(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171347
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】キャリアテープ切断装置
(51)【国際特許分類】
B26B 27/00 20060101AFI20241205BHJP
B26D 1/30 20060101ALI20241205BHJP
B26D 5/10 20060101ALI20241205BHJP
B26D 3/08 20060101ALI20241205BHJP
B26D 7/02 20060101ALI20241205BHJP
B26D 7/22 20060101ALI20241205BHJP
H05K 13/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B26B27/00 Z
B26D1/30 501J
B26D1/30 501L
B26D5/10
B26D3/08 Z
B26D7/02 D
B26D7/22 A
H05K13/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088274
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】木谷 実
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【テーマコード(参考)】
3C021
3C061
5E353
【Fターム(参考)】
3C021CB04
3C021CB07
3C021HA01
3C061AA10
3C061AA26
3C061AA31
3C061BA26
3C061EE03
5E353HH34
5E353NN17
5E353QQ06
(57)【要約】
【課題】カバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態にキャリアテープを加工するにおいて、作業者の安全を図ることができるキャリアテープ切断装置を提供することを目的とする。
【解決手段】開閉操作が可能な本体部10の第1ハンドル部11に、キャリアテープを保持するテープ保持部21Hと、キャリアテープが保持された状態でベーステープBTと対向する位置に刃先22Hを有するカッター22を備える。第2ハンドル部12には、本体部10が閉じる方向に操作されるとキャリアテープCTに接触してベーステープBTをカッター22に押し付ける押付け部材26と、押付け部材26によるキャリアテープCTのカッター22への押し付けを規制する規制手段と、本体部10が閉じる方向に操作されると、カッター22の刃先22Hをカバーする位置からカッター22の刃先22Hを露出させる位置に移動するカバー部材23を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品が収納されるベーステープにカバーテープが貼り付けられて成るキャリアテープから前記カバーテープを残して前記ベーステープを切断するキャリアテープ切断装置であって、
開閉操作が可能な第1ハンドル部および第2ハンドル部と、
前記第1ハンドル部に設けられて前記キャリアテープを保持するテープ保持部と、
前記第1ハンドル部に設けられ、前記テープ保持部に前記キャリアテープが保持された状態で前記ベーステープと対向する位置に刃先を有するカッターと、
前記第2ハンドル部に設けられ、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると前記テープ保持部に保持された前記キャリアテープに接触して前記ベーステープを前記カッターに押し付ける押付け部材と、
前記押付け部材によって前記カッターに押し付けられた前記ベーステープが前記カッターによって切断されたところで前記押付け部材による前記キャリアテープの前記カッターへの押し付けを規制する規制手段と、
前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が開いている状態では前記カッターの刃先をカバーする第1の位置に位置し、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると前記第1の位置から前記カッターの刃先を露出させる第2の位置に移動するカバー部材と、を備えたキャリアテープ切断装置。
【請求項2】
前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が開いている状態では前記第1の位置に位置する前記カバー部材が前記第2の位置に移動するのを阻止する阻止位置に位置し、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると前記カバー部材が前記第1の位置から前記第2の位置に移動するのを許容する許容位置に移動する移動部材と、前記移動部材を前記許容位置から前記阻止位置へ向う側に付勢する付勢手段と、を備えた、請求項1に記載のキャリアテープ切断装置。
【請求項3】
前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると、前記第2ハンドル部に設けられた操作部材が前記付勢手段の付勢力に抗して前記移動部材を前記阻止位置から前記許容位置に移動させ、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が開く方向に操作されると、前記移動部材は付勢手段の付勢力によって前記阻止位置に復帰する、請求項2に記載のキャリアテープ切断装置。
【請求項4】
