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特開2024-171349車載電子決済装置、車載電子決済システム、および電子決済方法
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  • 特開-車載電子決済装置、車載電子決済システム、および電子決済方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171349
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車載電子決済装置、車載電子決済システム、および電子決済方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/40 20120101AFI20241205BHJP
   G06F 21/32 20130101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q20/40
G06F21/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088277
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】324003048
【氏名又は名称】三菱電機モビリティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 寛樹
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA73
5L055AA73
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ビジネススポットへのインターネット接続をすることなく電子決済する車載電子決済装置及び方法を提供する。
【解決手段】車載電子決済システム1において、車載電子決済装置20は、車両の内部の乗員の乗員情報を取得する乗員情報取得部21、乗員情報により示される乗員を認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する認証部22、ビジネススポットを含む地図情報を取得する地図情報取得部24、車両の現在位置を示す位置情報を取得し、位置情報と地図情報とに基づいて、車両がビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知する位置取得部25及び速度を落とし又は停止したことが検知された場合、ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、ビジネススポットにおける支払い処理を、認証情報を用いて行う支払処理部23を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得する乗員情報取得部と、
その取得された乗員情報により示される前記少なくとも1人の乗員が、支払いを行うことが可能な者として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する認証部と、
商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットを含む地図情報を取得する地図情報取得部と、
前記車両の現在の位置を示す位置情報を取得し、その取得された位置情報とその取得された地図情報とに基づいて、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知する位置取得部と、
前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが検知された場合、前記ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、前記ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、前記ビジネススポットとの近距離無線通信により取得された前記ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を前記認証情報を用いて行う支払処理部と、
を備える車載電子決済装置。
【請求項2】
前記乗員情報取得部は前記少なくとも1人の乗員の画像を取得する画像取得部であり、
前記認証部は、その取得された画像を用いて前記認証を行う、
請求項1に記載された車載電子決済装置。
【請求項3】
前記乗員情報取得部は前記少なくとも1人の乗員の生体情報を取得する生体情報取得部であり、
前記認証部は、その取得された生体情報を用いて前記認証を行う、
請求項1に記載された車載電子決済装置。
【請求項4】
前記ビジネススポットは、ドライブスルー、有料駐車場、フェリーの乗降場、または有料道路の出入口である、
請求項1から3のいずれか1項に記載された車載電子決済装置。
【請求項5】
前記少なくとも1人の乗員は2人以上の乗員であり、
前記支払処理部は前記対価の支払い処理を前記2人以上の乗員に分割して行う、
請求項1から3のいずれか1項に記載された車載電子決済装置。
【請求項6】
請求項1に記載された車載電子決済装置と、
前記近距離無線通信を行う通信装置と、
を備える車載電子決済システム。
【請求項7】
乗員情報取得部と、認証部と、地図情報取得部と、位置取得部と、支払処理部と、を備えた車載電子決済装置が行う電子決済方法であって、
前記乗員情報取得部により、車両の内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得するステップと、
