(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171423
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報伝達装置と情報伝達方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/01 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G06F3/01 560
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088407
(22)【出願日】2023-05-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-02-14
(71)【出願人】
【識別番号】320001558
【氏名又は名称】株式会社エヌアンドエヌ
(74)【代理人】
【識別番号】100185937
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 輝行
(72)【発明者】
【氏名】四宮 孝史
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 明男
(72)【発明者】
【氏名】当麻 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】増田 朗菜
【テーマコード(参考)】
5E555
【Fターム(参考)】
5E555AA08
5E555AA76
5E555AA79
5E555BA23
5E555BA88
5E555BB23
5E555DA24
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】短時間により多くの情報をより確実にユーザへ伝達する情報伝達装置と情報伝達方法を提供することを目的とする。
【解決手段】
上記課題を解決するため、ユーザの異なる位置に装着され、供給された振動情報に応じて振動する複数の振動子R1~R3,U1~U3と、各々の上記振動子R1~R3,U1~U3からユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、上記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形がユーザへ伝達する情報に応じた振動波形となるように特定され、上記ユーザの振動刺激知覚能により識別知覚できる振動刺激を活用した上記複数の振動波形に対応する振動情報を生成して各々の振動子R1~R3,U1~U3へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置に係るリストバンド型発振子11を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの異なる位置に装着され、供給された振動情報に応じて振動する複数の振動子と、
各々の前記振動子から前記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、前記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動波形となるように特定された前記複数の振動波形に対応する振動情報を生成して前記各々の前記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置。
【請求項2】
ユーザに装着され、供給された振動情報に応じて振動する振動子と、
前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動音を前記振動子において発生させるための前記振動情報を生成し、前記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置。
【請求項3】
前記振動情報生成手段は、各種の音データからなるデータベース、及び各々の前記音データに対応した振動情報を含み、供給された音データを前記データベースの構成要素である前記音データと照合することにより前記供給された音データの種類を特定した上で、特定された前記音データに対応した前記振動情報を生成する、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記振動子は前記ユーザの異なる位置に配設され、
前記振動情報生成手段は、前記異なる位置に配設された複数の前記振動子を協調発振させる前記振動情報を生成する、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項5】
前記振動子は一個であり、前記ユーザにおけるいずれか一つの手の指、若しくは腕に配置される、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項6】
前記振動子は、前記ユーザの少なくとも片手において、示指、中指、及び環指を構成する末節骨と中節骨及び基節骨の直上に配置された、請求項1又は2のいずれか一項に記載の情報伝達装置。
【請求項7】
供給された振動情報に応じて振動する振動子と、
前記振動子により生成された振動波を特定の領域へ限定的に波及させる防振手段と、
ユーザへ伝達する情報に応じた前記振動情報を生成し、前記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置。
【請求項8】
前記防振手段は、
前記振動子を内蔵してユーザと狭小部位で当接する保持体と、
前記保持体を包含する防振材を含み、
前記振動情報生成手段は、前記振動子の発振強度を変化させる、請求項7に記載の情報伝達装置。
【請求項9】