前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部は基端部同士が枢結軸により枢結されており、前記枢結軸の軸線を中心に開閉操作が可能である、請求項1に記載のキャリアテープ切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品が収納されるベーステープにカバーテープが貼り付けられて成るキャリアテープからカバーテープを残してベーステープを切断するキャリアテープ切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板に部品を装着する部品装着装置における部品供給手段として、部品が収納されるベーステープにカバーテープが貼り付けられて成るキャリアテープを用いて部品を供給するテープフィーダが知られている。テープフィーダには種々の形態のものがあるが、その中には、ロード時のキャリアテープがカバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態に加工される必要があるものがある(例えば下記の特許文献1)。
【0003】
キャリアテープのカバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態とするためには、キャリアテープの先端部からベーステープの一部を切断して除去する加工が必要となる。特許文献2に示されるキャリアテープ切断装置はそのような加工をするための工具であり、リンクで連結された2つのレバー(第1の操作レバーと第2の操作レバー)を互いに近づける操作をすると、カッターとテープ押さえ部材が互いに平行な姿勢を維持した状態で接近し、テープ押さえ部材がキャリアテープをカッターに押し付けてベーステープを切断する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-125625号公報
【特許文献2】特開2021-122568号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に示されるキャリアテープ切断装置には、カッター(ブレード)の刃先と作業者との接触が抑制される構成を有している。しなしながら、刃先自体は露出したままとなっており、より確実に作業者の安全を図る必要がある。
【0006】
そこで本発明は、カバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態にキャリアテープを加工するにおいて、作業者の安全を図ることができるキャリアテープ切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のキャリアテープ切断装置は、部品が収納されるベーステープにカバーテープが貼り付けられて成るキャリアテープから前記カバーテープを残して前記ベーステープを切断するキャリアテープ切断装置であって、開閉操作が可能な第1ハンドル部および第2ハンドル部と、前記第1ハンドル部に設けられて前記キャリアテープを保持するテープ保持部と、前記第1ハンドル部に設けられ、前記テープ保持部に前記キャリアテープが保持された状態で前記ベーステープと対向する位置に刃先を有するカッターと、前記第2ハンドル部に設けられ、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると前記テープ保持部に保持された前記キャリアテープに接触して前記ベーステープを前記カッターに押し付ける押付け部材と、前記押付け部材によって前記カッターに押し付けられた前記ベーステープが前記カッターによって切断されたところで前記押付け部材による前記キャリアテープの前記カッターへの押し付けを規制する規制手段と、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が開いている状態では前記カッターの刃先をカバーする第1の位置に位置し、前記第1ハンドル部と前記第2ハンドル部が閉じる方向に操作されると前記第1の位置から前記カッターの刃先を露出させる第2の位置に移動するカバー部材と、を備えた。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、カバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態にキャリアテープを加工するにおいて、作業者の安全を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の斜視図
【
図2】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の斜視図
【
図3】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置により切断される対象となるキャリアテープの斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置が備える第1ハンドル部の一部の(a)斜視図(b)分解斜視図
【
図6】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の本体部の閉じる動作に伴うカバー部材の動作を示す側面図
【
図7】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の第1ハンドル部の構成を示す斜視図
【
図8】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置が備える第2ハンドル部に対する操作部材の取付け状態を示す斜視図
【
図9】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の本体部の閉じる動作に伴う押付け部材とカッターとの位置関係を示す側面図
【
図10】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置の本体部の閉じる動作に伴うカバー部材の動作を示す断面図
【
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置をキャリアテープとともに示す斜視図
【
図12】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置にキャリアテープをセットした状態を示す断面図
