(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171420
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】圧力式調理器
(51)【国際特許分類】
A47J 27/00 20060101AFI20241205BHJP
G16Y 10/75 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
A47J27/00 109H
A47J27/00 109J
A47J27/00 109K
G16Y10/75
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088404
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003702
【氏名又は名称】タイガー魔法瓶株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】景森 美之
【テーマコード(参考)】
4B055
【Fターム(参考)】
4B055AA08
4B055BA39
4B055CD23
4B055CD33
4B055GB50
4B055GD02
(57)【要約】
【課題】本発明の課題は、使用者が電池の残量に関係なく安心して使用することができ、使用者にとって使い勝手の良い圧力式調理器を提供することである。
【解決手段】本発明に係る圧力式調理器は、容器と、前記容器内部を加圧可能である加圧部と、情報を表示する表示部と、外部電源から電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部から電力が供給されていない場合に前記表示部に電力を供給する電池と、前記電池の電池残量を測定する電池残量測定部とを備え、前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記加圧が実行されない。
【選択図】
図24
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、
前記容器内部を加圧可能である加圧部と、
情報を表示する表示部と、
外部電源から電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から電力が供給されていない場合に前記表示部に電力を供給する電池と、
前記電池の電池残量を測定する電池残量測定部とを備え、
前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記加圧が実行されない、圧力式調理器。
【請求項2】
加圧調理シーケンスおよび非加圧調理シーケンスを有し、
前記加圧調理シーケンスの実行中に前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記加圧調理シーケンスを前記非加圧調理シーケンスに切り替える、請求項1に記載の圧力式調理器。
【請求項3】
前記電池残量測定部による前記電池残量の測定は、前記外部電源からの電力供給の開始時に行われる、請求項1または2に記載の圧力式調理器。
【請求項4】
報知を行う報知部をさらに備え、
前記電池残量測定部による前記電池残量の測定が定期的に行われ、
前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記報知部により報知を行う、請求項1に記載の圧力式調理器。
【請求項5】
前記第1閾値よりも大きい閾値が少なくとも一つ設けられており、
前記電池残量が、前記閾値で区切られる少なくとも一つの範囲のいずれかの範囲に入った場合、前記範囲に応じて加圧方法が変更される、請求項1に記載の圧力式調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力式炊飯器などの圧力式調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「鍋と、前記鍋の開口部を開閉自在に覆う蓋体と、前記鍋を加熱する加熱部と、前記鍋内と前記蓋体内とを連通する蒸気排出穴を開閉する圧力弁と、前記加熱部及び前記圧力弁を制御して、沸騰維持工程と蒸らし工程とを含む炊飯工程を行う制御部と、を備え、前記制御部は、前記沸騰維持工程の終了前に、前記圧力弁を制御して前記蒸気排出穴を開放し、前記鍋内の圧力を低下させた状態で前記蒸らし工程に移行する、圧力式炊飯器」などの種々の圧力式調理器が開示されている(例えば、特開2018-139776号公報等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のような圧力式調理器を用いて加圧調理を行っている間は、加圧調理中に使用者が誤って圧力式調理器の蓋を開けてしまわないように、圧力式調理器の表示部に「圧力」表示を行う必要がある。また、停電等の理由で圧力式調理器外部からの電力供給が遮断されると、圧力式調理器の容器内部の圧力が高くなった状態で動作が停止してしまう場合がある。この場合においても、使用者が圧力式調理器の容器内部の圧力が高い状態であることに気付かないまま蓋を開けてしまわないよう、容器内部の圧力が自然に解放されるまでの間は、圧力式調理器の表示部に「圧力」表示を行う必要がある。この時、圧力式調理器外部からの電力供給が遮断されているため、圧力式調理器に搭載されている電池からの電力供給により、圧力式調理器の表示部に「圧力」表示が行われる。
【0005】
しかし、従来の圧力式調理器では、停電等の理由で圧力式調理器外部からの電力供給が遮断された際に、圧力式調理器に搭載されている電池の残量が少ない状態であると、その電池の電力供給だけでは、圧力式調理器の容器内部の圧力が自然に解放されるまでの間、圧力式調理器の表示部に「圧力」表示を維持することができない場合がある。そうなると、使用者が容器内部の圧力が高い状態であるかどうかを確認することができない場合がある。
【0006】
また、従来の圧力式調理器では、圧力式調理器に搭載されている電池の残量が少ない状態では「圧力式調理器の蓋を開かなくする」ことや「圧力式調理器による全ての調理動作を実行できなくする」などといった安全機構を有するものがある。しかし、このような安全機構は、圧力式調理器の使用を過度に制限するものである。そのため、このような安全機構を有する圧力式調理器は、使用者にとっては使い勝手が悪いものである場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の課題は、使用者が電池の残量に関係なく安心して使用することができ、使用者にとって使い勝手の良い圧力式調理器を提供することである。
【0008】
本発明に係る圧力式調理器は、
容器と、
前記容器内部を加圧可能である加圧部と、
情報を表示する表示部と、
外部電源から電力を供給する電力供給部と、
前記電力供給部から電力が供給されていない場合に前記表示部に電力を供給する電池と、
前記電池の電池残量を測定する電池残量測定部とを備え、
前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記加圧が実行されない。
【0009】
上記構成によれば、圧力式調理器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満となった場合、圧力式調理器の容器内部に圧力がかからなくなる。そのため、たとえ使用者が、電池の残量が少ないことに気が付かないまま調理を行ったとしても、容器内部に圧力がかからない。このため、使用者は安心して圧力式調理器を使用することができる。また、上記構成によれば、圧力式調理器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満となった場合、同圧力式調理器の動作において加圧が伴う動作だけが制限されるため、使用者にとって使い勝手が良い圧力式調理器を提供することができる。
【0010】
本発明では、
加圧調理シーケンスおよび非加圧調理シーケンスを有し、
前記加圧調理シーケンスの実行中に前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記加圧調理シーケンスを前記非加圧調理シーケンスに切り替えると好適である。
【0011】
上記構成によれば、加圧調理シーケンスによる加圧調理の実行中に圧力式調理器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満になったとしても、同加圧調理シーケンスを非加圧調理シーケンスに切り替えて、非加圧による調理(加圧が伴わない調理)を続行してくれる。そのため、使用者は、圧力式調理器に搭載されている電池の残量の有無に関わらず、同圧力式調理器による調理を安全に続行することができる。
【0012】
本発明では、
前記電池残量測定部による前記電池残量の測定は、前記外部電源からの電力供給の開始時に行われると好適である。
【0013】
上記構成によれば、使用者は、圧力式調理器の使用前に圧力式調理器に搭載されている電池の残量を確認することができる。
【0014】
本発明では、
報知を行う報知部をさらに備え、
前記電池残量測定部による前記電池残量の測定が定期的に行われ、
前記電池残量が第1閾値未満となった場合、前記報知部により報知を行うと好適である。
【0015】
上記構成によれば、使用者が圧力式調理器に搭載されている電池の残量を確認できる機会を増やすことができる。また、上記構成によれば、圧力式調理器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満となった場合に報知してくれる。このため、上記構成によれば、使用者に圧力式調理器に搭載されている電池の残量が少ないことを事前に知らせることができ、使用者に同電池の交換をするよう促すことができる。
【0016】
本発明では、
前記第1閾値よりも大きい閾値が少なくとも一つ設けられており、
前記電池残量が、前記閾値で区切られる少なくとも一つの範囲のいずれかの範囲に入った場合、前記範囲に応じて加圧方法が変更されると好適である。
【0017】
