(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171416
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】異常申請データ判定方法および異常申請データ判定プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/0631 20230101AFI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/0631
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088398
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】中島 克也
(72)【発明者】
【氏名】宮田 唯平
(72)【発明者】
【氏名】加瀬 康裕
(72)【発明者】
【氏名】上地 吾生
(72)【発明者】
【氏名】辻 裕央
(72)【発明者】
【氏名】植木 麻央
(72)【発明者】
【氏名】石塚 雅之
(72)【発明者】
【氏名】吉川 有哉
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA06
5L049AA06
(57)【要約】
【課題】旅費申請の審査に要する時間を削減する。
【解決手段】旅費申請システム1において、審査者向けに警告を出力するための異常申請データ判定方法であって、コンピュータは、過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データ2bに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定し、特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定し、決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データ2bが却下される確率を示す指標55aを判定する、処理を実行する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旅費申請システムにおいて、審査者向けに警告を出力するための異常申請データ判定方法であって、
過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定し、
特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定し、
決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データが却下される確率を示す指標を判定する、
処理をコンピュータが実行する、異常申請データ判定方法。
【請求項2】
前記移動経路に含まれる複数の前記第1移動区間の各々について、前記1以上の第2移動区間を特定する処理、及び、前記コスト範囲を決定する処理、を前記コンピュータが実行し、
前記判定する処理は、前記複数の第1移動区間について決定された複数の前記コスト範囲と、前記複数の第1移動区間の複数の前記第1コストとに基づき、前記指標を判定する処理を含む、
請求項1に記載の異常申請データ判定方法。
【請求項3】
前記コストは、前記移動区間に関する審査対象の項目の値であり、
前記コスト範囲を決定する処理は、
前記複数の移動区間の各々についての前記審査対象の項目の値の下限及び上限を定義する情報から、前記1以上の第2移動区間の前記審査対象の項目の値の下限及び上限を取得し、
前記1以上の第2コストの統計情報と、取得された前記下限及び上限とに基づき、前記コスト範囲を算出する、処理を含む、
請求項1又は請求項2に記載の異常申請データ判定方法。
【請求項4】
前記コストは、前記移動区間に関する複数種類の前記審査対象の項目の値であり、
前記情報は、前記複数の移動区間の各々についての前記下限及び上限を前記審査対象の項目の種類ごとに定義し、
前記コスト範囲を決定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記コスト範囲を算出する処理を含み、
前記指標を判定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記指標を判定する処理を含む、
請求項3に記載の異常申請データ判定方法。
【請求項5】
判定された前記指標を、前記申請データの審査を行なう前記審査者の端末に出力する、
処理を前記コンピュータが実行する、請求項1又は請求項2に記載の異常申請データ判定方法。
【請求項6】
旅費申請システムにおいて、審査者向けに警告を出力するための異常申請データ判定プログラムであって、
過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定し、
特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定し、
決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データが却下される確率を示す指標を判定する、
処理をコンピュータに実行させる、異常申請データ判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常申請データ判定方法および異常申請データ判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業務を支援するシステムの1つとして、旅費業務を支援する旅費業務支援システムが知られている。旅費業務は、起案者(申請者)による旅費申請の起案(旅費申請業務)、並びに、審査者による起案内容の審査(旅費審査業務)を含む業務である。
【0003】
旅費業務では、起案及び審査が所定のルールに基づき実施される場合がある。例えば、公務員の旅費業務では、旅費法或いは条例(以下、これらをまとめて「ルール」と表記する場合がある)に基づき起案及び審査が実施される。ルールについては、部署ごとに固有の解釈が存在することもある。
【0004】
旅費業務支援システムでは、起案者は、自身がルールを満たすと判断した移動経路を起案内容に含めて起案する。審査者は、起案された申請データに含まれる移動経路がルールを満たすか否かを含む審査を自身の判断により行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したルールは、記載内容が難解であり、また、解釈に幅があるため、起案者によってはルールへの理解が不足しているケースやルールを誤って解釈しているケースがある。このため、起案者はルールを満たす起案内容であるか否かを起案時に論理的に判断することは難しく、ルール上適切ではない起案内容を含む起案の発生を抑制することは難しい。
【0007】
一方、審査者は、申請データがルールに則って起案されているかを確認するが、ルールに則って起案されたこと(問題の無い起案であること)が結果的に確認できたとしても、問題の無いことを確認するために多くの時間を費やすことになり、負担が大きい。
【0008】
1つの側面では、本発明は、旅費申請の審査に要する時間を削減することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの側面では、異常申請データ判定方法は、旅費申請システムにおいて、審査者向けに警告を出力するための方法であって、コンピュータが以下の処理を実行してよい。前記処理は、過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定してよい。また、前記処理は、特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定してよい。さらに、前記処理は、決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データが却下される確率を示す指標を判定してよい。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、本発明は、旅費申請の審査に要する時間を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態に係る旅費業務支援システムのソフトウェア構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る旅費業務支援システムの機能を実現するコンピュータのハードウェア(HW)構成例を示すブロック図である。
