(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171351
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】管継手用カバー
(51)【国際特許分類】
F16L 57/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
F16L57/00 C
F16L57/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088283
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 歩
(72)【発明者】
【氏名】中野 翔太
【テーマコード(参考)】
3H024
【Fターム(参考)】
3H024AA03
3H024AB01
3H024AC05
3H024CA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】管継手との芯出しを容易に行い得る管継手用カバーを提供すること。
【解決手段】管継手用カバー1において円筒部16の引出口14には、内周面に等間隔で複数の位置決め突起23が一体成形されている。施工面2に対する直交方向から見て、位置決め突起23は先鋭状をなしている。各位置決め突起23は、軸線方向の長さが小さくまた基端の周方向の長さも小さいため、基端から簡単に切除が可能である。各位置決め突起23の先端によって規定される仮想円Cと、管継手6の雌ねじ部11の外周面(円筒面)とはほぼ同じ直径であるため、各位置決め突起23の先端と雌ねじ部11の外周面との間に形成された隙間は狭い。したがって、既設配管に取り付けられた管継手6に対して、管継手用カバー1を被せる際には、各位置決め突起23の先端が雌ねじ部11のガイドとなって、管継手用カバー1を管継手6に対して簡単かつ精度良く位置決めし得る。
【選択図】
図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
施工面から突出された管継手を収容するための管継手用カバーであって、前記管継手の突出端部に形成された給水栓接続部を開放するための円形の引出口を有しており、前記引出口の内周面には、所定間隔で複数の位置決め用突起が形成されている管継手用カバー。
【請求項2】
前記位置決め用突起は少なくとも一部の切除が可能である請求項1に記載の管継手用カバー。
【請求項3】
前記位置決め用突起は先鋭状をなしている請求項1又は請求項2に記載の管継手用カバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施工面から突出された管継手を収容するための管継手用カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
施工面から突出された管継手を収容するための管継手用カバーが、例えば特許文献1に開示されている。当該管継手用カバーには、管継手の突出端部に形成された雌ねじ部を外部に開放するための円形の引出口が形成されており、当該引出口を介することによって、単水栓を管継手の雌ねじ部に対して接続できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
施工箇所の見栄えを良くするためには、管継手の雌ねじ部の中心軸線ひいては単水栓の雄ねじ部の中心軸線と、管継手用カバーの引出口の中心軸線とが一致するよう、管継手用カバーを管継手に対して慎重に位置決めして施工面に取り付ける必要があり、面倒な作業となっていた。
【0005】
本発明の目的は、管継手との芯出しを容易に行い得る管継手用カバーを提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1の発明の管継手用カバーは、施工面から突出された管継手を収容するための管継手用カバーであって、前記管継手の突出端部に形成された給水栓接続部を開放するための円形の引出口を有しており、前記引出口の内周面には、所定間隔で複数の位置決め用突起が形成されている。
【0007】
請求項2の発明は請求項1において、前記位置決め用突起は少なくとも一部の切除が可能である。
【0008】
請求項3の発明は請求項1又は請求項2において、前記位置決め用突起は先鋭状をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図11】施工箇所(単水栓を取り付ける前の状態)において管継手用カバーの円筒部付近を拡大して示す正面図。
