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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171436
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】パウチ、及び内容物封入パウチ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 33/01 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D81/34 U
B65D33/25 A
B65D33/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088441
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(72)【発明者】
【氏名】松永 直也
【テーマコード(参考)】
3E013
3E064
【Fターム(参考)】
3E013BB12
3E013BB13
3E013BC04
3E013BD06
3E013BD09
3E013BE01
3E013BF26
3E013BF37
3E013BF62
3E064AB26
3E064BA30
3E064BA36
3E064BA55
3E064BB03
3E064BC01
3E064BC02
3E064BC20
3E064EA07
3E064EA18
3E064FA01
3E064FA03
3E064GA04
3E064HD01
3E064HE03
3E064HM01
3E064HM03
3E064HN06
3E064HN15
3E064HN18
3E064HP01
3E064HP02
(57)【要約】
【課題】より高い圧力までチャックの閉鎖状態を維持する。
【解決手段】パウチ10は、内容物を収容する内部空間を形成可能な袋20と、袋20が備える袋部30の第1開口部H1を開閉可能なチャック60とを備える。袋部30の第3縁部L3には、第1シート21の内面と第2シート22の内面とが互いに接合された第3シール部S3が設けられている。第3シール部S3には、通蒸部70が設けられている。袋部30の第2縁部L2からチャック60における閉鎖位置までの長さをAとし、第2縁部L2から通蒸部70までの長さをBとする。パウチ10は、B≦0.69×Aを満たす。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する内部空間を形成可能な袋と、
前記袋に設けられた第1開口部を開閉可能なチャックと、
を備え、
前記袋は、
互いに対向するように配置された第1シート及び第2シートを含み、前記第1シートと前記第2シートとの間に前記内部空間を形成可能であり、前記第1開口部を備える袋状を呈する袋部と、
前記袋部の前記第1開口部を封止する蓋部と、
を有し、
前記袋部は、
前記第1開口部が設けられる側の縁部である第1縁部と、
前記第1縁部に対して反対側の縁部である第2縁部と、
前記第1縁部の一方の端部と前記第2縁部の一方の端部とを接続する縁部である第3縁部と、
前記第1縁部の他方の端部と前記第2縁部の他方の端部とを接続する縁部である第4縁部と、
を有し、
前記チャックは、前記袋部に設けられ、前記第1開口部を開閉可能であり、
前記第3縁部には、前記第1シートの内面と前記第2シートの内面とが互いに接合された第3シール部が設けられ、
前記第3シール部には、前記第3縁部側から前記第4縁部側に向けて湾曲する形状を呈し、前記内部空間の圧力の上昇により前記第1シートと前記第2シートとがはく離するように構成された通蒸部が設けられ、
前記第1縁部と前記第2縁部との対向方向において、前記第2縁部から前記チャックにおける閉鎖位置までの長さをAとし、前記第2縁部から前記通蒸部までの長さをBとしたときに、
B≦0.69×A
を満たす、パウチ。
【請求項2】
前記第3シール部において、前記通蒸部が設けられた部位における前記第1シートと前記第2シートとの接合強度は、前記通蒸部が設けられていない部位における前記第1シートと前記第2シートとの接合強度よりも弱い、請求項1に記載のパウチ。
【請求項3】
前記チャックは、前記内部空間の圧力が上昇した場合において120kpa以上の圧力まで閉鎖状態を維持可能であり、
前記通蒸部において前記第1シート及び前記第2シートは、前記チャックが閉鎖状態を維持可能な前記内部空間の圧力よりも低い圧力ではく離する、請求項1に記載のパウチ。
【請求項4】
前記袋部は、
前記内部空間及び前記第1開口部を形成し、前記蓋部が接続される袋本体部と、
前記袋本体部よりも前記第2縁部側に設けられ、前記袋本体部を支持する底ガゼットと、
を有し、
前記通蒸部は、前記袋本体部に設けられ、
前記長さA及び前記長さBは、
B≧0.4×A
を満たす、請求項1に記載のパウチ。
【請求項5】
前記チャックは、
前記第1シートの内面に取り付けられ、前記第3縁部から前記第4縁部に向って延在する第1チャック部と、
前記第2シートの内面に取り付けられ、前記第3縁部から前記第4縁部に向って延在すると共に前記第1チャック部に解除可能に係合する第2チャック部と、
を有し、
前記第1チャック部は、
前記第2チャック部に解除可能に係合する第1係合部と、
