(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171382
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】充電器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241205BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 301B
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088347
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】平松 佑基
(72)【発明者】
【氏名】相馬 宗厳
(72)【発明者】
【氏名】石山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山上 修平
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 大毅
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503CA10
5G503DA04
5G503FA03
5G503GD03
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS11
5H030AS18
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】複雑な通信を行うことなくバッテリに適した制御で充電できる充電器を提供する。
【解決手段】充電器は2つの基板を備える。一方の基板は、接点端子、識別回路、コネクタを有する。他方の基板は、充電回路、コネクタ、CPU、フラッシュメモリを有する。識別回路は端子情報を有する。一方の基板と他方の基板とはコネクタにより互いに接続される。端子情報は接点端子の種類に対応する。フラッシュメモリには端子情報と充電電流値の対応関係が記憶される。CPUは識別回路から端子情報を取得する(S22)。CPUはフラッシュメモリに記憶された対応関係を参照し、取得した端子情報に基づき、装着されたバッテリに応じた充電電流値を選択し(S25)、充電電力PBの大きさを決定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池端子を有するバッテリを外部電源から供給される電力により充電する充電器において、
第1基板及び第2基板を備え、
前記第1基板は、
前記電池端子と電気的に接続可能な接点端子と、
前記接点端子の種類を識別するための端子識別情報を有する識別回路と、
前記接点端子及び前記識別回路に電気的に接続する第1コネクタとを備え、
前記第2基板は、
前記外部電源から供給される電力を受電可能な受電部と、
前記受電部及び前記第1コネクタに電気的に接続する第2コネクタと、
前記第2コネクタに電気的に接続する制御部と、
前記制御部に電気的に接続し、前記接点端子に電気的に接続した前記バッテリを充電するための充電電力を示す電力値と、前記端子識別情報との対応関係を複数記憶する記憶部とを備え、
前記制御部は、
前記識別回路から前記端子識別情報を取得する第1取得処理と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係を参照し、前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報に対応する前記電力値に基づき、前記充電電力の大きさを決定する決定処理とを実行すること
を特徴とする充電器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記外部電源が供給できる最大電力の値を取得する第2取得処理を実行し、
前記決定処理において、
前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報に対応する前記電力値を選択し、
選択した前記電力値と、前記第2取得処理により取得された前記最大電力の値とを比較し、
前記電力値が前記最大電力の値以下である場合、前記充電電力の大きさを、選択した前記電力値に決定し、
前記電力値が前記最大電力の値よりも大きい場合、前記充電電力の大きさを、前記第2取得処理により取得された前記最大電力以下の値に決定すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項3】
前記第2基板は、
USBPD(Universal Serial Bus Power Delivery)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続可能であり、前記外部電源から供給される電力を中継するUSBポートを備え、
前記制御部は、
前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できるか否かを判定する第1判定処理を実行し、
前記第1判定処理により、前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できると判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記外部電源との前記USBPD規格に準じたネゴシエーションに基づき決定すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1判定処理により、前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できないと判定された場合、前記USBPD規格とは異なる急速給電規格であって、USB規格の標準電力よりも大きい電力を給電する急速給電規格に準じた給電を実行できるか否かを判定する第2判定処理を実行し、
前記第2判定処理により、前記外部電源が前記急速給電規格に準じた給電を実行できると判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記急速給電規格に準ずる電力の大きさに基づき決定し、
前記第2判定処理により、前記外部電源が前記急速給電規格に準じた給電を実行できないと判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記USB規格の標準電力値に決定すること
を特徴とする請求項3に記載の充電器。
【請求項5】
前記制御部は、
外部端末に記憶された前記充電電力と前記端子識別情報との前記対応関係を受信する受信処理と、
前記記憶部に記憶された前記対応関係を、前記受信処理において受信された前記対応関係に更新する更新処理とを実行すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項6】
前記第1基板を収納する第1基板ケースと、
