(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171429
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】医用情報処理装置、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20241205BHJP
【FI】
G16H50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088421
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】霜村 侑香
(72)【発明者】
【氏名】中津川 実
(72)【発明者】
【氏名】野呂 和正
(72)【発明者】
【氏名】狩野 佑介
(72)【発明者】
【氏名】朴 龍勲
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
(57)【要約】
【課題】診断の効率を向上させること。
【解決手段】実施形態に係る医用情報処理装置は、特定部と、決定部と、取得部と、マッピング部とを備える。特定部は、患者に関する医療概念を特定する。決定部は、医療概念に関連する評価パラメータを決定する。取得部は、患者の主訴データと、医療概念に関連する医療知識とを取得する。マッピング部は、評価パラメータに基づく空間上に、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に関する医療概念を特定する特定部と、
前記医療概念に関連する評価パラメータを決定する決定部と、
前記患者の主訴データと、前記医療概念に関連する医療知識とを取得する取得部と、
前記評価パラメータに基づく空間上に、前記主訴データに基づく第1の範囲と、前記医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングするマッピング部と、
を備える、医用情報処理装置。
【請求項2】
前記評価パラメータは、前記医療概念に関連し、かつ、曖昧性を含んだパラメータである、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項3】
前記決定部は、前記患者の医療概念を評価するパラメータのうち、評価に曖昧性を含むパラメータを、前記評価パラメータとして決定する、請求項2に記載の医用情報処理装置。
【請求項4】
前記マッピング部は、前記主訴データに含まれる前記医療概念に関する評価に基づいて前記評価パラメータに基づく空間上の前記第1の範囲を決定し、前記医療知識に含まれる前記医療概念に関する評価に基づいて前記評価パラメータに基づく空間上の前記第2の範囲を決定する、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項5】
前記マッピング部は、前記患者の医療概念と同一の医療概念において統計的に決定された範囲に基づいて、前記第1の範囲を決定する、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項6】
前記マッピング部は、前記評価パラメータに基づく空間として、前記評価において対義関係にある評価を座標軸の両端に示した座標空間を用いる、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項7】
前記マッピング部は、前記評価パラメータに基づく空間として、前記患者における位置を示す座標空間を用いる、請求項4に記載の医用情報処理装置。
【請求項8】
前記医療概念は、前記患者の疾患に関連する情報である、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項9】
前記決定部は、前記医療概念に関連する複数種類の評価パラメータを決定し、
前記マッピング部は、評価パラメータごとに、当該評価パラメータに基づく空間上に、前記第1の範囲と前記第2の範囲とをそれぞれマッピングする、請求項1に記載の医用情報処理装置。
【請求項10】
前記第1の範囲と前記第2の範囲とに基づいて、前記主訴データと前記医療知識との関連度を算出する算出部をさらに備える、請求項1~9のいずれか1つに記載の医用情報処理装置。
【請求項11】
前記算出部は、前記第1の範囲と前記第2の範囲とが重複した面積に基づいて、前記関連度を算出する、請求項10に記載の医用情報処理装置。
【請求項12】
前記関連度に基づいた情報を表示させる表示制御部をさらに備える、請求項10に記載の医用情報処理装置。
【請求項13】
前記表示制御部は、前記評価パラメータに基づく空間上に、前記第1の範囲と前記第2の範囲とがマッピングされた情報を表示させる、請求項12に記載の医用情報処理装置。
【請求項14】
前記表示制御部は、前記関連度に基づく前記患者に対する問診内容を表示させる、請求項12に記載の医用情報処理装置。
【請求項15】
患者に関する医療概念を特定し、
前記医療概念に関連する評価パラメータを決定し、
前記患者の主訴データと、前記医療概念に関連する医療知識とを取得し、
前記評価パラメータに基づく空間上に、前記主訴データに基づく第1の範囲と、前記医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする、
ことを含む、医用情報処理方法。
【請求項16】
患者に関する医療概念を特定し、
前記医療概念に関連する評価パラメータを決定し、
前記患者の主訴データと、前記医療概念に関連する医療知識とを取得し、
前記評価パラメータに基づく空間上に、前記主訴データに基づく第1の範囲と、前記医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする、
各処理をコンピュータに実行させる、医用情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、医用情報処理装置、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
患者が訴える症状等は、患者の主観的評価であるため、部位や程度、症状の種類などにばらつきがある。一方、ガイドラインや文献に記載されている症状は抽象的であり、患者の主訴と一致しているか否かを判断することが難しい場合がある。しかしながら、症状の見落としは、重大な疾患の見落としに繋がるおそれがある。そのため、医師は、患者の主訴に含まれる曖昧性を解消するような問診を短時間で実施することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、診断の効率を向上させることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る医用情報処理装置は、特定部と、決定部と、取得部と、マッピング部とを備える。特定部は、患者に関する医療概念を特定する。決定部は、前記医療概念に関連する評価パラメータを決定する。取得部は、前記患者の主訴データと、前記医療概念に関連する医療知識とを取得する。マッピング部は、前記評価パラメータに基づく空間上に、前記主訴データに基づく第1の範囲と、前記医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置の処理手順の例を示すフローチャートである。
【
図3A】
図3Aは、第1の実施形態に係る医療概念の特定の一例を説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、第1の実施形態に係る医療概念の特定の一例を説明するための図である。
