(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171415
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】審査承認確率指標出力方法および審査承認確率指標出力プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20241205BHJP
G06Q 50/14 20120101ALI20241205BHJP
G06Q 20/14 20120101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/0631
G06Q50/14
G06Q20/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088397
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】中島 克也
(72)【発明者】
【氏名】宮田 唯平
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 康裕
(72)【発明者】
【氏名】上地 吾生
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕央
(72)【発明者】
【氏名】植木 麻央
(72)【発明者】
【氏名】石塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 有哉
【テーマコード(参考)】
5L010
5L020
5L049
5L050
5L055
【Fターム(参考)】
5L010AA10
5L020AA33
5L049AA10
5L049CC26
5L050CC26
5L055AA33
(57)【要約】 (修正有)
【課題】審査承認の可能性が高い移動経路候補を申請者に示すことを可能とする承認確率指標出力方法および承認確率指標出力プログラムを提供する。
【解決手段】旅費業務支援システムにおいて、旅費業務支援部は、起案者が端末を操作することにより経路検索システム4での移動経路検索結果2aを取得し、判定部3へ送信する。判定部3は、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の実績データとの間における類似度を算出し、移動経路検索結果2aについて、算出した複数の類似度に基づき、移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅費申請システムにおいて検索された複数の移動経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の各々との間における類似度を算出し、
前記複数の移動経路候補の各々について、算出した複数の前記類似度に基づき、前記移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する、
処理をコンピュータが実行する、審査承認確率指標出力方法。
【請求項2】
前記出力する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、算出した前記複数の類似度のうちの最大の類似度を前記指標として出力する処理を含む、
請求項1に記載の審査承認確率指標出力方法。
【請求項3】
前記算出する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、前記移動経路候補に含まれる第1の複数の要素と、前記所定の複数の移動経路の各々に含まれる第2の複数の要素との間における要素の一致数に基づき、前記移動経路候補と前記所定の複数の移動経路の各々との間における前記類似度を算出する処理を含む、
請求項1又は請求項2に記載の審査承認確率指標出力方法。
【請求項4】
前記要素は、地点又は移動手段であり、
前記第1の複数の要素は、前記移動経路候補に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段であり、
前記第2の複数の要素は、前記移動経路に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段である、
請求項3に記載の審査承認確率指標出力方法。
【請求項5】
前記旅費申請システムにおいて起案された第1の複数の旅費申請を格納する起案実績データに格納された前記第1の複数の旅費申請のうちの審査承認された第2の複数の旅費申請に含まれる複数の移動経路から、所定数以上重複する移動経路を審査承認実績データに格納する、
処理を前記コンピュータが実行し、
前記算出する処理は、前記審査承認実績データに含まれる複数の移動経路を前記所定の複数の移動経路として取得する処理を含む、
請求項1又は請求項2に記載の審査承認確率指標出力方法。
【請求項6】
旅費申請システムにおいて検索された複数の移動経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の各々との間における類似度を算出し、
前記複数の移動経路候補の各々について、算出した複数の前記類似度に基づき、前記移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する、
処理をコンピュータに実行させる、審査承認確率指標出力プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、審査承認確率指標出力方法および審査承認確率指標出力プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務を支援するシステムの1つとして、旅費業務を支援する旅費業務支援システムが知られている。旅費業務は、起案者(申請者)による旅費申請の起案(旅費申請業務)、並びに、審査者による起案内容の審査(旅費審査業務)を含む業務である。
【0003】
旅費業務支援システムにおいて、旅費申請業務の主要部分である行程作成は、外部の経路検索システムと連携して実行されることがある。例えば、旅費業務支援システムは、起案者により行程作成画面に入力された出発地,目的地等の移動経路の検索条件を経路検索システムに送信することで検索結果を取得し、取得した検索結果に含まれる複数の移動経路候補を行程作成画面に表示する。起案者は、複数の移動経路候補から旅費申請の起案対象とする適切な移動経路候補を選択し、選択した移動経路候補を移動経路として旅費申請を起案する。
【0004】
ところで、旅費業務では、起案及び審査が所定のルールに基づき実施される場合がある。例えば、公務員の旅費業務では、旅費法或いは条例(以下、これらをまとめて「ルール」と表記する場合がある)に基づき起案及び審査が実施される。ルールについては、部署ごとに固有の解釈が存在することもある。
【0005】
旅費業務支援システムでは、起案者は、個人の判断により複数の移動経路候補からルールを満たす適切な移動経路候補を選択する。また、審査者は、個人の判断により起案内容の移動経路がルールを満たすか否かを含む審査を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したルールは、記載内容が難解であり、また、解釈に幅があるため、起案者によってはルールへの理解が不足しているケースやルールを誤って解釈しているケースがある。
【0008】
このため、起案者が旅費業務支援システムが提示した複数の移動経路候補からいずれかの移動経路候補を選択する際に、選択に多くの時間を要したり、ルール上適切ではない経路を選択したりしてしまう場合がある。
