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  • 特開-受水槽の耐震構造 図1
  • 特開-受水槽の耐震構造 図2
  • 特開-受水槽の耐震構造 図3
  • 特開-受水槽の耐震構造 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171411
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】受水槽の耐震構造
(51)【国際特許分類】
   E03B 11/12 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E03B11/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088391
(22)【出願日】2023-05-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-22
(71)【出願人】
【識別番号】500179459
【氏名又は名称】エース消毒株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083172
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 豊明
(72)【発明者】
【氏名】高坂 敏行
(57)【要約】
【課題】地震時に発生する波を消波することができ、しかも清掃に支障が生じない受水槽の耐震構造。
【解決手段】FRPパネルを繋ぎ合わせて構成された受水槽が地震によって破壊されることを防止する受水槽の耐震構造に関する。中心部に通し孔12を備えた空洞体11を、前記通し孔12を通した紐30に沿って上下移動自在に多数挿入して数珠体10となし、当該数珠体10の複数本を受水槽20の所定箇所に縦に吊るしてカーテン50とした構成となっている。これによって、水面付近の上下で空洞体の壁ができることになる。この状態で、地震等で受水槽の水面に大きな波が発生したとき、当該発生した波は水面より上に位置する空洞体に当たることになり、消波効果を発揮する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRPパネルを繋ぎ合わせて構成された受水槽が地震によって破壊されることを防止する受水槽の耐震構造であって、
中心部に通し孔を備えた空洞体を、前記通し孔を通した紐に沿って上下移動自在に多数挿入した数珠体と、
前記数珠体の複数本を受水槽の所定箇所に縦に張り渡したカーテンと
を備えたことを特徴とする受水槽の耐震構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は受水槽に関し、特に、受水槽の耐震構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ビル・マンション・学校・病院等では、水道局からの水道管を直接各利用者の配管に接続したのでは、利用者の多い時間帯では水圧が弱くなったり、極端な場合は水が出なくなったりすることから、水道管を通って送られてきた水を一旦受水槽に貯めておき、その後に各利用者に供給することが行われている。
【0003】
これによって、使用量の変動に耐えることができ、各利用者に安定した水の供給ができることになる。
【0004】
図4は受水槽の内部を示す図である。FRPのパネル21は4辺にフランジ22が設けられており、当該フランジ22を利用して相互のパネルを、ボルト23で繋ぎ合わせる構造になっている。受水槽の容積が大きい場合は内部に複数本の支柱24を立てて補強する構成となっている。
【0005】
このようにFRPのパネル21で構成されていても、水が溜ってる状態で強い外力が加わると、内部の水が大きく波打つので、当該波は受水槽20が壊れることがある。ここで強い外力としては地震が考えられ、現実に東日本大震災で震度6弱以上の揺れがあった地域では多数の受水槽の天井部分が吹き飛ぶ事故が発生している。
【0006】
実開昭51-89309号公報には、地震時に飲料水が欠乏することを想定して大型の貯水槽を設けることを提唱している。地震発生時には前記貯水槽で水の揺れが生じ、当該貯水槽を破壊する恐れがあるところから、格子状の振動防止板を貯水槽内部の所定の高さ位置に水平に配置することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開昭51-89309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1をFRPで構成された受水槽に適用しようとすると、FRPの天井を張る前に、受水槽の外部で組み立てた振動防止板を所定の位置に水平に張り渡す必要があり、既設の受水槽には適用できないことになる。
【0009】
