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特開2024-171449液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171449
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241205BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20241205BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/165 101
B41J2/175 131
B41J2/175 115
B41J2/175 501
B41J2/165 203
B41J2/01 303
B41J2/175 305
B41J2/175 503
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088460
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】澤田石 誠
(72)【発明者】
【氏名】野澤 泉
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056EB29
2C056EB55
2C056EC02
2C056EC11
2C056EC18
2C056EC22
2C056EC26
2C056EC57
2C056JA13
2C056JA16
2C056JC13
2C056KB08
(57)【要約】
【課題】不測の事態が発生した場合でも排出流路より下流へ液体が流れることを抑制できる液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液体収容体は、液体収容室と、注入口と、キャップとを有する。液体吐出ヘッド32は、ノズル33から吐出する。空間形成部材51は、ノズル面32Aに密着することで空間ASを形成する。開閉部54は、空間ASと連通する排出流路53を開閉する。上方目盛は、ノズル面32Aよりも高くに位置する。液体吐出装置は、第1モードと第2モードとが選択可能である。第1モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が開放された状態で電源オフ動作を実行するモードである。第2モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行するモードである。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、
前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、
前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、
一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、
前記排出流路を開閉可能な開閉部と、を備え、
前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、
前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が開放された状態で電源オフ動作を実行する第1モードと、
前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行する第2モードと、
が選択可能に構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプを更に備え、
前記チューブポンプは、
少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、
前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、
前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有し、
前記開閉部は、前記押圧体および前記支持部材を含むことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
ユーザーからの各種指令を取得する取得部を更に備え、
ユーザーから前記液体吐出装置を輸送する指令を取得した場合には前記第2モードが選択され、
ユーザーから前記液体吐出装置を輸送する指令を取得しなかった場合には前記第1モードが選択されることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプを更に備え、
前記チューブポンプは、
少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、
前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、
前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有し、
前記開閉部は、前記押圧体および前記支持部材を含むことを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記空間内を大気と連通可能な連通路と、
前記連通路を開閉可能な大気開放部と、を更に備え、
前記第2モードが選択された場合には、前記大気開放部が前記連通路を閉鎖した状態で前記電源オフ動作が実行されることを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に、前記空間内を大気に開放した状態で前記チューブポンプにより吸引を行う空吸引を実行することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に、前記空間を形成した状態、且つ、前記大気開放部を開放した状態で前記チューブポンプにより吸引を行う空吸引を実行することを特徴とする請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記空吸引が完了したタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に前記押圧体が前記解除位置に移動することを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記空吸引が完了したタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に前記押圧体が前記解除位置に移動することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記液体吐出ヘッドを搭載して走査方向に移動可能なキャリッジと、
前記キャリッジの前記走査方向への移動を規制する規制位置と、前記規制位置から退避する規制解除位置と、の間で移動可能な移動規制部と、を更に備え、
前記輸送に関する指令をユーザーから取得した場合には、前記移動規制部が前記規制位置に位置した状態で前記電源オフ動作が実行されることを特徴とする請求項3から請求項9のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
各種表示を行う表示部を更に備え、
前記輸送に関する指令をユーザーから取得した場合、前記押圧体の前記押圧位置への移動が完了するまで、待機する旨の情報が表示部に表示されることを特徴とする請求項4から請求項9のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記液体収容体は、前記視認面において前記ノズル面よりも低い位置に設けられる下方目盛を有することを特徴とする請求項1から請求項9のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記キャップを覆う第1位置と、前記キャップを露出させる第2位置と、の間で移動可能なカバーと、
前記液体収容体と前記液体吐出ヘッドとを接続し、少なくとも一部が弾性を有する弾性チューブで構成される供給流路と、
前記第1位置から前記第2位置への前記カバーの移動に連動して前記弾性チューブを閉鎖可能な第1開閉部と、を更に備えることを特徴とする請求項1から請求項9のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記供給流路において、前記弾性チューブの前記第1開閉部により開閉される位置から下流側は閉鎖されないことを特徴とする請求項13に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、