上記構成によれば、使用者は、圧力式調理器に搭載されている電池の残量に応じて、可能な限り美味しい調理物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る炊飯器の外観斜視図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る炊飯器の平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋基板、爪部材、圧力調整装置、断電時圧力開放弁、蒸気処理ユニット、蒸気センサおよびヒンジ部品の斜視図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置の斜視図である。
【
図6】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置の分解斜視図である。
【
図7】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の下方斜視図である。
【
図8】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の他の下方斜視図である。
【
図9】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する圧力調整装置を構成する回転部材の下面図である。
【
図10】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の蓋基板および圧力調整装置の平面図である。
【
図11】
図10のII-II断面図である。なお、本図には、無加圧状態の圧力調整装置が示されている。
【
図12】
図10のIII-III断面図である。なお、本図には、無加圧状態の圧力調整装置が示されている。
【
図13】
図10のII-II断面図である。なお、本図には、加圧状態の圧力調整装置が示されている。また、本図では、
図11および
図12に示されている3つのコイルバネが省略されている。
【
図14】
図10のIII-III断面図である。なお、本図には、加圧状態の圧力調整装置が示されている。また、本図では、
図11および
図12に示されている3つのコイルバネが省略されている。
【
図15】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の蓋基板および断電時圧力開放弁の平面図である。なお、蓋基板には爪部材、圧力調整装置、蒸気処理ユニットおよび蒸気センサが配設されているが、本図では爪部材、圧力調整装置、蒸気処理ユニットおよび蒸気センサを省略している。
【
図16】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の断電時圧力開放弁の平面図である。なお、本図では、圧力負荷状態の断電時圧力開放弁が示されている。
【
図17】
図15のI-I断面図である。なお、本図では、圧力負荷状態の断電時圧力開放弁が示されている。
【
図18】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する蓋体の断電時圧力開放弁の平面図である。なお、本図では、圧力開放状態の断電時圧力開放弁が示されている。
【
図19】
図15のI-I断面図である。なお、本図では、圧力開放状態の断電時圧力開放弁が示されている。
【
図20】本発明の実施の形態に係る炊飯器の制御ブロック図である。
【
図21】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する内蓋、断電時圧力開放弁の弁組立体、圧力異常時開放弁およびパッキンの上方斜視図である。
【
図22】本発明の実施の形態に係る炊飯器を構成する内蓋およびパッキンの下方分解斜視図である。
【
図24】本発明の実施の形態に係る炊飯器において実行される内鍋の内部の圧力制御機構を示すフローチャートである。
【
図25】変形例(G)に係る加圧調理中において実行される内鍋の内部の圧力制御機構を示すフローチャートである。
【
図26】本発明の実施の形態に係る炊飯器の電池の電圧の計測から圧力制御までのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の構造>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100は、誘導加熱式の圧力炊飯器であって、
図1~
図3に示されるように、主に、本体110、蓋体140、ヒンジ部品150、内鍋130および鍋蓋135から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0020】
1.本体
本体110は、
図1~
図3に示されるように、主に、筐体111、誘導加熱コイル112、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、センターセンサ114、報知部AL、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、ヒートシンク(図示せず)、電源回路基板117、マイコン(図示せず)、電池201、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119等から構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0021】
(1)筐体
筐体111は、
図1~
図3に示されるように、主に、収容体111a、肩部材111c保護枠111d、マイコン支持部材(図示せず)および電源回路基板支持部材(図示せず)等から構成されており、断熱材(図示せず)、支持台113、フェライトコア(図示せず)、誘導加熱コイル112、センターセンサ114、報知部AL、保温ヒータ115、送風ファンユニット116、ヒートシンク、電源回路基板117、マイコン、電池201、自動巻取式電源コードユニット118およびレバー機構119等を収容している。以下、筐体111の各構成要素について詳述する。
【0022】
収容体111aは、
図1~
図3に示されるように、主に、側壁部111xおよび底壁部111yから形成されている。側壁部111xは、平面視において略角丸長方形を呈する角筒状の囲い壁部位である。底壁部111yは、底面視において略角丸長方形の角皿状部位であって、
図3に示されるように側壁部111xの下側に形成されている。そして、
図3に示されるように、底壁部111yの後側には、筐体111の外部の空気を内部に吸い込むための吸気口SOが形成されており、底壁部111yの前側には、筐体111の内部の空気を外部に排出するための排気口(図示せず)が形成されている。また、
図3に示されるように、底壁部111yの前端部の上側には報知部ALが配置される。なお、
図3に示されるように、吸気口SOの上方には、送風ファンユニット116が配設されている。この送風ファンユニット116が駆動されると、外部の空気が吸気口SOを通って筐体111の内部に吸い込まれ、それによって生じる空気流れにより内部の加熱空気が排気口から系外に排出される。また、この底壁部111yには、
図3に示されるように受皿部RDが形成されている。この受皿部RDは、
図3に示されるように、奥行方向および幅方向の中心付近において、下方に膨らんでいる(凹んでいる/窪んでいる)。
図3に示されるように、この受皿部RDには、複数の排液口EPが形成されている。
【0023】
肩部材111cは、平面視において略角丸長方形状を呈する枠体であって、
図3に示されるように収容体111aの側壁部111xの上側に嵌合されており、収容体111aの上側の開口の縁部を覆っている。この肩部材111cには、内鍋130を挿通させるための略円形の開口が形成されている。また、この肩部材111cの前下側にはレバー機構119が配設されている。そして、
図3に示されるように、この肩部材111cの下側には、保護枠111dが取り付けられている。なお、
図3に示されるように、保護枠111dは保護枠フランジ部FPで肩部材111cに取り付けられている。
【0024】
保護枠111dは、内鍋130の外周を保護すると共に肩部材111cの形状を保つ役目を担う部材であって、
図3に示されるように、主に、内鍋収容部PAおよび保護枠フランジ部FPから形成されている。内鍋収容部PAは、内鍋130の外周を覆う椀状の部位である。なお、この内鍋収容部PAの底壁部中央には開口が形成されており、この開口からセンターセンサ114の先端部が突出している。保護枠フランジ部FPは、上述の通り、肩部材111cの下側に位置しており、肩部材111cを外側に向かって張ることにより肩部材111cの形状を維持している。また、
図3に示されるように、この保護枠フランジ部FPの後側には、ヒンジ部品150が締結されている。
【0025】
マイコン支持部材は、ガラス繊維強化エポキシなどの耐熱性樹脂等から形成されており、マイコンを支持する役目を担っている。また、マイコン支持部材は、肩部材111cの内側且つ操作パネル(図示せず)の下側に配置され、肩部材111cに固定されている。また、マイコン支持部材は、収容体111aに対して係止されている。
【0026】
電源回路基板支持部材は、ガラス繊維強化エポキシなどの耐熱性樹脂等から形成されており、電源回路基板を支持する役目を担っている。また、電源回路基板支持部材は、収容体111aの内側に配置され、収容体111aの底壁部111yに締結される。
【0027】
(2)誘導加熱コイル
誘導加熱コイル112は、内鍋130を誘導加熱するためのものであって、
図3に示されるように、支持台113の底部の下面および側部下側の外周面に取り付けられている。
【0028】
(3)断熱材
断熱材は、保護枠111dの内鍋収容部PAの外周および誘導加熱コイル112の外周に巻き付けられており、炊飯時において内鍋130から生じる熱が内鍋収容部PAの外側に放出するのを抑制する役割を担っている。
【0029】
(4)支持台
支持台113は、誘導加熱コイル112、センターセンサ114およびフェライトコアを保持する。また、この支持台113には、センターセンサ114と保護枠111dの開口との間から侵入してくる水等の液体を排液するための排液路が形成されている。
【0030】
(5)フェライトコア
フェライトコアは、誘導加熱コイル112への通電時に生じる磁束を外部に出さないようにするための部材であって、上述の通り、支持台113に保持されている。
