(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171418
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/60 20060101AFI20241205BHJP
H04N 1/407 20060101ALI20241205BHJP
G01J 3/52 20060101ALI20241205BHJP
B41J 29/393 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N1/60
H04N1/407 780
G01J3/52
B41J29/393 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088402
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉木 綜一郎
【テーマコード(参考)】
2C061
2G020
5C077
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AS02
2C061KK18
2G020DA02
2G020DA03
2G020DA04
2G020DA05
2G020DA23
2G020DA34
2G020DA42
2G020DA43
5C077LL16
5C077MM27
5C077MP08
(57)【要約】
【課題】カラーパッチが配されたチャートを効率的に検出する。
【解決手段】情報処理装置は、印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御し、チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶する記憶手段と、チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付ける受付手段と、受付手段によって受け付けられた第1用紙サイズと第3用紙サイズとが一致しない場合、記憶手段によって記憶されている第2用紙サイズのうち第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた基準バーの探索範囲に従って測色器が測色した結果を取得する取得手段と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御する情報処理装置であって、
前記チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、前記チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び前記第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶する記憶手段と、
前記チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する前記第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けられた前記第1用紙サイズと前記第3用紙サイズとが一致しない場合、前記記憶手段によって記憶されている前記第2用紙サイズのうち前記第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた前記基準バーの探索範囲に従って前記測色器が測色した結果を取得する取得手段と、
を備える、
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記取得手段によって取得された前記結果から、前記基準バーの位置を決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定された前記基準バーの位置に基づき、前記第1用紙サイズ及び前記第2用紙サイズに紐付けられている前記基準バーの探索範囲を再設定する設定手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記設定手段によって再設定される前記基準バーの探索範囲は、用紙を搬送した距離から、前記用紙を搬送した位置から前記基準バーの位置まで戻した距離を減算した値に基づき決定される、ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付手段によって受け付けられた前記第1用紙サイズ及び前記第3用紙サイズに基づく前記基準バーの探索範囲を表示する表示手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記チャートに含まれる情報に基づき前記第1用紙サイズを推定する推定手段と、をさらに備え、
前記受付手段は、前記推定手段によって推定された前記第1用紙サイズを前記第1用紙サイズとして用いる、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記チャートに含まれる情報は、前記チャートに含まれるパッチの大きさ及び幅方向の数である、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記チャートに含まれる情報は、前記基準バーの幅である、ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記情報処理装置は、PC、タブレット端末、又はスマートフォンの何れかである、ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項9】
印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御する情報処理装置の制御方法であって、
前記チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、前記チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び前記第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶手段に記憶するステップと、
前記チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する前記第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付けるステップと、
前記受け付けるステップにおいて、受け付けられた前記第1用紙サイズと前記第3用紙サイズとが一致しない場合、前記記憶手段によって記憶されている前記第2用紙サイズのうち前記第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた前記基準バーの探索範囲に従って前記測色器が測色した結果を取得するステップと、
を備える、
ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の情報処理装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プリンタの色精度を検証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、商業用のカラープリンタでは、一定の色再現性を確保するために、定期的に色管理(カラーマネジメント)が行われている。色管理は、例えばJapanColor(登録商標)等の印刷認証で定められた目標となる色(目標色)と、プリンタで実際に印刷した際の色(印刷色)とを比較し、色精度が合格基準を満たしていることをチェックすることで行われる。色精度が合格基準を満たしていない場合、色精度を改善するために、印刷プロファイルの再作成や、プリンタの色補正機能を用いた補正処理が必要となる。色検証において印刷色を得る際には、目標色に対応するカラーパッチが配されたチャートをプリンタで印刷し、カラーパッチ毎の色度値を分光センサが内蔵されている測色器によって測色する。このような測色器では測色を実施する前にカラーパッチの位置を定義するポジショニングバーを探索する必要がある。例えば、特許文献1には、チャートが印刷された用紙全体を読み取った後、ポジショニングバーを検出する処理を行う技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術ではチャートが印刷された用紙全体を読み取るため、チャートの読取時間に時間を要する。この点、用紙全体を読み取るのではなく、用紙の一部を読み取ってポジショニングバーを検出する測色器も存在するが、以下のような課題が存在する。用紙の一部を読み取る測色器においても、指定した用紙サイズとは異なる用紙にチャートが印刷された場合、想定した位置にはポジショニングバーが存在しないため、必要のない範囲までポジショニングバーを探索するという課題である。本開示は、上記課題を鑑みてなされたものであり、カラーパッチが配されたチャートを効率的に検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る情報処理装置は、印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御する情報処理装置であって、前記チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、前記チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び前記第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶する記憶手段と、前記チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する前記第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた前記第1用紙サイズと前記第3用紙サイズとが一致しない場合、前記記憶手段によって記憶されている前記第2用紙サイズのうち前記第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた前記基準バーの探索範囲に従って前記測色器が測色した結果を取得する取得手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本開示の技術によれば、カラーパッチが配されたチャートを効率的に検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】色検証用チャートのパッチ信号値、色特性の一例を示す図。
【
図3】シートスルー型の手動測色器におけるポジショニングバーの探索を示す図。
【
図4】色検証装置及び制御装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【
図5】色検証装置の主要な機能構成を示すブロック図。
【
図6】制御装置の主要な機能構成を示すブロック図。
【
図7】色検証システムにおける処理の流れを示すシーケンス図。
【
図8】色検証装置の表示部に表示されるUI画面の一例を示す図。
【
図9】色検証(測色)ジョブ処理の流れを示すシーケンス図。
【
図10】A4用のチャートがA3用紙に印刷された例を示す図。
【
図11】チャート/用紙サイズの入力と測色開始を受け付けるUI画面を示す図。
【
図12】色検証(測色)ジョブ処理の流れを示すシーケンス図。
【
図13】チャート/用紙サイズの入力と測色開始を受け付けるUI画面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について、添付図面を参照し説明する。尚、以下の実施の形態は本開示を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。また、シーケンス図における各工程(ステップ)については「S」で始まる符号を用いて示す。
【0009】
[第1実施形態]
<システム構成>
図1は、本実施形態に係る色検証システムの全体構成を示す概念図である。色精度の検証を行う際には、まず、対象プリンタからキャリブレーション用チャートを印刷出力する。次に、印刷出力されたチャート上のカラーパッチを測色し、得られた測色データを色検証装置100に送信する。そして色検証装置100にて、印刷色と目標色とのずれ(以下、「色精度」と称する)をチェックする。なお、チャート上に配されるカラーパッチは色票又は色見本とも呼ばれ、本明細書では単に「パッチ」と表記する。
【0010】
図1に示す色検証システムは、色検証装置100と拠点170a~170cとがネットワーク160で接続されている。拠点170aは、制御装置110、モニタ120、プリンタ130a~130c、測色器150a~150cを含んでいる。また、拠点170b及び拠点170cもそれぞれ、制御装置、モニタ、プリンタ、測色器を含んでいる。以下、拠点170aと色検証装置100との関係を例に説明を行うこととする。
【0011】
色検証装置100は、予め定義された目標となる色(以下、「目標色」と称する)と、プリンタで実際に印刷した際の色(以下、「印刷色」と称する)とを比較し、色精度が合格基準を満たしているかを検証する。色検証装置100は、制御装置110とネットワーク160を介して相互に通信可能に接続される。
【0012】
制御装置110は、イントラネット等の通信ネットワークを介して、拠点170a内のプリンタ130a~130cと相互に通信可能に接続され、各プリンタに対し印刷指示を行なう他、各プリンタの色精度の一元管理等も行う。また、印刷指示においては、例えばクライアント端末(図示略)から印刷ジョブを受信し、当該印刷ジョブを所定の単位(例えば、部単位又はページ単位)で分割して、複数のプリンタに対し分散して印刷指示することも可能である。印刷ジョブは、テキスト、図形、写真といった各属性のオブジェクトの描画命令をページ単位で記述するPDLデータ部と、用紙のサイズ、用紙の種類、両面/片面印刷等の印刷条件を指定する印刷設定情報とを含む。1つの印刷ジョブを複数のプリンタに分散して印刷指示することで、印刷所要時間及び印刷待ち時間を短縮することができる。
【0013】
モニタ120は、制御装置110と接続され、各種ユーザインタフェース画面(以下、「UI画面」と称する)を表示する。プリンタ130a~130cは、制御装置110からの印刷ジョブに基づいて、例えば電子写真プロセス技術を利用して、用紙にカラー画像を印刷する。プリンタ130a~130cはモノクロプリンタでもよいし、インクジェット等の他の画像形成技術に基づくプリンタでもよい。また、プリンタ130a~130cは、プリント機能に加えてコピー機能及びFAX機能を有する複合機でもよい。測色器150a~150cは、400nm~700nm程度の波長を有する可視光の反射率又は透過率に基づいて対象物の色度値を測色する分光測色計である。測色器150a~150cは、例えば拠点毎に用意され、プリンタ130a~130cから印刷出力されたチャートのパッチ毎に得られた波長を例えばL*a*b*色空間やXYZ色空間における値に変換して、測色データを得る。