前記第2基板を収納する第2基板ケースとを有すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項7】
前記第1基板及び前記第2基板を収納する充電器ケースを有すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項8】
前記識別回路は、所定の電力が入力されることにより前記接点端子の種類に応じた電位状態を示すこと
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【請求項9】
前記バッテリを装着する装着部を有し、
前記第1基板は、前記装着部に装着された前記バッテリの種類を識別するためのバッテリ識別情報を検出する検出部を有し、
前記記憶部は、前記充電電力を示す前記電力値、前記端子識別情報、及び前記バッテリ識別情報の前記対応関係を複数記憶し、
前記制御部は、
前記検出部が検出した前記バッテリ識別情報を取得する第3取得処理を実行し、
前記決定処理において、前記記憶部に記憶された前記対応関係を参照し、前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報及び前記第3取得処理により取得された前記バッテリ識別情報に対応する前記電力値に基づき、前記充電電力を決定すること
を特徴とする請求項1に記載の充電器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の充電器は、充電器本体及びアダプターを有する。充電器は、アダプターを着脱可能に装着する。充電器本体は、パワー端子、本体コネクタ、充電電流を供給する電源部、及び充電電流を制御する制御部を含む。アダプターは、複数種類の充電池に対して一対一で対応する。アダプターは、パワー端子に接続するコネクタ、コネクタに電気的に接続し且つ充電池に接続する充電器端子、及びROMを含む。ROMは、本体コネクタと電気的に接続し且つ充電電流を制御するための充電制御方法を記憶する。充電器は、ROMに記憶された充電制御方法に従って、制御部により充電電流を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記充電器において、制御部は充電器本体に設けられ、ROMはアダプターに設けられる。ROMには充電制御方法としてプログラムが記憶される。制御部は、充電制御方法に関するデータを記憶していないので、ROMからプログラムを取得する必要がある。プログラムはデータ量が多いので、ROMからプログラムを取得する場合に、例えば充電器本体とアダプターとの間で通信エラーが生じる可能性がある。この場合、制御部は、アダプターに応じた適切な方法で充電電流を制御できないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、複雑な通信を行うことなくバッテリに適した制御で充電できる充電器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る充電器は、電池端子を有するバッテリを外部電源から供給される電力により充電する充電器において、第1基板及び第2基板を備え、前記第1基板は、前記電池端子と電気的に接続可能な接点端子と、前記接点端子の種類を識別するための端子識別情報を有する識別回路と、前記接点端子及び前記識別回路に電気的に接続する第1コネクタとを備え、前記第2基板は、前記外部電源から供給される電力を受電可能な受電部と、前記受電部及び前記第1コネクタに電気的に接続する第2コネクタと、前記第2コネクタに電気的に接続する制御部と、前記制御部に電気的に接続し、前記接点端子に電気的に接続した前記バッテリを充電するための充電電力を示す電力値と、前記端子識別情報との対応関係を複数記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、前記識別回路から前記端子識別情報を取得する第1取得処理と、前記記憶部に記憶された前記対応関係を参照し、前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報に対応する前記電力値に基づき、前記充電電力の大きさを決定する決定処理とを実行することを特徴とする。
【0007】
本発明に係る充電器によれば、制御部は第1基板の識別回路から端子識別情報を取得し、端子識別情報に基づき充電電流を決定する。端子識別情報は接点端子の種類を識別するための情報であるので、制御部はプログラムを取得する場合のように複雑な通信を行う必要がない。よって、充電器は複雑な通信を行うことなくバッテリに適した制御で充電できる。
【0008】
充電器において、前記制御部は、前記外部電源が供給できる最大電力の値を取得する第2取得処理を実行し、前記決定処理において、前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報に対応する前記電力値を選択し、選択した前記電力値と、前記第2取得処理により取得された前記最大電力の値とを比較し、前記電力値が前記最大電力の値以下である場合、前記充電電力の大きさを、選択した前記電力値に決定し、前記電力値が前記最大電力の値よりも大きい場合、前記充電電力の大きさを、前記第2取得処理により取得された前記最大電力以下の値に決定してもよい。この場合、充電器は端子識別情報に対応する仮充電電力と、外部電源が供給できる最大電力とを比較して充電電力を決定する。よって、充電器は種々の外部電源に対応できる。
【0009】
充電器において前記第2基板は、USBPD(Universal Serial Bus Power Delivery)規格に準ずる接続で前記外部電源と接続可能であり、前記外部電源から供給される電力を中継するUSBポートを備え、前記制御部は、前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できるか否かを判定する第1判定処理を実行し、前記第1判定処理により、前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できると判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記外部電源との前記USBPD規格に準じたネゴシエーションに基づき決定してもよい。この場合、充電器はUSBPD規格に基づき充電電力を決定できるので、短時間でバッテリを充電できる。
【0010】
