メッセージ(第2の音声メッセージ)を出力した後に、体動検知部2702によりユーザの体動が検知されると、音声アラームを出力する処理を終了する。
【0172】
一方、ステートST17において、ユーザの体動が検知されなければ、ステートST12への遷移TR19が生じる。ステートST12において、睡眠アラーム装置2は、スピーカ22から音声アラームを出力する。ステートST12への遷移条件は、ユーザの覚醒が十分ではないような状態が意図されている。このように、処理実行部2720は、ユーザが既に覚醒している状態であることを前提とした音声メッセージ(第2の音声メッセージ)を出力した後に、体動検知部2702によりユーザの体動が検知されなければ、音声アラームを出力する。
【0173】
なお、図14に示すようなステートマシーンSM2そのものを実装するのではなく、それぞれの遷移条件に基づいて状態フラグを逐次更新するような実装形態を採用してもよい。また、図14に示すステートマシーンSM2に含まれるステートの一部のみを実装するようにしてもよいし、さらに別のステートを追加するようにしてもよい。
【0174】
図15は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の時刻アラームモードにおける処理手順を示すフローチャートである。図15に示す各ステップは、典型的には、睡眠アラーム装置2のCPU27がメモリ23に格納された処理プログラム231を実行することで実現される。
【0175】
図15を参照して、睡眠アラーム装置2は、予め設定されたアラーム設定時刻が到来したか否かを判定する(ステップS100)。予め設定されたアラーム設定時刻が到来していなければ(ステップS100においてNO)、ステップS100の処理が繰り返される
【0176】
予め設定されたアラーム設定時刻が到来していれば(ステップS100においてYES)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが存在しているか否かを判定する(ステップS102)。
【0177】
ユーザが存在していれば(ステップS102においてYES)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが就寝しているか、または、ユーザ状態が「静止中」であるかを判定する(ステップS104)。
【0178】
ユーザが就寝しているか、または、ユーザ状態が「静止中」であれば(ステップS104においてYES)、睡眠アラーム装置2は、音声アラームを出力する(ステップS106)。そして、睡眠アラーム装置2は、ユーザから出力停止指示が与えられたか否かを判定する(ステップS108)。ユーザから出力停止指示が与えられると(ステップS108においてYES)、処理はステップS128へ進む。
【0179】
ユーザから出力停止指示が与えられていなければ(ステップS108においてNO)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが不在である状態が時間T1以上継続したか否かを判定する(ステップS110)。ユーザが不在である状態が時間T1以上継続していなければ(ステップS110においてNO)、ステップS108以下の処理が繰り返される。
【0180】
ユーザが不在である状態が時間T1以上継続していれば(ステップS110においてYES)、睡眠アラーム装置2は、出力中の音声アラームの音声を小さくする(ステップS112)。そして、睡眠アラーム装置2は、ユーザから出力停止指示が与えられたか否かを判定する(ステップS114)。ユーザから出力停止指示が与えられると(ステップS114においてYES)、処理はステップS128へ進む。
【0181】
ユーザから出力停止指示が与えられていなければ(ステップS114においてNO)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが不在である状態が時間T2以上継続したか否かを判定する(ステップS116)。ユーザが不在である状態が時間T2以上継続していなければ(ステップS116においてNO)、ステップS114以下の処理が繰り返される。
【0182】
ユーザが不在である状態が時間T2以上継続していれば(ステップS116においてYES)、睡眠アラーム装置2は、出力中の音声アラームを停止する(ステップS118)。そして、処理を終了する。
【0183】
ユーザが就寝しておらず、かつ、ユーザ状態が「静止中」でなければ(ステップS104においてNO)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが起床していると判定し、ユーザが既に覚醒している状態であることを前提とした音声メッセージ(起床済音声案内)をスピーカ22から出力する(ステップS120)。そして、睡眠アラーム装置2は、ユーザの体動が検知されたか否かを判定する(ステップS122)。
【0184】
ユーザの体動が検知されると(ステップS122においてYES)、睡眠アラーム装置2は、音声アラームを出力することなく、処理は終了する。これに対して、ユーザの体動が検知されなければ(ステップS122においてNO)、ステップS106以下の処理が実行される。
【0185】
一方、ユーザが存在していれば(ステップS102においてNO)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが不在であることを前提とした音声メッセージ(不在時音声案内)をスピーカ22から出力する(ステップS124)。そして、睡眠アラーム装置2は、ユーザの体
