(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171399
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】面発光装置及び車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/239 20180101AFI20241205BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20241205BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/35 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/45 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/55 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/20 20180101ALN20241205BHJP
F21W 103/15 20180101ALN20241205BHJP
【FI】
F21S43/239
F21S2/00 435
F21W103:00
F21W103:10
F21W103:35
F21W103:45
F21W103:55
F21W103:20
F21W103:15
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088375
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】大森 敦
【テーマコード(参考)】
3K244
【Fターム(参考)】
3K244AA04
3K244BA08
3K244CA03
3K244DA01
3K244EA02
3K244EA12
3K244ED22
3K244ED28
(57)【要約】
【課題】導光板を面発光させた際の輝度ムラの発生を防ぐことを可能とした面発光装置を提供する。
【解決手段】複数の光源2と、複数の光源2から出射された光Lを導光させる導光板3とを備え、複数の光源2は、導光板3の一端面に沿って並んで配置されて、一端面に向けて光Lを出射し、導光板3は、何れか一方の主面側に配置されて、一端面から内部へと入射した光Lを何れか他方の主面側に向けて反射する複数の反射カット4を有し、複数の反射カット4は、複数の光源2が並ぶ方向に延在し、且つ、一端面から入射した光Lの進行方向に並んで配置され、なお且つ、反射カット4の延在方向において、反射カット4の少なくとも一端面と対向する側の光学反射面4aが周期的に湾曲している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源と、
前記複数の光源から出射された光を導光させる導光板とを備え、
前記複数の光源は、前記導光板の一端面に沿って並んで配置されて、前記一端面に向けて光を出射し、
前記導光板は、何れか一方の主面側に配置されて、前記一端面から内部へと入射した光を何れか他方の主面側に向けて反射する複数の反射カットを有し、
前記複数の反射カットは、前記複数の光源が並ぶ方向に延在し、且つ、前記一端面から入射した光の進行方向に並んで配置され、
なお且つ、前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの少なくとも前記一端面と対向する側の光学反射面が周期的に湾曲していることを特徴とする面発光装置。
【請求項2】
前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの幅が周期的に変化していることを特徴とする請求項1に記載の面発光装置。
【請求項3】
前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの高さが周期的に変化していることを特徴とする請求項1に記載の面発光装置。
【請求項4】
前記複数の反射カットは、前記一端面から離間するに従って、前記光学反射面の湾曲の曲率が漸次小さくなるカット形状を有することを特徴とする請求項1に記載の面発光装置。
【請求項5】
前記導光板は、前記複数の反射カットの前記一端面とは離間する側から、前記複数の反射カットと共に並んで配置されたその他の反射カットを有し、
前記その他の反射カットは、前記反射カットの延在方向において、少なくとも前記一端面と対向する側の光学反射面が平坦となるカット形状を有することを特徴とする請求項4に記載の面発光装置。
【請求項6】
前記導光板は、前記他方の主面側に配置されて、前記複数の反射カットにより反射された光を外部へと出射する複数の出射カットを有し、
前記複数の出射カットは、前記一端面から入射した光の進行方向に延在し、且つ、前記複数の光源が並ぶ方向に並んで配置されていることを特徴とする請求項1に記載の面発光装置。
【請求項7】
前記複数の出射カットは、互いに隣り合う間隔が一定であり、