【0009】
また、起案者がルール上適切ではない移動経路候補を選択して起案した場合、審査にて起案が却下される(差し戻される)可能性が高いため、起案の修正,再度の起案及び審査等が発生し、起案者及び審査者の双方の負担になることがある。
【0010】
1つの側面では、本発明は、審査承認の可能性が高い移動経路候補を申請者に示すことを可能とすることを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
1つの側面では、審査承認確率指標出力方法は、コンピュータが以下の処理を実行してよい。前記処理は、旅費申請システムにおいて検索された複数の移動経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の各々との間における類似度を算出してよい。また、前記処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、算出した複数の前記類似度に基づき、前記移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力してよい。
【発明の効果】
【0012】
1つの側面では、本発明は、審査承認の可能性が高い移動経路候補を申請者に示すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】一実施形態に係る旅費業務支援システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る旅費業務支援システムの機能を実現するコンピュータのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る旅費業務支援システムの動作例を説明するための図である。
【
図8】推奨率判定部による類似度算出処理の一例を説明するための図である。
【
図9】一実施形態に係る旅費業務支援システムの判定部における実績データ生成処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図10】一実施形態に係る旅費業務支援システムの判定部における推奨率推定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図11】一実施形態に係る旅費業務支援システムの判定部における推奨率推定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図12】旅費業務支援システムの適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形又は技術の適用を排除する意図はない。例えば、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、以下の説明で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0015】
〔A〕一実施形態に係る旅費業務支援システムの説明
図1は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1のソフトウェア構成例を示すブロック図である。以下、
図1を参照して、一実施形態の一例としての旅費業務支援システム1について簡単に説明する。
【0016】
旅費業務支援システム1は、
図1に例示するように、旅費業務支援部2及び判定部3を備えてよい。
【0017】
旅費業務支援部2は、経路検索システム4と連携して、端末5を利用する起案者による旅費申請の起案(旅費申請業務)、並びに、審査者(図示省略)による起案内容の審査(旅費審査業務)を支援する。旅費業務支援部2は、旅費申請業務を支援する旅費申請システムの一例であるとともに、旅費審査業務を支援する旅費審査システムの一例である。旅費業務支援部2の少なくとも一部は、例えば、既存の旅費業務支援システムと同様であってもよい。起案者は、旅費申請を行なう申請者の一例である。
【0018】
経路検索システム4は、旅費業務支援部2から受信した移動経路(以下、単に「経路」と表記する場合がある)の検索条件を満たす複数の移動経路候補を検索し、検索結果として複数の移動経路候補を旅費業務支援部2に送信する。経路検索システム4は、外部のシステムであってもよいし、旅費業務支援システム1に備えられてもよい。
【0019】
判定部3は、旅費業務支援部2において検索された複数の経路候補を取得すると、複数の経路候補の各々について、審査承認を得る確率を示す指標を判定結果として旅費業務支援部2に応答(出力)する。
【0020】
例えば、判定部3は、旅費業務支援部2において検索された複数の経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の経路の各々との間における類似度を算出する。そして、判定部3は、複数の経路候補の各々について、算出した複数の類似度に基づき、経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する。審査承認を得る確率を示す指標とは、例えば、旅費法或いは条例等のルールを満たす適切な経路候補である確率を示す指標であってよい。
【0021】
過去に審査承認された複数の旅費申請は、ルールに基づく審査を通過しているため、ルールに適合しているといえる。このため、判定部3は、経路候補と所定の複数の経路との間の類似度に基づく指標を出力することで、起案者に審査承認を得る確率が高い経路候補を示すことができる。
【0022】
このように、ルールを満たす可能性の高い適切な経路を含む旅費申請を起案者に起案させることができる。これにより、ルールを満たさない経路を含む旅費申請が起案される可能性を低減できるため、審査における差し戻しや再度の起案及び審査に伴う、起案者及び審査者の双方の負担を軽減できる。
【0023】
また、一実施形態に係る手法によれば、起案の修正,再度の起案及び審査等に伴う作業の発生を抑制できるため、旅費業務支援システム1の負荷を軽減できる。負荷としては、例えば、旅費業務支援システム1のネットワーク負荷,旅費業務支援部2及び判定部3を実現するコンピュータの処理負荷,経路検索システム4のネットワーク負荷及び処理負荷,並びに起案者及び審査者の各々の端末5の処理負荷等が挙げられる。
【0024】
〔B〕ハードウェア構成例
一実施形態に係る旅費業務支援システム1(例えば旅費業務支援部2及び判定部3)の機能は、コンピュータによって実現されてよい。コンピュータとしては、例えば、サーバ,PC(Personal Computer)等の情報処理装置が挙げられる。コンピュータは、例えば、仮想サーバ(VM:Virtual Machine)であってもよいし、物理サーバであってもよい。
【0025】
旅費業務支援システム1の機能は、1台のコンピュータにより実現されてもよいし、2台以上のコンピュータにより実現されてもよい。また、旅費業務支援システム1の機能のうちの少なくとも一部は、クラウド環境により提供されるHW(Hardware)リソース及びNW(Network)リソースを用いて実現されてもよい。
【0026】
図2は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の機能を実現するコンピュータ10のハードウェア(HW)構成例を示すブロック図である。旅費業務支援システム1の機能を実現するHWリソースとして、複数のコンピュータが用いられる場合は、各コンピュータが
図2に例示するHW構成を備えてよい。
【0027】