充電器において、前記制御部は、前記第1判定処理により、前記外部電源が前記USBPD規格に準じた給電を実行できないと判定された場合、前記USBPD規格とは異なる急速給電規格であって、USB規格の標準電力よりも大きい電力を給電する急速給電規格に準じた給電を実行できるか否かを判定する第2判定処理を実行し、前記第2判定処理により、前記外部電源が前記急速給電規格に準じた給電を実行できると判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記急速給電規格に準ずる電力の大きさに基づき決定し、前記第2判定処理により、前記外部電源が前記急速給電規格に準じた給電を実行できないと判定された場合、前記決定処理において前記充電電力の大きさを、前記USB規格の標準電力値に決定してもよい。この場合、外部電源が急速給電規格に準じた規格で給電を実行できる場合には、充電器は急速給電規格に準ずる電力に基づきバッテリを充電するので、USB規格の標準電力に基づきバッテリを充電する場合と比較して短時間で充電できる。また、外部電源が急速給電規格に準じた規格で給電を実行できない場合には、充電器はUSB規格の標準電力に基づきバッテリを充電するので、種々の外部電源から受電できる。
【0011】
充電器において、前記制御部は、外部端末に記憶された前記充電電力と前記端子識別情報との前記対応関係を受信する受信処理と、前記記憶部に記憶された前記対応関係を、前記受信処理において受信された前記対応関係に更新する更新処理とを実行してもよい。この場合、充電器は記憶部に記憶された充電電力と端子識別情報との対応関係を更新するので、種々のバッテリを充電できる。
【0012】
充電器は、前記第1基板を収納する第1基板ケースと、前記第2基板を収納する第2基板ケースとを有してもよい。充電器は、例えば第1基板及び第1基板ケースをバッテリの種類に対応することで、第2基板及び第2基板ケースを共通化できる。
【0013】
充電器は、前記第1基板及び前記第2基板を収納する充電器ケースを有してもよい。この場合、充電器は、バッテリと1対1の関係になる。よって、充電器は第1基板を変更するだけで異なる種類のバッテリを充電することをできる。
【0014】
充電器において、前記識別回路は、所定の電力が入力されることにより前記接点端子の種類に応じた電位状態を示してもよい。この場合、端子識別情報は接点端子の種類に応じた電位状態を示す情報となるのでプログラムと比較してデータ量が少ない。よって、充電器は複雑な通信を行うことなくバッテリに適した制御で充電できる。
【0015】
充電器は、前記バッテリを装着する装着部を有し、前記第1基板は、前記装着部に装着された前記バッテリの種類を識別するためのバッテリ識別情報を検出する検出部を有し、前記記憶部は、前記充電電力を示す前記電力値、前記端子識別情報、及び前記バッテリ識別情報の前記対応関係を複数記憶し、前記制御部は、前記検出部が検出した前記バッテリ識別情報を取得する第3取得処理を実行し、前記決定処理において、前記記憶部に記憶された前記対応関係を参照し、前記第1取得処理により取得された前記端子識別情報及び前記第3取得処理により取得された前記バッテリ識別情報に対応する前記電力値に基づき、前記充電電力を決定してもよい。充電器は、例えば接点端子が共通であってもバッテリ識別情報に基づきバッテリに応じた電力値の充電電力で充電できる。よって、充電器は種々のバッテリを適切な充電電力で充電できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】バッテリ5Aを装着する充電器1Aを示す図である。
【
図3】バッテリ5Dを装着する充電器1Aを示す図である。
【
図6】
図5に続く充電開始処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1~
図6を参照し、本発明の一実施形態について説明する。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられる。すなわち、図面に記載されている装置の構成及び制御は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0018】
図1に示すように、充電器1Aは、外部端末4から供給される電力によりバッテリ5を充電する。外部端末4は、例えば汎用のパーソナルコンピュータ、携帯端末、タブレット端末等である。
【0019】
充電器1Aと外部端末4とは、USBケーブル40によりUSB規格に準ずる接続が行われる。USBケーブル40は電力ライン41A、信号ライン41Bを有する。充電器1Aと外部端末4とは、電力ライン41Aを介して電力の受電と給電を行い、信号ライン41Bを介して通信を行う。
図1、
図7は電力ライン41Aを太線で図示し、信号ライン41Bを細線の矢印で図示する。
【0020】
USBケーブル40には、電力ライン41Aと信号ライン41Bの他に、CC(Configuration Channel)ライン41Cを有するUSBケーブル40Aと、CCライン41Cを有さないUSBケーブル40B(
図7参照)との2種類がある。USBPD規格に準ずる接続が行われる場合、充電器1Aと外部端末4とはCCライン41Cを介して通信を行う。
【0021】
<ユニット2>
充電器1Aは、ユニット2、3を有する。ユニット2は外部端末4と接続し、外部端末4から供給される電力を受電する。ユニット2は、ケース20及び基板21を有する。ケース20は基板21を収納する。
【0022】
基板21は、電力ライン42A、信号ライン42B、CPU10、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ13、USBPDコントローラ14、USBポート22、充電回路23、及びコネクタ24を有する。
【0023】
電力ライン42Aは外部端末4から受電した電力をユニット3へと供給するための配線である。信号ライン42Bは電気信号による通信を行うための配線である。
図1、
図7は電力ライン42Aを太線で図示し、信号ライン42Bを細線の矢印で図示する。
【0024】
CPU10は充電器1Aを統括制御する。CPU10は、ROM11、RAM12、フラッシュメモリ13、USBPDコントローラ14、充電回路23、及びコネクタ24と信号ライン42Bを介して電気的に接続する。
【0025】
ROM11は各種プログラムの実行時に必要な各種パラメータを記憶する。RAM12は種々の一時データを記憶する。フラッシュメモリ13は、後述するテーブル91及び後述する充電開始処理等のCPU10によって実行されるプログラムを記憶する。
【0026】
USBポート22は、USBケーブル40を接続するための接続口である。USBポート22は、外部端末4とUSBケーブル40を介してUSB規格に準ずる接続を行うための接続口である。USBPDコントローラ14は、USBポート22と信号ライン42Bを介して電気的に接続する。USBPDコントローラ14は、外部端末4からUSBPD規格に準ずる受電が可能な場合に、外部端末4から受電する電力について外部端末4との間でネゴシエーションを実行する。
【0027】
充電回路23は、USBポート22及びコネクタ24と電力ライン42Aを介して電気的に接続する。充電回路23は、外部端末4から供給された電力を受電し、バッテリ5を充電するための充電電力PBとして出力するための回路である。コネクタ24は、充電回路23が出力する充電電力PB、CPU10が出力する信号等を中継する。