前記第2チャック部側の面に前記第1係合部が設けられると共に、前記第1シート側の面が前記第1シートに接合される第1本体部と、
を含み、
前記第1本体部は、前記第1シートに対向する面のうち、前記第1係合部よりも前記第1縁部側の部位である第1面部が前記第1シートに接合され、前記第1面部よりも前記第2縁部側の部位である第2面部は前記第1シートに接合されていない、請求項1に記載のパウチ。
【請求項6】
前記袋部における前記第4縁部の一部分には、前記内部空間と外部の空間とに連通する第2開口部がさらに設けられている、請求項1~5のいずれか一項に記載のパウチ。
【請求項7】
請求項1~5のいずれか一項に記載のパウチと、
前記パウチの内部空間に収容された前記内容物と、
を備える、内容物封入パウチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を収容可能なパウチ、及び内容物が収容された内容物封入パウチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、内部空間に内容物を収容するパウチが記載されている。このパウチは、上部が切り取られることによって開口部が形成される。また、このパウチは、上部が切り取られた後であっても開口部を閉じることができるようにチャックが設けられている。これにより、例えば、開口部からパウチ内に内容物を追加投入し、チャックによりパウチの開口部を閉じることができる。また、パウチの側部には、電子レンジによる加熱によって内部の圧力が上昇した場合に、外部と連通して蒸気を逃がす通蒸部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6350557号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通蒸部を備え且つチャックによって開口部が閉じられたパウチが加熱された場合、内部の圧力上昇に伴ってパウチが変形する。その際、通蒸部に応力が集中し易いため、パウチには通蒸部を起点とした変形が生じる。この通蒸部を起点とするパウチの変形に伴ってチャックが変形し、通蒸部が連通状態となる前にチャックが外れて開口部が開くことが生じ得る。
【0005】
そこで、本発明は、より高い圧力までチャックの閉鎖状態を維持可能なパウチ、及び内容物が収容された内容物封入パウチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るパウチは、[1]「内容物を収容する内部空間を形成可能な袋と、前記袋に設けられた第1開口部を開閉可能なチャックと、を備え、前記袋は、互いに対向するように配置された第1シート及び第2シートを含み、前記第1シートと前記第2シートとの間に前記内部空間を形成可能であり、前記第1開口部を備える袋状を呈する袋部と、前記袋部の前記第1開口部を封止する蓋部と、を有し、前記袋部は、前記第1開口部が設けられる側の縁部である第1縁部と、前記第1縁部に対して反対側の縁部である第2縁部と、前記第1縁部の一方の端部と前記第2縁部の一方の端部とを接続する縁部である第3縁部と、前記第1縁部の他方の端部と前記第2縁部の他方の端部とを接続する縁部である第4縁部と、を有し、前記チャックは、前記袋部に設けられ、前記第1開口部を開閉可能であり、前記第3縁部には、前記第1シートの内面と前記第2シートの内面とが互いに接合された第3シール部が設けられ、前記第3シール部には、前記第3縁部側から前記第4縁部側に向けて湾曲する形状を呈し、前記内部空間の圧力の上昇により前記第1シートと前記第2シートとがはく離するように構成された通蒸部が設けられ、前記第1縁部と前記第2縁部との対向方向において、前記第2縁部から前記チャックにおける閉鎖位置までの長さをAとし、前記第2縁部から前記通蒸部までの長さをBとしたときに、B≦0.69×Aを満たす、パウチ。」である。
【0007】
このパウチでは、蓋部が袋部から分離されることによって、袋部の第1開口部が開放される。このパウチは、袋部の第1開口部が開放された状態であっても、チャックによって第1開口部を閉じることができる。開放された第1開口部がチャックによって閉じられた後、電子レンジ等で加熱されると、内部空間の圧力が高くなる。この圧力上昇により袋部が膨らむように変形する。その際、袋部は、内側に向けて窪む形状の通蒸部を起点として、通蒸部が内側に窪むように変形する。ここで、通蒸部がチャックに近い位置に設けられている場合、通蒸部を起点とする袋部の変形に伴ってチャックも大きく変形し、チャックが外れ易くなる。そこで、このパウチでは、第2縁部からチャックにおける閉鎖位置までの長さをAとし、第2縁部から通蒸部までの長さをBとしたときに、B≦0.69×Aを満たす位置に通蒸部が設けられている。つまり、通蒸部は、チャックにおける閉鎖位置から、0.31×A以上離れた位置に設けられている。このように、通蒸部は、チャックから離れた位置に設けられている。これにより、このパウチは、通蒸部を起点とする袋部の変形が生じた場合であっても、この変形に起因するチャックの変形を抑制でき、チャックが外れることを抑制できる。このように、このパウチは、より高い圧力までチャックの閉鎖状態を維持することができる。
【0008】