【
図12】別の施工箇所(サイズの異なる管継手を用いた施工箇所。単水栓を取り付ける前の状態)において管継手用カバーの円筒部付近を拡大して示す正面図。
【
図13】さらに別の施工箇所(管継手の施工面からの突出具合が異なる施工箇所)の縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明を、既設の給水給湯用配管のリフォームに用いられる管継手用カバーにおいて具体化した一実施形態について説明する。
【0011】
図9~
図11に示すように、管継手用カバー1は施工面2(壁面)に設置されている。管継手用カバー1は合成樹脂製の一体成型品である。
図10に示すように、施工面2には引出口3が形成されている。壁の内側に敷設された既設配管4は、雌ねじ部5の一部(先端部)が、引出口3を介して壁の外側へと引き出されている。既設配管4は、施工面2に対して直交する方向に延びている。
【0012】
既設配管4の雌ねじ部5には、管継手6の雄ねじ部7が螺合されている。既設配管4の雌ねじ部5は、封止プラグたる管継手6の雄ねじ部7によって、封止されている。したがって、既設配管4は、リフォーム後には、管継手6を支持することにはなるが、湯水の流路として使用されることはない。
【0013】
管継手6のパイプ接続部8には、合成樹脂製の新設パイプ9が接続されている。新設パイプ9は、合成樹脂製でかつ横断面半円形状をなすパイプ用カバー10によって覆われている。新設パイプ9及びパイプ用カバー10は、施工面2と平行に延びている。管継手6において給水栓接続部たる雌ねじ部11には、給水栓たる単水栓12の雄ねじ部13が螺合されている。つまり、単水栓12は、管継手6を介して既設配管4によって支持されている。単水栓12は、管継手6よりも施工面2から離れて位置する。
【0014】
管継手用カバー1は、管継手6と、新設パイプ9における管継手6側の一部と、パイプ用カバー10における管継手6側の一部とを収容する。管継手用カバー1は、引出口14,15を備えている。引出口14,15は、それぞれ、管継手用カバー1の内部と外部とを連通する。引出口14からは管継手6の雌ねじ部11が引き出されている。引出口15からは、新設パイプ9及びパイプ用カバー10が引き出されている。
【0015】
図1~
図8に示すように、管継手用カバー1は、円筒部16と、半筒部17と、フランジ部18とを備えている。円筒部16は、軸方向が施工面2に対して直交方向である有底円筒状の基本形態を有する。円筒部16において、施工面2とは反対側(底側)の端部には、前述した引出口14が貫通形成されている。施工面2に対する直交方向から見て、引出口14の形状は円形であり、引出口14は、円筒部16の内部と外部とを連通している。円筒部16は、施工面2の側において開口部19を備えている。開口部19は、円筒部16の内部と外部とを連通している。
【0016】
半筒部17は、軸方向が施工面2に対して平行な半円筒状の基本形態を有する。半筒部17は、円筒部16の側面に接続されている。半筒部17の内部と円筒部16の内部とは連通されている。半筒部17において、円筒部16とは反対側の端部に、前述した引出口15が形成されている。引出口15は、施工面2の側が開口したU字形状をなしている。引出口15は、半筒部17の内部と外部とを連通している。
【0017】
半筒部17は、施工面2の側において開口部20を備えている。開口部20は、半筒部17の内部と外部とを連通している。半筒部17における施工面2側の端面と、円筒部16における施工面2側の端面とは、面一である。
【0018】
フランジ部18は、円筒部16及び半筒部17のそれぞれにおける施工面2側の端面から、外側に張り出している。フランジ部18には、2つのビス孔21が形成されている。
図9に示すように、ビス孔21を通したビス22を施工面2に対してねじ込むことで、管継手用カバー1が施工面2に設置されている。
【0019】
図1に示すように、管継手用カバー1において円筒部16の引出口14には、内周面に等間隔(本実施形態においては90°間隔)で複数(本実施形態においては4つ)の位置決め突起23が一体成形されている。施工面2に対する直交方向から見て、位置決め突起23は三角形状であり、よって各位置決め突起23は先鋭状をなしていると言える。各位置決め突起23は、軸線方向の長さが小さくまた基端の周方向の長さも小さいため、ニッパー等の手動工具によって基端から簡単に全体を切除が可能である。