【0031】
(6)センターセンサ
センターセンサ114は、内鍋130の底部の温度を検知すると共に内鍋130の有無を検知するためセンサであって、支持台113により上下移動自在に支持されており、コイルバネによって上方に向かって付勢されている。
【0032】
(7)報知部
報知部ALは、使用者に対して音で報知するためのもの(例えば、スピーカーなど)であって、マイコンのマイクロコンピュータMCからの指令に基づいて音を出力する。
【0033】
(8)保温ヒータ
保温ヒータ115は、炊飯後の炊きあがったご飯を保温するためのヒータであって、
図3に示されるように肩部材111cの内部に配設されている。
【0034】
(9)送風ファンユニット
送風ファンユニット116は、軸流ファンおよびヒートシンク等から構成されるものであって、上述の通り、筐体111の収容体111aの底壁部111yの吸気口SOの上方に、ファンの回転軸が略上下方向に沿うようにして配設されている。すなわち、この送風ファンユニット116中の送付ファンが駆動されると、外部の空気が吸気口SOから吸い込まれて筐体111内に流入し、そのまま上方に向かって送られる。上方に向かって送られた外部の空気は、ヒートシンクを通って電源回路基板117などに供給されて、それらの部材等を冷却する。
【0035】
(10)ヒートシンク
ヒートシンクは、外部の空気と効率よく熱交換を行わせるための部品である。
【0036】
(11)電源回路基板
電源回路基板117は、電源回路を構成する基板であって、AC電源、インバータ、スイッチング電源、いくつかの発熱部品を実装している。なお、この電源回路基板117は、
図3に示されるように筐体111の後側空間Srに収容されている。そして、この電源回路基板117は、
図20に示されるように、制御回路基板CBに通信接続されている。
【0037】
(12)マイコン
マイコンは、マイクロコンピュータMCであり、センターセンサ114、誘導加熱コイル112、保温ヒータ115、報知部AL等に通信接続されている。なお、マイクロコンピュータMCにはメモリが搭載されており、炊飯制御、保温制御、圧力制御などの制御を実行するための各種プログラムやデータ等がメモリに格納されている。そして、マイクロコンピュータMCは、センターセンサ114から受け取った測定温度情報を基に内鍋130が本体110から取り出されたか否かを判断したり、誘導加熱コイル112や保温ヒータ115の出力を制御したり、時間を計測したりする。なお、マイコンは、肩部材111cの内側且つ操作パネルの下側に配設され、マイコン支持部材に支持されている。また、このマイコンは、後述の制御回路基板CBと通信接続されている。
【0038】
(13)電池
電池201は、差込プラグPLが外部電源に接続されていない場合や停電等の理由で外部電源からの電力供給が遮断された際に、マイクロコンピュータMC、後述する情報表示パネルDIおよび制御回路基板CBへ電力供給を行う、いわゆるバックアップ電源として機能する。これにより、制御回路基板CB内のマイクロコンピュータMC等は、上述の場合でも電池201から供給される電力を利用して動作することができる。
【0039】
(14)自動巻取式電源コードユニット
自動巻取式電源コードユニット118は、電源コードおよび自動巻取機構(図示せず)等から構成されており、
図3に示されるように筐体111の後側の空間に収容されている。電源コードは、差込プラグPL(
図1および
図2参照)および電気線(図示せず)から構成されている。差込プラグPLは、電気線の先端に配設されている。電気線は、伸展自在に自動巻取機構に巻回されている。
【0040】
(15)レバー機構
レバー機構119は、蓋体140の開閉を司る機構であって、主として、開レバー119a、ストッパー(図示せず)およびバネ部材(図示せず)等から構成されており、上述の通り、肩部材111cの前下側に配設されている(
図3参照)。
【0041】
開レバー119aは、蓋体140を開くための揺動型のレバーであって、
図1~
図3に示されるように筐体111の収容体111aの前側上端において前方に突出するように配設されている。そして、この開レバー119aは、バネ部材を介してストッパーに押圧力を付与する。開レバー119aから押圧力を付与されたストッパーは、その回動軸を基点として回動する。使用者が開レバー119aを下方へ回動させると、本体110に対する蓋体140の係止が解除され、蓋体140が開く。
【0042】
ストッパーは、主に、回動軸、係止部および押圧力受け部から構成されており、本体110の収容体111aに回動(揺動)可能に設けられている。係止部は、先端部分が屈曲した形状を有しており、ストッパーの上端側に設けられている。そして、この係止部は、蓋体140が閉じられる際、蓋体140の爪部材NPの爪部を係止する。
【0043】
2.内鍋
内鍋130は、上方に開口する椀状の鍋であって、肩部材111cの開口に挿通されると共に、保護枠111dの内鍋収容部PAに所定の隙間をもって収容される。なお、ここで、内鍋130は、種々のアルミニウム合金およびステンレス合金の多層体(クラッド材)であって、誘導加熱コイル112によって誘導加熱され得る。
【0044】
3.鍋蓋
鍋蓋135は、
図3に示されるように内鍋130の蓋であって、少量のお米を炊く際に必要とされるものである。
【0045】
4.蓋体
蓋体140は、
図3および
図4に示されるように、主に、蓋基板141、爪部材NP、外装体142、操作ボタン群143、情報表示パネルDI、圧力調整装置144、断電時圧力開放弁145、蒸気処理ユニット147、蒸気センサ148、蓋ヒータ(図示せず)、制御回路基板CB、内蓋146、圧力異常時開放弁149およびパッキンPKから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0046】
(1)蓋基板
蓋基板141は、制御回路基板CB、爪部材NP、圧力調整装置144、断電時圧力開放弁145のソレノイド145a、蒸気処理ユニット147および蒸気センサ148等の部品・部材を支持するものである(
図4参照)。また、
図4および
図10に示されるように、この蓋基板141の側面側の部位には補強構造ZJが構築されている。また、
図4に示されるように、この蓋基板141の後端にはヒンジ部品150が締結されている。そして、このヒンジ部品150により、本体110に対して蓋体140が開閉可能となっている。なお、このヒンジ部品150では、ねじりバネ(図示せず)によって蓋体140が開方向に向かって付勢されている。また、この蓋基板141の下面には、着脱自在に内蓋146が配設されている。
【0047】
また、この蓋基板141には、
図17に示されるように受け部CVが形成されている。この受け部CVは、
図17に示されるように、内蓋146の基板部146a上に配設されている弁組立体145bを受け入れる部位である。そして、蓋基板141に対して内蓋146が装着されると、この受け部CVは、
図17に示されるように弁組立体145b(後述)の弁箱部VXを覆う。なお、
図17に示されるように、この受け部CVの上側には案内部材GUが装着されている。案内部材GUは、ソレノイド145aのプランジャPG(後述)が固定鉄芯側に移動する際にソレノイド145aの弁体操作体VPが上側に反りかえらずしっかりと弁組立体145bの弁棒VLおよび弁体VZを押し下げるように弁体操作体VPを案内することを目的として蓋基板141に対して装着される部材であって、
図17に示されるように弁棒VLの頭部HTの上方に位置している。そして、この案内部材GUと弁棒VLの頭部HTとの間にソレノイド145aの弁体操作体VPが通る(
図17および
図19参照)。
【0048】
(2)爪部材
爪部材NPは、一対の爪部を有する金属製部材であって、
図4に示されるように、蓋基板141の前側に配設されている。なお、蓋体140を閉じる際、この爪部材NPの爪部は、本体110のレバー機構119によって係止される。
【0049】
(3)外装体
外装体142は、
図1~
図3に示されるように、略直方体状のカバー部材であって、蓋基板141の上側を覆っている。なお、ここで、操作ボタン群143は、
図1および
図2に示されるように、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、この外装体142には、
図1および
図2に示されるように蒸気口BOが形成されている。
【0050】
(4)操作ボタン群
操作ボタン群143は、例えば、発停ボタンや、炊飯方法の選択ボタン等から成るものであって炊飯器100の運転方法を使用者に選択させるためのものである。そして、この操作ボタン群143中の各操作ボタンは、上述の通り、上面が外装体142の上側に露出するように外装体142に取り付けられている。また、各操作ボタンは、操作基板に実装されており、コイルバネ(図示せず)によって上方に向かって付勢されている。
【0051】
(5)情報表示パネルDI
情報表示パネルDIは、
図1および
図2に示されるように操作ボタン群143の直ぐ後ろに配設されている。また、
図23に示されるように、この情報表示パネルDIには、炊飯メニュー情報RI、炊飯経過情報、時刻表示TD、「圧力」表示PI等の各種情報が表示される。また、使用者は、操作ボタン群143における操作状況を情報表示パネルDIにより確認することができる。
【0052】
(6)圧力調整装置
圧力調整装置144は、蓋体140が閉状態とされて圧力炊飯運転されている状態において、内鍋130の内部の圧力を約1.05~約1.25気圧に調整するものであって、
図5、
図6および
図11に示されるように、主に、器部材144a、上下動部材144b、回転部材144c、上側ハードカバー144d、収容部材144e、接合ピン144f、内側コイルバネSGi(
図11および
図12参照)、中間コイルバネSGm(
図11および
図12参照)、外側コイルバネSGo(
図11および
図12参照)、下側ソフトカバー144g、閉塞弁144h、ステッピングモータ144i(
図4、
図12および
図14参照)および歯車144jから構成されている。以下、上述の各構成要素について詳述した後、圧力調整装置144の圧力調整機能につき詳述する。
【0053】
(6-1)圧力調整装置の構成要素
(a)器部材