【
図5】一実施形態に係る旅費業務支援システムの動作例を説明するための図である。
【
図9】正否推定部による正否推定の範囲の算出例を説明するための図である。
【
図12】一実施形態に係る旅費業務支援システムの判定部における実績データ生成処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【
図13】一実施形態に係る旅費業務支援システムの判定部における正否推定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。ただし、以下に説明する実施形態は、あくまでも例示であり、以下に明示しない種々の変形又は技術の適用を排除する意図はない。例えば、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。なお、以下の説明で用いる図面において、同一符号を付した部分は、特に断らない限り、同一若しくは同様の部分を表す。
【0013】
〔A〕一実施形態に係る旅費業務支援システムの説明
図1は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1のソフトウェア構成例を示すブロック図である。以下、
図1を参照して、一実施形態の一例としての旅費業務支援システム1について簡単に説明する。
【0014】
旅費業務支援システム1は、
図1に例示するように、旅費業務支援部2及び判定部3を備えてよい。
【0015】
旅費業務支援部2は、起案者端末4を利用する起案者による旅費申請の起案(旅費申請業務)、並びに、審査者端末5を利用する審査者による起案内容の審査(旅費審査業務)を支援する。旅費業務支援部2は、旅費申請システムの一例である。旅費業務支援部2の少なくとも一部は、例えば、既存の旅費業務支援システムと同様であってもよい。
【0016】
判定部3は、審査者向けに警告を出力するための異常申請データの判定を行なう。例えば、判定部3は、旅費業務支援部2において起案された新たな旅費申請の申請データを取得すると、申請データが却下される確率を示す指標を判定し、当該指標を判定結果として旅費業務支援部2に応答(出力)する。判定部3は、例えば、以下の(1)~(3)の処理を実行することで、当該指標を判定してよい。
【0017】
(1)区間特定処理
判定部3は、過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と移動区間のコストを含む審査承認実績データから、申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定する。なお、コストとは、例えば、移動区間に関する審査対象の項目の値であってよく、一例として、運賃,移動距離及び所要時間のうちの少なくとも1種類以上の項目の値である。
【0018】
(2)コスト範囲決定処理
判定部3は、特定された1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定する。
【0019】
(3)指標判定処理
判定部3は、決定されたコスト範囲と第1移動区間の第1コストとに基づき、申請データが却下される確率を示す指標を判定する。
【0020】
過去に審査承認された旅費申請は、ルールに基づく審査を通過しているため、ルールに適合しているといえる。換言すれば、審査承認実績データに含まれる複数の移動区間の各々のコストは、審査承認されるための条件を満たしているはずである。
【0021】
そこで、判定部3は、申請データに含まれる第1移動区間と類似する(一例として、一致する)1以上の第2移動区間の1以上のコストから、例えば統計上審査承認されると推定できるコスト範囲を決定してよい。そして、判定部3は、例えば、第1移動区間の第1コストがコスト範囲を外れる場合には、申請データ(少なくとも第1移動区間)が却下される確率が高いことを示す指標を判定してよい。
【0022】
このように、判定部3は、申請データに含まれる移動区間を過去に審査承認された旅費申請の移動経路と照合することで、申請データが審査において却下される確率を示す指標を判定できる。
【0023】
例えば、申請データが却下される確率が(例えば基準よりも)高いことを示す指標が判定された場合、指標を提示された審査者は、申請データ(移動区間)が異常である、換言すれば、ルールに則っていないことを認識できる。一方、例えば、申請データが却下される確率が(例えば基準よりも)低いことを示す指標が判定された場合、指標を提示された審査者は、申請データが正常である、換言すれば、ルールに則っていることを認識できる。これにより、申請データがルールに則って起案されているかを審査者が自身で判断する場合と比較して、審査に要する時間を大幅に削減することができる。
【0024】
また、一実施形態に係る手法によれば、審査者が審査に要する時間を削減できるため、旅費審査業務における審査者端末5の処理負荷等を軽減できる。さらに、審査者は申請データがルールに則っているか否かを指標に基づき容易に認識できるため、例えば、過去に審査承認又は却下された申請データを旅費業務支援システム1で検索及び参照するといった作業の実施回数の削減や当該作業の省略が可能となる。これにより、例えば、旅費業務支援システム1のネットワーク負荷,旅費業務支援部2及び判定部3を実現するコンピュータの処理負荷,審査者端末5の処理負荷等を軽減できる。
【0025】
〔B〕ハードウェア構成例
一実施形態に係る旅費業務支援システム1(例えば旅費業務支援部2及び判定部3)の機能は、コンピュータによって実現されてよい。コンピュータとしては、例えば、サーバ,PC(Personal Computer)等の情報処理装置が挙げられる。コンピュータは、例えば、仮想サーバ(VM:Virtual Machine)であってもよいし、物理サーバであってもよい。
【0026】
旅費業務支援システム1の機能は、1台のコンピュータにより実現されてもよいし、2台以上のコンピュータにより実現されてもよい。また、旅費業務支援システム1の機能のうちの少なくとも一部は、クラウド環境により提供されるHW(Hardware)リソース及びNW(Network)リソースを用いて実現されてもよい。
【0027】
図2は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の機能を実現するコンピュータ10のハードウェア(HW)構成例を示すブロック図である。旅費業務支援システム1の機能を実現するHWリソースとして、複数のコンピュータが用いられる場合は、各コンピュータが
図2に例示するHW構成を備えてよい。
【0028】
図2に示すように、コンピュータ10は、HW構成として、例示的に、プロセッサ10a、グラフィック処理装置10b、メモリ10c、記憶部10d、IF(Interface)部10e、IO(Input / Output)部10f、及び読取部10gを備えてよい。
【0029】
プロセッサ10aは、種々の制御や演算を行なう演算処理装置の一例である。プロセッサ10aは、コンピュータ10内の各ブロックとバス10jで相互に通信可能に接続されてよい。なお、プロセッサ10aは、複数のプロセッサを含むマルチプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサコアを有するマルチコアプロセッサであってもよく、或いは、マルチコアプロセッサを複数有する構成であってもよい。