【
図4A】
図4Aは、第1の実施形態に係る評価パラメータの決定処理の一例を説明するための図である。
【
図4B】
図4Bは、第1の実施形態に係る評価パラメータの決定処理の一例を説明するための図である。
【
図5】
図5は、第1の実施形態に係る決定機能によって決定された評価パラメータの例を示す図である。
【
図6】
図6は、第1の実施形態に係る医療知識の取得の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、第1の実施形態に係る特徴抽出の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、第1の実施形態に係る第1の範囲を決定するための学習済みモデルの構築を説明するための図である。
【
図9】
図9は、第1の実施形態に係る第1の範囲のマッピングの一例を示す図である。
【
図10】
図10は、第1の実施形態に係る第2の範囲のマッピングの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、第1の実施形態に係る関連度の算出を説明するための図である。
【
図12】
図12は、第1の実施形態に係る表示情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、医用情報処理装置、方法及びプログラムの実施形態について詳細に説明する。なお、本願に係る医用情報処理装置、方法及びプログラムは、以下に示す実施形態によって限定されるものではない。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1を示すブロック図である。例えば、
図1に示すように、本実施形態に係る医用情報処理装置1は、ネットワーク3を介してデータ保管装置2と通信可能に接続されている。ここで、ネットワーク3は、例えば、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)を含む。なお、
図1に示すネットワーク3には、医用情報処理装置1及びデータ保管装置2のみが接続されているが、実際には、その他種々の装置及びシステムが接続されている。
【0009】
データ保管装置2は、患者の医療情報(診療データ)や、種々のガイドラインなどの情報を保管する。具体的には、データ保管装置2は、ネットワーク3に接続された種々の装置やシステムから医療情報のデータ(生データや、医用画像、解析結果、レポートなど)を受信し、受信した医療情報のデータを自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。また、データ保管装置2は、ガイドラインや文献など情報を保管するための操作に応じて、当該情報のデータを自装置内の記憶回路に記憶させて保管する。例えば、データ保管装置2は、PACS(Picture Archiving and Communication System)や、HIS(Hospital Information System)、RIS(Radiology Information System)等によって実現される。
【0010】
医用情報処理装置1は、病院内に勤務する医師によって操作される装置であり、医師による診断の効率を向上させるための各種処理を実行する。具体的には、医用情報処理装置1は、患者を診断するうえで、解消すべき曖昧性を特定することで、診断の効率を向上させる。上記したように、患者が訴える症状等は、患者の主観的評価であるため、部位や程度、症状の種類などにばらつきがあり、曖昧性を含む場合がある。そこで、医用情報処理装置1は、患者の主訴に含まれる曖昧性のうち解消すべき曖昧性を特定することで、問診を効率化させ、診断の効率を向上させる。また、患者の主訴に含まれる曖昧性を解消することで、必要な検査や治療の判断を適切に行い、重大な疾患や有害事象の兆候の見落としを防ぐことを可能にする。例えば、医用情報処理装置1は、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)や、ワークステーション、サーバ等のコンピュータ装置によって実現される。
【0011】
本実施形態に係る医用情報処理装置1は、
図1に示すように、通信インターフェース11と、入力インターフェース12と、ディスプレイ13と、記憶回路14と、処理回路15とを備える。
【0012】
通信インターフェース11は、医用情報処理装置1と、ネットワーク3を介して接続された各装置との間で送受信される各種データの伝送及び通信を制御する。具体的には、通信インターフェース11は、処理回路15に接続されており、ネットワーク3上の各装置から受信したデータを処理回路15に送信、又は、処理回路15から受信したデータをネットワーク3上の各装置に送信する。例えば、通信インターフェース11は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
【0013】
入力インターフェース12は、操作者から各種指示及び各種情報の入力操作を受け付ける。具体的には、入力インターフェース12は、処理回路15に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換して処理回路15に送信する。例えば、入力インターフェース12は、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インターフェース、及び音声入力インターフェース等によって実現される。なお、本明細書において、入力インターフェース12は、マウス、キーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ送信する電気信号の処理回路も入力インターフェース12の例に含まれる。
【0014】
ディスプレイ13は、各種情報及び各種データを表示する。具体的には、ディスプレイ13は、処理回路15に接続されており、処理回路15から受信した各種情報及び各種データを表示する。例えば、ディスプレイ13は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、タッチパネル等によって実現される。
【0015】
記憶回路14は、各種データ及び各種プログラムを記憶する。具体的には、記憶回路14は、処理回路15に接続されており、処理回路15から受信したデータを記憶、又は、記憶しているデータを読み出して処理回路15に送信する。例えば、記憶回路14は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子や、ハードディスク、光ディスク等によって実現される。なお、記憶回路14は、医用情報処理装置1とネットワーク3を介して接続されたクラウドコンピュータにより実現されることとしてもよい。
【0016】
処理回路15は、医用情報処理装置1の全体を制御する。具体的には、処理回路15は、解消すべき曖昧性を特定するための各種処理を実行する。例えば、処理回路15は、ネットワーク3上の装置とのデータのやり取り、記憶回路14に対するデータの保存、データを用いた種々の処理を制御する。
【0017】
例えば、
図1に示すように、本実施形態では、医用情報処理装置1の処理回路15が、取得機能151と、特定機能152と、決定機能153と、マッピング機能154と、算出機能155と、表示制御機能156とを実行する。ここで、取得機能151は、取得部の一例である。また、特定機能152は、特定部の一例である。また、決定機能153は、決定部の一例である。また、マッピング機能154は、マッピング部の一例である。また、算出機能155は、算出部の一例である。また、表示制御機能156は、表示制御部の一例である。