図2に示すように、コンピュータ10は、HW構成として、例示的に、プロセッサ10a、グラフィック処理装置10b、メモリ10c、記憶部10d、IF(Interface)部10e、IO(Input / Output)部10f、及び読取部10gを備えてよい。
【0028】
プロセッサ10aは、種々の制御や演算を行なう演算処理装置の一例である。プロセッサ10aは、コンピュータ10内の各ブロックとバス10jで相互に通信可能に接続されてよい。なお、プロセッサ10aは、複数のプロセッサを含むマルチプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサコアを有するマルチコアプロセッサであってもよく、或いは、マルチコアプロセッサを複数有する構成であってもよい。
【0029】
プロセッサ10aとしては、例えば、CPU、MPU、APU、DSP、ASIC、FPGA等の集積回路(IC:integrated circuit)が挙げられる。なお、プロセッサ10aとして、これらの集積回路の2以上の組み合わせが用いられてもよい。CPUはCentral Processing Unitの略称であり、MPUはMicro Processing Unitの略称である。APUはAccelerated Processing Unitの略称である。DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific ICの略称であり、FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略称である。
【0030】
グラフィック処理装置10bは、IO部10fのうちのモニタ等の出力装置に対する画面表示制御を行なう。また、グラフィック処理装置10bは、機械学習モデルを利用した機械学習処理及び推論処理を実行するアクセラレータとしての構成を有してよい。グラフィック処理装置10bとしては、種々の演算処理装置、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、APU、DSP、ASIC又はFPGA等の集積回路(IC)が挙げられる。
【0031】
メモリ10cは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。メモリ10cとしては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ、及び、PM(Persistent Memory)等の不揮発性メモリ、の一方又は双方が挙げられる。
【0032】
記憶部10dは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。記憶部10dとしては、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の半導体ドライブ装置、不揮発性メモリ等の各種記憶装置が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、SCM(Storage Class Memory)、ROM(Read Only Memory)等が挙げられる。
【0033】
記憶部10dは、旅費業務支援システム1の各種機能の全部若しくは一部を実現するプログラム10h(審査承認確率指標出力プログラム)を格納してよい。例えば、プロセッサ10aは、記憶部10dに格納されたプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより、旅費業務支援システム1(例えば
図1に示す旅費業務支援部2及び判定部3)としての機能を実現できる。
【0034】
旅費業務支援システム1の機能が複数のコンピュータ10により実現される場合、当該プログラム10hは、例えば、複数のプログラムに分割され、これらの複数のコンピュータ10に分散して格納されてもよい。当該複数のプログラムは、少なくとも一部の機能が互いに共通(重複)してもよい。複数のコンピュータ10は、互いに協調して、それぞれに格納されたプログラムを実行することで、旅費業務支援システム1の各種機能の全部若しくは一部を実現してもよい。
【0035】
IF部10eは、旅費業務支援システム1と経路検索システム4との間、旅費業務支援システム1と起案者が利用する端末5との間、或いは、旅費業務支援システム1を実現するコンピュータ間の接続及び通信の制御等を行なう通信IFの一例である。例えば、IF部10eは、イーサネット(登録商標)等のLAN(Local Area Network)、或いは、FC(Fibre Channel)等の光通信等に準拠したアダプタを含んでよい。当該アダプタは、無線及び有線の一方又は双方の通信方式に対応してよい。
【0036】
なお、プログラム10hは、当該通信IFを介して、NW(例えば外部NW)からコンピュータ10にダウンロードされ、記憶部10dに格納されてもよい。
【0037】
IO部10fは、入力装置、及び、出力装置、の一方又は双方を含んでよい。入力装置としては、例えば、キーボード、マウス等が挙げられる。出力装置としては、例えば、モニタ、プロジェクタ、プリンタ等が挙げられる。また、IO部10fは、入力装置及び出力装置が一体となったタッチパネル等の表示装置を含んでもよい。出力装置は、グラフィック処理装置10bに接続されてよい。
【0038】
読取部10gは、記録媒体10iに記録されたデータやプログラムの情報を読み出すリーダの一例である。読取部10gは、記録媒体10iを接続可能又は挿入可能な接続端子又は装置を含んでよい。読取部10gとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等に準拠したアダプタ、記録ディスクへのアクセスを行なうドライブ装置、SDカード等のフラッシュメモリへのアクセスを行なうカードリーダ等が挙げられる。なお、記録媒体10iにはプログラム10hが格納されてもよく、読取部10gが記録媒体10iからプログラム10hを読み出して記憶部10dに格納してもよい。
【0039】
記録媒体10iとしては、例示的に、磁気/光ディスクやフラッシュメモリ等の非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体が挙げられる。磁気/光ディスクとしては、例示的に、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、HVD(Holographic Versatile Disc)等が挙げられる。フラッシュメモリとしては、例示的に、USBメモリやSDカード等の半導体メモリが挙げられる。
【0040】
上述したコンピュータ10のHW構成は例示である。従って、コンピュータ10内でのHWの増減(例えば任意のブロックの追加や削除)、分割、任意の組み合わせでの統合、又は、バスの追加若しくは削除等は適宜行なわれてもよい。
【0041】
〔C〕ソフトウェア構成例
次に、
図1を参照して、一実施形態に係る旅費業務支援システム1のソフトウェア構成例を説明する。
【0042】
〔C-1〕旅費業務支援部のソフトウェア構成例
まず、旅費業務支援部2のソフトウェア構成例を説明する。
図1に例示するように、旅費業務支援部2は、入出力制御部21,連携部22及び更新部23を備えてよい。入出力制御部21,連携部22及び更新部23の機能は、
図2に示すプロセッサ10aがプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより実現されてよい。
【0043】
また、旅費業務支援部2は、移動経路検索結果2a,移動経路検索結果+判定結果2b及び旅費起案情報2cを記憶可能であってよい。以下、移動経路検索結果2a,移動経路検索結果+判定結果2bをそれぞれ単に検索結果2a,2bと表記する場合がある。