【0030】
プロセッサ10aとしては、例えば、CPU、MPU、APU、DSP、ASIC、FPGA等の集積回路(IC:integrated circuit)が挙げられる。なお、プロセッサ10aとして、これらの集積回路の2以上の組み合わせが用いられてもよい。CPUはCentral Processing Unitの略称であり、MPUはMicro Processing Unitの略称である。APUはAccelerated Processing Unitの略称である。DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific ICの略称であり、FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略称である。
【0031】
グラフィック処理装置10bは、IO部10fのうちのモニタ等の出力装置に対する画面表示制御を行なう。グラフィック処理装置10bとしては、種々の演算処理装置、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、APU、DSP、ASIC又はFPGA等の集積回路(IC)が挙げられる。
【0032】
メモリ10cは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。メモリ10cとしては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ、及び、PM(Persistent Memory)等の不揮発性メモリ、の一方又は双方が挙げられる。
【0033】
記憶部10dは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。記憶部10dとしては、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の半導体ドライブ装置、不揮発性メモリ等の各種記憶装置が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、SCM(Storage Class Memory)、ROM(Read Only Memory)等が挙げられる。
【0034】
記憶部10dは、旅費業務支援システム1の各種機能の全部若しくは一部を実現するプログラム10h(異常申請データ判定プログラム)を格納してよい。例えば、プロセッサ10aは、記憶部10dに格納されたプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより、旅費業務支援システム1(例えば
図1に示す旅費業務支援部2及び判定部3)としての機能を実現できる。
【0035】
旅費業務支援システム1の機能が複数のコンピュータ10により実現される場合、当該プログラム10hは、例えば、複数のプログラムに分割され、これらの複数のコンピュータ10に分散して格納されてもよい。当該複数のプログラムは、少なくとも一部の機能が互いに共通(重複)してもよい。複数のコンピュータ10は、互いに協調して、それぞれに格納されたプログラムを実行することで、旅費業務支援システム1の各種機能の全部若しくは一部を実現してもよい。
【0036】
IF部10eは、旅費業務支援システム1と起案者端末4及び審査者端末5の各々との間、或いは、旅費業務支援システム1を実現するコンピュータ間の接続及び通信の制御等を行なう通信IFの一例である。例えば、IF部10eは、イーサネット(登録商標)等のLAN(Local Area Network)、或いは、FC(Fibre Channel)等の光通信等に準拠したアダプタを含んでよい。当該アダプタは、無線及び有線の一方又は双方の通信方式に対応してよい。
【0037】
なお、プログラム10hは、当該通信IFを介して、NW(例えば外部NW)からコンピュータ10にダウンロードされ、記憶部10dに格納されてもよい。
【0038】
IO部10fは、入力装置、及び、出力装置、の一方又は双方を含んでよい。入力装置としては、例えば、キーボード、マウス等が挙げられる。出力装置としては、例えば、モニタ、プロジェクタ、プリンタ等が挙げられる。また、IO部10fは、入力装置及び出力装置が一体となったタッチパネル等の表示装置を含んでもよい。出力装置は、グラフィック処理装置10bに接続されてよい。
【0039】
読取部10gは、記録媒体10iに記録されたデータやプログラムの情報を読み出すリーダの一例である。読取部10gは、記録媒体10iを接続可能又は挿入可能な接続端子又は装置を含んでよい。読取部10gとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等に準拠したアダプタ、記録ディスクへのアクセスを行なうドライブ装置、SDカード等のフラッシュメモリへのアクセスを行なうカードリーダ等が挙げられる。なお、記録媒体10iにはプログラム10hが格納されてもよく、読取部10gが記録媒体10iからプログラム10hを読み出して記憶部10dに格納してもよい。
【0040】
記録媒体10iとしては、例示的に、磁気/光ディスクやフラッシュメモリ等の非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体が挙げられる。磁気/光ディスクとしては、例示的に、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、HVD(Holographic Versatile Disc)等が挙げられる。フラッシュメモリとしては、例示的に、USBメモリやSDカード等の半導体メモリが挙げられる。
【0041】
上述したコンピュータ10のHW構成は例示である。従って、コンピュータ10内でのHWの増減(例えば任意のブロックの追加や削除)、分割、任意の組み合わせでの統合、又は、バスの追加若しくは削除等は適宜行なわれてもよい。
【0042】
〔C〕ソフトウェア構成例
次に、
図1を参照して、一実施形態に係る旅費業務支援システム1のソフトウェア構成例を説明する。
【0043】
〔C-1〕旅費業務支援部のソフトウェア構成例
まず、旅費業務支援部2のソフトウェア構成例を説明する。
図1に例示するように、旅費業務支援部2は、入出力制御部21及び連携部22を備えてよい。入出力制御部21及び連携部22の機能は、
図2に示すプロセッサ10aがプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより実現されてよい。
【0044】
また、旅費業務支援部2は、旅費起案情報2a,新規起案データ2b及び判定結果2cを記憶可能であってよい。これらの情報2a~2cを記憶する記憶領域は、例えば、
図2に示すメモリ10c及び記憶部10dのうちの一方又は双方が有する記憶領域により実現されてよい。以下の説明では、これらの情報2a~2cをテーブル形式で表記するが、これに限定されるものではなく、これらの情報2a~2cは、DB(Database)形式,xml(eXtensible Markup Language)形式,配列形式等の種々の形式のデータであってもよい。
【0045】
入出力制御部21は、起案者端末4及び審査者端末5の各々と旅費業務支援システム1との間の入出力を制御する。入出力制御部21の機能の少なくとも一部は、例えば、
図2に示すIF部10e及びIO部10fの一方又は双方により実現されてもよい。
【0046】
入出力制御部21は、例えば、Webサーバ又はアプリケーションサーバの機能を備え、起案者端末4及び審査者端末5の各々に制御情報を送信してよい。制御情報は、例えば、起案者端末4に起案画面を表示させるための画面情報、又は、審査者端末5に審査画面を表示させるための画面情報を含んでよい。