【
図13】(a)(b)(c)本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置によるキャリアテープの切断動作を説明する図
【
図14】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置によりキャリアテープのベーステープを切断した状態を示す断面図
【
図15】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置によりキャリアテープのベーステープを切断した状態を示す断面図の一部拡大図
【
図16】本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置によって(a)ベーステープが切断されている途中のキャリアテープの斜視図(b)ベーステープが切断された後のキャリアテープの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1、
図2および
図3(a),(b)は本発明の一実施の形態におけるキャリアテープ切断装置1を示している。キャリアテープ切断装置1の構成を説明する前に、先ず、キャリアテープ切断装置1により切断される対象とするキャリアテープCTについて説明する。
【0011】
キャリアテープCTは
図4に示すように、ベーステープBTとカバーテープTTを有して構成される。ベーステープBTには多数の部品収納用のポケットPKが一列に並んで設けられるとともに、ポケットPKの列と平行な位置には、複数の送り孔KHが一列に並んで設けられている。
【0012】
各ポケットPKには部品BHが1個ずつ収納されている。カバーテープTTは、ベーステープBTの上面の、ベーステープBTに形成されたポケットPKの列を覆う(送り孔KHは覆わない)位置に貼り付けられている。このように本実施の形態において、キャリアテープCTは、部品BHが収納されるベーステープBTにカバーテープTTが貼り付けられた構成となっている。
【0013】
次に、キャリアテープ切断装置1について説明する。キャリアテープ切断装置1は、キャリアテープCTからカバーテープTTを残してベーステープBTを切断する装置であり、
図1、
図2および
図3(a),(b)に示すように、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12から成る本体部10を備えている。
【0014】
図1、
図2および
図3(a),(b)において、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12は長手方向の一端部同士が枢結軸13によって枢結されている。このため第1ハンドル部11と第2ハンドル部12(すなわち本体部10)は、枢結軸13の中心軸線である枢結軸線13Jを中心に回動させるようにして開閉操作することが可能である。以下、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12それぞれにおいて、長手方向の枢結軸13側の端部を「基端部」と称し、枢結軸13とは反対側の端部を「先端部」と称する。
図1および
図3(a),(b)に示すように、第2ハンドル部12の基端側の隅部12Sは滑らかな円弧形状に形成されている。
【0015】
図1、
図2および
図3(a),(b)において、第1ハンドル部11の幅方向の両端部には、本体部10を閉じた状態で第2ハンドル部12側に向かって延びる一対のフランジ(第1ハンドル部フランジ11F)を備えている。また第2ハンドル部12は、本体部10を閉じた状態で第1ハンドル部11側に向かって延びる一対のフランジ(第2ハンドル部フランジ12F)を備えている。
【0016】
図1、
図2および
図3(a),(b)において、第1ハンドル部11の先端部側には全体として「C」字状に形成されたロック部材14が設けられている。ロック部材14の両端部はそれぞれ、第1ハンドル部フランジ11Fの先端部側に回動自在に取り付けられている。
図3(b)は、閉じた状態の第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開かないように(閉じた状態が維持されるように)、ロック部材14によってロックされた状態を示している。ロック部材14によって第1ハンドル部11と第2ハンドル部12を閉じた状態にロックする場合、ロック部材14に形成された係合部14Tを、第2ハンドル部12に形成されたロック用開口部12Kに係合させるようにする(
図3(b))。
【0017】
図1,
図2および
図3(a),(b)において、キャリアテープ切断装置1は、ベース部21、カッター22、カバー部材23、移動部材24、操作部材25および押付け部材26を備えている。ベース部21、カッター22、カバー部材23および移動部材24は第1ハンドル部11に設けられており、操作部材25と押付け部材26は第2ハンドル部12に設けられている。
【0018】
図5(a),(b)において、ベース部21は第1ハンドル部11の基端部側から先端部側に延びたブロック状の部材から成る。ベース部21の先端部側には、第1ハンドル部11の幅方向の側方に突出して延びたテープ保持部21Hが形成されている。
【0019】
図5(a),(b)において、ベース部21の上面(本体部10を閉じた状態で第2ハンドル部12と対向する側の面)の2箇所には当接面21Mが形成されている。2つの当接面21Mは第1ハンドル部11の長手方向に並んで位置している(
図5(b))。
【0020】
ベース部21の基端部側には第1ハンドル部11の長手方向に沿って延びたロッド部21Rが設けられている。ロッド部21Rの端部は、
図6(a),(b),(c)に示すように、第1ハンドル部11の基端部側に設けられた「L」字状の部位(L字状部位11L)に連結されており、これによりベース部21は第1ハンドル部11に対して固定された状態となっている。
【0021】