【0018】
取得機能151は、ネットワーク3上に接続された装置から種々のデータを取得する。具体的には、取得機能151は、データ保管装置2から患者の医療情報や種々のガイドラインなどの情報を取得する。そして、取得機能151は、患者に関連する医療概念に基づいて、患者の医療情報や種々のガイドラインなどの情報から、種々の情報を抽出する。例えば、取得機能151は、患者の主訴データと、医療概念に関連する医療知識とを取得する。なお、取得機能151による処理については、後に詳述する。
【0019】
特定機能152は、患者に関する医療概念を特定する。具体的には、特定機能152は、患者の疾患に関連する情報を特定する。なお、特定機能152による処理については、後に詳述する。
【0020】
決定機能153は、医療概念に関連する評価パラメータを決定する。具体的には、決定機能153は、医療概念に関連し、かつ、曖昧性を含んだパラメータである評価パラメータを決定する。すなわち、決定機能153は、患者の医療概念を評価するパラメータのうち、評価に曖昧性を含むパラメータを、評価パラメータとして決定する。なお、決定機能153による処理については、後に詳述する。
【0021】
マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間上に、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする。具体的には、マッピング機能154は、主訴データに含まれる医療概念に関する評価に基づいて評価パラメータに基づく空間上の第1の範囲を決定し、医療知識に含まれる医療概念に関する評価に基づいて評価パラメータに基づく空間上の第2の範囲を決定する。なお、マッピング機能154による処理については、後に詳述する。
【0022】
算出機能155は、第1の範囲と第2の範囲とに基づいて、主訴データと医療知識との関連度を算出する。なお、算出機能155による処理については、後に詳述する。
【0023】
表示制御機能156は、関連度に基づいた情報を表示させる。なお、表示制御機能156による処理については、後に詳述する。
【0024】
上述した処理回路15は、例えば、プロセッサによって実現される。その場合に、上述した各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路14に記憶される。そして、処理回路15は、記憶回路14に記憶された各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、処理回路15は、各プログラムを読み出した状態で、
図1に示した各処理機能を有することとなる。
【0025】
なお、処理回路15は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものとしてもよい。また、処理回路15が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路15が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一の記憶回路14に記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数の記憶回路に分散して記憶され、処理回路15が、各記憶回路から各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。なお、処理回路15が有する各処理機能の一部は、医用情報処理装置1とネットワーク3を介して接続されたクラウドコンピュータにより実現されることとしてもよい。
【0026】
次に、医用情報処理装置1による処理の手順について、
図2を用いて説明した後、各処理の詳細について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1の処理手順の例を示すフローチャートである。
【0027】
例えば、
図2に示すように、本実施形態では、特定機能152が、患者に関する医療概念を特定する(ステップS101)。具体的には、特定機能152は、取得機能151によって取得された患者に関する情報に基づいて、当該患者の医療概念を特定する。この処理は、例えば、処理回路15が、取得機能151及び特定機能152に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0028】
続いて、決定機能153が、医療概念に関連する評価パラメータを決定する(ステップS102)。この処理は、例えば、処理回路15が、決定機能153に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0029】
続いて、取得機能151が、患者の主訴データと医療概念に関連する医療知識とを取得する(ステップS103)。この処理は、例えば、処理回路15が、取得機能151に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0030】
続いて、マッピング機能154が、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とを評価パラメータに基づく空間上にマッピングする(ステップS104)。この処理は、例えば、処理回路15が、マッピング機能154に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0031】
続いて、算出機能155が、第1の範囲と第2の範囲とに基づいて主訴データと医療知識との関連度を算出する(ステップS105)。この処理は、例えば、処理回路15が、算出機能155に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0032】
続いて、表示制御機能156が、関連度に基づく情報を表示する(ステップS106)。この処理は、例えば、処理回路15が、表示制御機能156に対応するプログラムを記憶回路14から呼び出して実行することにより実現される。
【0033】
以下、医用情報処理装置1によって実行される各処理の詳細について、説明する。なお、以下では、肺がん化学療法中であり、当該化学療法に起因する末梢神経障害による手足のしびれの既往がある患者を対象として、骨転移の脊髄麻痺の兆候を判断する場合について説明する。具体的には、手足のしびれは骨転移の脊髄麻痺によっても引き起こされることから、本実施形態では、患者の主訴に基づいて、骨転移の脊髄麻痺の兆候があるか否かの診断を支援する例を説明する。
【0034】
(医療概念の特定処理)
図2のステップS101で説明したように、特定機能152は、患者に関する医療概念を特定する。ここで、医療概念とは、患者の疾患に関する情報であり、例えば、疾患名、病態、治療方法、症状、副作用、効果(~の改善など)、患者状態を示す指標・スコア、疾患のサブタイプや病理学的分類を含む。
【0035】
特定機能152は、例えば、患者の診療データや、医師の判断に基づいて、当該患者の関する医療概念を特定する。一例を挙げると、特定機能152は、医師による指定や、医師の行動に基づいて、患者の医療概念を特定する。また、特定機能152は、オントロジーや疾患予測などを活用した方法や、ガイドライン情報等を対象としたルールベースや医療用語を用いた検索方法により、患者の診療データから医療概念を特定する。なお、患者の診療データと医師の判断の組み合わせによって医療概念が特定される場合でもよい。
【0036】
図3A及び