前記認証部により、その取得された乗員情報により示される前記少なくとも1人の乗員が、支払いを行うことが可能な者として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力するステップと、
前記地図情報取得部により、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットを含む地図情報を取得するステップと、
前記位置取得部により、前記車両の現在の位置を示す位置情報を取得し、その取得された位置情報とその取得された地図情報とに基づいて、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知するステップと、
前記支払処理部により、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが検知された場合、前記ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、前記ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、前記ビジネススポットとの近距離無線通信により取得された前記ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を前記認証情報を用いて行うステップと、
を備える電子決済方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子決済技術に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に乗車したまま、車両の乗員が車外の店舗等のビジネススポットを利用できると便利である。このような利用を可能にするための技術を教示する文献として、特許文献1がある。特許文献1には、乗員が車両に設けられた車載端末を介してネットショップで商品を購入し、決済することが可能な車載電子決済システムであって、複数の前記乗員の画像を撮像可能な車載カメラと、複数の前記乗員を、予めグループ化して登録した乗員登録部と、前記乗員を認証する制御部と、を備え、該制御部は、前記車載端末を介して前記ネットショップで新たに商品を購入しようとする操作を検出した場合に、前記車載カメラにより撮像されている複数の前記乗員の各画像と、前記乗員登録部に登録されている前記グループ化された乗員の各登録画像と、を照合し、複数の前記乗員が前記グループ化された乗員全員であると認証できたとき、前記ネットショップとの電子決済を実行する車載電子決済システムに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-144557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の車載電子決済システムによれば、利用できる対象がネットショップに限られるという問題がある。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、ビジネススポットへのインターネット接続をすることなく電子決済を可能とするための電子決済技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の実施形態による車載電子決済装置の一側面は、車両の内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得する乗員情報取得部と、その取得された乗員情報により示される前記少なくとも1人の乗員が、支払いを行うことが可能な者として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する認証部と、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットを含む地図情報を取得する地図情報取得部と、前記車両の現在の位置を示す位置情報を取得し、その取得された位置情報とその取得された地図情報とに基づいて、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知する位置取得部と、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが検知された場合、前記ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、前記ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、前記ビジネススポットとの近距離無線通信により取得された前記ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を前記認証情報を用いて行う支払処理部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態による車載電子決済装置によれば、ビジネススポットへのインターネット接続をすることなく電子決済が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電子決済システムの概略を示す概略図である。
図2】車載電子決済装置および車載電子決済システムの構成例を示すブロック図である。
図3】商品のメニューを表示する表示画面の例を示す図である。
図4A】車載電子決済装置のハードウェアの構成例を示す図である。
図4B】車載電子決済装置のハードウェアの構成例を示す図である。
図5】電子決済方法のフローチャートである。