【0014】
図2(a)はA4用紙に印刷されることを想定したチャートの一例であり、
図2(b)は当該チャートの各パッチ(パッチ番号1~140)に対応するCMYK色空間で規定される目標色度値を示している。測色器150a~150cは、カラーパッチを測色するための分光センサをパッチ測色位置検出にも使用する低コスト測色器である。例えば、測色器がシートスルー型の手動測色器である場合、測色実行前にパッチの位置を定義するポジショニングバー(基準バー)を分光センサにより探索及び検知する。本実施形態では、ポジショニングバーを検知する分光センサと測色を行う分光センサとは同一の分光センサであることを想定している。しかし、ポジショニングバーを検知する分光センサと測色を行う分光センサとは別々の分光センサであってもよい。また、ポジショニングバーを検知する測色データとカラーパッチを測色する測色データとは同一の測色データである。
【0015】
具体的には
図3に示すように、固定した状態の分光センサで用紙上を読み取ることでポジショニングバーを探索及び検知する。
図3(a)は用紙をセットした場合の状態を示す図である。
図3(b)は
図3(a)の状態から用紙を引き込み30mmの範囲でポジショニングバーを探索した状態を示す図である。
図3(c)は70mmの範囲でポジショニングバーを探索した状態を示す図である。
【0016】
これによりパッチの位置を検出した後、測色を行うことが可能になる。シートスルー型の手動測色器の場合、測色器は制御装置110に例えばUSBなどによって接続されている。対象プリンタから印刷出力されたチャートをユーザが測色器にセットした後に、測色器がチャートの給紙を開始し、チャート上の各パッチの色度値を測色して、
図2(c)に示すような測色データを得る。取得された測色データは制御装置110を介して色検証装置100に送信される。また、色検証装置100が拠点170a~170cの一つに設置されている場合、色検証装置100と測色器とを直接接続し、色検証装置100が制御装置110を介さずに測色データを取得できる構成でもよい。
【0017】
ネットワーク160は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、イントラネット等であり、有線でも無線でもよい。拠点170a~170cは、プリンタが設置されている印刷会社のある所在地等に対応する。例えば拠点170aが東京の印刷拠点、拠点170bが大阪の印刷拠点、拠点170cが福岡の印刷拠点といった具合である。
【0018】
なお、
図1に示す色検証システムの構成は一例であり、拠点数や各拠点内の装置の構成は適宜変更可能である。例えば色検証装置100をイントラネット等の通信ネットワークを介して制御装置110や測色器150a~150cと直接接続し、複数のプリンタ130a~130cの色精度を管理する構成でよい。また、例えば色検証装置100と制御装置110の両方の機能を備えた情報処理装置を拠点毎に設け、当該情報処理装置が拠点内の複数のプリンタの色精度を管理する構成でもよい。
【0019】
<色検証装置/制御装置のハードウェア構成>
上述した色検証装置100及び制御装置110はいずれも情報処理装置であり、例えば汎用のノートPC、デスクトップ型PC、タブレット端末又はスマートフォン等によって実現される。
図4は、色検証装置100及び制御装置110のハードウェア構成を示すブロック図である。色検証装置100及び制御装置110は、CPU401、ROM402、RAM403、記憶装置404、表示部405、操作部406、ネットワークI/F407、外部機器I/F408を含む。
図4に示す各部401~408は、システムバス409を介して相互に接続される。
【0020】
CPU401は、装置全体の制御を行う演算処理装置であり、ROM402に格納されたプログラムに基づき後述する各画像処理を実行する。ROM402は、読み出し専用メモリであり、ブートプログラムやプログラム、文字データや文字コード情報等を記憶する。RAM403は、ランダムアクセスメモリであり、CPU401が各種プログラムを実行する際のワークメモリとして利用される。また、ネットワークI/F407から受信した画像ファイルのデータ記憶領域として利用される。記憶装置404は、CPU401が実行した演算処理の結果や、各種プログラム、各情報ファイル等の格納に利用される。記憶装置404の例としては、HDD、SSD、又はUSB(Universal Serial Bus)メモリ等が挙げられる。表示部405は、例えば液晶ディスプレイ等で構成され、各種設定を行ったり装置状態を確認したりするためのUI画面の表示等を行う。操作部406(受付部)は、キーボードやボタン等で構成され、ユーザが各種設定値の入力やリセット等を行うために使用される。本実施形態では、表示部405及び操作部406を操作パネル(タッチパネル)で構成し、表示部405及び操作部406を一体化しても良い。ネットワークI/F407は、装置をネットワーク160に接続するためのインタフェースである。このネットワークI/F407を介して、色検証装置100及び制御装置110はそれぞれ外部の装置と各種情報の送受信を行うことができる。外部機器I/F408は、例えば、USB等の通信バスを介して測色器150a~150c等の外部機器を接続するためのインタフェースである。
【0021】
<色検証装置のソフトウェア構成>
色検証装置100のソフトウェア構成について説明する。
図5は、本実施形態に係る色検証装置100の主要な機能構成を示すブロック図である。色検証装置100の機能構成は、色検証仕様登録部501、UI制御部502、データ取得部503、検証処理部504、及び設定処理部505を含む。これら各機能構成は、色検証装置100のCPU401が所定のプログラムを実行することで実現される。以下、各機能構成について説明する。
【0022】
色検証仕様登録部501は、目標色度値に対応する様々な色のパッチが配されたチャート、色検証を行うプリンタ、色検証に用いる測色器、色検証を行う際の許容値等を色検証の種別毎に登録する。具体的には、登録対象であるチャートは、画像データと当該チャートにおけるパッチの数やサイズといったチャートの構成を示す情報(チャート構成情報)とを対応付け、当該チャートを記憶装置404に保存する。チャートは、JapanColor等の印刷認証に従った既定チャートと、ユーザが独自に定義したカスタムチャートとに大別される。規定チャートは例えば色検証用プログラムのインストール時など利用開始に先立って予め登録される。カスタムチャートは、操作部406を介したユーザ入力に基づき任意のタイミングで登録される。色検証を行うプリンタは、制御装置110に接続されているプリンタ130a、130b、130cの中から色検証を行うプリンタを登録する。色検証に用いる測色器150a、150b、150cの中から、色検証に用いる測色器を登録する。色検証を行う際の許容値は、JapanColor等の印刷認証で定められた目標色と、プリンタで実際に印刷した印刷色とを比較し、色精度が合格基準を満たしていることをチェックする際に用いられる値である。例えば、目標色の色度値(目標値)と印刷色の色度値(測色値)の差分(色差)に基づいて判定する場合、色差の値が許容値として登録され、許容値以内であれば、色精度が合格基準を満たしているとCPU401は判定する。なお、色検証を実行する際には、色検証仕様登録部501で登録された色検証仕様の中から、ユーザが色検証仕様を選択することで色検証が開始される。
