(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171388
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】配線基板及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H05K3/46 X
H05K3/46 B
H05K3/46 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088357
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】野口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】寺内 伊久哉
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA12
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC08
5E316CC32
5E316DD24
5E316DD33
5E316EE31
5E316FF14
5E316GG10
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】従来より配線基板の外観品質を向上させる技術の開発が求められている。
【解決手段】本開示の配線基板は、複数の層間絶縁層と複数の導電層とが交互に積層されるビルドアップ層と、前記ビルドアップ層上に形成されるソルダーレジスト層と、を有する配線基板であって、前記ソルダーレジスト層と直に接触する最外の前記層間絶縁層の表面が平坦な研磨面になっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の層間絶縁層と複数の導電層とが交互に積層されるビルドアップ層と、前記ビルドアップ層上に形成されるソルダーレジスト層と、を有する配線基板であって、
前記ソルダーレジスト層と直に接触する最外の前記層間絶縁層の表面が平坦な研磨面になっている。
【請求項2】
請求項1に記載の配線基板であって、
前記ビルドアップ層に含まれる前記複数の層間絶縁層の表裏面のうち、前記最外の層間絶縁層の表面のみが前記研磨面になっている。
【請求項3】
請求項2に記載の配線基板であって、
前記研磨面を有する前記最外の層間絶縁層は、それ以外の前記複数の層間絶縁層と略同じ厚さである。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1の請求項に記載の配線基板であって、
前記研磨面の平面度が、裏面の平面度より高い。
【請求項5】
複数の層間絶縁層と複数の導電層とが交互に積層されるビルドアップ層がソルダーレジスト層で覆われる配線基板の製造方法であって、
前記ソルダーレジスト層と直に接触する最外の前記層間絶縁層の表面が平坦に研磨される研磨工程を有する。
【請求項6】
請求項5に記載の配線基板の製造方法であって、
前記ビルドアップ層に含まれる前記複数の層間絶縁層の表裏面のうち、前記最外の層間絶縁層の前記表面のみが研磨される。
【請求項7】
請求項6に記載の配線基板の製造方法であって、
前記ビルドアップ層に含まれる前記複数の層間絶縁層は、同一組成の樹脂フィルムで構成され、
平坦な研磨面を有する前記最外の層間絶縁層には、それ以外の前記複数の層間絶縁層の前記樹脂フィルムより厚い樹脂フィルムが使用される。
【請求項8】
請求項7に記載の配線基板の製造方法であって、
前記最外の層間絶縁層の前記樹脂フィルムは、前記それ以外の複数の層間絶縁層の前記樹脂フィルムより5μm以上厚い。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の配線基板の製造方法であって、
前記最外の層間絶縁層は、前記それ以外の複数の層間絶縁層と略同一の厚さになるまで研磨される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の配線基板として、外面をソルダーレジスト層で覆われているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-188059号公報(
