(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171440
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】桝蓋
(51)【国際特許分類】
E02D 29/14 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E02D29/14 E
E02D29/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088445
(22)【出願日】2023-05-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り アクト株式会社 令和5年5月25日販売
(71)【出願人】
【識別番号】505142964
【氏名又は名称】株式会社クボタケミックス
(74)【代理人】
【識別番号】100090181
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 義人
(72)【発明者】
【氏名】川島 拓也
(72)【発明者】
【氏名】八木 博史
【テーマコード(参考)】
2D147
【Fターム(参考)】
2D147BB16
2D147BB24
2D147BB26
(57)【要約】 (修正有)
【課題】施工性が向上された桝蓋を提供する。
【解決手段】桝蓋10は、立上り管102の上端部に接続される受口20aを含む下部円筒部20と上蓋収容部22とを有する受枠12、および上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋14を備える。受枠は、下部円筒部の上端部内側面に形成されて受口の奥端を規定する突出部26と、受口の外側面に形成された第1リブ30とを有し、下部円筒部の軸方向長さは、上蓋収容部の軸方向長さよりも小さい。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
桝の立上り管の上端部に取り付けられると共に、上面に化粧材が設けられる桝蓋であって、
前記立上り管の上端部に接続される受口を含む下部円筒部と、前記下部円筒部の上側に形成された上蓋収容部とを有する受枠、および
上面に前記化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、前記上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋を備え、
前記受枠は、前記下部円筒部の上端部内側面に形成されて前記受口の奥端を規定する突出部と、前記受口の外側面に形成された補強リブとを有し、
前記下部円筒部の軸方向長さは、前記上蓋収容部の軸方向長さよりも小さい、桝蓋。
【請求項2】
前記立上り管の外径に対する前記受口の軸方向長さの割合が15%以上25%以下である、請求項1記載の桝蓋。
【請求項3】
前記上蓋の下方に設けられ、前記突出部に係止されることで前記下部円筒部の内部に着脱可能に保持される内蓋を備える、請求項1または2記載の桝蓋。
【請求項4】
前記内蓋として当該内蓋の天板部よりも上側に突出する取っ手がない蓋が用いられる、請求項3記載の桝蓋。
【請求項5】
前記立上り管の上端部には内蓋を保持するための内蓋用受枠が設けられており、
前記受口は、前記内蓋用受枠を含む前記立上り管の上端部に接続される、請求項1または2記載の桝蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は桝蓋に関し、特にたとえば、桝の立上り管の上端部に取り付けられると共に、上面に化粧材が設けられる、桝蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の桝蓋の一例が特許文献1に開示される。特許文献1の桝蓋は、下部の内側面に突出部を有し、下部が立上り管の上端部と嵌合される合成樹脂製の受枠と、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、受枠の上部に着脱可能に設けられる合成樹脂製の上蓋と、上蓋の下方に設けられ、突出部に係止されることで受枠の内部に着脱可能に保持される合成樹脂製の内蓋と、内蓋の外側面に設けられるシールリングとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、受枠(延いては桝蓋)の高さ寸法(軸方向長さ)が比較的大きいので、施工する際に地面の掘削深さを大きくする必要がある。また、特許文献1の技術では、立上り管の上端部に接続される受枠の受口部分の強度が比較的小さい。桝蓋の設置場所の地表面(路面)は、水平面だけでなく、水勾配などを取った傾斜面の場合もあり、この場合には、立上り管の上端部に対して桝蓋の受枠を傾けた状態で接続する必要がある。受枠を傾けた状態で接続する際には、プラスチックハンマ等で叩き込んで角度を調整するが、受口部分の強度が小さいと、この際に受口部分が破損する可能性がある。したがって、桝蓋の施工性のさらなる向上が求められる。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、新規な、桝蓋を提供することである。