【0028】
<ユニット3>
ユニット3はユニット2及びバッテリ5と接続し、ユニット2から出力される充電電力PBをバッテリ5に中継する。ユニット3はケース30及び基板31を有する。ケース30は基板31を収納する。詳細は後述するが、ユニット3には、ユニット3A(
図2参照)、3B(
図3参照)の2種類がある。
【0029】
基板31は、電力ライン43A、信号ライン43B、コネクタ33、装着部6、及び識別回路32を有する。電力ライン43Aはユニット2から受電した電力をバッテリ5へと供給するための配線である。信号ライン43Bは電気信号による通信を行うための配線である。
図1~
図3、
図7は電力ライン43Aを太線で図示し、信号ライン43Bを細線の矢印で図示する。
【0030】
コネクタ33は、基板21のコネクタ24、識別回路32、及び装着部6と電力ライン43A及び信号ライン43Bを介して電気的に接続する。コネクタ33は、充電回路23が出力する充電電力PB、CPU10が出力する信号等を中継する。
【0031】
装着部6は、バッテリ5を着脱可能に装着する。装着部6は、接点端子62、装着スイッチ63、及び識別スイッチ64を有する。
【0032】
接点端子62は、電力ライン43Aを介してコネクタ33と接続する。接点端子62は、金属製であり幅Dの溝65が形成される。溝65は、バッテリ5の後述する端子52を嵌合可能である。接点端子62は、端子52を介してバッテリ5に充電電力PBを中継する。
【0033】
装着スイッチ63はコネクタ33と信号ライン43Bを介して電気的に接続する。装着スイッチ63は押ボタン63Aを有する。バッテリ5が装着部6に装着された場合、押ボタン63Aが押圧されて、装着スイッチ63の接点が閉じられる。装着スイッチ63は、接点が閉じられたことを示すON信号を出力する。バッテリ5が装着部6に装着されていない場合、押ボタン63Aの押圧が解除されて、装着スイッチ63の接点が開かれる。装着スイッチ63は、接点が開かれたことを示すOFF信号をコネクタ33に出力する。
【0034】
識別スイッチ64はコネクタ33と信号ライン43Bを介して電気的に接続する。識別スイッチ64は押ボタン64Aを有する。詳細は後述するが、バッテリ5が装着部6に装着された場合において、押ボタン64Aはバッテリ5の種類に応じて押圧又は押圧の解除が行われる。
【0035】
押ボタン64Aが押圧された場合、識別スイッチ64の接点が閉じられる。識別スイッチ64は、接点が閉じられたことを示す信号をコネクタ33に出力する。本実施形態において、識別スイッチ64の接点が閉じられたことを示す信号は16進数データ「0xFF」である。押ボタン64Aの押圧が解除された場合、識別スイッチ64の接点が開かれる。識別スイッチ64は、接点が開かれたことを示す信号を出力する。本実施形態において、識別スイッチ64の接点が開かれたことを示す信号は16進数データ「0x00」である。以下、識別スイッチ64が出力する信号を「バッテリ情報」という。
【0036】
識別回路32は、可変抵抗71、A/Dコンバータ72を有する。可変抵抗71は可変抵抗器であり、3つの接点を有する。可変抵抗71の第1の接点は、電力ライン43Aを介してコネクタ33及び接点端子62に電気的に接続される。可変抵抗71の第2の接点は接地される。可変抵抗71の第3の接点は、A/Dコンバータ72に接続される。可変抵抗71の電気抵抗値は接点端子62の種類に応じた大きさであるが、詳細は後述する。
【0037】
A/Dコンバータ72の一端は可変抵抗71の第3の接点に接続される。A/Dコンバータ72の他端は接地される。A/Dコンバータ72は、コネクタ33と信号ライン43Bを介して電気的に接続する。A/Dコンバータ72は、可変抵抗71で生じた出力電圧に応じたデジタル信号を出力する。一例として、可変抵抗71の出力電圧が2Vであるとき、A/Dコンバータ72は16進数データ「0x66」を出力する。可変抵抗71の出力電圧が3Vであるとき、A/Dコンバータ72は16進数データ「0x99」を出力する。以下、A/Dコンバータ72が出力するデジタル信号を「端子情報」という。
【0038】
<ユニット3A、3B>
図2、
図3を参照し、ユニット3A、3Bを説明する。
図2、
図3は、ユニット2及び外部端末4の図示を省略する。コネクタ33、装着スイッチ63、識別スイッチ64、及びA/Dコンバータ72はユニット3A、3Bに共通する構成である。以下、共通する構成については同じ符号を付して説明を省略し、異なる構成について説明する。
【0039】
図2に示すように、ユニット3Aは装着部6A、識別回路32Aを有する。装着部6Aは接点端子62として接点端子62Aを有する。接点端子62Aには、幅D1の溝65Aが形成され、バッテリ5の後述する端子52Aを嵌合可能である。識別回路32Aは可変抵抗71として可変抵抗71Aを有する。可変抵抗71Aは、接点端子62Aに対応する電気抵抗値を示す。
【0040】
図3に示すように、ユニット3Bは、装着部6Aに代わり装着部6Bを有する点、及び識別回路32Aに代わり識別回路32Bを有する点でユニット3Aと異なる。装着部6Bは、接点端子62として接点端子62Bを有する。接点端子62Bには、幅D1とは異なる幅D2の溝65Bが形成され、バッテリ5の後述する端子52Bを嵌合可能である。識別回路32Bは可変抵抗71として可変抵抗71Bを有する。可変抵抗71Bは、接点端子62Bに対応する電気抵抗値を示す。
【0041】
このように、ユニット3A、3Bで、装着されるバッテリ5の端子52の種類が異なる。従って、バッテリ5の端子52が複数種類ある場合にも、充電器1Aはユニット2に接続するユニット3の種類を変えることでバッテリ5を充電できる。
【0042】
<バッテリ5>
図1~
図3を参照し、バッテリ5を説明する。バッテリ5は、例えばリチウムイオン電池、電気二重層コンデンサ等である。バッテリ5は、複数のセル51(
図1参照)及びケース50を有する。複数のセル51は、充電器1Aから供給される充電電力PBを蓄電する。
【0043】
ケース50は、直方体状であり、複数のセル51を収納する。バッテリ5が充電器1Aの装着部6に装着された場合、ケース50を構成する壁のうち壁50Aが装着部6に対向する。壁50Aには、端子52、押圧部53、及び指標部54が設けられる。
【0044】
端子52は複数のセル51と電気的に接続する。端子52には、端子52A(
図2参照)、52B(
図3参照)の2種類がある。端子52Aは幅D1の板状であり、充電器1Aの接点端子62Aに嵌合可能である。端子52Bは幅D2の板状であり、充電器1Aの接点端子62Bに嵌合可能である。押圧部53は、板状であり、バッテリ5が装着部6に装着された場合に装着スイッチ63の押ボタン63Aに対向する。押圧部53は、バッテリ5が装着部6に装着された場合に押ボタン63Aを押圧する。
【0045】