図6】車載電子決済装置および車載電子決済システムの構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照して、本開示における種々の実施形態について詳細に説明する。なお、図面において同一または類似の符号を付された構成要素は、同一または類似の構成または機能を有するものであり、そのような構成要素についての重複する説明は省略する。
【0010】
また、本開示において、「または」との用語は、特段の記載が無い限り、包括的論理和の意味で用いる。「または」との用語を排他的論理和の意味で用いる場合は、その旨明示する。
【0011】
実施の形態1.
<構成>
図1を参照して、実施の形態1による車載電子決済装置、車載電子決済システム、および電子決済システムについて説明する。図1は、電子決済システムの概略を示す概略図である。図1には、車両Vに搭載された車載電子決済システム1と、車両Vの車外に存在する店舗装置30が示されている。電子決済システムは、車載電子決済システム1と店舗装置30を備える。
【0012】
(店舗装置)
店舗装置30は、商品の販売または役務の提供を行うビジネススポットに設置された装置である。店舗装置30が設置されたビジネススポットを管理する商人は、店舗装置30を用いて車載電子決済システム1と通信を行って、車両Vの乗員に対して商品を販売しまたは役務を提供する。ビジネススポットの例には、ドライブスルー、有料駐車場、フェリーの乗降場、および有料道路の出入口が含まれる。
【0013】
店舗装置30は、例えば、レジスタ等の不図示のPOS(point of sale)装置と、DSRC(Dedicated Short Range Communications)送受信機等の近距離無線通信を行う不図示の通信装置とを備える。近距離無線通信は、赤外線により行ってもよい。ビジネススポットにおける小売取引を実行する際、店舗装置30のPOS装置は、購入される商品または役務の数量、価格、および詳細を示す情報を顧客に提供する。店舗装置30の通信装置は、POS装置と車載電子決済システム1との近距離無線通信を行って、POS装置により提供される、商品または役務の数量、価格、および詳細を示す情報を顧客に提供する。
【0014】
(車載電子決済システム)
車載電子決済システム1は、車両Vの車外に存在する店舗装置30と近距離無線通信を行って、電子決済を行うためのシステムである。図1および図2に示されているように、車載電子決済システム1は、車載カメラ11、車載端末12、通信装置13、位置情報を受信するGNSS(Global Navigation Satellite System)受信機14、および電子決済を行うための車載電子決済装置20を備える。
【0015】
(車載カメラ)
車載カメラ11は、車両V内の乗員の顔の画像(顔画像)を撮像し、撮像した車載電子決済装置20へ出力する。
【0016】
(車載端末)
車載端末12は、ナビゲーション機能と、車載電子決済装置20と車両Vの乗員との間のインタフェース機能とを提供する車両Vに搭載された端末である。このような機能を実現するために、車載端末12は、乗員に情報を提供し、または乗員から入力を受け付けるためのディスプレイ、スピーカ、およびマイク等の不図示の入出力装置を備える。
【0017】
(通信装置)
通信装置13は、店舗装置30との近距離無線通信またはインターネットに接続された不図示のサーバ装置とのインターネット通信を行う。
【0018】
(GNSS受信機)
GNSS受信機14は、GPS(Global Positioning System)等の全地球航法衛星システムの受信機であり、GNSS衛星から位置情報を取得する。GNSS受信機14は、取得した位置情報を車載電子決済装置20へ出力する。
【0019】
(車載電子決済装置)
次に、図2を参照して、車載電子決済装置20の機能構成について説明をする。図2に示されているように、車載電子決済装置20は、画像取得部21、認証部22、支払処理部23、地図情報取得部24、および位置取得部25を備える。また、車載電子決済装置20は、不図示の制御部を備え、各機能部の全体的な制御の他、車両Vのエンジンまたは電気駆動部等の車両駆動部の監視を行う。
【0020】
(画像取得部)
画像取得部21は、車両Vの内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得する乗員情報取得部の一例である。実施の形態1では、画像取得部21は、車載カメラ11により撮像された車両V内の乗員の顔画像を取得し、取得した顔画像に公知の画像処理を施して、乗員の顔の特徴量を抽出することにより乗員情報を取得する。画像取得部21は、抽出した特徴量(取得した乗員情報)を認証部22へ供給する。
【0021】
(認証部)
認証部22は、画像取得部21から供給される乗員情報により示される乗員が、支払いを行うことが可能な者(以下、「決済者」と称する場合がある。)として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する機能部である。より具体的には、認証部22は、例えば後述する購入ボタンが押下されたことに応答して、画像取得部21から供給される乗員の特徴量に基づいて、支払いを行うことが可能な乗員を特定する。認証部22は、支払いを行うことが可能な乗員を特定するために、クレジットカード番号等のアカウント情報と決済者の顔画像の情報とが紐づけられて予め登録されたデータベースを参照する。決済者の顔画像の情報は、顔の特徴量により表されている。そのようなデータベースは、後述するメモリ100cに格納され、認証部22は認証時にデータベースをアクセスして認証に必要な情報を取得する。認証部22は、支払い時に、画像取得部21により取得される車両V内の乗員の顔画像の情報と、データベースに保持された決済者の情報とを照合することにより、車両V内の乗員のうち支払いが可能な乗員を特定する。
【0022】