【0047】
起案画面は、例えば、起案者端末4の出力装置に表示されるWebページ又はアプリケーション上で起案者が起案者端末4を操作して起案を行なうための画面である。
【0048】
入出力制御部21は、例えば、起案者により起案者端末4を介して起案画面で入力又は選択された新規起案データ2bを受信すると、新規起案データ2bを連携部22に出力するとともに、新規起案データ2bの内容を旅費起案情報2aに書き込んでよい。旅費起案情報2aは、複数の起案データを蓄積する。起案データは、旅費申請の申請データの一例であり、新規起案データ2bは、新たな旅費申請の申請データの一例である。
【0049】
審査画面は、例えば、審査者端末5の出力装置に表示されるWebページ又はアプリケーション上で審査者が審査者端末5を操作して、新たな旅費申請の申請データの審査を行なうための画面である。例えば、入出力制御部21は、旅費起案情報2a(及び判定結果2c)に基づき審査画面を生成してよい。判定結果2cは、連携部22が判定部3から取得した情報であって、新規起案データ2bが却下される確率を示す指標の一例である。
【0050】
入出力制御部21は、例えば、審査者により審査者端末5を介して審査画面で行なわれた審査結果を受信すると、審査結果に基づき旅費起案情報2aを更新してよい。
【0051】
連携部22は、判定部3との連携を行なう。例えば、連携部22は、入出力制御部21が起案者端末4から取得した新規起案データ2bを含む判定要求を判定部3に送信してよい。
【0052】
また、連携部22は、判定部3から受信した応答(判定結果)を判定結果2cとして旅費起案情報2aに書き込むことで、旅費起案情報2aを更新してよい。なお、判定結果2cは、入出力制御部21を介して審査画面の内容に反映されてもよい。
【0053】
図3は、旅費起案情報2aの一例を示す図である。旅費起案情報2aは、例示的に、「申請番号」,「行程番号」,「区間番号」,「地点」,「交通手段」,「運賃」,「運賃判定」,「行程距離」,「行程距離判定」,「所要時間」,「所要時間判定」,「承認」の項目を含んでよい。なお、旅費起案情報2aには、旅費申請,旅行(出張)及び審査の少なくとも1つが行なわれた日時を示すタイムスタンプが含まれてもよい。また、旅費起案情報2aには、日当と、日当についての判定部3による判定結果を示す日当判定とが含まれてもよい。
【0054】
申請番号は、旅費申請の起案データの識別情報の一例であり、例えば旅費申請単位の連番であってよい。行程番号は、1つの旅費申請に含まれる行程(移動)の識別情報の一例であり、例えば1つの旅費申請の中での連番であってよい。例えば、行程番号:「1」は往路,「2」は復路を示してよい。
【0055】
区間番号は、移動経路に含まれる複数の区間(移動区間)の各々の識別情報の一例であり、例えば1つの行程の中での連番であってよい。区間とは、当該区間の始点の要素となる地点と、当該地点から当該区間の終点(次の区間の始点)の要素となる地点と、始点から終点まで(地点間)の移動手段と、を含む情報であってよい。
【0056】
図3に示すように、旅費起案情報2aには、例えば、起案データの申請番号の昇順、行程番号の昇順、且つ、区間番号の昇順で、区間ごとのレコードが登録されてよい。
【0057】
地点は、当該区間の始点の要素となる場所であり、例えば、経路の出発地,経由地(乗り換え点等),目的地等が挙げられる。これらの場所としては、例えば、駅,停留所,空港,港,施設,その他の目印となる所が挙げられる。なお、旅費起案情報2aには、当該区間の終点の要素となる場所として、「地点(終点)」が含まれてもよい。
【0058】
交通手段は、当該区間の地点(始点)から当該区間の終点の要素となる地点までの移動手段であり、例えば、鉄道,バス,タクシー,空路,航路等の公共交通機関を特定するための情報が挙げられる。なお、移動経路の最後の区間の交通手段は、未設定(
図3の例ではハイフン“-”で示す)であってよい。
【0059】
運賃(単位:円)は、当該区間の始点から終点までの交通手段の利用料金(交通費)である。行程距離(単位:km)は、当該区間の始点から終点まで交通手段を利用したときの移動距離である。所要時間(単位:分)は、当該区間の始点から終点まで交通手段を利用したときにかかる時間である。以下の説明では、便宜上、運賃,行程距離,所要時間の各々の単位の表記を省略する場合がある。
【0060】
なお、移動経路の最後の区間の運賃,行程距離,所要時間は、未設定(
図3の例ではゼロ“0”で示す)であってよい。運賃,行程距離,所要時間(及び図示しない日当)は、当該区間のコストの一例であって、起案データの移動区間に関する複数種類の審査対象の項目(審査対象項目)の値の一例である。
【0061】
運賃判定,行程距離判定,所要時間判定(及び図示しない日当判定)の各々は、判定部3による審査対象項目ごとの判定結果2cの一例であり、申請データが却下される確率を示す指標の一例である。
図3の例では、申請データが却下される確率が低い(例えば却下されないと推定される)項目には“〇”が設定され、申請データが却下される確率が高い(例えば却下されると推定される)項目には“×”(
図3では不図示)が設定される。
【0062】
承認は、起案データが旅費審査業務において審査承認されたか否か(承認有無)を示す情報である。例えば、承認:「0」は未承認又は不許可,承認:「1」は承認済みを示してよい。なお、承認は、各レコードに設定されるものとしたが、複数のレコードのうちの特定のレコード(例えば行程番号:「1」且つ「区間番号:「1」のレコード)にのみ設定されてもよい。また、承認の項目は、起案データの申請番号と対応付けた別の情報(DB等)で管理されてもよく、この場合、旅費起案情報2aでは承認の項目が省略されてもよい。
【0063】
図4は、新規起案データ2bの一例を示す図である。新規起案データ2bは、例示的に、「出発駅」,「目的駅」,「交通手段」,「運賃」,「行程距離」,「所要時間」の項目を含んでよい。
図4に示すように、新規起案データ2bは、移動経路の区間ごとにレコードを備えてよい。なお、新規起案データ2bには、各区間の行程(往路,復路)の識別番号(例えば行程番号)が含まれてもよい。
【0064】
出発駅及び目的駅は、区間の始点及び終点の地点となる要素である。交通手段は、出発駅から目的駅までの移動手段である。運賃,行程距離,所要時間の各々は、当該交通手段の利用に関する利用料金,移動距離及び時間である。
【0065】
入出力制御部21は、新規起案データ2bを取得すると、新規起案データ2bに新たな申請番号を割り当て、新規起案データ2bに含まれる行程及び区間ごとに、旅費起案情報2aにレコードを作成してよい。そして、入出力制御部21は、新規起案データ2bの出発駅,交通手段,運賃,行程距離,所要時間を、旅費起案情報2aに作成した新たなレコードの地点,交通手段,運賃,行程距離,所要時間にそれぞれ登録してよい。
【0066】
図5は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の動作例を説明するための図である。
図5では、審査者端末5に表示される審査画面50の生成処理に着目する。
【0067】
起案者端末4は、起案者により起案画面(図示省略)において入力された新規起案データ2bを旅費業務支援部2に送信する(符号C1参照)。
【0068】
入出力制御部21は、新規起案データ2bを旅費起案情報2aに書き込む、例えば新規起案データ2bに含まれる情報を新たな1以上のレコード(エントリ)として旅費起案情報2aに登録する(符号C2参照)。
【0069】
連携部22は、入出力制御部21が取得した新規起案データ2bを含む判定要求を判定部3に送信する(符号C3参照)。
【0070】
連携部22は、判定部3から判定結果2cを受信すると(符号C4参照)、判定結果2cを旅費起案情報2aに書き込む、例えば符号C2で旅費起案情報2aに登録したレコードに判定結果2cをセットする(符号C5参照)ことで、旅費起案情報2aを更新する。