【0006】
この発明の他の目的は、施工性が向上された、桝蓋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、桝の立上り管の上端部に取り付けられると共に、上面に化粧材が設けられる桝蓋であって、立上り管の上端部に接続される受口を含む下部円筒部と、下部円筒部の上側に形成された上蓋収容部とを有する受枠、および上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、上蓋収容部に着脱可能に保持される上蓋を備え、受枠は、下部円筒部の上端部内側面に形成されて受口の奥端を規定する突出部と、受口の外側面に形成された補強リブとを有し、下部円筒部の軸方向長さは、上蓋収容部の軸方向長さよりも小さい、桝蓋である。
【0008】
第1の発明では、桝蓋は、インターロッキングブロック、タイル、石材、コンクリート(スタンプコンクリート等)および芝生などの化粧材を上面に収容可能な蓋であって、受枠と、受枠に対して着脱可能に装着される上蓋とを含む。受枠は、立上り管の上端部に接続される受口を含む下部円筒部と、下部円筒部の上側に形成された上蓋収容部とを有している。上蓋は、上面に化粧材が嵌め込まれる窪み部を有し、受枠の上蓋収容部に装着される。また、受枠は、下部円筒部の上端部内側面に形成されて受口の奥端を規定する突出部(ストッパ)と、受口の外側面に形成された補強リブとを有している。そして、受枠の下部円筒部の軸方向長さは、上蓋収容部の軸方向長さよりも小さい大きさに設定されている。
【0009】
第1の発明によれば、化粧材を設置するための高さ寸法を確保しつつ、受枠(延いては桝蓋)の高さ寸法を抑制できるので、桝蓋を施工する際の掘削深さを小さくすることができ、収まりよく桝蓋を設置できる。また、受枠の受口が補強リブによって補強されているので、立上り管の上端部に対して受枠を傾けた状態で接続する場合にも適切に対応できる。したがって、桝蓋の施工性が向上される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明に従属し、立上り管の外径に対する受口の軸方向長さの割合が15%以上25%以下である。
【0011】
第2の発明によれば、受口の軸方向長さを小さくしたので、立上り管の上端部に対して受枠を傾けた状態で接続するときに、受枠の傾斜角度を大きくすることができる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明に従属し、上蓋の下方に設けられ、突出部に係止されることで下部円筒部の内部に着脱可能に保持される内蓋を備える。
【0013】
第3の発明によれば、桝内への雨水の浸入や立上り管から外部への臭気漏れが適切に防止される。
【0014】
第4の発明は、第3の発明に従属し、内蓋として当該内蓋の天板部よりも上側に突出する取っ手がない蓋が用いられる。
【0015】
第4の発明によれば、天壁よりも上側に突出する取っ手がない内蓋を用いるので、下部円筒部の軸方向長さを適切に小さくすることができる。
【0016】
第5の発明は、第1または第2の発明に従属し、立上り管の上端部には内蓋を保持するための内蓋用受枠が設けられており、受口は、内蓋用受枠を含む立上り管の上端部に接続される。
【0017】
第5の発明によれば、使用する内蓋のバリエーションを増やすことができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、化粧材を設置するための高さ寸法を確保しつつ、受枠(延いては桝蓋)の高さ寸法を抑制できるので、桝蓋を施工する際の掘削深さを小さくすることができ、収まりよく桝蓋を設置できる。また、受枠の受口が補強リブによって補強されているので、立上り管の上端部に対して受枠を傾けた状態で接続する場合にも適切に対応できる。したがって、桝蓋の施工性が向上される。
【0019】
この発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う後述の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】この発明の一実施例である桝蓋の設置状態を示す図である。