(地図情報取得部)
地図情報取得部24は、通信装置13を用いてインターネット通信によって車両Vが走行する経路の地図情報を取得し、取得した地図情報を位置取得部25へ供給する。この地図情報には、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットが含まれている。
【0023】
(位置取得部)
位置取得部25は、地図情報取得部24から地図情報を取得するとともに、GNSS受信機14から車両Vの現在の位置を示す位置情報を取得する。位置取得部25は、これらの取得した情報に基づいて、車両Vが経路上に存在する商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットにおいて、車両Vが速度を落とし又は停止したかを検知する。
【0024】
車両Vがビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかは、車両Vの現在位置の時間変化を監視することにより検出することができる。車両Vの現在位置がビジネススポットにおいて一定時間変化しない場合は停止していると検出してよい。車両Vの現在位置がビジネススポットに近くなるにつれて車両Vの現在位置の時間変化率が小さくなる場合は、車両Vがビジネススポットにおいて速度を落としていると検出してよい。
【0025】
本開示において、「商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットにおいて」とは、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットと車両の位置が重なる場合の他、その地点の前または横のようなその地点の近傍、またはその地点から予め定められた距離(例えば、20m、30m、40m、50m)以内のその地点の周辺を含む概念である。
【0026】
また、「役務の提供がなされるビジネススポット」との表現は、役務の提供の対価の支払いがなされる場所の意味であり、役務の提供それ自体はそのスポット以外の場所において行われてもよい。例えば、提供される役務がフェリーによる車両Vの運搬である場合、役務の提供は海洋上を移動しながらなされるが、車両Vの運搬の対価の支払いがなされるフェリーの乗降場がビジネススポットである。位置取得部25は、検知結果を支払処理部23へ供給する。
【0027】
(支払処理部)
支払処理部23は、位置取得部25により提供される検知結果により車両Vがビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが示される場合、ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、ビジネススポットとの近距離無線通信により取得されたビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を認証情報を用いて行う機能部である。
【0028】
支払処理部23は、位置取得部25から受け付けた検知結果がビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことを示す場合、出力制御として、例えばビジネススポットを利用するかを質問する画面を車載端末12に表示する表示制御を行う。すなわち、支払処理部23は、ビジネススポットにおいて販売される商品を購入し又は提供される役務を利用するか否かを確認する画面を、車載端末12に表示する表示制御を行う。車両Vの乗員が車載端末12に利用する旨を入力すると、車載端末12は受け付けた入力を車載電子決済装置20へ伝送する。車載電子決済装置20の支払処理部23は、その入力の受信に応答して、通信装置13を介して店舗装置30から、ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務の情報を取得し、取得した情報に基づいて役務または商品の一覧(例えば、図3)を示す画面を車載端末12に表示する表示制御を行う。車両Vの乗員がその画面上で購入する役務または商品を選択して購入ボタンを押下すると、車載電子決済装置20は車載端末12から購入ボタンが押下された情報を取得する。車載電子決済装置20の認証部22は、購入ボタンが押下されたことに応答して、個人認証を行う。認証が成功すると、支払処理部23は、認証部22が認証した乗員のクレジットカード等の決済方法により支払処理を行う。すなわち、支払処理部23は、支払を行う乗員のアカウント情報を、通信装置13を介して店舗装置30へ送信する処理を行う。
【0029】
なお、ビジネススポットを利用するかの質問は、表示画面の車載端末12に表示に代えて、または表示とともに、音声により行ってもよい。
【0030】
店舗装置30は、車載電子決済装置20から受け取ったアカウント情報と取引金額とを含む情報を、例えばクレジットカード会社のシステムへ送信して承認を求め、承認を受け取った場合に決済を行う。
【0031】
決済が完了すると、店舗装置30は、役務の提供場所または商品の受取場所を示す情報を車載電子決済装置20の通信装置13へ向けて送信する。役務の提供場所または商品の受取場所を示す情報に従って、車載電子決済装置20の支払処理部23は、提供場所または受取場所を示す案内を車載端末12に表示する表示制御を行う。車両Vは、その案内に従って、役務または商品を受け取るための場所まで進む。そこで役務の提供を受けまたは商品を受け取り、店舗等のビジネススポットの利用が完了となる。
【0032】
支払処理部23での支払処理は、車両Vに搭乗する複数人により行ってもよい。支払処理時、車載端末12に複数人で支払うか否かを確認する画面が表示され、複数人で支払う旨の入力をすると、認証部22による個人認証が成功して支払いが可能な複数人の人物のリストが表示される。支払いを行う人物ごとに決済額を入力し、または支払いを行う人物ごとに購入する商品または役務を選択することで、支払処理部23が自動かつ同時に支払処理を行う。