器部材144aは、上記部材の組付けの基本となる部材であって、
図6に示されるように、主に、円環底壁部CR、部分円筒側壁部CC、位置決めピン部PP、カバー取付部VBおよび締結部ABから形成されている。
【0054】
円環底壁部CRは、回転部材144cを載置すると共に上下動部材144bの下方への移動距離を規制する部位である(
図6および
図11参照)。なお、
図11に示されるように、この円環底壁部CRの内縁部EIは一段低い形状とされており、この内縁部EIに外側コイルバネSGoが鎮座している。また、この円環底壁部CRの開口径は、上下動部材144bのバネ受け部WSの径よりも小さく設計されている。このため、上下動部材144bの下方への移動は、バネ受け部WSまでに規制されている。また、
図6に示される通り、この円環底壁部CRは、一部が円弧状に切りかかれている。なお、この切り欠き部分RCは、円環底壁部CRのうち部分円筒側壁部CCが存在しない位置に形成されている。そして、この切り欠き部分RCには、歯車144jの一部が進入される。
【0055】
部分円筒側壁部CCは、
図6に示されるように部分円筒形状を呈する部位であって、円環底壁部CRの外縁部から上方に向かって延びている。
【0056】
位置決めピン部PPは、上側ハードカバー144dの取付け向きを規制する部位であって、
図6に示されるように器部材144aの軸を挟むように一対形成されており、部分円筒側壁部CCの上端面から上方に向かって延びている。なお、これらの位置決めピン部PPは、上側ハードカバー144dに形成される位置決め孔(図示せず)に挿通される。
【0057】
カバー取付部VBは、上側ハードカバー144dをビス止めするための部位であって、
図6に示されるように器部材144aの軸を挟むように一対形成されており、部分円筒側壁部CCの側面から外方に向かって延びている。なお、このカバー取付部VBに上側ハードカバー144dの取付部VCが嵌め込まれた後にビスが螺入されることによって器部材144aに上側ハードカバー144dが取り付けられる。
【0058】
締結部ABは、圧力調整装置144を蓋体140の蓋基板141に締結するための部位であって、
図6に示されるように部分円筒側壁部CCの側面から外方に向かって三方に向かって延びている。そして、これらの締結部ABは、蓋基板141の被締結部(図示せず)と位置決めされた状態でビス止めされる。
【0059】
(b)上下動部材
上下動部材144bは、回転部材144cの回転に伴って上下動する部材であって、
図6に示されるように、主に、基板部BP、中央突起部CP、内周側突起部PRi、外周側突起部PRo、バネ受け部WSおよび脚部LGから形成されている。
【0060】
基板部BPは、略円盤状の部位である。この基板部BPの下面の外周部には、バネ受け溝GBが形成されている。
図11に示されるように、このバネ受け溝GBには、中間コイルバネSGmの上端部位が嵌まり込んでいる。
【0061】
中央突起部CPは、
図6に示されるように、基板部BPの中央部位から上方に向かって延びる円柱状の部位であって、回転部材144cの案内筒部GDに挿入されている。
【0062】
内周側突起部PRiは、
図6に示されるように、基板部BPの上面のうち中央突起部CPの形成部位よりも外周側に位置する内周側部位から上方に向かって延びる略直角三角形状の板状部位であって、回転部材144cの内周側突起部IKと同一の円周軌道上に位置している。すなわち、回転部材144cが一回転する間、この内周側突起部PRiは、一定の位置で回転部材144cの内周側突起部IKに当接することになる(
図6および
図7参照)。
【0063】
外周側突起部PRoは、
図6に示されるように、基板部BPにおいて中央突起部CPの形成部位よりも外周側に位置する外周側部位(上記内周側部位の外周側に位置する部位)から上方に向かって延びる略直角三角形状の板状部位であって、回転部材144cの外周側突起部IYと同一の円周軌道上に位置している。すなわち、回転部材144cが一回転する間、この外周側突起部IYは、一定の位置で回転部材144cの外周側突起部IYに当接することになる。なお、この外周側突起部PRoの形状および高さは、内周側突起部PRiの形状および高さとほぼ同一であり、また、外周側突起部PRoと内周側突起部PRiとは中央突起部CPの軸に対して点対称の関係にある(
図6および
図8参照)。
【0064】
バネ受け部WSは、
図11に示されるように基板部BPの外縁から外方に向かって延びる円環部位である。そして、このバネ受け部WSの下には、バネ受け溝GCが形成されている。
図11に示されるように、このバネ受け溝GCには、外側コイルバネSGoの上端部位が嵌まり込んでいる。
【0065】
脚部LGは、
図6に示されるように、円筒体に数本のスリットSLを入れた部位であって、基板部BPの下面から下方に向かって延びている。この脚部LGは、収容部材144eの円筒部ACの外周側に位置している(
図11参照)。また、脚部LGのスリットSLには、収容部材144eの案内羽根GWが差し込まれている(
図6参照)。これによって脚部LGに対する収容部材144eの自転が規制されていると共に、脚部LGに対する収容部材144eの上方向の移動距離が規制されている。
【0066】
(c)回転部材
回転部材144cは、ステッピングモータ144iにより歯車144jを介して回転させられる部材であって、
図6に示されるように、主に、円筒壁部WO、天壁部WT、案内筒部GD、歯部GR、内周側突起部IKおよび外周側突起部IYから形成されている。
【0067】
円筒壁部WOは、
図6に示されるように略円筒形状を呈する壁部位である。
【0068】
天壁部WTは、
図6に示されるように略円盤板形状を呈する部位であって、円筒壁部WOの上側の大部分を覆っている。また、
図6に示されるようにこの天壁部WTの中央には、案内筒部GDが貫通配置されている。
【0069】
案内筒部GDは、
図6に示されるように、有蓋の円筒部位であって、天壁部WTの中央から上端部が突出するように形成されている。そして、この案内筒部GDには、上下動部材144bの中央突起部CPが上下移動自在に挿入されている。なお、
図6に示されるように、この案内筒部GDの蓋部GHにはリーク孔LPが形成されている。
【0070】
歯部GRは、
図5、
図6および
図11に示されるように円筒壁部WOの下端部に全周に亘って形成されている。そして、この歯部GRは、歯車144jのハブに噛み合っている。
【0071】
内周側突起部IKは、
図6、
図7および
図8に示されるように天壁部WTの下面のうち案内筒部GDの形成部位よりも外周側に位置する内周側部位から下方に向かって延びる、展開時に直角三角形を呈する部分円筒部位であって、上下動部材144bの内周側突起部PRiと同一の円周軌道上に位置している。また、下面図である
図9において、内周側突起部IKは、時計方向回りに約3時から約11時まで延びている(平面透視図では、反時計回りに約9時から約1時まで延びている。)。また、この内周側突起部IKは、下面視において時計方向回りに約3時から約11時に向かうに従って上方に傾斜している(平面透視図では、反時計回りに約9時から約1時に向かうに従って下方に傾斜している。)。このため、内周側突起部IKは、回転部材144cが一回転する間、一定の位置で上下動部材144bの内周側突起部PRiに当接して上下動部材144bを上下動させる。より詳細に述べると、平面透視において、回転部材144cが正転する場合(時計方向に回転する場合)、内周側突起部IKは上下動部材144bを押し下げる。また、平面透視において、回転部材144cが逆転する場合(反時計方向に回転する場合)、外側コイルバネSGoによって上下動部材144bが押し上げられる。
【0072】
外周側突起部IYは、
図6、
図7および
図8に示されるように天壁部WTの下面のうち案内筒部GDの形成部位よりも外周側に位置する外周側部位(上記内周側部位の外周側に位置する部位)から下方に向かって延びる、展開時に直角三角形を呈する部分円筒部位であって、上下動部材144bの外周側突起部PRoと同一の円周軌道上に位置している。また、下面図である
図9において、外周側突起部IYは、時計方向回りに約5時から約5時まで(すなわち一周するように)延びている。また、この外周側突起部IYは、下面視において時計方向回りに約5時から約5時に向かうに従って上方に傾斜している。このため、外周側突起部IYは、回転部材144cが一回転する間、一定の位置で上下動部材144bの外周側突起部PRoに当接して上下動部材144bを上下動させる。より詳細に述べると、平面透視において、回転部材144cが正転する場合(時計方向に回転する場合)、外周側突起部IYは上下動部材144bを押し下げる。また、平面透視において、回転部材144cが逆転する場合(反時計方向に回転する場合)、外側コイルバネSGoによって上下動部材144bが押し上げられる。
【0073】
ところで、下面視において、案内筒部GDを挟んで対向する内周側突起部IKおよび外周側突起部IYの各箇所の高さは同一とされている。
【0074】
(d)上側ハードカバー
上側ハードカバー144dは、
図5、
図6および
図11に示されるように、器部材144aと共に上下動部材144bおよび回転部材144cを収容するための部材であって、主に、カバー本体MB、取付部VCおよびモータ支持壁WMから形成されている。
【0075】
カバー本体MBは、
図5および
図6に示されるように円環蓋部CXおよびドーム部DMから形成されている。
図11に示されるように、円環蓋部CXは、回転部材144cの歯部GRの上側を覆っており、ドーム部DMは、回転部材144cの円筒壁部WO、天壁部WTおよび案内筒部GD等の上側を覆っている。また、このドーム部DMの中央には、開口OIが形成されている。そして、この開口OIには、回転部材144cの案内筒部GDの上端部位が回転可能に挿通されている。
【0076】
取付部VCは、上側ハードカバー144dを器部材144aにビス止めするための部位であって、
図11に示されるように、上記開口OIを挟むように一対形成されており、ドーム部DMの下端部から外方に向かって延びている。なお、この取付部VCに器部材144aのカバー取付部VBが嵌め込まれた後にビスが螺入されることによってこの上側ハードカバー144dが器部材144aに取り付けられる。
