(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171364
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】クレンジング料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/45 20060101AFI20241205BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/45
A61Q19/10
A61K8/86
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088321
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097490
【弁理士】
【氏名又は名称】細田 益稔
(74)【代理人】
【識別番号】100097504
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 純雄
(72)【発明者】
【氏名】村上 大河
(72)【発明者】
【氏名】関口 孝治
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC352
4C083AC401
4C083AC402
4C083AC422
4C083BB13
4C083CC23
4C083EE06
4C083EE07
4C083FF01
(57)【要約】
【課題】クレンジング力が高く、すすぎ性が良好で、肌荒れした手指で塗擦しても滑り性が良好で、またクレンジング料の使用量を多くてもつっぱらないクレンジング料を提供する。
【解決手段】クレンジング料は、成分(a)を0.1~10質量%、成分(b)を2~40質量%、成分(c)を1~30質量%、および成分(d)を20~90質量%含有し、成分(b)の成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1~40である。
(a)式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(PO)m(EO)n(BO)pH]y (1)
(b)式(2)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル
R1-O-(CH2-CH2-O)x-R2 (2)
成分(c):HLB値が5~15であり、3価以上の多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上のノニオン性界面活性剤
成分(d):25℃で液状の油剤
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(a)を0.1~10質量%、成分(b)を2~40質量%、成分(c)を1~30質量%、および成分(d)を20~90質量%含有し、前記成分(b)の前記成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1~40であることを特徴とする、クレンジング料。
(a) 下記の式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(PO)m(EO)n(BO)pH]y (1)
(式(1)中、
Zは、水酸基を2~6個有する多価アルコールから前記水酸基を除いた残基であり、
yは2~6であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
BOはオキシブチレン基であり、
mおよびnは、それぞれ、前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数であって、0<m≦50、0<n≦50であり、
pは前記オキシブチレン基BOの平均付加モル数であって、0<p≦5であり、
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとの質量比(PO/EO)は1/5~5/1であり、
前記オキシエチレン基EOと前記オキシプロピレン基POと前記オキシブチレン基BOはランダム状に付加してもブロック状に付加してもよく、またランダム部位とブロック部位が混在していてもよい。)
(b) 下記の式(2)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル
R1-O-(CH2-CH2-O)x-R2 (2)
(式(2)中、
R1およびR2は、炭素数10~18のアシル基を示し、
xはエチレンオキサイドの平均付加モル数であり、1~50である。)
成分(c):HLB値が5~15であり、3価以上の多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上のノニオン性界面活性剤
成分(d):25℃で液状の油剤
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はクレンジング料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
メイクアップ化粧料やサンスクリーン剤を除去するために使用されるクレンジング料には、オイルタイプ、乳液タイプ、クリームタイプ、ローションタイプなど、様々な形態が存在する。中でも、オイルタイプはメイクとの馴染みが良好で、優れたクレンジング力を有するため人気が高く、汎用的に使用されている。
一方で、油性成分を高配合するオイルタイプは、水との相溶性が低いため、すすぎ性が悪い場合や、ぬるつきやべたつきを感じやすい場合がある。
【0003】