指標部54は板状であり、バッテリ5が装着部6に装着された場合に識別スイッチ64の押ボタン64Aに対向する。指標部54には、指標部54A(
図2参照)、54B(
図3参照)の2種類がある。
【0046】
指標部54Aには、溝55が形成される。溝55の深さは、押ボタン64Aの高さよりも深い。従って、指標部54Aはバッテリ5が装着部6に装着された場合に識別スイッチ64の押ボタン64Aを押圧しない(
図2参照)。指標部54Bは、溝55が形成されない点で指標部54Aと異なる。従って、指標部54Bはバッテリ5が装着部6に装着された場合に識別スイッチ64の押ボタン64Aを押圧する(
図3参照)。
【0047】
<充電器1Aにおけるバッテリ5の識別>
端子52の種類はバッテリ5の種類を特定する要素である。バッテリ5はバッテリ5の種類に応じて充電電力PBの大きさが異なる。すなわち、充電電力PBの大きさは、端子52の種類及び端子52を嵌合する接点端子62の種類に応じて異なる。ここで、識別回路32の可変抵抗71の電気抵抗値は、充電電力PBの大きさに応じて異なる。すなわち、可変抵抗71の電気抵抗値は、端子52の種類及び接点端子62の種類に応じて異なる。
【0048】
可変抵抗71の出力電圧は接点端子62の種類に応じて異なるので、所定の電圧が可変抵抗71に入力された場合のA/Dコンバータ72が出力する端子情報も接点端子62の種類に応じたものとなる。本実施形態では、CPU10は充電回路23を介して5Vの電圧を識別回路32に入力する。この場合、識別回路32Aにおいて、A/Dコンバータ72は、可変抵抗71Aの出力電圧の値に対応する端子情報「0x66」を出力する。識別回路32Bにおいて、A/Dコンバータ72は、可変抵抗71Aの出力電圧の値に対応する端子情報「0x99」を出力する。このように、充電器1Aでは、CPU10が端子52の種類に応じて異なる端子情報を取得することで、ユニット3の種類及び装着部6に接続されるバッテリ5の種類を識別できる。また、充電器1Aは、装着部6にバッテリ5が装着されていない状態でも、識別回路32を用いてバッテリ5の種類を識別できる。
【0049】
また、指標部54の形状もバッテリ5の種類を特定する要素である。例えば、2つのバッテリ5の間で、端子52の種類が端子52Aで共通し且つ複数のセル51の種類が異なる場合がある。この場合、一方のバッテリ5の指標部54を指標部54Aとし、他方のバッテリ5の指標部54を指標部54Bとすることで、異なるバッテリ情報が識別スイッチ64から出力される。このように、充電器1Aでは、CPU10が指標部54に応じて異なるバッテリ情報を取得することで、装着部6に装着されたバッテリ5の種類を識別できる。
【0050】
バッテリ5には、2種類の端子52と、2種類の指標部54との組み合わせで4種類のバッテリ5A、5B、5C、5Dがある(
図4参照)。バッテリ5Aは端子52A及び指標部54Aを有する。バッテリ5Bは端子52A及び指標部54Bを有する。バッテリ5Cは端子52B及び指標部54Aを有する。バッテリ5Dは端子52B及び指標部54Bを有する。
【0051】
<テーブル91>
図4を参照し、フラッシュメモリ13に記憶されるテーブル91を説明する。テーブル91は、4種類のバッテリ5A、5B、5C、5Dを充電するための充電電流値、端子情報、及びバッテリ情報の対応関係を示す。なお、本実施形態においてバッテリ5を充電する電圧Vはバッテリ5の種類に依らず一定である。CPU10は、テーブル91を参照し、取得した端子情報及びバッテリ情報に対応する充電電流値に基づき、バッテリ5の充電電力PBを決定する。
【0052】
例えば、テーブル91にはないバッテリ5Eを充電する場合がある。この場合、CPU10は外部端末4とUSBケーブル40を介して通信を行う。CPU10はバッテリ5Eを充電するための充電電流値、端子情報、及びバッテリ情報の対応関係を示したテーブル91を外部端末4から受信し、フラッシュメモリ13に記憶されているテーブル91を外部端末4から受信したテーブル91に更新する。CPU10は更新したテーブル91を参照し、バッテリ5Eを充電する。
【0053】
<充電開始処理>
図5、
図6に示す充電開始処理は、バッテリ5を充電する処理である。充電開始処理は、充電器1Aの電源投入時にフラッシュメモリ13からRAM12に読み出され、CPU10により開始される。
【0054】
図5に示すように、CPU10はUSBケーブル40を介して外部端末4とUSB規格に準ずる接続が行われているか否かを判定する(S1)。CPU10は外部端末4とUSB規格に準ずる接続が行われていないと判定した場合(S1:NO)、処理をS1に戻す。
【0055】
CPU10は外部端末4とUSB規格に準ずる接続が行われていると判定した場合(S1:YES)、外部端末4との間でUSBケーブル40AのCCライン41Cを用いて通信を実行できるか否かを判定する(S2)。CCライン41Cを有するUSBケーブル40Aを介して互いに接続される場合、充電器1Aと外部端末4とはCCライン41Cを用いてUSBPD規格に準ずる接続を実行できる。CCライン41Cを有さないUSBケーブル40Bを介して互いに接続される場合、充電器1Aと外部端末4とはUSBPD規格に準ずる接続を行われない。
【0056】
CPU10は外部端末4とCCライン41Cを用いた通信を実行できると判定した場合(S2:YES)、USBPDコントローラ14と外部端末4との間でUSBPD規格に準じたネゴシエーションを実行させる(S3)。S3の処理において、USBPDコントローラ14は複数のPDO(Power Data Object)を外部端末4から取得する。PDOの夫々は外部端末4が供給可能な電力の大きさを示す。CPU10は外部端末4から受電する受電電力PAの大きさを、S3の処理で取得した複数のPDOのうち最も大きい電力を示すPDOに基づき決定し、外部端末4に通知する(S4)。CPU10は処理をS11に移行する。
【0057】
CPU10は外部端末4とCCライン41Cを用いた通信をできないと判定した場合(S2:NO)、USBPDコントローラ14と外部端末4との間でネゴシエーションを実行できないとして、外部端末4が急速給電規格に対応するか否かを判定する(S5)。急速給電規格は、USB2.0規格に準ずる5V/0.5Aの電力よりも大きい電力を給電するためのUSB接続に関する給電規格であり、例えばUSBBC規格、Qualcomm\Quick Charge(登録商標、以下QCという。)規格等である。例えば、急速給電規格がQC規格である場合、S5の処理においてCPU10はUSBケーブル40の信号ライン41Bを介して外部端末4に充電器1AがQC規格に対応する旨を通知する。通知を受信した外部端末4はUSBケーブル40を介してCPU10に外部端末4がQC規格に対応する旨を通知する。CPU10は外部端末4から通知を受信した場合、外部端末4がQC規格に対応すると判定する。
【0058】