【0044】
これらの情報2a~2cを記憶する記憶領域は、例えば、
図2に示すメモリ10c及び記憶部10dのうちの一方又は双方が有する記憶領域により実現されてよい。以下の説明では、これらの情報2a~2cをテーブル形式で表記するが、これに限定されるものではなく、これらの情報2a~2cは、DB(Database)形式,配列形式等の種々の形式のデータであってもよい。
【0045】
入出力制御部21は、経路検索システム4及び端末5と旅費業務支援システム1との間の入出力を制御する。入出力制御部21の機能の少なくとも一部は、例えば、
図2に示すIF部10e及びIO部10fの一方又は双方により実現されてもよい。
【0046】
例えば、入出力制御部21は、経路検索システム4のAPI(Application Programming Interface)等のIFを利用して、経路検索システム4に経路の検索条件を送信するとともに、経路検索システム4から経路の検索結果2aを受信してよい。検索結果2aには、検索条件が含まれてもよい。
【0047】
また、入出力制御部21は、起案者が端末5を操作してWebページ又はアプリケーション上で起案を行なうための制御情報を生成及び更新してよい。制御情報は、例えば、起案画面を表示させるための画面情報を含んでよい。起案画面は、起案を行なうための画面であり、端末5の出力装置に表示されるWebページ又はアプリケーションの表示画面である。
【0048】
例えば、入出力制御部21は、Webサーバ又はアプリケーションサーバの機能を備え、端末5に画面情報を送信するとともに、起案者により端末5を介して入力又は選択された入力情報を受信してよい。入力情報には経路の検索条件が含まれてよい。経路検索システム4による経路の検索後に出力される画面情報には、連携部22から入力される検索結果2bが含まれてよい。検索結果2bには、検索結果2aと、判定部3による最適な経路候補の判定結果とが含まれてよい。
【0049】
連携部22は、判定部3との連携を行なう。例えば、連携部22は、入出力制御部21により記憶領域に格納された検索結果2aを取得し、検索結果2aに含まれる複数の経路(経路候補)を含む判定要求を判定部3に送信してよい。また、連携部22は、判定部3から受信した応答(判定結果)を検索結果2aに追加することで検索結果2bを生成してよい。なお、判定要求には検索結果2aそのものが含まれてもよく、判定部3からの応答には、検索結果2bそのものが含まれてもよい。
【0050】
図3は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の動作例を説明するための図である。
図3では、端末5に表示される起案画面50における経路検索処理に着目する。
【0051】
起案画面50には、経路検索の検索条件、例えば出発地,目的地等を指定するための入力領域51,指定された検索条件で検索を開始するための検索ボタン52が含まれてよい(符号A1参照)。端末5は、起案者により入力領域51に検索条件が入力(又は選択)され、検索ボタン52が押下されると、入力された検索条件を含む経路検索要求を旅費業務支援部2に送信する(符号A2参照)。
【0052】
入出力制御部21は、検索条件を経路検索システム4に送信することで経路検索を実行し、経路検索システム4から検索結果2aを受信する(符号A3参照)。
図3の例では、入出力制御部21は、出発地:「〇県庁」,目的地:「◆労働局」の検索条件に対して、経路1,経路2,経路3,…の複数の経路候補を含む検索結果2aを取得する。
【0053】
連携部22は、検索結果2aに含まれる複数の経路候補を判定部3に送信し(符号A4参照)、判定部3から判定結果を受信して(符号A5参照)、判定結果を含む検索結果2bを取得する。
図3の例では、検索結果2bには、検索結果2aに含まれる経路候補ごとに、当該経路候補が推奨される確率を示す推奨率が含まれてよい。推奨率は、判定部3による判定結果であり、当該経路候補が審査承認を得る確率を示す指標の一例である。
【0054】
入出力制御部21は、端末5からの経路検索要求に対して、検索結果2bを含む応答を端末5に送信する(符号A6参照)。検索結果2bを含む応答には、検索結果2bを起案画面50に表示するための画面情報が含まれてもよい。
【0055】
端末5は、入出力制御部21から受信した応答に基づき、検索結果2bの情報を表示するように起案画面50を更新する(符号A7参照)。符号A7に示す起案画面50には、入力領域51,検索ボタン52に加えて、経路検索結果一覧を表示する表示領域53が含まれてよい。
【0056】
表示領域53は、例示的に、識別番号53a,推奨マーク53b,経路53c,料金53d,所要時間53eの項目を含んでよい。
【0057】
識別番号53aは、検索結果2bに含まれる各経路候補を識別するための番号である。識別番号53aは押下可能であってよい。端末5は、起案者により識別番号53aが押下されると、押下された識別番号53aが示す経路候補を旅費申請の申請対象経路に決定し、申請対象経路を含む旅費申請の起案を行なうように起案画面50を更新してよい(図示省略)。
【0058】
推奨マーク53bは、判定部3(旅費業務支援システム1)により推奨(レコメンド)される経路候補に付加される記号である。例えば、推奨マーク53bは、検索結果2bに含まれる複数の経路候補のうちの推奨率が最大である経路候補に付加されてよい。
図3の例では、推奨マーク53bが「AI」(Artificial Intelligence)という表記の記号であるものとする。
【0059】
なお、推奨マーク53bは、2以上の経路候補に付加されてもよい。例えば、推奨マーク53bが付加される経路候補は、複数の経路候補のうちの、推奨率が上位の複数(所定数)個の経路候補であってもよいし、推奨率が所定の閾値以上である経路候補であってもよい。
【0060】
また、推奨率が最大の経路候補が複数存在する場合、入出力制御部21は、当該複数の経路候補に推奨マーク53bを付加してもよい。或いは、入出力制御部21は、当該複数の経路候補のうちのいずれかの経路候補、一例として識別番号53aが小さい(表示領域53で画面の上側に表示される)経路候補に推奨マーク53bを付加してもよい。
【0061】
経路53cは、検索結果2a及び2bに含まれる経路候補である。料金53d及び所要時間53eは、経路候補を利用した移動により発生する料金及び時間であり、検索結果2a及び2bに含まれてよい。
【0062】
図1の説明に戻り、更新部23は、旅費業務支援システム1の旅費申請業務及び旅費審査業務において、旅費起案情報2cを更新する。旅費起案情報2cは、旅費業務支援部2において起案された第1の複数の旅費申請を格納する起案実績データの一例である。旅費起案情報2cは、例えば、旅費申請業務で起案された旅費申請に含まれる経路に関する情報と、旅費審査業務により旅費申請が承認されたか否かを示す情報と、を少なくとも含んでよい。
【0063】
図4は、旅費起案情報2cの一例を示す図である。旅費起案情報2cは、例示的に、「申請番号」,「行程番号」,「要素番号」,「駅名/路線名等」,「承認」の項目を含んでよい。なお、旅費起案情報2cには、旅費申請,旅行(出張)及び審査の少なくとも1つが行なわれた日時を示すタイムスタンプが含まれてもよい。
【0064】
申請番号は、旅費申請の識別情報の一例であり、例えば旅費申請単位の連番であってよい。行程番号は、1つの旅費申請に含まれる行程(移動)の識別情報の一例であり、例えば1つの旅費申請の中での連番であってよい。例えば、行程番号:「1」は往路,「2」は復路を示してよい。