前記複数の反射カットは、前記反射カットの延在方向における周期的な変化に不規則性を持たせていることを特徴とする請求項6に記載の面発光装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の面発光装置を備えることを特徴とする車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面発光装置、並びにそのような面発光装置を備えた車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両に搭載される車両用灯具として、発光ダイオード(LED)などの光源と、板状の導光体(導光板)とを組み合わせた面発光装置を備えたものがある(例えば、下記特許文献1~3を参照。)。
【0003】
面発光装置では、光源から出射された光を導光板の一端面(入射面)から導光板の内部へと入射し、導光板の一方の主面(反射面)に設けられた複数の反射カットにより反射された光を導光板の他方の主面(出射面)から外部へと出射する。これにより、光源からの光を導光板の内部で導光させながら、この導光板の出射面を車両用灯具の発光面として発光(面発光)させることが可能である。
【0004】
ところで、上述したLEDは、長寿命で消費電力が少ないといったメリットがある。このため、近年の車両用灯具では、LEDの高輝度化や低コスト化が進むに従って、光源にLEDを採用したものが徐々に増えてきている。
【0005】
一方、LEDは、指向性(直進性)が高いといった反面、光が拡散し難いといった特性を持ち合わせている。このため、上述した面発光装置では、導光板の一端面に沿って複数のLEDを並べて配置した場合、導光板の出射面のうちLEDの各位置に対応する部分が線状に強く光って見える、いわゆる輝度(発光)ムラが発生してしまう。
【0006】
面発光装置では、このような輝度ムラが発生した場合、車両用灯具の視認性や見栄えが低下してしまうことから、導光板に光を拡散させる部分(光拡散部)を設けて、輝度ムラを低減することが行われている。
【0007】
例えば、下記特許文献1には、透明基板の四周のうちの少なくとも一箇所に光源を配設し、透明基板の後面には光源からの距離に応じて密度が高まるパターンで光乱反射層を形成し、更に該透明基板の後面に光鏡面反射層を積層し、透明基板の表面には微小凹凸から成る光拡散層を形成させたことを特徴とするバックライト装置が開示されている。
【0008】
一方、下記特許文献2には、光が入射する入射面と、入射面と交差しており、光が出射する出射面と、出射面の反対側の面である対向面とを有する導光板であって、少なくとも対向面には、規則的に配列された複数のクラスタが形成され、複数のクラスタは、光を拡散させる複数の拡散ドットから構成されている導光板が開示されている。
【0009】
一方、下記特許文献3には、複数の点状光源から出射された光を端面から入射するとともに、面状に変換して出射する導光板であって、端面から入射された光を出射する出射面に端面と直交する方向に延びるようにプリズム状又はレンズ状の凸条が複数設けられ、出射面と反対側の裏面には端面から入射されて導光板内を導波する光を出射面から出射する方向に反射させる反射部が形成され、複数の凸条のうちの一部の凸条の長さが端面側において短くなるように形成されている導光板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平3-6525号公報
【特許文献2】特開2018-156871号公報
【特許文献3】特開2005-63912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述した特許文献1,2に示すようなドット状の反射カットを設けて光を拡散させる場合、導光体の出射面から出射される光の出射方向に対して、導光板の主面と繋がるドットのエッジ部分により反射された光の一部が迷光となって、出射方向とは異なる方向から導光板の外部へと漏れ出すことになる。したがって、この場合、導光板の出射面に輝度ムラが発生してしまい、車両用灯具の点灯時の見栄えが悪くなってしまう。
【0012】
一方、上述した特許文献1,2に示すような三角プリズム状の反射カットを設けた場合、光源から出射された光のうち、光軸付近の強い光よりもその周辺の弱い光が光軸に対して大きな角度で反射カットに入射するため、この反射カットに入射した光が導光板の出射面から外部へと出射(透過)する角度で反射されずに、導光板の出射面で全反射されることになる。
【0013】
この場合、導光板の出射面のうち光源の光軸付近に対応した部分とその周辺部分との輝度差が大きくなる。したがって、この場合も、導光板の出射面に輝度ムラが発生してしまい、車両用灯具の点灯時の見栄えが悪くなってしまう。
【0014】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、導光板を面発光させた際の輝度ムラの発生を防ぐことを可能とした面発光装置、並びに、そのような面発光装置を備えることによって、点灯時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