【
図7】
図5のVII-VII線における受枠の断面を示す断面図である。
【
図10】
図9のX-X線における上蓋の断面を示す断面図である。
【
図13】立上り管の上端部に桝蓋を真っ直ぐに接続した様子を示す図である。
【
図14】立上り管の上端部に桝蓋を傾けて接続した様子を示す図である。
【
図15】内蓋用受枠が設けられた立上り管の上端部に桝蓋を真っ直ぐに接続した様子を示す図である。
【
図16】内蓋用受枠が設けられた立上り管の上端部に桝蓋を傾けて接続した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1を参照して、この発明の一実施例である桝蓋10は、受枠12、上蓋14および内蓋16を備え、戸建住宅、アパートおよびマンション等の建物の敷地内に設けられる汚水桝および雨水桝などの桝100の立上り管102の上端部に取り付けられる。桝蓋10は、インターロッキングブロック、タイル、石材、コンクリート(スタンプコンクリート等)および芝生などの周囲の化粧材104(舗装材)と同様の化粧材106を上面に嵌め込んで設けることが可能な化粧蓋である。桝蓋10が取り付けられる立上り管102の内径は、たとえば40-300mmである。この実施例では、内径が200mmであって外径が216mmである立上り管102に適用する桝蓋10を想定して、以下の説明を行う。
【0022】
図1-
図3に示すように、桝蓋10は、立上り管102の上端部に取り付けられる受枠12と、受枠12に対して着脱可能に装着される上蓋14および内蓋16とを備える。これら受枠12、上蓋14および内蓋16のそれぞれは、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。
【0023】
図4-
図7に示すように、受枠12は、下部に形成された円筒状の下部円筒部20と、下部円筒部の上側に形成された矩形筒状の上蓋収容部22(上部角筒部)とを備える。下部円筒部20と上蓋収容部22との連結部分は、下部円筒部20側に向かって段差状に縮径されており、この鍔状の段差部の上面が、上蓋14の下面を係止する上蓋支持部24として用いられる。上蓋収容部22の内縁一辺の長さW1はそれぞれ、たとえば300mmであり、上蓋収容部22の軸方向長さH1(高さ寸法)は、たとえば87mmである。
【0024】
下部円筒部20は、立上り管102に対する接続部(受口20a)として用いられると共に、内蓋16が収容される内蓋収容部として用いられる。具体的には、下部円筒部20の上端部の内側面には、周方向に延びる円環状の突出部26が形成される。この突出部26は、立上り管102の上端部と接続される受口20aの奥端を規定する部分であり、突出部26の下端面は、立上り管102の上端面に係止される係止部(ストッパ)として用いられる。また、突出部26の上端面は、後述する内蓋16を係止する内蓋支持部として用いられ、突出部26の上側には、内蓋16の天板部60を収容可能な内部空間を形成する短円筒状の空間形成部20bが設けられる。すなわち、下部円筒部20は、突出部26よりも下側の部分である受口20aと、突出部26よりも上側の部分である空間形成部20bとを有している。ただし、突出部26は、必ずしも円環状に形成される必要はなく、たとえば、下部円筒部20の内側面に周方向に所定間隔で配置される複数の突起であってもよい。
【0025】
下部円筒部20と上蓋収容部22との連結部分には、外方に張り出す矩形環状の鍔部28が形成される。また、下部円筒部20には、その外側面と鍔部28の下面とを連結するように、縦方向に延びる複数の三角板状の第1リブ30(補強リブの一例)が形成される。この第1リブ30は、受口20aを含む下部円筒部20の略全長に亘って延びるように形成される。つまり、受枠12は、受口20aの外側面に形成された第1リブ30を有しており、これによって受口20aが適切に補強される。さらに、上蓋収容部22には、その外側面と鍔部28の上面とを連結するように、縦方向に延びる複数の三角板状の第2リブ32が形成される。これら第2リブ32は、上蓋収容部22の辺長方向中央部のものが両側部のものよりも縦方向長さが大きく形成される。これによって、両側部と比べて変形し易い中央部を重点的に補強して上蓋収容部22の変形を防ぎつつ、両側部の第2リブ32を小さくすることで使用する樹脂量を低減することができる。
【0026】