【0020】
図11に示すように、各位置決め突起23の先端によって規定される仮想円Cと、管継手6の雌ねじ部11の外周面(円筒面)とはほぼ同じ直径であるため、各位置決め突起23の先端と雌ねじ部11の外周面との間に形成された隙間は狭い。したがって、既設配管4に取り付けられた管継手6に対して、管継手用カバー1を被せる際には、各位置決め突起23の先端が雌ねじ部11のガイドとなって、管継手用カバー1を管継手6に対して簡単かつ精度良く位置決めし得る。
【0021】
ここで、
図9~
図11に示す施工箇所とは別の施工箇所について、二例を説明する。なお、当該別の施工箇所において、
図9~
図11に示す施工箇所と同一部材には同じ部材番号を付して、繰り返しの説明を省略する。
【0022】
まず、一例目である
図12に示す施工箇所においては、
図9~
図11に示す施工箇所の管継手6とは別の管継手24が用いられている。管継手24の雌ねじ部25は、管継手6の雌ねじ部11よりも外周面(円筒面)の直径が大きく、円筒部16の引出口14の直径とほぼ同じ程度である。したがって、雌ねじ部25の直径よりも仮想円Cの直径が小さい位置決め突起23が存在していると、引出口14から雌ねじ部25が引き出せないため、各位置決め突起23は引出口14の内周面からほぼ全体が切除されている。
【0023】
本態様においても、既設配管4に取り付けられた管継手24に対して、管継手用カバー1を被せる際には、引出口14の内周面が雌ねじ部25のガイドとなって、管継手用カバー1を管継手24に対して簡単かつ精度良く位置決めし得る。なお、各位置決め突起23を一部切除可能として、三つ以上のサイズの雌ねじ部11,25,…に対応できるようにしてもよい。
【0024】
つぎに、二例目である
図13に示す施工箇所においては、
図9~
図11に示す施工箇所とは、既設配管4の雌ねじ部5に対する管継手6の雄ねじ部7の螺合が浅く、よって、管継手6(特に雌ねじ部11)の施工面2からの突出量が多くなっている。したがって、管継手用カバー1の円筒部16のみでは、円筒部16の引出口14から雌ねじ部11の先端が大きく突出され、ひいては単水栓12と円筒部16との間に大きな隙間が形成されて見栄えが悪い。よって、単水栓12と円筒部16との間には、円筒状のスペーサ26が配置されている。
【0025】
図13及び
図14に示すように、スペーサ26は、大径円筒部27と、大径円筒部27と同軸位置でかつ大径円筒部27に連設され、大径円筒部27よりも内径及び外径ともに小さい小径円筒部28とを備えている。管継手用カバー1の円筒部16において施工面2とは反対側の端面には、引出口14の周囲に円筒状のリブ29が形成されている。スペーサ26は、大径円筒部27を円筒部16のリブ29に外嵌することにより管継手カバー1に対し圧入固定されている。スペーサ26の小径円筒部28は、単水栓12と円筒部16との間に形成された隙間を埋めており、施工箇所の見栄えを良好としている。
【0026】
なお、スペーサ26は、小径円筒部28を以て、別のスペーサ26の大径円筒部27に対する圧入固定が可能である。したがって、スペーサ26を複数準備して、必要数だけ軸線方向へと重ねて使用すれば、管継手6の施工面2からの突出量が種々に変動したとしても、当該変動に対して好適に対応できる。
【0027】
<別例>
・位置決め突起23の数を、3つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ等、4つ以外の複数とすること。
【0028】
・位置決め突起23を、半球状や半円柱状等、施工面2に対する直交方向から見て半円状に形成すること。
【0029】
・位置決め突起23の一部に切り込み等の脆弱部を設けることで、ニッパー等の手動工具を用いなくとも、手で直接、位置決め突起23を切除可能とすること。
【符号の説明】
【0030】
1…管継手用カバー、2…施工面、3…引出口、4…既設配管、5…雌ねじ部、6…管継手、7…雄ねじ部、8…パイプ接続部、9…新設パイプ、10…パイプ用カバー、11…雌ねじ部、12…給水栓としての単水栓、13…雄ねじ部、14…引出口、15…引出口、16…円筒部、17…半筒部、18…フランジ部、19…開口部、20…開口部、21…ビス孔、22…ビス、23…位置決め突起、24…管継手(別の管継手)、25…雌ねじ部、26…スペーサ、27…大径円筒部、28…小径円筒部、C…仮想円。