【0023】
UI制御部502は、ユーザが、色検証システム内の各装置の状況確認の表示、及び各種設定値の入力、選択、各種処理の開始指示などの受付を行うためのUI画面の表示制御を行う。表示されるUI画面については後述する。データ取得部503は、チャートが印刷されると想定される想定用紙サイズ、実際に印刷が行われた印刷用紙サイズ、ポジショニングバーの位置を探索するための探索範囲、及び色差に関連するデータ等を含む各種情報又はデータを取得する。これらのデータは、後述する検証処理部504及び制御装置110の測色データ取得部602において使用される。
【0024】
検証処理部504は、制御装置110を介して測色器から受け取った測色データを用いて、対象プリンタの色精度が合格基準に達しているか否かの検証処理を行う。設定処理部505は、所定のUI画面を介したユーザ選択等に基づき、検証処理に関する各種パラメータの設定を行う。
【0025】
<制御装置のソフトウェア構成>
制御装置110のソフトウェア構成について説明する。
図6は、本実施形態に係る制御装置110の主要な機能構成を示すブロック図である。制御装置110は、UI制御部601、測色データ取得部602、決定部603、設定制御部604、及び推定部605を備える。これら各機能構成は、制御装置110のCPU401が所定のプログラムを実行することで実現される。以下、各機能構成について説明する。
【0026】
UI制御部601は、ユーザが、状況確認の表示、及び各種設定値の入力、選択、各種処理の開始指示などの受付を行うためのUI画面の表示制御を行う。測色データ取得部602は、ポジショニングバーの探索を行う際に使用する想定用紙サイズ、印刷用紙サイズ、及びポジショニングバーの探索範囲を含む各種データをRAM403から取得する。ポジショニングバーの探索範囲等のデータは、想定用紙サイズ及び印刷用紙サイズに紐付けられて記憶装置404に記憶されており、記憶装置404からRAM403にロードされる。想定用紙サイズと想定用紙サイズ以外の印刷用紙サイズとに紐付けられたポジショニングバーの探索範囲のデータが本実施形態では必要となる。ポジショニングバーを探索するために、測色データ取得部602は、UI制御部601を介してユーザにチャートが印刷された用紙を測色器150aにセットするよう促す。測色器150aはチャートがセットされたことを検知した場合、測色データ取得部602は探索範囲まで手動測色器からの測色データを取得する(往路)。探索範囲まで用紙を搬送した状態で、決定部603は測色データを用いてポジショニングバーの検出処理を実行し、ポジショニングバーの位置を決定する。測色データ取得部602は、正式の測色開始位置に手動測色器をセットするため、決定されたポジショニングバーの位置に基づいて用紙を適切な量だけ戻す(復路)。決定された探索範囲はUI制御部601により表示され、設定制御部604は、決定部603において決定されたポジショニングバーの位置に基づいてポジショニングバーの探索範囲を、想定用紙サイズ及び印刷用紙サイズに紐付けて再設定する。設定制御部604は、記憶装置404及びRAM403に記憶されているポジショニングバーの探索範囲のデータを再設定されたポジショニングバーの探索範囲に更新する。推定部605は、チャートに含まれる情報に基づき想定用紙サイズを推定する。
【0027】
本実施形態において上述したポジショニングバーの位置の決定方法を用いるのは以下の理由による。1つ目は、往路において、用紙の搬送とポジショニングバーの検出処理を並行して実行すると、ポジショニングバーに類似した罫線などをポジショニングバーと誤検出してしまう虞がある。そこで、往路では、制御装置110は探索範囲まで測色データのみの取得を行う形式を本実施形態では採用している。測色データの取得が完了した後、制御装置110はポジショニングバーの位置の検出処理を実行し、確実にポジショニングバーを検出する。2つ目はポジショニングバーの探索時間を短縮するためである。用紙全体を読み取った後、処理負荷の高いポジショニングバーの探索を行うと、ポジショニングバーの探索に多大な時間を要する。そこで、本実施形態では、用紙の一部のみを探索範囲に設定することにより、ポジショニングバーの探索時間を短縮している。
【0028】
<システム全体の処理の流れ>
図7は、本実施形態に係る、色検証システムにおける処理の流れを示すシーケンス図である。以下、プリンタ130aに対して、測色器150aを用いて、複数のチャートを出力することで複数の色検証を実行する場合を例に、色検証システム全体の処理の流れを
図7のシーケンス図に沿って説明する。
【0029】
図7のシーケンス図に示すS701からS708までの処理及びS715からS716までの処理は、色検証装置100のCPU401において実行される。具体的には、色検証装置100のCPU401が、色検証システムにおける処理を実行するプログラムを色検証装置100のROM402から色検証装置100RAM403にロードし、プログラムを実行することで実現される。S709の処理及びS711からS713までの処理は、制御装置110のCPU401において実行される。具体的には、制御装置110のCPU401が、色検証システムにおける処理を実行するプログラムを制御装置110のROM402から色検証装置100RAM403にロードし、プログラムを実行することで実現される。S710の処理はプリンタ130aにおいて実行される。
【0030】
S701において、色検証装置100のCPU401は、ユーザ入力に基づき、色検証登録を開始する。色検証仕様を登録したいユーザが、
図8(a)に示すメインメニュー画面上の色検証仕様登録ボタン801を押下すると、
図8(b)に示す色検証仕様の登録画面に遷移する。なお、これらUI画面の制御は色検証装置100のUI制御部502によって行われる。
図8(b)の色検証仕様の登録画面の表示領域803~806において、登録又は編集する色検証仕様を押下すると、
図8(c)に示す色検証仕様の詳細選択画面に遷移する。
【0031】
次に、
図8(c)の色検証仕様の詳細選択画面の表示領域807の「チャートの選択」をユーザが押下すると、
図8(d)に示すチャート選択画面に遷移する。ユーザは、
図8(d)に示すチャート選択画面の表示領域811~814から色検証に用いるチャートを選択する。
図8(d)のチャート選択画面の表示領域811及び812の「チャート1」及び「チャート2」は、JapanColor等の印刷認証で定められた既登録の規定チャートである。ユーザがチャート入力ボタン815を押下すると、ユーザは、カスタムチャートの登録に必要な各種情報の入力等を行う。具体的には、ユーザは、登録するカスタムチャートに関する名称、パッチ行数、パッチ列数、パッチ数、パッチサイズ、用紙サイズ/タイプを入力する。さらに、画像データをアップロードすることで登録が完了する。チャート画像は、TIFF、PDF、又はJPEG等のファイルフォーマットで作成される。これにより、
図8(d)のチャート選択画面の表示領域813及び814の「未登録」にチャートが登録される。なお、登録済みチャートの一覧と、チャート毎のチャート構成情報とを合わせて「チャート情報」と呼ぶ。