そこで、特許文献1では、特定のノニオン性界面活性剤を配合することで、優れたクレンジング効果を有しながら、すすぎ性に優れるオイル状のクレンジング料が開示されている。また、特許文献2では、特定のAO誘導体と多価アルコール、界面活性剤を配合することで、クレンジング効果やすすぎ性だけでなく、べたつきが小さいクレンジング料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-241224号公報
【特許文献2】特開2006-232717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年、耐油性や耐水性の高いメイク化粧料が増えており、メイクを除去し、洗顔をする目的で、クレンジング料と洗顔料を用いてダブル洗顔をする機会が増えている。特許文献1、2で開示されたクレンジング料は、クレンジング力やすすぎ性は良好であるものの、ダブル洗顔に使用すると皮脂が過剰に除去され、つっぱり感が生じる場合があることから、ダブル洗顔をしても肌がつっぱらないクレンジング料が求められる。
【0006】
一方で、最近はエタノールなどの消毒液による手指消毒が習慣化しているが、頻繁な消毒により脱脂され、手のかさつきや手荒れを引き起こす場合がある。手指が荒れた状態でクレンジングを行うと、塗擦した際に摩擦を強く感じたり、洗浄後につっぱり感を感じたりする場合があることから、肌荒れした手指で塗擦しても滑り性が良好で、洗浄後もつっぱり感のないクレンジング料が求められていた。
【0007】
本発明の課題は、クレンジング力が高く、すすぎ性が良好で、肌荒れした手指で塗擦しても滑り性が良好で、洗浄後もつっぱり感のないクレンジング料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明者は下記に示す特定の成分を組み合わせることにより、クレンジング力が高く、すすぎ性が良好で、肌荒れした手指で塗擦しても滑り性が良好で、洗浄後も肌がつっぱらないことを見出した。
【0009】
すなわち、本発明は以下に示されるものである。
下記の成分(a)を0.1~10質量%、成分(b)を2~40質量%、成分(c)を1~30質量%、および成分(d)を20~90質量%含有し、成分(b)の成分(a)に対する質量比((b)/(a))が1~40であることを特徴とする、クレンジング料。
(a) 下記の式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体
Z-[O(PO)m(EO)n(BO)pH]y (1)
(式(1)中、
Zは、水酸基を2~6個有する多価アルコールから前記水酸基を除いた残基であり、
yは2~6であり、
POはオキシプロピレン基であり、
EOはオキシエチレン基であり、
BOはオキシブチレン基であり、
mおよびnは、それぞれ、前記オキシプロピレン基POおよび前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数であって、0<m≦50、0<n≦50であり、
pは前記オキシブチレン基BOの平均付加モル数であって、0<p≦5であり、
前記オキシプロピレン基POと前記オキシエチレン基EOとの質量比(PO/EO)は1/5~5/1であり、
前記オキシエチレン基EOと前記オキシプロピレン基POと前記オキシブチレン基BOはランダム状に付加してもブロック状に付加してもよく、またランダム部位とブロック部位が混在していてもよい。)
(b) 下記の式(2)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル
R1-O-(CH2-CH2-O)x-R2 (2)
(式(2)中、
R1およびR2は、炭素数10~18のアシル基を示し、
xはエチレンオキサイドの平均付加モル数であり、1~50である。)
成分(c):HLB値が5~15であり、3価以上の多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上のノニオン性界面活性剤
成分(d):25℃で液状の油剤
【発明の効果】
【0010】
本発明のクレンジング料は、クレンジング力が高く、すすぎ性が良好で、肌荒れした手指で塗擦しても滑り性が良好で、洗浄後につっぱり感も生じないものである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[成分(a)]
成分(a)は、式(1)で表されるアルキレンオキシド誘導体である。
Zは、水酸基を2~6個有する多価アルコール(Z(OH)y)から前記水酸基を除いた残基であり、yは2~6であり、POはオキシプロピレン基、EOはオキシエチレン基、BOはオキシブチレン基である。
【0012】
mは、前記オキシプロピレン基POの平均付加モル数であって、0<m≦50である。mは、好ましくは、0.5以上であり、より好ましくは1以上である。また、mは、好ましくは20以下である。
【0013】
nは、前記オキシエチレン基EOの平均付加モル数であって、0<n≦50である。nは、好ましくは0.5以上であり、より好ましくは1以上である。また、nは、好ましくは30以下である。
【0014】
pは前記オキシアルキレン基BOの平均付加モル数であって、0<p≦5である。pは、好ましくは0.3以上であり、より好ましくは1以上である。また、pは、好ましくは4以下である。
【0015】
オキシプロピレン基POとEOとの質量比(PO/EO)は1/5~5/1である。質量比(PO/EO)が過度に低いと、クレンジング料の使用量が多い場合につっぱり感が生じることがあり、過度に高いとすすぎ性が低下することがある。またEOとPOとBOはランダム状に付加してもブロック状に付加してもよく、またランダム部位とブロック部位が混在していてもよい。こうした観点から、質量比(PO/EO)を1/5~5/1とする。質量比(PO/EO)は、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは3以下である。また、質量比(PO/EO)は、好ましくは1/4以上である。