動が検知されたか否かを判定する(ステップS126)。
【0186】
ユーザの体動が検知されなければ(ステップS126においてNO)、音声アラームを出力することなく、処理は終了する。これに対して、ユーザの体動が検知されると(ステップS126においてYES)、睡眠アラーム装置2は、音声アラームの出力を待機する(ステップS128)。そして、睡眠アラーム装置2は、音声アラームの出力条件が成立したか否かを判定する(ステップS130)。音声アラームの出力条件が成立すると(ステップS130においてYES)、ステップS106の処理が実行される。
【0187】
これに対して、音声アラームの出力条件が成立していなければ(ステップS130においてNO)、睡眠アラーム装置2は、時刻アラームモードのサービスの終了条件が成立したか否かを判定する(ステップS132)。時刻アラームモードのサービスの終了条件が成立していれば(ステップS132においてYES)。睡眠アラーム装置2は、処理は終了する。時刻アラームモードのサービスの終了条件が成立していなければ(ステップS132においてNO)、ステップS130以下の処理が繰り返される。
【0188】
以上のような処理によって、時刻アラームモードを実現できる。
【0189】
[E.睡眠充足モード]
睡眠充足モードにおいて、睡眠アラーム装置2(処理実行部2720)は、ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったと判定すると、音声アラームを出力する。睡眠充足モードでは、典型的には、睡眠分析部2711(図6)により算出される就寝中のユーザの睡眠充足度が用いられる。
【0190】
睡眠分析部2711は、睡眠状態蓄積部2710により所定期間(例えば睡眠開始から起床まで)に亘って蓄積される睡眠状態に基づいて、スコアを逐次算出することで、ユーザが十分な睡眠をとったか否かを判定する。例えば、睡眠充足度は、睡眠状態として出力される深い眠りの時間が長いほど値が大きくなり、また、覚醒する回数が少ないほど値が大きくなるように設計されてもよい。
【0191】
このように、処理実行部2720は、睡眠分析部2711による測定結果に基づいて算出されるスコアに基づいて、ユーザが予め定められた以上の睡眠をとったか否かを判定する。
【0192】
図16は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の睡眠充足モードにおける処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、典型的には、睡眠アラーム装置2のCPU27がメモリ23に格納された処理プログラム231を実行することで実現される。
【0193】
図16を参照して、睡眠アラーム装置2は、ユーザが就寝したか否かを判定する(ステップS200)。ステップS200において、ユーザが就寝したことは、測定された睡眠状態が「浅い眠り」、「深い眠り」、「レム睡眠」のいずれかであることを意味する。ユーザが就寝していなければ(ステップS200においてNO)、ステップS200の処理が繰り返される。
【0194】
ユーザが就寝すれば(ステップS200においてYES)、睡眠アラーム装置2は、睡眠充足度を初期化し(ステップS202)、現在の睡眠状態に応じて睡眠充足度を更新する(ステップS204)。
【0195】
続いて、睡眠アラーム装置2は、ユーザの就寝が継続しているか否かを判定する(ステ
ップS206)。ユーザの就寝が継続していなければ(ステップS206においてNO)、睡眠アラーム装置2は、予め定められた覚醒時の処理を実行する(ステップS208)。そして、処理は終了する。なお、ユーザが再度就寝すれば、ステップS206以下の処理を再度実行するようにしてもよい。
【0196】
ユーザの就寝が継続していれば(ステップS206においてYES)、睡眠アラーム装置2は、現在の睡眠状態に応じて睡眠充足度を更新する(ステップS210)。そして、睡眠アラーム装置2は、更新後の睡眠充足度が予め設定されたしきい値を超えたか否かを判断する(ステップS212)。更新後の睡眠充足度が予め設定されたしきい値を超えていなければ(ステップS212においてNO)、ステップS206以下の処理が繰り返される。
【0197】
更新後の睡眠充足度が予め設定されたしきい値を超えていれば(ステップS212においてYES)、睡眠アラーム装置2は、音声アラームを出力する(ステップS214)。そして、音声アラームの出力処理を終了する。なお、音声アラームの出力後、図15に示すような時刻アラームモードと同様の処理を実行してもよい。
【0198】
以上のような処理によって、睡眠充足モードを実現できる。
【0199】
[F.中途覚醒]
上述したように、時刻アラームモードにおいては、予め設定された時刻(アラーム設定時刻)が到来すると、音声アラームが出力される。状況によっては、このようなアラーム設定時刻の到来前にユーザが覚醒する場合もある。
【0200】
本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2は、ユーザの睡眠状態およびユーザ状態を逐次測定するため、ユーザの中途覚醒についても検知が可能である。ユーザが中途覚醒した場合には、ユーザの睡眠状態およびユーザ状態の少なくとも一方に基づいて、適切な処理を実行してもよい。このように、処理実行部2720は、予め設定された時刻(アラーム設定時刻)よりも前に睡眠状態が所定の状態になったことに応じてリアルタイム処理を行うようにしてもよい。