図3Bは、第1の実施形態に係る医療概念の特定の一例を説明するための図である。例えば、特定機能152は、
図3Aに示すように、患者の診療データに含まれる「肺がん化学療法」、「骨転移」及び「糖尿病」を用いたガイドライン情報の検索と、医師による行動「痛みの情報に着目」とに基づいて、医療概念「脊髄麻痺」、「骨転移による痛み」、「糖尿病神経障害」を特定する。ここで、
図3Aに示すように、各医療概念に重要度が対応付けられてもよい。なお、ガイドライン情報を検索するためのルールや医療用語などは予め定義され、記憶回路14に記憶される。すなわち、特定機能152は、記憶回路14に記憶されたそれらの情報を用いて、医療概念を特定する。
【0037】
また、例えば、特定機能152は、
図3Bに示すように、患者の診療データに含まれる「肺がん化学療法」、「骨転移」、「腫瘍マーカの上昇」、「SINSスコア 高」及び「痺れ」を用い、疾患予測モデルや、オントロジーによって定義されたエキスパートシステムを用いて、医療概念「末梢神経障害」、「脊髄麻痺」、「閉そく性肺炎」を特定する。ここで、
図3Bに示すように、各医療概念に予測確率が対応付けられてもよい。なお、疾患予測モデルやエキスパートシステムは、予め作成され、記憶回路14に記憶される。すなわち、特定機能152は、記憶回路14に記憶されたそれらを用いて、医療概念を特定する。
【0038】
なお、
図3A及び
図3Bで示す例はあくまでも一例であり、その他の方法で医療概念が特定されてもよい。例えば、特定機能152は、医師によって指定された単一の情報を、医療概念として特定することもできる。また、特定機能152は、重要度や関連度、予測確率などに基づいて、
図3Aや
図3Bで示した複数の医療概念からさらに候補を絞りこむこともできる。また、医療概念の特定に診療データが用いられる場合、医療概念の特定に先立ち、取得機能151が、データ保管装置2から対象となる患者の診療データを取得する。
【0039】
(評価パラメータの決定処理)
図2のステップS102で説明したように、決定機能153は、特定機能152によって特定された医療概念に関連する評価パラメータを決定する。具体的には、決定機能153は、医療概念ごとに予め定義されたルールベースでの抽出や、言語処理による抽出により、特定機能152によって特定された医療概念に関連する評価パラメータを決定する。なお、医療概念ごとに予め定義されたルールで抽出する場合、決定機能153は、予め記憶回路14に記憶されたルールの中から医療概念に対応するルールを読み出し、読み出したルールに基づいて評価パラメータを決定する。ここで、記憶回路14に記憶されるルールは、例えば、医療概念ごとに評価パラメータが対応付けられた情報である。なお、医療概念に複数の評価パラメータが対応付けられてもよい。
【0040】
図4Aは、第1の実施形態に係る評価パラメータの決定処理の一例を説明するための図である。ここで、
図4Aは、ガイドライン情報や文献情報に記載された情報から言語処理技術により評価パラメータを抽出する場合を示す。なお、言語処理技術としては、ルールや辞書、オントロジーの活用、固有表現抽出等が利用される。
【0041】
例えば、決定機能153は、
図4Aに示すように、医療概念の「脊髄麻痺」に関連するガイドライン・文献情報から病症を示す言葉(病症)である「痛み」、「痺れ」、「知覚異常」を抽出する。さらに、決定機能153は、抽出した病症を修飾する言葉(病症の特徴)である「背部痛」、「6週間以上」、「就寝時や安静時、荷重時で増悪」を抽出する。そして、決定機能153は、病症の特徴のカテゴリを評価パラメータとして抽出する。すなわち、決定機能153は、
図4Aに示すように、「部位」、「期間」、「タイミング」の各カテゴリを、評価パラメータ(限局すべき曖昧性(解消すべき曖昧性))として決定する。なお、
図4Aでは、1つの医療概念から複数種類の評価パラメータを決定する場合を示しているが、1つの医療概念から1つの評価パラメータを決定する場合でもよい。
【0042】
ここで、「就寝時や安静時、荷重時で増悪」のように、病症の特徴を表す言葉が複数ある場合、その言葉が対義的な関係でなければ、1つのカテゴリ(評価パラメータ)の中に異なる2つの曖昧性が定義されてもよい。例えば、「就寝時や安静時、荷重時で増悪」の場合、タイミングのカテゴリの中に「常に⇔一時的」と「体動時⇔荷重時」の2つの曖昧性を決定する。
【0043】
評価パラメータの決定は、上記方法に限られず、その他の方法が用いられても良い。例えば、決定機能153は、過去の患者の問診内容を使って統計的に評価パラメータを抽出することもできる。すなわち、決定機能153は、同一の疾患を有する過去の患者の問診内容から評価パラメータを決定する。
【0044】
図4Bは、第1の実施形態に係る評価パラメータの決定処理の一例を説明するための図である。ここで、
図4Bは、脊髄麻痺の患者の問診内容に基づく評価パラメータの決定を示す。例えば、決定機能153は、
図4Bに示すように、脊髄麻痺患者の80%が訴えた「痛み」と、70%が訴えた「痺れ」を病症として抽出する。さらに、決定機能153は、患者の問診内容から特徴的な傾向を抽出して、「期間」や「タイミング」などの評価パラメータを決定する。ここで、決定機能153は、上記と同様に、タイミングのカテゴリの中に「常に⇔一時的」と「体動時⇔荷重時」の2つの曖昧性を決定する。なお、問診内容から病症などを抽出する方法としては、例えば、言語処理を用いた重要語抽出や、トピック分析を用いることができる。
【0045】
また、評価パラメータは、上記した病症の特徴のカテゴリに限られず、その他の情報が用いられても良い。例えば、医療概念には、患者の状態を示す指標やスコアも含まれる。一例を挙げると、予後予測に用いられる徳橋スコアを医療概念とすることもできる。徳橋スコアは、「活動の程度」という曖昧性を含む「Performance Status:PS」を使ってスコアリングされる。そこで、医療概念として徳橋スコアを用いる場合、PSが曖昧性として決定される。PSは、「全く問題なく活動できる」程度から「全く動けない」程度までの活動の程度が、段階的に設定されている。すなわち、決定機能153は、上記した活動の程度を、徳橋スコアの曖昧性として決定する。なお、患者の状態を示す指標としては、日常生活の動作を判定する指標である「Activities of Daily Living:ADL」を適用する場合でもよい。
【0046】
上述したように、決定機能153は、特定機能152によって特定された医療概念ごとに評価パラメータを決定する。
図5は、第1の実施形態に係る決定機能153によって決定された評価パラメータの例を示す図である。
図5に示すように、例えば、決定機能153は、医療概念「脊髄麻痺」の病症「痛み」及び「痺れ」について、評価パラメータ「部位」、「タイミング」、「程度」、「質」、「期間」を特定する。
【0047】
ここで、決定機能153によって決定される評価パラメータは、それぞれ曖昧性を含む。例えば、評価パラメータ「タイミング」は、「痛み」、「痺れ」ともに、「荷重時⇔動作時」と「常に⇔一時的」の曖昧性を含む。また、評価パラメータ「程度」は、日常生活への支障において、「なし」から「我慢できない」までの曖昧性を含む。同様に、各評価パラメータは、「痛み」及び「痺れ」において、それぞれ曖昧性を含む。
【0048】
上記したように、決定機能153は、医療概念「脊髄麻痺」に関する評価パラメータを決定する。なお、決定機能153は、特定機能152によって特定された医療概念すべてに対して、上記と同様の処理を行い、評価パラメータをそれぞれ決定する。例えば、特定機能152が、医療概念「骨転移による痛み」を特定した場合、決定機能153は、医療概念「骨転移による痛み」に関する評価パラメータを決定する。