前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、
前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、
一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、
前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプと、
ユーザーからの各種指令を取得する取得部と、
を備え、
前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、
前記チューブポンプは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
第1モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記解除位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、
第2モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記押圧位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項16】
前記第1モードは前記液体吐出装置を輸送しない場合に選択される指令であり、前記第2モードは前記液体吐出装置を輸送する場合に選択される指令であることを特徴とする請求項15に記載の液体吐出装置の制御方法。
【請求項17】
前記液体吐出装置は、前記空間内を大気と連通可能な連通路と、前記連通路を開閉可能な大気開放部と、を更に備え、
前記第2モードの指令をユーザーから取得した場合、前記大気開放部が前記連通路を閉鎖した状態で前記電源オフ動作を実行することを含むことを特徴とする請求項15または請求項16に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置及び液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、液体を吐出する液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置が開示されている。この液体吐出装置は、液体を収容する液体収容体と、液体を吐出する液体吐出ヘッドと、液体収容体から液体吐出ヘッドへ液体を供給する供給流路とを備える。また、この液体収容体は、液体を収容する液体収容室と、大気連通路と連通するバッファー室とを備える。バッファー室は液体収容室の下側に配置される。液体収容室から下方に延出する部分は、バッファー室の下部と接続される。その接続部分には液体と空気との界面ができる気液交換部が形成されている。液体収容体の側面には、液量を視認するための上方目盛と下方目盛とを含む複数の目盛が設けられている。
【0003】
液体収容室の注入口がキャップで封止されているときは、気液交換部の気液界面(メニスカス)とノズルとの水頭差に基づく負圧がノズルに作用する。このため、液体収容室内の液面が上方目盛に位置するなどノズルの開口よりも高く位置しても、ノズルから液体が漏出することがない。液体を注入するときは、キャップを覆うカバーを開けた後、キャップを開けることで、注入口を開放する。液体収容室内の液面が大気に開放されると、この液面とノズルとの水頭差に基づく正圧がノズルにかかることになる。しかし、カバーの開放操作に連動して、供給流路の弁が閉鎖されるとともに、バッファー室と連通する大気連通路の弁が閉鎖される。このため、ノズルから液体が漏出することがない。
【0004】
この液体注入時以外の通常時は、キャップが注入口を封止する状態でカバーが閉じられることで、大気連通路の弁が開放されるとともに、供給流路の弁が開放される。このとき、ノズルには、気液交換部の気液界面との水頭差で決まる負圧が作用する。このため、ノズルから液体が漏出することがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2018-183960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、液体吐出装置の輸送中などにおいて不測の事態によりノズルから液体が漏出する事態が発生しないとは言い難い。
ノズルから漏出した液体が空間形成部材から排出流路の下流へ排出され続ける構造であると、ノズルからも液体が漏出し続ける。ノズルから漏出する液体が排出流路の下流へ排出されることなく途中で止めることができれば、ノズルから漏出した液体が、空間形成部材内に一杯に溜まった時点でノズルからのそれ以上の液体の漏出が停止される。つまり、ノズルから漏出される液体の量を所定量以下に抑制できる。このため、ノズルから漏出した液体が排出流路の下流へ排出されることを抑制したいという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、前記排出流路を開閉可能な開閉部と、を備え、前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が開放された状態で電源オフ動作を実行する第1モードと、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行する第2モードと、が選択可能に構成されている。
【0008】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプと、ユーザーからの各種指令を取得する取得部と、を備え、前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、前記チューブポンプは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、第1モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記解除位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、第2モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記押圧位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態における液体吐出装置を示す斜視図である。
図2図2は、液体収容体と液体吐出ヘッドとを含む液体供給機構を示す側断面図である。
図3図3は、カバーを開けて液体を注入するときの液体供給機構を示す側断面図である。
図4図4は、液体吐出部とメンテナンス部とを示す一部破断した模式正面図である。
図5図5は、液体吐出部とメンテナンス部とを示し、空間形成部材により空間が形成された状態を示す一部破断した模式正面図である。
図6図6は、レリース状態にあるチューブポンプを示す正断面図である。
図7図7は、レリース解除状態にあるチューブポンプを示す正断面図である。
図8図8は、液体吐出装置の電気的構成を示すブロック図である。
図9図9は、モード選択画面を示す模式図である。
図10図10は、確認画面を示す模式図である。
図11図11は、報知画面を示す模式図である。
図12図12は、電源OFF処理ルーチンを示すフローチャートである。
図13図13は、電源ON処理ルーチンを示すフローチャートである。
図14図14は、空吸引動作を説明する一部破断した模式正面図である。
図15図15は、変更例における空吸引動作を説明する一部破断した模式正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態の液体吐出装置及びその制御方法について図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、液体吐出装置11は、用紙等の媒体Mに印刷を行う印刷部12と、原稿(図示略)を画像として読み取る画像読取部13とを備える。画像読取部13は印刷部12の上側に配置されている。液体吐出装置11は、印刷部12を構成する装置本体14を備える。装置本体14は、その上部に上方に向かって開放された開口を有する。画像読取部13は、装置本体14の開口を覆う開閉可能な蓋体13Aとして機能する。
【0011】
