(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171417
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】付加加工装置、付加加工装置の制御方法、および付加加工装置の制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B22F 10/22 20210101AFI20241205BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20241205BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20241205BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20241205BHJP
B23K 26/03 20060101ALI20241205BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241205BHJP
B33Y 50/02 20150101ALI20241205BHJP
B29C 64/153 20170101ALI20241205BHJP
B29C 64/393 20170101ALI20241205BHJP
B22F 12/00 20210101ALI20241205BHJP
B22F 12/20 20210101ALI20241205BHJP
B29C 64/25 20170101ALI20241205BHJP
B22F 12/90 20210101ALI20241205BHJP
【FI】
B22F10/22
B23K26/21 Z
B23K26/34
B23K26/70
B23K26/03
B33Y30/00
B33Y50/02
B29C64/153
B29C64/393
B22F12/00
B22F12/20
B29C64/25
B22F12/90
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088400
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】大多和 毅
【テーマコード(参考)】
4E168
4F213
4K018
【Fターム(参考)】
4E168AD00
4E168BA35
4E168BA81
4E168CA06
4E168CB22
4E168CB23
4E168CB24
4E168FB01
4E168GA04
4E168KA15
4E168KA16
4F213AC04
4F213AQ01
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL03
4F213WL13
4F213WL85
4K018EA51
4K018EA60
(57)【要約】
【課題】付加加工装置に設けられている窓の破損を防止するための技術を提供する。
【解決手段】ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置は、ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、カバー体に設けられている窓と、窓よりも加工エリア側に設けられており、窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備える。加工エリア側におけるシャッターの表面には、レーザ光を反射するための反射材が設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置であって、
前記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、
前記カバー体に設けられている窓と、
前記窓よりも前記加工エリア側に設けられており、前記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備え、
前記加工エリア側における前記シャッターの表面には、前記レーザ光を反射するための反射材が設けられている、付加加工装置。
【請求項2】
前記付加加工装置は、さらに、前記シャッターの開閉を制御するための制御部を備え、
前記制御部は、前記ワークの付加加工が開始される前に、前記シャッターを閉じるための処理を実行する、請求項1に記載の付加加工装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ワークの付加加工が終了した後に、前記シャッターを開くための処理を実行する、請求項2に記載の付加加工装置。
【請求項4】
前記付加加工装置は、さらに、前記加工エリアを撮影するためのカメラを備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の付加加工装置。
【請求項5】
前記反射材には、切り欠き部が形成されており、
前記カメラは、前記シャッターが閉じた際に前記切り欠き部に収まるように配置されている、請求項4に記載の付加加工装置。
【請求項6】
前記反射材の一部または全部は、鉛直方向に対して傾斜している、請求項1~3のいずれか1項に記載の付加加工装置。
【請求項7】
前記反射材の一部または全部は、前記レーザ光が前記カバー体の天井側に反射するように傾斜している、請求項6に記載の付加加工装置。
【請求項8】
前記付加加工装置は、さらに、前記ワークの除去加工が可能なように構成されており、
前記加工エリアには、
前記ワークにクーラントを吐出するための吐出機構と、
前記ワークに吐出したクーラントが流れ込むタンクとが設けられており、