受水槽内に仕切りをいれて、当該受水槽を半分あるいはそれ以上の区画に分けることで、地震時に各区画に発生する波の大きさを抑えることもできる。しかしながら、受水槽の水面は高いときや低いときがあり、このいずれにも対応しようとすると、受水槽の上から下までに渡る壁で上記区画を仕切る必要が生じ、コスト高になる上、前記仕切りが邪魔になって清掃作業ができないことになる。
【0010】
本発明は上記従来の事情に鑑みて提案されたものであって、安価に地震時に発生する波を消波することができ、しかも清掃に支障が生じない受水槽の耐震構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、FRPパネルを繋ぎ合わせて構成された受水槽が地震によって破壊されることを防止する受水槽の耐震構造に関する。
【0012】
中心部に通し孔を備えた空洞体を、前記通し孔を通した紐に沿って上下移動自在に多数挿入して数珠体となし、当該数珠体の複数本を受水槽の所定箇所に縦に吊るしてカーテンとした構成となっている。
【発明の効果】
【0013】
前記空洞体は水に浮くので、前記紐に沿って移動自在挿入された空洞体は、水面より下の部分で浮力が働く一方、水面より上の部分で重力が働きく。これによって水面付近の上下で空洞体の壁ができることになる。この状態で、地震等で受水槽の水面に大きな波が発生したとき、当該発生した波は水面より上に位置する空洞体に当たることになり、消波効果を発揮する。また、各空洞体の下の部分でも空洞体の壁ができ、この部分でも消波効果を期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に使用する空洞体の概念図である。
図2】本発明に使用する空洞体の断面図である。
図3】本発明に使用する数珠体の取付構造を示す拡大図である。
図4】従来の受水槽内部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本願発明に使用する1本の数珠体を示す図である。
【0016】
数珠体10はプラスチックの空洞体11の複数で構成される。前記空洞体11は径5~10cm長さ20~30cmの縦長の大きさであり、図2に示すように密封された空洞部13を備え、軸方向に通し孔12が設けられている。
【0017】
また、可撓性の紐30に前記空洞体11が前記通し孔12を利用して複数挿通されて、数珠体10を構成する。これによって、紐30を上下に張ると、空洞体11は、紐30に沿って上下に移動可能となる。
【0018】
一方で、図3に拡大して示すように、受水槽20の内部に突出するパネル21のフランジ22を利用して、カーテンレール40が取り付けられ、当該カーテンレール40に前記複数の数珠体10の紐30を、連結してカーテン50を構成する。上記カーテン50が張り渡される位置は、通常受水槽20の中央になる。尚、前記カーテンレール40は前記フランジ22の横側(図1)であっても、下側(図3)であってもよい。
前記数珠体10が前記カーテンレール40に取付けられた状態での各数珠体10の下側には、前記紐30の下端に重り60を吊り下げておき、重り60の重力が常時紐30に働くようにしておく。
【0019】
上記の状態で受水槽に水を充填すると、前記カーテン50を構成する数珠体10は、下に位置する空洞体11一部が、上からの重力で水中に沈むことになるが、大半の部分は水面より上に位置することになるので、水面の上で壁を形成することになる。
【0020】
尚、水中にも壁を形成したい場合には、上の空洞体11の重みを増す構成とすることによって、当該重みの度合いに応じて、水中にも壁を形成することができ、以下に説明する地震発生時の防波効果を高めることができる。
【0021】
ここで強い地震が発生しても、上記同様、水面上下のカーテンの高さは変わりないので、ここで発生する波は、当該カーテンで消波されることになる。特に、受水槽20の天板に届く波が発生した場合は、前記数珠体10を構成する空洞体11がまず天板まで届いて消波することになるので、消波効果は大きくなる。
【0022】
ここで、受水槽20は所定期間ごとに清掃されるが、前記カーテンレールに沿って各数珠体を一方の方向に押しやっておくと、清掃作業に支障は生じない。
【符号の説明】
【0023】
10 数珠体
11 空洞体
12 通し孔
13 密閉空間
20 受水槽
21 パネル
22 フランジ
23 ボルト
24 支柱
30 紐
40 カーテンレール
50 カーテン
60 重り

図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-07-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
FRPパネルを繋ぎ合わせて構成された受水槽が地震によって破壊されることを防止する受水槽の耐震構造であって、
中心部に通し孔を備えた空洞体を、前記通し孔を通した紐に沿って上下移動自在に多数挿入した数珠体と、
前記数珠体の複数本を受水槽の所定箇所に縦に吊るしたカーテンとを備えたことを特徴とする受水槽の耐震構造。