CPU10は外部端末4が急速給電規格に対応すると判定した場合(S5:YES)、受電電力PAの大きさを、急速給電規格に基づき決定し、外部端末4に通知する(S6)。CPU10は処理をS11に移行する。CPU10は外部端末4が急速給電規格に対応しないと判定した場合(S5:NO)、受電電力PAの大きさを、USB2.0規格に準ずる5V/0.5Aと決定し、外部端末4に通知する(S7)。以下、USB2.0規格に準ずる5V/0.5Aを標準電力という。CPU10は処理をS11に移行する。
【0059】
CPU10は外部端末4と通信し、フラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91の更新があるか否かを判定する(S11)。S11の処理において、CPU10はUSBケーブル40を介して外部端末4にフラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を示すデータを送信する。外部端末4は、受信したデータと、外部端末4が記憶するテーブル91を示すデータとを参照し、テーブル91の更新があるか否かを判定する。外部端末4は、テーブル91の更新があると判定した場合、テーブル91の更新があることを示す更新信号をCPU10に通信する。外部端末4は、テーブル91の更新がないと判定した場合、テーブル91の更新がないことを示す維持信号をCPU10に通信する。
【0060】
CPU10は外部端末4から更新信号を受信しテーブル91の更新があると判定した場合(S11:YES)、外部端末4に記憶されたテーブル91を受信する(S12)。CPU10は、フラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を、S12の処理で受信したテーブル91に差し替える(S13)。CPU10はS14の処理に移行する。
【0061】
CPU10は外部端末4から維持信号を受信しテーブル91の更新がないと判定した場合(S11:NO)、S4、S6、S7の処理で決定した受電電力PAを供給するよう外部端末4に指示し、外部端末4からの受電を開始する(S14)。外部端末4から受電した電力は充電回路23まで供給される。CPU10は処理をS21(
図6参照)に移行する。
【0062】
図6に示すように、CPU10は充電回路23を介して所定の電気信号を識別回路32に入力する(S21)。電気信号が入力された識別回路32において、A/Dコンバータ72はユニット3の種類に応じた端子情報を出力する。CPU10は、A/Dコンバータ72が出力する端子情報を取得する(S22)。CPU10は端子情報「0x66」を取得した場合にユニット3の種類がユニット3Aと判断し、装着部6に装着されるバッテリ5の種類がバッテリ5A又はバッテリ5Bであると判断する。CPU10は端子情報「0x99」を取得した場合にユニット3の種類がユニット3Bと判断し、装着部6に装着されるバッテリ5の種類がバッテリ5C又はバッテリ5Dであると判断する(
図4参照)。
【0063】
CPU10は装着部6にバッテリ5が装着されているか否かを判定する(S23)。CPU10は、S23の処理において、装着スイッチ63が出力する信号を取得する。CPU10は装着スイッチ63からOFF信号を取得した場合、装着部6にバッテリ5が装着されていないと判定し(S23:NO)、処理をS23に戻す。
【0064】
CPU10は装着スイッチ63からON信号を取得した場合、装着部6にバッテリ5が装着されていると判定し(S23:YES)、識別スイッチ64が出力するバッテリ情報を取得する(S24)。
【0065】
CPU10はS22で取得した端子情報と、S24で取得したバッテリ情報とに基づき、フラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を参照し、装着されたバッテリ5に応じた充電電流値を選択する(S25)。バッテリ5を充電する電圧Vがバッテリ5の種類に依らず一定であるので、充電電流値が選択されることで充電電力PBの大きさが決定される。
【0066】
CPU10は充電電力PBの大きさが受電電力PAの大きさ以下であるか否かを判定する(S26)。CPU10は充電電力PBの大きさが受電電力PAの大きさよりも大きいと判定した場合(S26:NO)、充電電力PBの大きさを受電電力PA以下の値に変更する(S27)。CPU10は処理をS28に移行する。
【0067】
CPU10は充電電力PBの大きさが受電電力PAの大きさ以下であると判定した場合(S26:YES)、決定した充電電力PBを充電回路23から出力し、バッテリ5の充電を開始する(S28)。
【0068】
<本実施形態の作用、効果>
以上説明したように、充電器1Aは基板21、31を備える。基板31は、接点端子62、識別回路32、コネクタ33を有する。基板21は、充電回路23、コネクタ24、CPU10、フラッシュメモリ13を有する。CPU10は識別回路32に含まれるA/Dコンバータ72が出力する端子情報を取得する(S22)。端子情報は接点端子62の種類に対応する。フラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91は、端子情報と充電電流値の対応関係を示す。CPU10はフラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を参照し、取得した端子情報に基づき、装着されたバッテリ5に応じた充電電流値を選択し(S25)、充電電力PBの大きさを決定する。
【0069】
充電器1Aによれば、基板21のCPU10は基板31の識別回路32から端子情報を取得する。ここで、接点端子62はバッテリ5の端子52と嵌合可能であり、充電器1Aに装着されるバッテリ5の種類を特定する要素である。装着されたバッテリ5の種類を識別し、バッテリ5の種類に応じた充電電力PBを決定する。ここで、端子情報は16進数データであり、そのデータ量は4ビットである。従って、端子情報は、例えば充電電力PBを決定するプログラムなどのデータ量と比べて非常に小さい。このように、充電器1Aは基板21と基板31との間で複雑な通信を行う必要がなく、バッテリ5の種類に応じた充電電力PBでバッテリ5を充電できる。
【0070】
CPU10は、USBPDコントローラ14と外部端末4との間でUSBPD規格に準じたネゴシエーションを実行させる(S3)。CPU10はUSBPDコントローラ14がネゴシエーションにおいて外部端末4から取得した複数のPDOのうち最も大きい電力を示すPDOに基づき、受電電力PAの大きさを決定する(S4)。CPU10は受電電力PAの大きさと、端子情報に基づき決定した充電電力PBの大きさの大小関係を比較する(S26)。CPU10は充電電力PBの大きさが受電電力PAの大きさ以下であると判定した場合、端子情報に基づき決定した充電電力PBでバッテリ5を充電する。CPU10は充電電力PBの大きさが受電電力PAの大きさよりも大きいと判定した場合(S26:NO)、充電電力PBの大きさを受電電力PA以下の値に変更し(S27)、変更後の充電電力PBでバッテリ5を充電する。このように、充電器1Aは外部端末4が供給できる電力の範囲内で充電電力PBを決定するので、種々の外部端末4によりバッテリ5を充電できる。