【0071】
入出力制御部21は、更新された旅費起案情報2aに含まれる複数のレコードに基づき審査画面50の画面情報を生成し、審査者端末5に送信する(符号C6参照)。
【0072】
図5には、審査画面50における決裁一覧の表示例を示す。決裁一覧は、審査対象(決裁対象)の起案データの一覧である。審査画面50は、決裁一覧において、識別番号51,チェック欄52,状況情報53,帳票情報54,判定結果情報55,起案者情報56,決裁者情報57の項目を含んでよい。
【0073】
識別番号51は、決裁一覧に含まれる各起案データを識別するための番号である。識別番号51は押下可能であってよい。審査者端末5は、審査者により識別番号51が押下されると、押下された識別番号51に対応する起案データの審査を行なうための画面(図示省略)を表示するように審査画面50を更新してよい。これにより、審査者による起案データの審査(決裁)が行なわれる(符号C7参照)。入出力制御部21は、当該画面において審査者により審査された結果に基づき旅費起案情報2aを更新(例えば承認に「1」又は「0」を設定(
図3参照))する。
【0074】
チェック欄52は、1以上の起案データを選択するためのチェックボックスである。チェック欄52にチェックが入った起案データは、一括処理用の操作ボタン(図示省略)の押下により、一括処理が行なわれる。状況情報53は、決裁済みか未決裁か等を示す決裁状況(識別番号51のエントリの上段),至急案件や重要案件である場合にその旨が表示される至急重要欄(識別番号51のエントリの下段)を含んでよい。
【0075】
帳票情報54は、決裁等の行為を示す決裁行為(左列上段),専決の区分を示す専決区分(左列下段),帳票(申請データ)を識別するための帳票識別(右列上段),帳票の起案日(右列下段)を含んでよい。
【0076】
起案者情報56は、起案の件名(上段),起案者名(下段)を含んでよい。決裁者情報57は、決裁日(上段),決裁者(下段)を含んでよい。
【0077】
破線枠で示す判定結果情報55は、申請データの審査対象項目ごとに、判定結果2cの指標に応じたマークが表示される表示領域を含んでよい。
図5の例では、審査対象項目である「日当」(左列上段),「距離」(左列下段),「運賃」(右列上段),「時間」(右列下段)の各々の表示領域において、指標が当該審査対象項目の異常を示す場合に、エクスクラメーションマーク“!”が表示される。審査対象項目の異常とは、例えば、当該審査対象項目の値に、審査却下されると推定される程度の瑕疵がある、一例として基準範囲からの逸脱がある場合を含んでよい。当該マークは、例えば、旅費起案情報2a(
図3参照)において「×」が設定されている審査対象項目に表示されてよい。
【0078】
このような判定結果情報55におけるマークの表示により、審査者は、新規起案データ2bの審査に先立って、当該新規起案データ2bに異常(例えば審査却下されると推定された瑕疵)が含まれることを認識できる。例えば、審査画面50の識別番号51が「6」の起案データ(太実線枠参照)では、判定結果情報55において「時間」の審査対象項目にマークが表示されている(符号55aで示す破線枠参照)。この場合、審査者は、当該起案データの「時間」に異常が存在することを認識できる。これにより、審査者は当該異常の存在を踏まえて新規起案データ2bの審査を行なうことができるため、審査に要する時間を削減することができる。
【0079】
また、審査対象項目ごとにマークが表示されることにより、審査者は、新規起案データ2bのいずれの審査対象項目に異常が含まれるのかを認識できるため、審査に要する時間をより削減することができる。
【0080】
一方、マークが表示されない新規起案データ2bは、判定部3により異常が特定されていない(例えば審査却下されると推定された審査対象項目が存在しない)ことを意味する。この場合、旅費審査業務の運用によっては、審査者が起案データに対して通常行なう審査の内容のうちの少なくとも一部について、当該新規起案データ2bの審査においては省略することが許容されてもよい。これにより、審査において起案データに異常が存在しないことを確認するために要する時間を大幅に削減することができる。
【0081】
なお、旅費起案情報2aには、起案データに含まれる移動経路内の区間ごとに、審査対象項目ごとの判定の結果が設定される。例えば、入出力制御部21は、審査画面50、又は、識別番号51の押下に応じて遷移する「審査を行なうための画面」において、審査対象項目ごとの判定の結果を示すマークを移動経路内の区間ごとに表示するように画面情報を制御してもよい。これにより、審査者による審査負担を軽減できるとともに、審査に要する時間をより削減することができる。
【0082】
〔C-2〕判定部のソフトウェア構成例
次に、判定部3のソフトウェア構成例を説明する。
図1に例示するように、判定部3は、実績データ生成部31及び正否推定部32を備えてよい。実績データ生成部31及び正否推定部32の機能は、
図2に示すプロセッサ10aがプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより実現されてよい。
【0083】
また、判定部3は、実績データ3a,統計データ3b及び基準データ3cを記憶可能であってよい。以下、これらのデータ3a~3cを記憶する記憶領域は、例えば、
図2に示すメモリ10c及び記憶部10dのうちの一方又は双方が有する記憶領域により実現されてよい。以下の説明では、これらのデータ3a~3cをテーブル形式で表記するが、これに限定されるものではなく、これらのデータ3a~3cは、DB形式,配列形式等の種々の形式のデータであってもよい。
【0084】
実績データ生成部31は、旅費業務支援部2の旅費起案情報2aから、審査承認済みのデータを取得して実績データ3aを生成する。実績データ3aは、過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と移動区間のコストとを含む審査承認実績データの一例である。
【0085】
例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2aから審査承認済み(審査:「1」)のデータを取得(抽出)し、実績データ3aとして記憶領域に格納してよい。
【0086】
図6は、実績データ3aの一例を示す図である。実績データ3aは、例示的に、「No.」,「出発駅」,「目的駅」,「交通手段」,「運賃」,「行程距離」,「所要時間」の項目を含んでよい。No.は、実績データ3aのレコードの識別情報の一例である。
【0087】
出発駅は、旅費起案情報2aの1つのレコードにおける地点(区間の始点)である。目的駅は、旅費起案情報2aの1つのレコードにおける区間の終点であり、当該1つのレコードの次のレコード(申請番号,行程番号が同一であり、区間番号に1を加算したレコード)における地点(区間の始点)に対応する。なお、目的駅が移動経路における最後の区間の始点である場合、当該レコードについては実績データ3aとしての取得が省略されてもよい。
【0088】
交通手段は、出発駅から目的駅までの移動手段である。運賃,行程距離,所要時間の各々は、当該交通手段の利用に関する利用料金,移動距離及び時間である。
【0089】
例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2aに示す申請番号:「1」,行程番号:「1」,区間番号:「1」のレコード(
図3の符号A1参照)における地点,交通手段,運賃,行程距離,所要時間を、
図6の実績データ3aの符号D1に示すレコードにおける出発駅,交通手段,運賃,行程距離,所要時間に登録する。また、実績データ生成部31は、旅費起案情報2aの当該レコードにおける区間の終点の地点として、申請番号:「1」,行程番号:「1」,区間番号:「2」のレコード(