前記反射材の一部または全部は、前記レーザ光が前記カバー体の床側に反射するように傾斜している、請求項6に記載の付加加工装置。
【請求項9】
前記反射材は、銅板で構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の付加加工装置。
【請求項10】
ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置の制御方法であって、
前記付加加工装置は、
前記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、
前記カバー体に設けられている窓と、
前記窓よりも前記加工エリア側に設けられており、前記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備え、
前記加工エリア側における前記シャッターの表面には、前記レーザ光を反射するための反射材が設けられており、
前記制御方法は、前記ワークの付加加工が開始される前に、前記シャッターを閉じるステップを備える、制御方法。
【請求項11】
ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置の制御プログラムであって、
前記付加加工装置は、
前記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、
前記カバー体に設けられている窓と、
前記窓よりも前記加工エリア側に設けられており、前記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備え、
前記加工エリア側における前記シャッターの表面には、前記レーザ光を反射するための反射材が設けられており、
前記制御プログラムは、前記付加加工装置に、前記ワークの付加加工が開始される前に、前記シャッターを閉じるステップを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、付加加工装置、付加加工装置の制御方法、および付加加工装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-94689号公報(特許文献1)は、透視窓が設けられている工作機械を開示している。作業者は、当該透視窓を通じて、工作機械内の加工領域を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ワークに対して付加加工を行うことが可能な付加加工装置が普及している。当該付加加工装置は、ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行う。特許文献1に開示される工作機械は、ワークを除去加工するものであり、付加加工を行うものではない。
【0005】
ワークの反射率が高い場合、レーザ光は、ワークにより反射され、付加加工装置の窓に十分に減衰されずに当たる可能性がある。当然、工業規格などで定められたレーザ光の使用に関する安全基準に基づいて窓は設計されているため、レーザ光が外部に漏れてオペレータに照射されるといったことは無いものの、その結果、付加加工装置の窓が破損する可能性がある。そうすると、破損した窓が交換されるまでの間は、付加加工装置を運転することはできなくなってしまい、付加加工装置の稼働率や生産性が低下してしまうことになる。したがって、付加加工装置に設けられている窓の破損を防止するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置が提供される。上記付加加工装置は、上記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、上記カバー体に設けられている窓と、上記窓よりも上記加工エリア側に設けられており、上記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備える。上記加工エリア側における上記シャッターの表面には、上記レーザ光を反射するための反射材が設けられている。
【0007】
本開示の一例では、上記付加加工装置は、さらに、上記シャッターの開閉を制御するための制御部を備える。上記制御部は、上記ワークの付加加工が開始される前に、上記シャッターを閉じるための処理を実行する。
【0008】
本開示の一例では、上記制御部は、上記ワークの付加加工が終了した後に、上記シャッターを開くための処理を実行する。
【0009】
本開示の一例では、上記付加加工装置は、さらに、上記加工エリアを撮影するためのカメラを備える。
【0010】
本開示の一例では、上記反射材には、切り欠き部が形成されている。上記カメラは、上記シャッターが閉じた際に上記切り欠き部に収まるように配置されている。
【0011】
本開示の一例では、上記反射材の一部または全部は、鉛直方向に対して傾斜している。
【0012】
本開示の一例では、上記反射材の一部または全部は、上記レーザ光が上記カバー体の天井側に反射するように傾斜している。
【0013】
本開示の一例では、上記付加加工装置は、さらに、上記ワークの除去加工が可能なように構成されている。上記加工エリアには、上記ワークにクーラントを吐出するための吐出機構と、上記ワークに吐出したクーラントが流れ込むタンクとが設けられている。上記反射材の一部または全部は、上記レーザ光が上記カバー体の床側に反射するように傾斜している。
【0014】
本開示の一例では、上記反射材は、銅板で構成されている。
【0015】