図5(a),(b)において、テープ保持部21Hの上面には2つの保持ピン21Pが設けられている。2つの保持ピン21Pは第1ハンドル部11の幅方向に並んで設けられており、それぞれ上方に突出して延びている。2つの保持ピン21Pの間隔は、キャリアテープCT上に並ぶ2つの送り孔KHの間隔と一致している。ここでいう「2つの送り孔KHの間隔」は、隣り合って並ぶ2つの送り孔KHの間隔でなくてもよく、複数個おきに並ぶ2つの送り孔KHの間隔であってもよい。
【0022】
図5(a),(b)において、カッター22は、刃先22Hを上方(第2ハンドル部12と対向する方向)に向けており、下縁側(カッター22の峰側)はカッターベース22Bが取り付けられている。カッターベース22Bは、第1ハンドル部11の長手方向に沿って2つ並んで取り付けられた螺子状のカッター取付け具22Sによって、ベース部21の側面に取り付けられている。
【0023】
図1、
図2および
図5(a),(b)において、カバー部材23は、全体として第1ハンドル部11の長手方向に延びた形状を有している。カバー部材23は、第1ハンドル部11の上面(本体部10を閉じた状態で第2ハンドル部12と対向する側の面)から上方に延びて設けられた2つのガイド柱31に沿って移動自在になっている。
【0024】
図5(a),(b)において、カバー部材23の長手方向に沿った2箇所には、下方に延出した2つの延出部23Eが設けられている。2つの延出部23Eそれぞれの下縁には、第1ハンドル部11の基端部側から先端部側に向けて下降する形状のテーパ面23Tが形成されている(
図5(b))。
【0025】
図1、
図2および
図5(a),(b)において、カバー部材23には、第1ハンドル部11の長手方向に沿って延びて厚さ方向に貫通する長孔状の貫通孔23Hが設けられている。貫通孔23Hにはカッター22が下方から挿通しており、カッター22に対するカバー部材23の高さ方向の位置によって、カッター22の刃先22Hがカバー部材23によって隠れ(覆われ)たり露出したりする。
【0026】
図5(b)において、2つのガイド柱31それぞれにはカバー部材付勢ばね32が挿通されており、カバー部材23はこれら2つのカバー部材付勢ばね32によって上方に付勢されている。2つのガイド柱31それぞれの上端にはスナップリング等の抜止め部材33が取り付けられており、カバー部材23はこれら抜止め部材33によってガイド柱31の上端からの抜け止めがなされている。
【0027】
カバー部材23は、上方からの押圧力を受けていない状態では、抜止め部材33に下方から押し付けられた状態を維持する。この状態ではカバー部材23の上面の高さはカッター22の刃先22Hの高さよりも高い位置に位置しており、カッター22の刃先22Hはカバー部材23によって覆われた状態となる(
図6(a)および
図7(a))。以下、このようなカバー部材23の位置を「第1の位置」と称する。
【0028】
一方、「第1の位置」に位置したカバー部材23に下方への押圧力が加えられると、カバー部材23は2つのカバー部材付勢ばね32を押し縮めながら、その下方への押圧力によって下方に移動する(
図6(a)→
図6(b)→
図6(c))。そして、その下方への移動量が一定量に達すると、カバー部材23の上面の高さはカッター22の刃先22Hの高さよりも低くなり、カッター22の刃先22Hはカバー部材23の上方に露出した状態となる(
図6(c)および
図7(b))。以下、このようなカバー部材23の位置を「第2の位置」と称する。
【0029】
図1、
図2および
図5(a),(b)および
図7(a),(b)において、移動部材24は、第1ハンドル部11の上面とカバー部材23との間の領域を、第1ハンドル部11の長手方向に移動自在に設けられている。移動部材24は、
図5(b)に示すように、第1ハンドル部11の幅方向に延びた基部24aと、基部24aの幅方向の一端部から第1ハンドル部11の長手方向の先端部側(枢結軸13とは反対の側)に延びた第1側部24bと、基部24aの幅方向の他端部から第1側部24bと平行に伸びた第2側部24cを備えている。
【0030】
第1側部24bの上縁の第1ハンドル部11の長手方向には、上下に突出して延びた2つの突出部24Tが設けられている。基部24aにはロッド部挿通孔24Hが設けられており(
図5(a))、ベース部21のロッド部21Rはロッド部挿通孔24Hを挿通してL字状部位11Lに連結されている。
【0031】
図5(a),(b)、
図7(a),(b)および
図6(a),(b),(c)において、移動部材24の基部24aと第1ハンドル部11のL字状部位11Lとの間には、移動部材付勢ばね24Sが設けられている。このため移動部材24は、移動部材付勢ばね24Sによって、第1ハンドル部11の先端部側に付勢された状態となっている。
【0032】
移動部材24は、上記のように移動部材付勢ばね24Sによって第1ハンドル部11の先端部側に付勢されているので、カバー部材23が「第1の位置」に位置している場合には、カバー部材23の下方に入り込んだ状態となる。この状態では、移動部材24の2つの突出部24Tそれぞれがカバー部材23の2つの延出部23Eそれぞれの下方に位置するので、カバー部材23は「第1の位置」から下降するのが阻止され、「第1の位置」に位置した状態を維持する。以下、このような移動部材24の位置を「阻止位置」(
図6(a)および
図7(a))と称する。移動部材24が「阻止位置」に位置しているときには、カバー部材23は「第1の位置」に位置した状態を維持するので、カッター22の刃先22Hが露出することはない。
【0033】
移動部材24は、上記の「阻止位置」から第1ハンドル部11の基端部側へ向く押圧力を受けると、移動部材付勢ばね24Sの付勢力に抗して(移動部材付勢ばね24Sを押し縮めて)、その押圧力の向く方向に移動する。そして、移動部材24の2つの突出部24Tそれぞれがカバー部材23の2つの延出部23Eそれぞれの下方から第1ハンドル部11の基端側にずれた位置に位置すると、カバー部材23は「第1の位置」から下降することが許容され、「第2の位置」に位置する。以下、このような移動部材24の位置を「許容位置」(