図3の符号A1参照)における地点を、
図6の実績データ3aの符号D1に示すレコードにおける目的駅に登録する。
【0090】
同様に、実績データ生成部31は、
図3の旅費起案情報2aの符号A2,A3に示すそれぞれのレコードの情報を、
図6の符号D2,D3に示すレコードに登録する。
【0091】
一方、旅費起案情報2aの符号A4に示すレコードは、承認:「0」であり審査未承認又は不許可であるため、実績データ生成部31は、当該レコードの実績データ3aへの登録をスキップしてよい。
【0092】
図6には、出発駅,目的駅及び交通手段の組み合わせが互いに一致する(重複する)複数のレコード(符号E参照)が実績データ3aに格納されている例を示す。
【0093】
なお、実績データ生成部31による実績データ3aの生成は、例えば、旅費起案情報2aにおける過去所定期間(一例として、2年間)内のタイムスタンプを持つエントリのデータを収集対象として実施されてよい。また、実績データ生成部31による実績データ3aの生成は、所定のタイミング、例えば定期的なタイミングで(一例として毎日の夜間に)実施されてよい。過去に生成された実績データ3aは、実績データ3aが生成される前にリセットされてよい。
【0094】
これにより、ルールの改正,組織内の方針の変更,地点又は移動手段の新設又は廃止,運賃改定等の環境変化により現在では審査承認される可能性が低い審査承認済みデータを、実績データ3aから徐々に除外していくことができる。例えば、旅費審査業務が継続的に実施されることにより、環境変化に応じた区間が実績データ3aに蓄積されるとともに、環境変化前の区間が過去所定期間から外れることになる。従って、例えば、審査承認される可能性が高い区間をマスタ情報として管理するといった業務や作業を不要とすることができ、環境変化に応じたマスタ情報の更新等の個別対応も不要とすることができる。
【0095】
図1の説明に戻り、正否推定部32は、連携部22から判定要求を取得すると、上記(1)~(3)の処理を実行することで新規起案データ2bが却下される確率を示す指標を判定し、判定結果2cを連携部22に応答(出力)する。以下、上記(1)~(3)の各処理の一例を説明する。
【0096】
(1)区間特定処理
例えば、
図4に示す新規起案データ2bが判定要求に含まれている場合を想定する。
図4に示す全てのレコードは、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路の一例である。また、
図4に示す各レコードにおける出発駅,目的駅,交通手段は、第1移動区間の一例であり、運賃,行程距離,所要時間は、第1コストの一例である。
【0097】
正否推定部32は、実績データ3aから、新規起案データ2bに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定する。
【0098】
例えば、正否推定部32は、新規起案データ2bに含まれる複数のレコードのうちの1つのレコードを、正否推定の対象区間(第1移動区間)として特定する。以下の説明では、正否推定部32は、
図4の符号Bに示すレコードを対象区間(出発駅:「A駅」,目的駅:「B駅」,交通手段:「鉄道」)として特定した場合を例に挙げる。
【0099】
正否推定部32は、例えば、実績データ3aから、対象区間の出発駅,目的駅及び交通手段の組み合わせと一致する組み合わせを有する1以上のレコードを、第2移動区間として特定してよい。
図6の例では、符号Eで示すNo.「1」~「4」のレコードにおける出発駅,目的駅及び交通手段が1以上の第2移動区間の一例であり、これらのレコードにおける審査対象項目の各々の値は、第2移動区間に対応する第2コストの一例である。
【0100】
なお、出発駅又は目的駅等の地点には、互いに類似する地点が存在する場合がある。例えば、航空会社「a航空」,「b航空」が「x空港」に乗り入れている場合、「x空港」の地点は同一であっても、「x空港(a航空)」,「x空港(b航空)」のように互いに異なる表記となる場合がある。このような場合、正否推定部32は、例えば、「x空港(a航空)」を含む対象区間と類似する第2移動区間として、「x空港(b航空)」を含む区間を特定してもよい。
【0101】
(2)コスト範囲決定処理
正否推定部32は、特定された1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定する。正否推定部32は、例えば、特定された第2移動区間の統計データ3bを生成してよい。
【0102】
図7は、統計データ3bの一例を示す図である。統計データ3bは、例示的に、上記(1)の処理で特定された1以上の第2移動区間のレコード(符号F1:
図6の符号E)と、統計情報(符号F2参照)とを含んでよい。統計情報は、1以上の第2移動区間に対応する1以上の審査対象項目の値ごとの統計であり、一例として、平均及び標準偏差を含んでよい。
【0103】
次いで、正否推定部32は、基準データ3cから、対象区間の複数の審査対象項目の各々の上限基準及び下限基準を取得する。基準データ3cは、複数の移動区間の各々についての審査対象の項目の値の下限及び上限を定義する情報の一例である。
【0104】
図8は、基準データ3cの一例を示す図である。基準データ3cは、例示的に、「審査対象項目」,「交通手段」,「判定手法」,「下限基準」,「上限基準」の項目を含んでよい。
【0105】
審査対象項目は、運賃,行程距離,所要時間等のコストの種類を示す情報である。交通手段は、鉄道,空路,航路等の移動手段である。判定手法は、上限基準及び下限基準によりコスト範囲の上限及び下限を決定するための手法の種類を示す情報であり、例えば、数値,割合,標準偏差等である。下限基準及び上限基準は、それぞれ、判定手法に応じた上限及び下限の基準値である。
【0106】
図8に示すように、基準データ3cには、審査対象項目,交通手段及び判定手法の組み合わせごとに、下限基準及び上限基準が予め定義されてよい。
【0107】
正否推定部32は、例えば、基準データ3cから、対象区間の交通手段:「鉄道」と、対象区間のコストである運賃,行程距離,所要時間とに対応するレコードを抽出する。
図8の例では、正否推定部32は、基準データ3cから、審査対象項目:「運賃」,「行程距離」及び「所要時間」,交通手段:「鉄道」,判定手法:「数値」,「割合」及び「標準偏差」の9つのレコード(符号G1~G3参照)を抽出する。
【0108】
そして、正否推定部32は、生成された統計データ3bと、基準データ3cから抽出されたレコードとに基づき、正否推定の範囲を算出してよい。
【0109】
図9は、正否推定部32による正否推定の範囲の算出例を説明するための図である。正否推定の範囲はコスト範囲の一例である。
図9に示す例において、符号H1は
図7に示す統計データ3bに対応する部分であり、符号H2は基準データ3cから抽出されたレコードに対応する部分である。
【0110】
正否推定部32は、例えば、符号H3に示すように、項目値算出手法に従い、統計データ3bと下限基準及び上限基準とに基づき、正否推定の範囲下限及び範囲上限の各々を、審査対象項目ごと且つ判定手法(数値,割合,標準偏差)ごとに算出する。
【0111】
項目値算定手法は、正否推定の範囲下限及び範囲上限の各々について、判定手法(数値,割合,標準偏差)ごとに定義された手法であり、例えば以下の手法となる。
(正否推定の範囲下限)
・判定手法:数値……平均-下限基準
・判定手法:割合……平均*下限基準
・判定手法:数値……平均-標準偏差*下限基準
(正否推定の範囲上限)
・判定手法:数値……平均+上限基準
・判定手法:割合……平均*上限基準
・判定手法:数値……平均+標準偏差*上限基準
【0112】