前記振動子は、ハンドル若しくはステアリング・ホイールにおいて、前記防振手段により隔てられた異なる領域にそれぞれ内蔵された、請求項7に記載の情報伝達装置。
【請求項10】
前記振動子は、前記ユーザの少なくとも一方の前腕の表面において、橈骨の外側に当たる位置と、尺骨B2の内側に当たる位置に配置された、請求項1、2、7のいずれか一項に記載の情報伝達装置。
【請求項11】
ユーザに装着された複数の振動子による振動により、前記ユーザへ情報を伝達する情報伝達方法であって、
各々の前記振動子から前記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、前記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が前記情報に応じた振動波形となるように、前記複数の振動子を振動させる情報伝達方法。
【請求項12】
ユーザに装着された振動子による振動により、前記ユーザへ情報を伝達する情報伝達方法であって、
前記情報に応じた振動音を前記振動子に発生させることによって、前記情報を前記ユーザへ伝達する情報伝達方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザへ情報を伝達する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ユーザへ装着したデバイスを用いて当該ユーザへ情報を提供する技術は種々知られているが、特許文献1及び2に示されるように、本願の発明者らはこれまでに、ユーザが有する指等の所定の位置に配置された振動子を振動させることによって、当該ユーザへ情報を伝達する技術の開発を進めてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-149890号公報
【特許文献2】特許第7180940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1及び2の技術を深化させていく過程においては、短時間により多くの情報をより確実にユーザへ伝達する技術が求められる。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、短時間により多くの情報をより確実にユーザへ伝達する情報伝達装置と情報伝達方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するため、ユーザの異なる位置に装着され、供給された振動情報に応じて振動する複数の振動子と、各々の上記振動子からユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、上記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形がユーザへ伝達する情報に応じた振動波形となるように特定された上記複数の振動波形に対応する振動情報を生成して各々の振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、上記課題を解決するため、ユーザに装着され、供給された振動情報に応じて振動する振動子と、ユーザへ伝達する情報に応じた振動音を上記振動子において発生させるための振動情報を生成し、上記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、上記課題を解決するため、供給された振動情報に応じて振動する振動子と、上記振動子により生成された振動波を特定の領域へ限定的に波及させる防振手段と、ユーザへ伝達する情報に応じた振動情報を生成し、上記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置を提供する。
【0009】
また、本発明は、上記課題を解決するため、ユーザに装着された複数の振動子による振動により、ユーザへ情報を伝達する情報伝達方法であって、各々の上記振動子からユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、上記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が上記情報に応じた振動波形となるように、上記複数の振動子を振動させる情報伝達方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、上記課題を解決するため、ユーザに装着された振動子による振動により、ユーザへ情報を伝達する情報伝達方法であって、上記情報に応じた振動音を上記振動子に発生させることによって、上記情報をユーザへ伝達する情報伝達方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、短時間により多くの情報をより確実にユーザへ伝達する情報伝達装置と情報伝達方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施の形態に係る情報伝達装置10の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図1に示された情報伝達装置10に係る第1の実施例としての腕輪型(リストバンド型)発振子11の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示されたリストバンド型発振子11の構成を示す断面図である。
【
図4】
図3に示された振動子R1の構成を示す斜視図である。
【
図5】
図1に示された情報伝達装置10に係る第2の実施例としてのグローブ型発振子12の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図1に示された情報伝達装置10に係る第3の実施例としての指輪型発振子13の構成を示す斜視図である。
【
図7】