本開示の他の例では、ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置の制御方法が提供される。上記付加加工装置は、上記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、上記カバー体に設けられている窓と、上記窓よりも上記加工エリア側に設けられており、上記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備える。上記加工エリア側における上記シャッターの表面には、上記レーザ光を反射するための反射材が設けられている。上記制御方法は、上記ワークの付加加工が開始される前に、上記シャッターを閉じるステップを備える。
【0016】
本開示の他の例では、ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行うことが可能な付加加工装置の制御プログラムが提供される。上記付加加工装置は、上記ワークの付加加工を行う加工エリアを区画形成するカバー体と、上記カバー体に設けられている窓と、上記窓よりも上記加工エリア側に設けられており、上記窓に対して開閉可能に構成されているシャッターとを備える。上記加工エリア側における上記シャッターの表面には、上記レーザ光を反射するための反射材が設けられている。上記制御プログラムは、上記付加加工装置に、上記ワークの付加加工が開始される前に、上記シャッターを閉じるステップを実行させる。
【0017】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】付加加工装置の装置構成の一例を示す図である。
【
図3】付加加工中におけるレーザヘッドの断面図を示す。
【
図4】上述のカバー体の一部を加工エリア側から示す図である。
【
図5】上述のカバー体の一部を加工エリア側から示す図である。
【
図6】上述のカバー体の一部を加工エリア側から示す図である。
【
図7】窓に直交する鉛直面に沿う付加加工装置の断面を示す図である。
【
図8】付加加工装置に備えられるクーラント機構の一例を概略的に示す図である。
【
図9】付加加工装置の駆動機構の一例を示す図である。
【
図10】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図11】付加加工装置による付加加工工程の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0020】
<A.付加加工装置100の外観>
まず、
図1を参照して、実施の形態に従う付加加工装置100について説明する。
図1は、付加加工装置100の外観の一例を示す図である。
【0021】
付加加工装置100は、ワークの付加加工(AM(Additive manufacturing)加工)が可能な加工機である。付加加工装置100は、ワークに対して粉末材料を供給するとともに当該ワークにレーザ光を照射することで付加加工を行う。
【0022】
なお、付加加工装置100は、ワークの付加加工だけでなく、ワークの除去加工(SM(Subtractive manufacturing))が可能な加工機であってもよい。除去加工の機能としては、たとえば、ミーリング機能と、旋削機能とが挙げられる。
【0023】
付加加工装置100は、たとえば、カバー体130と、操作盤200とを含む。
【0024】
カバー体130は、付加加工装置100の内部に設けられている部品を保護するための機構である。カバー体130には、ドアDRが設けられている。ドアDRは、たとえば、スライド式のドアである。ドアDRは、モータなどの駆動源により開閉可能に構成されてもよいし、手動で開閉可能に構成されてもよい。
【0025】
ドアDRには、窓WDが設けられている。作業者は、窓WDを通じて、付加加工装置100内の加工エリアの様子を確認することができる。
【0026】
なお、
図1の例では、窓WDがドアDRに設けられている例が示されているが、窓WDは、ドアDR以外の部分に設けられてもよい。また、カバー体130に設けられる窓WDの数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
【0027】
操作盤200は、汎用のコンピュータであり、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイを有する。当該ディスプレイは、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示機器である。また、当該ディスプレイは、タッチパネルを備え、付加加工装置100に対する各種操作をタッチ操作で受け付ける。
【0028】
<B.付加加工装置100の装置構成>
次に、
図2を参照して、付加加工装置100の装置構成について説明する。
図2は、付加加工装置100の装置構成の一例を示す図である。
【0029】
上述のように、付加加工装置100は、カバー体130を備える。カバー体130は、付加加工装置100の外観を成すとともに、ワークWの付加加工を行うための加工エリアARを区画形成している。
【0030】
また、付加加工装置100は、ベッド11と、ワーク主軸22と、心押し台25と、工具主軸30と、レーザヘッド140とを備える。
【0031】
ベッド11は、付加加工装置100内に設けられている各種装置を支持するためのベース部材である。
図2の例では、ベッド11は、ワーク主軸22と、心押し台25と、レーザヘッド140とを支持している。ベッド11は、工場などの床面に設置される。ベッド11は、鋳鉄などの金属から形成されている。
【0032】
ワーク主軸22は、ワークWを保持しながら回転可能に構成されている。より具体的には、ワーク主軸22には、チャック機構23が設けられている。チャック機構23は、ワーク主軸22に対してワークWを固定するための機構である。また、ワーク主軸22は、その軸方向に沿う軸AX1を中心として回転可能に構成されている。
【0033】