【0016】
成分(a)の含有量は、クレンジング料中、0.1~10質量%とする。成分(a)の含有量が0.1質量%未満の場合、塗擦時に滑り性が悪くなったり、クレンジング料の使用量を多い時につっぱり感が生じる可能性があるため、0.1質量%以上とするが、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上が特に好ましい。また、成分(a)の含有量が10質量%を超える場合は、クレンジング力が不十分になる可能性があるので、10質量%以下とするが、8質量%以下が特に好ましい。
【0017】
[成分(b)]
成分(b)は、式(2)で表されるポリオキシエチレン脂肪酸エステルである。
R1-O-(CH2-CH2-O)x-R2 (2)
【0018】
式(2)中、R1およびR2は炭素数10~18のアシル基である。R1およびR2に対応する脂肪酸(R1OH)および(R2OH)としては、炭素数12~18の脂肪酸が好ましく、特に好ましくは炭素数14~18の脂肪酸である。また、脂肪酸は飽和、不飽和、直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。さらに、脂肪酸は各種脂肪酸の混合物である混合脂肪酸でもよい。なお、R1とR2は同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0019】
脂肪酸(R1OH、R2OH)の具体例としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、ヤシ油脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、クレンジング力や塗擦時の滑り性の観点から、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸が好ましく、イソステアリン酸が特に好ましい。
【0020】
アシル基R1およびR2のエステル化率は60~98%が好ましく、特に好ましくは70~98%であり、更に好ましくは85~98%である。エステル化率がこの範囲内であると、クレンジング力が一層向上し、塗擦時の滑り性も一層改善する。
【0021】
本明細書において、エステル化率は、成分(b)の水酸基の総数のうち脂肪酸がエステル結合している水酸基の数の割合であり、成分(b)の鹸化価(SV)、酸価(AV)、水酸基価(OHV)を測定し、下記式にて算出した値である。
エステル化率=[(SV-AV)/(SV-AV+OHV)]×100
【0022】
SV、AV、OHVは、それぞれ、下記の日本工業規格(JIS)記載の方法に準拠して測定した値である。
SV;JIS K-0070 4.1
AV;JIS K-0070 3.1
OHV;JIS K-1557 1
【0023】
式(1)中のxは、エチレンオキサイドの平均付加モル数であり、1~50の整数であり、好ましくは2~40であり、より好ましくは2~20であり、特に好ましくは5~15である。エチレンオキサイドの平均付加モル数が過度に高い場合、すすぎ性が悪化したり、クレンジング力が低下する可能性がある。
【0024】
成分(b)は1種又は2種以上を用いることができる。成分(b)の含有量は、クレンジング料中、2~40質量%であり、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~25質量%である。成分(b)の含有量が過度に少ない場合はクレンジング力が低下する可能性がある。成分(b)の含有量が過度に多い場合は、すすぎ性が悪化したり、つっぱり感が生じる可能性がある。
【0025】
また、成分(b)の質量の成分(a)に対する質量比((b)/(a)) は1~40であり、好ましくは1~30、より好ましくは2~20である。質量比((b)/(a))が過度に低いと、クレンジング力やすすぎ性が低下する可能性があり、過度に高いとつっぱり感が生じる可能性がある。
【0026】
[成分(c)]
成分(c)は、HLB値が5~15、好ましくは5~12、より好ましくは7~12であり、3価以上の多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上のノニオン性界面活性剤である。ノニオン性界面活性剤のHLB値が過度に低い場合および過度に高い場合は、クレンジング力が低下する可能性がある。
【0027】
HLB値は、下記式で示されるグリフィン法によって求めることができる。
HLB値=20×(1-S/A)
S:エステルのケン化価
A:脂肪酸の酸価
【0028】
3価以上の多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸グリセリル、ポリオキシエチレン脂肪酸ソルビットが挙げられる。具体的には、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリオレイン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、テトライソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、イソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビットなどが挙げられ、特に、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(化粧品表示名称:トリイソステアリン酸PEG-20グリセリル(HLB値:8.0)、トリイソステアリン酸PEG-30グリセリル(HLB値:10.0))、テトライソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット(化粧品表示名称テトライソステアリン酸ソルベス-30(HLB値:11.1))が好ましい。