図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した従来の配線基板では、ソルダーレジスト層の色の濃淡のばらつきによりまだら模様が表れて、外観が悪くなることがあり、それを解決する技術の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の一態様に係る配線基板は、複数の層間絶縁層と複数の導電層とが交互に積層されるビルドアップ層と、前記ビルドアップ層上に形成されるソルダーレジスト層と、を有する配線基板であって、前記ソルダーレジスト層と直に接触する最外の前記層間絶縁層の表面が平坦な研磨面になっている。
【0006】
発明の一態様に係る配線基板の製造方法は、複数の層間絶縁層と複数の導電層とが交互に積層されるビルドアップ層がソルダーレジスト層で覆われる配線基板の製造方法であって、前記ソルダーレジスト層と直に接触する最外の前記層間絶縁層の表面が平坦に研磨される研磨工程を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、
図1~
図3を参照して本開示の一実施形態について説明する。
図1に示されるように、本実施形態の配線基板10は、例えば、コア基板11と、その表裏の両面に積層されるビルドアップ層12とを有する。なお、
図1には、一方のビルドアップ層12のみが示されている。
【0009】
コア基板11は、例えば、絶縁層11Kと、その表裏の両面に積層される導電層13とを備える。絶縁層11Kは、例えば、複数のプリプレグが積層される構造をなし、導電層13は、例えば、絶縁層11Kに積層される図示しない銅箔に電解メッキ膜が積層される構造をなしている。
【0010】
ビルドアップ層12は、複数の層間絶縁層15と複数の導電層20とが交互に積層される多層構造をなしている。複数の層間絶縁層15は、例えば、同一組成のビルドアップ基板用の樹脂フィルムであり、導電層20は、例えば、主として電解メッキ膜である。また、ビルドアップ層12上は、ソルダーレジスト層30で覆われている。ソルダーレジスト層30は、例えば、緑色に着色されている。
【0011】
複数の導電層13,20には、電気回路が形成され、絶縁層11K及び層間絶縁層15を挟んで隣り合う導電層13,20同士の間には電気回路同士を接続する複数のスルーホール導体14又は複数のビア導体21が形成されている。また、ソルダーレジスト層30には、最外の導電層20の電気回路に含まれる複数のパッド22に対応して複数の開口部30Hが形成されている。
【0012】
本実施形態の配線基板10では、複数の層間絶縁層15のうち、最外の層間絶縁層15のソルダーレジスト層30と直に接する表面のみが平坦な研磨面16になっている。なお、研磨面16は、最外の層間絶縁層15のうちコア基板11側を向く裏面より平面度が高くなっている。
【0013】
なお、
図1では、ビルドアップ層12に含まれる複数の層間絶縁層15のうち、最外の層間絶縁層15のソルダーレジスト層30と直に接する表面のみが研磨面16になっているが、それと反対側の裏面についても研磨面になっていてもよいし、ビルドアップ層12に含まれる最外の層間絶縁層15以外の複数の層間絶縁層15の表裏面が研磨面になっていてもよい。
【0014】
本実施形態の配線基板10は、以下のように製造される。以下では、複数の層間絶縁層15のうち、最外の層間絶縁層15を「最外層間絶縁層15A」とし、それ以外の複数の層間絶縁層15を「複数の層間絶縁層15B」として区別して説明する。
【0015】
(1)銅箔が積層されている銅張積層板が用意される。そして、公知の製造方法(例えば、サブトラクティブ法)により、銅張積層板の両面に導電層13が形成されると共に、複数のスルーホール導体14が形成される(
図2(A)参照)。これにより、コア基板11が形成される。
【0016】
(2)次いで、層間絶縁層15Bとして、例えば、厚み25μmの樹脂フィルムが加熱プレスされて層間絶縁層15Bが形成される。
【0017】
(3)レーザが照射されて、層間絶縁層15を貫通するテーパ状のビアホール21Hが複数、形成され、ビアホール21H内が洗浄(デスミア処理)される。
【0018】
(4)層間絶縁層15B上に公知な方法(例えば、セミアティティブ法)により導電層20が形成される。
【0019】
(5)上述の(2)~(4)の工程が繰り返されて、
図2(B)に示されるように、複数の層間絶縁層15Bと複数の導電層20とが交互に積層される。
【0020】