〔1〕 複数の光源と、
前記複数の光源から出射された光を導光させる導光板とを備え、
前記複数の光源は、前記導光板の一端面に沿って並んで配置されて、前記一端面に向けて光を出射し、
前記導光板は、何れか一方の主面側に配置されて、前記一端面から内部へと入射した光を何れか他方の主面側に向けて反射する複数の反射カットを有し、
前記複数の反射カットは、前記複数の光源が並ぶ方向に延在し、且つ、前記一端面から入射した光の進行方向に並んで配置され、
なお且つ、前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの少なくとも前記一端面と対向する側の光学反射面が周期的に湾曲していることを特徴とする面発光装置。
〔2〕 前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの幅が周期的に変化していることを特徴とする前記〔1〕に記載の面発光装置。
〔3〕 前記反射カットの延在方向において、前記反射カットの高さが周期的に変化していることを特徴とする前記〔1〕に記載の面発光装置。
〔4〕 前記複数の反射カットは、前記一端面から離間するに従って、前記光学反射面の湾曲の曲率が漸次小さくなるカット形状を有することを特徴とする前記〔1〕に記載の面発光装置。
〔5〕 前記導光板は、前記複数の反射カットの前記一端面とは離間する側から、前記複数の反射カットと共に並んで配置されたその他の反射カットを有し、
前記その他の反射カットは、前記反射カットの延在方向において、少なくとも前記一端面と対向する側の光学反射面が平坦となるカット形状を有することを特徴とする前記〔4〕に記載の面発光装置。
〔6〕 前記導光板は、前記他方の主面側に配置されて、前記複数の反射カットにより反射された光を外部へと出射する複数の出射カットを有し、
前記複数の出射カットは、前記一端面から入射した光の進行方向に延在し、且つ、前記複数の光源が並ぶ方向に並んで配置されていることを特徴とする前記〔1〕に記載の面発光装置。
〔7〕 前記複数の出射カットは、互いに隣り合う間隔が一定であり、
前記複数の反射カットは、前記反射カットの延在方向における周期的な変化に不規則性を持たせていることを特徴とする前記〔6〕に記載の面発光装置。
〔8〕 前記〔1〕~〔7〕の何れか一項に記載の面発光装置を備えることを特徴とする車両用灯具。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、導光板を面発光させた際の輝度ムラの発生を防ぐことを可能とした面発光装置、並びに、そのような面発光装置を備えることによって、点灯時の見栄えを良くすることを可能とした車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る面発光装置を備えた車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す面発光装置の構成を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す面発光装置の構成を示す平面図である。
【
図4】(A)
図3中に示す囲み部分aを拡大した導光板の平面図、(B)
図3中に示す囲み部分bを拡大した導光板の平面図、(C)
図3中に示す囲み部分cを拡大した導光板の平面図、(D)
図3中に示す囲み部分dを拡大した導光板の平面図である。
【
図5】
図4中に示す線分A-Aによる導光板の断面図である。
【
図6】
図4中に示す線分B-Bによる導光板の断面図である。
【
図7】
図4中に示す線分C-Cによる導光板の断面図である。
【
図8】
図4中に示す線分D-Dによる導光板の断面図である。
【
図9】
図4中に示す線分E-Eによる導光板の断面図である。
【
図10】
図4中に示す線分F-Fによる導光板の断面図である。
【
図11】反射カットにより反射される光を説明するための斜視図である。
【
図12】本発明の第2の実施形態に係る面発光装置を備えた車両用灯具の構成を示す斜視図である。
【
図14】
図13中に示す線分G-Gによる導光板の断面図である。
【
図16】(A),(B)導光板の反射カットの形状を例示した断面図である。
【
図17】(A),(B)導光板の両側の端面に沿って光源が配置された構成を示す側面図である。
【
図18】(A)~(C)導光板の反射カットの形状を例示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0019】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば
図1~
図11に示す面発光装置1Aを備えた車両用灯具100について説明する。
【0020】
なお、
図1は、面発光装置1Aを備えた車両用灯具100の構成を示す斜視図である。
図2は、面発光装置1Aの構成を示す側面図である。
図3は、面発光装置1Aの構成を示す平面図である。
図4(A)は、
図3中に示す囲み部分aを拡大した導光板3の平面図、
図4(B)は、
図3中に示す囲み部分bを拡大した導光板3の平面図、