多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルを構成する多価アルコール骨格の価数は、3以上とするが、6以下であることが好ましく、3であることが更に好ましい。
【0029】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、ステアリン酸ポリグリセリル、オレイン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、トリステアリン酸ポリグリセリル、トリオレイン酸ポリグリセリルなどが挙げられ、特に、トリステアリン酸ポリグリセリル(表示名称:トリステアリン酸ポリグリセリル-10(HLB値:7.5))、トリオレイン酸ポリグリセリル(表示名称:トリオレイン酸ポリグリセリル-10(HLB値:7.0))が好ましい。
【0030】
成分(c)として、単一のノニオン性界面活性剤を選択して使用してもよいし、また、二種以上のノニオン性界面活性剤を適宜組み合わせて用いることもできるが、クレンジング力の観点から、多価アルコール骨格を有するポリオキシエチレン脂肪酸エステルを1種類以上含有するものが好ましい。
【0031】
成分(c)の含有量は、クレンジング料中、1~30質量%であり、好ましくは2~25質量%、より好ましくは3~20質量%である。
【0032】
[成分(d)]
成分(d)は、常温(25℃)で液状の油であり、化粧品、医薬品などに通常用いられる液状油を用いることができる。
【0033】
液状油の具体例としては、例えば、炭化水素類、エーテル類、エステル類、植物油類、シリコーン油類が挙げられる。
炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、水添ポリイソブテンが挙げられ、エーテル類としては、例えば、ジオクチルエーテル、エチレングリコールモノラウリルエーテル、エチレングリコールジオクチルエーテルおよびグリセロールモノオレイルエーテルなどが挙げられる。エステル類としては、例えば、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシル、トリカプリル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、イソステアリン酸イソステアリル、およびイソステアリン酸オクチルドデシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルなどが挙げられる。植物油類としては、例えば、オリーブ油、大豆油およびホホバ種子油、コメヌカ油、マカデミア種子油、ヒマワリ種子油などが挙げられ、シリコーン油類としては、例えば、メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンおよびメチルシクロポリシロキサンなどが挙げられる。
【0034】
成分(d)として、単一の液状油を選択して使用してもよいし、また、二種以上の液状油を適宜組み合わせて用いることもできる。例えば、炭化水素類、エーテル類、エステル類、植物油類、およびシリコーン油類の中から2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
クレンジング力を向上させる観点から、成分(d)のうち、エステル類、植物油類等の極性油を含有するものが好ましく、特に、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸セチル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、イソノナン酸イソトリデシル、パルミチン酸イソプロピル、オリーブ油、ホホバ種子油を含有するものが好ましい。
【0036】
成分(d)の含有量は、クレンジング料中、20~90質量%であり、好ましくは40~90質量%、さらに好ましくは50~85質量%である。
【0037】
本発明のクレンジング料は、さらに水を含んでいても良い。水の量は、クレンジング量の全量に対して、好ましくは10質量%以下であることが好ましく、0.2~8質量%であることがより好ましく、0.5~5質量%であることが更に好ましい。
【0038】
本発明のクレンジング料には、必要に応じて、化粧料に常用されている添加剤を適宜配合することができる。かかる添加剤としては、本発明の目的を妨げない限り特に限定されないが、例えば油分、界面活性剤、保湿剤、増粘剤、色材、アルコール類、紫外線防御剤、アミノ酸類、ビタミン類、美白剤、有機酸、無機塩類、酵素、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、殺菌剤、消炎剤、皮膚賦活剤、血行促進剤、抗脂漏剤、抗炎症剤等の薬剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、収斂剤、清涼剤、香料、色素等が挙げられる。なお、これら添加剤のうち成分(a)~(d)に相当するものは除かれる。
【実施例0039】
以下、実施例及び比較例により本発明をより詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0040】
<合成例a1,a2,a3,a4,a5,a‘1,a’2,a’3>