(6)次いで、複数の層間絶縁層15B用の樹脂フィルムに比べて例えば、5μm以上厚い、より好ましくは10μm以上厚い樹脂フィルム(本実施例では、厚さ35μmの厚さの樹脂フィルム)を用いて、
図2(C)に示されるように、最外層間絶縁層15Aが形成される。このとき、最外層間絶縁層15Aの表面15Mがうねることがある。
【0021】
なお、
図1~
図3では、最外絶縁層15Aの表面15M以外に、最外絶縁層15Aの裏面及び複数の絶縁層15Bの表裏面がうねっている例が示されている。また、これらのうねりは、複数の層間絶縁層15Bのうちコア基板11側の下層の層間絶縁層15より上層の層間絶縁層15の方が表面のうねりが大きくなる例が示されているが、複数の層間絶縁層15Bのうねり方はこれに限るものではなく、どのようなうねり方であってもよい。
【0022】
(7)次いで、最外層間絶縁層15Aの表面15Mを研磨する研磨工程が行われる。具体的には、研磨対象の面と反対側の部分が治具にて吸着されて、例えば、化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)により最外層間絶縁層15Aの表面15Mが研磨されて平坦な研磨面16が形成される。また、このとき、
図2(C)から
図3(A)の変化に示されるように、最外層間絶縁層15Aの厚さHAが複数の層間絶縁層15Bの厚さHBと略同じになるまで研磨される。ここで、「最外の層間絶縁層15Aの厚さHA」及び「複数の層間絶縁層15Bの厚さHB」とは、
図3(A)に示されるように、下層の導電層20と上層の導電層20との間に挟まれる部分の厚さである。
【0023】
なお、
図2(C)には、研磨前の最外層間絶縁層15Aに対して研磨面16となる位置が一点鎖線にて示されている。上述した研磨工程は、化学機械研磨に限らず、機械的研磨(例えば、セラミック砥石、又は、バフ砥石)、サンドブラスト等の方法で行ってもよい。
【0024】
(8)次いで、上述の(3)~(4)の工程が行われ、研磨面16上に最外の導電層20が形成される。これにより、ビルドアップ層12が得られる。
【0025】
(9)次いで、
図3(B)に示されるように、ソルダーレジスト層30が積層される。このとき、ソルダーレジスト層30が平坦な研磨面16上に積層されるので、略均一な厚さのソルダーレジスト層30が形成される。
【0026】
(10)次いで、ソルダーレジスト層30の所定箇所に、例えば、レーザ加工やフォトリソグラフィ処理等により複数の開口部30Hが形成される(
図1参照)。以上により配線基板10が完成する。
【0027】
本実施形態の配線基板10の構造及びその製造方法に関する説明は以上である。このように、本実施形態の配線基板10では、最外層間絶縁層15Aの下側の層間絶縁層15Bの表面にうねりがあっても、最外層間絶縁層15Aの表面が研磨面16で全体が平坦になっている。これにより、ソルダーレジスト層30の厚みのばらつきが抑えられ、ソルダーレジスト層30の色の濃淡によるまだら模様の発生が抑えられる。即ち、本実施形態の配線基板10によれば、配線基板10の外観品質が向上する。また、ソルダーレジスト層30の表面についても略平坦になるので、配線基板10上に電子部品を搭載し易い。
【0028】
また、本実施形態では、最外層間絶縁層15A用として複数の層間絶縁層15B用の樹脂フィルムより厚い樹脂フィルムを用いて、最外層間絶縁層15A表面15Mのうねりを研磨により取り除くと共に、その研磨により最外層間絶縁層15Aの厚さを複数の層間絶縁層15Bの厚さと略同じにするという簡易な構成で配線基板10の外観品質が向上させることができる。
【0029】
[他の実施形態]
(1)多層配線基板に限らず、片面基板又は両面基板に本開示の技術が適用されてもよい。
【0030】
(2)上記実施形態では、最外層間絶縁層15Aの厚さHAと、複数の層間絶縁層15Bの厚さHBとが略同じになっているが、最外層間絶縁層15Aの表面15Mが平坦な研磨面16になっていれば、最外層間絶縁層15Aの厚さHAと複数の層間絶縁層15Bの厚さHBは異なっていてもよい。
【0031】
(3)また、最外層間絶縁層15Aに使用される樹脂フィルムと、複数の層間絶縁層15Bに使用される樹脂フィルムとは厚さが異なっているが、同じ厚さであってもよい。
【0032】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0033】
10 配線基板
15 層間絶縁層
15A 最外層間絶縁層
16 研磨面
20 導電層
30 ソルダーレジスト層