(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171405
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法および半導体製造装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20241205BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L21/66 A
H01L21/78 Q
H01L21/78 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088382
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 一敬
(72)【発明者】
【氏名】野尻 祐二
(72)【発明者】
【氏名】野口 貴也
【テーマコード(参考)】
4M106
5F063
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106AA02
4M106AA07
4M106AB01
4M106AB06
4M106AB11
4M106BA01
4M106BA14
4M106DA15
4M106DD01
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4M106DJ38
5F063AA28
5F063AA35
5F063BA03
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5F063DD67
5F063DD85
5F063DD97
5F063DE11
5F063DE19
5F063DE23
5F063DE33
5F063EE21
(57)【要約】
【課題】良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能な半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】データ取得工程において、複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果を取得する。その試験結果は、複数の半導体チップの配置情報に関連付けられている。切断工程において、半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、半導体ウエハを切断する。識別工程において、切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の半導体ウエハの試験結果とに基づいて、切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップまたは不良品半導体チップを識別する。切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含む。外観情報は、基点を含む領域の画像である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウエハに形成された複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果であって、前記複数の半導体チップの配置情報に関連付けられた前記試験結果を取得するデータ取得工程と、
前記半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、前記半導体ウエハを切断して、切断加工済み半導体ウエハを形成する切断工程と、
前記切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の前記半導体ウエハの前記試験結果とに基づいて、前記切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する識別工程と、を備え、
前記切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含み、
前記外観情報は、前記基点を含む領域の画像である、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記画像は、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記基点の周辺の半導体チップと、前記基点を基準にして切断された切断区画と、を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記複数の半導体チップは、前記半導体ウエハの表面における第1方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って行列状に配置されており、
前記切断加工済み半導体ウエハにおける切断面は、前記基点から前記第1方向および前記第2方向に形成されている、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記切断工程は、前記基点から前記半導体ウエハの端部までを切断することを含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体ウエハは、リム付き半導体ウエハであり、
前記リム付き半導体ウエハは、前記リム付き半導体ウエハの外周に沿って設けられたリム部と前記リム部よりも内側に設けられた中央部とを含み、
前記リム部の厚さは、前記中央部の厚さよりも厚く、
前記切断工程は、
前記中央部内に位置しかつ前記基点に隣接している領域である切断区画を切り抜く切断区画形成工程と、
前記リム部を切断するリム切断工程と、を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記切断工程は、前記基点に基づいて、前記複数の半導体チップが形成された有効領域と前記複数の半導体チップが形成されていない無効領域との境界で切断することを含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記基点は、前記複数の半導体チップが形成された有効領域と前記複数の半導体チップが形成されていない無効領域との境界のうち、前記第1方向に延伸する第1境界部を仮想的に延長した第1仮想線と、前記第2方向に延伸する第2境界部を仮想的に延長した第2仮想線との、交点に設定されており、