上記のパウチは、[2]「前記第3シール部において、前記通蒸部が設けられた部位における前記第1シートと前記第2シートとの接合強度は、前記通蒸部が設けられていない部位における前記第1シートと前記第2シートとの接合強度よりも弱い、上記[1]に記載のパウチ。」であってもよい。この場合、パウチは、内部空間の圧力が上昇した場合に、第3シール部のうちの通蒸部が設けられた部分を、より確実に通蒸状態(内部空間と外部とが連通した状態)とすることができる。
【0009】
上記のパウチは、[3]「前記チャックは、前記内部空間の圧力が上昇した場合において120kpa以上の圧力まで閉鎖状態を維持可能であり、前記通蒸部において前記第1シート及び前記第2シートは、前記チャックが閉鎖状態を維持可能な前記内部空間の圧力よりも低い圧力ではく離する、上記[1]又は[2]に記載のパウチ。」であってもよい。この場合、パウチは、第1開口部がチャックによって閉じられた状態で加熱された場合に、収容された内容物を加圧しながら加熱することができる。
【0010】
上記のパウチは、[4]「前記袋部は、前記内部空間及び前記第1開口部を形成し、前記蓋部が接続される袋本体部と、前記袋本体部よりも前記第2縁部側に設けられ、前記袋本体部を支持する底ガゼットと、を有し、前記通蒸部は、前記袋本体部に設けられ、前記長さA及び前記長さBは、B≧0.4×Aを満たす、上記[1]~[3]のいずれかに記載のパウチ。」であってもよい。このパウチは、底ガゼットを備えることにより、第1開口部を上方に向けて袋部を立てた状態とすることができる。そして、このパウチでは、袋部が立てられた状態において、下端部(第2縁部)から0.4×A以上の高さ位置に通蒸部が設けられている。これにより、パウチは、袋部が立てられた状態で加熱されて通蒸部が通蒸状態となった場合に、収容する内容物が通蒸部から零れ出ることを抑制できる。
【0011】
上記のパウチは、[5]「前記チャックは、前記第1シートの内面に取り付けられ、前記第3縁部から前記第4縁部に向って延在する第1チャック部と、前記第2シートの内面に取り付けられ、前記第3縁部から前記第4縁部に向って延在すると共に前記第1チャック部に解除可能に係合する第2チャック部と、を有し、前記第1チャック部は、前記第2チャック部に解除可能に係合する第1係合部と、前記第2チャック部側の面に前記第1係合部が設けられると共に、前記第1シート側の面が前記第1シートに接合される第1本体部と、を含み、前記第1本体部は、前記第1シートに対向する面のうち、前記第1係合部よりも前記第1縁部側の部位である第1面部が前記第1シートに接合され、前記第1面部よりも前記第2縁部側の部位である第2面部は前記第1シートに接合されていない、上記[1]~[4]のいずれかに記載のパウチ。」であってもよい。このパウチが加熱されて袋部が膨らんだ場合、第1シートは、第1本体部の第2面部から離反し、第1面部との接合部の位置で屈曲する。第1チャック部は、第1本体部の第1面部の部分が第1シートによって引っ張られる。これにより、チャックは、第1チャック部が第2縁部側を向くように傾く。この傾きにより、チャックには、第1本体部上において第2本体部の位置をずらす方向の力が加わる。すなわち、チャックに加わる力において、第1本体部と第2本体部とを互いに離反させる方向の力が抑制される。これにより、パウチは、内部空間の圧力が上昇した場合であってもチャックが開くことをより一層抑制できる。
【0012】
上記のパウチは、[6]「前記袋部における前記第4縁部の一部分には、前記内部空間と外部の空間とに連通する第2開口部がさらに設けられている、上記[1]~[5]のいずれかに記載のパウチ。」であってもよい。この場合、パウチは、第2開口部を介して内部空間内に内容物を投入することができる。
【0013】
内容物封入パウチは、[7]「上記[1]~[5]のいずれかに記載のパウチと、前記パウチの内部空間に収容された前記内容物と、を備える、内容物封入パウチ。」である。この場合、内容物封入パウチは、上述したパウチを備えることにより、第1開口部がチャックによって閉じられた状態において、より高い圧力までチャックの閉鎖状態を維持することができる。また、内容物封入パウチは、開放された第1開口部がチャックによって閉じられた状態で加熱された場合に、パウチ内に収容された内容物を加圧しながら加熱することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、より高い圧力までチャックの閉鎖状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る内容物封入パウチの正面図である。
図2図2は、パウチの正面図である。
図3図3は、図2のIIII-III線に沿った断面図である。
図4図4(a)は、図3の第1チャック部のみを示す断面図である。図4(b)は、図3の第2チャック部のみを示す断面図である。
図5図5(a)は、通蒸部を示す図である。図5(b)は、通蒸状態の通蒸部を示す図である。
図6図6は、内容物封入パウチの蓋部が切り取られる様子を示す図である。
図7図7は、チャックが閉じられた状態の袋部を示す正面図である。
図8図8は、通蒸部を起点として袋部が屈曲する様子を示す図である。
図9図9は、袋部が膨らんだ状態におけるチャック周りの断面図である。