【0049】
(主訴データと医療知識の取得処理)
図2のステップS103で説明したように、取得機能151は、患者の主訴データと医療概念に関する医療知識を取得する。具体的には、取得機能151は、医療概念の定義を説明する文章(表などの表現も含む)や、症例・実際の臨床情報に含まれる医療知識を取得する。例えば、取得機能151は、ガイドラインや文献情報、医師の知見、カルテから医療知識を取得する。
【0050】
図6は、第1の実施形態に係る医療知識の取得の一例を説明するための図である。例えば、取得機能151は、
図1の上段の図に示すように、データ保管装置2からガイドライン情報や文献情報を取得し、取得した情報に対して医療概念「脊髄麻痺」を用いた検索を行うことで、医療概念「脊髄麻痺」を定義する定義文を取得する。そして、取得機能151は、定義文に含まれる医療概念「脊髄麻痺」の特徴を取得する。
【0051】
また、取得機能151は、
図1の中段の図に示すように、データ保管装置2からクリニカルクエスチョンの情報を取得し、取得した情報に対して医療概念「脊髄麻痺」を用いた検索を行うことで、医療概念「脊髄麻痺」に関するクリニカルクエスチョンに記載された説明文を取得する。そして、取得機能151は、説明文に含まれる医療概念「脊髄麻痺」の特徴を取得する。
【0052】
また、取得機能151は、
図1の下段の図に示すように、データ保管装置2から過去に医療概念「脊髄麻痺」に関する診断を行ったカルテを取得し、取得したカルテに記載された内容から医療知識を取得する。例えば、取得機能151は、soap形式で記載されたカルテにおける「A:医師の評価」の記載から医療概念「脊髄麻痺」に関するカルテを取得し、取得したカルテにおける「S:患者の主訴」の記載から医療知識を取得する。
【0053】
ここで、カルテから医療知識を取得する場合、特異な症例を排除するため、統計や機械学習を用いて、対象の病態に対する問診内容の傾向や特徴を抽出し、抽出した傾向や特徴を医療知識として取得する場合でもよい。すなわち、取得機能151は、医療概念「脊髄麻痺」において、患者から訴えられる確率が相対的に高い傾向や特徴を医療知識として取得する。
【0054】
また、取得機能151は、曖昧性解消の対象となっている患者(現時点の対象患者)の主訴データを取得する。具体的には、取得機能151は、患者の主訴(患者が記入した問診表の記入内容及び医師が記載したカルテの内容など)や、患者自身が行った評価(疾患鑑別のためのアンケートへの記入結果及びNRS(Numerical Rating Score))などの痛みの主観的スコアなど)を取得する。
【0055】
そして、取得機能151は、取得した主訴データに含まれる傾向や特徴を取得する。
図7は、第1の実施形態に係る特徴抽出の一例を説明するための図である。ここで、
図7は、問診内容からの特徴抽出の一例を示す。例えば、取得機能151は、
図7に示すように、問診内容に対して、辞書やオントロジー、word2vecやBERTを用いた分散表現等を適用することで、問診内容から特徴を抽出する。
【0056】
例えば、取得機能151は、問診内容に含まれる「最近ゴルフに行ったら、」から特徴「運動時」を取得し、問診内容に含まれる「腰が痛くてうまく打てなくて。」から特徴「腰・痛み・動作の阻害」を取得する。また、取得機能151は、問診内容に含まれる「足ももつれる感じで、」から特徴「足・もつれる」を取得し、問診内容に含まれる「なんか力が入らないんだよね。」から特徴「脱力」を取得する。
【0057】
(マッピング処理)
図2のステップS104で説明したように、マッピング機能154は、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とを、評価パラメータに基づく空間上にマッピングする。具体的には、マッピング機能154は、取得機能151によって取得された主訴データにおける特徴(患者による評価)に含まれる曖昧性の範囲と、医療知識における特徴(医療知識に基づく評価)に含まれる曖昧性の範囲とを、評価パラメータごとにそれぞれ決定する。
【0058】
ここで、マッピング機能154は、年齢や期間、スコアなどの数値的な連続値に関する特徴の範囲をマッピングする場合、数値を示す座標空間に対して範囲をマッピングする。例えば、
図5における期間の曖昧性に示すように、マッピング機能154は、「前回の外来」と「現在」とを示した座標空間を用いる。
【0059】
また、マッピング機能154は、病症の質や程度を表す言葉(特徴)の範囲をマッピングする場合、言葉の対義語が軸上の対局になる座標空間に対して範囲をマッピングする。すなわち、マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間として、評価において対義関係にある評価を座標軸の両端に示した座標空間を用いる。例えば、
図5におけるタイミング、程度及び質の曖昧性に示すように、マッピング機能154は、対義語を軸の両端に示した座標空間を用いる。
【0060】
ここで、軸の成分や各成分の座標(座標空間上の位置)は、辞書やオントロジーを用いたルールベースや、主成分分析、医師によるマニュアル操作によって決定することができる。また、各成分の相対的な座標は、Word2Vec等の自然言語処理による単語のベクトル表現を使うことで計算されてもよい。
【0061】
また、マッピング機能154は、部位情報などの離散値であるが位置的な座標を含む言葉(特徴)の範囲をマッピングする場合、人体図や知識グラフに対して範囲をマッピングする。すなわち、マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間として、患者における位置を示す座標空間を用いる。例えば、
図5における部位の曖昧性に示すように、マッピング機能154は、人体図で示した座標空間を用いる。
【0062】
そして、マッピング機能154は、上記した座標空間に対して、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする。具体的には、マッピング機能154は、評価パラメータごとに、当該評価パラメータに基づく空間上に、第1の範囲と第2の範囲とをそれぞれマッピングする。例えば、マッピング機能154は、患者の医療概念と同一の医療概念において統計的に決定された範囲に基づいて、第1の範囲を決定する。例えば、マッピング機能154は、辞書やオントロジーを用いたルールベースや、機械学習、正規分布等を用いて、患者の主訴データに基づく第1の範囲を決定する。
【0063】
以下、機械学習を用いて範囲を決定する例について説明する。
図8は、第1の実施形態に係る第1の範囲を決定するための学習済みモデルの構築を説明するための図である。例えば、曖昧性の範囲を抽出する学習済みモデルは、
図8に示すように、過去の患者の主訴データから取得された特徴と、医療概念に関する医療知識の特徴ごとに予め定義された曖昧性の範囲(教師データ)とを学習データとして学習することにより構築される。
【0064】
ここで、曖昧性の範囲は、
図8に示すように、タイミングや程度などのカテゴリごとの座標空間に対して、各特徴が取り得る範囲である。例えば、脊髄麻痺の患者における「痛み」のタイミングの範囲は「常に」であり、「痺れ」のタイミングの範囲は多くが「常に」であるが一部「一時的」を含むものとなる。
【0065】
例えば、「脊髄麻痺」に関する曖昧性の範囲を抽出するための学習済みモデルは、「脊髄麻痺」と診断された患者の主訴データに含まれる特徴と、「脊髄麻痺」に関する医療知識の特徴ごとに予め定義された範囲(教師データ)とを学習データとして学習することで構築される。なお、医療概念に関する医療知識の特徴ごとの曖昧性の範囲は、例えば、ガイドラインや文献情報に基づいて予め定義される。また、医療概念に関する医療知識の特徴ごとの曖昧性の範囲は、