【0065】
要素番号は、1つの行程に含まれる要素の識別情報の一例であり、例えば1つの行程の中での連番であってよい。要素とは、経路に含まれる地点又は移動手段である。地点としては、例えば、経路の出発地,経由地(乗り換え点等),目的地等の場所の名称が挙げられる。これらの場所としては、例えば、駅,停留所,空港,港,施設,その他の目印となる所が挙げられる。移動手段としては、例えば、鉄道又は軌道の路線名,バスの系統名,タクシー,航空機の便名,船舶の便名等の公共交通機関を特定するための情報,或いは徒歩等の、地点間を移動するための種々の手段の名称が挙げられる。
【0066】
駅名/路線名等は、個々の要素の名称である。このように、旅費起案情報2cは、1つの旅費申請に含まれる経路を成す(構成する)複数の要素の各々を、経由順に1つのレコード(エントリ)に格納した情報である。
【0067】
承認は、旅費申請が旅費審査業務において審査承認されたか否か(承認有無)を示す情報である。例えば、承認:「0」は未承認又は不許可,承認:「1」は承認済みを示してよい。なお、承認は、各レコードにセットされるものとしたが、複数のレコードのうちの特定のレコード(例えば行程番号:「1」且つ「要素番号:「1」のレコード)にのみセットされてもよい。また、承認の項目は、旅費申請の申請番号と対応付けた別の情報(DB等)で管理されてもよく、この場合、旅費起案情報2cでは承認の項目が省略されてもよい。
【0068】
〔C-2〕判定部のソフトウェア構成例
次に、判定部3のソフトウェア構成例を説明する。
図1に例示するように、判定部3は、実績データ生成部31及び推奨率判定部32を備えてよい。実績データ生成部31及び推奨率判定部32の機能は、
図2に示すプロセッサ10aがプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより実現されてよい。
【0069】
また、判定部3は、集計データ3a及び実績データ3bを記憶可能であってよい。以下、これらのデータ3a,3bを記憶する記憶領域は、例えば、
図2に示すメモリ10c及び記憶部10dのうちの一方又は双方が有する記憶領域により実現されてよい。以下の説明では、これらのデータ3a,3bをテーブル形式で表記するが、これに限定されるものではなく、これらのデータ3a,3bは、DB形式,配列形式等の種々の形式のデータであってもよい。
【0070】
実績データ生成部31は、旅費業務支援部2の旅費起案情報2cから、審査承認済みのデータを取得して実績データ3bを生成する。実績データ3bは、審査承認実績データの一例である。
【0071】
例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2cから審査承認済みのデータを取得(抽出)し、中間データである集計データ3aとして記憶領域に格納してよい。集計データ3aは、旅費起案情報2cに含まれる第1の複数の旅費申請のうちの審査承認された第2の複数の旅費申請の一例である。
【0072】
図5は、集計データ3aの一例を示す図である。集計データ3aは、例示的に、「No.」,「経路」,「カウント」の項目を含んでよい。No.は、集計データ3aのレコードの識別情報の一例である。
【0073】
経路は、旅費起案情報2cにおける、申請番号及び行程番号が同一であるレコード群の要素の名称(駅名/路線名等)を、要素番号順に互いに分離可能に結合した情報である。
図5の例では、経路は、各要素をハイフン「-」で接続した文字列になっている。カウントは、旅費起案情報2cから取得したデータ(複数のレコード群)に含まれる同一の経路の数を示す。
【0074】
例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2cから、審査承認済み(審査:「1」)であり、且つ、申請番号及び行程番号が同一であるレコード群を取得し、レコード群の駅名/路線名等(
図4参照)に基づき経路情報を生成してよい。経路情報は、レコード群に含まれる複数の要素の集合であってもよいし、当該複数の要素を要素番号順に結合した経路(
図5参照)であってもよい。
【0075】
実績データ生成部31は、経路情報と集計データ3aとを比較し、当該経路情報を集計データ3aに登録するか否かを判断してよい。例えば、実績データ生成部31は、当該経路情報に対応する経路が集計データ3aに既に存在する場合、経路情報の登録を行なわず、集計データ3a内の該当経路のレコードのカウントに「1」を加算してよい。一方、経路情報に対応する経路が集計データ3aに存在しない場合、実績データ生成部31は、経路情報に基づく経路を集計データ3aの新たなレコードに登録し、当該レコードのカウントに「1」をセットする。
【0076】
これにより、集計データ3aには、審査承認済みの経路であって、互いに重複しない(一意の)経路が蓄積される。
【0077】
例えば、
図4に示す旅費起案情報2cにおいて、符号B1で示すレコード群(申請番号:「1」,行程番号:「1」)は、承認:「0」であり審査承認されていない。このため、実績データ生成部31は、当該レコード群については旅費起案情報2cからの取得をスキップする。これにより、当該レコード群の要素に基づく経路「〇県庁-徒歩-〇県庁前バス停-×系統-□駅-◇線-◆労働局」は、集計データ3aには登録されない。
【0078】
一方、
図4の符号B2で示す往路のレコード群(申請番号:「2」,行程番号:「1」)及び符号B3で示す復路のレコード群(申請番号:「2」,行程番号:「2」)は、いずれも承認:「1」であり審査承認されている。このため、実績データ生成部31は、当該レコード群の要素に基づく経路「〇県庁-徒歩-□駅-◇線-◆労働局」及び「◆労働局-◇線-□駅-徒歩-〇県庁」を、それぞれ、集計データ3aのNo.:「3」,「4」に登録する(
図5の符号C参照)。
【0079】
なお、後述する推奨率判定部32による判定処理では、「経路」に含まれる要素の並び順は順不同である。このため、実績データ生成部31は、経路情報と集計データ3a内の経路(レコード)との比較の際に、要素の並び順を問わず、経路情報に含まれる全ての要素と一致する経路(レコード)が集計データ3aに存在するか否かを判断してもよい。この場合、例えば
図5に示す集計データ3aでは、No.:「2」,「4」,「6」のレコードが生成されず、代わりに、No.:「2」,「4」,「6」のそれぞれのカウントの値が、同一の要素を含むNo.:「1」,「3」,「5」のカウントにそれぞれ加算されることになる。これにより、集計データ3aに蓄積されるデータ数を削減でき、記憶領域の使用量を削減できる。
【0080】
また、
図4の符号B2及びB3は、1つの旅費申請において同一の経路を往復したケースを示す。この場合、集計データ3aにおいて要素の並び順を問わずに経路がカウントされると、1つの旅費申請の1つの経路(往復経路)について、審査承認が1回行なわれただけにもかかわらずカウントが「2」増加することになる。往復経路のカウントの増加数を「1」にしたい場合、実績データ生成部31は、以下の処理を行なってもよい。例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2cから取得した2つのレコード群の間で申請番号が同一であり行程番号が異なる場合、いずれか一方のレコード群については、集計データ3aに経路情報を登録するか否かの判断をスキップしてもよい。
【0081】