【0077】
モータ支持壁WMは、
図6に示されるように、カバー本体MBの脇に形成されており、ステッピングモータ144iを、シャフトSTが下方に向かうようにして支持している。
【0078】
(e)収容部材
収容部材144eは、
図11に示されるように内側コイルバネSGiを収容すると共に中間コイルバネSGmを支持する部材であって、
図6に示されるように円筒部AC、円環部PS、下側フランジ部FT、支持リブRSおよび案内羽根GWから形成されている。
【0079】
円筒部ACは、円筒形状を呈する部位である。そして、
図11に示されるように、この円筒部ACの高さ方向略中央の内部には、円環部PSが形成されている。
【0080】
円環部PSは、略円環状の部位であって、上述の通り、円筒部ACの高さ方向略中央の内周面から軸に向かって延びている。そして、
図11に示されるように、この円環部PSの中央開口には、頭部HDが円環部PSの上に位置するように接合ピン144fが挿通されている。
【0081】
下側フランジ部FTは、
図6に示されるように円筒部ACの下端部から外方に向かって延びている。
【0082】
支持リブRSは、中間コイルバネSGmを位置決めするリブであって、
図6に示されるように円筒部ACの上端面の内周側部位から上方に向かって延びている。
【0083】
案内羽根GWは、
図6に示されるように複数箇所において円筒部ACの外周面から外方に向かって延びている。そして、この案内羽根GWは、上下動部材144bの脚部LGのスリットSLに嵌め込まれている。
【0084】
そして、
図11に示されるように、この収容部材144eには、接合ピン144fにより閉塞弁144hが接合されている。すなわち、収容部材144e、接合ピン144fおよび閉塞弁144hは一体化されており、閉塞弁144hが押し上げられたり押し下げられたりする際、収容部材144eおよび接合ピン144fも同時に押し上げられたり押し下げられたりする。
【0085】
(f)接合ピン
接合ピン144fは、
図11に示されるように収容部材144eと閉塞弁144hとを連結する部材であって、
図6に示されるように主に、胴部BMおよび頭部HDから形成されている。胴部BMは、略切頭円錐形状を有する部位である。そして、この胴部BMの大径側には頭部HDが形成されている。頭部HDは、
図6に示されるように、円盤状の部位であって、胴部BMの大径側に形成されている。なお、ここで、
図6および
図11から明らかな通り、頭部HDの径は、胴部BMの大径側の端部の径よりも大きい。すなわち、この接合ピン144fは、胴部BMの軸を含む面で切ったとき、T字状となっている。
【0086】
(g)内側コイルバネ
内側コイルバネSGiは、
図11および
図12に示されるように収容部材144eの収容空間Saにおいて、収容空間Saの底に位置する接合ピン144fの頭部HDの上に鎮座している。なお、この内側コイルバネSGiは、上下動部材144bが下降させられる際、上下動部材144bの基板部BPに当接し得る。
【0087】
(h)中間コイルバネ
中間コイルバネSGmは、
図11および
図12に示されるように収容部材144eの支持リブRSの外側の部位と上下動部材144bの基板部BPのバネ受け溝GBとの間に挟みこまれている。すなわち、この中間コイルバネSGmは、上下動部材144bを上方に向かって付勢している。
【0088】
(i)外側コイルバネ
外側コイルバネSGoは、
図11および
図12に示されるように器部材144aの内縁部EIと上下動部材144bのバネ受け部WSとの間に挟みこまれている。すなわち、この外側コイルバネSGoは、上下動部材144bを上方に向かって付勢している。
【0089】
(j)下側ソフトカバー
下側ソフトカバー144gは、シリコーンゴムやエラストマーから形成される可撓性部材であって、
図6に示されるように下側円環部CU、蛇腹部SNおよび上側円環部OUから形成されている。
【0090】
下側円環部CUは、収容部材144eの下側フランジ部FTと閉塞弁144hの円盤部BJの上面の外周側部位とによって挟みこまれている(
図11参照)。
【0091】
蛇腹部SNは、
図6に示されるように、下側円環部CUの外縁から上方に向かって延びており、収容部材144eの円筒部ACの外周を覆っている。そして、この蛇腹部SNは、収容部材144e、接合ピン144fおよび閉塞弁144hの上下動に伴って伸縮する。
【0092】
上側円環部OUは、
図6に示されるように、蛇腹部SNの上端から外方に向かって広がっており、蓋基板141の載置部SIと器部材144aの円環底壁部CRとによって挟みこまれている。すなわち、下側ソフトカバー144gによって、閉塞弁144h以外の構成要素が、内鍋130の内部空間と遮断されている。
【0093】
(k)閉塞弁
閉塞弁144hは、内蓋146の弁座部材VSの開口VOを開閉する部材であって、主に、円盤部BJおよび差込部BKから形成されている。円盤部BJは、上述の通り、収容部材144eの円筒部ACと共に、下側ソフトカバー144gの下側円環部CUを挟みこんでいる。差込部BKは、略円筒形状を呈する部位であって、接合ピン144fにより閉塞弁144hを収容部材144eに接合するために形成されている。
【0094】
(l)ステッピングモータ
ステッピングモータ144iは、通常のステッピングモータであって、
図12に示される通り、シャフトSTが下方に延びるように上側ハードカバー144dのモータ支持壁WMに支持されている。なお、このステッピングモータ144iは、正逆回転可能となっている。そして、このステッピングモータ144iは、制御回路基板CBに通信接続されている。
【0095】
(m)歯車
歯車144jは、平歯車であって、
図12に示されるようにステッピングモータ144iのシャフトSTの先端部に取り付けられている。また、この歯車144jは、回転部材144cの歯部GRと噛み合っている。すなわち、ステッピングモータ144iが駆動されると、この歯車144jが回転し、その結果、回転部材144cが、歯車144jの回転方向と逆の回転方向に回転する。
【0096】
(6-2)圧力調整装置の圧力調整機能
この圧力調整装置144では、
図20に示すようにステッピングモータ144iが制御回路基板CBのマイクロコンピュータの指令を受けて制御されることによって、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiの少なくとも中間コイルバネSGmの付勢力が調整される。そして、これによって内鍋130内の圧力調整が実現されている。以下、この圧力調整装置144の圧力調整機能について詳述する。
【0097】
先ず、
図6、
図9、
図11および
図12を用いて、内鍋130の内部が加圧されない場合の圧力調整装置144の状態を説明する。
【0098】
内鍋130の内部を加圧しない場合、
図6、
図9、
図11および
図12に示されるように、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoに当接しない状態(すなわち、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoが形成されていない部位に当接する状態)になるようにステッピングモータ144iが制御される。この状態では、上下動部材144bは、
図11および
図12に示されるように外側コイルバネSGoによって上端にまで押し上げられている。この結果、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの上端部から離間した状態となり、内蓋146の弁座部材VSの開口VOが開放される。このため、この状態では、内鍋130の内部が加圧されない。
【0099】
次に、
図13および
図14を用いて、内鍋130の内部が加圧される場合の圧力調整装置144の状態を説明する。
【0100】
内鍋130の内部を加圧する場合、
図13および
図14に示されるように、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYが上下動部材144bの内周側突起部PRiおよび外周側突起部PRoに当接して、回転部材144cが上下動部材144bを連続的に押し下げるようにステッピングモータ144iが制御される。そして、回転部材144cの内周側突起部IKおよび外周側突起部IYによって、上下動部材144bが外側コイルバネSGoの付勢力に抗して押し下げられると、
図13および
図14に示されるように、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの開口VOを閉塞する状態となる。そこからさらに上下動部材144bが押し下げられると、上下動部材144bが中間コイルバネSGmの付勢力に抗して押し下げられ、中間コイルバネSGmが縮み、内側コイルバネSGiの上端部に当接するようになる。そして、そこからさらに上下動部材144bが押し下げられると、上下動部材144bが中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiの付勢力に抗して押し下げられ、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiが縮む。
【0101】
上述のようにして、中間コイルバネSGm、あるいは、中間コイルバネSGmおよび内側コイルバネSGiが縮むことによって、内蓋146の弁座部材VSの上端部に対する閉塞弁144hの押圧力が高まり、閉塞弁144hが開きにくくなる。すなわち、閉塞弁144hの押圧力は、非加圧状態からの上下動部材144bの移動距離に応じて高められることなる。したがって、内鍋130の内部も非加圧状態からの上下動部材144bの移動距離に応じて高められることなる。
【0102】
(7)断電時圧力開放弁
断電時圧力開放弁145は、
図16および
図17に示されるように、主に、ソレノイド145aおよび弁組立体145bから構成されている。なお、本実施の形態において、ソレノイド145aは蓋基板141上に配設されており、弁組立体145bは、内蓋146の基板部146a上に配設されている(
図15、
図17および
図21参照)。すなわち、この断電時圧力開放弁145は、蓋基板141に対して内蓋146が取り付けられたときに完成することになる。なお、