図1に示された情報伝達装置10に係る第4の実施例としてのハンドル8の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態においては、共振や変調による振動波形を活用することにより、ユーザへ提示する情報量の増大を図ることを特徴としている。ここで、変調は個々に独立した振動子に適用するが、共振若しくは共鳴させる場合には複数の振動子に適用する。なお、共振や共鳴は個々の振動子相互の振動干渉によるものとされる。2つ以上の波動が起す位相による相互作用となるので、近隣に配する他の振動子の波動が必要となる。
【0014】
また、上記振動子は、ユーザの手の指や前腕などに行列配置させることが好適であり、個々の振動子を局所に限定的に起振させる他、必要に応じて振動強度を高めるなどして振動を拡散させる。
【0015】
以下において、このような本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明する。なお、図中同一符号は同一又は相等部分を示す。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態に係る情報伝達装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示されるように、情報伝達装置10は、ユーザに装着されて供給された振動情報に応じて振動する振動子を含む振動部20と、上記ユーザへ伝達する情報に応じた上記振動情報を生成して上記振動子へ供給する振動情報生成部30と、スマートフォン、各種カメラ、全地球測位システム(GPS)、マイク等の外部機器において取得された情報を入力して情報生成部30へ供給する情報入力部40を備える。
【0017】
ここで、上記振動子としては、例えば、起振及び振動波形の変調や発振停止などにおける応答特性が優れた円盤型振動モータが好適であるが、電気的な制御により起振可能な圧電(ピエゾ)素子などを用いても良い。
【0018】
また、振動情報生成部30は、所定のプログラムを実行することにより、情報入力部40から供給された情報に応じて、ユーザへ伝達する情報に応じた上記振動情報を生成する中央演算処理装置(CPU)により構成される。
【0019】
図2は、
図1に示された情報伝達装置10に係る第1の実施例としてのリストバンド型発振子11の構成を示す斜視図である。
図2に示されるように、本実施例における振動部20は、前腕Aに装着されるリストバンド型発振子11に含まれた円盤型振動モータからなる6個の振動子R1~R3,U1~U3により構成される。
【0020】
ここで、
図3に示されるように、前腕Aの表面において、振動子R1~R3は橈骨B1の外側(撓側)に当たる位置に配置され、振動子U1~U3は尺骨B2の内側(尺側)に当たる位置に配置される。より具体的には、振動子R1~R3,U1~U3は橈側手根伸筋、総指伸筋、及び尺側根伸筋に隔てられた対極的な位置近傍における前腕Aの表皮上に配置される。なお、前腕Aと同様に、筋骨の配置を考慮して上腕にも装着することができる。
【0021】
図4は、
図3に示された振動子R1の構成を示す斜視図である。なお、
図4は振動子R1の構成を示したものであるが、
図3に示された他の振動子R2,R3,U1~U3も振動子R1と同じ構成を有する。
【0022】
図4に示されるように、円盤型振動モータ6を内蔵して上記表面と半球面上の狭小部位で当接することにより局所的に振動を伝える振動子ホルダHと、振動子ホルダHを包含する防振部材7により構成される。ここで、例えば、振動子ホルダHは導振性を持った金属、硝子、樹脂や合成樹脂、植物性樹脂、木材などにより形成され、防振部材は振動を吸収する樹脂や合成樹脂系のゴムなどにより形成される。
【0023】
また、上記ゴムの替わりに、振動エネルギーを吸収、若しくは消耗させるよう、例えば、適したバネ定数を有する他の材料を使用したり、振動子6を傾斜配置させ、若しくは振動子6とユーザの間に溝加工した部材を介在させたりしても良い。
【0024】
このような構成を有する振動子R1~R3,U1~U3によれば、上記狭小部位から振動波を限定的に波及させ、橈骨B1と尺骨B2は振動波を遮断する効果を奏するため、上記振動波が特定領域以外へ拡散することを減じて、振動子R1~R3,U1~U3による振動相互の識別性が高められるが、一方で振動情報生成部30が振動子R1~R3,U1~U3の発振強度を高めることによって上記振動波が拡散される。
【0025】
振動情報生成部30及び情報入力部40は、上記リストバンド型発振子11に半導体集積回路(図示していない)として内蔵されるが、このような構成に限られず、サーバ等の外部機器に内蔵され、無線又は有線による通信によって振動情報生成部30の出力が振動部20へ供給されるようにしても良い。このことは、他の実施例でも同様である。
【0026】
以下において、振動情報生成部30の動作、若しくは機能について説明する。
[合成振動波形による情報伝達]
振動情報生成部30は、ユーザへ伝達する情報のイメージを当該ユーザに対して直感的に想起させるための振動に対応する合成振動波形を積分手法により生じさせるための振動情報を生成する。すなわち、振動情報生成部30は、ユーザの異なる位置に配置された各々の振動子R1~R3,U1~U3から上記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や振動子R1~R3,U1~U3が共振することによる振動波形をシミュレーション等によって累積することに得られる、振動干渉による変調も活用した波形が上記合成振動波形となるように特定された上記複数の振動波形に対応する振動情報を生成し、生成された振動情報を各々の振動子R1~R3,U1~U3へ供給する。
【0027】
