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特開2024-171386リアグリップ用基材、リールシート用基材及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシート
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  • 特開-リアグリップ用基材、リールシート用基材及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシート 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171386
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】リアグリップ用基材、リールシート用基材及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシート
(51)【国際特許分類】
   A01K 87/00 20060101AFI20241205BHJP
   A01K 87/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A01K87/00 630C
A01K87/00 630E
A01K87/08 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088354
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】川村 拓司
(72)【発明者】
【氏名】楠本 晴信
【テーマコード(参考)】
2B019
【Fターム(参考)】
2B019AA06
2B019AB12
(57)【要約】      (修正有)
【課題】内径調整層を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材、リールシート用基材、及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシートを提供することにある。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材は、本体部8と、該本体部8の一端又は両端に形成され、竿体が嵌合接着される筒状の嵌合接着部3を備え、内圧成形により釣竿のリアグリップ10を形成するためのリアグリップ用基材であって、前記嵌合接着部3は、最内層4と、内径調整層5と、本体層6と、最外層7と、を有し、各層は強化繊維樹脂層である。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、該本体部の一端又は両端に形成され、竿体が嵌合接着される筒状の嵌合接着部を備え、内圧成形により釣竿のリアグリップを形成するためのリアグリップ用基材であって、
前記嵌合接着部は、最内層と、内径調整層と、本体層と、最外層と、を有し、各層は強化繊維樹脂の層であることを特徴とするリアグリップ用基材。
【請求項2】
前記最内層と、前記本体層と、前記最外層は、周方向でみて、2つ又はそれ以上の強化繊維プリプレグシートによりそれぞれ1周分の層により形成される、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項3】
前記内径調整層は、周方向でみて、少なくとも1周するように形成される1つの強化繊維プリプレグシートを1つ又は複数枚用いて形成される、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項4】
前記内径調整層の強化繊維樹脂の繊維は、前記リアグリップ用基材の周方向に対して20度から70度の範囲で傾斜するように配向されている、請求項3に記載のリアグリップ用基材。
【請求項5】
前記内径調整層は、周方向でみて、1つの平織又は綾織織物により複数周分の層により形成され、該1つの平織又は綾織織物の繊維が前記リアグリップ用基材の周方向に対して20度から70度の範囲で斜向するように巻回されている、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項6】
前記最内層の一部は、前記リアグリップ用基材の軸方向で、前記内径調整層とオーバーラップするように形成されている、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項7】
前記最内層の一部は、前記本体層の内面に形成されている、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項8】
前記リアグリップ用基材の前記本体部は、前記最内層と、前記本体層と、前記最外層とが延伸するようにして形成されている、請求項1に記載のリアグリップ用基材。
【請求項9】
本体部と、該本体部の一端又は両端に形成され、竿体が嵌合接着される筒状の嵌合接着部を備え、内圧成形により釣竿のリールシートを形成するためのリールシート用基材であって、
前記嵌合接着部は、最内層と、内径調整層と、本体層と、最外層と、を有し、各層は強化繊維樹脂の層であることを特徴とするリールシート用基材。
【請求項10】
請求項1から8までのいずれか1項に記載のリアグリップ用基材を用いて内圧成形により形成したリアグリップ。
【請求項11】
請求項9に記載のリールシート用基材を用いて内圧成形により形成したリールシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアグリップ用基材、リールシート用基材、及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、釣竿用リールシート及び釣竿用グリップを備えた様々な釣竿が知られている。
【0003】
このような釣竿では、通常、竿体の上に釣竿用リールシートと釣竿用グリップが載置され、該釣竿用リールシートには、本体の上側又は下側にリール脚を載置するためのリール脚載置部が形成される。
【0004】
このような釣竿に用いることができる管状体の形成方法として、例えば、特許文献1には、プリプレグを積層することにより、軸方向に延び、かつ、内部に中空部を有する管状の積層体を成形する第1工程と、前記積層体を、金型のキャビティにセットする第2工程と、前記キャビティ内で、前記中空部に圧力を作用させて前記積層体を膨張させながら前記キャビティの表面に押し付けて加熱成形する第3工程とを含み、前記金型は、前記キャビティの軸方向の第1範囲を形成する第1金型を含み、前記第1金型は、前記キャビティの前記表面に軸方向に延びるパーティングラインを備えない非分割型である管状体の製造方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、炭素繊維強化樹脂製のウェッジクラブ用シャフトにおいて、先端からの位置が150mm未満の部分である先端部の曲げ剛性は、3.0×106kgf・mm2以下にされており、先端からの位置が650mm以上の部分であるグリップ装着部の曲げ剛性は、7.0×106kgf・mm2以上にされており、先端からの位置が350mm以上500mm未満の部分である中央部の曲げ剛性は、先端側からグリップ側に向かって7000~10000kgf・mmの勾配で漸次増加しており、先端からの位置が500mm以上650mm未満の部分である根元部の曲げ剛性は、先端側からグリップ側に向かって12000~20000kgf・mmの勾配で漸次増加しているウェッジクラブ用シャフトが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2023-14787号公報