図1では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力方向に沿う方向を鉛直方向Zとし、水平面に沿う方向を幅方向X及び搬送方向Yとして図示する。すなわち、幅方向X、搬送方向Y及び鉛直方向Zは、相互に交差(好ましくは直交)する。また、搬送方向Yにおける一端側を前面側もしくは前側、一端側とは反対の他端側を背面側もしくは後側といい、前面側から見た幅方向Xの一端側を右側、他端側を左側ということもある。また、幅方向Xは、後述する液体吐出部30が印刷時に移動する走査方向でもあるので、走査方向Xともいう。また、搬送方向Yは、媒体Mが液体吐出部30と対向する印刷位置において搬送される方向と平行な方向を指す。
【0012】
図1に示すように、液体吐出装置11は、液体を吐出する液体吐出部30と、液体吐出部30に供給すべき液体を収容する液体収容体23とを備える。液体吐出装置11は、液体収容体23から供給される液体をノズル33(図2参照)から吐出する液体吐出ヘッド32を備える。液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド32を搭載して走査方向Xに移動可能なキャリッジ31を備える。液体吐出部30は、キャリッジ31と液体吐出ヘッド32とを含む。
【0013】
装置本体14は、その外装ケースである筐体14Aを備える。筐体14A内には、液体吐出部30と、供給流路24と、搬送部81(図8参照)と、制御部100(図8参照)とが収容されている。筐体14Aの前部には、操作パネル15Pと、液体貯留ユニット20とが配置されている。図1に示す例では、2つの液体貯留ユニット20が、幅方向Xにおいて操作パネル15Pを挟む両側に配置されている。
【0014】
液体貯留ユニット20は、収容ケース21と、収容ケース21の開口を覆うカバー22とを備える。液体収容体23は、収容ケース21内に収容されている。カバー22は、収容ケース21の開口に対して開閉可能に設けられている。カバー22は、液体収容体23のキャップ27を覆う図1図2に示す閉位置(第1位置)と、液体収容体23のキャップ27が露出する図3に示す開位置(第2位置)との間で変位可能に構成される。
【0015】
図1に示すように、一方(例えば右側)の液体貯留ユニット20には3つの液体収容体23が収容され、他方(例えば左側)の液体貯留ユニット20には1つの液体収容体23が収容されている。一方の液体貯留ユニット20内の3つの液体収容体23は、例えば、カラー印刷時に使用されるカラーインクを液体の一例として収容する。3つの液体収容体23には、例えば、シアン、マゼンタ、イエローの3色のインクが収容される。他方の液体貯留ユニット20内の1つの液体収容体23には、例えば、モノクロ印刷時などに使用されるブラックインクが液体の一例として収容される。液体がインクである場合、顔料インクと染料インクのどちらでもよい。
【0016】
図1に示す液体吐出装置11の例では、収容量が多いブラック用の第1液体収容体23Aが操作パネル15Pに対して左側に1つ設けられている。また、第1液体収容体23Aよりも収容量が少ないカラー用の第2液体収容体23Bが操作パネル15Pに対して右側に3つ設けられている。第1液体収容体23Aが第2液体収容体23Bよりも容積が大きいのは、ブラックインクが、カラーインクに比べ液体消費量が多いからである。なお、複数設けられた第2液体収容体23Bの構成は同じであり、第1液体収容体23Aと第2液体収容体23Bにおいても、幅寸法が異なるものの基本的な構成は同じである。このため、液体収容体23A,23Bにおいて、共通する構成については同一の符号を付すことで重複した説明を省略する。
【0017】
図1に示す例では、1つの第1液体収容体23Aと、複数(例えば3つ)の第2液体収容体23Bとを、左右に分けて配置しているが、複数の液体収容体23を左右に配置する分け方は適宜変更してよい。例えば、複数の液体収容体23を左右に同数になるように分けて配置してもよいし、左右で数が1つ違う組合せで左右に分けて配置してもよい。なお、装置本体14の前面において幅方向Xの片側に全ての液体収容体23をまとめて配置してもよい。
【0018】
液体収容体23と液体吐出部30とは、供給流路24を通じて接続されている。供給流路24は、幅方向Xに延びるとともに途中で湾曲を伴って折り返す所定の経路で延びておりその他端部はキャリッジ31に接続されている。供給流路24は、4色のインクを供給する4本のチューブが水平方向に隣接する状態で束ねられた構成である。詳しくは、第1液体収容体23Aに接続される1本の供給流路24と、3つの第2液体収容体23Bに接続される3本の供給流路24とは、途中で接続ユニット25を介して1つに束ねられたのちにU字形状を描く経路を介して液体吐出部30に接続されている。
【0019】
図1に示すように、収容ケース21の前面には、収容される液体収容体23と個別に対応する窓部21Aが設けられている。窓部21Aからは、液体収容体23の前面を構成する視認面28が露出している。ユーザーは、窓部21Aから視認面28を見ることで、液体収容体23に収容された液体の量(残量)を視認可能である。視認面28には、上方目盛41、下方目盛42及び中間目盛43が設けられている。
【0020】
上方目盛41は、液体収容体23内の液量が満タンのときの液面レベルに相当する位置に設けられている。ユーザーは、液体収容体23に液体を満タンに補充するときは、液面が上方目盛41に達するまで液体を補充する。ユーザーは、液量が上方目盛41に相当する液面に位置することをもって液体が満タンであることを視認できる。
【0021】
下方目盛42は、液体収容体23内の液量がニアエンド又はインクエンドのときの液面レベルに相当する位置に設けられてもよい。ユーザーは、液体収容体23内の液体の液面が下方目盛42に達すると、液体収容体23内の残量が、例えば、ニアエンド又はインクエンドであると視認する。
【0022】
中間目盛43は、上方目盛41と下方目盛42との中間の液面レベルに相当する位置に設けられている。ユーザーは、液体収容体23内の液体の液面が中間目盛43に達すると、液体収容体23内の残量がおおよそ半分であると視認する。
【0023】
図1に示すように、液体吐出装置11は、ユーザーからの各種の指令を取得する取得部15を備える。液体吐出装置11は、各種の表示を行う表示部17を更に備える。取得部15は、例えば、液体吐出装置11に各種の指示を与えるために操作される操作パネル15Pである。操作パネル15Pは、ユーザーが液体吐出装置11に各種の指示を与えるために操作されるボタンなどの操作部16と、メニュー等の情報などを表示する前述の表示部17とを有する。表示部17は、例えば、液晶表示パネルにより構成されてもよい。表示部17がタッチパネルである場合、表示部17のタッチ操作機能により取得部15が構成されてもよい。取得部15は、液体吐出装置11の電源をオン・オフする際に操作される電源操作部15Aを含んでもよい。
【0024】
図1に示すように、装置本体14の下部には、媒体Mを収容する媒体収容部18が着脱可能な状態で挿着されている。媒体収容部18は、例えば、媒体Mを収容可能に構成されたカセットである。媒体収容部18に収容された複数の媒体Mは1枚ずつ所定の搬送経路に沿って供給される。媒体Mは、幅方向Xにおいて媒体収容部18の幅寸法よりも少し狭い幅寸法の搬送領域を通って搬送方向Yに搬送される。なお、媒体収容部18は、1段に限らず、複数段設けられてもよい。また、媒体Mの供給源は、カセット等の媒体収容部18に限らず、1枚又は複数枚の媒体Mを載置可能なトレイを有する媒体載置部でもよい。
【0025】
図1に示すキャリッジ31は、移動機構80(図8参照)により走査方向Xに往復移動可能に構成される。移動機構80は、その駆動源であるキャリッジモーター(図示略)、キャリッジ31を走査方向Xに移動可能に案内するガイド部材(図示略)、及びキャリッジモーターの動力をキャリッジ31に伝達する動力伝達機構(図示略)を備える。動力伝達機構は、例えば、キャリッジ31の移動経路の両端に位置する一対のプーリーに巻き掛けられた無端状のタイミングベルトを有し、キャリッジモーターの動力でタイミングベルトが往復回転することで、タイミングベルトの一部に固定されたキャリッジ31を走査方向Xに往復移動させる。キャリッジ31に搭載された液体吐出ヘッド32が走査方向Xに移動する記録動作と、搬送部81(図8参照)が次の記録位置まで媒体Mを搬送させる搬送動作とが交互に行われることで、媒体Mに印刷が施される。
【0026】
図1に示す画像読取部13は、装置本体14の背面側を回動支点として装置本体14に対して回動可能に構成されている。画像読取部13は、蓋体13Aとして機能し、装置本体14の上部開口を閉じた姿勢(図1参照)と開いた姿勢(図示略)とに回動可能である。なお、液体吐出装置11は、画像読取部13を備えない構成であってもよい。画像読取部13の替わりに、装置本体14の上部開口を覆う単なる蓋体13Aであってもよい。
【0027】