【0032】
S702において、色検証装置100のCPU401は、制御装置110が管理しているプリンタ130a~130cの一覧と、各プリンタのステイタスを示す情報(以下、「プリンタステイタス情報」と称する)を取得する。ここで、プリンタステイタス情報には、例えば、電源状態(ON/OFF)、故障の有無、印刷ジョブの処理状況(印刷中/待機中)等の情報が含まれる。このプリンタステイタス情報は、制御装置110が定期的にプリンタ130a~130cにアクセスして取得し、保持しているものとする。なお、プリンタの一覧とプリンタ毎のプリンタステイタス情報とを合わせて「プリンタ情報」と呼ぶ。
【0033】
S703において、色検証装置100のCPU401は、
図8(c)の色検証仕様の詳細選択画面の表示領域808の「プリンタの選択」の押下を受け付ける。その後、
図8(e)に示すプリンタ選択画面に遷移し、色検証の対象となるプリンタ(以下、「対象プリンタ」と称する)の選択を受け付ける処理が行われる。具体的には、色検証装置100のUI制御部502によって表示部105に表示されたUI画面を介してユーザからの選択を受け付け、色検証装置100のCPU401が当該選択に係るプリンタ(ここではプリンタ130a)を対象プリンタとして設定する。
図8(e)は、ユーザが対象プリンタを選択する際のプリンタ選択画面を示している。プリンタ選択画面の表示領域816~818には、S702で取得したプリンタ情報に従って、処理対象となり得るプリンタ(ここではプリンタ1~3)がリスト表示される。この際、プリンタステイタス情報に基づき、印刷可能な状態であるのか印刷不可能な状態であるのかが分かるよう、例えば印刷不能状態のプリンタについてはグレーアウトする表示処理がなされる。
図8(e)のプリンタ選択画面では「プリンタ2」だけグレーアウトされており、「プリンタ2」が印刷不能状態であることを表している。
【0034】
S704において、色検証装置100のCPU401は、制御装置110が管理している測色器150a~150cの一覧と、各測色器のスペック情報及び各測色器のステイタスを示す情報(以下、「測色器ステイタス情報」と称する)を取得する。ここで、スペック情報は、対応可能な用紙サイズや最小パッチサイズ、用紙1枚(1ページ)当たりの最小/最大パッチ数といった、測色器毎の仕様を示す情報である。また、付属品が存在する測色器については、付属品の有無に依る仕様の違いについてもスペック情報に含まれる。ここで、付属品とは、測定ルーラーや自動給紙ユニットなどを意味する。測定ルーラーとは、ハンディタイプの測色器において、安定した測色を可能にする、測色時のスライド動作を補助する装置のことである。測色器の下側にある位置センサがルーラー上のストライプを検知することで、ユーザが測色している方向(左から右に測色、または右から左に測色等)を検知できるようになっている。自動給紙ユニットは、プリンタから印刷出力されたチャートを測色器内に自動で取り込んで連続した測色を可能にする装置である。測色器ステイタス情報には、例えば、電源状態(ON/OFF)、接続状況といった情報が含まれる。スペック情報及び測色器ステイタス情報は制御装置110が予め或いは定期的に測色器150a~150cにアクセスして取得し、保持しているものとする。なお、測色器の一覧と、測色器毎のスペック情報及び測色器ステイタス情報を合わせて「測色器情報」と呼ぶ。
【0035】
S705において、色検証装置100のCPU401は、
図8(c)の色検証仕様の詳細選択画面の表示領域809の「測色器の選択」の押下を受け付ける。その後、
図8(f)に示す測色器選択画面に遷移し、チャートの色度値の測色に使用する測色器の選択を受け付ける処理が行われる。具体的には、色検証装置100のUI制御部502によって表示部105に表示されたUI画面を介してユーザの選択を受け付け、色検証装置100のCPU401が当該選択に係る測色器をチャート測色に使用する測色器として設定する。
図8(f)は、ユーザが測色器を選択する際の測色器選択画面を示している。測色器選択画面の表示領域819~821には、S704において取得した測色器情報に従って、処理対象となり得る測色器(ここでは測色器1~3)がリスト表示される。この際、測色器ステイタス情報に基づき、使用可能な状態であるのか使用不可能な状態であるのかが分かるよう、例えば使用不能状態の測色器についてはグレーアウトする表示処理がなされる。
図8(f)の測色器選択画面では「測色器2」だけグレーアウトされており、「測色器2」が使用不能状態であることを表している。
【0036】
S706において、色検証装置100のCPU401は、
図8(c)の色検証仕様の詳細選択画面の表示領域810の「許容値の入力」の押下を受け付ける。その後、
図8(g)に示す許容値入力画面に遷移し、使用したチャートにおけるパッチ毎の目標色度値や検証項目の許容値等のデータをユーザから受け付ける処理が行われる。具体的には、色検証装置100のUI制御部502によって表示部105に表示されたUI画面を介してユーザからの選択を受け付け、色検証装置100のCPU401が当該選択に係る目標色度値や検証項目の許容値を設定する。
図8(g)は、ユーザが検証項目の許容値を入力する際の許容値入力画面を示している。検証項目としては、例えばパッチ毎の色差ΔEの平均値、色差ΔEの最大値、及び原色(CMYK)の色差ΔEが用いられ、検証項目に応じた許容値がそれぞれ設定されている。
図8(g)は、検証項目に応じた許容値を設定するための色検証設定画面を示している。ユーザは、このようなUI画面を介して、検証項目に応じた許容値を予め設定しておく。ここで、色差ΔEは、L
*a
*b
*色空間における目標色度値と測色データが示す色度値(測色値)との間の直線距離であり、例えば以下の式(1)で求めることができる。
【0037】
【数1】
いま、
図8(g)の色検証設定画面で示すような各検証項目に対する色差の許容値が設定されているとする。この場合、パッチ毎の色差ΔEの平均値が±4.0以内、かつ、色差ΔEの最大値が±10.0以内、かつ、原色(CMYK)の色差ΔE(ΔE_原色)が±5.0以内であれば合格となる。一方で、いずれかの検証項目で許容値を超えた場合には不合格となる。
【0038】
S707において、色検証装置100のCPU401は、ユーザ入力に基づき、色検証を開始する。色検証を開始したいユーザが、
図8(a)に示すメインメニュー画面上の色検証ボタン802を押下すると、
図8(h)に示す色検証仕様の選択画面に遷移する。なお、これらUI画面の制御は色検証装置100のUI制御部502によって行われる。
【0039】
S708において、
図8(h)の色検証仕様の選択画面の表示領域825又は826の「色検証仕様1」又は「色検証仕様2」が押下されると、色検証装置100のCPU401は各色検証仕様に対応する測色ジョブを生成する処理を実行する。測色ジョブが生成されると、S701~S706の手順で登録された、色検証の対象となるプリンタ、使用する測色器、色検証に用いるチャート及び許容値が一意に決定される。また、制御装置110がチャートの印刷及び当該チャートの測色を実施できるよう、チャートの画像データとチャート構成情報が色検証装置100から制御装置110へ転送される。
【0040】