図10図10は、通蒸部の高さ位置を変化させた場合におけるチャックの耐久圧力等の実験結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1を参照して、内容物封入パウチ1の構成について説明する。なお、以下で説明する各図に示されるドット部分は、第1シート21と第2シート22とが互いに接合(例えば熱溶着)された、パウチ10のシール部を示している。内容物封入パウチ1は、パウチ10、及び内容物Xを有する。パウチ10は、スタンディングパウチとしての形態を有する。パウチ10は、第2開口部H2(図2参照)にシール加工が施されている。内容物Xは、パウチ10内に形成された内部空間Rに収容されている。内容物Xは、例えば、液体調味料である。
【0018】
図2を参照して、パウチ10の構成について説明する。パウチ10は、袋20、及びチャック60を有する。袋20は、第1シート21、及び第2シート22(図3参照)を含む部材によって形成されている。第1シート21と第2シート22とは、互いに対向するように重ねて配置されている。袋20は、第2開口部H2が形成された部分を除く縁の全部がシールされている。
【0019】
第1シート21及び第2シート22は、例えば、最外層、中間層、及び最内層を有する。最外層は、例えば、ポリエチレンテレフタレート層により構成される。最内層は、例えば、無延伸ポリプロピレン層により構成される。中間層は、例えば、印刷層、第1接着層、延伸ナイロン層、及び第2接着層により構成される。印刷層は、例えば、最外層の内側に形成される。第1接着層は、例えば、印刷層の内側に形成される。延伸ナイロン層は、例えば、第1接着層の内側に形成される。第2接着層は、例えば、延伸ナイロン層の内側に形成される。最内層は、例えば、第2接着層の内側に形成される。印刷層は、例えば、外面に絵柄および商品の説明等を有する。
【0020】
袋20は、袋部30、蓋部40、及び切断補助部50を有する。袋部30は、第1シート21及び第2シート22を含み、第1シート21と第2シート22との間に内部空間Rを形成可能である。袋部30は、第1開口部H1を備える袋状を呈している(図6参照)。袋部30は、第1縁部L1、第2縁部L2、第3縁部L3、及び第4縁部L4を有している。
【0021】
第1縁部L1は、第1開口部H1が設けられる側の縁部である。第2縁部L2は、第1縁部L1(第1開口部H1)に対して反対側の縁部である。つまり、第2縁部L2は、袋状を呈する袋部30の底側の縁部を構成する。第3縁部L3は、第1縁部L1の一方の端部と第2縁部L2の一方の端部とを接続する縁部である。第4縁部L4は、第1縁部L1の他方の端部と第2縁部L2の他方の端部とを接続する縁部である。第3縁部L3及び第4縁部L4は、袋状を呈する袋部30の一方の側部の縁部及び他方の側部の縁部をそれぞれ構成する。このように、袋部30は、第1縁部L1、第2縁部L2、第3縁部L3、及び第4縁部L4を有する略四角形状を呈している。
【0022】
第2縁部L2には、第1シート21の内面と第2シート22の内面とが互いに接合された第2シール部S2が設けられている。第3縁部L3には、第1シート21の内面と第2シート22の内面とが互いに接合された第3シール部S3が設けられている。第4縁部L4には、第1シート21の内面と第2シート22の内面とが互いに接合された第4シール部S4が設けられている。
【0023】
蓋部40は、袋部30の第1開口部H1を封止する。蓋部40は、袋部30における第1縁部L1に設けられている。袋部30と蓋部40とは、切断補助部50を介して互いに連続している。蓋部40は、第1開口部H1を封止する第1シール部S1を備えている。第1シール部S1は、第1シート21の内面と第2シート22の内面とが互いに接合されることによって形成されている。
【0024】
切断補助部50は、袋20を袋部30と蓋部40とに分離する部分として機能する。切断補助部50は、ノッチ51、及びガイド線52を有する。ノッチ51は、袋20を袋部30と蓋部40とに分離するためのきっかけの部分として機能する。ノッチ51は、第3シール部S3及び第4シール部S4の少なくともいずれかに形成されている。ガイド線52は、袋20を袋部30と蓋部40とに分離することを補助する機能を有する。ガイド線52は、例えば、袋20を構成する第1シート21及び第2シート22に対してレーザーによるハーフカット加工が施されることにより形成されている。
【0025】
蓋部40が袋部30から分離された状態において、袋部30の内部空間Rは、第1開口部H1を介して外部の空間と連通する(図6参照)。蓋部40が袋部30から分離された状態において、第1開口部H1は、具材Wを袋部30の内部空間Rに投入する投入口として機能する。
【0026】
袋部30は、袋本体部31、底ガゼット32、及び突出部33を有する。袋本体部31は、内部空間R及び第1開口部H1を形成する。袋本体部31は、第3縁部L3、第4縁部L4を有している。底ガゼット32は、袋部30の第2縁部L2側の位置に設けられている。底ガゼット32は、袋部30の第2縁部L2を形成する。底ガゼット32は、袋本体部31を支持する。ここでは、底ガゼット32は、袋本体部31が第1開口部H1を上方に向けて起立するように、袋本体部31を支持することができる。
【0027】
突出部33は、袋本体部31の第4縁部L4に設けられ、外側に向って突出する形状を呈している。突出部33には、第2開口部H2が形成されている。つまり、袋本体部31(袋部30)の第4縁部L4の一部分には、内部空間Rと外部の空間とに連通する第2開口部H2がさらに設けられている。第2開口部H2は、内容物Xを内部空間Rに投入する投入口として機能する。