心押し台25は、モータなどの各種駆動機構によって軸AX2に沿って移動可能に構成される。これにより、心押し台25は、ワーク主軸22とは反対側から長尺状のワークWを支持する。典型的には、軸AX2は、軸AX1と同軸上にある。また、心押し台25は、軸AX2を中心として回転可能に構成されている。なお、心押し台25の代わりに、第2ワーク主軸(図示しない)が設けられてもよい。第2ワーク主軸は、ワーク主軸22に対向するように設けられており、ワーク主軸22と反対側からワークWを保持可能に構成される。
【0034】
工具主軸30は、たとえば、ワーク主軸22および心押し台25よりも高い位置に設けられている。また、工具主軸30は、工具やレーザヘッド140を脱着可能に構成される。
図2には、工具主軸30に対してレーザヘッド140が装着されている例が示されている。
【0035】
工具主軸30に対するレーザヘッド140の脱着は、たとえば、切削工具の自動交換のために用いられる自動工具交換装置(ATC:Automatic Tool Changer)とは別のレーザヘッド140専用の脱着機構(図示しない)によって実現される。付加加工装置100は、ワークWの付加加工を行う際には工具主軸30にレーザヘッド140を装着する。一方で、付加加工装置100は、ワークWの除去加工を行う際には工具主軸30に工具を装着する。
【0036】
除去加工の一例としては、ワーク主軸22に固定されているワークWに対して回転中の工具を接触させるミーリング加工が挙げられる。除去加工の他の例としては、軸AX1を中心として回転するワークWに対して工具を押し当てる旋削加工が挙げられる。
【0037】
レーザヘッド140は、工具主軸30に装着された状態でDED(Direct Energy Deposition)方式による付加加工を行なう。付加加工を実現するための機構として、レーザヘッド140は、ヘッド本体142と、レーザノズル146とを有する。
【0038】
ヘッド本体142には、ケーブル(図示しない)を介して粉末材料が供給される。供給される粉末材料は、金属粉末であってもよいし、樹脂粉末であってもよいし、レーザ光の照射で融解するその他の種類の粉末であってもよい。
【0039】
レーザノズル146は、ワークWに向けてレーザ光を照射するとともに、ワークWにおけるレーザ光の照射領域を定める。レーザヘッド140に供給された粉末材料は、レーザノズル146を通じてワークWに向けて吐出される。
【0040】
<C.付加加工>
次に、
図3を参照して、レーザヘッド140による付加加工についてさらに詳細に説明する。
図3は、付加加工中におけるレーザヘッド140の断面図を示す。
【0041】
レーザヘッド140およびワークWの少なくとも一方が駆動されている最中に、レーザヘッド140は、ワークWの表面にレーザ光LSを照射する。その結果、レーザ光LSの照射部分においてワークWが融解し、溶融池MPがワークWの表面上に形成される。
【0042】
並行して、レーザヘッド140は、粉末材料PMを溶融池MPに供給する。粉末材料PMは、レーザヘッド140から吐出されるガスGSによって溶融池MPに導かれる。その結果、粉末材料PMは、溶融池MPにおいて融解および液状化する。その後、溶融池MPが固まることで、ワークW上に層SLが形成される。
【0043】
なお、ガスGSは、シールドガスとしての機能も有し、積層物であるワークWの酸化を防ぐ。
【0044】
<D.シャッター機構>
次に、
図4を参照して、加工エリアARに設けられているシャッター機構について説明する。
図4は、上述のカバー体130の一部を加工エリアAR側から示す図である。
【0045】
上述のように、レーザヘッド140は、付加加工中のワークWに粉末材料PMを供給するとともに、ワーク表面にレーザ光LSを照射する。ワークWの反射率が高い場合、十分に減衰されていない高強度のレーザ光LSは、ワークWにより反射され、カバー体130に設けられている窓WDに当たる場合がある。レーザ光LSが窓WDに当たると、窓WDが破損する可能性がある。なお、窓WDにはレーザ光LSが照射された場合にそのことを検知する検知機構(図示しない)が設けられており、窓WDにレーザ光LSが照射されたことが検知されるとすぐにレーザヘッド140からのレーザ光LSの出力が停止されるように安全機構が構成されている。言い換えると、万が一窓WDの加工エリア側の面にレーザ光LSが照射されて一部破損が生じたとしても、ほぼその時点でレーザヘッド140からのレーザ光LSの出力が停止されて窓WDの外側に射出されるのは未然に防がれるように構成されている。
【0046】
窓WDの破損を防ぐために、窓WDに対してシャッター150が設けられている。シャッター150は、窓WDに対して開閉可能に構成されている。シャッター150の開閉方向は、任意である。
図4の例では、シャッター150は、鉛直方向に開閉可能に構成されている。
【0047】
シャッター150は、窓WDよりも加工エリアAR側に設けられている。異なる言い方をすれば、シャッター150は、カバー体130の内側に設けられている。
【0048】
また、加工エリアAR側におけるシャッター150の表面には、レーザ光LSを反射するための反射材RFが設けられている。これにより、ワークWにより反射されたレーザ光LSが窓WDに当たることが防ぎ、窓WDの破損が防止される。また、反射材RFがシャッター150に設けられることで、高強度のレーザ光LSのエネルギーが吸収されることによるシャッター150自体の破損も防止される。
【0049】
反射材RFは、レーザ光LSを反射することが可能な任意の材料で構成される。一例として、反射材RFは、反射率が高い金属板で構成される。当該金属としては、たとえば、銅、アルミニウムなどが挙げられる。これにより、レーザ光LSが反射材RFにより確実に反射され、反射材RFの破損が防止される。また、反射材RFは、レーザ光LSを拡散して反射する拡散反射性材料であってもよい。