図4に示されるように、ソレノイド145aおよび圧力調整装置144は、蓋基板141の中央部において近接配置されている。以下、断電時圧力開放弁145の各構成要素について詳述した後、断電時圧力開放弁145の圧力調整機能につき詳述する。
【0103】
(7-1)断電時圧力開放弁の構成要素
(a)ソレノイド
ソレノイド145aは、プル式のソレノイドであって、
図16および
図17に示されるように、主に、フレームFM、プランジャPG、連結部材PX、弁体操作体VP、固定鉄芯(図示せず)、ボビン(図示せず)、コイル(図示せず)およびコイルバネCSから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0104】
フレームFMは、強磁性体から形成される筐体であって、
図16および
図17に示されるように、固定鉄芯、ボビン、コイルを収容している。また、このフレームFMには、
図16~
図19に示されるように、プランジャPGが水平移動可能に支持されている。
【0105】
プランジャPGは、上述の通り、出没自在にフレームFMに支持されている。このプランジャPGは、
図16~
図19に示されるように連結部材PXを介してコイルバネCSによって前方に付勢されている。なお、このプランジャPGは、コイルへの通電によって生じた磁束が固定鉄芯を通ると、コイルバネCSの付勢力に抗して固定鉄芯に引き寄せられ、その結果、固定鉄芯側に移動する。一方、このプランジャPGは、コイルへの通電が遮断されてプランジャPGに対する固定鉄心の引力が喪失すると、コイルバネCSによって固定鉄芯側の反対側すなわち弁組立体145b側に移動する。また、
図16および
図17に示されるように、このプランジャPGには連結部材PXを介して弁体操作体VPが接合されている。
【0106】
連結部材PXは、略直方体形状の枠状部材であって、
図16~
図19に示されるように、弁体操作体VPを固定すると共に、プランジャPGの先端に形成されている頭部Prに嵌め込まれている。すなわち、この連結部材PXは、プランジャPGと弁体操作体VPと連結している。
【0107】
弁体操作体VPは、弁棒VLおよび弁体VZを上下方向に沿って移動させるものであって、
図17に示されるようにその長手方向が水平方向に沿うように連結部材PXを介してプランジャPGの頭部Prに取り付けられている。すなわち、この弁体操作体VPは、プランジャPGと一体に動作することになる。また、
図17に示されるように、この弁体操作体VPは、先端部TPが基端側から先端側に向かうに従って下方に傾斜するように形成されている。なお、この傾斜面の傾斜角度は、弁棒VLの頭部HT(後述)の傾斜角度と同様に、水平面に対して40°とされている。そして、この弁体操作体VPは、ソレノイド145aのプランジャPGが固定鉄芯側に移動するときに、
図17に示されるように弁組立体145bの弁棒VLおよび弁体VZを押し下げる。一方、ソレノイド145aのプランジャPGが固定鉄芯側の反対側すなわち弁組立体145b側に移動すると、コイルバネCSの付勢力によって弁棒VLおよび弁体VZが押し上げられる。
【0108】
固定鉄芯は、プランジャPGの突出側の反対側においてフレームFMに固定されており、上述の通り、磁束が通過するとプランジャPGを引き付ける。
【0109】
ボビンは、絶縁銅線を巻き付けてコイルを作製するために用いられるものである。また、このボビンは、コイルにより発生した磁気をよく通す。また、このボビンには、プランジャPGが移動可能に挿通されている。
【0110】
コイルは、上述の通り、絶縁銅線がボビンに巻き付けられることによって形成されるものであって、電流が流されると磁束を発生させる。
【0111】
コイルバネCSは、
図16~
図19に示される通り、フレームFMの前壁Wfと連結部材PXとの間に配設されており、プランジャPGをボビンの軸方向に沿って前方に付勢している。
【0112】
(b)弁組立体
弁組立体145bは、上述の通り、内蓋146の基板部146a上に配設されており、
図16および
図17に示されるように、主に、弁箱部VX、弁体VZ、弁棒VL、弁座部VFおよびコイルバネSRから構成されている。以下、これらの構成要素について詳述する。
【0113】
弁箱部VXは、
図16、
図17および
図21に示されるように有蓋円筒形状を呈しており、弁体VZおよびコイルバネSRを収容している。また、
図16、
図17および
図21に示されるようにこの弁箱部VXの蓋部には開口が形成されており、その開口には弁棒VLの本体部MY(後述)が挿通されている。なお、
図16および
図17に示されるように、弁棒VLのバネ受け部AS(後述)は弁箱部VXの内部に位置しており、弁棒VLの頭部HT(後述)は弁箱部VXの外に位置している。
【0114】
弁体VZは、上述の通り、弁箱部VXに収容されており、弁棒VLの下端に取り付けられている。そして、この弁体VZは、弁座部VFに当接することによって弁口OVを閉塞することができる一方(
図17参照)、弁座部VFから離間することによって弁口OVを開放することができる(
図19参照)。
【0115】
弁棒VLは、
図17に示されるように、上下方向に沿って延びる部位であって、本体部MY、バネ受け部ASおよび頭部HTから形成されており、上述の通り弁箱部VXの蓋部の開口を通じてその一部が挿通されている。本体部MYは、
図17および
図21に示されるように略円筒形状を呈する部位であって、上下方向に沿って延びている。バネ受け部ASは、
図17に示されるように本体部MYの略中央から外方に向かって延びてから下方に向かって延びる略円筒形状を呈する部位である。そして、このバネ受け部ASの上壁Wuの裏面にコイルバネSRの上端側が当接している。頭部HTは、
図17に示されるように弁棒VLの上端に取り付けられている。この頭部HTは、弁体操作体VPとの接触部位である。
図17に示されるように、この頭部HTのソレノイド配設側の反対側の上側部分は、ソレノイド配設側からその反対側に向かうに従って下方に傾斜している。なお、この傾斜角度は、弁体操作体VPの先端部TPの傾斜角度と同様に、水平面に対して40°とされている。
【0116】
弁座部VFには、弁口OVが形成されている。上述の通り、弁口OVが閉塞される場合、弁座部VFに弁体VZが当接し(
図17参照)、弁口OVが開放される場合、弁座部VFから弁体VZが離間する(
図19参照)。
【0117】
コイルバネSRは、上述の通り、弁箱部VXに収容されている。そして、このコイルバネSRは、弁棒VLのバネ受け部ASと、弁座部VFの弁体当接部位の外周部位との間に配設されており、弁体VZを上方に向かって付勢している。
【0118】
(7-2)断電時圧力開放弁の動作
以下、断電時圧力開放弁145の動作について説明する。
【0119】
ソレノイド145aのコイルに通電がなされると、プランジャPGは、コイルバネCSの付勢力に抗して固定鉄芯に引き寄せられて固定鉄芯側に移動する。これによって、弁体操作体VPがソレノイド145a側に移動して、弁体操作体VPの先端部TPが弁棒VLの頭部HTに当接して弁棒VLおよび弁体VZを押し下げる。この結果、弁体VZが弁座部VFの弁口OVを閉塞する。断電時圧力開放弁145がこの状態になると、圧力調整装置144を用いた圧力炊飯運転が可能となる。
【0120】
一方、例えば、停電等やプラグ抜け等でソレノイド145aのコイルへの通電が遮断されると、プランジャPGは、コイルバネCSによって固定鉄芯側の反対側すなわち弁組立体145b側に移動する。これによって弁体操作体VPがソレノイド側の反対側に移動する。この結果、コイルバネCSの付勢力によって弁棒VLおよび弁体VZが押し上げられ、弁体VZが弁座部VFから離間して弁口OVが開放される。断電時圧力開放弁145がこの状態になると、内鍋内の圧力が上昇しない状態となる。
【0121】
(8)蒸気処理ユニット
蒸気処理ユニット147は、炊飯時に内鍋130から上昇してくる蒸気や、貯まった御粘をトラップして内鍋130に戻すものであって、上述の通り、蓋基板141に支持されている。
【0122】
(9)蒸気センサ
蒸気センサ148は、内鍋130内で発生した蒸気の温度を検知するための一般的な温度センサ(例えば、熱電対やサーミスタ等)である。蒸気センサ148は、上述の通り、蓋基板141に支持されている。
【0123】
(10)制御回路基板
制御回路基板CBは、制御回路を構成する基板であって、マイクロコンピュータMC等の電子部品を実装しており、
図20および
図26に示されるように圧力調整装置144のステッピングモータ144i、断電時圧力開放弁145のソレノイド145a、電圧計測部202等に通信接続されている。また、この電圧計測部202が計測した電池201の電圧を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出する(
図26参照)。なお、マイクロコンピュータMCにはメモリ(揮発性および不揮発性)が搭載されており、メモリには炊飯工程を実行するための各種プログラムやデータ等が格納されている。そして、制御回路基板CBは、本体110のマイコンと通信接続されており、炊飯制御、保温制御、タイマ制御などを実行する。例えば、制御回路基板CBは、炊飯工程における経過時間の情報や、マイクロコンピュータMCが算出した電池201の残量を基に圧力調整装置144のステッピングモータ144i、断電時圧力開放弁145のソレノイド145a、誘導加熱コイル112などを制御したりする。
【0124】
(11)内蓋
内蓋146は、
図3に示されるように内鍋130の上部を覆って密閉するための部材であって、蓋基板141の下側に着脱自在に取り付けられている。内蓋146は、
図21および
図22に示されるように、基板部146a、側壁部146bおよび弁座部材VSから形成されている。基板部146aは、
図21および
図22に示されるように、平面視において略円形状を呈する板状体である。また、基板部146aには、
図21および
図22に示されるように、開口PO、弁口OV、弁口OS、開口OT1および開口OT2が形成されている。開口POには、
図11~
図14および
図21に示されるように、弁座部材VSが嵌め込まれている。弁口OVは、上述の通り、通常時、断電時圧力開放弁145によって閉塞されている。弁口OSは、通常時、圧力異常時開放弁149の閉塞ボール(後述)によって閉塞されている。開口OT1は、蒸気や御粘の通り道として機能する。開口OT2には、