図8の程度の曖昧性に示すように、確信度に基づいてグレードが付けられる場合でもよい。
【0066】
マッピング機能154は、曖昧性解消の対象となっている患者(現時点の対象患者)の主訴データから取得された特徴を、曖昧性の範囲を抽出する学習済みモデルに入力することで、第1の範囲を取得する。
図9は、第1の実施形態に係る第1の範囲のマッピングの一例を示す図である。例えば、マッピング機能154は、取得機能151によって現時点の対象患者の主訴データから取得された特徴を、学習済みモデルに入力することで、
図9に示す曖昧性の範囲を取得する。すなわち、マッピング機能154は、医療概念「脊髄麻痺」を評価する評価パラメータに関して、患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性を示す範囲を決定する。
【0067】
また、マッピング機能154は、医療概念に関する医療知識の特徴ごとの曖昧性の範囲を、評価パラメータに基づく座標空間にマッピングする。ここで、医療概念に関する医療知識の特徴ごとの曖昧性の範囲は、上記したように予め定義される。したがって、マッピング機能154は、取得機能151によって医療知識から取得された特徴について、予め定義された曖昧性の範囲を取得する。
【0068】
図10は、第1の実施形態に係る第2の範囲のマッピングの一例を示す図である。例えば、マッピング機能154は、
図10に示すように、ガイドラインや文献情報から取得された医療知識「脊髄麻痺の兆候」の特徴に基づいて、各カテゴリにおける特徴の曖昧性の範囲を取得する。すなわち、マッピング機能154は、各カテゴリにおける特徴において、脊髄麻痺の患者が訴える可能性がある特徴の範囲を決定する。
【0069】
(関連度の算出処理)
図2のステップS105で説明したように、算出機能155は、第1の範囲と第2の範囲とに基づいて、患者の主訴データと医療知識との関連度を算出する。具体的には、算出機能155は、患者の主訴データに基づく曖昧性の範囲(患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性を示す範囲)と、医療知識に基づく曖昧性の範囲(医療概念を有する患者が訴える可能性がある特徴の範囲)とに基づいて、患者の主訴データと医療知識との関連度を算出する。
【0070】
例えば、算出機能155は、第1の範囲と第2の範囲とが重複した面積に基づいて、関連度を算出する。一例を挙げると、算出機能155は、患者の主訴データに基づく曖昧性の範囲と医療知識に基づく曖昧性の範囲とが重なった面積に基づいて、患者の主訴データと医療知識との一致度を算出する。
【0071】
図11は、第1の実施形態に係る関連度の算出を説明するための図である。ここで、
図11は、
図9に示す患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性の範囲と、
図10に示す医療知識に基づく曖昧性の範囲とを重ねた図を示す。例えば、算出機能155は、
図11において範囲が重なった部分の面積をカテゴリごとに算出し、算出した面積に基づいて、主訴データと医療知識との一致度を算出する。一例を挙げると、算出機能155は、算出した面積の総和を一致度として算出する。
【0072】
ここで、算出機能155は、主要な特徴に対して重みを重くするなど、特徴ごとに重み付けを行うこともできる。例えば、他の医療概念(脊髄麻痺以外の医療概念)と鑑別するために曖昧性を解消すべき特徴について、重みを重くする。或いは、医療概念に対して主要な特徴を統計処理や機械学習によって抽出し、抽出した特徴に対する重みを重くする場合でもよい。なお、重みに関する情報は予め設定され、記憶回路14によって記憶される。すなわち、算出機能155は、重み付けを行う場合、記憶回路14から重みに関する情報を読み出して用いる。
【0073】
例えば、算出機能155は、以下の式を用いて、一致度を算出する。なお、以下の式は、重み付けを行う場合の式を示しているが、重み付けを行わない場合でもよい。
【0074】
Σ_全曖昧性の範囲(特徴に対する重み×重複した面積)=一致度
【0075】
なお、主訴データと医療知識との関連度は、上記した面積を用いる方法に限らず、その他の方法が用いられる場合でもよい。例えば、算出機能155は、第1の範囲(患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性の範囲)と第2の範囲(医療知識に基づく曖昧性の範囲)との類似度を、ベクトル表現を用いたCOS(コサイン)類似度で算出することで、主訴データと医療知識との関連度を算出することもできる。また、算出機能155は、第1の範囲(患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性の範囲)と第2の範囲(医療知識に基づく曖昧性の範囲)との有意差検定を行うことで、主訴データと医療知識との関連度を算出することもできる。
【0076】
また、重複した範囲の面積を用いた関連度の算出方法は、上記した方法に限らず、曖昧性の範囲が確信度で評価されている場合に、面積に加えてさらに確信度を用いる場合でもよい。かかる場合には、算出機能155は、例えば、重複した範囲において確信度が高い座標に対する重みを大きくして加算することで、確信度を含めた一致度を算出することができる。
【0077】
上記したように、算出機能155は、医療概念ごとに、患者の主訴データと医療知識との一致度を算出する。
【0078】
(情報の表示処理)
図2のステップS106で説明したように、表示制御機能156は、関連度の基づく情報を表示する。例えば、表示制御機能156は、算出機能155によって算出された一致度をディスプレイ13に表示させる。
【0079】
また、例えば、表示制御機能156は、評価パラメータに基づく空間上に、第1の範囲と第2の範囲とがマッピングされた情報を表示させることもできる。
図12は、第1の実施形態に係る表示情報の一例を示す図である。例えば、表示制御機能156は、
図12に示すように、医療概念「脊髄麻痺」について、患者が訴えた内容(評価)に含まれる曖昧性の範囲と医療知識に基づく曖昧性の範囲とを重ねた情報を、ディスプレイ13に表示させる。
【0080】
ここで、表示制御機能156は、
図12における矢印21、22に示すように、各カテゴリの特徴において、曖昧性を解消する方向を表示することもできる。これにより、医師は、矢印21や22を見ることで、例えば、「痛み」や「痺れ」のタイミングをより詳細に問診して曖昧性を解消することができる。
【0081】
また、例えば、表示制御機能156は、関連度に基づく患者に対する問診内容を表示させる。一例を挙げると、表示制御機能156は、
図12に示すように、問診内容「足に力が入らないのは、体を動かした時だけですか?」及び「重い荷物を持ち上げた時、咳をしたときに痛みはひどくなりますか?」を表示させる。なお、問診内容は、例えば、曖昧性を解消する方向ごとに予め設定され、記憶回路14に記憶される。すなわち、表示制御機能156は、矢印21や22の方向に基づいて問診内容を読み出し、ディスプレイ13に表示させる。
【0082】