【0050】
なお、
図4の例では、反射材RFが、シャッター150だけでなく、シャッター150の周辺にも設けられている例が示されているが、反射材RFは、シャッター150部分に少なくとも設けられればよい。
【0051】
好ましくは、付加加工装置100は、ワークWが付加加工中であるか否かに応じて、シャッター150の開閉を制御する。
【0052】
一例として、付加加工装置100は、ワークWの付加加工が開始される前に、シャッター150を閉じるための処理を実行する。これにより、シャッター150が閉じられる前においては、作業者は、加工エリアARの様子を確認することができる。一方で、ワークの付加加工が開始された後には、窓WDの破損が防止される。
【0053】
さらに好ましくは、付加加工装置100は、ワークWの付加加工が終了した後に、シャッター150を開くための処理を実行する。これにより、作業者は、付加加工が終了した後に加工エリアARの様子を確認することができ、ワークWの仕上がりなどを確認することができる。
【0054】
<E.付加加工装置100の変形例1>
次に、
図5を参照して、付加加工装置100の変形例1について説明する。
図5は、上述のカバー体130の一部を加工エリアAR側から示す図である。
【0055】
本変形例に従う付加加工装置100は、さらに、加工エリアARを撮影するための1つ以上のカメラ152を備える。カメラ152が付加加工装置100に設けられることで、作業者は、シャッター150が閉じられた場合であっても加工エリアAR内の様子を確認することができる。
【0056】
なお、加工エリアARに設けられるカメラ152の数は、1つであってもよいし、複数であってもよい。
図5の例では、3つのカメラ152A~152Cが加工エリアARに設けられている例が示されている。以下では、カメラ152A~152Cを特に区別しない場合には、カメラ152A~152Cをカメラ152とも言う。
【0057】
カメラ152から得られた画像は、付加加工装置100に設けられている表示部に表示される。当該表示部としては、たとえば、上述の操作盤200(
図1参照)に設けられているディスプレイが挙げられる。表示される画像は、動画像であってもよいし、静止画像であってもよい。
【0058】
好ましくは、カメラ152は、保護カバーの内部に設けられる。当該保護カバーは、カメラ152のレンズ以外を覆うようにカメラ152を収容する。これにより、カメラ152がレーザ光により破損することを防止することができる。
【0059】
カメラ152A~152Cは、同じ高さにおいて一列に配置されている。また、カメラ152A~152Cは、各光軸が平行になるように配置されている。これにより、長尺状のワークWが加工対象であっても、ワークWの全体が撮影される。
【0060】
好ましくは、カメラ152A~152Cは、加工エリアAR内にあるワークWを窓WD側から撮影するようにカバー体130に設けられる。より具体的には、カメラ152は、その一部または全部が窓WDと重なるように配置される。これにより、カメラ152は、作業者が窓WDを覗いた時と同じような視点から加工エリアARを撮影することができる。
【0061】
カメラ152が窓WDと重なるように配置されている場合、シャッター150は、閉じられた際にカメラ152と被ってしまう。そこで、本例においては、シャッター150において切り欠き部154が形成されている。カメラ152は、シャッター150が閉じた際に切り欠き部154に収まるように配置されている。これにより、シャッター150が閉じられた場合であっても、シャッター150は、カメラ152と重ならずに窓WDを覆うことができる。
【0062】
なお、
図5の例では、1つの切り欠き部154がシャッター150に形成されている例が示されているが、切り欠き部154は、窓WDに重ねて設けられるカメラ152の数に応じて設けられる。
【0063】
<F.付加加工装置100の変形例2>
次に、
図6および
図7を参照して、付加加工装置100の変形例2について説明する。
図6は、上述のカバー体130の一部を加工エリアAR側から示す図である。
図7は、窓WDに直交する鉛直面に沿う付加加工装置100の断面を示す図である。
【0064】
本変形例においては、反射材RFの一部または全部が、鉛直方向に対して傾斜している。鉛直方向とは、水平面と直交する方向を表わす。
図6の例では、反射材RFの一部において、傾斜部CVが形成されている。
【0065】
反射材RFに対するレーザ光LSの入射角が0°になった場合には、レーザ光LSは、レーザヘッド140から反射材RFに入射するまでの往路と、反射材RFで反射されてからの復路が一致してしまい、レーザヘッド140に戻る場合がある。その結果、レーザヘッド140が破損する可能性がある。
【0066】
本例においては、反射材RFに傾斜部CVが形成されることで、反射材RFに対するレーザ光LSの入射角が0°になる可能性を低下させることができる。結果として、レーザヘッド140が破損することを防止することができる。
【0067】
なお、
図6および
図7の例では、1つの傾斜部CVが反射材RFに形成されている例が示されているが、複数の傾斜部CVが反射材RFに形成されてもよい。また、
図6及び
図6の例ではシャッター150にのみ傾斜部CVが形成されているが、シャッター150以外の部分に設けられている反射材RFにおいて傾斜部CVが形成されていてもよい。傾斜部CVが形成されている上下方向の範囲は、例えば加工可能なワークWのサイズに基づいて設定されてもよい。すなわち、ワーク主軸22に取り付け可能な円筒状をなすワークWの最小直径と最大直径のそれぞれに対応させて傾斜部CVの上下方向の範囲を決定してもよい。最小直径のワークWにおいてレーザ光LSの入射角度が45°となるワークW上の照射点の高さが傾斜部CVの下端側を決定し、最大直径のワークWにおいてレーザ光LSの入射角度が45°となるワークW上の照射点の高さが傾斜部CVの上端側を決定するようにしてもよい。