実績データ生成部31は、集計データ3aから所定の条件を満たすデータを実績データ3bとして記憶領域に格納してよい。実績データ3bに含まれる複数の経路は、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の一例であり、集計データ3aに含まれる移動経路のうちの所定数以上重複する移動経路の一例である。
【0082】
図6は、実績データ3bの一例を示す図である。実績データ3bは、例示的に、「No.」,「経路」の項目を含んでよい。No.は、実績データ3bのレコードの識別情報の一例である。経路は、
図5に示す集計データ3aの経路と同様である。
【0083】
実績データ生成部31は、集計データ3a内の複数のレコードのうち、所定の条件を満たす所定の複数のレコード、例えばカウントが所定数(一例として、「5」)以上である所定の複数のレコードを抽出し、実績データ3bに格納する。カウントが所定数以上であるレコードの経路は、集計データ3aに含まれる移動経路のうちの所定数以上重複する経路を意味してよい。
【0084】
図5の例では、集計データ3aにおいて、No.:「1」,「2」,「5」,「6」のカウントが「5」以上であり、符号Cで示すNo.:「3」,「4」のカウントが「1」である。この場合、実績データ生成部31は、No.:「1」,「2」,「5」,「6」の経路を実績データ3bに格納する。例えば、集計データ3aのNo.:「1」の経路は、実績データ3bにNo.:「1」の経路として登録される(符号D参照)。
【0085】
図7は、ルールの一例を説明するための図である。例えば、「出発地から徒歩15分圏内の駅を利用する場合、その駅へのバス利用は禁止」というルールが存在する場合を想定する。
図7の例では、〇県庁E1(出発地)から徒歩15分圏外である×駅E6に行く場合、〇県庁前バス停E2からのバス利用(y系統E5)は可能である。
【0086】
一方、〇県庁E1(出発地)から徒歩15分圏内の□駅E4に行く場合、〇県庁前バス停E2からのバス利用(x系統E3)は禁止となる。例えば、
図4の符号B1に示すように、「〇県庁-徒歩-〇県庁前バス停-x系統-□駅」を含む経路は、旅費審査業務において承認されない。なお、例えば〇県庁E1(出発地)から徒歩で□駅E4に行く経路、すなわち「〇県庁-徒歩-□駅」を含む経路であれば、
図4の符号B2に示すように、旅費審査業務において承認される。
【0087】
このように、実績データ生成部31によれば、所定数以上の回数に亘って審査承認された経路が実績データ3bに登録され、ルールを逸脱した経路が実績データ3bに含まれなくなる。また、仮に、ルールに違反する経路が誤って審査承認され、集計データ3aに登録された場合であっても、当該経路が審査承認された回数が所定数の回数未満である場合には、当該経路は実績データ3bには登録されない。このように、誤って審査承認された経路が実績データ3bに登録されることを抑制でき、実績データ3bの信頼性を向上させることができる。
【0088】
なお、実績データ生成部31による実績データ3bの生成は、例えば、旅費起案情報2cにおける過去所定期間(一例として、2年間)内のタイムスタンプを持つエントリのデータを収集対象として実施されてよい。また、実績データ生成部31による実績データ3bの生成は、所定のタイミング、例えば定期的なタイミングで(一例として毎日の夜間に)実施されてよい。過去に生成された実績データ3bは、実績データ3bが生成される前にリセットされてよい。
【0089】
これにより、ルールの改正,組織内の方針の変更,地点又は移動手段の新設又は廃止等の環境変化により現在では審査承認される可能性が低い審査承認済みデータを、実績データ3bから徐々に除外していくことができる。例えば、旅費審査業務が継続的に実施されることにより、環境変化に応じた経路が実績データ3bに蓄積されるとともに、環境変化前の経路が過去所定期間から外れることになる。従って、例えば、審査承認される可能性が高い経路をマスタ情報として管理するといった業務や作業を不要とすることができ、環境変化に応じたマスタ情報の更新等の個別対応も不要とすることができる。
【0090】
図1の説明に戻り、推奨率判定部32は、連携部22から複数の経路候補を取得すると、当該経路候補の各々について、推奨率を推定し、当該推奨率を判定結果として連携部22に応答(出力)する。
【0091】
例えば、推奨率判定部32は、複数の経路候補のうちの1つを判定対象経路として選択し、判定対象経路と、実績データ3bに含まれる複数の経路の各々との間の類似度を算出し、算出した複数の類似度のうちの最大の類似度を推奨率として算出(出力)する。
【0092】
図8は、推奨率判定部32による類似度算出処理の一例を説明するための図である。
図8において、符号F1で示すエントリは判定対象経路のエントリである。推奨率判定部32は、判定対象経路に含まれる第1の複数の要素を個々の要素に分割するとともに、実績データ3bに含まれる全ての経路(
図8の例では、実績経路#1~実績経路#4と表記する4つの経路)の各々に含まれる第2の複数の要素を個々の要素に分割する。
【0093】
図8の例では、判定対象経路は、要素#1:「新橋」,要素#2:「山手線」,要素#3:「東京」,要素#4:「京葉線」,要素#5:「舞浜」の5つの要素に分割される。また、実績経路#1は、要素#1:「新橋」,要素#2:「山手線」,要素#3:「秋葉原」の3つの要素に分割される。同様に、実績経路#2~#4の各々は、5つの要素に分割される。なお、
図8に示す判定対象経路の要素#1~#5は、配列(判定対象要素配列)に格納されてよい。また、
図8に示す各実績経路の要素#1~#5は、配列(実績経路要素配列)に格納されてよい。
【0094】
推奨率判定部32は、例えば、実績経路#1~#4の各々について、下記式(1)に従い、判定対象経路と実績経路との間の類似度を算出してよい。
類似度=n×2/(X+Y) (1)
【0095】
上記式(1)において、n(nは0以上の整数)は、要素の一致数であり、例えば、判定対象経路と実績経路との間で要素の位置(順番)を問わずに要素が一致した数である。X(Xは1以上の整数)は判定対象経路(判定対象要素配列)の要素数であり、Y(Yは1以上の整数)は実績経路(実績経路要素配列)の要素数である。
【0096】
例えば、
図8において、推奨率判定部32は、実績経路#1~#4の各々の要素について、判定対象経路の要素との一致数を下記のように特定してよい。
実績経路#1:一致数=2(要素#1「新橋」,要素#2「山手線」)
実績経路#2:一致数=3(要素#1「新橋」,要素#3「東京」,要素#5「舞浜」)
実績経路#3:一致数=4(要素#1「舞浜」,要素#2「京葉線」,要素#3「東京」,
要素#5「新橋」)
実績経路#4:一致数=2(要素#3「新橋」,要素#5「東京」)
【0097】
推奨率判定部32は、上記の一致度と、上述した判定対象経路及び実績経路#1~#4の各々の要素数と、上記式(1)とに基づき、判定対象経路と実績経路#1~#4の各々との間の類似度を下記のように算出してよい。
実績経路#1:類似度=2 * 2 / (5 + 3) = 0.5
実績経路#2:類似度=3 * 2 / (5 + 5) = 0.6
実績経路#3:類似度=4 * 2 / (5 + 5) = 0.8
実績経路#4:類似度=2 * 2 / (5 + 5) = 0.4
【0098】
推奨率判定部32は、算出した複数の類似度のうちの最大の類似度、
図8の例では符号F2で示す実績経路#3の類似度0.8を、判定対象経路の推奨率として、記憶領域のうちの返却領域に格納してよい。返却領域は、推奨率を格納するための記憶領域である。
【0099】
複数の経路候補の全ての推奨率を算出すると、推奨率判定部32は、返却領域に格納した複数の推奨率を含む判定結果を連携部22に出力する。
【0100】