【0033】
以上のように、車載電子決済装置20は支払処理部23を備え、支払処理部23は、位置取得部25により提供される検知結果により車両Vがビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが示される場合、ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、ビジネススポットとの近距離無線通信により取得されたビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を認証情報を用いて行う。このように、支払処理部23は、ビジネススポットとの近距離無線通信によりビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行って、選択された商品または役務の対価の支払い処理を認証情報を用いて行うので、車載電子決済装置20によれば、ビジネススポットへのインターネットを介さずにビジネススポットを利用することができる。
【0034】
次に、図4Aおよび図4Bを参照して、車載電子決済装置20のハードウェアの構成例について説明する。車載電子決済装置20の各機能は、処理回路(processing circuitry)により実現される。処理回路(processing circuitry)は、図4Aに示されているような専用の処理回路(processing circuit)100aであっても、図4Bに示されているようなメモリ100cに格納されるプログラムを実行するプロセッサ100bであってもよい。
【0035】
処理回路(processing circuitry)が専用の処理回路100aである場合、専用の処理回路100aは、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(application specific integrated circuit)、FPGA(field-programmable gate array)、またはこれらを組み合わせたものが該当する。車載電子決済装置20の機能を別個の複数の処理回路(processing circuits)で実現してもよいし、車載電子決済装置20の機能をまとめて単一の処理回路(processing circuit)で実現してもよい。
【0036】
処理回路(processing circuitry)がプロセッサ100bの場合、車載電子決済装置20の機能は、ソフトウェア、ファームウェア、またはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。ソフトウェアおよびファームウェアはプログラムとして記述され、メモリ100cに格納される。プロセッサ100bは、メモリ100cに記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、車載電子決済装置20の機能を実現する。ここで、メモリ100cの例には、RAM(random access memory)、ROM(read-only memory)、フラッシュメモリ、EPROM(erasable programmable read only memory)、EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory)等の、不揮発性または揮発性の半導体メモリや、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDが含まれる。
【0037】
なお、車載電子決済装置20の機能の一部を専用のハードウェアで実現し、その他の機能をソフトウェアまたはファームウェアで実現するようにしてもよい。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせによって、車載電子決済装置20の機能を実現することができる。
【0038】
<動作>
次に、図5を参照して、車載電子決済装置20の動作例について説明する。図5は、電子決済のフローを表すフローチャートである。
【0039】
ステップS1にて、車載電子決済装置20の不図示の制御部は、車両Vの車両駆動部がオン状態にあるか否かを監視する。車両駆動部がオン状態にない場合(ステップS1:NO)、図5のフローを終了する。
【0040】
オン状態にある場合(ステップS1:YES)、処理はステップS2に進み、車載電子決済装置20は、地図情報および位置情報を取得する。より具体的には、地図情報取得部24がビジネススポットを含む地図情報を取得して、取得した地図情報を位置取得部25へ供給する。位置取得部25は、地図情報取得部24から地図情報を取得することに加え、不図示のGPS受信機から車両Vの現在の位置情報も取得する。
【0041】
ステップS3において、位置取得部25は、地図情報と現在の位置情報に基づいて、車両Vが経路上に存在する商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポット(ビジネススポット)において、車両Vが速度を落とし又は停止したかを検知する。
【0042】
ビジネススポットにおいて車両Vが速度を落とし又は停止したことが検知された場合、処理はステップS4へ進む。ステップS4において、支払処理部23は、ビジネススポットにおいて販売される商品を購入し又は提供される役務を利用するか否かを確認する画面を、車載端末12に表示する表示制御を行い、ビジネススポットの利用が選択されたかどうかを判定する。ビジネススポットの利用が選択されなかった場合(ステップS4:NO)、処理はステップS2へ戻る。ビジネススポットの利用が選択された場合(ステップS4:YES)、処理はステップS5へ進む。