前記第1仮想線に含まれる前記第1境界部は、前記複数の半導体チップのうち、前記第2方向において前記半導体ウエハの外周に最も近い半導体チップと前記無効領域との間に位置しており、
前記第2仮想線に含まれる前記第2境界部は、前記複数の半導体チップのうち、前記第1方向において前記半導体ウエハの前記外周に最も近い半導体チップと前記無効領域との間に位置しており、
前記切断工程は、前記第1仮想線および前記第2仮想線に沿って前記半導体ウエハを切断することを含む、請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記切断工程は、前記試験結果に基づいて、前記不良品半導体チップのみを切断することを含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記切断加工済み半導体ウエハをダイシングシートにマウントするマウント工程と、
前記マウント工程後に、前記切断加工済み半導体ウエハをダイシングして、前記複数の半導体チップを互いに分離させる個片化工程と、をさらに備え、
前記識別工程は、前記マウント工程と前記個片化工程との間、または、前記個片化工程の後に実行される、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記識別工程は、
前記画像と、前記試験結果における前記複数の半導体チップの前記配置情報とに基づいて、前記基点の周辺の予め定められた範囲における半導体チップの有無を照合し、前記予め定められた範囲における基準チップを特定する第1識別工程と、
前記基準チップを基準として、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方の位置を識別する第2識別工程と、を含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記試験結果は、前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方についての前記半導体ウエハにおける位置情報を有するウエハマップデータを含む、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
半導体ウエハに形成された複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果であって、前記複数の半導体チップの配置情報に関連付けられた前記試験結果を取得するデータ取得部と、
前記半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、前記半導体ウエハを切断して、切断加工済み半導体ウエハを形成する切断部と、
前記切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の前記半導体ウエハの前記試験結果とに基づいて、前記切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する識別部と、を備え、
前記切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含み、
前記外観情報は、前記基点を含む領域の画像である、半導体製造装置。
【請求項13】
前記画像は、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記基点の周辺の半導体チップと、前記基点を基準にして切断された切断区画と、を含む、請求項12に記載の半導体製造装置。
【請求項14】
前記複数の半導体チップは、前記半導体ウエハの表面における第1方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って行列状に配置されており、
前記切断加工済み半導体ウエハにおける切断面は、前記基点から前記第1方向および前記第2方向に形成されている、請求項12に記載の半導体製造装置。
【請求項15】
前記識別部は、
前記画像と、前記試験結果における前記複数の半導体チップの前記配置情報とに基づいて、前記基点の周辺の予め定められた範囲における半導体チップの有無を照合し、前記予め定められた範囲における基準チップを特定する第1識別部と、
前記基準チップを基準として、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方の位置を識別する第2識別部と、を含む、請求項12に記載の半導体製造装置。
【請求項16】
前記試験結果は、前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方についての前記半導体ウエハにおける位置情報を有するウエハマップデータを含む、請求項12に記載の半導体製造装置。
【請求項17】
プローブを含み、前記複数の半導体チップの各々に対して、前記プローブを介して電流または電圧を印加して電気特性を評価することにより、前記電気的試験を行うウエハテスト部と、
前記半導体ウエハを、前記ウエハテスト部と前記切断部との間で移動させる移載部と、をさらに備え、
前記切断部は、
前記半導体ウエハを切断するYAGレーザと、
前記外観情報として、前記画像を撮影するカメラと、を含む、請求項12に記載の半導体製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置の製造方法および半導体製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
良品半導体チップと不良品半導体チップとを正しく選別するためには、半導体素子の電気的試験の結果として出力されるマップデータにおける半導体チップの位置情報と、実際に半導体ウエハに形成されている多数の半導体チップの位置情報とを正確に一致させる技術が重要である。特許文献1には、半導体素子が形成されていない非形成領域にインクマークを施した基準ペレットを準備し、その基準ペレットに基づく座標によって、良品および不良品ペレットの検査を行う技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなインクによるマーキング技術は、半導体装置の製造工程における管理を難しくする。例えば、インクの乾燥およびインクの剥離などマーキングに適切なインクの選定およびプロセス開発の管理が必要である。インクを使用することなく、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが求められる。