【0068】
鉛直方向と傾斜部CVとが成す傾斜角の大きさは、任意である。一例として、傾斜部CVは、レーザ光LSがカバー体130の天井側に反射されるように傾斜している。他の例として、傾斜部CVは、レーザ光LSがカバー体130の床側に反射されるように傾斜している。さらに他の例として、傾斜部CVは、レーザ光LSがカバー体130の側面側に反射されるように傾斜している。
【0069】
なお、付加加工装置100によっては、ワークの付加加工だけでなく、ワークの除去加工が可能なものがある。このような付加加工装置100は、クーラントをワークに吐出しながらワークの除去加工を行う。吐出されたクーラントは、カバー体130の床面側に向かって流れる。そのため、レーザ光LSがカバー体130の床側に反射されるように反射材RFが傾斜していると、レーザ光LSがクーラントに向かう可能性が高まる。これにより、レーザ光LSのエネルギーがクーラントにより吸収され、レーザ光LSが加工エリアAR内で何度も反射することが防止される。結果として、加工エリアAR内の物体がレーザ光LSで破損することが抑制される。
【0070】
<G.クーラント機構>
次に、
図8を参照して、付加加工装置100に備えられるクーラント機構について説明する。
図8は、付加加工装置100に備えられるクーラント機構の一例を概略的に示す図である。
【0071】
カバー体130の天井には、クーラントの吐出機構234が設けられている。これにより、吐出機構234は、カバー体130の天井から加工エリアARにクーラントを吐出する。
【0072】
より具体的には、吐出機構234は、流路R1を通じて貯留部SU1と繋がっている。貯留部SU1は、クーラントを貯めるためのタンクである。貯留部SU1に溜められているクーラントは、ポンプP1によって流路R1に圧送され、吐出機構234からワークなどに吐出される。
【0073】
また、加工エリアARには、チップコンベア250が設けられている。吐出機構234から吐出されたクーラントは、ワークの切り屑とともに、チップコンベア250に集められる。
【0074】
チップコンベア250は、タンク252と、濾過機構254と、タンク256とを有する。タンク252には、加工エリアARに吐出されたクーラントが流れ込む。上述の反射材RFに形成されている傾斜部CV(
図6および
図7参照)は、レーザ光LSがタンク252内のクーラントに反射されるように傾斜していてもよい。
【0075】
タンク252に集められたクーラントは、コンベアなどの搬送機構により濾過機構254に送られる。濾過機構254は、ワークの切り屑などの異物をクーラントから捕獲可能に構成されている。濾過機構254を通過したクーラントは、タンク256に排出される。
【0076】
タンク256には、ポンプP2が設けられている。ポンプP2は、タンク256に溜まっているクーラントを汲み上げ、当該クーラントを流路R2に圧送する。当該クーラントは、流路R2を通じて貯留部SU1に送られる。
【0077】
以上のように、クーラントは、貯留部SU1→流路R1→吐出機構234→加工エリアAR→チップコンベア250→流路R2→貯留部SU1の順に付加加工装置100内で循環する。
【0078】
なお、上述では、クーラントの吐出機構234がカバー体130の天井に設けられている例について説明を行ったが、クーラントの吐出機構234は、他の場所に設けられてもよい。一例として、クーラントの吐出機構234は、工具主軸30に設けられてもよい。吐出機構234は、工具主軸30のハウジングを通じて工具主軸30の端面からクーラントを吐出するサイドスルー仕様であってもよいし、主軸中心を通じて工具の刃先からクーラントを吐出するセンタースルー仕様であってもよい。
【0079】
<H.付加加工装置100の駆動機構>
次に、
図9を参照して、付加加工装置100における駆動機構について説明する。
図9は、付加加工装置100の駆動機構の一例を示す図である。
【0080】
説明の便宜のために、以下では、上述のワーク主軸22の軸方向をZ軸方向とも称する。Z軸方向は、
図2に示される軸AX1の方向に対応する。また、水平面上の一方向であり、Z軸方向に直交する方向をX軸方向とも称する。X軸方向は、上述の窓WDから加工エリアARに向かう方向に対応する。さらに、X軸方向およびZ軸方向の両方に直交する方向をY軸方向とも称する。Y軸方向は、鉛直方向に対応する。
【0081】
図9に示されるように、付加加工装置100は、制御部50と、駆動部210,220,230A,230B,240とを含む。
【0082】
制御部50は、付加加工装置100内の各種装置を制御する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。一例として、制御部50は、CNC(Computer Numerical Control)と、PLC(Programmable Logic Controller)との少なくとも一方を含む。
【0083】
駆動部210は、ワーク主軸22を回転駆動するための駆動機構である。駆動部210は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図9の例では、駆動部210は、モータドライバ211Cと、モータ212Cとで構成されている。
【0084】
モータドライバ211Cは、制御部50から目標回転角度または目標回転速度の入力を逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ212Cに出力する。これにより、ワーク主軸22に保持されているワークは、Z軸方向を回転中心として回転する。モータ212Cは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0085】