図1に示すように、蓋体13Aが閉じた状態では、蓋体13Aの一部が、閉状態にあるカバー22の一部を覆っている。このため、カバー22を開けるためには、まず蓋体13Aを開ける必要がある。そして、蓋体13Aを開位置に回動させると、液体貯留ユニット20のカバー22が開閉可能となる。なお、カバー22を廃止し、蓋体13Aが、液体貯留ユニット20のカバーを兼ねる構成でもよい。この場合、カバーとしての蓋体13Aが、液体収容体23のキャップ27を覆う閉位置(第1位置)と、キャップ27を露出させる開位置(第2位置)との間で移動可能に構成されてもよい。
【0028】
次に、図2図3を参照して本実施形態の液体供給機構40の構成について説明する。
図2図3は、液体収容体23と液体吐出ヘッド32の位置関係を示す。液体収容体23は、液体収容部26と、液体収容部26の上部に設けられる注入口29A(図3参照)に着脱可能に取り付けられるキャップ27とを備える。詳しくは、液体収容体23は、インク等の液体ILを収容可能な収容室の一例としての液体収容室26Aと、液体収容室26Aに液体を注入可能な注入口29A(図3参照)と、注入口29Aを密閉する密閉位置と注入口29Aを開放する開放位置との間で移動可能なキャップ27とを有する。液体収容部26は、前述の液体収容室26Aと、液体収容体23の下部に設けられるバッファー室26Bとを備える。液体収容室26Aの一部は、バッファー室26Bの下方に回り込んでバッファー室26Bの下部と連通している。
【0029】
注入部29は、液体収容体23の上部に設けられている。キャップ27は、例えば、ねじ部を有し、注入口29Aが開口する筒状の注入部29に螺着により取り付けられることで、注入口29Aを密閉する構成でもよい。また、キャップ27は、注入部29に嵌合により取り付けられてもよい。ユーザーは、カバー22を図2に示す閉位置から図3に示す開位置へ移動した後、キャップ27を取り外すことで、図3に示すように、注入部29の注入口29Aを開放する。この状態で、ユーザーは、注入部29の注入口29Aから液体収容体23内へインク等の液体ILを注入することができる。
【0030】
液体収容室26Aは、バッファー室26Bよりも上方に位置する部分のうち最も低い位置で供給流路24の一端部と接続されている。液体収容体23と液体吐出ヘッド32とを接続する供給流路24は、少なくとも一部が弾性を有する弾性チューブ24Tで構成される。ノズル面32Aに開口するノズル33は、液体吐出ヘッド32内の流路(不図示)及びキャリッジ31内の流路36を経由して供給流路24に連通されている。供給流路24の他端は、キャリッジ31に設けられた流路36の一端に接続されている。流路36の途中には液体貯留室37及びフィルター38を設けられ、フィルター38で濾過されて気泡等の異物が除去された液体が液体吐出ヘッド32へ供給される。
【0031】
液体吐出ヘッド32の液体吐出方式(例えばインクジェット方式)は、例えば、圧電方式(ピエゾ方式)、静電方式又はサーマル方式であり、その他の方式であってもよい。圧電方式は、ノズル33と連通する圧力室(不図示)と、圧力室の容積を電歪作用で変更させる圧電素子(不図示)とを有する。圧電素子が圧力室を囲む壁部の一部を形成する振動板(不図示)を振動させることでノズル33から液体が吐出される。また、サーマル方式は、ヒーター素子による熱で液体を加熱して沸騰した際の泡の力でノズル33から液体を吐出する。このようにノズル33ごとに設けられる吐出駆動素子には、圧電素子、静電素子やヒーター素子などを採用できる。
【0032】
カバー22は、キャップ27を覆う図2に示す第1位置(閉位置)と、キャップ27を露出させる図3(但し、図3ではキャップ27を省略)に示す第2位置(開位置)との間で移動可能に構成される。液体供給機構40は、図2に示す第1位置から図3に示す第2位置へのカバー22の移動に連動して弾性チューブ24Tを閉鎖可能な第1開閉部45を備える。第1開閉部45は、例えば、弾性チューブ24Tを潰すことで閉鎖可能な開閉弁により構成される。供給流路24において、弾性チューブ24Tの第1開閉部45により開閉される位置から下流側は閉鎖されない。
【0033】
バッファー室26Bからは大気連通路47が上方に向かって延出している。大気連通路47の途中には、図2に示す第1位置から図3に示す第2位置へのカバー22の移動に連動して大気連通路47を閉鎖可能な第2開閉部48が設けられていてもよい。大気連通路47は、ノズル面32Aよりも下方の高さ位置で、液体収容部26のバッファー室26Bと接続されていてもよい。
【0034】
液体収容室26Aとバッファー室26Bとの接続部には、比較的小さな開口面積で接続された気液交換部46が形成されている。気液交換部46には、液体収容室26A内の液体とバッファー室26B内の空気との界面によるメニスカスが形成される。なお、気液交換部46は液体のメニスカスが破壊されることなく保たれうる開口面積に形成されている。
【0035】
液体収容体23の気液交換部46は、液体吐出ヘッド32のノズル面32Aに開口するノズル33の開口の高さよりも高さ方向-Zにおいて高さHだけ低い位置に設けられている。これにより、ノズル33には高さH分の水頭差による負圧がかかる。このように、気液交換部46は、ノズル面32Aよりも低い高さに位置することで、液体吐出ヘッド32のノズル33から液体が漏出することを防ぐ機能を有する。また、バッファー室26Bは、液体ILを収容する液体収容室26A内の空気が温度変化や気圧変動等によって膨張したときに、気液交換部46のメニスカスを破壊して液体が押し出されても、その押し出された液体を収容可能に構成される。このため、液体収容体23内の液体ILが大気連通路47を通って外部へ漏出することが抑制される。
【0036】
なお、供給流路24を開閉可能な第1開閉部45は1つのみで、第1開閉部45の開閉位置よりも下流側では供給流路24は閉鎖されない構成であるが、第1開閉部45とは別に供給流路24を開閉可能な第3開閉部(図示略)を設けてもよい。この第3開閉部は、ユーザーが手動操作で切り替え可能な構成でもよいし、制御部100がモーター又は励消磁回路等の駆動源を駆動することで、開閉制御される構成でもよい。第1開閉部45と第3開閉部は、例えば、弁であってもよい。このように、供給流路24には、第1開閉部45を第1の弁とする場合に、第2の弁となる第3開閉部を設けてもよい。
【0037】
液体ILを液体収容体23に注入する時には、ユーザーは、カバー22を開け、キャップ27を外し、液体ボトル(図示略)から液体を注入口29Aへ注入することで、液体収容体23内に液体を補充する。不図示の連動機構によりカバー22が開くことに連動して第1開閉部45及び第2開閉部48が共に閉じる。これにより、カバー22が開けられた第2位置にあるときは、供給流路24(弾性チューブ24T)及び大気連通路47が共に閉鎖される。
【0038】
また、ユーザーは、液体の注入が完了すると、キャップ27で注入口29Aを密閉した後、カバー22を閉じる。カバー22が閉じることに連動して第1開閉部45及び第2開閉部48が共に閉状態から開状態に切り替わる。これにより、カバー22が閉じられた第1位置にあるときは、供給流路24及び大気連通路47が共に開放される。
【0039】
蓋体13Aが閉じられていることはカバーセンサー85(図8参照)により検知される。蓋体13Aの閉状態を検知しているときに印刷動作が許可される。本実施形態では、蓋体13Aが閉状態にあるときは必ずカバー22も閉状態にある。このため、印刷時は、カバー22が閉状態にあることにより、第1開閉部45と第2開閉部48が共に開状態にある。よって、印刷時は、液体収容体23から液体吐出ヘッド32への液体の供給が可能であるとともに、ノズル33には高さH分の水頭差に基づく負圧が作用する。なお、カバー22が閉じられた第1位置にあることを検知する構成は、蓋体13Aが閉じられたことを検知するカバーセンサー85(図8参照)に限定されない。カバーセンサー85は、蓋体13Aを検知するセンサーに替えて、あるいは蓋体13Aを検知するセンサーに加え、カバー22が第1位置にあることを検知するセンサーであってもよい。さらに、液体注入完了の検知は、カバーセンサー85による検知に限定さない。例えば、液体収容体23の液体残量を検知する残量検知部により所定量以上の液量に液体が注入されたことを検知することで、液体注入完了を検知する構成でもよい。さらには、ユーザーが操作部16等の操作で液体注入完了の旨を液体吐出装置11に通知してもよい。
【0040】
<液体収容体23の目盛>