上述したように、第1の実施形態によれば、特定機能152は、患者に関する医療概念を特定する。決定機能153は、医療概念に関連する評価パラメータを決定する。取得機能151は、患者の主訴データと、医療概念に関連する医療知識とを取得する。マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間上に、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とをマッピングする。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、主訴データに基づく第1の範囲と、医療知識に基づく第2の範囲とを比較することができ、比較結果に基づいて問診を行うことで、診断の効率を向上させることを可能にする。また、比較結果に基づく問診を行うことで、重大な疾患や有害事象の兆候の見落としの発生を抑止することを可能にする。
【0083】
また、第1の実施形態によれば、評価パラメータは、医療概念に関連し、かつ、曖昧性を含んだパラメータである。また、決定機能153は、患者の医療概念を評価するパラメータのうち、評価に曖昧性を含むパラメータを、評価パラメータとして決定する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、主訴データに含まれる曖昧性を解消するように問診を行うことができ、診断の効率をより向上させることを可能にする。
【0084】
また、第1の実施形態によれば、マッピング機能154は、主訴データに含まれる医療概念に関する評価に基づいて評価パラメータに基づく空間上の第1の範囲を決定し、医療知識に含まれる医療概念に関する評価に基づいて評価パラメータに基づく空間上の第2の範囲を決定する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、患者の評価に基づく範囲と、医療知識に基づく範囲とを比較することができ、比較結果に基づく問診を可能にする。
【0085】
また、第1の実施形態によれば、マッピング機能154は、患者の医療概念と同一の医療概念において統計的に決定された範囲に基づいて、第1の範囲を決定する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、患者の主訴データに基づく範囲を精度よく決定することを可能にする。
【0086】
また、第1の実施形態によれば、マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間として、評価において対義関係にある評価を座標軸の両端に示した座標空間を用いる。また、マッピング機能154は、評価パラメータに基づく空間として、患者における位置を示す座標空間を用いる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、評価パラメータを適切に表現することを可能にする。
【0087】
また、第1の実施形態によれば、医療概念は、患者の疾患に関連する情報である。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、患者の疾患に関して、適切な問診を行うことを可能にする。
【0088】
また、第1の実施形態によれば、決定機能153は、医療概念に関連する複数種類の評価パラメータを決定する。マッピング機能154は、評価パラメータごとに、当該評価パラメータに基づく空間上に、第1の範囲と第2の範囲とをそれぞれマッピングする。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、複数の評価パラメータを対象に処理を行うことを可能にする。
【0089】
また、第1の実施形態によれば、算出機能155は、第1の範囲と第2の範囲とに基づいて、主訴データと医療知識との関連度を算出する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、患者の主訴と医療概念に関する医療知識との比較を可能にする。
【0090】
また、第1の実施形態によれば、算出機能155は、第1の範囲と第2の範囲とが重複した面積に基づいて、関連度を算出する。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、患者の主訴と医療知識との関連度を容易に算出することを可能にする。
【0091】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能156は、関連度に基づいた情報を表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、関連度の情報を医師に提供することを可能にする。
【0092】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能156は、評価パラメータに基づく空間上に、第1の範囲と第2の範囲とがマッピングされた情報を表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、観察しやすい関連度の情報を医師に提供することを可能にする。
【0093】
また、第1の実施形態によれば、表示制御機能156は、関連度に基づく患者に対する問診内容を表示させる。したがって、第1の実施形態に係る医用情報処理装置1は、問診に関する適切な情報を医師に提供することを可能にする。
【0094】
(第2の実施形態)
上述した第1の実施形態では、対象の医療概念を特定した後、医療概念に関連する評価パラメータを決定する場合について説明した。第2の実施形態では、患者の主訴データに基づいて評価パラメータを決定し、決定した評価パラメータについて第1の範囲をマッピングし、マッピングの結果に基づいて医療概念を特定する場合について説明する。例えば、患者の主訴データに含まれる曖昧性を考慮して、医師が関連性の高い医療概念を検索したいケースがある。第2の実施形態では、このようなケースに対する処理を説明する。なお、第2の実施形態に係る医用情報処理装置1は、第1の実施形態と比較して、特定機能152と決定機能153の処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0095】
第2の実施形態に係る決定機能153は、取得機能151によって取得された主訴データの特徴に基づいて、評価パラメータを決定する。例えば、決定機能153は、主訴データの特徴「運動時」、「腰・痛み・動作の阻害」、「足・もつれる」、「脱力」に基づいて、曖昧性の範囲をマッピングするカテゴリと特徴を決定する。
【0096】
第2の実施形態に係るマッピング機能154は、第1の実施形態と同様に、取得機能151によって取得された主訴データの特徴に基づいて、決定機能153が決定した評価パラメータ(カテゴリ)の座標空間上に、主訴データに基づく第1の範囲をマッピングする。
【0097】
第2の実施形態に係る特定機能152は、マッピング機能154によるマッピング結果に基づいて、医療概念を特定する。具体的には、特定機能152は、マッピング機能154によってマッピングされた第1の範囲と関連する範囲を有する医療概念を、対象の医療概念として特定する。
【0098】
かかる場合には、例えば、算出機能155が、マッピング機能154によってマッピングされた第1の範囲と、記憶回路14に記憶された医療概念に関する医療知識の特徴ごとの曖昧性の範囲(第2の範囲)との一致度をそれぞれ算出する。特定機能152は、算出機能155によって算出された一致度に基づいて、対象とする医療概念を特定する。
【0099】
例えば、特定機能152は、一致する可能性がある医療概念を全て抽出し、抽出した医療概念を対象の医療概念として特定する。また、例えば、特定機能152は、算出された一致度が高い医療概念を対象の医療概念として特定する。
【0100】