【0005】
本開示は、上記の課題を解決するため、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能な半導体装置の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る半導体装置の製造方法は、データ取得工程、切断工程および識別工程を含む。データ取得工程は、半導体ウエハに形成された複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果を取得する。その試験結果は、複数の半導体チップの配置情報に関連付けられている。切断工程は、半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、その半導体ウエハを切断して、切断加工済み半導体ウエハを形成する。識別工程は、切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の半導体ウエハの試験結果とに基づいて、切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する。切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含む。外観情報は、基点を含む領域の画像である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能な半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
本開示の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態1における半導体製造装置の構成を示す図である。
【
図2】試験対象の半導体ウエハの構成を示す図である。
【
図3】実施の形態1における切断加工済み半導体ウエハの構成を示す図である。
【
図4】実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【
図6】実施の形態2における切断加工済み半導体ウエハの構成を示す図である。
【
図7】実施の形態3における切断加工済み半導体ウエハの構成を示す図である。
【
図8】実施の形態4における切断加工済み半導体ウエハの構成を示す図である。
【
図9】実施の形態5における切断加工済み半導体ウエハの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1における半導体製造装置100の構成を示す図である。
図2は、実施の形態1における半導体ウエハ10の構成を示す図である。半導体製造装置100は、半導体ウエハ10に形成された複数の半導体チップ1に対して電気的試験を行う。
【0011】
複数の半導体チップ1は、半導体ウエハ10の表面における第1方向および第2方向に沿って行列状に配置されている。その第2方向は、第1方向に対して直交する方向である。複数の半導体チップ1の間には、第1方向および第2方向に延伸するダイシングライン2が定められている。後述する個片化工程において、複数の半導体チップ1はダイシングライン2に沿って互いに分離される。各半導体チップ1の平面形状は矩形である。半導体ウエハ10は、有効領域3と無効領域4とを含む。有効領域3は、半導体チップ1が形成されている領域に対応する。無効領域4は、有効領域3の外側に位置し、半導体チップ1が形成されていない領域に対応する。
【0012】
半導体チップ1は、例えば、Si等の半導体によって形成されている。半導体チップ1は、SiC、GaN、Ga2O3、ダイヤモンド等のいわゆるワイドバンドギャップ半導体で形成されていることが好ましい。半導体チップ1は、半導体素子(図示せず)として、ダイオード素子またはスイッチング素子を含む。ダイオード素子は、例えば、ショットキーバリアダイオードである。スイッチング素子は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)またはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。
【0013】
半導体製造装置100は、ウエハテスト部20、データ取得部30、移載部40、設定部50、切断部60および識別部70を含む。
【0014】
ウエハテスト部20は、テストプローバ21を含む。ウエハテスト部20は、複数の半導体チップ1の各々に対して、電流または電圧を印加し、それら半導体チップ1の電気特性を評価して、電気的試験を行う。その電流または電圧は、テストプローバ21のプローブ(図示せず)を介して印加される。ウエハテスト部20は、その評価結果を、半導体チップ1の電気的試験の試験結果として出力する。
【0015】
試験結果は、複数の半導体チップ1の配置情報に関連付けられている。例えば、試験結果は、ウエハマップデータである。ウエハマップデータは、良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方についての半導体ウエハ10における位置情報を含む。言い換えると、試験結果は、良品半導体チップおよび不良品半導体チップうち少なくとも一方の判定情報と位置情報とを含む。不良品半導体チップの判定情報は、例えば、ウエハマップデータにおいて「×」で表示される。また、試験結果は、良品半導体チップまたは不良品半導体チップの位置情報だけでなく、複数の半導体チップ1の配置情報つまり全体の配置情報も格納している。位置情報および配置情報は、例えば、半導体チップ1の座標データである。
【0016】
データ取得部30は、半導体ウエハ10に形成された複数の半導体チップ1に対して行われた電気的試験の試験結果を取得する。
【0017】
移載部40は、例えば、半導体ウエハ10を保持するキャリアと、そのキャリアを高精度に運搬する移動ステージと、を含む。移載部40は、ウエハテスト部20と切断部60との間を移動する。