図2に示すように、液体収容体23は、液体収容室26Aに収容する液体を外部から視認可能な視認面28を有する。液体収容体23は、視認面28において、ノズル面32Aよりも高い位置に設けられる上方目盛41を有する。上方目盛41は、液体収容体23に収容できる液体の上限位置を示す。また、液体収容体23は、視認面28において、ノズル面32Aよりも低い位置に設けられる下方目盛42を有する。下方目盛42は、液体収容室26A内に貯留される液体の下限位置を示す。さらに、液体収容体23は、視認面28において、上方目盛41と下方目盛42との中間高さの位置に中間目盛43を有する。また、液体収容体23は、視認面28において、上方目盛41と中間目盛43との中間高さと、下方目盛42と中間目盛43との中間高さとに、それぞれ目盛を有してもよい。ユーザーは、視認面28における目盛を目安にして残量を確認する。また、ユーザーは、液体収容体23の液体収容室26Aに注入部29の注入口29Aから液体を補充する際は、各目盛41~43等を目安にして液体を注入する。そして、ユーザーは、液体収容体23を満タンにする場合、液体を上方目盛41まで注入する。なお、各目盛41~43は、液体収容体23に替え、例えば、窓部21Aに嵌め込まれた透明もしくは半透明の部材よりなる光透過性を有する光透過部材に設けてもよい。
【0041】
<メンテナンス系の構成について>
次に、図4図5を参照して、液体吐出ヘッド32をメンテナンスするメンテナンス系の構成について説明する。液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド32をメンテナンスするメンテナンス系の部材として、メンテナンス部50及び払拭部60を備える。メンテナンス部50は、ノズル33が形成されるノズル面32Aに密着することでノズル33が開口する空間AS(図5参照)を形成可能な空間形成部材51を備える。空間形成部材51は、例えば、液体吐出ヘッド32のノズル面32Aに対して各ノズル33を囲うようにして当接可能な上側が開口した四角箱状のキャップ部51Cである。空間形成部材51の上端全周には、ゴム又はエラストマー等の可撓性部材からなる四角枠状のシール部材51Aが設けられている。
【0042】
また、メンテナンス部50は、空間形成部材51を昇降可能に構成する昇降機構52を備える。昇降機構52は、例えば、モーターM1を駆動源とする。キャリッジ31を図4に示すホーム位置(待機位置)に移動させた状態で、モーターM1を駆動することで空間形成部材51をノズル面32Aに当接するまで上昇させることで、液体吐出ヘッド32をキャッピングする。空間形成部材51は、不図示のばねにより上方に付勢されている。キャッピング状態では、空間形成部材51が各ノズル33を囲んだ状態で液体吐出ヘッド32のノズル面32Aに対してシール部材51Aが気密状態で密着する。図5に示すキャッピング状態では、ノズル面32Aと空間形成部材51とにより、ノズル33が開口する空間AS(略閉空間)が囲み形成される。
【0043】
メンテナンス部50は、空間AS内の液体を排出可能に構成される排出流路53と、排出流路53を開閉可能な開閉部54(図6参照)と、を備える。排出流路53は、一端が空間形成部材51に接続されている。この排出流路53の他端部は廃液回収部58内に挿入されている。そのため、空間形成部材51内と廃液回収部58内とは排出流路53を介して連通されている。空間形成部材51は、廃液回収部58よりも上方に位置する。このため、空間形成部材51内の液体は、排出流路53が閉鎖されていない限り、自重によって排出流路53を通じて廃液回収部58に向けて流動する。なお、排出流路53は、少なくとも一部が弾性を有するチューブ53Tにより構成される。
【0044】
廃液回収部58は、例えば、液体吐出ヘッド32から吐出又は排出される液体のうち印刷に用いられない液体(廃液)を収容可能な廃液タンクである。廃液回収部58には、主にメンテナンスで液体吐出ヘッド32から排出された液体が廃液として回収される。廃液回収部58内には、回収された液体を吸収可能な液体吸収材59が収容されている。そのため、廃液回収部58は、液体吸収材59に吸収された状態で液体を回収する。
【0045】
メンテナンス部50は、空間形成部材51を介して液体吐出ヘッド32内の液体を吸引可能なチューブポンプ55を備える。チューブポンプ55は、排出流路53に設けられる。詳しくは、チューブポンプ55は、チューブ53Tの途中部分に設けられ、空間形成部材51内に負圧を発生させるために駆動される。チューブポンプ55は、正逆双方向に回転可能なモーターM2の回転に基づいて駆動する。そして、液体吐出ヘッド32のノズル面32Aに対して空間形成部材51のシール部材51Aがノズル33を囲むようにして密着することで空間ASが形成された状態でチューブポンプ55が駆動される。その結果、各ノズル33と連通する空間AS内が負圧となり、この負圧により各ノズル33内の増粘液体や気泡等が液体と共に、空間形成部材51内に強制的に吸引されることで排出される。空間形成部材51内の液体は、チューブポンプ55の吸引力により排出流路53(チューブ53T)を通じて廃液回収部58内に回収される。このようにクリーニングは行われる。
【0046】
メンテナンスには、液体吐出ヘッド32のノズルから液体を強制的に排出させるクリーニング、及び全てのノズル33から印刷とは関係のない液滴を吐出させる空吐出(フラッシング)などが含まれる。クリーニングによって、ノズル33から増粘インク等の増粘液体や気泡等の異物が液体と共に強制的に排出される。また、空吐出によって、ノズル33から増粘液体が液体と共に吐出されることで、ノズル33内の液体が新しい液体でリフレッシュされる。
【0047】
さらに、図4図5に示すメンテナンス部50は、空間形成部材51内の空間ASを大気と連通可能な連通路56と、連通路56を開閉可能な大気開放部57とを備える。大気開放部57は、例えば、大気開放弁である。大気開放部57は、制御部100により開閉制御される。空間ASが形成された状態の下で、大気開放部57が閉鎖すると、空間ASが大気と連通しない非連通状態になる。一方、大気開放部57が開放されると、空間ASが連通路56を通じて大気と連通する。大気開放部57は、モーターM1又はモーターM2の動力でカム機構(図示略)を介して開閉可能に構成されてもよいし、連通路56を開閉可能な電磁弁により構成されてもよい。空吐出により空間形成部材51内に溜まった液体は、定期又は不定期に空間形成部材51内が大気に開放された状態でチューブポンプ55を駆動する空吸引動作が行われることにより、空間形成部材51内から排出流路53を通じて廃液回収部58に回収される。
【0048】
払拭部60は、液体吐出ヘッド32のノズル面32Aを払拭するワイピングを行う。図4に示す例では、払拭部60は、モーターM1の動力で昇降する。払拭部60は、図4に示す退避位置(下降位置)と、図5に示す払拭位置(上昇位置)との間を移動可能に構成される。払拭部60は、図4に示す例ではブレードを有する。つまり、払拭部60は、ブレードでノズル面32Aを払拭するブレードタイプである。図4に示す例では、払拭位置に上昇した払拭部60に対して、キャリッジ31が走査方向Xに移動することでノズル面32Aを払拭する。なお、払拭部60は、ブレードをノズル面32Aに対してX方向又はY方向に移動させることで、ノズル面32Aを払拭する可動式でもよい。また、払拭部60は、ブレードタイプに限らず、布でノズル面32Aを払拭する布ワイパーでもよい。
【0049】
また、液体吐出装置11は、図4図5に示すように、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制するロック機構61を更に備えてもよい。ロック機構61は、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制する規制位置と、規制位置から退避する規制解除位置との間で移動可能に構成される移動規制部62を備える。ロック機構61は、移動規制部62を昇降可能に支持するガイド部材63を備える。規制位置に移動した移動規制部62は、図4図5に示すホーム位置にあるキャリッジ31と被係合部31Aで係合することで、キャリッジ31をホーム位置に位置規制する。
【0050】
<チューブポンプ55及び開閉部54の構成>
次に、図6図7を参照して、開閉部54を有するチューブポンプ55の構成について説明する。図6図7に示すように、チューブポンプ55は、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともに液体(例えば、インク)が流動可能なチューブ53Tと、チューブ53Tを押圧可能な押圧体75と、押圧体75をチューブ53Tの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材71と、を有する。押圧体75は、チューブ53Tを押圧して排出流路53を閉鎖する押圧位置と、チューブへの押圧を解除して排出流路53を開放する解除位置との間で移動可能に構成される。チューブポンプ55は、押圧体75が解除位置にあることでレリース状態になり、押圧体75が押圧位置にあることでレリース解除状態になる。