表1に示すアルコール1モルと、触媒として水酸化カリウムを、アルキレンオキシド誘導体の最終重量に対して0.1質量%をオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら110℃で触媒を完全に溶解した。次に、滴下装置からプロピレンオキシドm×yモルとエチレンオキシドn×yモルの混合液を滴下した。滴下終了後、110℃で3時間反応させた。その後、滴下装置より1,2-ブチレンオキシドp×yモルをオートクレーブ内に滴下した。滴下終了後、110℃で2時間反応させた。その後オートクレーブより反応生成物を取り出し、塩酸で中和してpH6~7とし、含有する水分を除去するために、-0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間脱水した。さらに、脱水により生成した中和塩を除去するためろ過を行い、合成例a1,a2,a3,a4,a5,a‘1,a’2,a’3の化合物を得た。
【0041】
上記合成例に準じて、下記表1に示す組成のアルキレンオキシド誘導体を合成した。
【0042】
【0043】
<実施例1~10、比較例1~10>
表2、表3および表4に記載した各組成で原料を量り取り、加熱しながら均一になるまでに攪拌することにより、クレンジング料を調製し、メイクの除去効果、すすぎ性、塗擦時の滑り性、クレンジング料の使用量を増加した際のつっぱり感について下記の通り評価した。評価結果は表2~表4に併せて記載した。
【0044】
なお、実施例および比較例で用いている、(b)成分および(b’)成分のエステル化率(%)は以下のとおりである。
ジイソステアリン酸PEG-8 :88%
ジイソステアリン酸PEG-12 :91%
ジステアリン酸PEG-40 :93%
ジオレイン酸PEG-6 :72%
ジイソステアリン酸PEG―10 :68%
ジオレイン酸PEG-75 :85%
【0045】
<評価法>
(1)<クレンジング力>
ウォータープルーフ型のマスカラ(ロングUPマスカラ スーパーWP、伊勢半社製)を施した健常パネラー10名が、実施例および比較例で調製したクレンジング料5gを手に取り、約30秒間軽く擦った後、ぬるま湯で洗い流した。その際のマスカラの除去効果について、下記評点基準により3段階で相対評価した。10名の合計点を算出し、以下の評価基準により評価した。
(評点基準)
3点: 十分マスカラが落ちたと感じた場合。
2点: ややマスカラの落ちが悪いと感じた場合。
1点: 明らかにマスカラの落ちが悪いと感じた場合。
(評価基準)
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0046】
(2)<すすぎ性>
ウォータープルーフ型のマスカラ(ロングUPマスカラ スーパーWP、伊勢半社製)を施した健常パネラー10名が、実施例および比較例で調製したクレンジング料5gを手に取り、約30秒間間軽く擦った後、ぬるま湯で洗い流した時のすすぎ性について、下記評点基準により3段階で相対評価した。10名の合計点を算出し、以下の評価基準により評価した。
(評点基準)
3点:すすぎ時のぬめりもなく、速やかにすすぎができたと感じた場合。
2点:すすぎ時にややぬめりが残り、ややすすぎ性が悪いと感じた場合。
1点:ぬめりが落ちにくく、明らかにすすぎ性が悪いと感じた場合。
(評価基準)
◎:25点以上
○:20点以上、25点未満
△:15点以上、20点未満
×:15点未満
【0047】
(3)<塗擦時の滑り性>
ウォータープルーフ型のマスカラ(ロングUPマスカラ スーパーWP、伊勢半社製)を施した健常パネラー5名が、手指をアルコールで脱脂した後に実施例および比較例で調製したクレンジング料5gを手に取り、約30秒間軽く擦った際の滑り性について、下記評点基準により3段階で相対評価した。5名の合計点を算出し、以下の評価基準により評価した。
(評点基準)
2点:塗擦時の滑り性が良好と感じた場合。
1点:塗擦時の滑り性がやや悪いと感じた場合。
0点:塗擦時の滑り性が悪いと感じた場合。
(評価基準)
◎:8点以上
○:6点以上、8点未満
△:4点以上、6点未満
×:4点未満
【0048】
(4)<洗浄後のつっぱり感>
ウォータープルーフ型のマスカラ(ロングUPマスカラ スーパーWP、伊勢半社製)を施した健常パネラー10名が、手指をアルコールで脱脂した後に実施例および比較例で調製したクレンジング料5gを手に取り、約30秒間軽く擦った後、ぬるま湯で洗い流した時の肌のつっぱり感について、下記評点基準により3段階で相対評価した。10名の合計点を算出し、以下の評価基準により評価した。
(評点基準)
3点:つっぱり感が無く、しっとりしていると感じた場合。
2点:つっぱり感が無く、ややしっとりとしていると感じた場合。
1点:つっぱり感を感じた場合。
(評価基準)
◎:8点以上
○:6点以上、8点未満
△:4点以上、6点未満
×:4点未満
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
実施例1~10のクレンジング料は、メイクの除去効果、すすぎ性、塗擦時の滑り性、つっぱり感のいずれにおいても優れていた。
【0053】
一方で、比較例1~10では、十分な効果が得られなかった。
すなわち、比較例1~3では、本発明の成分(a)から外れた構造を有する比較成分(a’)を含有しているため、本発明の効果を同時に満たすことができなかった。
【0054】
比較例4では、成分(b)から外れた構造を有する比較成分(b’)を含有しているため、クレンジング力、すすぎ性が劣っていた。
比較例5、6では、(b)/(a)が規定の範囲外のため、本発明の効果を同時に満たすことができなかった。
比較例7では、成分(a)を含まないため、すすぎ性、塗擦時の滑り性、つっぱり感が劣っていた。
【0055】
比較例8では、成分(b)を含まないため、クレンジング力、すすぎ性、つっぱり感が劣っていた。
比較例9では、成分(a)の含有量が規定範囲より多いため、クレンジング力が劣っていた。
比較例10では、成分(b)の含有量が規定範囲より少ない、すすぎ性、つっぱり感が劣っていた。