【0201】
例えば、ユーザが中途覚醒した場合には、ユーザの離床を支援するために、睡眠アラーム装置2のLED25を点灯し、あるいは、ディスプレイ21のバックライトの輝度を高めるようにしてもよい。さらに、ユーザが再度就寝した場合には、LED25やディスプレイ21を消灯して、時刻アラームモードでの監視を継続するようにしてもよい。さらに、ユーザが不在である状態が所定時間以上継続すると、LED25やディスプレイ21を消灯して、時刻アラームモードのサービスを終了するようにしてもよい。
【0202】
図17は、本実施の形態に従う睡眠アラーム装置2の時刻アラームモードにおける別の処理手順を示すフローチャートである。図17に示す各ステップは、典型的には、睡眠アラーム装置2のCPU27がメモリ23に格納された処理プログラム231を実行することで実現される。
【0203】
図17を参照して、睡眠アラーム装置2は、時刻アラームモードにおいて、ユーザの就寝が継続しているか否かを判定する(ステップS300)。ステップS300において、ユーザの就寝が継続していることは、測定される睡眠状態が「浅い眠り」、「深い眠り」、「レム睡眠」のいずれかであることを意味する。ユーザの就寝が継続していれば(ステップS300においてYES)、ステップS300の処理が繰り返される。
【0204】
ユーザの就寝が継続していなければ(ステップS300においてNO)、睡眠アラーム
装置2は、LED25の点灯、および/または、ディスプレイ21のバックライトの点灯を実行する(ステップS302)。
【0205】
そして、睡眠アラーム装置2は、ユーザが再度就寝したか否かを判定する(ステップS304)。ユーザが再度就寝した(浅い眠り、深い眠り、レム睡眠のいずれか)と判定されると(ステップS304においてYES)、睡眠アラーム装置2は、LED25の消灯、および/または、ディスプレイ21のバックライトの消灯を実行し(ステップS306)、ステップS300以下の処理を繰り返す。
【0206】
ユーザが再度就寝していないと判定されると(ステップS304においてNO)、睡眠アラーム装置2は、ユーザが不在である状態(存在スコアが低い状態)が所定時間以上継続したか否かを判定する(ステップS308)。
【0207】
ユーザが不在である状態が所定時間以上継続したと判定されると(ステップS308においてYES)、睡眠アラーム装置2は、LED25の消灯、および/または、ディスプレイ21のバックライトの消灯を実行し(ステップS310)、時刻アラームモードのサービスを終了する(ステップS312)。
【0208】
これに対して、ユーザが不在である状態が所定時間以上継続していないと判定されると(ステップS308においてNO)、睡眠アラーム装置2は、予め設定されたアラーム設定時刻が到来したか否かを判定する(ステップS314)。予め設定されたアラーム設定時刻が到来していれば(ステップS314においてYES)、睡眠アラーム装置2は、図15に示されるステップS102以下の処理を実行する。
【0209】
予め設定されたアラーム設定時刻が到来していなければ(ステップS314においてNO)、ステップS304以下の処理が繰り返される。
【0210】
図17の処理は、予め設定された時刻(アラーム設定時刻)が到来するまで繰り返される。なお、図16の予め定められた覚醒時の処理(ステップS208)として、図17に示すような処理の全部または一部を実行するようにしてもよい。
【0211】
以上のような処理によって、ユーザの中途覚醒に対応する処理を実現できる。
【0212】
[G.利点]
本実施の形態によれば、ユーザの睡眠状態およびユーザの位置および動きの少なくとも一方であるユーザ状態のうち、一方または両方に応じた適切な処理を実行できる。
【0213】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0214】
1 睡眠管理システム、2 睡眠アラーム装置、4 ネットワーク、6 サーバ、8 端末、20 時計、21,82 ディスプレイ、22 スピーカ、23,62,86 メモリ、24,64,84 通信装置、26 照度センサ、27,60,80 CPU、28 マイク、29,88 入力装置、30 ドップラーセンサ、32,66,89 内部バス、231 処理プログラム、2014 特開、2701 フーリエ変換部、2702
体動検知部、2703 第1距離測定部、2704 検知結果蓄積部、2705 第2距離測定部、2706 存在判定部、2707 設定受付部、2708 睡眠状態測定部、2709 ユーザ状態測定部、2710 睡眠状態蓄積部、2711 睡眠分析部、2
712 データ蓄積部、2720 処理実行部、BD ベッド、SM1,SM2 ステートマシーン。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【手続補正書】
【提出日】2024-08-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射波の照射、および、前記入射波の反射による反射波の受信を実行し、所定範囲内の物体を検出するセンサと、
予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していると判定された場合、第1音声の出力を含む第1処理を実行し、
前記予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1音声を出力することなく、所定期間における前記センサからの出力に基づいて所定条件が満たされるかどうかを判定する第2処理を実行し、