【0071】
CPU10は外部端末4とCCライン41Cを用いて通信を実行できるか否かを判定する(S2)。CPU10は外部端末4とCCライン41Cを用いて通信を実行できると判定した場合、USBPDコントローラ14と外部端末4との間でUSBPD規格に準じたネゴシエーションを実行させる(S3)。CPU10はUSBPDコントローラ14がネゴシエーションにおいて外部端末4から取得したPDOに基づき、受電電力PAの大きさを決定する(S4)。CPU10は受電電力PAの大きさに基づき充電電力PBの大きさを決定する(S25~S27)。このように、充電器1Aは外部端末4からUSBPD規格に準じた給電を実行できる場合、外部端末4との間でUSBPD規格に準じたネゴシエーションを実行し、外部端末4から取得したPDOに基づき充電電力PBを決定する。よって、充電器1Aは短時間でバッテリ5を充電できる。
【0072】
CPU10は外部端末4との間でCCライン41Cを用いて通信ができないと判定した場合、USBPD規格に準ずる接続を行えないとして、外部端末4が急速給電規格に対応するか否かを判定する(S5)。CPU10は外部端末4が急速給電規格に対応すると判定した場合、急速給電規格に基づき受電電力PAの大きさを決定する(S6)。CPU10は外部端末4が急速給電規格に対応しないと判定した場合、受電電力PAの大きさをUSB2.0規格の標準電力の電力値に決定する。CPU10は受電電力PAの大きさに基づき充電電力PBの大きさを決定する(S25~S27)。このように、充電器1Aは外部端末4がUSBPD規格に対応していない場合にも、外部端末4が急速給電規格に対応している場合には急速給電規格に基づき充電電力PBの大きさを決定する。よって、充電器1Aは短時間でバッテリ5を充電できる。一方、CPU10は外部端末4がUSBPD規格にも対応していない場合、USB2.0規格の標準電力に基づき充電電力PBの大きさを決定する。USB接続が可能な外部端末4はUSB2.0規格に準じた給電を実行できるものが多い。よって、充電器1Aは種々の外部端末4から受電できる。
【0073】
CPU10は外部端末4と通信し、外部端末4に記憶されたテーブル91を受信する(S12)。CPU10はフラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を、受信したテーブル91に差し替える(S13)。このように、充電器1Aは例えば新たに市場に出た等の理由で、更新前のテーブル91では端子情報と充電電流値との対応関係が示されていないバッテリ5に対しても、テーブル91を更新することで適切な充電電力PBで充電できる。よって、充電器1Aは種々のバッテリ5を充電できる。
【0074】
ユニット2では、基板21がケース20に収納される。ユニット3では、基板31がケース30に収納される。ここで、ユニット3には、ユニット3A、3Bの2種類がある。ユニット3Aは接点端子62Aを有し、バッテリ5Aを装着可能である。ユニット3Bは接点端子62Bを有し、バッテリ5Dを装着可能である(
図3参照)。このように、充電器1Aはユニット2に対して接続するユニット3の種類を変えることで種々のバッテリ5を充電でき、ユニット2において基板21及びケース20を共通化できる。
【0075】
識別回路32において、A/Dコンバータ72は可変抵抗71の出力電圧に応じた信号である端子情報を出力する。可変抵抗71の電気抵抗値は接点端子62の種類に応じた値であるので、A/Dコンバータ72が出力する端子情報も接点端子62の種類に応じたものを示す。端子情報は16進数データであり、そのデータ量は4ビットである。従って、端子情報は、例えば充電電力PBを決定するプログラムなどのデータ量と比べて非常に小さい。このように、充電器1Aは基板21と基板31との間で複雑な通信を行う必要がなく、バッテリ5の種類に応じた充電電力PBでバッテリ5を充電できる。
【0076】
ユニット3は装着部6を有する。装着部6は識別スイッチ64を有する。識別スイッチ64は装着部6に装着されたバッテリ5の種類に応じたバッテリ情報を出力する。フラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91は、端子情報、バッテリ情報、及び充電電流値の対応関係を示す。CPU10は識別スイッチ64が出力するバッテリ情報を取得する(S24)。CPU10はフラッシュメモリ13に記憶されたテーブル91を参照し、取得した端子情報及びバッテリ情報に基づき、装着されたバッテリ5に応じた充電電流値を選択し(S25)、充電電力PBの大きさを決定する。例えば、2つのバッテリ5の間で、接点端子62の種類が共通し且つ複数のセル51の種類が異なる場合がある。この場合にも、充電器1Aはバッテリ情報を取得することで装着部6に装着されたバッテリ5の種類を識別でき、バッテリ5の種類に応じた充電電力PBでバッテリ5を充電できる。よって、充電器1Aは種々のバッテリ5を適切な充電電力PBで充電できる。
【0077】
<変形例>
本発明は上記実施形態から種々変更できる。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り夫々組み合わせ可能である。
【0078】
図7に示す充電器1Bは、充電器1Aの変形例である。充電器1Bは、ユニット2、3の代わりにユニット100を有する点で充電器1Aと異なる。ユニット100は、ケース101を有する。ケース101は基板21、31を収納する。基板21、31の構成は上記実施形態と共通する。この場合、ユニット100は、複数種類があるバッテリ5のうち1種類のバッテリ5と1対1の関係になる。よって、充電器1Bは基板31を変更するだけで異なる種類のバッテリ5を充電することをでき、基板21及びケース101を共通化できる。
【0079】
CPU10の代わりに、例えばマイクロコンピュータ、ASIC(Application Specific Integrated Circuits)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が、プロセッサとして用いられてもよい。充電開始処理は、複数のプロセッサによって分散処理されてもよい。例えば、S11~S13等の処理が、外部端末4を制御する制御装置により実行されてもよい。
【0080】
ROM11、フラッシュメモリ13等の非一時的な記憶媒体は、情報を記憶する期間に関わらず、情報を留めておくことが可能な記憶媒体であればよい。非一時的な記憶媒体は、一時的な記憶媒体(例えば、伝送される信号)を含まなくてもよい。充電開始処理を実行するための制御プログラム、テーブル91は、例えば、図示外のネットワークに接続されたサーバからダウンロードされて(すなわち、伝送信号として送信され)、フラッシュメモリ13に記憶されてもよい。この場合、制御プログラムは、サーバに備えられたHDD等の非一時的な記憶媒体に保存されていればよい。