駆動部220は、心押し台25を駆動するための駆動機構である。駆動部220は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図9の例では、駆動部220は、モータドライバ221Zと、モータ222Zとで構成されている。
【0086】
モータドライバ221Zは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ222Zに出力する。これにより、モータ222Zは、Z軸方向の任意の位置に心押し台25を移動する。モータ222Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0087】
駆動部230Aは、工具主軸30の位置を移動するための駆動機構である。上述のレーザヘッド140は、工具主軸30に装着されることで駆動される。駆動部230Aは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図9の例では、駆動部230Aは、モータドライバ231X~231Zと、モータ232X~232Zとで構成されている。
【0088】
モータドライバ231Xは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Xに出力する。これにより、モータ232Xは、X軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Xは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0089】
モータドライバ231Yは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Yに出力する。これにより、モータ232Yは、Y軸方向の任意の位置に工具主軸30を駆動する。モータ232Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0090】
モータドライバ231Zは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ232Zに出力する。これにより、モータ232Zは、Z軸方向の任意の位置に工具主軸30を移動する。モータ232Zは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0091】
駆動部230Bは、工具主軸30を回転駆動するための駆動機構である。駆動部230Bは、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図9の例では、駆動部230Bは、モータドライバ231A,231Bと、モータ232A,232Bとで構成されている。
【0092】
モータドライバ231Aは、制御部50から目標回転角度または目標回転速度の入力を逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Aに出力する。モータ232Aは、X軸方向を中心として工具主軸30を旋回駆動する。モータ232Aは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0093】
モータドライバ231Bは、制御部50から目標回転角度または目標回転速度の入力を逐次的に受け、当該目標回転角度または当該目標回転速度に応じた電流をモータ232Bに出力する。モータ232Bは、工具主軸30の軸方向を回転中心として工具主軸30を回転駆動する。モータ232Bは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0094】
駆動部240は、シャッター150を駆動するための駆動機構である。駆動部240は、単体の駆動ユニットで構成されてもよいし、複数の駆動ユニットで構成されてもよい。
図9の例では、駆動部240は、モータドライバ241Yと、モータ242Yとで構成されている。
【0095】
モータドライバ241Yは、制御部50から目標位置の入力を逐次的に受け、当該目標位置に応じた電流をモータ242Yに出力する。これにより、モータドライバ241Yは、Y軸方向の任意の位置にシャッター150を駆動し、シャッター150の開閉を制御する。モータ242Yは、交流モータであってもよいし、ステッピングモータであってもよいし、サーボモータであってもよいし、その他の種類のモータであってもよい。
【0096】
なお、上述では、シャッター150がモータ駆動の駆動部240によって駆動される例について説明を行ったが、シャッター150は、その他の駆動機構によって駆動されてもよい。一例として、シャッター150の駆動機構として、エアシリンダが用いられもよい。
【0097】
<I.制御部50のハードウェア構成>
次に、
図10を参照して、
図9に示される制御部50のハードウェア構成について説明する。
図10は、制御部50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0098】
上述のように、制御部50は、CNCであってもよいし、PLCであってもよい。
図10には、CNCとしての制御部50のハードウェア構成が示されている。
【0099】
制御部50は、たとえば、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、補助記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス109に接続される。