図6(c)および
図7(b))と称する。移動部材24が「許容位置」に位置しているときには、「第1の位置」に位置したカバー部材23が下方への押圧力を受けるとその押圧力に従って「第2の位置」に移動することができるので、カッター22の刃先22Hは露出した状態となる。
【0034】
このように移動部材24は、移動部材付勢ばね24Sによって第1ハンドル部11の先端部側に付勢されることによって、「第1の位置」に位置したカバー部材23が「第2の位置」に移動するのを阻止する「阻止位置」と、カバー部材23が「第1の位置」から「第2の位置」に移動するのを許容する「許容位置」との間で移動自在になっている。
【0035】
図1において、操作部材25は、第2ハンドル部12の下面(本体部10を閉じた状態で第1ハンドル部11と対向する側の面)に設けられている。操作部材25は、
図6(a),(b),(c)および
図8(a),(b)に示すように、全体として「Z」形状を有しており、上下方向に延びた主部25aと、主部25aの上側が屈曲されて成る取付け部25bと、主部25aの下側が屈曲されて成る操作部25cを備えている。
【0036】
操作部材25は、
図8(a),(b)に示すように、2つの取付け螺子34によって第2ハンドル部12に着脱自在に取り付けられている。詳細には、
図8(b)に示すように、第2ハンドル部12には第2ハンドル部12の長手方向に延びた長孔状の2つの螺子取付孔12Hが設けられており、これら2つの螺子取付孔12Hに挿通された2つの取付け螺子34が、操作部材25の取付け部25bに形成された2つの螺子孔25Hに螺入されることによって、操作部材25が第2ハンドル部12に取り付けられる。
【0037】
2つの螺子取付孔12Hに挿通された2つの取付け螺子34が2つの螺子孔25Hにねじ込まれることで操作部材25と第2ハンドル部12は結合されるが、上述したように2つの螺子取付孔12Hは第2ハンドル部12の長手方向に延びた長孔から成っているので、2つの螺子取付孔12Hに対する(すなわち第2ハンドル部12に対する)2つの取付け螺子34の位置は若干変更することができる。このため、第2ハンドル部12に対する操作部材25の取り付け位置は、第2ハンドル部12の長手方向に微調整することが可能である。
【0038】
図1および
図2において、押付け部材26は、第2ハンドル部12の下面側(本体部10が閉じられた状態で第1ハンドル部11と対向する側)に設けられている。第2ハンドル部12の長手方向の中間部には、2つの第2ハンドル部フランジ12Fによって両端が支持されて第2ハンドル部12の幅方向に延びる揺動軸35が取り付けられており、押付け部材26は揺動軸35によって中間部が揺動自在に支持されている。揺動軸35の中心軸線である揺動軸線35Jは、枢結軸13の中心軸線である枢結軸線13Jと平行になっている。
【0039】
図2に示すように、押付け部材26の下面(本体部10が閉じられた状態で第1ハンドル部11と対向する側の面)である押付け面26Mは平面形状になっている。押付け部材26は後述するように、テープ保持部21Hに保持されたキャリアテープCTの上面側(カバーテープTT側)に接触することによって、キャリアテープCTの下面側(ベーステープBT)をカッター22の刃先22Hに押し付ける機能を有する。
【0040】
図2において、押付け部材26の下面の長手方向の両端部それぞれには、2つの押圧部26Bと2つの当接ピン26Pがそれぞれ下方に突出して設けられている。2つの押圧部26Bと2つの当接ピン26Pはそれぞれ、第2ハンドル部12の長手方向に沿った方向に並んで設けられている。2つの当接ピン26Pは第2ハンドル部12の幅方向の中間部近傍に位置しており、2つの押圧部26Bは2つの当接ピン26Pよりも幅方向の外側に位置している。
【0041】
作業者が本体部10を(すなわち第1ハンドル部11と第2ハンドル部12を)閉じる操作をすると(
図6(a)→
図6(b)→
図6(c)、
図9(a)→
図9(b)、
図10(a)→
図10(b)→
図10(c))、第2ハンドル部12に取り付けられた操作部材25の全体が第1ハンドル部11に対して枢結軸線13Jまわりに回動し、操作部材25の操作部25cが移動部材24の基部24aに第1ハンドル部11の先端部側から当接する(
図6(a))。そして、さらに本体部10が閉じる方向に操作されると、操作部材25は、「阻止位置」に位置している移動部材24を、移動部材付勢ばね24Sの付勢力に抗して、第1ハンドル部11の先端部側とは反対の側に移動させる。これにより移動部材24は「許容位置」に位置する(
図6(c))。
【0042】
移動部材24が「許容位置」に位置するのとほぼ同じタイミングで、2つの押圧部26Bがカバー部材23の上面に当接する(
図10(a)→
図10(b))。そして、移動部材24が「許容位置」に移動した後、2つの押圧部26Bは2つのカバー部材付勢ばね32を押し縮めながらカバー部材23を押し下げていく(
図10(b)→
図10(c))。2つの押圧部26Bがカバー部材23を押し下げようとするときには、移動部材24は既に「許容位置」に位置しているので、カバー部材23は移動部材24によって妨げられることなく下降する。カバー部材23が「第2の位置」に位置すると、カッター22の刃先22Hはカバー部材23に上方に露出した状態となる(
図10(c)および
図6(c))。
【0043】
カバー部材23が「第2の位置」に位置することによって、カッター22の刃先22Hがカバー部材23の上方に露出したら、押付け部材26の押付け面26Mがカッター22の刃先22Hに上方から近接していく。そして、押付け面26Mがカッター22の刃先22Hに接触する前に第2ハンドル部12側の2つの当接ピン26Pが第1ハンドル部11側の当接面21Mに当接する(
図10(b)→