前記第2処理において、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされた場合に前記第1処理を実行し、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされなかった場合に前記第2処理を終了する、情報処理装置。
【請求項2】
前記所定条件が満たされるかどうかの判定は、前記所定期間におけるセンサからの出力に基づいて算出される動きの大きさに基づく、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定条件が満たされるかどうかの判定は、前記所定範囲内に動きが算出されるかどうかに基づく、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定条件が満たされるかどうかの判定は、所定時間の待機を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1処理の開始後に、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1音声の出力を低減する、請求項1~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1処理の開始後に、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1処理を終了する、請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記第2処理の開始前に、前記第1音声とは異なる第2音声を出力する、請求項1~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記センサは、ドップラーセンサを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
情報処理方法であって、
センサを用いて、入射波の照射、および、前記入射波の反射による反射波の受信を実行し、所定範囲内の物体を検出するステップと、
予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していると判定された場合、第1音声の出力を含む第1処理を実行するステップと、
前記予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1音声を出力することなく、所定期間における前記センサからの出力に基づいて所定条件が満たされるかどうかを判定する第2処理を実行するステップとを備え、
前記第2処理は、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされた場合に前記第1処理を実行するステップと、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされなかった場合に前記第2処理を終了するステップとを含む、情報処理方法。
【請求項10】
コンピュータで実行される情報処理プログラムであって、前記情報処理プログラムは前記コンピュータに、
センサを用いて、入射波の照射、および、前記入射波の反射による反射波の受信を実行し、所定範囲内の物体を検出するステップと、
予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していると判定された場合、第1音声の出力を含む第1処理を実行するステップと、
前記予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1音声を出力することなく、所定期間における前記センサからの出力に基づいて所定条件が満たされるかどうかを判定する第2処理を実行するステップとを実行させ、
前記第2処理は、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされた場合に前記第1処理を実行するステップと、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされなかった場合に前記第2処理を終了するステップとを含む、情報処理プログラム。
【請求項11】
入射波の照射、および、前記入射波の反射による反射波の受信を実行し、所定範囲内の物体を検出するセンサを含む検知装置と、
制御装置とを備え、
前記制御装置は、
予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していると判定された場合、第1音声の出力を含む第1処理を実行し、
前記予め設定された時刻が到来したときに、前記センサからの出力に基づいて物体が前記所定範囲内に存在していないと判定された場合、前記第1音声を出力することなく、所定期間における前記センサからの出力に基づいて所定条件が満たされるかどうかを判定する第2処理を実行し、
前記第2処理において、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされた場合に前記第1処理を実行し、
前記所定期間内に前記所定条件が満たされなかった場合に前記第2処理を終了する、情報処理システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】
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