【0028】
チャック60は、袋部30の袋本体部31に設けられている。チャック60は、第1開口部H1よりも内部空間R側の位置に設けられている。チャック60は、袋本体部31が形成する第1開口部H1を開閉することができる。図3に示されるように、チャック60は、第1チャック部61、及び第2チャック部62を有している。第1チャック部61と第2チャック部62とは、解除可能に互いに係合する。
【0029】
第1チャック部61は、第1シート21の内面に取り付けられている。第1チャック部61は、第3縁部L3から第4縁部L4に向って延在する。第1チャック部61は、第3シール部S3と第4シール部S4との間の全域にわたって設けられている。第2チャック部62は、第2シート22の内面に取り付けられている。第2チャック部62は、第3縁部L3から第4縁部L4に向って延在する。第2チャック部62は、第3シール部S3と第4シール部S4との間の全域にわたって設けられている。
【0030】
第1チャック部61は、第1係合部61a、及び第1本体部61bを有している。第1係合部61aは、第2チャック部62(第2係合部62a)に解除可能に係合する。第1係合部61aは、第2チャック部62に係合する(引っ掛かる)爪を有している。第1本体部61bの第2チャック部62側の面には、第1係合部61aが設けられる。第1本体部61bの第1シート21側の面は、第1シート21の内面に熱溶着等により接合される。
【0031】
ここで、図4(a)に示されるように、第1本体部61bにおける第1シート21側の面のうち、第1係合部61aよりも第1縁部L1(第1開口部H1)側の部位を第1面部C1とする。第1本体部61bにおける第1シート21側の面のうち、第1面部C1よりも第2縁部L2(内部空間R)側の部位を第2面部C2とする。図3に示されるように、第1本体部61bの第1面部C1が、第1シート21の内面と接合されている。第1本体部61bの第2面部C2は、第1シート21の内面と接合されていない。図3では、第1チャック部61と第1シート21との接合部位を示すために、第1本体部61bの第1面部C1と第1シート21の内面とが互いに接合された接合部N1が強調して(拡大して)示されている。
【0032】
第2チャック部62は、第2係合部62a、及び第2本体部62bを有している。第2係合部62aは、第1チャック部61の第1係合部61aに解除可能に係合する。第2係合部62aは、第1係合部61aに係合する(引っ掛かる)爪を有している。第2本体部62bの第1チャック部61側の面には、第2係合部62aが設けられる。第2本体部62bの第2シート22側の面は、第2シート22の内面に熱溶着等により接合される。
【0033】
ここで、図4(b)に示されるように、第2本体部62bにおける第2シート22側の面のうち、第2係合部62aよりも第1縁部L1(第1開口部H1)側の部位を上側面部D1とする。第2本体部62bにおける第2シート22側の面のうち、上側面部D1よりも第2縁部L2(内部空間R)側の部位を下側面部D2とする。図3に示されるように、第2本体部62bの上側面部D1及び下側面部D2が、第2シート22の内面と接合されている。図3では、第2チャック部62と第2シート22との接合部位を示すために、第2本体部62bの上側面部D1及び下側面部D2と第1シート21の内面とが互いに接合された接合部N2が強調して(拡大して)示されている。なお、第2チャック部62では、第2本体部62bの第2シート22側の面の全体が、第2シート22の内面に接合されていてもよい。
【0034】
図2及び図5(a)に示されるように、パウチ10は、通蒸部70をさらに備えている。通蒸部70は、袋本体部31における第3シール部S3の部位に設けられている。通蒸部70は、第3縁部L3側から第4縁部L4側に向けて湾曲する形状を呈している。図5(b)に示されるように、通蒸部70は、内部空間Rの圧力の上昇により第1シート21と第2シート22とがはく離するように構成されている。
【0035】
第3シール部S3において、通蒸部70が設けられた部位における第1シート21と第2シート22との接合強度は、通蒸部70が設けられていない部位における第1シート21と第2シート22との接合強度よりも弱い。同様に、通蒸部70が設けられた部位における第1シート21と第2シート22との接合強度は、第1シール部S1、第2シール部S2、及び第4シール部S4における第1シート21と第2シート22との接合強度よりも弱い。つまり、内部空間Rの圧力が上昇した場合、通蒸部70が他のシール部分よりも先に通蒸状態(内部空間と外部とが連通した状態)となる。
【0036】
なお、チャック60は、内部空間Rの圧力が上昇した場合において120kpa以上の圧力まで閉鎖状態を維持可能である。一方、通蒸部70において第1シート21及び第2シート22は、チャック60が閉鎖状態を維持可能な内部空間Rの圧力よりも低い圧力ではく離する。つまり、内部空間Rの圧力が上昇した場合、チャック60が開くよりも先に通蒸部70が通蒸状態となる。
【0037】