図10(c))。これにより本体部10の閉じる動作は規制され、作業者は本体部10をそれ以上閉じる方向に操作することができなくなる(従って押付け面26Mはカッター22の刃先22Hに接触することはない)。
【0044】
ここで、第1ハンドル部11に対するカッター22の取り付け位置は、2つの当接ピン26Pが当接面21Mに当接して本体部10の閉じる動作が規制された時点において、押付け面26Mとカッター22の刃先22Hとの間の距離D(
図10(c))が、カバーテープTTの厚み相当の距離となるように設定されている。
【0045】
次に、このような構成のキャリアテープ切断装置1によってキャリアテープCTを切断(詳細にはベーステープBTを切断する)動作について説明する。キャリアテープ切断装置1によってキャリアテープCTを切断する場合には、先ず、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12を開いた状態にしたうえで、テープ保持部21HにキャリアテープCTをセットする(
図11(a))。このときキャリアテープCTはカバーテープTTが上になり、かつ、第1ハンドル部11の長手方向に対してほぼ直交して延びる姿勢にしたうえで、キャリアテープCTが備える2つの送り孔KHを、テープ保持部21Hが備える2つの保持ピン21Pに上方から嵌入させる(
図11(a))。
【0046】
上記のようにキャリアテープCTをセットした状態では、キャリアテープCTのベーステープBTはカッター22の上方に位置し、カッター22の刃先22HはベーステープBTと接触(あるいはほぼ接触)した状態となる(
図12参照。
図12は
図11(a)における矢視V-V断面図)。なお、この状態ではカバー部材23は「第1の位置」に位置しており、移動部材24は「阻止位置」に位置している。第1ハンドル部11にセットしたキャリアテープCTのカッター22の刃先22Hからの突出長さLH(
図12)はそのまま、キャリアテープ切断装置1によってベーステープBTを切断した後のカバーテープTTのベーステープBTからの突出長さとなる。
【0047】
上記の手順によって第1ハンドル部11にキャリアテープCTをセットしたら、第2ハンドル部12を枢結軸線13Jまわりに回動させて(
図11(a)→
図11(b))、本体部10を閉じる方向に操作する。これにより第2ハンドル部12に設けられた押付け部材26は、第1ハンドル部11に設けられたカッター22の刃先22Hに(従ってキャリアテープCTに)近づいていき、2つの押圧部26Bはカバー部材23の上面に近づいていき、2つの当接ピン26Pは当接面21Mに近づいていく。また、第2ハンドル部12に取り付けられた操作部材25はが枢結軸線13Jまわりに回動し、操作部材25の操作部25cが移動部材24の基部24aに第1ハンドル部11の先端部側から近づいていく。
【0048】
本体部10を閉じる方向に操作すると、先ず、第2ハンドル部12に取り付けられた操作部材25の操作部25cが移動部材24の基部24aに当接する(
図6(a))。そして、基部24aに当接した操作部材25は移動部材付勢ばね24Sの付勢力に抗して移動部材24を基端部側(第1ハンドル部11の先端部側とは反対の側)に移動させていく(
図6(a)→
図6(b)→
図6(c))。これにより「阻止位置」に位置していた移動部材24は「許容位置」に移動し、カバー部材23は下方に移動し得る状態となる。
【0049】
さらに本体部10が閉じられていくと、第2ハンドル部12側の2つの押圧部26Bがカバー部材23の上面に当接し、カバー部材付勢ばね32の付勢力に抗してカバー部材23を下方に押し下げていく(
図10(a)→
図10(b)→
図10(c))。これによりカッター22の刃先22Hはカバー部材23に上方に露出した状態となる(
図6(c)、
図7(b))。
【0050】
カッター22の刃先22Hがカバー部材23の上方に露出したら、第2ハンドル部12に取り付けられた押付け部材26の押付け面26Mがテープ保持部21Hに保持されたキャリアテープCTの上面(カバーテープTT)に接触し、キャリアテープCTの全体を下方に押し下げる。これによりベーステープBTはカッター22の刃先22Hに上方から押し付けられ(
図13(a)→
図13(b)→
図13(c))、ベーステープBTにカッター22の刃先22Hが食い込んで、ベーステープBTは切断される(
図14)。
【0051】
ベーステープBTがカッター22によって切断されると、そのタイミングで、第2ハンドル部12側の2つの当接ピン26Pが第1ハンドル部11側の当接面21Mに当接する(
図13(c)および
図14)。当接ピン26Pが当接面21Mに当接すると、押付け面26Mのカッター22の刃先22Hに向かう近接動作は規制されるので、作業者はそれ以上に本体部10を閉じる方向に操作することができなくなる。
【0052】
ここで、前述したように、2つの当接ピン26Pが当接面21Mに当接した時点における押付け面26Mとカッター22の刃先22Hとの間の距離D(
図10(c))は、カバーテープTTの厚み相当の距離となるように設定されているので、本体部10の閉じる動作が規制された時点で、キャリアテープCTは、ベーステープBTのみが切断され、カバーテープTTは切断されない(
図15)。なお、
図15は
図14中に示す領域RYの拡大図である。
【0053】
このように本実施の形態において、押付け部材26に設けられた2つの当接ピン26Pと、第1ハンドル部11に設けられたベース部21に形成された当接面21Mは、押付け部材26によってカッター22に押し付けられたキャリアテープCTのベーステープBTがカッター22によって切断されたところで押付け部材26によるキャリアテープCTのカッター22への押し付けを規制する規制手段となっている。
【0054】
上記のようにしてベーステープBTは押付け部材26によってカッター22に押し付けられて切断されるが、その際、押付け部材26は、キャリアテープCTの形状に倣うように揺動軸線35Jを中心に揺動しながら、押付け面26Mによって、キャリアテープCTに接触してベーステープBTをカッター22に押し付ける(