【0100】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0101】
制御回路101は、制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで制御部50の動作を制御する。制御プログラム122は、本明細書に記載の各種処理を実現するためのプログラムである。制御回路101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、ROM102からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0102】
通信インターフェイス104は、各種装置と通信を実現するためのインターフェイスである。付加加工装置100は、たとえば、通信インターフェイス104を介して、ワークの付加加工を実現するための各種駆動ユニット(たとえば、上述の駆動部210,220,230A,230B,240など)と通信する。
【0103】
補助記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置120は、制御プログラム122などを格納する。制御プログラム122の格納場所は、補助記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0104】
また、制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で制御部50が構成されてもよい。
【0105】
<J.制御フロー>
次に、
図11を参照して、付加加工装置100の制御フローについて説明する。
図11は、付加加工装置100による付加加工工程の流れを示すフローチャートである。
【0106】
図11に示される処理は、付加加工装置100の制御部50が上述の制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0107】
ステップS110において、制御部50は、付加加工の実行指示を受け付けたか否かを判断する。付加加工の実行指示とは例えば工具主軸30にレーザヘッド140を取り付ける指令や、レーザ光LSを射出する前においてレーザヘッド140が取り付けられた工具主軸30を移動させるための指令などである。制御部50は、付加加工の実行指示を受け付けたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、ステップS110の処理を再び実行する。
【0108】
ステップS112において、制御部50は、上述のシャッター150を閉じる指示を駆動部240(
図9参照)に出力する。これにより、シャッター150は、駆動部240によって駆動され、上述の窓WDを覆う閉状態となる。
【0109】
ステップS114において、制御部50は、上述のカメラ152(
図5参照)による撮影を開始し、加工エリアARを表わす画像を付加加工装置100の表示部に表示する。
【0110】
ステップS120において、制御部50は、付加加工が終了したか否かを判断する。一例として、制御部50は、付加加工プログラムの実行が終了したことに基づいて、ワークの付加加工が終了したと判断する。制御部50は、付加加工が終了したと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS122に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御部50は、制御をステップS120に戻す。
【0111】
ステップS122において、制御部50は、上述のシャッター150を開く指示を駆動部240(
図9参照)に出力する。これにより、シャッター150は、駆動部240によって駆動され、上述の窓WDを覆わない開状態となる。
【0112】
ステップS124において、制御部50は、上述のカメラ152による撮影を停止する。
【0113】
なお、上述では、カメラ152による加工エリアARの撮影処理が付加加工中にのみ実行される例について説明を行ったが、当該撮影処理は、付加加工中だけでなく、付加加工中以外の時に実行されてよい。
【0114】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0115】
11 ベッド、22 ワーク主軸、23 チャック機構、25 心押し台、30 工具主軸、50 制御部、100 付加加工装置、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、109 内部バス、120 補助記憶装置、122 制御プログラム、130 カバー体、140 レーザヘッド、142 ヘッド本体、146 レーザノズル、150 シャッター、152 カメラ、152A カメラ、152B カメラ、152C カメラ、154 切り欠き部、200 操作盤、210 駆動部、211C モータドライバ、212C モータ、220 駆動部、221Z モータドライバ、222Z モータ、230A 駆動部、230B 駆動部、231A モータドライバ、231B モータドライバ、231X モータドライバ、231Y モータドライバ、231Z モータドライバ、232A モータ、232B モータ、232X モータ、232Y モータ、232Z モータ、234 吐出機構、240 駆動部、241Y モータドライバ、242Y モータ、250 チップコンベア、252 タンク、254 濾過機構、256 タンク、AR 加工エリア、AX1 軸、AX2 軸、CV 傾斜部、DR ドア、GS ガス、LS レーザ光、MP 溶融池、P1 ポンプ、P2 ポンプ、PM 粉末材料、R1 流路、R2 流路、RF 反射材、SL 層、SU1 貯留部、W ワーク、WD 窓。