【0051】
本実施形態では、チューブポンプ55を構成する、押圧体75および支持部材71が、開閉部54を構成する。すなわち、本実施形態の開閉部54は、チューブポンプ55の一部である押圧体75および支持部材71を含む。チューブポンプ55のレリース状態が解除されることで、チューブポンプ55内で開閉部54を構成する押圧体75が押圧位置に位置し、チューブ53Tが閉鎖される。チューブポンプ55がレリース状態になることで、チューブポンプ55内で、開閉部54を構成する押圧体75が解除位置に位置し、チューブ53Tが開放される。
【0052】
図6図7に示すように、チューブポンプ55は、透明ケース55Aで覆われている。このため、チューブポンプ55を構成する、保持部材70、支持部材71及び押圧体75等の構成部品は、透明ケース55Aに収容されている。ユーザーは、透明ケース55Aを通じてチューブポンプ55の内部を視認可能である。例えば、メンテナンス時に、チューブポンプ55を分解等しなくても、透明ケース55Aを通じて内部の故障等を視認可能である。また、出荷検査時や修理後の発送前などにチューブポンプ55を外から見るだけで第1モードの電源オフ動作および第2モードの電源オフ動作が正しく行われているかをチェックすることが可能である。
【0053】
透明ケース55A内には、環状を呈する保持部材70が収容されている。チューブ53Tは、保持部材70の内周に沿って円形のループを描くように巻かれ、そのループを形成する部分がループ部53Aを形成している。ループ部53Aの両端から延びる2本のチューブ53Tは、透明ケース55Aから外方に延出している。ループ部53Aの内周側には、円板状の支持部材71が回転可能な状態で組み付けられている。
【0054】
チューブポンプ55は、回転部材である支持部材71と、支持部材71の回転軸72とを備える。回転軸72は、モーターM2(図4参照)の駆動力により正逆転する。支持部材71は、モーターM2の正逆転駆動力により正逆転可能に構成される。支持部材71は、その外周近くに円弧状のガイド溝74を有する。ガイド溝74には、押圧体75を回転可能に支持する支軸75aが挿入されている。押圧体75は、支軸75aがガイド溝74に沿って移動することで、チューブ53Tを押圧する押圧位置と、チューブ53Tを押圧しない解除位置とに移動可能である。
【0055】
図6に示すように押圧体75が解除位置にある支持部材71が、図7に示すようにA方向に正転すると、押圧体75はガイド溝74に沿って図7に示す押圧位置に移動する。そして、図7に示すように、支持部材71がA方向に正転することで、押圧位置にある押圧体75はチューブ53Tを押し潰しながらA方向に回転する。これにより、チューブポンプ55は、排出流路53内の液体を図7に矢印で示す排出方向に送り出す。押圧体75が押圧位置にある状態で支持部材71の回転が停止しているとき、排出流路53は閉鎖されている。つまり、押圧体75が押圧位置にあるレリース解除状態にあるときに、排出流路53は閉鎖される。
【0056】
一方、押圧体75が図7に示す押圧位置にある状態から、図6に示すように、支持部材71がB方向に逆転することにより、押圧体75はガイド溝74に沿って図6に示す解除位置へ移動する。押圧体75が解除位置にある状態では、排出流路53が開放される。つまり、押圧体75が解除位置にあるレリース状態にあるとき、排出流路53が開放される。
【0057】
<液体吐出装置11の電気的構成>
次に、図8を参照して、液体吐出装置11の電気的構成について説明する。液体吐出装置11は、例えば、ホスト装置200から印刷データPDを受信する。印刷データPDには、印刷条件情報と画像データとが含まれる。制御部100は、ホスト装置200から受信した印刷条件情報と画像データとに基づいて媒体Mに印刷する。なお、ホスト装置200は、液体吐出装置11に対して印刷やスキャンの指示を与えることが可能な端末である。ホスト装置200は、パーソナルコンピューター(PC)、タブレット、スマートフォンあるいは携帯電話などからなる。
【0058】
制御部100は、操作パネル15Pを構成する、電源操作部15A、操作部16及び表示部17と電気的に接続されている。
また、制御部100には、入力系として、カバーセンサー85及びリニアエンコーダー86が電気的に接続されている。カバーセンサー85は、蓋体13Aの開閉を検知する。制御部100は、ユーザーが蓋体13Aを開けたこと又は蓋体13Aを閉じたことを、カバーセンサー85の検知信号により認知する。制御部100は、例えば、蓋体13Aが閉じられたことを検知することで、液体の注入が完了したと検知する。なお、カバーセンサー85は、蓋体13Aの開閉を検知可能なカバーセンサーとは別に、カバー22を開けたこと又はカバー22を閉じたことを検知可能なセンサーであってもよい。
【0059】
リニアエンコーダー86は、走査方向Xに移動するキャリッジ31の移動量に比例する数のパルスを含むエンコーダー信号を出力する。リニアエンコーダー86は、筐体14Aに設けられた走査方向Xに延設されたテープ状の符号板と、キャリッジ31に設けられた光学式センサー(いずれも図示略)とにより構成される。光学式センサーが符号板を読み取ってキャリッジ31の移動状態に応じた所定の電気信号が光学式センサーから出力される。制御部100は、エンコーダー信号に基づいてキャリッジ31の位置制御及び速度制御を行う。
【0060】
また、制御部100は、画像読取部13及び印刷部12を制御する。制御部100には、印刷部12に係る出力系として、液体吐出ヘッド32、移動機構80、搬送部81、メンテナンス部50、払拭部60及びロック機構61が電気的に接続されている。
【0061】
制御部100は、液体吐出ヘッド32を制御することでノズル33から液体を吐出させる。制御部100は、印刷データPDに基づいて液体吐出ヘッド32を吐出制御することで媒体Mに印刷データPDに基づく画像等を印刷する。また、制御部100は、液体吐出ヘッド32に空吐出を行わせるときにも液体吐出ヘッド32に対して吐出制御を行う。
【0062】
制御部100は、移動機構80を制御することで、キャリッジ31を走査方向Xに移動させる制御を行う。制御部100は、移動機構80の駆動源であるキャリッジモーターを正逆転制御することで、キャリッジ31を走査方向Xに往復移動させる。制御部100は、液体吐出ヘッド32が液体を媒体Mに吐出する印刷時に、キャリッジ31を媒体Mの搬送領域内の印刷範囲で往復移動させる制御を行う。また、制御部100は、キャリッジ31を、非印刷時(待機時)、空吐出時、クリーニング時に、図4図5に示すホーム位置に移動させる。
【0063】
制御部100は、搬送部81を制御することで、媒体収容部18(図1参照)に収容された媒体Mを1枚ずつ液体吐出ヘッド32と対向可能な印刷位置に向かって搬送する。また、制御部100は、印刷中においては媒体Mを次の印刷位置まで間欠的に搬送する搬送動作を行う。なお、搬送部81は、シート状の媒体Mを搬送する複数のローラー(図示略)を備える。搬送部81は、媒体収容部18から送り出された媒体Mを走査方向Xと交差する搬送方向Yに搬送する。搬送部81は、液体吐出ヘッド32の移動範囲の下方に配置された不図示の支持台(プラテン)に媒体Mが支持されるように所定の搬送経路に沿って媒体Mを搬送する。なお、搬送部81は、媒体収容部18に替え又は加え、給送トレイ等の載置部に載置された媒体Mを1枚ずつ給送する給送機構を備えた構成でもよい。
【0064】
制御部100は、キャリッジ31が走査方向Xに移動する過程で液体吐出ヘッド32がノズル33から液体を吐出する1走査分の印刷動作と、搬送部81が媒体Mを次の印刷位置まで搬送する搬送動作とを交互に行うことで、媒体Mに画像等を印刷する。
【0065】
制御部100は、クリーニング時期になると、メンテナンス部50を制御してクリーニングを実行する。すなわち、制御部100は、空間形成部材51をノズル面32Aに密着させたキャッピング状態の下でチューブポンプ55を駆動させて空間ASを負圧にすることで、液体吐出ヘッド32のノズル33から液体を強制的に排出させるクリーニングを行う。
【0066】
制御部100は、印刷中において、液体吐出ヘッド32を定期又は不定期にホーム位置に移動させてノズル33から空間形成部材51に向けて液滴を吐出する空吐出を行う。空吐出によって空間形成部材51内に溜まった液体は、制御部100が、空間形成部材51内を大気開放された状態の下でチューブポンプ55を駆動させる空吸引動作を行うことで廃液回収部58に排出される。