また、上蓋支持部24の外周縁部(4隅)には、複数の水抜き孔34が形成される。後述する上蓋14の外側面と上蓋収容部22の内側面との間の隙間、または上蓋14の水抜き孔56から上蓋収容部22内に流入した水は、この水抜き孔34から受枠12の外部に排出される。さらに、下部円筒部20の内側面には、突出部26から下端まで縦方向に延びる溝状の水抜き部36が形成される。水抜き部36の周方向位置および数などは、適宜変更可能であるが、この実施例では、2つの水抜き部36が180度間隔で形成される。上蓋支持部24の水抜き孔34で排出されずに、下部円筒部20内に流入した水は、この水抜き部36と立上り管102の外側面とで形成される通水路を通って外部に排出される。これによって、内蓋16上に水が溜まることが防止される。
【0027】
そして、この実施例では、下部円筒部20の軸方向長さH2を上蓋収容部22の軸方向長さH1よりも小さく設定している。これは、化粧材106を設置するための高さ寸法を確保しつつ、受枠12(延いては桝蓋10)の高さ寸法を抑制するためである。この実施例では、上蓋収容部22の軸方向長さH1がたとえば87mmであるのに対して、下部円筒部20の軸方向長さH2がたとえば58mmに設定される。したがって、受枠12の軸方向長さ(高さ寸法)は、たとえば145mmとなる。
【0028】
具体的には、立上り管102の外径に対する受口20aの軸方向長さH3の割合を15%以上25%以下となるように設定し、受口20aの軸方向長さH3を小さくすることで、下部円筒部20の軸方向長さH2を抑制するようにしている。この実施例では、受口20aの軸方向長さH3は、たとえば40mmである。なお、この受口20aの軸方向長さH3は、従来の合成樹脂製の管部材に採用される受口の軸方向長さの1/2以下に相当する大きさである。また、この実施例では、後述のように天板部60よりも上方に突出する取っ手がない内蓋16を採用することで、空間形成部20bの軸方向長さについても小さくし、これによって下部円筒部20の軸方向長さH2を抑制するようにしている。
【0029】
また、受口20aの内側面は、受口20aの奥側から先端側に向かって拡径するテーパ状に形成される。この際、受口20aの内径W2は、先端(入口)部分で立上り管102の外径よりも大きく、奥端部分で立上り管102の外径よりも小さくなるように設定される。この実施例では、立上り管102の外径が216.0mmであるのに対して、受口20aの内径W2は、先端でたとえば217.3mmであり、奥端でたとえば215.3mmである。このように、受口20aの奥端部分の内径W2を立上り管102の外径よりも小さくして、立上り管102の上端部に受口20aを外嵌めしたときの締め代を持たせることで、立上り管102に受枠12を適切に仮固定できるようになる。これによって、桝蓋10の施工時において、受枠12の周囲にコンクリートまたはモルタル等を施工したときに、浮力によって受枠12が浮上してしまうことを防止できる。
【0030】
図8-
図10に示すように、上蓋14は、上面に窪み部40を有する有底角筒状に形成される。具体的には、上蓋14は、矩形筒状の側壁42と、側壁42の下端部を封止する矩形板状の底壁44とを有する。
【0031】
側壁42の対向する2つの角部には、内方に向かって突出するL字状の壁部46が形成され、この壁部46と側壁42の角部とで矩形筒状部が形成される。そして、これら矩形筒状部の上端部には、治具穴48を有する矩形板状の掛け部50が形成される。この実施例では、治具穴48は、対角方向に長い長孔状に形成される。この上蓋14の着脱には、T字状の先端部を有する治具(図示せず)などが用いられる。なお、治具穴48の位置および形状などの具体的態様は、適宜変更可能であり、治具穴48は、治具が挿入可能で、上蓋14の着脱ができるものであればよい。
【0032】
また、底壁44の下面には、同心円状に配置される複数の円形リブや放射状に配置される複数の直線リブ等を含む下面リブ52が形成される。さらに、底壁44の上面(窪み部40の底面)には、コンクリート等の化粧材106の下面との間に導水路となる空間を形成する凸部54が形成される。この実施例では、凸部54は、底壁44の上面略全体に所定の配置態様で分散配置される第1凸部54aと、底壁44の上面周縁部の略全長に延びるように形成される第2凸部54bとを含む。ただし、凸部54の配置態様は、適宜変更可能である。
【0033】
また、底壁44には、複数の水抜き孔56が形成される。底壁44の水抜き孔56は、第1水抜き孔56aと第2水抜き孔56bと含む。第1水抜き孔56aは、凸部54間に形成される凹部(溝部)の位置において、環状に並んで配置される。一方、第2水抜き孔56bは、凹部の位置であってかつ底壁44の周縁部に配置される。この水抜き孔56によって、窪み部40内に雨水などが溜まることが防止される。