【0018】
設定部50は、後述する切断工程において半導体ウエハ10を切断する際の基準となる基点5を、半導体ウエハ10内に設定する。基点5は切断区画の基準である。基点5は、例えば、ダイシングライン2上に設定される。または、基点5は、フォトリソグラフィー(写真製版)時の重ね合わせに用いられる複数の位置合わせマークを接続するライン上に設定されてもよい。基点5は、それらのラインが交差する点に対応する。基点5は、有効領域3内に形成された複数の半導体チップ1のうち、半導体ウエハ10の外周側に形成されている半導体チップの角部に設定されることが好ましい。基点5は、有効領域3において最も外側に形成されている半導体チップの角部に設定されることが好ましい。基点5がそのような位置に設定されることにより、有効領域3内の良品半導体チップが切断工程で切断されることがない。また、切断区画が最小限に設定される。半導体ウエハ10が8インチ、12インチ等の大口径のサイズを有する場合であっても、切断区画は最小化される。
【0019】
切断部60は、切断工程および個片化工程を行う。切断工程においては、切断部60は、半導体ウエハ10内に設定される基点5を基準にして、半導体ウエハ10を切断する。その切断された半導体ウエハ10を、以下、切断加工済み半導体ウエハという。
図3は、実施の形態1における切断加工済み半導体ウエハ11の構成を示す図である。切断加工済み半導体ウエハ11は、2以上の半導体チップ1を含む。切断加工済み半導体ウエハ11は、切断前の半導体ウエハ10に形成されていた複数の半導体チップ1の全てを含んでいることが好ましい。また、実施の形態1における切断部60は、基点5から半導体ウエハ10の端部までを切断する。切断加工済み半導体ウエハ11における切断面は、基点5から第1方向および第2方向に形成されている。実施の形態1における切断方向は、半導体チップ1の配列方向である第1方向および第2方向に沿っていることが好ましいが、切断方向はそれらに限定されるものではない。個片化工程においては、切断部60は、切断加工済み半導体ウエハ11をダイシングして、複数の半導体チップ1を互いに分離させる。
【0020】
切断部60は、レーザ発振器61およびカメラ62を含む。レーザ発振器61は、上記のように半導体ウエハ10または切断加工済み半導体ウエハ11をレーザで切断する。レーザ発振器61は、例えば、YAGレーザである。切断部60は、ブレード(図示せず)を備えていてもよい。半導体ウエハ10はそのブレードによって切断されてもよい。ただし、ブレードによる切断は、切削幅に限界を有する。この限界は、ブレードに含まれるダイヤモンド粒子のサイズおよびブレードの機械的強度に起因している。また、ブレードが半導体ウエハ10に直接触れるため切断時の振動および衝撃で半導体チップ1に欠けが生じ得る。そのため、非接触で切断でき、かつ、切削幅が可能な限り小さくできるレーザによる切断が好ましい。カメラ62は、切断加工済み半導体ウエハ11における基点5を含む画像を撮影する。例えば、カメラ62は、その基点5の周辺の少なくとも1つの半導体チップ1と、基点5を基準にして切断された切断区画6と、を含む画像を撮影する。この際、カメラ62は、切断区画6をカメラ62で自動認識してその基点5と半導体チップ1とを含む領域を撮影してもよいし、設定部50から基点5の情報を取得してその基点5と半導体チップ1とを含む領域を撮影してもよい。
【0021】
識別部70は、切断加工済み半導体ウエハ11の外観情報と、切断加工前の半導体ウエハ10の試験結果とに基づいて、切断加工済み半導体ウエハ11における良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する。外観情報は、上記の画像である。実施の形態1における識別部70は、第1識別部71および第2識別部72を含む。
【0022】
第1識別部71は、外観情報である上記の画像と、試験結果における複数の半導体チップ1の配置情報とに基づいて、基点5の周辺の予め定められた範囲における半導体チップ1の有無を照合する。予め定めれた範囲は、任意の範囲であり変更可能である。画像における半導体チップ1の有無の判定は、画像解析によって行われる。画像解析は、例えば、半導体チップ1の形状情報、面積情報、ダイシングシートおよび半導体チップ1の色情報等に基づいて行われる。そして、識別部70は、予め定められた範囲における基準チップ7を特定する。基準チップ7は、半導体チップ1であってもよいし、無効領域4のチップであってもよい。無効領域4のチップとは、無効領域4に延伸する複数のダイシングライン2によって定められる領域に対応する。
【0023】
第2識別部72は、その基準チップ7を基準として、切断加工済み半導体ウエハ11における良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方の位置を識別する。
【0024】
データ取得部30、設定部50、第1識別部71および第2識別部72の各機能は、半導体製造装置100が備える処理回路(図示せず)によって実現される。処理回路は、例えば、プロセッサとメモリとを含む。プロセッサがメモリに格納されたプログラムを実行することにより、データ取得部30、設定部50、第1識別部71および第2識別部72の各機能が実現される。
【0025】
図4は、実施の形態1における半導体装置の製造方法を示すフローチャートである。
【0026】
ステップS1は、形成工程である。ステップS1において、複数の半導体チップ1が半導体ウエハ10に形成される。半導体チップ1は、第1方向および第2方向に沿って行列状に配置されている。
【0027】
ステップS2は、検査工程である。ウエハテスト部20は、半導体ウエハ10に形成された複数の半導体チップ1の各々に対して、電気的試験を行う。この際、テストプローバ21のプローブを介して、各半導体チップ1に電流または電圧が印加される。ウエハテスト部20は、良品半導体チップまたは不良品半導体チップを検出する。
【0028】
ステップS3は、データ取得工程である。データ取得部30は、電気的試験の試験結果を取得する。その試験結果は、複数の半導体チップ1の配置情報に関連付けられている。試験結果は、ウエハマップデータである。ウエハマップデータは、不良品半導体チップの判定情報と位置情報とを含む。ウエハマップデータは、複数の半導体チップ1の配置情報も格納している。