図4(C)は、
図3中に示す囲み部分cを拡大した導光板3の平面図、
図4(D)は、
図3中に示す囲み部分dを拡大した導光板3の平面図である。
図5は、
図4中に示す線分A-Aによる導光板3の断面図である。
図6は、
図4中に示す線分B-Bによる導光板3の断面図である。
図7は、
図4中に示す線分C-Cによる導光板3の断面図である。
図8は、
図4中に示す線分D-Dによる導光板3の断面図である。
図9は、
図4中に示す線分E-Eによる導光板3の断面図である。
図10は、
図4中に示す線分F-Fによる導光板3の断面図である。
図11は、反射カット4により反射される光Lを説明するための斜視図である。
【0021】
また、以下に示す図面では、XYZ直交座標系を設定し、X軸方向を面発光装置1Aの面内における第1の方向(縦方向)、Y軸方向を面発光装置1Aの面内において第1の方向と直交する第2の方向(横方向)、Z軸方向を面発光装置1Aの面内に対して直交する第3の方向(厚み方向)として、それぞれ示すものとする。
【0022】
本実施形態の面発光装置1Aは、
図1~
図3に示すように、車両に搭載される車両用灯具100に適用したものであり、複数の光源2と、複数の光源2から出射された光を導光させる導光板3とを備えている。
【0023】
複数の光源2は、例えばLED等の光Lを放射状に出射する発光素子からなる。複数の光源2は、導光板3の一端面(本実施形態では左端面)3aと対向する位置に、この導光板3の一端面3aに沿った方向(本実施形態では縦方向)に一定の間隔で並んで配置されている。
【0024】
これにより、各光源2は、導光板3の一端面3aに向けて光Lを放射状に出射する。また、導光板3の一端面3aは、平面であり、各光源2から出射された光Lが入射する入射面(以下、「入射面3a」とする。)を構成している。
【0025】
したがって、この入射面3aから入射した光Lは、導光板3の内部で反射を繰り返しながら、導光板3の一端側から他端側に向けて導光させることになる。
【0026】
導光板3は、例えばポリカーボネイトやアクリル等の透明樹脂やガラスなどの光透過性部材からなり、全体として矩形平板状に形成されている。また、導光板3は、複数の光源2と対向する一端(左端)側から他端(右端)側に向かって一定の厚みで延在した形状を有している。
【0027】
導光板3は、何れか一方の主面(本実施形態では下面)3b側に配置されて、入射面3aから導光板3の内部へと入射した光Lを何れか他方の主面(本実施形態では上面)3c側に向けて反射する複数の反射カット4を有している。
【0028】
すなわち、導光板3の一方の主面3bは、複数の反射カット4を有して、導光板3の内部で導光される光Lを導光板3の他方の主面3c側に向けて反射する反射面(以下、「反射面3b」とする。)を構成している。
【0029】
一方、導光板3の他方の主面3cは、平面であり、各反射カット4により反射された光Lを導光板3の外部へと出射する出射面(以下、「出射面3c」とする。)を構成している。
【0030】
複数の反射カット4は、
図1~
図10に示すように、複数の光源2が並ぶ方向に延在し、且つ、入射面3aから入射した光Lの進行方向に並んで配置されている。
【0031】
本実施形態において、複数の反射カット4は、導光板3の反射面3bを切り欠く断面略三角形状の溝部(凹条部)により構成されている。また、溝部は、その底部の稜線を挟んで互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面4a,4bを有している。溝部の稜線は、反射カット4の延在方向において、直線状であり、且つ、溝部の中心線と一致している。
【0032】
反射カット4を構成する一対の傾斜面4a,4bのうち、入射面3aと対向する側の傾斜面4aは、入射面3aから入射した光Lを出射面3cに向けて反射する光学反射面(以下、「光学反射面4a」とする。)を構成している。
【0033】
反射面3bでは、反射カット4の延在方向において、各反射カット4の幅が周期的に変化している。また、反射カット4の延在方向において、各反射カット4の高さ(溝部の深さ)が周期的に変化している。
【0034】
本実施形態では、
図4~
図10に示すように、反射カット4の延在方向において、各反射カット4の幅及び高さがサインカーブを描くように周期的に変化している。また、各反射カット4の幅が最大(幅広)となる位置と、各反射カット4の高さが最大(山)となる位置とが一致し、各反射カット4の幅が最小(幅狭)となる位置と、各反射カット4の高さが最小(谷)となる位置とが一致している。各反射カット4の幅及び高さが周期的に変化する周期は、複数の光源2が並ぶ間隔よりも小さくなっている。
【0035】
これにより、各反射カット4の光学反射面4aは、反射カット4の延在方向において周期的に湾曲した波形の曲面形状を有している。
【0036】
また、複数の反射カット4は、入射面3aから離間するに従って、光学反射面4aの湾曲の曲率が漸次小さくなるカット形状を有している。すなわち、複数の反射カット4は、導光板3の一端側から他端側に向かうに従って、反射カット4の延在方向における幅及び高さの周期的な変化が小さくなっている。