なお、主訴データに基づく評価パラメータは、上記したように決定機能153によって決定される場合でもよいが、医師によって指定される場合でもよい。例えば、決定機能153によって決定された評価パラメータの中から医師が選択する場合でもよい。
【0101】
第2の実施形態によれば、患者の主訴データに含まれる曖昧性を考慮した医療概念を特定することができる。すなわち、言葉の意味(類義語など)やオントロジー的な関係を考慮した検索だけではなく、言葉の持つ曖昧性から検索することができる。
【0102】
(第3の実施形態)
上述した第1の実施形態では、患者の主訴データと医療知識の曖昧性を比較する場合について説明した。第3の実施形態では、言葉の使用者の認識の曖昧性を比較する場合について説明する。例えば、同じ表現でも話し手と受け手(例えば、患者と医療従事者との間や、医療従事者間)で認識が異なる場合に、ずれが生じてしまう。そこで、第3の実施形態では、言葉の使用者の曖昧性を比較することで、齟齬を解消する。なお、第3の実施形態に係る医用情報処理装置1は、第1の実施形態と比較して、取得機能151、マッピング機能154、算出機能155及び表示制御機能156の処理が異なる。以下、これらを中心に説明する。
【0103】
第3の実施形態に係る取得機能151は、言葉の使用者の発言を取得し、取得した発言から特定の病状に対する特徴を取得する。例えば、取得機能151は、問診時の患者と医師の発言をリアルタイムで取得し、取得した発言に含まれる特定の病状に対する特徴を取得する。一例を挙げると、医用情報処理装置1が入力インターフェース12としてマイクを備え、取得機能151は、マイクによって取得された患者と医師の発言に含まれる特定の病状に対する特徴を取得する。なお、患者と医師の発言に含まれる特定の病状に対する特徴は、例えば、言語処理技術によって取得される。
【0104】
第3の実施形態に係るマッピング機能154は、患者が発した特定の病状に対する特徴に基づく曖昧性の範囲と、医師が発した特定の病状に対する特徴に基づく曖昧性の範囲をそれぞれマッピングする。なお、評価パラメータは、特定の病状ごとに予め設定される。
【0105】
第3の実施形態に係る算出機能155は、マッピング機能154によってマッピングされた範囲に基づいて一致度を算出する。例えば、算出機能155は、患者が発した特定の病状に対する特徴に基づく曖昧性の範囲と、医師が発した特定の病状に対する特徴に基づく曖昧性の範囲との一致度を算出する。
【0106】
第3の実施形態に係る表示制御機能156は、算出機能155によって算出された一致度に基づく情報を表示させる。例えば、表示制御機能156は、算出機能155によって算出された一致度が閾値よりも低い場合に、齟齬が発生している旨の情報をディスプレイ13に表示させる。
【0107】
なお、言葉の使用者の認識の曖昧性を比較するケースは、上記に限られない。例えば、医療従事者間では、例えば、カルテの記載から曖昧性を比較することができる。例えば、取得機能151は、カルテに記載された言葉から、各医療従事者における特定の医療概念に関する言葉の特徴を取得する。マッピング機能154は、取得された言葉の特徴に基づいて、各医療従事者に関する曖昧性の範囲をそれぞれマッピングする。
【0108】
表示制御機能156は、マッピング結果を医療従事者それぞれに提示する。これにより、医療従事者間で認識のずれを把握することができる。例えば、オーダを発行する際に、発行元の医師の曖昧性の範囲を提示しておくことで、発行先の医師が、自分の認識と比較して、ずれを解消するように行動できる。
【0109】
第3の実施形態によれば、問診時の患者と医師の病症に対する齟齬、または検査オーダなど他の診療科への依頼内容での医師間の齟齬を吸収することで、より適切な情報伝達および処置に繋がる。
【0110】
(その他の実施形態)
上述した実施形態では、医用情報処理装置1において曖昧性の範囲に基づく処理を行う場合について説明した。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、医用情報処理装置1によって得られた曖昧性の範囲の情報を他の装置が利用することもできる。
【0111】
例えば、患者の主訴データを用いて学習済みモデルやエキスパートシステムを構築する際に、医用情報処理装置1によって得られた曖昧性の範囲を入力することで、曖昧性を考慮した幅のある提案を可能な学習済みモデルやエキスパートシステムを構築することができる。
【0112】
例えば、曖昧性が高い回答が入力された場合、学習済みモデルやエキスパートシステムによる提案の確信度が低下する。ここで、医用情報処理装置1によって得られた曖昧性の範囲を入力することで、曖昧性が高いか否かを判定することできることから(例えば、マッピングされる範囲が広いなど)、確信度を向上させるためにどの曖昧性を解消すべきかを提示することができる。
【0113】
また、例えば、曖昧さや不正確さを推論するファジィ推論において、医用情報処理装置1によって得られた曖昧性の範囲を活用することで、ファジィ推論における推論結果に確信度を提示することができる。
【0114】
なお、上述した実施形態では、本明細書における取得部、特定部、決定部、マッピング部、算出部及び、表示制御部を、それぞれ、処理回路の取得機能、特定機能、決定機能、マッピング機能、算出機能及び、表示制御機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における取得部、特定部、決定部、マッピング部、算出部及び、表示制御部は、実施形態で述べた取得機能、特定機能、決定機能、マッピング機能、算出機能及び、表示制御機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0115】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、記憶回路にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合には、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0116】
ここで、プロセッサによって実行される医用情報処理プログラムは、ROM(Read Only Memory)や記憶回路等に予め組み込まれて提供される。なお、この医用情報処理プログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、この医用情報処理プログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、この医用情報処理プログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体から医用画像処理プログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0117】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0118】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0119】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、診断の効率を向上させることができる。
【0120】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0121】
1 医用情報処理装置
151 取得機能
152 特定機能
153 決定機能
154 マッピング機能
155 算出機能
156 表示制御機能