図13(a)→
図13(b)→
図13(c))。このためキャリアテープCTはその全体が幅方向に均等な力でカッター22の刃先22Hに押し付けられ、ベーステープBTは極めて安定的に切断される。
【0055】
このように、本実施の形態におけるキャリアテープ切断装置1は、開閉操作が可能な第1ハンドル部11および第2ハンドル部12から成る本体部10を有し、第1ハンドル部11には、キャリアテープCTを保持するテープ保持部21Hと、テープ保持部21HにキャリアテープCTが保持された状態でベーステープBTと対向する位置に刃先22Hを有するカッター22が設けられている。一方、第2ハンドル部12には、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されるとテープ保持部21Hに保持されたキャリアテープCTに接触してベーステープBTをカッター22に押し付ける押付け部材26と、押付け部材26によってカッター22に押し付けられたベーステープBTがカッター22によって切断されたところで押付け部材26によるキャリアテープCTのカッター22への押し付けを規制する規制手段(当接ピン26Pおよび当接面21M)と、カバー部材23を備えている。カバー部材23は、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開いている状態ではカッター22の刃先22Hをカバーする「第1の位置」に位置し、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されると「第1の位置」からカッター22の刃先22Hを露出させる「第2の位置」に移動するようになっている。
【0056】
また、本実施の形態では、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開いている状態では「第1の位置」に位置するカバー部材23が「第2の位置」に移動するのを阻止する「阻止位置」に位置し、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されるとカバー部材23が「第1の位置」から「第2の位置」に移動するのを許容する「許容位置」に移動する移動部材24と、移動部材24を「許容位置」から「阻止位置」へ向う側に付勢する付勢手段としての移動部材付勢ばね24Sを備えている。そして、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されると、第2ハンドル部12に設けられた操作部材25が移動部材付勢ばね24Sの付勢力に抗して移動部材24を「阻止位置」から「許容位置」に移動させ、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開く方向に操作されると、移動部材24は移動部材付勢ばね24Sの付勢力によって「阻止位置」に復帰するようになっている。
【0057】
本実施の形態におけるキャリアテープ切断装置1では、キャリアテープCTをテープ保持部21Hにセットした後、本体部10を閉じる動作をすると、操作部材25によって移動部材24が「阻止位置」から「許容位置」に移動され、押圧部26Bによってカバー部材23が「第1の位置」から「第2の位置」に移動され、押付け部材26によってキャリアテープCT(ベーステープBT)がカッター22の刃先22Hに押し付けられるようになっており、簡単な構成でありながら、カッター22の刃先22Hが作業者によって触れられることを防止しつつ、キャリアテープCTのカバーテープTTのみを切断することができるようになっている。
【0058】
前述したように、第2ハンドル部12に対する操作部材25の取り付け位置は、第2ハンドル部12の長手方向に微調整することが可能であり、第2ハンドル部12に対する操作部材25の取り付け位置を変えることができる。これにより、本体部10を閉じる方向に操作し始めてから操作部材25の操作部25cが移動部材24の基部24aに当接するタイミング、すなわち移動部材24を「阻止位置」から「許容位置」に移動し始めるタイミングを変更することができる。
【0059】
上記のようにしてベーステープBTが切断されたら、作業者は、本体部10を閉じている力を弱める。そうするとカバー部材23は押圧部26Bを通じた下方への押圧から解放されるので、カバー部材付勢ばね32の付勢力によって上方へ(すなわち「第1の位置」へ)移動するとともに、移動部材24は移動部材付勢ばね24Sの復元力によって、「許容位置」から「阻止位置」に向かって移動する。
【0060】
このとき移動部材24が備える2つの突出部24Tはカバー部材23が備える2つの延出部23Eそれぞれの下方に入り込むが、前述したように、カバー部材23が備える2つの延出部23Eそれぞれの下縁には、第1ハンドル部11の基端部側から先端部側に向けて下降する形状のテーパ面23Tが形成されているので、移動部材24の2つの突出部24Tはカバー部材23が備える2つの延出部23Eの下方にスムーズに入り込む。
【0061】
上記にようにして移動部材24が「許容位置」から「阻止位置」に移動すると、その移動部材24によって、操作部25cが第1ハンドル部11の先端部側に向かって押圧される。これにより第2ハンドル部12は第1ハンドル部11から離間する方向(すなわち本体部10が開く方向)に移動する(
図6(c)→
図6(b)→
図6(a)、
図10(c)→
図10(b)→
図10(a))。このように本実施の形態では、本体部10を閉じた状態からその閉じる力を弱めると、本体部10が自動で開くようになっている。
【0062】
上記のように本体部10が自動で開くと、第2ハンドル部12の基端部は第1ハンドル部11の基端部に近づく。このため、第1ハンドル部11の基端部と第2ハンドル部12の基端部との間に作業者の指があった場合には、その指が両基端部の間に挟まれて作業者が怪我をするおそれがあるところである。しかしながら、前述したように、第2ハンドル部12の基端側の隅部12Sは滑らかな円弧形状に形成されているので、本体部10が自動で開き、第2ハンドル部12の基端部と第1ハンドル部11の基端部との間に作業者の指があった場合であっても、作業者の指が基端部同士の間に挟まれて怪我をするような事態が起きにくい。