なお、推奨率判定部32は、上記式(1)に代えて、下記式(2)又は下記式(3)に基づき類似度を算出してもよい。
類似度=n/X (2)
類似度=n/Y (3)
【0101】
以上のように、推奨率判定部32により、経路候補ごとに、経路候補と最も類似する実績経路との間の類似度を推奨率として出力できる。実績経路は、ルールに適合した経路であることが実績データ3bの生成処理の段階で或る程度保証されているため、当該実績経路に類似する経路候補は、類似度に応じて、ルールに基づいている可能性、換言すれば、審査承認される可能性の高い経路であるといえる。
【0102】
従って、旅費業務支援部2は、例えば推奨率が最大の経路候補を起案者に提示する(例えば推奨マーク53b(
図3参照)を付加する)ことで、起案者は、審査承認される可能性の高い経路を含む旅費申請を起案することができる。これにより、ルールを満たさない経路を含む旅費申請が起案される可能性を低減できるため、審査における差し戻しや再度の起案及び審査に伴う、起案者及び審査者の双方の負担を軽減できる。
【0103】
〔D〕動作例
次に、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の動作例を説明する。
図9は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の判定部3における実績データ生成処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図10及び
図11は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の判定部3における推奨率推定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0104】
〔D-1〕実績データ生成処理
まず、
図9を参照して、判定部3の実績データ生成部31による実績データ生成処理の動作例を説明する。なお、
図9に示す実績データ生成処理は、例えば、毎日の夜間等のタイミングで、過去に生成された実績データ3bの初期化後に実行されてよい。
【0105】
図9に例示するように、判定部3の実績データ生成部31は、審査承認済みの旅費起案情報2cを取得する(ステップS1)。なお、実績データ生成部31は、例えば、旅費起案情報2cにおける過去所定期間内のタイムスタンプを持つレコードを取得してよい。
【0106】
実績データ生成部31は、取得した旅費起案情報2cの先頭から、申請番号及び行程番号が同一のレコード群を読み込む(ステップS2)。
【0107】
実績データ生成部31は、レコード群から駅名/路線名等の複数の要素を含む経路情報を特定する(ステップS3)。
【0108】
実績データ生成部31は、特定した経路情報を集計データ3aから検索し(ステップS4)、経路情報が集計データ3aでヒットしたか否かを判定する(ステップS5)。
【0109】
経路情報がヒットした場合(ステップS5でYES)、実績データ生成部31は、集計データ3aにおけるヒットした経路情報のカウントをインクリメントし(ステップS6)、処理がステップS8に移行する。
【0110】
経路情報がヒットしない場合(ステップS5でNO)、実績データ生成部31は、集計データ3aに経路情報を登録して、カウントに「1」をセットし(ステップS7)、処理がステップS8に移行する。
【0111】
ステップS8において、実績データ生成部31は、取得した旅費起案情報2cから次のレコード群(レコード)を読み込む。実績データ生成部31は、読み込んだレコード群(レコード)がEOF(End Of File)を示すか否かを判定する(ステップS9)。
【0112】
読み込んだレコード群(レコード)がEOFを示さない場合(ステップS9でNO)、処理がステップS3に移行する。
【0113】
読み込んだレコード群(レコード)がEOFを示す場合(ステップS9でYES)、実績データ生成部31は、集計データ3aのうちのカウントが所定数(例えば「5」)以上のレコードを実績データ3bとして出力し(ステップS10)、処理が終了する。
【0114】
〔D-2〕推奨率推定処理
次に、
図10及び
図11を参照して、判定部3の推奨率判定部32による推奨率推定処理の動作例を説明する。
【0115】
図10に例示するように、推奨率判定部32は、旅費業務支援部2から判定要求を取得すると(ステップS11)、判定要求から判定対象経路を1つ選択する(ステップS12)。
【0116】
推奨率判定部32は、判定対象経路を複数の要素に分割して、各要素を判定対象要素配列に格納し(ステップS13)、判定対象経路の類似度に「0」をセットする(ステップS14)。
【0117】
推奨率判定部32は、実績データ3bからレコード(実績経路)を1つ選択し(ステップS15)、選択した実績経路を複数の要素に分割して、各要素を実績経路要素配列に格納する(ステップS16)。
【0118】
推奨率判定部32は、判定対象要素配列の各値と、実績経路要素配列の各値との間で値が一致する数(一致数n)を取得する(ステップS17)。
【0119】
推奨率判定部32は、判定対象要素配列と実績経路要素配列との間の類似度を上記式(1)に従い算出する(ステップS18)。なお、推奨率判定部32は、類似度を上記式(2)又は上記式(3)に従い算出してもよい。
【0120】
推奨率判定部32は、判定対象経路の類似度(初期値:「0」)が算出した類似度未満か否かを判定する(ステップS19)。判定対象経路の類似度が算出した類似度未満である場合(ステップS19でNO)、処理がステップS21に移行する。
【0121】
判定対象経路の類似度が算出した類似度以上である場合(ステップS19でYES)、推奨率判定部32は、判定対象経路の類似度に、算出した類似度をセットする(ステップS20)。
【0122】
推奨率判定部32は、実績データ3bからレコード(実績経路)を1つ選択し(ステップS21)、選択したレコードが実績データ3bのEOFか否かを判定する(ステップS22)。選択したレコードが実績データ3bのEOFではない場合(ステップS22でNO)、処理がステップS16に移行する。
【0123】
選択したレコードが実績データ3bのEOFである場合(ステップS22でYES)、処理が
図11のステップS23に移行する。
【0124】
図11に例示するように、ステップS23では、推奨率判定部32は、判定対象経路の類似度を推奨率として返却領域の判定結果に格納する。
【0125】
推奨率判定部32は、判定要求から判定対象経路を1つ選択し(ステップS24)、判定要求(例えば複数の経路候補のリスト)のEOFか否かを判定する(ステップS25)。判定要求のEOFではない場合(ステップS25でNO)、処理が
図10のステップS13に移行する。
【0126】
判定要求のEOFである場合(ステップS25でYES)、推奨率判定部32は、返却領域の判定結果を旅費業務支援部2に応答し(ステップS26)、処理が終了する。
【0127】
〔E〕適用例
図12は、旅費業務支援システム1の適用例を示す図である。
図12には、端末5が旅費申請業務において経路検索を行なう場合の起案画面50の表示例を示す。
【0128】
図12に示すように、起案画面50の入力領域51に出発地:「宮崎」,目的地:「霞ヶ関(東京都)」,到着時刻:「14:10」が入力又は選択され、検索ボタン52が押下されると、起案画面50には、表示領域53が表示される。
【0129】
表示領域53には、識別番号53a,推奨マーク53b,経路53c,料金(運賃)53d,所要時間53eの項目に加えて、「早」,「安」,「楽」のマーク,行程距離,指定席料金,自由席料金,グリーン席料金,乗換回数,片道金額等の項目が表示されてよい。