ここで、上記の合成振動波形は、振動の強度や発振長を変化させ、若しくは間欠発振により生成される振動波形にとどまらず、共振や変調を活用して生成された波形とされる。また、上記の特定位置は、例えば、ユーザの皮下に存在するメルケル細胞、マイスナー小体など、上記ユーザにおいて振動刺激が知覚される受容器(細胞)が多く分布する位置で、隣接配置される他の振動子による振動と識別知覚できる位置とされる。
【0028】
[ユーザへイメージを喚起させる擬音による情報伝達]
振動情報生成部30は、ユーザへ擬音によるイメージや情報を伝達するよう振動子を振動させる(以下、このような振動を「擬音振動」という。)ための振動情報を生成する。ここで、上記振動情報には、複数個の振動子を対象とした複雑変調や、一個の振動子を対象とした単純変調を実現するための情報が含まれる。
【0029】
具体的には例えば、本振動情報は、当該ユーザへ移動物体の接近速度を伝達する場合に、線路のつなぎ目を鉄道車両が当該速度で通過する際に発せられるガタガタという音に似せた擬音振動や、当該速度で走行する自動車音に似せた擬音振動を振動子に生じさせるものとされる。
【0030】
また他の例として、振動情報生成部30は、プッ、プッ、プ―ンという時報音に似せた擬音振動を振動子に生じさせて、時刻に関する情報をユーザへ伝達することを予告するための振動情報を生成したり、大雨を予報するためにザァーザァーという雨音に似せた擬音振動を振動子に生じさせ、あるいは強風を予報するためにヒューヒューという風の音に似せた擬音振動を振動子に生じさせるための振動情報を生成したりしても良い。
【0031】
なお、上記のような振動情報は、ユーザへ伝達する情報と紐付けられた上で予め振動情報生成部30に保存される。
【0032】
また、情報入力部40が、連携するスマートフォンに内蔵されたマイクなどの集音マイクを活用して街中で収集されたリアルな音を示す音データを入力し、振動情報生成部30が当該音情報に対応する振動情報を生成することによって振動刺激に変換して聾者や難聴者の手指や前腕などに伝え、上記音を再現するようにしても良い。ここで、振動情報生成部30は、各種の音データからなるデータベース、及び各々の音データに対応した振動情報を含み、供給された音データを本データベースの構成要素である上記音データと照合することにより、上記供給された音データの種類を特定し、特定された音データに対応した振動情報を生成して振動子へ供給する。
【0033】
このような情報伝達装置10によれは、ユーザへ擬音によるイメージの喚起を図ることができ、例えば、警報、警笛などのアラームを用いた注意喚起や行動の促しを図ることができる。また、例えば、緊急車両の警報音、一般車両のクラクションやエンジン音、鉄道踏切の警報音や駅ホームの階段位置への誘導音、横断歩道の誘導音、街の雑踏(混雑)音などを擬音振動により再現することができる。
【0034】
さらに、振動情報生成部30は、音の共鳴原理を活用し、ユーザの異なる位置に配設された複数の振動子を協調発振させて擬音イメージ振動を創出するための振動情報を生成する。音楽の分野では和音が知られているが、この原理を活用して異なる振動波形を2つ以上組み合わせて共振(和振)させても良い。このような和振によれば、ユーザにイメージさせたい物や情景などを、よりリアルに表現することが可能となる。
【0035】
図5は、
図1に示された情報伝達装置10に係る第2の実施例としてのグローブ型発振子12の構成を示す斜視図である。
図5に示されるように、本実施例における振動部20は、グローブ型発振子12に含まれ、ユーザの少なくとも片手における指の背側で、示指、中指、及び環指を構成する末節骨と中節骨及び基節骨の直上にそれぞれ配置された円盤型振動モータからなる複数の振動子2a~2c,3a~3c,4a~4cにより構成される。
【0036】
このようなグローブ型発振子12によっても、上記第1の実施例に係るリストバンド型発振子11と同様に、合成振動波形や擬音による情報伝達が実現される。
【0037】
ここで、複数の振動子2a~2c,3a~3c,4a~4cにおいては、同一指内での共振や異なる指間での共振も活用される。
【0038】
なお、振動子の配置は上記に限るものではなく、例えば、ユーザにおいて母指と示指を用いて作業を行うことが前提とされる場合には、示指の替わりに小指の末節骨と中節骨及び基節骨の直上に振動子を配置しても良い。
【0039】
図6は、
図1に示された情報伝達装置10に係る第3の実施例としての指輪型発振子13の構成を示す斜視図である。
図6に示されるように、本実施例における振動部20は、ユーザの指に装着される指輪型発振子13に含まれた円盤型振動モータからなる1個の振動子6により構成される。なお、振動部20が1個の振動子6からなる場合には、振動部20は指輪型発振子13のほか、腕時計型の発振子により構成しても良い。
【0040】
このような指輪型や腕時計型の発振子のように、上記第1の実施例に係るリストバンド型発振子11や上記第2の実施例に係るグローブ型発振子12と異なり複数の振動子の組合せ制御が制限される場合は、擬音振動の活用範囲は制限されるものの、擬音振動による情報伝達を実現することができる。
【0041】
図7は、
図1に示された情報伝達装置10に係る第4の実施例としてのハンドル8の構成を示す平面図である。
【0042】
船舶の舵輪(ステアリング・ホイール)、若しくは自動車、自転車、バイク等のハンドルなどへ警告振動を発振する方法は、既に自動車で採用されている。しかし、識別して提示できる情報の量は極めて限られるため、当該振動は車線離脱を警告することなど一部の用途に限られた使い方となっている。そこで、ハンドル等に上記情報伝達装置10を適用することで、運転や操縦時により多くの情報を当該ユーザへ伝達することが可能となる。
【0043】