【0034】
このような上蓋14は、上述のように、上蓋支持部24に係止されることによって、受枠12の上蓋収容部22内に保持される(
図3参照)。上蓋14の高さ寸法は、受枠12の上蓋収容部22の軸方向長さH1と同じ大きさに設定され、受枠12に上蓋14を装着した状態で、側壁42の上端面と上蓋収容部22の上端面とは面一となる。側壁42の外縁一辺の長さは、上蓋収容部22の内縁一辺の長さW1と同じまたは少し小さい大きさに設定される。また、窪み部40の深さは、一般的なインターロッキングブロックの厚みを考慮して設定され、たとえば60mmである。
【0035】
図11および
図12に示すように、内蓋16は、立上り管102の上端開口を封止して、立上り管102から外部への悪臭および排水の漏れを防止するための部材であって、硬質塩化ビニル等の合成樹脂によって形成される。内蓋16は、円形状の天板部60と、天板部60の下面周縁部に沿って形成される短円筒状の嵌合部62とを有する。天板部60は、その中央部に凹部60aを有しており、この凹部60aを架け渡すように把持部(取っ手)64が形成される。このような把持部64を有することで、内蓋16の着脱が容易となる。また、凹部60aに把持部64が形成された内蓋16を用いる、つまり内蓋16として天板部60よりも上側に突出する取っ手がない蓋を用いることで、受枠12の空間形成部20bの軸方向長さを抑制できる。
【0036】
また、内蓋16の外側面、具体的には嵌合部62の外側面には、周方向に延びる環状の溝部66が形成され、この溝部66にシールリング68が装着される。内蓋16は、天板部60の下面周縁部が突出部26に係止されることで、受枠12の下部円筒部20内に保持される。また、桝蓋10を立上り管102の上端部に取り付けた際には、シールリング68は、内蓋16の外側面と立上り管102の内側面との間で圧縮される(
図13参照)。これにより、この間の気密性および水密性が確保され、内蓋16によって立上り管102の上部開口が適切に封止されて、立上り管102から外部への臭気および排水の漏れが適切に防止される。
【0037】
続いて、桝蓋10の施工方法について説明する。桝蓋10を桝100の立上り管102に取り付ける際には、
図1および
図13に示すように、先ず、立上り管102の上端部を受枠12の受口20aに嵌め入れる。この際には、受枠12の突出部26の下端面が立上り管102の上端面に係止される(突き当たる)まで、プラスチックハンマなどの治具を用いて叩き込んで無理嵌めする。これにより、立上り管102に対して受枠12が位置決めされた状態で接続(仮固定)される。すなわち、受枠12の設置高さは、立上り管102の上端面の位置によって規定されるので、受枠12を所定の高さ位置に設置するためには、立上り管102を所定長さに切断しておくだけでよい。したがって、受枠12(延いては桝蓋10)の高さ位置の調整が容易となる。また、台座などを別途設置する必要もないので、設置作業も簡略化される。さらに、この実施例では、受枠12の軸方向長さ(高さ寸法)を小さくしているので、立上り管102の上端部周囲における地面の掘削深さを小さくすることができる。したがって、受枠12(延いては桝蓋10)の施工が容易となる。なお、受枠12の受口20aと立上り管102の上端部とは、互いに嵌め合わせるだけ(叩き込み接合)でもよいし、接着接合するようにしてもよい。
【0038】
次に、受枠12の内部に内蓋16を装着する。このとき、内蓋16の天板部60の下面周縁部が突出部26の上端面に係止されることで、内蓋16は、受枠12の下部円筒部20内に保持される。また、
図13からよく分かるように、内蓋16の外側面に設けられたシールリング68は、内蓋16の外側面と立上り管102の内側面との間で圧縮される。これにより、この間の気密性および水密性が確保され、内蓋16によって立上り管102の上部開口が適切に封止されて、立上り管102から外部への臭気および排水の漏れが適切に防止される。
【0039】
続いて、受枠12に上蓋14を装着する。このとき、上蓋14は、上蓋支持部24に係止されることによって、その側壁42の上端面と受枠12の上端面とが面一な状態で、上蓋収容部22内に保持される。
【0040】
その後、立上り管102の上端部および受枠12の下端部の周囲にコンクリートまたはモルタル等を施工すると共に、桝蓋10(受枠12および上蓋14)の上端面と面一となるように、桝蓋10の周囲に化粧材104を施工する。コンクリートまたはモルタル等が硬化することで、受枠12が完全に固定される。また、上蓋14の窪み部40内に、接着剤または敷モルタル等の固定材108を介して化粧材106を嵌め込む。これにより、上蓋14内に嵌め込まれた化粧材106は、周囲の化粧材104と面一となるように保持される。