【0130】
図12の例では、識別番号53aが「6」である「宮崎-[特急L号・鹿児島中央行]-鹿児島中央-[新幹線M号・博多行]-姫路-[寝台特急N号・東京行]-東京- ...」の経路に推奨マーク53bが付される。
【0131】
このように、表示領域53では、所要時間53eが短い「早」,運賃53dが安い「安」,乗換回数が少ない「楽」等のマークと並べて推奨マーク53bが表示されてよい。これにより、従前の表示領域からのレイアウトの変更を最小限にでき、起案者に操作上の不都合を生じさせずに、推奨経路を起案者に容易に認識させることができる。
【0132】
〔F〕その他
上述した一実施形態に係る技術は、以下のように変形、変更して実施することができる。
【0133】
例えば、
図1に示す旅費業務支援システム1のソフトウェア構成は、任意の組み合わせで併合してもよく、それぞれ分割してもよい。
【0134】
また、例えば、一実施形態に係る推奨率判定部32の処理は、機械学習モデルを用いたAIタスクによって実行されてもよい。例えば、推奨率判定部32は、実績データ3bに含まれる複数の経路を正例の教師データとして利用し、入力される経路が教師データの経路と類似するほど高い推奨率を出力するように機械学習モデルを訓練してもよい。この場合、推奨率判定部32は、推論処理において、判定要求に含まれる経路候補を訓練済みの機械学習モデルに入力し、訓練済みの機械学習モデルから出力される推奨率を判定結果として連携部22に応答してよい。機械学習モデルの訓練、及び、訓練済みの機械学習モデルを用いた推論処理は、グラフィック処理装置10b等のアクセラレータを利用して実行されてもよい。
【0135】
さらに、
図1に示す旅費業務支援システム1は、複数の装置がネットワークを介して互いに連携することにより、各処理機能を実現してもよい。一例として、入出力制御部21はWebサーバ,情報2a~2c並びにデータ3a及び3bを記憶する記憶領域はDBサーバ,連携部22,更新部23,実績データ生成部31及び推奨率判定部32はアプリケーションサーバ又はWebサーバ等であってもよい。この場合、DBサーバ,アプリケーションサーバ及びwebサーバが、ネットワークを介して互いに連携することにより、旅費業務支援システム1としての各処理機能を実現してもよい。
【0136】
〔G〕付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0137】
(付記1)
旅費申請システムにおいて検索された複数の移動経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の各々との間における類似度を算出し、
前記複数の移動経路候補の各々について、算出した複数の前記類似度に基づき、前記移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する、
処理をコンピュータが実行する、審査承認確率指標出力方法。
【0138】
(付記2)
前記出力する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、算出した前記複数の類似度のうちの最大の類似度を前記指標として出力する処理を含む、
付記1に記載の審査承認確率指標出力方法。
【0139】
(付記3)
前記算出する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、前記移動経路候補に含まれる第1の複数の要素と、前記所定の複数の移動経路の各々に含まれる第2の複数の要素との間における要素の一致数に基づき、前記移動経路候補と前記所定の複数の移動経路の各々との間における前記類似度を算出する処理を含む、
付記1又は付記2に記載の審査承認確率指標出力方法。
【0140】
(付記4)
前記要素は、地点又は移動手段であり、
前記第1の複数の要素は、前記移動経路候補に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段であり、
前記第2の複数の要素は、前記移動経路に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段である、
付記3に記載の審査承認確率指標出力方法。
【0141】
(付記5)
前記旅費申請システムにおいて起案された第1の複数の旅費申請を格納する起案実績データに格納された前記第1の複数の旅費申請のうちの審査承認された第2の複数の旅費申請に含まれる複数の移動経路から、所定数以上重複する移動経路を審査承認実績データに格納する、
処理を前記コンピュータが実行し、
前記算出する処理は、前記審査承認実績データに含まれる複数の移動経路を前記所定の複数の移動経路として取得する処理を含む、
付記1~付記4のいずれか1項に記載の審査承認確率指標出力方法。
【0142】
(付記6)
旅費申請システムにおいて検索された複数の移動経路候補の各々と、過去に審査承認された複数の旅費申請に含まれる所定の複数の移動経路の各々との間における類似度を算出し、
前記複数の移動経路候補の各々について、算出した複数の前記類似度に基づき、前記移動経路候補が審査承認を得る確率を示す指標を出力する、
処理をコンピュータに実行させる、審査承認確率指標出力プログラム。
【0143】
(付記7)
前記出力する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、算出した前記複数の類似度のうちの最大の類似度を前記指標として出力する処理を含む、
付記6に記載の審査承認確率指標出力プログラム。
【0144】
(付記8)
前記算出する処理は、前記複数の移動経路候補の各々について、前記移動経路候補に含まれる第1の複数の要素と、前記所定の複数の移動経路の各々に含まれる第2の複数の要素との間における要素の一致数に基づき、前記移動経路候補と前記所定の複数の移動経路の各々との間における前記類似度を算出する処理を含む、
付記6又は付記7に記載の審査承認確率指標出力プログラム。
【0145】
(付記9)
前記要素は、地点又は移動手段であり、
前記第1の複数の要素は、前記移動経路候補に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段であり、
前記第2の複数の要素は、前記移動経路に含まれる複数の地点及び1以上の移動手段である、
付記8に記載の審査承認確率指標出力プログラム。
【0146】
(付記10)
前記旅費申請システムにおいて起案された第1の複数の旅費申請を格納する起案実績データに格納された前記第1の複数の旅費申請のうちの審査承認された第2の複数の旅費申請に含まれる複数の移動経路から、所定数以上重複する移動経路を審査承認実績データに格納する、
処理を前記コンピュータに実行させ、
前記算出する処理は、前記審査承認実績データに含まれる複数の移動経路を前記所定の複数の移動経路として取得する処理を含む、
付記6~付記9のいずれか1項に記載の審査承認確率指標出力プログラム。
【符号の説明】
【0147】
1 旅費業務支援システム
10 コンピュータ
2 旅費業務支援部
2a 移動経路検索結果(検索結果)
2b 移動経路検索結果+判定結果(検索結果)
2c 旅費起案情報
21 入出力制御部
22 連携部
23 更新部
3 判定部
3a 集計データ
3b 実績データ
31 実績データ生成部
32 推奨率判定部
4 経路検索システム
5 端末
50 起案画面
51 入力領域
52 検索ボタン
53 表示領域
53a 識別番号
53b 推奨マーク
53c 経路
53d 料金
53e 所要時間