【0037】
さらに、導光板3は、複数の反射カット4の入射面3aとは離間する側から、これら複数の反射カット4と共に並んで配置されたその他の反射カット4を有している。
【0038】
その他の反射カット4は、反射カット4の延在方向において、光学反射面4aが平坦となるカット形状を有している。すなわち、その他の反射カット4は、反射カット4の延在方向における幅及び高さに変化がなく、幅及び高さが一定となっている。
【0039】
また、複数の反射カット4は、出射面3cをより均一に発光させるため、導光板3の一端側から他端側に向かうに従って、互いに隣り合う間隔が漸次狭くなっていてもよい。若しくは、各反射カット4を形成する溝部の深さが漸次深くなっていてもよい。
【0040】
以上のような構成を有する本実施形態の面発光装置1Aでは、複数の光源2から出射された光Lを導光板3の入射面3aから導光板3の内部へと入射し、導光板3の反射面3bに設けられた複数の反射カット4により反射された光Lを導光板3の出射面3cから外部へと出射する。
【0041】
本実施形態の面発光装置1Aでは、導光板3の反射面3bを車両用灯具100の背面側、導光板3の出射面3cを車両用灯具100正面側に向けて配置する。これにより、複数の光源2からの光Lを導光板3の内部で導光させながら、この導光板3の出射面3cを車両用灯具100の発光面として発光(面発光)させることが可能である。
【0042】
本実施形態の面発光装置1Aでは、上述した光学反射面4aが反射カット4の延在方向において周期的に湾曲した波形の曲面形状を有している。
【0043】
この場合、光学反射面4aに入射した光Lは、
図11に示すように、上述したドット状の反射カットを設けた場合に比べて、ドットのエッジ部分がないため、迷光の発生を抑制し、より多くの光Lを出射面3c側に向けて反射することが可能である。
【0044】
また、光学反射面4aに入射した光Lは、上述した三角プリズム状の反射カットを設けた場合に比べて、光軸付近の強い光が出射面3c側に向けて拡散しながら反射されると共に、その周辺の弱い光が出射面3cから外部へと出射(透過)する角度で反射される。さらに、各反射カット4の谷の位置から光Lが通過することで、より多くの光Lを導光板3の一端側から他端側に向けて導光させることが可能である。
【0045】
これにより、本実施形態の面発光装置1Aでは、導光板3の出射面3cを発光させた際に、この出射面3cにおける輝度ムラの発生を抑制しながら、出射面3cをより均一に発光させることが可能である。
【0046】
したがって、本実施形態の車両用灯具100では、このような本実施形態の面発光装置1Aを備えることによって、点灯時における発光面の見栄えを良くすることが可能である。
【0047】
なお、本実施形態の面発光装置1Aでは、上述した反射カット4の形状や数等を適宜調整することで、光学反射面4aで反射される光Lの拡散度合いを制御することが可能である。
【0048】
また、上記導光板3は、金型の形状加工が同一プロセス内で処理可能なことから、上述した反射カット4を形成する際の加工費用が増加することがない。
【0049】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば
図12~
図14に示す面発光装置1Bを備えた車両用灯具100について説明する。
【0050】
なお、
図12は、面発光装置1Bを備えた車両用灯具100の構成を示す斜視図である。
図13は、面発光装置1Bの構成を示す平面図である。
図14は、
図13中に示す線分G-Gによる導光板3の断面図である。また、以下の説明では、上記面発光装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0051】
本実施形態の面発光装置1Bは、上記面発光装置1Aと同様に、車両用灯具100に適用したものであり、
図12~
図14に示す導光板3Aを備える以外は、上記面発光装置1Aと基本的に同じ構成を有している。
【0052】
具体的に、この導光板3Aは、
図12~
図14に示すように、上記導光板3の構成に加えて、出射面3c側に複数の出射カット5を有している。
【0053】
複数の出射カット5は、入射面3aから入射した光Lの進行方向に延在し、且つ、複数の光源2が並ぶ方向に並んで配置されている。すなわち、複数の出射カット5は、導光板3Aの面内において、複数の反射カット4とは交差(本実施形態では直交)して配置されている。
【0054】
本実施形態において、複数の出射カット5は、導光板3Aの出射面3cを切り欠く断面略三角形状の溝部(凹条部)により構成されている。また、溝部は、その底部の稜線を挟んで互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面5a,5bを有している。溝部の稜線は、出射カット5の延在方向において、直線状であり、且つ、溝部の中心線と一致している。
【0055】