【0029】
ステップS4は、設定工程である。設定部50は、次の切断工程において半導体ウエハ10を切断する際の基準となる基点5を、半導体ウエハ10内に設定する。実施の形態1における基点5は、2本のダイシングライン2が交差する点に設定される。
図2に示されるように、基点5は、有効領域3内の複数の半導体チップ1のうち、半導体ウエハ10の外周側に形成されている半導体チップの角部に設定される。
【0030】
ステップS5は、切断工程である。切断部60は、半導体ウエハ10内に設定される基点5を基準に、半導体ウエハ10を切断して、切断加工済み半導体ウエハ11を形成する。切断加工済み半導体ウエハ11は、2以上の半導体チップ1を含む。実施の形態1においては、
図3に示されるように、切断部60は、基点5から半導体ウエハ10の端部まで切断する。その際、切断部60は、第1方向および第2方向に沿って半導体ウエハ10を切断する。半導体ウエハ10は、例えば、YAGレーザによって切断される。切断面は、基点5から第1方向および第2方向に形成される。この切断工程により、半導体ウエハ10の一部である切断区画6が分離され、切断加工済み半導体ウエハ11が形成される。
【0031】
ステップS6は、マウント工程である。切断加工済み半導体ウエハ11がダイシングシート(図示せず)にマウントされる。切断加工済み半導体ウエハ11の一方の主面には、リングフレーム(図示せず)に支持されたテープ(図示せず)が貼り付けられる。
【0032】
ステップS7は、第1識別工程である。カメラ62は、切断加工済み半導体ウエハ11における基点5の周辺の少なくとも1つの半導体チップ1と、基点5を基準にして切断された切断区画6と、を含む画像を撮影する。
【0033】
第1識別部71は、その画像と、半導体チップ1の配置情報とに基づいて、基点5の周辺の予め定められた範囲における半導体チップ1の有無を照合する。第1識別部71は、その照合結果に基づいて、予め定められた範囲における基準チップ7を特定する。以下、第1識別工程の一例を説明する。
【0034】
第1識別部71は、基点5の周辺の予め定められた範囲に対してマトリクスサーチを行う。
図5は、マトリクスサーチの一例を示す図である。一例として、その予め定められた範囲は、横方向および縦方向に3つの半導体チップ1が配置される領域と同じ大きさである。この際、第1識別部71は、基点5に隣接する半導体チップ1を仮基準チップ7Aに定める。第1識別部71は、その仮基準チップ7Aを中心とする予め定められた範囲を設定し、マトリクスサーチを実行する。具体的には、第1識別部71は、その範囲における半導体チップ1の有無に関する情報を、画像解析によって取得する。
図5に示されるように、その領域の中央部の上側および右上側には、半導体チップ1が設けられていない。その他の領域には、半導体チップ1が設けられている。また、第1識別部71が試験結果として取得するウエハマップデータには、電気的試験の際の複数の半導体チップ1の配置情報が格納されている。第1識別部71は、マトリクスサーチの結果とその配置情報とを照合する。マトリクスサーチの結果と配置情報とが一致した場合に、そのサーチ範囲における中心の仮基準チップ7Aを基準チップ7として特定する。
【0035】
ステップS8は、第2識別工程である。第2識別部72は、その基準チップ7を基準として、切断加工済み半導体ウエハ11における良品半導体チップの位置を識別する。例えば、第2識別部72は、基準チップ7の位置とウエハマップデータにおける配置情報とを重ね合わせて、不良品半導体チップ以外の半導体チップ1を識別し、それらの位置を特定する。
【0036】
ステップS9は、個片化工程である。切断部60は、切断加工済み半導体ウエハ11をダイシングして、複数の半導体チップ1を互いに分離させる。
【0037】
ステップS10は、ピックアップ工程である。良品半導体チップの位置情報に基づいて、複数の半導体チップ1から良品半導体チップが正確にピックアップされる。不良品半導体チップは、このピックアップ工程において脱落する。
【0038】
以上の半導体装置の製造方法によれば、インクを使用することなく、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能になる。
【0039】
上記の製造方法では、データ取得部30は、不良品半導体チップの情報を取得し、第2識別部72はその不良品半導体チップの情報に基づいて良品半導体チップを識別していた。データ取得部30で取得される試験結果は、良品半導体チップの情報であってもよいし、不良品および良品半導体チップの両方の情報であってもよい。また、第2識別部72で識別される半導体チップ1は、不良品半導体チップであってもよいし、不良品および良品半導体チップの両方であってもよい。
【0040】
第1識別工程および第2識別工程は、マウント工程と個片化工程との間に実行されているが、個片化工程の後に実行されてもよい。その場合、識別工程は、個片化された複数の半導体チップ1に対して実行される。その場合であっても、複数の半導体チップ1から良品半導体チップが正確にピックアップされる。
【0041】
また第1識別工程および第2識別工程は、識別部70が実行する機能および動作の一例であり、上記に限定されるものではない。識別部70は、切断加工済み半導体ウエハ11の外観情報と、切断加工前の半導体ウエハ10の試験結果とに基づいて、良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する。外観情報は基点5を含む領域の画像であればよく、好ましくは、基点5の周辺の半導体チップ1と切断区画6とを含む画像である。識別部70は、その画像を解析することにより、画像内の半導体チップ1の位置情報と、試験の際の配置情報とを照合することができる。その照合結果に基づいて、良品半導体チップまたは不良品半導体チップの位置は識別される。
【0042】