【特許文献2】特開2004-033638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の管状体では、中空部に圧力を作用させる管状体の成形方法について開示するものの、種々の寸法の管状体が嵌合されるグリップやリールシートを形成することを開示するものではなく、管状体の成形方法によりグリップやリールシートを成形するとしても、所望の寸法や形状に合わせて個別に成形を行わざるを得ないという問題があった。
【0008】
また、特許文献2に開示のシャフトでは、内圧成形によりシャフトを製造する方法について開示するものの、種々の寸法のシャフトが嵌合されるグリップやリールシートを形成することを開示するものではなく、シャフトの製造方法によりグリップやリールシートを成形するとしても、所望の寸法や形状に合わせて個別に成形を行わざるを得ないという問題があった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内径調整層を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に複数の基材を使用することなく、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材、リールシート用基材、及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシートを提供することにある。本発明のこれら以外の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材は、本体部と、該本体部の一端又は両端に形成され、竿体が嵌合接着される筒状の嵌合接着部を備え、内圧成形により釣竿のリアグリップを形成するためのリアグリップ用基材であって、前記嵌合接着部は、最内層と、内径調整層と、本体層と、最外層と、を有し、各層は強化繊維樹脂の層である。
【0011】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記最内層と、前記本体層と、前記最外層は、周方向でみて、2つ又はそれ以上の強化繊維プリプレグシートによりそれぞれ1周分の層により形成される。
【0012】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記内径調整層は、周方向でみて、少なくとも1周するように形成される1つの強化繊維プリプレグシートを1つ又は複数枚用いて形成される。
【0013】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記内径調整層の強化繊維樹脂の繊維は、前記リアグリップ用基材の周方向に対して20度から70度の範囲で傾斜するように配向されている。
【0014】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記内径調整層は、周方向でみて、1つの平織又は綾織織物により複数周分の層により形成され、該1つの平織又は綾織織物の繊維が前記リアグリップ用基材の周方向に対して20度から70度の範囲で斜向するように巻回されている。
【0015】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記最内層の一部は、前記リアグリップ用基材の軸方向で、前記内径調整層とオーバーラップするように形成されている。
【0016】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記最内層の一部は、前記本体層の内面に形成されている。
【0017】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材において、前記リアグリップ用基材の前記本体部は、前記最内層と、前記本体層と、前記最外層とが延伸するようにして形成されている。
【0018】
本発明の一実施形態に係るリールシート用基材は、本体部と、該本体部の一端又は両端に形成され、竿体が嵌合接着される筒状の嵌合接着部を備え、内圧成形により釣竿のリールシートを形成するためのリールシート用基材であって、前記嵌合接着部は、最内層と、内径調整層と、本体層と、最外層と、を有し、各層は強化繊維樹脂の層である。
【0019】
本発明の一実施形態に係るリアグリップは、上記いずれかのリアグリップ用基材を用いて内圧成形により形成される。
【0020】
本発明の一実施形態に係るリールシートは、上記リールシート用基材を用いて内圧成形により形成される。
【発明の効果】
【0021】
上記実施形態によれば、内径調整層を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材、リールシート用基材、及びそれぞれにより形成されたリアグリップ、リールシートを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)本発明の一実施形態に係る釣竿の斜視図を示す図である。(b)本発明の一実施形態に係る釣竿の正面図を示す図である。
図2】(a)本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの斜視図を示す図である。(b)本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの正面図を示す図である。
図3】(a)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの断面図である。(b)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの層構造の断面図である。
図4】本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの嵌合接着部3の層構造の形成方法について説明する図である。
図5】本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの内径調整層5の強化繊維樹脂の繊維の拡径を説明する図である。
図6】本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの断面図の一部を示すものである。
図7】(a)本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの斜視図を示す図である。(b)本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの正面図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る釣竿の実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。複数の図面において共通する構成要素には当該複数の図面を通じて同一の参照符号が付されている。各図面は、説明の便宜上、必ずしも正確な縮尺で記載されているとは限らない点に留意されたい。
【0024】
図1は、本発明に係る釣竿の一実施形態を示すものであり、図1(a)は、本発明の一実施形態に係る釣竿の斜視図を示し、図1(b)は、本発明の一実施形態に係る釣竿の正面図を示す。図示のように、本発明の一実施形態による釣竿1は、竿体2と、竿体2にリールシート9を介して取り付けられたリール(図示しない)と、竿体2に取り付けられた釣糸ガイド(図示しない)と、竿体の後端に形成されたリアグリップ10とを備える。図示の実施形態においては、リールシート9、リアグリップ10及び釣糸ガイド(図示しない)の各々が、竿体の外周面に取り付けられる取付部品に該当する。
【0025】