次に、通蒸部70が設けられる位置について説明する。図2に示されるように、第1縁部L1と第2縁部L2との対向方向において、第2縁部L2からチャック60における閉鎖位置までの長さをAとする。例えば、図3に示されるように、第1チャック部61の第1係合部61aに設けられた複数の爪と、第2チャック部62の第2係合部62aに設けられた複数の爪とがそれぞれ係合している場合がある。この場合、チャック60の閉鎖位置とは、第1縁部L1と第2縁部L2との対向方向において、爪同士が係合する複数の係合位置の中間の位置とされてもよい。また、第1縁部L1と第2縁部L2との対向方向において、第2縁部L2から通蒸部70までの長さをBとする。
【0038】
この場合、通蒸部70は、第3シール部S3において次の式(1)を満たす位置に設けられている。
B≦0.69×A ・・・ (1)
つまり、第1縁部L1と第2縁部L2との対向方向において、通蒸部70は、チャック60における閉鎖位置から0.31×A以上離れた位置に設けられている。
【0039】
また、通蒸部70は、第3シール部S3において次の式(2)を満たす位置に設けられている。
B≧0.4×A ・・・ (2)
つまり、第1縁部L1と第2縁部L2との対向方向において、通蒸部70は、第2シール部S2から0.4×A以上離れた位置に設けられている。
【0040】
次に、パウチ10を用いて内容物封入パウチ1を製造する手順について説明する。まず、図2に示されるパウチ10を製造する。次に、パウチ10の第2開口部H2を介して、内部空間Rに内容物Xを充填する。内容物Xの充填後、突出部33における第1シート21と第2シート22と互いに接合する。これにより、突出部33にも第4シール部S4が形成され、第2開口部H2が閉じられる。以上により、パウチ10内に内容物Xが封入された内容物封入パウチ1が完成する。
【0041】
次に、内容物封入パウチ1の使用方法について説明する。使用者は、図6に示されるように、ノッチ51を起点としてガイド線52に沿って、袋部30から蓋部40を切り取る。蓋部40が切り取られた状態(分離した状態)において、使用者は、必要な場合には第1チャック部61と第2チャック部62との係合を解除し、第1開口部H1を開放する。
【0042】
使用者は、第1開口部H1が開口した状態において、内部空間Rに具材Wを投入する。具材Wとしては、例えば、肉、野菜等が使用者により適宜選択される。使用者は、図7に示されるように、内部空間Rに内容物X及び具材Wが投入された状態で、チャック60を閉じる。これにより、袋部30が密閉される。その後、使用者は、内容物X及び具材Wを収容する袋部30を電子レンジで加熱する。内容物X及び具材Wを収容する袋部30が加熱されることにより、内部空間R内に蒸気が発生する。このため、袋部30は、内部空間Rの圧力(すなわち内圧)が上昇する。この圧力の上昇に伴い、袋部30には、内部空間Rを形成する第1シート21と第2シート22とを互いに離間させようとする力が作用する。
【0043】
また、袋部30の第3縁部L3には、内側に窪む形状を呈する通蒸部70が設けられている。このため、図8に示されるように、内部空間Rの圧力が上昇して袋部30が膨らむ際に、通蒸部70が内側に窪むように、袋部30の第3縁部L3が屈曲する。第3縁部L3の屈曲に伴い、矢印Y1に示されるように、袋部30の第1縁部L1における第3縁部L3側の端部が第2縁部L2側に引っ張られる。袋部30の第1縁部L1が引っ張られることにより、チャック60にも撓みが生じる。また、第3縁部L3の屈曲に伴い、矢印Y2に示されるように、袋部30の第2縁部L2における第3縁部L3側の端部が第1縁部L1側に引っ張られる。
【0044】
なお、チャック60が強く引っ張られて撓みが大きくなると、第1係合部61a及び第2係合部62aの係合が外れてチャック60が開口し易くなる。ここで、通蒸部70の位置がチャック60の閉鎖位置に近い場合、チャック60は、通蒸部70を起点とする袋部30の第3縁部L3の屈曲の影響を大きく受ける。通蒸部70の位置がチャック60の閉鎖位置から離れている場合、チャック60は、通蒸部70を起点とする袋部30の第3縁部L3の屈曲の影響を受けにくくなる。つまり、通蒸部70の位置がチャック60に近い場合、チャック60が開口し易くなる。このため、本実施形態において、通蒸部70は、上述した式(1)に示されるように、チャック60における閉鎖位置から0.31×A以上離れた位置に設けられている。これにより、袋部30が膨らんだ場合であっても、チャック60が開くことが抑制される。
【0045】
なお、通蒸部70の位置をチャック60から離し過ぎると、通蒸部70が通蒸状態となたときに内部空間R内の内容物X等が70から零れることが生じ得る。このため、本実施形態において、通蒸部70は、上述した式(2)に示されるように、袋部30の第2縁部L2(底側の縁部)から0.4×A以上、上方の位置に設けられている。これにより、通蒸部70が通蒸状態となった場合であっても、通蒸部70から内容物X等が零れることが抑制される。
【0046】
また、上述したように、チャック60の第1チャック部61は、第1本体部61bの第1面部C1の部位が第1シート21と接合されている。このため、袋部30が膨らむと、図9に示されるように、第1シート21は、第1本体部61bの第2面部C2から離反し、接合部N1の位置で屈曲する。第1チャック部61は、第1本体部61bの第1面部C1の部分が第1シート21によって引っ張られる。これにより、チャック60は、第1チャック部61が第2縁部L2側を向くように傾く。
【0047】