【0041】
また、
図13に示す施工方法では、立上り管102に対して桝蓋10の受枠12を真っ直ぐに接続するようにしたが、
図14に示すように、プラスチックハンマなどの治具を用いて角度を調整しながら立上り管102の上端部に受枠12の受口20aを斜めに無理嵌めすることで、立上り管102に対して桝蓋10の受枠12を傾けた状態で接続(仮固定)することもできる。すなわち、地表面が傾斜した施工場所に桝蓋10を施工することも可能である。この実施例では、受口20aの軸方向長さH3を小さく設定しているので、受口20aの先端部(下端部)と立上り管102との干渉が小さくなり、立上り管102に対する受枠12の傾斜角度を大きく取ることができる。また、接着剤を塗布しない叩き込み接合によって受口20aと立上り管102とを接続する場合には、周囲のコンクリートまたはモルタル等が硬化するまで、受枠12の高さ位置および傾斜角度などの微調整を容易に行うことができる。さらに、この実施例では、受口20aの外側面に第1リブ30を形成して受口20aを補強しているので、立上り管102に受枠12を傾けた状態で接続しても、受口20aの破損が防止される。
【0042】
以上のように、この実施例によれば、下部円筒部20の軸方向長さH2を上蓋収容部22の軸方向長さH1よりも小さく設定しているので、化粧材106を設置するための高さ寸法を確保しつつ、受枠12(延いては桝蓋10)の高さ寸法を抑制できる。これにより、桝蓋10を施工する際の掘削深さを小さくすることができ、収まりよく桝蓋10を設置できる。また、受枠12の受口20aが第1リブ30によって補強されているので、立上り管102の上端部に対して受枠12を傾けた状態で接続する場合にも適切に対応できる。したがって、桝蓋10の施工性が向上される。
【0043】
また、この実施例によれば、立上り管102の外径に対する受枠12の受口20aの軸方向長さの割合が15%以上25%以下となるようにし、受口20aの軸方向長さH3を小さくしている。これにより、立上り管102の上端部に対して受枠12を傾けた状態で接続するときに、受枠12の傾斜角度を大きくすることができ、受枠12の高さ位置および傾斜角度などの微調整も行い易くなる。したがって、立上り管102の上端部に対して受枠12を傾けた状態で接続する場合により適切に対応でき、桝蓋10の施工性が向上される。
【0044】
なお、桝蓋10の具体的構成は、上述したものに限定されず、この発明の趣旨を逸脱しない範囲内で適宜変更可能である。
【0045】
たとえば、上述の実施例では、上蓋14および上蓋14を収容する上蓋収容部22を矩形筒状(角筒状)に形成しているが、上蓋14および上蓋収容部22は、円筒状に形成することもできる。
【0046】
また、上述の実施例では、立上り管102の上端部を封止するための内蓋16を備えるようにしたが、桝100が雨水桝である場合(つまり汚水用途でない場合)などには、内蓋16は、必ずしも設けられる必要はない。
【0047】
さらに、上述の実施例では、受枠12の下部円筒部20に形成された突出部26によって内蓋16を係止するようにしたが、これに限定されない。たとえば、
図15および
図16に示す実施例のように、立上り管102の上端部に内蓋用受枠110を設け、この内蓋用受枠110に内蓋16を保持させるようにしてもよい。この場合、受枠12の受口20aは、内蓋用受枠110を含む立上り管102の上端部に接続される。そして、受枠12の突出部26が内蓋用受枠110の外周縁部に係止されることで、立上り管102に対して受枠12が位置決めされた状態で接続(仮固定)される。この場合においても、
図15に示すように、立上り管102の上端部に真っ直ぐに受枠12(延いては桝蓋10)を接続することもできるし、
図16に示すように、立上り管102の上端部に受枠12を傾けて接続することもできる。このように、内蓋用受枠110に保持される内蓋16を使用可能とすることで、使用する内蓋16のバリエーションを増やすことができる。
【0048】
なお、上で挙げた寸法などの具体的数値および具体的構成は、いずれも単なる一例であり、製品の仕様などの必要に応じて適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
10 …桝蓋
12 …受枠
14 …上蓋
16 …内蓋
20 …下部円筒部
20a …受口
20b …空間形成部
22 …上蓋収容部
26 …突出部
30 …第1リブ(補強リブ)
40 …窪み部
100 …桝
102 …立上り管
104,106 …化粧材
110 …内蓋用受枠