図示されていないが、竿体2は、例えば、元竿、中竿、及び穂先竿等を連結することによって構成されている。これらの各竿体は、例えば、並継ぎ式に継合される。元竿、中竿、及び穂先竿は、振出方式、逆並継方式、インロー方式、又はこれら以外の公知の任意の継合方式により継合され得る。竿体2は、単一の竿体から構成されていてもよい。
【0026】
元竿、中竿、及び穂先竿は、例えば、繊維強化樹脂製の管状体で構成されている。この繊維強化樹脂製の管状体は、強化繊維にマトリクス樹脂を含浸させた繊維強化樹脂プリプレグ(プリプレグシート)を芯金に巻回し、このプリプレグシートを加熱して硬化させることにより作成される。このプリプレグシートに含まれる強化繊維として、例えば、炭素繊維、ガラス繊維、及びこれら以外の任意の公知の強化繊維を用いることができる。当該プリプレグシートに含まれるマトリクス樹脂として、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。プリプレグシートが硬化された後には、芯金が脱芯される。また、管状体の外表面は、適宜研磨される。各竿体は、中実状に構成されてもよい。同様に図示しないが、元竿、中竿及び穂先竿には、リールシート9に装着されるリール(図示しない)から繰り出される釣糸を案内する複数の釣糸ガイドが設けられている。
【0027】
次に、図2、3、4を参照して、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aについて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材1の外観を示すものであり、図2(a)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの斜視図を示し、図2(b)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの正面図を示す。また、図3は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの内部構造を説明するものであり、図3(a)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの断面図を示し、図3(b)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの層構造の断面図を示す。図4は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの嵌合接着部3の層構造の形成方法について説明する図である。
【0028】
図2、3に示すように、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aは、本体部8と、該本体部8の一端又は両端(図3に示す場合)に形成され、竿体2が嵌合接着される筒状の嵌合接着部3を備え、内圧成形により釣竿1のリアグリップ10を形成するためのリアグリップ用基材10aであって、該嵌合接着部3は、最内層4と、内径調整層5と、本体層6と、最外層7と、を有し、各層は強化繊維樹脂層である。
【0029】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aによれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材を提供することが可能となる。
【0030】
次に、図4を参照して、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの嵌合接着部3の層構造について説明する。図4に示すように、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該最内層4と、当該本体層6と、当該最外層7は、リアグリップ用基材10aの周方向でみて、2つ又はそれ以上の強化繊維プリプレグシートによりそれぞれ1周分の層により形成される。これにより、任意の繊維方向にパターンを配置して積層しても、内圧により周方向にパターンが拡径し易く、剛性、強度を自由に変更することが可能となる。
【0031】
また、図4に示すように、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該内径調整層5は、リアグリップ用基材10aの周方向でみて、少なくとも1周するように形成される1つの強化繊維プリプレグシートを1つ又は複数枚用いて形成するようにされる。これにより、複数のパターンを用いることなく、任意の肉厚層を形成することが出来るため、パターン積層作業の手間が省けるのみでなく、巻回時パターン同士の部分的な重なりが無いため、均一な物性を確保することが可能となる。
【0032】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該内径調整層5の強化繊維樹脂の繊維は、該リアグリップ用基材10aの周方向に対して20度から70度の範囲で傾斜するように配向されている。図5に示すように、拡径方向に対して繊維を斜向させることで、内圧成形時に外型に押し付けるのに十分な成形圧力を得るようにすることが可能となる。このようにして、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aによれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材を提供することが可能となる。
【0033】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該内径調整層5は、該リアグリップ用基材10aの周方向でみて、1つの平織又は綾織織物により複数周分の層により形成され、該1つの平織又は綾織織物の繊維が前記リアグリップ用基材の周方向に対して20度から70度の範囲で斜向するように巻回されている。図5に示すように、拡径方向に対して繊維を斜向させることで、内圧成形時に外型に押し付けるのに十分な成形圧力を得るようにすることが可能となる。また、複数のパターンを用いることなく、任意の肉厚層を形成することが出来るため、パターン積層作業の手間が省けるのみでなく、巻回時パターン同士の部分的な重なりが無いため、均一な物性を確保することが可能となる。このようにして、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aによれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ用基材を提供することが可能となる。
【0034】
図6に示すように、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該最内層4の一部は、当該リアグリップ用基材10aの軸方向で、当該内径調整層5とオーバーラップするように形成されている。このようにして、内径調整層の端部を連続した基材で覆うため、積層段差を緩和することができ、内圧成形時に内圧チューブの突っ張りを軽減し、成形圧力が充分に基材に掛けられることにより、安定した品質の成形層を得られ易くすることが可能となる。
【0035】
また、図6に示すように、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該最内層4の一部は、前記本体層の内面に形成されている。このようにして、内径調整層の端部を連続した基材で覆うため、積層段差を緩和することができ、内圧成形時に内圧チューブの突っ張りを軽減し、成形圧力が充分に基材に掛けられることにより、安定した品質の成形層を得られ易くすることが可能となる。
【0036】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aにおいて、当該リアグリップ用基材10aの当該本体部8は、当該最内層4と、当該本体層6と、当該最外層7とが延伸するようにして形成されている。このようにして、安定した品質を得られやすいパターン構成かつ、任意の剛性を得ることが可能となる。