S709において、制御装置110のCPU401は、受信した画像データに基づき、複数のチャートの印刷ジョブを対象プリンタに対して送信する。S710において、印刷ジョブを受け取った対象プリンタは、当該印刷ジョブに基づき印刷処理を行って複数のチャートを出力する。例えば
図2(a)に示すチャートを印刷する場合対象プリンタは、チャート画像、用紙種、用紙サイズ、用紙向きなどの情報を含んだ印刷ジョブを受け取り、その設定に従って印刷処理を実行する。
【0041】
一方で、対象プリンタの状態によっては印刷ジョブの設定とは異なる条件で印刷される場合もある。ここでは、対象プリンタが有しているA4サイズの用紙が不足している状態を例に挙げて説明する。S710が開始される際に印刷ジョブを受け取った対象プリンタは、印刷指示の設定を満たす用紙が無いため、プリンタのUI部にエラーを出力する。このときプリンタによってはUI部を介して代替の用紙を設定し印刷処理を続行させる機能を有している機種がある。対象プリンタがこの機能を有しており、かつ、印刷指示と同じ用紙種のA3用紙を保有していれば、ユーザは
図2(a)のチャートをA3用紙に印刷させることができる。チャートの用紙上の印刷位置は機種に依存し、中央や先頭左端に印刷される。
図9に、対象プリンタが
図2(a)のチャートをA3用紙の中央に印刷した場合の印刷結果を示す。
【0042】
S711において、制御装置110のCPU401は、制御装置110に接続されている測色器(
図1では、測色器150a、150b、150c)の中から使用可能な測色器があるか否か確認する。本実施形態では測色器150aが使用可能であるとする。S712において、制御装置110のCPU401は、測色器150aから接続情報を受け取る。S713において、制御装置110のCPU401は、印刷した全チャートのパッチの色度値を測色する色検証の測色ジョブを実行する。測色した色度値は測色データとして制御装置110のRAM403に格納される。処理の詳細は「色検証(測色)ジョブ」の項に記述する。
【0043】
S714において、制御装置110のCPU401は、RAM403に格納されている測色データを色検証装置100に転送する。S715において、色検証装置100のCPU401は、当該データを用いて、該当する測色ジョブに紐づけられたプリンタの色精度を検証する処理を行う。S716において、色検証装置100のUI制御部502は、検証結果を表示部105に表示する。
図8(i)は、検証結果を表示するレポート結果画面を示している。
図8(i)に示すように、パッチ毎の色差の平均値、最大値、原色(CMYK)の色差とともに、各検証項目に対する合否の結果も併せて表示されている。このようなレポート結果画面により、対象プリンタにおける色変動状態をユーザは把握することが可能となる。検証結果が不合格である場合、印刷プロファイルの再作成、又はプリンタの色補正機能を用いた補正作業を実施することにより、プリンタの色変動を規定内に抑制する。
【0044】
<色検証(測色)ジョブ>
続いて、パッチを測色する測色ジョブ(S713の処理)について、
図10のシーケンス図を参照して詳しく説明する。
図10のシーケンス図に示す一連の処理は、制御装置110のCPU401が、色検証(測色)ジョブに対応するプログラムを制御装置110のROM402から制御装置110のRAM403にロードし、プログラムを実行することで実現される。色検証(測色)ジョブは測色を実行するループ処理となる。ループ回数は対象プリンタから印刷出力されたチャートの枚数となる。ループ処理が実行されている間、各チャートの測色データはRAM403に格納される。ループ処理終了後、制御装置110のCPU401はRAM403に格納された測色データを色検証装置100へ送信する。
【0045】
S1001において、制御装置110のCPU401は、記憶装置404から想定用紙サイズ、印刷用紙サイズ、及び想定用紙サイズと前記印刷用紙サイズとに紐付けられた探索範囲のデータを取得し、RAM403に格納する。測色器が未使用の状態では、探索範囲の全データには初期値が設定されている。以下、想定用紙サイズ、印刷用紙サイズ、及び探索範囲が1つのセットとなったテーブル形式のデータを用いて説明を行う。ここで想定用紙サイズはチャートが印刷される印刷ジョブにおいて使用されることが想定される用紙のサイズを意味する。印刷用紙サイズはS710の印刷時に実際に使用された用紙のサイズを意味する。また、探索範囲は、当該想定用紙サイズと印刷用紙サイズとの組み合わせに対応するポジショニングバーの探索範囲を意味する。S713の処理開始直後において表1に示される組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A4、探索範囲=70)のみが測色されている場合を例に挙げて説明する。S1002において、制御装置110のCPU401は制御装置110のUI制御部601により表示部105に、
図11(a)に示す想定用紙サイズ1101、印刷用紙サイズ1102、及び探索範囲1103の確認画面を表示する。
【0046】
【表1】
このうち想定用紙サイズ及び印刷用紙サイズを特定する用紙サイズ情報はユーザからのプルダウンによる選択で入力される。S1002の処理の開始直後は、S1001で取得した情報が、確認画面の各項目に表示される。
【0047】
図11(a)は、表1に示される情報を、制御装置110のUI制御部601を介して表示部105に表示する場合の画面表示の模式図である。この後の処理に関しては、S710の処理を説明した際に用いた
図9のチャートを測色する場合を例に挙げて説明する。
図9のチャートは、A4サイズのチャートがA3サイズの用紙に印刷された場合を想定しているため、ユーザは印刷用紙サイズ1102を「A3」に変更する(
図11(b)を参照)。即ち、印刷用紙サイズは、想定用紙サイズとは一致しない。変更後の画面は
図11(c)に示される。上記組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A3)では測色が行われていないため、初期値(例:200[mm])が表示される。これにより、チャートの印刷位置が異なりポジショニングバーの位置が変化した場合でも、ポジショニングバーを探索及び検知することができる。この状態でユーザが測色開始ボタン1104をユーザが押下した場合、上記組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A3、探索範囲=200)でポジショニングバーの探索が行われる(表2を参照)。その後処理はS1003に進む。
【0048】
【表2】
S1003において、制御装置110のCPU401は測色器150aが内部で管理するポジショニングバーの探索範囲を200[mm]に設定する。S1004において、探索範囲の設定完了通知が測色器150aから制御装置110へ送信される。
【0049】
S1005からS1009までの処理はポジショニングバーを検知するループ処理である。終了条件はポジショニングバーの検知成功か、又はユーザからUI制御部502を介して終了指示を受け付けた場合(S1009)となる。後者は印刷したチャートに不具合があった場合などに実行される。
【0050】
S1005おいて、制御装置110のCPU401は測色器150aに対し測色前のポジショニングバーの探索及び検知を指示する。これにより測色器150aはユーザからのチャートのセットを検知する待機状態に入る。S1006において、制御装置110のCPU401は制御装置110のUI制御部601を介してユーザに測色器150aへのチャートのセットを促す。S1007において、ユーザがチャートを測色器150aにセットする。S1008において、測色器150aはチャートのセットを検知した後、ポジショニングバーの探索を実行する。ここでは、S1003において探索範囲が200[mm]に設定されているため、測色器150aは