【0067】
また、制御部100は、第2モードでの電源オフの実行の指令を受け付けたときは、図12に従って、第2モードでの電源OFF処理を実行する。この電源OFF処理を第2モードで実行するときは、開閉部54を閉鎖する処理と、大気開放部57を閉鎖する処理とを行った後に電源オフする。また、制御部100は、第2モードで電源オンした際は、大気開放部57を開放する処理を行ったうえで、チューブポンプ55をレリース解除状態(開閉部54の閉鎖状態)の下で駆動させることで、空吸引動作を行う。
【0068】
制御部100は、払拭部60を制御することで、払拭部60でノズル面32Aを払拭する払拭制御を行う。制御部100は、メンテナンス時にノズル33から液体を排出したのちに、払拭部60でノズル面32Aを払拭する。本実施形態では、電源オンした際に第2モードであるときに実行される空吸引動作ののちに、払拭部60による払拭動作を行ってもよい。
【0069】
制御部100は、ロック機構61を制御する。制御部100は、移動規制部62を、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制する規制位置(図5)と、規制位置から退避する規制解除位置(図4)とに移動させる制御を行う。制御部100は、第2モードで電源オフするときに、移動規制部62を規制解除位置から規制位置に移動させることで、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制する。なお、本実施形態の制御部100は、第1モードで電源オフするときも、移動規制部62を規制解除位置から規制位置へ移動させることで、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制する制御を行う。
【0070】
制御部100は、インターフェイス101及びコンピューター110を備える。インターフェイス101は、ホスト装置200から指令CSを取得する取得部15の一例を構成する。コンピューター110は、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びストレージを含んで構成される。制御部100は、液体吐出装置11における媒体Mの搬送や、液体吐出ヘッド32による媒体Mへの印刷動作を制御する。詳しくは、制御部100は、自身が実行する全ての処理についてソフトウェア処理を行うものに限られない。たとえば、制御部100は、自身が実行する処理の少なくとも一部についてハードウェア処理を行う専用のハードウェア回路(例えば、特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。すなわち、制御部100は、コンピュータープログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサー、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリー、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューター110でアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0071】
コンピューター110は、第1カウンター111、第2カウンター112及び記憶部113を備える。第1カウンター111は、キャリッジ31の走査方向Xにおける位置に相当する計数値を計数する。また、第2カウンター112は、印刷データPD中の画像データやメンテナンス条件情報等に基づいて、ノズル33から吐出又は排出される液体の量に相当する値を色別に計数する。コンピューター110は、第2カウンター112の計数値に基づいて色別に液体収容体23の残量を管理してもよい。コンピューター110は、液体収容体23の残量が所定量以下になると、液体の残量がニアエンド又はエンドである旨の情報及びユーザーに液体の補充を促す旨の情報等を、表示部17又はホスト装置200のモニターに表示してもよい。
【0072】
記憶部113には、プログラムPRが記憶されている。プログラムPRには、図12にフローチャートで示される電源OFF処理ルーチンのプログラムが含まれる。また、プログラムPRには、図13に示す電源ON処理ルーチンのプログラムが含まれる。
【0073】
液体吐出装置11は、第1モードと第2モードとが選択可能に構成される。第1モードは、ユーザーが液体吐出装置11の輸送を行わないときの通常モードであり、第2モードは、ユーザーが液体吐出装置11を輸送するときに選択される輸送モードである。第1モードと第2モードとでは、液体吐出装置11の電源オフ時に行う処理が異なる。
【0074】
第1モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が開放された状態で電源オフ動作を実行するモードである。また、第2モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行するモードである。
【0075】
詳しくは、大気開放部57を備える本実施形態では、第1モードと第2モードでは、電源オフ動作が次のように行われる。すなわち、第1モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態の下で、開閉部54により排出流路53が開放された状態、且つ、大気開放部57が閉鎖された状態の下で、電源オフ動作を実行するモードである。また、第2モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態の下で、開閉部54により排出流路53が閉鎖された状態、且つ、大気開放部57が閉鎖された状態の下で、電源オフ動作を実行するモードである。
【0076】
ユーザーから液体吐出装置11を輸送する指令を取得しなかった場合には、ユーザーによって第1モードが選択されたということになる。また、ユーザーから液体吐出装置11を輸送する指令を取得した場合には、ユーザーによって第2モードが選択されたということになる。第2モードが選択された場合には、大気開放部57が連通路56を閉鎖した状態で電源オフ動作が実行される。
【0077】
制御部100は、液体吐出装置11のモードを管理する。制御部100は、各種のモードを記憶部113の所定記憶領域に記憶するモードフラグで管理する。制御部100は、モードの種類ごとに「0」か「1」のフラグ値でモードを管理する。制御部100は、例えば、第1モード(通常モード)であるときにフラグ値「0」、第2モード(輸送モード)であるときにフラグ値「1」をモードフラグに書き込むことで、モードを管理する。
【0078】
図12に示す電源OFF処理ルーチンは、そのときのモードが第1モードであるか第2モードであるかに応じた電源OFF処理を実行する。第2モード(輸送モード)が指令されたとき、制御部100は、液体吐出装置11の輸送中に不測の事態によって、液体吐出ヘッド32のノズル33から液体が漏出しても、その漏出する液体の量が過剰にならないように抑制する前述の制御を行う。
【0079】
ここで、不測の事態とは、気液交換部46が形成されるメニスカスの破壊、キャップ27の閉め忘れや緩み、キャップ27の密閉不良、液体吐出装置11の異常姿勢、供給流路24を構成するチューブの損傷による液圧の異常変化などが挙げられる。気液交換部46のメニスカスの破壊は、輸送中の過大な振動や衝撃に起因して起こる可能性がある。キャップ27の閉め忘れは、輸送前にキャップ27等の状態をチェックしなかった場合にキャップ27が閉め忘れの状態のまま輸送された場合などが挙げられる。キャップ27の緩みは、ユーザーがキャップ27を最後まで締め切っていなかった場合や、締め切っていても輸送中の振動でキャップ27が緩む場合などが挙げられる。キャップ27の密閉不良は、ユーザーがキャップ27で正しく密閉したつもりでも密閉されていなかった場合や、キャップ27が経年劣化した場合などが挙げられる。チューブの損傷等による液圧の異常変化は、通常の印刷時にはノズル33からの液体の漏出に至らないものの、輸送中の振動・衝撃・傾き等が発生する過酷な条件の下ではある程度の液圧変更によってもノズル33からの液体の漏出に至る場合がある。その他、種々の原因で輸送中においては予期せずノズル33から液体が漏出することが起こり得る。なお、供給流路24に第3開閉部(例えば第2の弁)を設けた構成の場合、これが手動弁であるときはユーザーによる閉め忘れ、制御弁であるときは故障等が挙げられる。そして、第3開閉部の不測の事態に加え、前述の不測の事態が発生したときに、ノズル33から液体が漏出する場合がある。
【0080】