このように、袋部30が膨らんだ際に、第1チャック部61には、矢印Y11で示されるように、第1縁部L1側に向う方向の力が加わる。第2チャック部62には、矢印Y12で示されるように、第1縁部L1側に対して反対側に向う方向の力が加わる。つまり、チャック60には、第1本体部61b上において第2本体部62bの位置をずらす方向の力が加わる。チャック60に加わる力において、第1本体部61bと第2本体部62bとを互いに離反させる方向の力が抑制される。
【0048】
ここで、第1チャック部61の第1係合部61aは、第1開口部H1側に向って突出する爪及び第1開口部H1側に対して反対側に向って突出する爪を有している。同様に、第2チャック部62の第2係合部62aは、第1開口部H1側に向って突出する爪及び第1開口部H1側に対して反対側に向って突出する爪を有している。第1チャック部61の第1係合部61aと第2チャック部62の第2係合部62aとはこれらの爪同士が互いに係合している。この状態において、第1チャック部61及び第2チャック部62に対してそれぞれ矢印Y11及びY12で示される向きの力が加わると、第1チャック部61及び第2チャック部62の爪同士がより強固に係合する。これにより、袋部30が膨らんだ場合であっても、チャック60が開くことが抑制される。
【0049】
次に、通蒸部70の高さ位置を変化させた場合におけるチャック60の耐久圧力、通蒸部70の通蒸性、及び通蒸部70からの零れについて検証した実験結果について説明する。ここでは、蓋部が袋部から分離され、内部空間に内容物が収容された状態かつチャックが閉じされた状態の袋部を、電子レンジで加熱した。
【0050】
図10に示されるように、実施例1~4に係る袋部と、比較例1~4に係る袋部とを用いて検証を行った。実施例1~4並びに比較例1及び4に係る袋部は、通蒸部の高さ位置を互いに異ならせた。なお、通蒸部の高さ位置とは、袋部の第2縁部(底側の縁部)からチャックの閉鎖位置までの長さBである。ここでは、通蒸部の高さ位置を、袋部の第2縁部からチャックの閉鎖位置までの長さAに対する割合(%)として示されている。
【0051】
実施例1~4並びに比較例1及び4に係る袋部では、チャックとして、「出光ユニテック株式会社」社製の「MFP-348」を用いた。この実施例1~4並びに比較例1及び4に係る袋部では、図3に示されるように、第1チャック部における第1本体部の第1面部が第1シートに接合され、第2面部が第1シートに接合されていない(片側未シール)。
【0052】
比較例2及び3は、実施例1と通蒸部の高さ位置を同じとし、異なる形式のチャックを用いた。比較例2は、チャックとして、「出光ユニテック株式会社」社製の「MFB-306Z2」を用いた。比較例3は、チャックとして、「タキロンシーアイ株式会社」社製の「MP-13RET」を用いた。比較例2及び3において第1チャック部は、図3に示される態様とは異なり、第2チャック部と同様に上側面部及び下側面部が第1シートと接合されている。
【0053】
評価項目として、「チャックの耐久圧力」、「通蒸性」、及び「液零れ」を検証した。「チャックの耐久圧力」として、通蒸部を塞いだ袋部の内部空間内に圧力ロガーを入れて電子レンジで加熱し、チャックが開いたときの圧力を測定した。「通蒸性」として、袋部を電子レンジで500Wの出力で4分間加熱し、通蒸部が通蒸するか否かを検証した。「液零れ」として、袋部を立てた状態で電子レンジで500Wの出力で4分間加熱し、袋部内に収容された液状の内容物が通蒸部から零れるか否かを検証した。
【0054】
検証結果は、図10に示される結果となった。ここでは、実施例1~3と、比較例1との比較により、通蒸部の高さ位置を69%以下(B≦0.69×A)にしないと、通蒸部が通蒸しないことが分かった。なお、比較例1では、通蒸部の高さ位置が高くチャックの撓みが大きくなった。これにより、通蒸部が通蒸状態となる前にチャックが開いた。
【0055】
実施例1~3と、比較例2及び3との比較により、チャックの耐久圧力が120Kpa以上でないと、通蒸部が通蒸しないことが分かった。実施例4と比較例4との比較により、通蒸部の高さ位置を40%以上(B≧0.4×A)にしないと、通蒸状態となった通蒸部から液状の内容物が零れることが分かった。これに基づき、チャックの撓みを防止してチャックの耐久圧力を高める観点から、通蒸部の高さ位置は、B≦0.69×Aとすることが適切であることが分かった。また、通蒸状態の通蒸部からの内容物の零れを防止する観点から、通蒸部の高さ位置は、B≧0.4×Aとすることが適切であることが分かった。
【0056】
以上のように、このパウチ10では、蓋部40が袋部30から分離されることによって、袋部30の第1開口部H1が開放される。このパウチ10は、袋部30の第1開口部H1が開放された状態であっても、チャック60によって第1開口部を閉じることができる。開放された第1開口部H1がチャック60によって閉じられた後、電子レンジ等で加熱されると、内部空間Rの圧力が高くなる。この圧力上昇により袋部30が膨らむように変形する。その際、袋部30は、内側に向けて窪む形状の通蒸部70を起点として、通蒸部70が内側に窪むように変形する。
【0057】