【0043】
ステップS5において、支払処理部23は、車載端末12に店舗等のビジネススポットで提供される商品または役務の一覧を表示する表示制御を行う。
【0044】
ステップS6において、支払処理部23は、注文操作の有無を監視する。
【0045】
ビジネススポットにおいて車両Vが速度を落とし又は停止したことが検知されない場合(ステップS3:NO)、ビジネススポットの利用が選択されない場合(ステップS4:NO)、または注文操作がない場合(ステップS6:NO)、処理はステップS2に戻る。
【0046】
ステップS6において支払処理部23により注文操作の実行が検出された場合、処理はステップS7へ進む。
【0047】
ステップS7において、車載電子決済装置20は車両Vの乗員の認証を行う。具体的には、画像取得部21(乗員情報取得部)が車両の内部の乗員の情報である乗員情報(画像の情報)を取得し、認証部22は、その取得された乗員情報により示される乗員が支払いを行うことが可能な者(決済者)として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する。
【0048】
ステップS7において乗員の個人認証が成功した場合(ステップS7:YES)、すなわち、画像取得部21により取得された乗員が決済者として登録されている場合、ステップS8において、支払処理部23は車載端末12に支払い可能な者のリストを表示する表示制御を行う。この表示は、複数の人物を選択することが可能な表示となっている。
【0049】
なお、ステップS7において個人認証が失敗した場合(ステップS7:NO)、ステップS15において、支払処理部23は認証失敗の旨を車載端末12に表示する表示制御を行い、図5の処理を終了する。
【0050】
ステップS9において、支払処理部23は、複数人による決済が選択されたか否かを監視する。
【0051】
ステップS9において複数人での決済が選択された場合(ステップS9:YES)、ステップS11において、支払処理部23は、選択された決済者ごとの決済額または決済商品等の振り分け情報を取得する。
【0052】
ステップS12において、支払処理部23は、購入合計金額と、ステップS11にて振り分けられた決済額の合計額とが一致するかを監視する。
【0053】
ステップS12において購入合計金額と振り分けられた決済額の合計額とが一致する場合(ステップS12:YES)、ステップS13において、支払処理部23は、支払い処理を実施する。
【0054】
なお、購入合計金額と振り分けられた決済額の合計額とが一致しない場合(ステップS12:NO)、処理はステップS11に戻る。
【0055】
なお、ステップS9において複数人での決済が選択されなかった場合(ステップS9:NO)、ステップS10において、支払処理部23は、選択された決済者の情報を取得する。
【0056】
ステップS13において、支払処理部23は、ステップS10において取得した決済者情報によって支払い処理を実施する。すなわち、支払処理部23は、選択された商品または役務の対価の支払い処理を認証された乗員の認証情報を用いて行う。
【0057】
ステップS14において、支払処理部23は、商品等の受取案内を店舗等から受け取って車載端末12に表示する表示制御を行う。
【0058】
ステップS14の後、図5の処理は終了される。
【0059】
実施の形態2.
<構成>
以下、図6を参照して、実施の形態2による車載電子決済装置20Mおよび、車載電子決済装置20Mを備える車載電子決済システム1Mについて説明をする。実施の形態1では、乗員の画像を用いて認証(顔認証)を行う形態について説明をした。顔認証に代えて、乗員の生体情報を用いて生体情報認証により認証を行ってもよい。生体情報認証により認証を行う形態を実施の形態2として説明する。
【0060】
生体情報認証により認証を行う場合、車載カメラ11として、乗員の網膜を撮像できる程度に解像度の高いカメラを用いてもよい。車載カメラ11は、生体情報として乗員の網膜の画像を撮像し、撮像した網膜の画像を生体情報として車載電子決済装置20Mへ出力する。
【0061】
また、図6に示されているように、車載電子決済システム1Mは、追加的構成要素として、生体情報読取装置15を備えてもよい。また、車載電子決済システム1Mの構成要素である車載電子決済装置20Mは、実施の形態1における画像取得部21に代えて、生体情報取得部21M(乗員情報取得部)を備えてもよい。生体情報読取装置15の例には、指紋スキャナおよび声紋スキャナが含まれる。生体情報読取装置15は、実装される装置の種類に応じて、車両Vの乗員の指紋または声紋等の生体情報を読み取る。生体情報読取装置15は、読み取った生体情報を、車載電子決済装置20Mへ出力する。
【0062】
車載電子決済装置20Mの生体情報取得部21Mは、車載カメラ11または生体情報読取装置15から出力された生体情報から、生体情報の特徴量を公知の技術に従って取得する。生体情報取得部21Mは、取得した生体情報の特徴量を、認証部22へ供給する。認証部22は、供給された生体情報の特徴量を用いて支払い可能な乗員の認証を行う。なお、認証部22により参照されるデータベースには用いる生体情報の種類に応じた情報が予め登録されている。
【0063】
実施の形態2による車載電子決済装置20Mのハードウェア構成は、実施の形態1の場合と同様であり、図4Aまたは図5Bにより実現することができる。また、車載電子決済装置20Mが行う処理のフローも、実施の形態1の場合と同様に図5のフローチャートに従って行ってよい。