図9の用紙上端から200[mm]まで用紙を引き込みながら測色データを取得する。取得された測色データを受け取った制御装置110のCPU401はポジショニングバーの探索及び検知を行う(往路)。往路において制御装置110のCPU401がポジショニングバーを検知した場合、測色器150aは用紙をポジショニングバーが配置されている位置まで戻す(復路)。
【0051】
S1010において、制御装置110のCPU401はまずS1008において実行したポジショニングバーの探索及び検知から、最適なポジショニングバーの探索範囲を決定する。記憶装置404及びRAM403に格納されているデータを決定した最適な探索範囲に更新する。例えば、決定した探索範囲が170[mm]であった場合、記憶装置404及びRAM403に格納されているデータを、「想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A3、探索範囲=170」に更新する(表3参照)。この処理により次回以降の測色で、S1010において決定した最適な探索範囲を使用することができる。
【0052】
【表3】
最適な探索範囲を決定する手法として、例えば搬送量[mm]を取得できる測色器の場合、S1010での「用紙の引き込み量(往路)[mm]」から「用紙の排出量(復路)[mm]」を減算することにより決定できる。一方で、搬送量[mm]を取得できない測色器の場合、S1008の処理時間tを基に決定する。用紙サイズがA3の場合には、事前に測色器の搬送速度v[mm/s]を設定しておくと、「420[mm]-v*t(往復)[mm]」を基に決定できる。S1011において、S1010において決定された最適な探索範囲に基づいた探索範囲の設定完了通知が測色器150aから制御装置110へ送信される。
【0053】
S1012において、制御装置110のCPU401は、対象プリンタから印刷出力されたチャートの測色指示を測色器150aに送信する。S1013において、測色器150aは、チャート上の各パッチの色度値を測色する。S1014において、測色器150aは、測色完了後、測色完了通知及び測色データを制御装置110に送信する。制御装置110のCPU401は受信した測色データを制御装置110のRAM403に格納する。未測色のチャートがある場合には、処理はS1001に戻る。すべてのチャートの測色が終了した場合には、ループ処理を終了し、処理はS714に進む。
【0054】
最後に、S1001の処理において、「想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=レター」の未測色チャートを測色する場合について説明する。S1001において、制御装置110のCPU401は記憶装置404から想定用紙サイズ、印刷用紙サイズ、及び想定用紙サイズと前記印刷用紙サイズとに紐付けられた探索範囲のデータを取得し、RAM403に格納する。S1002において、前回測色が行われた選択画面が制御装置110のUI制御部601を介して表示部105に確認画面を表示する(
図11(d)参照)。前のループ処理までに更新された最適な探索範囲(ここでは170[mm])が反映される。ユーザが「用紙サイズ」をレターに選択した場合を
図11(e)に示す。上記の組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=レター)では測色が行われていないため、初期値(例:200[mm])が表示される。この状態でユーザが測色開始ボタン1104を押下した場合、上記組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=レター、探索範囲=200)でポジショニングバーの探索が行われる(表4を参照)。その後、処理はS1003に進む。
【0055】
【表4】
S1003からS1014までの処理は前述した処理と同一である。これにより、チャート条件毎に適した探索範囲を記憶することが可能となる。以上が色検証(測色)ジョブの処理の流れの説明である。これにより、確実にポジショニングバーを検知することが可能となる。そして、検知されたポジショニングバーの位置に基づいて、探索範囲を再設定する。
【0056】
上述したように、プリンタから印刷出力されたポジショニングバーが配置されたチャートを測色する際、用紙の想定した位置にチャートが印刷されなかった場合でも測色を可能にし、最適なポジショニングバーの探索範囲を決定及び再設定することができる。これにより、カラーパッチが配されたチャートを効率的に検出することが可能となる。
【0057】
[第2実施形態]
第1実施形態では、
図11に示すようなUI画面で想定用紙サイズと印刷用紙サイズをユーザに選択させることにより、用紙サイズが異なるためポジショニングバーを検知できなくなることが原因の測色エラーを回避することができる。また、最適なポジショニングバーの探索範囲を決定及び更新し、次回以降の測色で登録値を再利用できるようにしたことで、効率的なパッチの測色を可能とした。しかしながら、
図11のUI画面に示す想定用紙サイズの選択をユーザに任せているため、頻繁にサイズが変更されると測色の効率が低下する場合がある。
【0058】
本実施形態では、上記の点に着目し、チャートに含まれるポジショニングバーやマーカーから、想定用紙サイズを自動で推定させる。これにより、ポジショニングバーの最適な探索範囲を再利用しつつ、UI画面でのユーザの選択作業を減少させることができ、かつ、測色の効率化の維持することが可能になる。尚、第1実施形態と内容が共通する色検証システムの基本構成などの説明は省略することとする。
【0059】
本実施形態に係る色検証システムの全体構成を示す概念図は、第1実施形態と同一であるため説明は省略する。本実施形態に係る色検証装置100及び制御装置110のハードウェア構成を示すブロック図は、第1実施形態と同一であるため説明は省略する。本実施形態に係る色検証装置100及び制御装置110の主要な機能構成を示すブロック図は、第1実施形態と同一であるため説明は省略する。
【0060】
<システム全体の処理の流れ>
本実施形態に係る色検証システムの処理の流れで、「色検証(測色)ジョブ」以外の処理(S701からS712の処理及びS714からS716の処理)は、第1実施形態で
図7のシーケンス図を用いた説明したものと同一であるため説明は省略する。ここでは、第1実施形態の処理との差異点である「色検証(測色)ジョブ」の処理について、
図12のシーケンス図を参照して説明する。
【0061】
<色検証(測色)ジョブ>
パッチを測色する測色ジョブ(S713の処理)について、
図12のシーケンス図を参照して詳しく説明する。第1実施形態との差異点は、S1202の想定用紙サイズの推定処理、及び想定用紙サイズ、印刷用紙サイズ及び探索範囲が1つのセットとなったテーブルデータの情報になる。S1202において、制御装置110のCPU401はS708で色検証装置100から受信したチャート構成情報より、想定用紙サイズを推定する。チャート構成情報は当該チャートにおけるパッチの数、パッチ行数、パッチ列数(パッチの幅方向の数)、サイズを含んでいるため、これらの情報を基にここではA4、A3、又はレター、のいずれかのサイズであるかを推定する。想定用紙サイズの推定処理が完了すると、処理はS1203に進む。