例えば、正否推定部32は、「運賃」の正否推定の範囲下限について、上記項目値算定手法と、符号H1に示す「運賃」の平均:「297.50」及び標準偏差:「5.00」に基づき、数値:「297.50」,割合:「282.63」,標準偏差:「290.00」を算出する。一例として、「運賃」の正否推定の範囲下限のうち、判定手法:「標準偏差」の範囲下限は、平均(297.50)-標準偏差(5.00)×下限基準(1.50)=290.00となる。
【0113】
正否推定部32は、審査対象項目及び判定手法の全ての組み合わせについて正否推定の範囲下限及び範囲上限を算出すると、審査対象項目ごとに、正否推定の範囲下限の最小値を下限値に、正否推定の範囲上限の最大値を上限値に、それぞれ決定する。
【0114】
図9の例では、正否推定部32は、「運賃」,「行程距離」,「所要時間」の各々について、正否推定の範囲下限値及び範囲上限値として、いずれも判定手法:「割合」の数値に決定する(符号H4参照)。
【0115】
以上により、出発駅:「A駅」,目的駅:「B駅」,交通手段:「鉄道」の区間における審査対象項目ごとの正否推定の範囲(下限値~上限値)は、運賃:282.63~312.38(円),行程距離:14.18~17.33(km),所要時間:9.23~11.28(分)に決定される。
【0116】
(3)指標判定処理
正否推定部32は、決定された正否推定の範囲と、対象区間のコストとに基づき、新規起案データ2bが却下される確率を示す指標を判定し、判定した指標を判定結果2cに設定する。
【0117】
図10は、判定結果2cの設定例を示す図である。判定結果2cは、例示的に、新規起案データ2b(
図4参照)に対して「運賃判定」,「行程距離判定」,「所要時間判定」の項目を追加したデータであってよい。
【0118】
正否推定部32は、例えば、対象区間の審査対象項目の種類ごとに、審査対象項目の値が、対応する種類の正否推定の範囲内であるか否かを判定し、判定した結果を判定結果2cの対応する審査対象項目の判定欄に設定する。
【0119】
例えば、正否推定部32は、
図10の符号Iで示す区間について、対象区間の各審査対象項目の値と、対応する正否推定の範囲とを比較する。
図9及び
図10に示すように、運賃:「290」は、正否推定の範囲282.63~312.38の範囲内であり、行程距離:「16.0」は、正否推定の範囲14.18~17.33の範囲内である。この場合、正否推定部32は、判定結果2cにおいて、運賃判定及び行程距離判定に「〇」を設定する。一方、
図9及び
図10に示すように、所要時間:「14.0」は、正否推定の範囲9.23~11.28の範囲外である(上限値を超えている)。この場合、正否推定部32は、判定結果2cにおいて、所要時間判定に「×」を設定する。
【0120】
これにより、符号Iで示す出発駅:「A駅」,目的駅:「B駅」,交通手段:「鉄道」の対象区間について、正否推定が完了する。
【0121】
正否推定部32は、新規起案データ2bに含まれる下記の区間の各々を対象区間として上述した(1)~(3)の処理を順次実行することで、新規起案データ2bに含まれる全ての区間についての正否推定を行なう。
出発駅:「A駅」,目的駅:「B駅」,交通手段:「鉄道」の区間
出発駅:「B駅」,目的駅:「C駅」,交通手段:「鉄道」の区間
出発駅:「C駅」,目的駅:「B駅」,交通手段:「鉄道」の区間
出発駅:「B駅」,目的駅:「A駅」,交通手段:「鉄道」の区間
【0122】
図11は、判定結果2cの一例を示す図である。新規起案データ2bに含まれる全ての区間についての正否推定が完了すると、正否推定部32は、判定結果2cを連携部22に応答(出力)する。なお、判定結果2cは、例えば、新規起案データ2bに含まれる移動経路について、少なくとも1つの区間における少なくとも1つの審査対象項目の正否推定が「否」である(判定結果2cに「×」が設定される)場合、当該新規起案データ2bが却下される確率が高いことを示す情報であるといえる。
【0123】
連携部22は、例えば、上述したように、判定結果2cに含まれる審査対象項目ごとの判定欄の設定値を、入出力制御部21が旅費起案情報2aに登録した新規起案データ2bのレコードにおける判定欄に登録する。
【0124】
これにより、入出力制御部21は、審査者端末5に送信する審査画面50において、判定結果2cに基づく判定結果情報55を出力することができる。
【0125】
〔D〕動作例
次に、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の動作例を説明する。
図12は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の判定部3における実績データ生成処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
図13は、一実施形態に係る旅費業務支援システム1の判定部3における正否推定処理の動作例を説明するためのフローチャートである。
【0126】
〔D-1〕実績データ生成処理
まず、
図12を参照して、判定部3の実績データ生成部31による実績データ生成処理の動作例を説明する。なお、
図12に示す実績データ生成処理は、例えば、毎日の夜間等のタイミングで、過去に生成された実績データ3aの初期化後に実行されてよい。
【0127】
図12に例示するように、判定部3の実績データ生成部31は、審査承認済みの旅費起案情報2aを取得する(ステップS1)。なお、実績データ生成部31は、例えば、旅費起案情報2aにおける過去所定期間内のタイムスタンプを持つレコードを取得してよい。
【0128】
実績データ生成部31は、取得した旅費起案情報2aの先頭から1つの区間についてのレコードを読み込む(ステップS2)。例えば、実績データ生成部31は、旅費起案情報2aにおける登録順で先頭のレコードと、登録順で当該レコードの次のレコードとを読み込んでよい。
図3の例では、申請番号:「1」,行程番号:「1」,区間番号:「1」の区間についてのレコードは、符号A1で示す申請番号:「1」,行程番号:「1」,区間番号:「1」,「2」の2つのレコードである。
【0129】
実績データ生成部31は、読み込んだレコードから、実績データ3aに使用する情報を取得する(ステップS3)。例えば、実績データ生成部31は、直近に読み込んだ2つのレコードのうち、先に読み込んだ(登録順が古い)レコードにおける地点,交通手段,運賃,行程距離,所要時間等の項目を、出発駅,交通手段,運賃,行程距離,所要時間等の項目として取得する。また、実績データ生成部31は、直近に読み込んだ2つのレコードのうち、後に読み込んだ(登録順が新しい)レコードにおける地点の項目を、目的駅の項目として取得する。
【0130】
実績データ生成部31は、レコードから取得した情報を実績データ3aに登録し(ステップS4)、旅費起案情報2aから次の区間についてのレコードを読み込む(ステップS5)。
【0131】
実績データ生成部31は、読み込んだレコードがEOF(End Of File)を示すか否かを判定する(ステップS6)。読み込んだレコードがEOFを示さない場合(ステップS6でNO)、処理がステップS3に移行する。読み込んだレコードがEOFを示す場合(ステップS6でYES)、処理が終了する。
【0132】
〔D-2〕正否推定処理
次に、
図13を参照して、判定部3の正否推定部32による正否推定処理の動作例を説明する。
【0133】
図13に例示するように、正否推定部32は、旅費業務支援部2から新規起案データ2b(判定要求)を取得すると(ステップS11)、新規起案データ2bから正否推定の対象区間を1つ選択する(ステップS12:
図4の符号B参照)。
【0134】
正否推定部32は、実績データ3aから対象区間と同一区間のレコード群(1以上の第2移動区間)を特定する(ステップS13:
図6の符号E参照)。
【0135】
正否推定部32は、特定したレコード群における各審査対象項目の統計データ3bを算出する(ステップS14:
図7の符号F2及び
図9の符号H1参照)。
【0136】
正否推定部32は、基準データ3cから、各審査対象項目の推定基準を取得する(ステップS15:
図8の符号G1~G3及び
図9の符号H2参照)。
【0137】
正否推定部32は、統計データ3b及び推定基準に基づき、審査対象項目ごとに、正否推定の範囲を算出する(ステップS16:
図9の符号H3及びH4参照)。
【0138】
正否推定部32は、審査対象項目ごとに、対象区間が正否推定の範囲内か否かを判定し、判定した結果を判定結果2cとして返却領域に格納する(ステップS17:
図10参照)。
【0139】
正否推定部32は、新規起案データ2bから正否推定の対象区間(データ)を1つ選択する(ステップS18)。
【0140】
正否推定部32は、選択したデータが新規起案データ2bのEOFか否かを判定する(ステップS19)。選択したデータが新規起案データ2bのEOFではない場合(ステップS19でNO)、処理がステップS13に移行する。
【0141】
選択したデータが新規起案データ2bのEOFである場合(ステップS19でYES)、正否推定部32は、返却領域の判定結果2cを旅費業務支援部2に応答し(ステップS20)、処理が終了する。
【0142】
なお、ステップS12,S13,S18は、上述した(1)の区間特定処理の一例であり、ステップS14~S16は、上述した(2)のコスト範囲決定処理の一例であり、ステップS17は、上述した(3)の指標判定処理の一例である。
【0143】
〔E〕その他
上述した一実施形態に係る技術は、以下のように変形、変更して実施することができる。
【0144】
例えば、
図1に示す旅費業務支援システム1のソフトウェア構成は、任意の組み合わせで併合してもよく、それぞれ分割してもよい。
【0145】
また、
図1に示す旅費業務支援システム1は、複数の装置がネットワークを介して互いに連携することにより、各処理機能を実現してもよい。一例として、入出力制御部21はWebサーバ,情報2a~2c及び3a~3cを記憶する記憶領域はDBサーバ,連携部22,実績データ生成部31及び正否推定部32はアプリケーションサーバ又はWebサーバ等であってもよい。この場合、DBサーバ,アプリケーションサーバ及びwebサーバが、ネットワークを介して互いに連携することにより、旅費業務支援システム1としての各処理機能を実現してもよい。
【0146】
〔F〕付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0147】
(付記1)
旅費申請システムにおいて、審査者向けに警告を出力するための異常申請データ判定方法であって、
過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定し、
特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定し、
決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データが却下される確率を示す指標を判定する、
処理をコンピュータが実行する、異常申請データ判定方法。
【0148】
(付記2)
前記移動経路に含まれる複数の前記第1移動区間の各々について、前記1以上の第2移動区間を特定する処理、及び、前記コスト範囲を決定する処理、を前記コンピュータが実行し、
前記判定する処理は、前記複数の第1移動区間について決定された複数の前記コスト範囲と、前記複数の第1移動区間の複数の前記第1コストとに基づき、前記指標を判定する処理を含む、
付記1に記載の異常申請データ判定方法。
【0149】
(付記3)
前記コストは、前記移動区間に関する審査対象の項目の値であり、
前記コスト範囲を決定する処理は、
前記複数の移動区間の各々についての前記審査対象の項目の値の下限及び上限を定義する情報から、前記1以上の第2移動区間の前記審査対象の項目の値の下限及び上限を取得し、
前記1以上の第2コストの統計情報と、取得された前記下限及び上限とに基づき、前記コスト範囲を算出する、処理を含む、
付記1又は付記2に記載の異常申請データ判定方法。
【0150】
(付記4)
前記コストは、前記移動区間に関する複数種類の前記審査対象の項目の値であり、
前記情報は、前記複数の移動区間の各々についての前記下限及び上限を前記審査対象の項目の種類ごとに定義し、
前記コスト範囲を決定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記コスト範囲を算出する処理を含み、
前記指標を判定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記指標を判定する処理を含む、
付記3に記載の異常申請データ判定方法。
【0151】
(付記5)
判定された前記指標を、前記申請データの審査を行なう前記審査者の端末に出力する、
処理を前記コンピュータが実行する、付記1~付記4のいずれか1項に記載の異常申請データ判定方法。
【0152】
(付記6)
旅費申請システムにおいて、審査者向けに警告を出力するための異常申請データ判定プログラムであって、
過去に審査承認された旅費申請に係る移動経路に含まれる複数の移動区間の各々と前記移動区間のコストとを含む審査承認実績データから、新たな旅費申請の申請データに係る第1移動経路に含まれる第1移動区間と類似する1以上の第2移動区間を特定し、
特定された前記1以上の第2移動区間に対応する1以上の第2コストに基づき、審査承認されると推定できるコスト範囲を決定し、
決定されたコスト範囲と前記第1移動区間の第1コストとに基づき、前記申請データが却下される確率を示す指標を判定する、
処理をコンピュータに実行させる、異常申請データ判定プログラム。
【0153】
(付記7)
前記移動経路に含まれる複数の前記第1移動区間の各々について、前記1以上の第2移動区間を特定する処理、及び、前記コスト範囲を決定する処理、を前記コンピュータが実行し、
前記判定する処理は、前記複数の第1移動区間について決定された複数の前記コスト範囲と、前記複数の第1移動区間の複数の前記第1コストとに基づき、前記指標を判定する処理を含む、
付記6に記載の異常申請データ判定プログラム。
【0154】
(付記8)
前記コストは、前記移動区間に関する審査対象の項目の値であり、
前記コスト範囲を決定する処理は、
前記複数の移動区間の各々についての前記審査対象の項目の値の下限及び上限を定義する情報から、前記1以上の第2移動区間の前記審査対象の項目の値の下限及び上限を取得し、
前記1以上の第2コストの統計情報と、取得された前記下限及び上限とに基づき、前記コスト範囲を算出する、処理を含む、
付記6又は付記7に記載の異常申請データ判定プログラム。
【0155】
(付記9)
前記コストは、前記移動区間に関する複数種類の前記審査対象の項目の値であり、
前記情報は、前記複数の移動区間の各々についての前記下限及び上限を前記審査対象の項目の種類ごとに定義し、
前記コスト範囲を決定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記コスト範囲を算出する処理を含み、
前記指標を判定する処理は、前記審査対象の項目の種類ごとに前記指標を判定する処理を含む、
付記8に記載の異常申請データ判定プログラム。
【0156】
(付記10)
判定された前記指標を、前記申請データの審査を行なう前記審査者の端末に出力する、
処理を前記コンピュータに実行させる、付記6~付記9のいずれか1項に記載の異常申請データ判定プログラム。
【符号の説明】
【0157】
1 旅費業務支援システム
10 コンピュータ
2 旅費業務支援部
2a 旅費起案情報
2b 新規起案データ
2c 判定結果
21 入出力制御部
22 連携部
3 判定部
3a 実績データ
3b 統計データ
3c 基準データ
31 実績データ生成部
32 正否推定部
4 起案者端末
5 審査者端末
50 審査画面
51 識別番号
52 チェック欄
53 状況情報
54 帳票情報
55 判定結果情報
56 起案者情報
57 決裁者情報