ここで、通蒸部70がチャック60に近い位置に設けられている場合、通蒸部70を起点とする袋部30の変形に伴ってチャック60も大きく変形し、チャック60が外れ易くなる。そこで、このパウチ10では、第2縁部L2からチャック60における閉鎖位置までの長さをAとし、第2縁部L2から通蒸部70までの長さをBとしたときに、上述した式(1)「B≦0.69×A」を満たす位置に通蒸部70が設けられている。つまり、通蒸部70は、チャック60における閉鎖位置から、0.31×A以上離れた位置に設けられている。このように、通蒸部70は、チャック60から離れた位置に設けられている。これにより、このパウチ10は、通蒸部70を起点とする袋部30の変形が生じた場合であっても、この変形に起因するチャック60の変形を抑制でき、チャック60が外れることを抑制できる。このように、このパウチ10は、より高い圧力までチャック60の閉鎖状態を維持することができる。
【0058】
第3シール部S3では、通蒸部70が設けられた部位における第1シート21と第2シート22との接合強度は、通蒸部70が設けられていない部位における第1シート21と第2シート22との接合強度よりも弱い。この場合、パウチ10は、内部空間Rの圧力が上昇した場合に、第3シール部S3のうちの通蒸部70が設けられた部分を、より確実に通蒸状態とすることができる。これにより、第3シール部S3のうちの意図しない部位が通蒸状態となることを抑制できる。
【0059】
チャック60は、内部空間Rの圧力が上昇した場合において120kpa以上の圧力まで閉鎖状態を維持可能である。また、通蒸部70は、チャック60が閉鎖状態を維持可能な内部空間Rの圧力よりも低い圧力で通蒸状態となる。この場合、パウチ10は、第1開口部H1がチャック60によって閉じた状態で加熱された場合に、収容された内容物Xを加圧しながら加熱することができる。
【0060】
通蒸部70は、第3縁部L3において、上述した式(2)「B≧0.4×A」を満たす位置に設けられている。このパウチ10は、底ガゼット32を備えることにより、第1開口部H1を上方に向けて袋部30を立てた状態とすることができる。そして、このパウチ10チでは、袋部30が立てられた状態において、下端部(第2縁部L2)から0.4×A以上の高さ位置に通蒸部70が設けられている。これにより、パウチ10は、袋部30が立てられた状態で加熱されて通蒸部70が通蒸状態となった場合に、収容する内容物Xが通蒸部70から零れ出ることを抑制できる。
【0061】
図3に示されるように、チャック60の第1チャック部61は、第1本体部61bの第1面部C1が第1シート21と接合され、第1本体部61bの第2面部C2が第1シート21と接合されていない。したがって、このパウチ10が加熱されて袋部30が膨らんだ場合、第1シート21は、図9に示されるように、第1本体部61bの第2面部C2から離反し、第1面部C1との接合部N1の位置で屈曲する。第1チャック部61は、第1本体部61bの第1面部C1の部分が第1シート21によって引っ張られる。これにより、チャック60は、第1チャック部61が第2縁部L2側を向くように傾く。この傾きにより、チャック60には、第1本体部61b上において第2本体部62bの位置をずらす方向の力が加わる。すなわち、チャック60に加わる力において、第1本体部61bと第2本体部62bとを互いに離反させる方向の力が抑制される。これにより、パウチ10は、内部空間Rの圧力が上昇した場合であってもチャック60が開くことをより一層抑制できる。
【0062】
パウチ10は、袋部30の第4縁部L4に第2開口部H2を備えている。この場合、パウチ10は、第2開口部H2を介して内部空間Rに内容物Xを投入することができる。この第2開口部H2は、内容物Xが投入された後、第4シール部S4よって閉じられる。これにより、パウチ10は、内容物Xを密封した状態で内部空間Rに収容することができる。
【0063】
内容物封入パウチ1は、上述したパウチ10と、パウチ10の内部空間Rに収容された内容物Xとを備えている。この場合、内容物封入パウチ1は、上述したパウチ10を備えることにより、第1開口部H1がチャック60によって閉じられた状態において、より高い圧力までチャック60の閉鎖状態を維持することができる。また、内容物封入パウチ1は、開放された第1開口部H1がチャック60によって閉じられた状態で加熱された場合に、パウチ10内に収容された内容物Xを加圧しながら加熱することができる。
【0064】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、図2に示されるパウチ10の縦横の比率や形状、通蒸部70の形状等は適宜変更されてもよい。
【0065】
パウチ10内に収容される内容物Xは、食品に限定されない。例えば、医療具等が収容されてもよい。この場合、使用者は、例えば、パウチを開封して医療具等を使用した後、医療具を再度パウチに収容して加熱消毒を行うことができる。
【符号の説明】
【0066】
1…内容物封入パウチ、10…パウチ、20…袋、21…第1シート、22…第2シート、30…袋部、31…袋本体部、32…底ガゼット、40…蓋部、60…チャック、61…第1チャック部、61a…第1係合部、61b…第1本体部、70…通蒸部、C1…第1面部、C2…第2面部、H1…第1開口部、H2…第2開口部、L1…第1縁部、L2…第2縁部、L3…第3縁部、L4…第4縁部、R…内部空間、S3…第3シール部、X…内容物。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10