【0063】
上記のようにして本体部10が開いたら、作業者は、キャリアテープCTをテープ保持部21Hから取り外す。そして、テープ保持部21Hから取り外したキャリアテープCTから、切断されたベーステープBTの先端部分BTS(
図16(a),(b))を取り除く。これにより、ベーステープBTの先端からカバーテープTTの先端TTSが突出するように加工されたキャリアテープCTが得られる(
図16(b))。
【0064】
上記のようにして本体部10が開いた状態となると、カバー部材23は「第1の位置」に位置しており、カッター22の刃先22Hはカバー部材23によって覆われている。また、本体部10が開いた状態では、移動部材24が「阻止位置」に位置してカバー部材23が「第1の位置」から「第2の位置」に移動することが阻止されるので、作業者がカバー部材23を手で下方に押圧したとしても、カバー部材23は下方へ移動しない。このため本体部10を開いている状態においてカッター22の刃先22Hがカバー部材23の上方に露出することはなく、作業者がカッター22の刃先22Hに触れて怪我をするような事態は起き得ないので、作業者の安全が確保される。
【0065】
以上説明したように、本実施の形態におけるキャリアテープ切断装置1は、カッター22をカバーするカバー部材23を備えており、カバー部材23は、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開いている状態ではカッター22の刃先22Hをカバーする位置(第1の位置)に位置し、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されるとカッター22の刃先22Hを露出させる位置(第2の位置)に移動するようになっている。このため本体部10を開いている状態においてカッター22の刃先22Hがカバー部材23の上方に露出することはなく、作業者がカッター22の刃先22Hに触れて怪我をするような事態は起き得ない。よって本実施の形態におけるキャリアテープ切断装置1によれば、カバーテープTTの先端がベーステープBTの先端よりも長い状態にキャリアテープCTを加工するにおいて、作業者の安全を図ることができる。
【0066】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、上述の実施の形態では、規制手段は押付け部材26に設けられた2つの当接ピン26Pと、第1ハンドル部11に設けられて2つの当接ピン26Pと当接する当接面21Mとから成る構成であったが、規制手段は、押付け部材26によってカッター22に押し付けられたベーステープBTがカッター22によって切断されたところで押付け部材26によるキャリアテープCTのカッター22への押し付けを規制するものであればよい。従って、2つの当接ピン26Pが第1ハンドル部11側に設けられており、これと当接する当接面が押付け部材26側に設けられているのであってもよい。
【0067】
また、カッター22の刃先22Hをカバーするカバー部材23は、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開いている状態ではカッター22の刃先22Hをカバーする「第1の位置」に位置し、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されると「第1の位置」からカッター22の刃先22Hを露出させる「第2の位置」に移動するようになっていればよい。従って、必ずしも上述の実施の形態のように、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が開いている状態ではカバー部材23が「第2の位置」に移動するのを阻止する「阻止位置」に位置し、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が閉じる方向に操作されるとカバー部材23が「第1の位置」から「第2の位置」に移動するのを許容する「許容位置」に移動する構成の部材(移動部材24)を備えたものでなくてもよい。
【0068】
また、上述の実施の形態では、本体部10を構成する第1ハンドル部11と第2ハンドル部12は基端部同士が枢結軸13によりその枢結軸13の軸線(枢結軸線13J)を中心に開閉操作が可能な構成となっていたが、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12は必ずしも基端部同士が枢結軸13によって枢結されていなくてもよい。従って、例えば、第1ハンドル部11と第2ハンドル部12が互いに平行姿勢を維持した状態で近接あるいは離間することで開閉する構成となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0069】
カバーテープの先端がベーステープの先端よりも長い状態にキャリアテープを加工するにおいて、作業者の安全を図ることができるキャリアテープ切断装置を提供する。
【符号の説明】
【0070】
1 キャリアテープ切断装置
10 本体部
11 第1ハンドル部
11F 第1ハンドル部フランジ
12 第2ハンドル部
12F 第2ハンドル部フランジ
13 枢結軸
13J 枢結軸線(軸線)
21 ベース部
21M 当接面(規制手段)
21H テープ保持部
21P 保持ピン
22 カッター
22H 刃先
23 カバー部材
23H 貫通孔
24 移動部材
24a 基部
24b 第1側部
24c 第2側部
24S 移動部材付勢ばね
25 操作部材
25c 操作部
26 押付け部材
26M 押付け面
26B 押圧部
26P 当接ピン(規制手段)
32 カバー部材付勢ばね
CT キャリアテープ
KH 送り孔
BT ベーステープ
TT カバーテープ
BH 部品