図21および
図22に示されるように、パッキンPKの差込部PK2が差し込まれている。なお、この開口OT1および開口OT2は、圧力炊飯運転時にパッキンPKの本体部PK1によって閉塞される。側壁部146bは、
図21および
図22に示されるように、基板部146aの外縁から上方向に延びている。なお、側壁部146bの外周面には密着部材(例えば、パッキンなど)(図示せず)が取り付けられており、蓋体140が閉状態とされている際に内鍋130の内部空間がこの密着部材によって密閉される。弁座部材VSは、
図11~
図14および
図21に示されるように、円筒形状を呈する部材であって、その上端部が弁座として機能する。また、弁座部材VSの開口VOは、上述の通り、圧力調整口として機能する。
【0125】
(12)圧力異常時開放弁
圧力異常時開放弁149は、内鍋130の内部の圧力を開放するための安全弁であって、
図21に示されるように、内蓋146の基板部146a上に配設されている。圧力異常時開放弁149は、
図21に示されるように、閉塞ボール収容部149aおよび閉塞ボール(図示せず)から形成されている。閉塞ボール収容部149aは、
図21に示されるように、有蓋の略円筒形状を呈している。閉塞ボールは、閉塞ボール収容部149aの内部空間に収容されており、通常時、内蓋146の弁口OSを閉塞している。閉塞ボールは、例えば、圧力炊飯運転時において内鍋130の内部の圧力が異常に高くなった場合に、内鍋130の内部の蒸気によって押し上げられる。そして、内鍋130の内部の蒸気が弁口OSを通じて内鍋130の外に放出され、内鍋130の内部の圧力が開放される。
【0126】
(13)パッキン
パッキンPKは、圧力炊飯運転時に内蓋146の開口OT1および開口OT2を閉塞して内鍋130の内部の圧力を高めるための部材であって、弾性物質(例えば、ゴム等のエラストマ)から形成されている。パッキンPKは、
図21および
図22に示されるように、本体部PK1、差込部PK2および脱落防止部PK3から形成されている。本体部PK1は、
図22に示されるように、平面視において角丸長方形状の板状体である。なお、脱落防止部PK3が内蓋146の基板部146aの上面に載置されている状態において、本体部PK1と内蓋146の基板部146aの底面とは離間している。しかし、圧力炊飯運転時に内鍋130内で発生した蒸気によってパッキンPKが持ち上げられることにより、本体部PK1は、内蓋146の基板部146aの底面に密着し、内蓋146の開口OT1および開口OT2を閉塞する。差込部PK2は、
図22に示されるように、本体部PK1の上面の左右部から上方向に向かって延びており、略円柱状を呈している。差込部PK2は、
図22に示されるように、内蓋146の下側から上側に向かうように内蓋146の開口OT2に差し込まれる。脱落防止部PK3は、
図21および
図22に示されるように、差込部PK2の高さ方向中央部に形成されており、略切頭円錐形状を呈している。
図22に示されるように、差込部PK2が内蓋146の開口OT2に差し込まれる際に、脱落防止部PK3も同様に内蓋146の開口OT2に差し込まれる。
図21に示されるように、脱落防止部PK3は、開口OT2を通り抜け、内蓋146の基板部146aの上面に載置される。なお、脱落防止部PK3の底部の直径は内蓋146の開口OT2の直径より大きいが、パッキンPKは弾性物質から形成されているため、脱落防止部PK3は伸縮することで内蓋146の開口OT2を通り抜けることができる。
【0127】
5.ヒンジ部品
ヒンジ部品150は、上述の通り、蓋体140が本体110に対して回動自在となるように蓋体140を本体110に取り付けている。なお、このヒンジ部品150は、上述の通り、ねじりバネによって蓋体140を開方向に向かって付勢している。
【0128】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器における内鍋の内部の圧力制御の態様>
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、
図24に示されるように、炊飯器100に搭載されている電池201の残量が第1閾値未満となった場合、炊飯器100の内鍋130の内部の加圧が実行されなくなる。以下、
図24を参照しながら、本発明の実施の形態に係る炊飯器100における内鍋130の内部の圧力制御について詳述する。
【0129】
(ステップS101)
まず、外部電源から炊飯器100への電力供給の開始時に、電圧計測部202によって電池201の電圧の計測が行われる。そして、計測された電池201の電圧の値を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出する(
図24および
図26参照)。制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCにより算出された電池201の残量が第1閾値未満であった場合(ステップS102にてYESである場合)には、ステップS103へ移行し、制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCにより算出された電池201の残量が第1閾値以上であった場合(ステップS102にてNOである場合)には、ステップS104へ移行する。
【0130】
なお、ここでいう外部電源から炊飯器100への電力供給の開始時とは、差込プラグPLが外部電源に接続されて炊飯器100へ電力供給が開始された時、あるいは差込プラグPLが外部電源に接続されている状態で炊飯器100へ電力供給が行われている際に停電等の理由により炊飯器100外部からの電力供給が遮断された後、停電等の理由が解消されて炊飯器100へ再び電力供給が行われた際における炊飯器100への電力供給の開始時などが挙げられる。
【0131】
また、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、定期的に電圧計測部202による電池201の電圧の計測を行うよう設定することができる。つまり、炊飯器100の使用者が、例えば、0時0分から24時間毎に電圧計測部202による電池201の電圧の計測を行うように設定したとすれば、その設定後は毎日0時0分に電圧計測部202による電池201の電圧の計測が行われるようになる。この場合においても上述と同様に、電圧計測部202が計測した電池201の電圧値を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出する。その算出された電池201の残量が第1閾値未満であった場合(ステップS102にてYESである場合)には、ステップS103へ移行し、電池201の残量が第1閾値以上であった場合(ステップS102にてNOである場合)には、ステップS104へ移行する。
【0132】
なお、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、
図26に示されるように、電圧計測部202が計測した電池201の電圧値を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出した結果、同電池201の残量が第1閾値未満になった段階で、報知部ALにより、報知が行われる。
【0133】
(ステップS103)
このステップでは、炊飯器100の内鍋130の内部の加圧が実行されなくなる。すなわち、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、上記ステップS102において電池201の残量が第1閾値未満であった場合(
図24において、ステップS102にてYESである場合)には、上述の圧力調整装置144のステッピングモータ144iが制御され、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの上端部から離間した状態となり、内蓋146の弁座部材VSの開口VOが開放される。これにより、炊飯器100の内鍋130の内部が加圧されなくなる(
図6、
図9、
図11、
図12および
図26参照)。
【0134】
(ステップS104)
上記ステップS102において電池201の残量が第1閾値以上であると判断された場合には、使用者は加圧調理を実行することができる。この場合において、上述の圧力調整装置144のステッピングモータ144iによる圧力制御が作動する(
図26参照)。
【0135】
<本発明の実施の形態に係る炊飯器の特徴>
(1)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、電圧計測部202によって電池201の電圧の計測が行われる。そして、計測された電池201の電圧の値を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出する(
図24および
図26参照)。その結果、電池201の残量が第1閾値未満であった場合には、圧力調整装置144のステッピングモータ144iが制御され、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの上端部から離間した状態となり、内蓋146の弁座部材VSの開口VOが開放される。これにより、炊飯器100の内鍋130の内部が加圧されなくなる。このため、使用者は安心して圧力式調理器を使用することができる。
【0136】
(2)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、電圧計測部202による電池201の電圧の計測は外部電源からの電力供給の開始時に行われる。このため、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、外部電源からの電力供給の開始時に、電圧計測部202により計測された電池201の電圧値を基に制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが電池201の残量を算出することができる。また、炊飯器100の使用中に停電等の理由で外部電源からの電力供給が遮断された後、停電等の理由が解消されて電力が復旧した際に再び外部電源から電力供給が行われた時(電力供給遮断後の外部電源からの電力供給の開始時)も電圧計測部202による電池201の電圧の計測が行われる。そして、上述と同様に、制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCによる電池201の残量の算出が行われる。このため、使用者は、炊飯器100の使用前に電池201の残量を確認することができる。