出射カット5を構成する一対の傾斜面5a,5bは、複数の反射カット4により反射された光Lを導光板3の外部へと出射する光学出射面(以下、「光学出射面5a,5b」とする。)を構成している。
【0056】
出射面3cでは、出射カット5の延在方向において、各出射カット5の幅及び高さ(溝部の深さ)が一定となっている。
【0057】
また、複数の出射カット5は、互いに隣り合う間隔が一定であるに対して、複数の反射カット4は、反射カット4の延在方向における周期的な変化に不規則性を持たせている。
【0058】
すなわち、反射カット4の幅及び高さが一定の周期で変化する場合、複数の出射カット5と複数の反射カット4との間で発生する光学干渉により、出射面3cに縞状の輝度ムラが発生する。これに対して、反射カット4の幅及び高さの周期で変化に不規則性を持たせることで、このような光学干渉を回避し、出射面3cにおける輝度ムラの発生を防ぐことが可能である。
【0059】
以上のような構成を有する本実施形態の面発光装置1Bでは、上記面発光装置1Aと同様に、導光板3Aの出射面3cを発光させた際に、この出射面3cにおける輝度ムラの発生を抑制しながら、出射面3cをより均一に発光させることが可能である。
【0060】
したがって、本実施形態の車両用灯具100では、このような本実施形態の面発光装置1Bを備えることによって、点灯時における発光面の見栄えを良くすることが可能である。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上記導光板3,3Aについては、上述した平板形状を有する構成に必ずしも限定されるものではなく、
図15に示すように、導光板3,3Aの一端側から他端側に向かって漸次厚みが小さくなるように、反射面3bが出射面3c側に向かって傾斜した楔形状を有した構成であってもよい。
【0062】
また、上記反射カット4については、上述した断面略三角形状の溝部の形状に限らず、例えば
図16(A)に示すように、断面略直角三角形状の溝部の形状としてもよい。この場合、溝部は、その底部の稜線を挟んで入射面3aと対向する側の傾斜面4aが光学反射面となり、入射面3aと対向する側とは反対側に垂直面4cが設けられた構成となる。
【0063】
また、上記反射カット4については、
図16(B)に示すように、導光板3の反射面3bから突出した断面略三角形状の突部(凸条部)により構成してもよい。この場合、突部は、その頂部の稜線を挟んで互いに逆向きに傾斜した一対の傾斜面4d,4eを有し、入射面3aと対向する側とは反対側の傾斜面4eが、入射面3aから入射した光Lを出射面3cに向けて反射する光学反射面となる。
【0064】
また、上記面発光装置1A,1Bでは、
図17(A),(B)に示すように、導光板3,3Aの互いに向かい合う両側の端面に沿って複数の光源2が並んで配置された構成としてもよい。なお、
図17(A)は、導光板3,3Aが平板形状を有する構成である。一方、
図17(B)は、導光板3,3Aの両端から中央に向かって漸次厚みが小さくなる形状を有する構成である。
【0065】
この場合、導光板3,3Aの互いに向かい合う両側の端面が入射面3aとなる。また、複数の反射カット4を構成する一対の傾斜面4a,4bのうち、一方の傾斜面4aが一方の入射面3aから入射した光Lを出射面3cに向けて反射する一方の光学反射面となり、他方の傾斜面4bが他方の入射面3aから入射した光Lを出射面3cに向けて反射する他方の光学反射面となる。
【0066】
また、上記反射カット4については、例えば
図18(A)に示すように、一対の傾斜面(光学反射面)4a,4bが凸状に湾曲した曲面からなる構成や、
図18(B)に示すように、一対の傾斜面(光学反射面)4a,4bが凹状に湾曲した曲面からなる構成としてもよい。
【0067】
なお、上記面発光装置1A,1Bでは、導光板3の一端側から他端側に向かうに従って、複数の反射カット4の幅及び高さの周期的な変化が小さくなり、最終的にその他の反射カット4の幅及び高さが一定となる構成となっているが、導光板3の一端側から他端側に向かうに従って、その幅及び高さの周期的な変化が小さくなる複数の反射カット4のみで構成とすることも可能である。
【0068】
なお、本発明が適用される車両用灯具については、特に限定されるものではなく、例えば、尾灯(テールランプ)や車幅灯(ポジションランプ)、ブレーキランプ、バックランプ、昼間点灯用ランプ(DRL)、方向指示器(ウィンカーランプ)、サイドマーカーランプなど、本発明を適用した面発光装置を幅広く適用することが可能である。
【0069】
また、光源2が発する光の色については、赤色光や白色光、橙色光など、その車両用灯具の用途に応じて適宜変更することが可能である。
【0070】
さらに、本発明を適用した面発光装置は、上述した車両用灯具に好適に用いられるものの、車両用灯具以外にも、例えば液晶表示装置のバックライトや一般照明具などの照明装置にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1A,1B…面発光装置 2…光源 3,3A…導光板 4…反射カット 4a,4b…光学反射面 5…出射カット 5a,5b…光学出射面 100…車両用灯具 L…光