【0064】
<付記>
以上で説明した種々の実施形態のいくつかの側面について、以下のとおりまとめる。
(付記1)
付記1による車載電子決済装置は、車両の内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得する乗員情報取得部(21;21M)と、その取得された乗員情報により示される前記少なくとも1人の乗員が、支払いを行うことが可能な者として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力する認証部(22)と、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットを含む地図情報を取得する地図情報取得部(24)と、前記車両の現在の位置を示す位置情報を取得し、その取得された位置情報とその取得された地図情報とに基づいて、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知する位置取得部(25)と、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが検知された場合、前記ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、前記ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、前記ビジネススポットとの近距離無線通信により取得された前記ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を前記認証情報を用いて行う支払処理部(23)と、を備える。
【0065】
(付記2)
付記2による車載電子決済装置は、付記1に記載された車載電子決済装置であって、前記乗員情報取得部は前記少なくとも1人の乗員の画像を取得する画像取得部(21)であり、前記認証部は、その取得された画像を用いて前記認証を行う。
【0066】
(付記3)
付記3による車載電子決済装置は、付記1に記載された車載電子決済装置であって、前記乗員情報取得部は前記少なくとも1人の乗員の生体情報を取得する生体情報取得部(21M)であり、前記認証部は、その取得された生体情報を用いて前記認証を行う。
【0067】
(付記4)
付記4による車載電子決済装置は、付記1から3のいずれか1つに記載された車載電子決済装置であって、前記ビジネススポットは、ドライブスルー、有料駐車場、フェリーの乗降場、または有料道路の出入口である。
【0068】
(付記5)
付記5による車載電子決済装置は、付記1から4のいずれか1つに記載された車載電子決済装置であって、前記少なくとも1人の乗員は2人以上の乗員であり、前記支払処理部は前記対価の支払い処理を前記2人以上の乗員に分割して行う。
【0069】
(付記6)
付記6による車載電子決済システムは、付記1から5のいずれか1つに記載された車載電子決済装置と、前記近距離無線通信を行う通信装置と、を備える。
【0070】
(付記7)
付記7による電子決済方法は、乗員情報取得部(21;21M)と、認証部(22)と、地図情報取得部(24)と、位置取得部(25)と、支払処理部(23)と、を備えた車載電子決済装置が行う電子決済方法であって、前記乗員情報取得部(21;21M)により、車両の内部の少なくとも1人の乗員の情報である乗員情報を取得するステップ(ステップS7)と、前記認証部(22)により、その取得された乗員情報により示される前記少なくとも1人の乗員が、支払いを行うことが可能な者として予め登録されているかを認証し、支払い可能な乗員の情報を認証情報として出力するステップ(ステップS8)と、前記地図情報取得部(24)により、商品の販売または役務の提供がなされるビジネススポットを含む地図情報を取得するステップ(ステップS2)と、前記位置取得部(25)により、前記車両の現在の位置を示す位置情報を取得し、その取得された位置情報とその取得された地図情報とに基づいて、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したかを検知するステップ(ステップS3)と、前記支払処理部(23)により、前記車両が前記ビジネススポットにおいて速度を落とし又は停止したことが検知された場合、前記ビジネススポットを利用するかを表示又は音声により質問する出力制御を行い、前記ビジネススポットを利用することを示す入力を受け付けたとき、前記ビジネススポットとの近距離無線通信により取得された前記ビジネススポットにおいて販売される商品または提供される役務を表示する表示制御を行い、選択された商品または役務の対価の支払い処理を前記認証情報を用いて行うステップ(ステップS5、ステップS13)と、を備える。
【0071】
なお、実施形態を組み合わせたり、各実施形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示の車載電子決済装置は、ビジネススポットとへのインターネット接続を行わないで取引を行うための装置として用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
1 車載電子決済システム、1M 車載電子決済システム、11 車載カメラ、12 車載端末、13 通信装置、14 GNSS受信機、15 生体情報読取装置、20 車載電子決済装置、20M 車載電子決済装置、21 画像取得部、21M 生体情報取得部、22 認証部、23 支払処理部、24 地図情報取得部、25 位置取得部、30 店舗装置、100a 処理回路、100b プロセッサ、100c メモリ。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6