以上をまとめると、実施の形態1における半導体装置の製造方法は、データ取得工程、切断工程および識別工程を含む。データ取得工程は、半導体ウエハ10に形成された複数の半導体チップ1に対して行われた電気的試験の試験結果を取得する。その試験結果は、複数の半導体チップ1の配置情報に関連付けられている。切断工程は、半導体ウエハ10内に設定される基点5を基準に、その半導体ウエハ10を切断して、切断加工済み半導体ウエハ11を形成する。識別工程は、切断加工済み半導体ウエハ11の外観情報と、切断加工前の半導体ウエハ10の試験結果とに基づいて、切断加工済み半導体ウエハ11における良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する。切断加工済み半導体ウエハ11は、2以上の半導体チップ1を含む。外観情報は、基点5を含む領域の画像である。
【0043】
このような半導体装置の製造方法によれば、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能となる。
【0044】
良品半導体チップと不良品半導体チップとの選別工程がインクレス化されるため、インクの管理が不要となる。例えば、インクの乾燥プロセスが不要となる他、ダイシング時のインク剥離の問題が生じない。また、インクの生産終了に伴う新インクの選定作業も不要である。半導体ウエハ10の大口径化および半導体チップ1の小型化が進行しているため、1つの半導体ウエハ10に形成される半導体チップ1の個数は増加している。実施の形態1の製造方法によれば、基準チップ7または不良品半導体チップにインクを打つプロセスが不要であるため、プローバの負荷が軽減する。また、隣接する半導体チップ1へインクが流出する事態も発生しない。
【0045】
マウント工程において、半導体ウエハ10をダイシングシートにマウントする際、ダイシングシートはエキスパンドする。半導体ウエハ10の中心部に比べて外周部はエキスパンドの影響で伸びやすい。半導体ウエハ10のセンターずれおよびθずれが意図せず発生する。事前登録されていた半導体チップ1の位置情報と実際の位置情報とにずれが生じる。そのようなずれは、良品半導体チップと不良品半導体チップとの選別精度に影響する。しかし、実施の形態1の製造方法では、ダイシングシート上の半導体チップ1の位置の認識精度が向上するため、良品半導体チップと不良品半導体チップとを容易に正しく選別することが可能となる。そのため、半導体装置の製造工程における生産性が向上する。
【0046】
<実施の形態2>
実施の形態2において、実施の形態1と同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0047】
図6は、実施の形態2における切断加工済み半導体ウエハ12の構成を示す図である。半導体ウエハ10は、リム付き半導体ウエハである。リム付き半導体ウエハは、リム部10Aと中央部10Bとを含む。リム部10Aは、リム付き半導体ウエハの外周に沿って設けられている。中央部10Bは、そのリム部10Aよりも内側に設けられている。リム部10Aの厚さは、中央部10Bの厚さよりも厚い。
【0048】
実施の形態2における切断工程は、切断区画形成工程およびリム切断工程を含む。切断区画形成工程において、切断部60は、中央部10Bに位置しかつ基点5に隣接している領域である切断区画6を切り抜く。その基点5は、実施の形態1と同様に、設定工程で設定される。切断区画6は、半導体チップ1が形成されている有効領域3の外側に設けられた無効領域4に位置することが好ましい。また、その切断区画6は、ダイシングライン2に沿って切断され、半導体チップ1と同じチップ形状を有していてもよい。リム切断工程においては、切断部60は、リム部10Aを切断する。その他の工程は、実施の形態1と同様である。
【0049】
リム付き半導体ウエハにおいては、リム部10Aの厚さが中央部10Bよりも厚い。そのため、切断部60が基点5から半導体ウエハ10の端部までを切断することは難しい。実施の形態2の半導体装置の製造方法によれば、基点5周辺の切断区画6が切り抜かれることで、基準チップ7が実施の形態1と同様に特定される。不良品半導体チップの識別時に、ウエハマップデータと実物の位置情報とがずれることが防止される。そのため、半導体装置の製造工程における生産性が向上する。
【0050】
<実施の形態3>
実施の形態3において、実施の形態1または2と同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0051】
図7は、実施の形態3における切断加工済み半導体ウエハ13の構成を示す図である。切断工程において、切断部60は、基点5に基づいて、有効領域3と無効領域4との境界で切断する。つまり、切断工程において、半導体チップ1が形成されていない全ての無効領域4が切り抜かれる。
【0052】
実施の形態3の半導体装置の製造方法によれば、ピックアップ工程において、無効領域4のチップがピックアップされる現象が起こり得ない。無効領域4のチップの流出が防止される。この製造方法においては、有効領域3外のチップつまり無効領域4のチップを基準チップ7に設定することは不可能である。有効領域3に基準チップ7が特定される。そのため、ピックアップ工程において良品半導体チップをピックアップする際、その基準チップ7は最後にピックアップされることが好ましい。
【0053】
<実施の形態4>
実施の形態4において、実施の形態1から3のいずれかと同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0054】
図8は、実施の形態4における切断加工済み半導体ウエハ14の構成を示す図である。半導体ウエハ10は、有効領域3と無効領域4とを含む。
【0055】
有効領域3と無効領域4との境界は、第1方向に延伸する第1境界部8Aと第2方向に延伸する第2境界部8Bとを含む。その第1境界部8Aは、複数の半導体チップ1のうち、第2方向において半導体ウエハ10の外周に最も近い半導体チップと無効領域4との間に位置している。第2境界部8Bは、複数の半導体チップ1のうち、第1方向において半導体ウエハ10の外周に最も近い半導体チップと無効領域4との間に位置している。
【0056】
実施の形態4における基点5は、第1境界部8Aを仮想的に延長した第1仮想線9Aと、第2境界部8Bを仮想的に延長した第2仮想線9Bとの、交点に設定される。
【0057】
設定工程において、設定部50は、カメラ62で撮影された半導体ウエハ10の画像に基づいて、第1境界部8Aおよび第2境界部8Bを検出し、第1仮想線9Aと第2仮想線9Bとの交点を基点5に自動で設定してもよい。