【0037】
次に、図7及び図3を参照して、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aについて説明する。図7(a)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの斜視図を示し、図7(b)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの正面図を示す。また、図3は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの内部構造を説明するものであり、図3(a)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aリアグリップ用基材10aの断面図を示し、図3(b)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの層構造の断面図を示すものであるが、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aと共通するものであるため、同図3も参照することとする。
【0038】
本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aは、本体部8と、該本体部8の一端又は両端(図7図3に示す場合)に形成され、竿体2が嵌合接着される筒状の嵌合接着部3を備え、内圧成形により釣竿1のリールシート9を形成するためのリールシート用基材9aであって、当該嵌合接着部3は、最内層4と、内径調整層5と、本体層6と、最外層7と、を有し、各層は強化繊維樹脂の層である。このようにして、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aによれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリールシート用基材を提供することが可能となる。
【0039】
ここで、上述した本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aのそれぞれの実施態様は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aにおいても同様であることを付言する。
【0040】
本発明の一実施形態に係るリアグリップ10は、上述した本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aを用いて内圧成形により形成される。このようにして、本発明の一実施形態に係るリアグリップ10によれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリアグリップ10を提供することが可能となる。
【0041】
本発明の一実施形態に係るリールシート9は、上述した本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aを用いて内圧成形により形成される。このようにして、本発明の一実施形態に係るリールシート9によれば、内径調整層5を設けると共に、内圧成形時に周方向における内径調整層5の繊維が径方向外側に向かって拡がり(伸び)易い基材を用いることで、内圧成形時に積層枚数を最小限に抑制しつつ、嵌合接着される釣竿の竿体の種々の寸法に対応でき、成形品質を安定化させることができるリールシート9を提供することが可能となる。
【0042】
次に、本発明の一実施形態に係るリールシート9及び本発明の一実施形態に係るリアグリップ10の成形方法について説明する。本発明の一実施形態に係るリールシート9及び本発明の一実施形態に係るリアグリップ10の成形方法は、例えば、チューブなど、内圧を掛けられる資材の周りに、熱硬化性プリプレッグを積層し(プリフォーム)、得体形状の金型にプリフォームを納め、プレス機により、型締めした後加熱しながら空気、液体又は熱膨張する粉体等により、内圧を掛けて成形する。成形後、内圧工程に用いた資材等を除去し、中空構造のリアグリップ10又はリールシート9が完成する。
【0043】
なお、上述した本発明の一実施形態に係るリールシート9及び本発明の一実施形態に係るリアグリップ10の成形方法は、その他のグリップ等にも適用可能であり、上述した技術的効果を奏するものである。
【0044】
本明細書で説明された各構成要素の寸法、材料、及び配置は、実施形態中で明示的に説明されたものに限定されず、この各構成要素は、本発明の範囲に含まれうる任意の寸法、材料、及び配置を有するように変形することができる。また、本明細書において明示的に説明していない構成要素を、説明した実施形態に付加することもできるし、各実施形態において説明した構成要素の一部を省略することもできる。
【符号の説明】
【0045】
1 釣竿
2 竿体
3 嵌合接着部
4 最内層
5 内径調整層
6 本体層
7 最外層
8 本体部
9 リールシート
9a リールシート用基材
10 リアグリップ
10a リアグリップ用基材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2024-01-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
次に、図2、3、4を参照して、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aについて説明する。図2は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの外観を示すものであり、図2(a)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの斜視図を示し、図2(b)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの正面図を示す。また、図3は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの内部構造を説明するものであり、図3(a)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの断面図を示し、図3(b)は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの層構造の断面図を示す。図4は、本発明の一実施形態に係るリアグリップ用基材10aの嵌合接着部3の層構造の形成方法について説明する図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0037】
次に、図7及び図3を参照して、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aについて説明する。図7(a)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの斜視図を示し、図7(b)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aの正面図を示す。また、図3は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材10aの内部構造を説明するものであり、図3(a)は、本発明の一実施形態に係るアグリップ用基材10aの断面図を示し、図3(b)は、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材10aの層構造の断面図を示すものであるが、本発明の一実施形態に係るリールシート用基材9aと共通するものであるため、同図3も参照することとする。