【0081】
テーブル91が示すバッテリ5の種類と充電電力PBとの対応関係は上記実施形態に限定されない。例えば、テーブル91は充電電流値、端子情報、バッテリ情報、及び外部端末4からの受電電力PAの値との対応関係を記憶してもよい。この場合、充電器1Aは更に受電電力PAに基づき充電電力PBを決定することで、より多様な充電制御が可能になる。テーブル91は端子情報及びバッテリ情報に対応する充電電圧を示してもよい。
【0082】
上記実施形態において、コネクタ24、33は、充電回路23が出力する充電電力PB、CPU10が出力する信号等を中継する。これに対し、コネクタ24は、充電回路23が出力する充電電力PB等を中継するコネクタと、CPU10が出力する信号等を中継するコネクタとで構成されてもよい。コネクタ33は、充電回路23が出力する充電電力PB等を中継するコネクタと、CPU10が出力する信号等を中継するコネクタとで構成されてもよい。
【0083】
充電器1AはUSB規格と異なるインターフェイスで外部端末4と接続してもよい。この場合、基板21はUSBポート22を有さなくてもよい。USB規格とは異なるインターフェイスは、例えばLightning(登録商標)である。充電器1Aは外部端末4以外の外部電源から受電してもよい。外部端末4以外の外部電源は、例えば商用電源である。この場合、充電器1AはACアダプター等により電力を交流から直流に変換した後、充電回路23に給電する。この場合、充電開始処理において、S1~S13の処理を省略してもよい。
【0084】
充電器1AはUSBPD規格に対応していなくてもよい。この場合、充電開始処理において、S2~S4が省略されてもよい。充電器1AはPDOに限らず、外部端末4が供給可能な電力の情報を取得すればよい。CPU10は外部端末4が供給可能な電力の情報を複数取得し、その中で最大の大きさの電力の情報から受電電力PAを決定し、S26の処理で充電電力PBと比較してもよい。
【0085】
充電器1Aは急速給電規格に対応していなくてもよい。この場合、充電開始処理において、S5、S6が省略されてもよい。
【0086】
USB規格の標準電力は、USB2.0規格と異なるUSB規格に基づく電力であってもよい。USB2.0規格と異なるUSB規格は、例えばUSB3.x規格である。このとき、標準電力は例えば5V/0.9Aの電力である。
【0087】
充電器1Aは外部端末4を介してテーブル91の更新を行わなくてもよい。この場合、充電開始処理において、S11~S13が省略されてもよい。テーブル91はROM11に記憶されてもよい。
【0088】
識別回路32は入力された所定の電力が入力されることにより接点端子の種類に応じた電位状態を示すものであればよく、構成を適宜変更してもよい。また、端子情報は識別回路32が示す電位状態の情報であって、上記実施形態のようにA/Dコンバータ72が可変抵抗71の出力電圧を変換したデジタル信号に限定されない。可変抵抗71は接地されたプルダウン抵抗であるが、例えば一端が電圧源に接続されたプルアップ抵抗であってもよい。識別回路32は、A/Dコンバータ72の代わりに可変抵抗71で生じた電位差を計測する電圧計を有してもよい。この場合、端子情報は電圧計が計測した可変抵抗71の電位差である。また、識別回路32は、A/Dコンバータ72の代わりに可変抵抗71から分流した電力を継電するリレーを有してもよい。この場合、端子情報はリレーによる回路の開閉の情報である。
【0089】
充電器1Aは識別スイッチ64を有さなくてもよい。この場合、CPU10はバッテリ情報を取得せず充電電力PBを決定してもよい。充電器1Aでは、バッテリ5が装着部6に装着されていない状態でCPU10が端子情報を取得して充電電力PBを決定し、バッテリ5が装着部6に装着されたと判定した場合に充電を開始してもよい。充電器1Aは充電開始処理を簡略化し、バッテリ5が装着部6に装着されてから充電が開始されるまでの時間を短縮できる。
【0090】
識別スイッチ64に設けられる押ボタン64Aの数は1つでもよいし、複数でもよい。押ボタン64Aの数が複数である場合、CPU10は識別スイッチ64において押圧された押ボタン64Aの組み合わせからバッテリ5の種類を特定してもよい。
【0091】
充電器1Aは識別スイッチ64と異なる構成でバッテリ情報を検出してもよい。例えば、充電器1Aはバッテリ5に設けられ且つバッテリ情報を記憶するRFIDタグ、バーコード等を読み取るリーダを識別スイッチ64の代わりに有してもよい。
【0092】
充電器1Aは装着スイッチ63を有さなくてもよい。充電器1Aは装着スイッチ63と異なる構成でバッテリ情報を検出してもよい。充電器1Aは光の強弱を検知する光センサを装着スイッチ63の代わりに有してもよい。
【0093】
接点端子62の種類は1種類でも3種類以上でも良い。接点端子62はバッテリ5の端子52と嵌合可能でなくてもよい。この場合、接点端子62に溝65が形成されなくてもよい。接点端子62の形状は適宜変更してもよい。装着部6がバッテリ5のケース50と機械的に係合してもよい。充電器1Aに接続されるバッテリ5の数は1つに限らず、複数でもよい。
【0094】
<その他>
端子52、52A、52Bは本発明の「電池端子」の一例である。外部端末4は本発明の「外部電源」の一例である。基板31は本発明の「第1基板」の一例である。基板21は本発明の「第2基板」の一例である。端子情報は本発明の「端子識別情報」の一例である。コネクタ33は本発明の「第1コネクタ」の一例である。充電回路23は本発明の「受電部」の一例である。コネクタ24は本発明の「第2コネクタ」の一例である。CPU10は本発明の「制御部」の一例である。フラッシュメモリ13は本発明の「記憶部」の一例である。S22の処理は本発明の「第1取得処理」の一例である。S25~S27の処理は本発明の「決定処理」の一例である。
【0095】
S3の処理は本発明の「第2取得処理」「ネゴシエーション」の一例である。S2の処理は本発明の「第1判定処理」の一例である。S5の処理は本発明の「第2判定処理」の一例である。S12の処理は本発明の「受信処理」の一例である。S13の処理は本発明の「更新処理」の一例である。ケース30は本発明の「第1基板ケース」の一例である。ケース20は本発明の「第2基板ケース」の一例である。ケース101は本発明の「充電器ケース」の一例である。識別スイッチ64は本発明の「検出部」の一例である。バッテリ情報は本発明の「バッテリ識別情報」の一例である。S24の処理は本発明の「第3取得処理」の一例である。
【符号の説明】
【0096】
1 充電器
2、3、100 ユニット
4 外部端末
5 バッテリ
6 装着部
10 CPU
13 フラッシュメモリ
20、30 ケース
21、31 基板
22 USBポート
23 充電回路
24、33 コネクタ
32 識別回路
62 接点端子
64 識別スイッチ