【0058】
切断工程において、切断部60は、第1仮想線9Aおよび第2仮想線9Bに沿って半導体ウエハ10を切断する。切断工程は、第1切断工程と第2切断工程とを含む。第1切断工程においては、切断部60は、基点5を基準にして、第1仮想線9Aに沿って半導体ウエハ10を切断する。それにより、半導体ウエハ10の端部である第1切断区画6Aが切り分けられる。第2切断工程においては、第2仮想線9Bに沿って半導体ウエハ10を切断する。それにより、半導体ウエハ10の端部である第2切断区画6Bが切り分けられる。
【0059】
第1識別工程において、第1識別部71は、外観情報の画像として、基点5を中心とした第1切断区画6A、第2切断区画6Bおよびその周辺の半導体チップ1を含む画像に基づいて、基準チップ7を特定する。その際、第1識別部71は、実施の形態1と同様に、ウエハマップデータと画像との照合結果に基づいて、予め定められた範囲における基準チップ7を特定する。または、実施の形態4においては、第1識別部71は、基点5から予め定められた距離内に位置する半導体チップ1を基準チップ7として特定してもよい。この方法の方が、基準チップ7の特定が簡易であり、半導体装置の製造工程における生産性が向上する。
【0060】
このような半導体装置の製造方法によれば、複雑な切断経路が必要ない。2回の切断工程で切断加工済み半導体ウエハ14が実現される。第1境界部8Aおよび第2境界部8Bは、境界のなかでも長い直線を有する。そのような長い直線から座標系が認識されるため、より高い精度で良品半導体チップまたは不良品半導体チップの位置が認識される。
【0061】
<実施の形態5>
実施の形態5において、実施の形態1から4のいずれかと同様の構成要素には、同一の参照符号を付し、それらの詳細な説明は省略する。
【0062】
図9は、実施の形態5における切断加工ずみ半導体ウエハ15の構成を示す図である。切断工程において、切断部60は、試験結果に基づいて、少なくとも1つの不良品半導体チップ1Aのみを切断する。より詳細には、切断部60は、検査工程で不良と判定され、ウエハマップデータにおいて「×」等の目印が付与された不良品半導体チップ1Aを切り抜く。この際、切断部60は、事前登録されているウエハ情報と、データ取得工程で取得したウエハマップとを重ね合わせて照合し、不良品半導体チップ1Aを特定する。
【0063】
仮にマウント工程後に基準チップ7の位置ずれが起きたとしても、既に不良品半導体チップ1Aは切り抜かれている。ピックアップ工程の際に、不良品半導体チップ1Aがピックアップされるおそれがなく、不良品半導体チップ1Aの流出が防止される。
【0064】
本開示は、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0065】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0066】
(付記1)
半導体ウエハに形成された複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果であって、前記複数の半導体チップの配置情報に関連付けられた前記試験結果を取得するデータ取得工程と、
前記半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、前記半導体ウエハを切断して、切断加工済み半導体ウエハを形成する切断工程と、
前記切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の前記半導体ウエハの前記試験結果とに基づいて、前記切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する識別工程と、を備え、
前記切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含み、
前記外観情報は、前記基点を含む領域の画像である、半導体装置の製造方法。
【0067】
(付記2)
前記画像は、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記基点の周辺の半導体チップと、前記基点を基準にして切断された切断区画と、を含む、付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0068】
(付記3)
前記複数の半導体チップは、前記半導体ウエハの表面における第1方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って行列状に配置されており、
前記切断加工済み半導体ウエハにおける切断面は、前記基点から前記第1方向および前記第2方向に形成されている、付記1または付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0069】
(付記4)
前記切断工程は、前記基点から前記半導体ウエハの端部までを切断することを含む、付記1から付記3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0070】
(付記5)
前記半導体ウエハは、リム付き半導体ウエハであり、
前記リム付き半導体ウエハは、前記リム付き半導体ウエハの外周に沿って設けられたリム部と前記リム部よりも内側に設けられた中央部とを含み、
前記リム部の厚さは、前記中央部の厚さよりも厚く、
前記切断工程は、
前記中央部内に位置しかつ前記基点に隣接している領域である切断区画を切り抜く切断区画形成工程と、
前記リム部を切断するリム切断工程と、を含む、付記1から付記4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0071】
(付記6)
前記切断工程は、前記基点に基づいて、前記複数の半導体チップが形成された有効領域と前記複数の半導体チップが形成されていない無効領域との境界で切断することを含む、付記1から付記5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0072】
(付記7)