図7に示されるように、例えば自動車のハンドル8では、円環をなす把持部を等角度で例えば4分割し、その分割された領域RN1~RN4は、それぞれ防振部材7で隔てられる。そして、これらの各領域RN1~RN4に振動モータ等の振動子を内蔵させることで、領域RN1~RN4毎に振動を発生させることができる。なお、上記領域の分割数は、4分割の他、6分割などであっても良い。
【0044】
このような構成によれば、例えば、ハンドル8の領域RN1,RN4といった対角線上や相対する位置など離れた範囲を別個独立に振動させることができるため、例えば縦列駐車時など、適切な把持位置に対応する領域だけに振動を与えて、当該領域と隣接する領域へは微振動を伝播させる(振動の漏れ)ことによって、ユーザが把持すべき位置を矯正させることができる。
【0045】
また例えば、ステアリング・ホイール等を握る左右の掌や指に最も近い範囲で振動子に発振させることによって、当該ユーザへ左右で異なる振動情報を与えることもできる。
【0046】
以上より、本発明の実施の形態に係る情報伝達装置10によれば、ユーザにおける振動知覚の識別能を効率良く活用して短時間により多くの情報をより確実にユーザへ伝達することができる。
【符号の説明】
【0047】
10 情報伝達装置、11 リストバンド型発振子、12 グローブ型発振子、13 指輪型発振子、20 振動部、30 振動情報生成部、40 情報入力部、1a,1c,2a~2c,3a~3c,4a~4c,5a~5c,R1~R3,U1~U3 振動子、6 円盤型振動モータ、7 防振部材、8 ハンドル、A 前腕、B1 橈骨、B2 尺骨、H 振動子ホルダ、RN1~RN4 領域。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの少なくとも一方の前腕の表面において、橈骨の外側に当たる位置と、尺骨の内側に当たる位置に配置され、供給された振動情報に応じて振動する複数の振動子と、
各々の前記振動子から前記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、前記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動波形となるように特定された前記複数の振動波形に対応する振動情報を生成して前記各々の前記振動子へ供給する振動情報生成手段を備えた情報伝達装置。
【請求項2】
前記振動情報生成手段は、さらに、前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動音を前記振動子において発生させるための前記振動情報を生成し、前記振動子へ供給する、請求項1に記載の情報伝達装置。
【請求項3】
前記振動情報生成手段は、各種の音データからなるデータベース、及び各々の前記音データに対応した振動情報を含み、供給された音データを前記データベースの構成要素である前記音データと照合することにより前記供給された音データの種類を特定した上で、特定された前記音データに対応した前記振動情報を生成する、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記振動情報生成手段は、前記複数の振動子を協調発振させる前記振動情報を生成する、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項5】
前記振動子により生成された振動波を特定の領域へ限定的に波及させる防振手段をさらに備えた、請求項1に記載の情報伝達装置。
【請求項6】
前記防振手段は、
前記振動子を内蔵してユーザと狭小部位で当接する保持体と、
前記保持体を包含する防振材を含み、
前記振動情報生成手段は、前記振動子の発振強度を変化させる、請求項5に記載の情報伝達装置。
【請求項7】
ユーザの少なくとも一方の前腕の表面において、橈骨の外側に当たる位置と、尺骨の内側に当たる位置に配置された複数の振動子による振動により、前記ユーザへ情報を伝達する情報伝達方法であって、
各々の前記振動子から前記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、前記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が前記情報に応じた振動波形となるように、前記複数の振動子を振動させる情報伝達方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの少なくとも一方の前腕の表面において、橈骨の外側に当たる位置と、尺骨B2の内側に当たる位置に配置され、供給された振動情報に応じて振動する複数の振動子と、
各々の前記振動子から前記ユーザの特定位置に到達する複数の振動波形や、前記複数の振動子が共振することによる振動波形の少なくとも一方を累積して得られる合成振動波形が前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動波形となるように特定された前記複数の振動波形に対応する振動情報を生成して前記各々の前記振動子へ供給する振動情報生成手段と、
各々が、一つの前記振動子を内蔵して前記ユーザと狭小部位で当接する複数の保持体と、
各々が、一つの前記保持体を包含する複数の防振手段を備えた情報伝達装置。
【請求項2】
前記振動情報生成手段は、さらに、前記ユーザへ伝達する情報に応じた振動音を前記振動子において発生させるための前記振動情報を生成し、前記振動子へ供給する、請求項1に記載の情報伝達装置。
【請求項3】
前記振動情報生成手段は、各種の音データからなるデータベース、及び各々の前記音データに対応した振動情報を含み、供給された音データを前記データベースの構成要素である前記音データと照合することにより前記供給された音データの種類を特定した上で、特定された前記音データに対応した前記振動情報を生成する、請求項2に記載の情報伝達装置。
【請求項4】
前記振動情報生成手段は、前記複数の振動子を協調発振させる前記振動情報を生成する、請求項1に記載の情報伝達装置。