【0062】
推定方法としては、例えばパッチ列数とパッチサイズからチャートの幅を計算する方法がある。事前に表5のようなチャートの幅と想定用紙サイズの対応づけを行っておくことで、パッチ列及びパッチサイズから想定用紙サイズを推定できる。
図2(a)に示すチャートであれば、パッチサイズを12mm×12mmであるとするとパッチ列数は14であるため、チャートの幅は168[mm](=12×14)となる。そのため、表5からチャートの幅が168mmの場合はA4であると推定できる。チャートの幅に代えて、ポジショニングバーの幅と想定用紙サイズの対応づけを予め行っておき、ポジショニングバーの幅を用いて想定用紙サイズを推定しても良い。
【0063】
【表5】
S1203において、制御装置110のCPU401は制御装置110のUI制御部601を介して表示部405に、
図13(a)に示される想定用紙サイズ1301、印刷用紙サイズ1302、探索範囲1303の確認画面を表示する。このうち想定用紙サイズの項目にはS1202の処理において推定された想定用紙サイズが表示され、印刷用紙サイズの項目はユーザからのプルダウンによる選択で入力される。ここでは、表1に示される組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A4、探索範囲=70)のみが測色されている場合を例に挙げて説明する。S1203の処理の開始直後は、
図13(a)に示される情報が、確認画面の各項目に表示される。
【0064】
ここからは、S710の処理を説明する際に参照した
図9のチャートを測色する場合を例に挙げて説明する。
図9のチャートは、A3サイズの用紙に印刷されているため、ユーザはプルダウンで印刷用紙サイズ1302を「A3」に変更する(
図13(b)を参照)。変更後の画面は
図13(c)に示される。上記の組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A3)は測色が行われていないため、
図13(c)における探索範囲の項目には初期値(例:200[mm])が表示される。この状態でユーザが測色開始ボタン1304を押下した場合、上記の組み合わせ(想定用紙サイズ=A4、印刷用紙サイズ=A3、探索範囲=200)でポジショニングバーの探索が行われる。その後、処理はS1204に進む。S1204以降の処理は、第1実施形態において
図9のシーケンス図を用い説明した処理(S1005からS1014の処理)と同一であるため説明は省略する。以上が本実施形態における色検証(測色)ジョブの処理の流れの説明である。
【0065】
上述したように、本実施形態ではポジショニングバー及びマーカーから想定用紙サイズを自動で推定する。これにより、カラーパッチが配されたチャートを効率的に検出することが可能となる。さらに、UI画面でのユーザの選択作業を減少させることができ、ユーザビリティがさらに向上する。
【0066】
[その他の実施例]
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0067】
上述した実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0068】
(構成1)印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御する情報処理装置であって、前記チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、前記チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び前記第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶する記憶手段と、前記チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する前記第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けられた前記第1用紙サイズと前記第3用紙サイズとが一致しない場合、前記記憶手段によって記憶されている前記第2用紙サイズのうち前記第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた前記基準バーの探索範囲に従って前記測色器が測色した結果を取得する取得手段と、を備える、ことを特徴とする情報処理装置。
【0069】
(構成2)前記取得手段によって取得された前記結果から、前記基準バーの位置を決定する決定手段と、前記決定手段によって決定された前記基準バーの位置に基づき、前記第1用紙サイズ及び前記第2用紙サイズに紐付けられている前記基準バーの探索範囲を再設定する設定手段と、をさらに備えることを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0070】
(構成3)前記設定手段によって再設定される前記基準バーの探索範囲は、用紙を搬送した距離から、前記用紙を搬送した位置から前記基準バーの位置まで戻した距離を減算した値に基づき決定される、ことを特徴とする構成2に記載の情報処理装置。
【0071】
(構成4)前記受付手段によって受け付けられた前記第1用紙サイズ及び前記第3用紙サイズに基づく前記基準バーの探索範囲を表示する表示手段と、をさらに備えることを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0072】
(構成5)前記チャートに含まれる情報に基づき前記第1用紙サイズを推定する推定手段と、をさらに備え、前記受付手段は、前記推定手段によって推定された前記第1用紙サイズを前記第1用紙サイズとして用いる、ことを特徴とする構成1に記載の情報処理装置。
【0073】
(構成6)前記チャートに含まれる情報は、前記チャートに含まれるパッチの大きさ及び幅方向の数である、ことを特徴とする構成5に記載の情報処理装置。
【0074】
(構成7)前記チャートに含まれる情報は、前記基準バーの幅である、ことを特徴とする構成5に記載の情報処理装置。
【0075】
(構成8)前記情報処理装置は、PC、タブレット端末、又はスマートフォンの何れかである、ことを特徴とする構成1乃至7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【0076】
(構成9)印刷装置のキャリブレーション用チャートを測色する測色器を制御する情報処理装置の制御方法であって、前記チャートの印刷位置を表す基準バーの探索範囲を、前記チャートを印刷する際の想定される第1用紙サイズ及び前記第1用紙サイズ以外の第2用紙サイズと紐付けて記憶手段に記憶するステップと、前記チャートを実際に印刷した際の第3用紙サイズ及び当該チャートに対応する前記第1用紙サイズを特定する用紙サイズ情報をユーザ入力に基づき受け付けるステップと、前記受け付けるステップにおいて、受け付けられた前記第1用紙サイズと前記第3用紙サイズとが一致しない場合、前記記憶手段によって記憶されている前記第2用紙サイズのうち前記第3用紙サイズと一致する用紙サイズに紐づけられた前記基準バーの探索範囲に従って前記測色器が測色した結果を取得するステップと、を備える、ことを特徴とする情報処理装置の制御方法。