前記基点は、前記複数の半導体チップが形成された有効領域と前記複数の半導体チップが形成されていない無効領域との境界のうち、前記第1方向に延伸する第1境界部を仮想的に延長した第1仮想線と、前記第2方向に延伸する第2境界部を仮想的に延長した第2仮想線との、交点に設定されており、
前記第1仮想線に含まれる前記第1境界部は、前記複数の半導体チップのうち、前記第2方向において前記半導体ウエハの外周に最も近い半導体チップと前記無効領域との間に位置しており、
前記第2仮想線に含まれる前記第2境界部は、前記複数の半導体チップのうち、前記第1方向において前記半導体ウエハの前記外周に最も近い半導体チップと前記無効領域との間に位置しており、
前記切断工程は、前記第1仮想線および前記第2仮想線に沿って前記半導体ウエハを切断することを含む、付記3に記載の半導体装置の製造方法。
【0073】
(付記8)
前記切断工程は、前記試験結果に基づいて、前記不良品半導体チップのみを切断することを含む、付記1から付記7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0074】
(付記9)
前記切断加工済み半導体ウエハをダイシングシートにマウントするマウント工程と、
前記マウント工程後に、前記切断加工済み半導体ウエハをダイシングして、前記複数の半導体チップを互いに分離させる個片化工程と、をさらに備え、
前記識別工程は、前記マウント工程と前記個片化工程との間、または、前記個片化工程の後に実行される、付記1から付記8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0075】
(付記10)
前記識別工程は、
前記画像と、前記試験結果における前記複数の半導体チップの前記配置情報とに基づいて、前記基点の周辺の予め定められた範囲における半導体チップの有無を照合し、前記予め定められた範囲における基準チップを特定する第1識別工程と、
前記基準チップを基準として、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方の位置を識別する第2識別工程と、を含む、付記1から付記9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0076】
(付記11)
前記試験結果は、前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方についての前記半導体ウエハにおける位置情報を有するウエハマップデータを含む、付記1から付記10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0077】
(付記12)
半導体ウエハに形成された複数の半導体チップに対して行われた電気的試験の試験結果であって、前記複数の半導体チップの配置情報に関連付けられた前記試験結果を取得するデータ取得部と、
前記半導体ウエハ内に設定される基点を基準に、前記半導体ウエハを切断して、切断加工済み半導体ウエハを形成する切断部と、
前記切断加工済み半導体ウエハの外観情報と、切断加工前の前記半導体ウエハの前記試験結果とに基づいて、前記切断加工済み半導体ウエハにおける良品半導体チップおよび不良品半導体チップのうち少なくとも一方を識別する識別部と、を備え、
前記切断加工済み半導体ウエハは、2以上の半導体チップを含み、
前記外観情報は、前記基点を含む領域の画像である、半導体製造装置。
【0078】
(付記13)
前記画像は、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記基点の周辺の半導体チップと、前記基点を基準にして切断された切断区画と、を含む、付記12に記載の半導体製造装置。
【0079】
(付記14)
前記複数の半導体チップは、前記半導体ウエハの表面における第1方向および前記第1方向に対して直交する第2方向に沿って行列状に配置されており、
前記切断加工済み半導体ウエハにおける切断面は、前記基点から前記第1方向および前記第2方向に形成されている、付記12または付記13に記載の半導体製造装置。
【0080】
(付記15)
前記識別部は、
前記画像と、前記試験結果における前記複数の半導体チップの前記配置情報とに基づいて、前記基点の周辺の予め定められた範囲における半導体チップの有無を照合し、前記予め定められた範囲における基準チップを特定する第1識別部と、
前記基準チップを基準として、前記切断加工済み半導体ウエハにおける前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方の位置を識別する第2識別部と、を含む、付記12から付記14のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【0081】
(付記16)
前記試験結果は、前記良品半導体チップおよび前記不良品半導体チップのうち少なくとも一方についての前記半導体ウエハにおける位置情報を有するウエハマップデータを含む、付記12から付記15のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【0082】
(付記17)
プローブを含み、前記複数の半導体チップの各々に対して、前記プローブを介して電流または電圧を印加して電気特性を評価することにより、前記電気的試験を行うウエハテスト部と、
前記半導体ウエハを、前記ウエハテスト部と前記切断部との間で移動させる移載部と、をさらに備え、
前記切断部は、
前記半導体ウエハを切断するYAGレーザと、
前記外観情報として、前記画像を撮影するカメラと、を含む、付記12から付記16のいずれか1項に記載の半導体製造装置。
【符号の説明】
【0083】
1 半導体チップ、1A 不良品半導体チップ、2 ダイシングライン、3 有効領域、4 無効領域、5 基点、6 切断区画、6A 第1切断区画、6B 第2切断区画、7 基準チップ、7A 仮基準チップ、8A 第1境界部、8B 第2境界部、9A 第1仮想線、9B 第2仮想線、10 半導体ウエハ、10A リム部、10B 中央部、11~15 切断加工済み半導体ウエハ、20 ウエハテスト部、21 テストプローバ、30 データ取得部、40 移載部、50 設定部、60 切断部、61 レーザ発振器、62 カメラ、70 識別部、71 第1識別部、72 第2識別部、100 半導体製造装置。