【0137】
(3)
本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、定期的に電圧計測部202による電池201の電圧の計測を行うよう設定することができる。このため、使用者が炊飯器100に搭載されている電池201の残量を確認できる機会を増やすことができる。また、本発明の実施の形態に係る炊飯器100では、電池201の残量が第1閾値未満となった場合、報知部ALにより報知が行われる。このため、使用者に電池201の残量が少ないことを事前に知らせることができ、使用者に電池201の交換をするよう促すことができる。
【0138】
<変形例>
(A)
先の実施の形態では本発明が圧力式の炊飯器100に適用されたが、本発明は、圧力式炊飯器に類する他の調理器や機器に適用されてもかまわない。
【0139】
(B)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、鍋蓋135が設けられていたが、本発明は、鍋蓋135が設けられていなくてもかまわない。
【0140】
(C)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、本体110と蓋体140の両方にマイクロコンピュータMCが搭載されていたが、本体110にのみマイクロコンピュータMCが搭載されていてもよいし、蓋体140にのみマイクロコンピュータMCが搭載されていてもよい。
【0141】
(D)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電池201は本体110側に設けられていたが、蓋体140側に電池201が設けられていてもよく、本体110と蓋体140に電池201が設けられていてもよい。
【0142】
(E)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、圧力調整装置144と断電時圧力開放弁145が搭載されていたが、本発明は、圧力調整装置144(ステッピングモータ144i)のみが搭載されていてもかまわない(つまり、本発明では、断電時圧力開放弁145(ソレノイド145a)が搭載されていなくてもかまわない。)。
【0143】
(F)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電池201の残量の算出は、電圧測定法(電圧計測部202)により計測された電圧値を基に行われていたが、本発明における電池201の残量の算出は、電流測定法により計測された電流値を基に行われてもよい。また、先の実施の形態に係る炊飯器100では、マイクロコンピュータMCが算出した電池201の残量が第1閾値未満となった場合に、圧力調整装置144のステッピングモータ144iの制御が行われたが、電池201の電圧値が第1閾値未満となった場合に、圧力調整装置144のステッピングモータ144iの制御が行われてもよいし、電池201が放電可能な電流値が第1閾値未満となった場合に、圧力調整装置144のステッピングモータ144iの制御が行われてもよい。
【0144】
(G)
先の実施の形態では言及していなかったが、先の実施の形態に係る炊飯器100は、調理方法として加圧調理シーケンスのみを有していた。しかし、本発明は、加圧調理シーケンスおよび非加圧調理シーケンスを有する炊飯器に適用されてもかまわない。かかる場合、その炊飯器では、
図25に示されるように、加圧調理シーケンスの実行中に同炊飯器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満となった場合、加圧調理シーケンスを非加圧調理シーケンスに切り替えて調理を続行する。以下、
図25を参照しながら、同炊飯器において、加圧調理中における内鍋の内部の圧力制御について詳述する。
【0145】
(ステップS105)
上述したように、外部電源から炊飯器への電力供給の開始時には、電圧計測部によって電池の電圧の計測が行われる。そして、計測された電池の電圧値を基に制御回路基板のマイクロコンピュータが電池の残量を算出する。その結果、電池の残量が第1閾値以上であった場合(ステップS102にてNOである場合)には、使用者が加圧調理シーケンスを実行することにより加圧調理を開始することができる。加圧調理シーケンスが実行された場合において、加圧調理シーケンスの実行中に電池の残量が第1閾値未満となった場合(ステップS106にてYESである場合)には、ステップS107へ移行する。加圧調理シーケンスの実行中、電池の残量が第1閾値以上である場合(ステップS106にてNOである場合)には、ステップS108へ移行する。
【0146】
(ステップS107)
このステップでは、加圧調理シーケンスによる加圧調理の実行中に電池の残量が第1閾値未満になった場合(ステップS106にてYESである場合)には、非加圧調理シーケンスによる非加圧調理に切り替える。このとき、加圧調理シーケンスから非加圧調理シーケンスへの切り替えは、上述の炊飯器100において圧力調整装置144のステッピングモータ144iが制御される態様と同様の態様により達成される。すなわち、この炊飯器では、加圧調理シーケンスによる加圧調理の実行中に電池の残量が第1閾値未満となった場合(ステップS106にてYESである場合)には、上述の炊飯器100におけるステップS103と同様に、圧力調整装置144のステッピングモータ144iが制御され、閉塞弁144hが内蓋146の弁座部材VSの上端部から離間した状態となり、内蓋146の弁座部材VSの開口VOが開放される(
図6、
図9、
図11、
図12および
図26参照)。これにより、加圧状態である内鍋の内部の圧力が開放されるとともに、内鍋の内部が加圧されなくなる。なお、この場合において、炊飯器の内鍋の内部が非加圧状態のまま調理が続行される(すなわち、非加圧調理シーケンスによる非加圧調理が続行される。)。
【0147】
(ステップS108)
加圧調理シーケンスの実行中、電池の残量が第1閾値以上である場合には、そのまま加圧調理シーケンスによる加圧調理が続行される。
【0148】
以上により、この炊飯器では、加圧調理シーケンスの実行中に同炊飯器に搭載されている電池の残量が第1閾値未満となった場合、加圧調理シーケンスを非加圧調理シーケンスに切り替えて調理を続行する。このため、この炊飯器は、使用者が電池の残量が少ないことに気がつかないまま加圧調理を実行した場合においても、電池の残量が第1閾値未満となった段階で内鍋の内部の圧力が開放されるとともに加圧が伴わない調理を続行する(非加圧調理に切り替わる。)。これにより、使用者は、炊飯器に搭載されている電池の残量の有無に関わらず、炊飯器による調理を安全に続行することができる。
【0149】
(H)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電圧計測部202による電池201の電圧の計測がなされ、その電圧値から制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが算出した電池201の残量が第1閾値未満になった段階で、報知部ALにより、報知が行われていたが、本発明では、報知部ALを設けていなくてもよい。
【0150】
(I)
先の実施の形態に係る炊飯器100では、電圧計測部202によって電池201の電圧の計測が行われ、その電圧値から制御回路基板CBのマイクロコンピュータMCが算出した電池201の残量が第1閾値未満であった場合には、炊飯器100の内鍋130の内部が加圧されなくなった。しかし、本発明は、この第1閾値以外に、第1閾値よりも大きい閾値が少なくとも一つ設けられていてもよく、かかる場合、電池201の残量が、上記第1閾値よりも大きい閾値で区切られる少なくとも一つの範囲のいずれかの範囲に入った場合、前記範囲に応じて内鍋130の内部の加圧方法が変更されるとよい。例えば、上記第1閾値よりも大きい閾値(以下、「第2閾値」と称することがある。)を一つ設けた場合、電池201の残量が、第2閾値で区切られる範囲に入った際に、内鍋130の内部の加圧方法が変更されるとよい。より具体的には、電池201の残量が第1閾値以上第2閾値未満の範囲内に入った場合、内鍋130の内部の加圧が緩和され、電池201の残量が第1閾値未満になった場合、内鍋130の内部が加圧されなくなる。なお、上記加圧方法を変更する手法としては、圧力調整装置144のステッピングモータ144iによる内鍋130の内部の圧力制御、圧力調整装置144のステッピングモータ144iと断電時圧力開放弁145のソレノイド145aによる内鍋130の内部の圧力制御、あるいは誘導加熱コイル112を制御することによる内鍋130の加熱方法の変更などが挙げられる。また、上記の場合において、第2閾値よりも大きい閾値(以下、「第3閾値」と称することがある。)を設けてもよい。このとき、電池201の残量が第2閾値以上第3閾値未満の範囲内に入った場合、内鍋130の内部の加圧が緩和され、電池201の残量が第1閾値以上第2閾値未満の範囲内に入った場合、内鍋130の内部の加圧がさらに緩和され、電池201の残量が第1閾値未満になった場合、内鍋130の内部が加圧されなくなる。以上のように、本発明では、第1閾値以外に、第1閾値よりも大きい閾値を複数設け、各閾値で区切られる少なくとも一つの範囲のいずれかの範囲に入った場合、その範囲に応じて内鍋130の内部の加圧方法が変更されてもよい。
【0151】
なお、上記変形例は各例単独で適用されてもよいし、複数の例が組み合わされて適用されてもよい。
【符号の説明】
【0152】
100 炊飯器(圧力式調理器)
130 内鍋(容器)
144 圧力調整装置
144i ステッピングモータ
145 断電時圧力開放弁
145a ソレノイド
201 電池
202 電圧計測部
CB 制御回路基板
MC マイクロコンピュータ
AL 報知部
DI 情報表示パネル
PI 「圧力」表示