そして、ユーザーは液体吐出装置11の輸送が終わると、電源操作部15Aを操作して電源オンする。制御部100は、ユーザーが電源操作部15Aを操作した電源オンを検知すると、記憶部113のモードフラグの値を読み込んで現在のモードを調べる。現在のモードが第2モードであれば、第2モードでの電源オン処理を行う。つまり、コンピューター110が、電源ON処理ルーチンを実行する。制御部100は、電源オンのタイミングから初めての液体の消費が開始されるまでの間の所定時期に、開閉部54を閉状態(押圧位置)から開状態(解除位置)に切り替えるとともに、空間形成部材51内を大気開放状態に切り替える。そして、制御部100は、この状態の下でチューブポンプ55を駆動させることで、空吸引動作を行う。空吸引動作では、空間形成部材51内の空間ASが負圧にならないので、ノズル33から液体を排出(消費)することなく、空間形成部材51内及び排出流路53の一部に溜まった液体を選択的に排出可能である。
【0081】
これは、液体吐出装置11の輸送中に不測の事態が原因でノズル33から液体が漏出した場合を想定した処理である。仮に、輸送中にノズル33か液体が漏出した場合、その漏出した液体は、最大で空間形成部材51内の空間ASを満たすまで溜まる場合がある。つまり、空間ASに溜まった液体の液面は、ノズル面32Aに達する場合もある。電源オン直後に開閉部54により排出流路53が開放されることにより、空間AS内に溜まった液体は自重によってある程度は排出されるものの、そのままノズル33から液体が消費される処理が開始された場合、ノズル33から液体が消費される処理を適切に行うことができない可能性がある。また、空間形成部材51がノズル面32Aから離れる際に液体が溢れてしまう可能性がある。そのため、ノズル33から液体が消費される処理に先立ち、空間AS内から液体を排出する空吸引動作を行う。なお、空吸引動作の後に、払拭部60がノズル面32Aを払拭する払拭処理と、ノズル33から液滴を吐出する空吐出とのうち少なくとも一方を行ってもよい。例えば、空吸引動作の後に、払拭処理と空吐出との両方を行ってもよい。
【0082】
<表示画面について>
次に、図9図11を参照して、表示部17等に表示される画面について説明する。ここでは、表示部17に表示される例で画面について説明するが、各種の画面はホスト装置200のモニター等の表示部に表示されてもよい。
【0083】
図9は、モード選択画面90である。ユーザーは、操作部16を操作することで液体吐出装置11に対してモード選択画面90を用いたモードの設定を行う。なお、モード選択画面90は、ホスト装置200の表示部(図示略)に表示されてもよく、ホスト装置200の操作部(図示略)を操作することで、液体吐出装置11に対してモード選択画面90を用いたモードの設定を行ってもよい。
【0084】
図9に示すモード選択画面90は、第1モードと第2モードとのうち一方を選択して設定するための操作画面である。ここで、本例では、第1モードは通常モードであり、第2モードは輸送モードである。輸送モードとは、液体吐出装置11を輸送するときに選択するモードである。ユーザーは、液体吐出装置11を輸送するときにモード選択画面90で第2モードを選択する。
【0085】
輸送時は液体吐出装置11の不測の事態によって、液体収容室26A内の液体の上面に大気圧がかかる場合がある。この場合、液体収容室26A内の液面とノズル33の開口との水頭差に基づきノズル33から液体が漏出する場合がある。第2モードは、この種の輸送時に不測の事態が原因でノズル33からの液体が漏出した場合でも、その漏出する液体の量を所定の容積以下に抑制するためのモードである。
【0086】
図9に示すように、モード選択画面90には、第1モードを選択するための第1選択操作部91と、第2モードを選択するための第2選択操作部92とが設けられている。また、モード選択画面90は、選択した第2モード(輸送モード)で電源オフを実行するときにユーザーによって操作される確定ボタン93と、ユーザーが第2モードをキャンセルするときに操作されるキャンセルボタン94とを備える。各選択操作部91,92及び各ボタン93,94は、例えば、操作部16の操作又は表示部17のタッチパネル操作で操作可能である。なお、ホスト装置200のモニター等の表示部にモード選択画面90が表示される場合、各選択操作部91,92及び各ボタン93,94は、キーボード又はポインティングデバイス等により操作される。ここで、モード選択画面90は第1モードを選択するための第1選択操作部91を設けず、第2モードを選択するための第2選択操作部92のみ設けるようにしてもよい。第2モードのみ選択できる構成においては、ユーザーが第2モードを選択せずに電源オフの指令を行った場合にユーザーが第1モードを選択したと判断される。言い換えると、ユーザーが第2モードを選択せずに電源オフの指令を行った場合に第1モードの指令をユーザーから取得したと判断される。
【0087】
図10は、表示部17に表示される確認画面95である。確認画面95は、モード選択画面90で第2モードを選択したうえで確定ボタン93を選択したときに、制御部100により表示される画面である。制御部100は、確認画面95を表示部17に表示し、ユーザーに輸送モードにしてもよいかどうかを確認する。制御部100は、表示部17に、例えば、「第2モードで電源オフしてもよろしいですか?」というメッセージMS1を表示することで、第2モード(輸送モード)で電源オフしてよいかどうかを確認する。
【0088】
図11は、報知画面96である。この報知画面96は、第2モード特有の余分な処理を行った後に電源OFFするので、ユーザーの指示操作から電源オフするまでに要する時間が第1モードよりも長い。このため、ユーザーが異常であると考える可能性があるので第2モードで電源オフする際に必要な処理のために電源オフが遅れている旨の情報を報知する。図11に示す報知画面96には、電源オフが遅れている旨のメッセージMS2として、例えば、「押圧体の押圧位置への移動が完了するまでお待ちください。」という情報が表示される。
【0089】
第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に、空間AS内を大気に開放した状態でチューブポンプ55により吸引を行う空吸引を実行する。
【0090】
第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に、空間ASを形成した状態、且つ、大気開放部57を開放した状態でチューブポンプ55により吸引を行う空吸引を実行する。空吸引が完了したタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に押圧体75が解除位置に移動する。
【0091】
<制御方法>
本実施形態では、第2モードでの電源オフの指令を受け付けた場合に制御部100が行う制御方法は、次の(a),(b)の2つを少なくとも含む。
【0092】
(a)第1モードの指令をユーザーから取得した場合、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、押圧体75が解除位置に位置する状態で電源オフ動作を実行すること。
【0093】
(b)第2モードの指令をユーザーから取得した場合、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、押圧体75が押圧位置に位置する状態で電源オフ動作を実行すること。
【0094】
なお、図12に示す電源OFF処理ルーチンにおいて、上記(a)は、ステップS11における否定判定の処理及びステップS17の処理に相当する。また、上記(b)は、ステップS11における肯定判定の処理、ステップS12の処理及びステップS17の処理に相当する。
【0095】
制御部100は、輸送に関する指令をユーザーから取得した場合には、図5に示すように、移動規制部62が規制位置に位置した状態で電源オフ動作を実行する。また、制御部100は、輸送に関する指令をユーザーから取得した場合、押圧体75の押圧位置への移動が完了するまで、待機する旨の情報を表示部17に表示させる。例えば、制御部100は、輸送に関する指令をユーザーから取得した場合に、押圧体75の押圧位置への移動が完了するまで、待機する旨の情報として、図11に示す報知画面96を表示部17に表示する。
【0096】
<実施形態の作用>
次に、本実施形態における液体吐出装置11の作用について説明する。
液体吐出装置11は、第1モード(通常モード)で印刷を行う。ユーザーは、液体吐出装置11を輸送するときは、輸送モードである第2モードを選択して電源オフする。
【0097】
通常時は液体吐出装置11は、第1モードにある。液体吐出装置11を輸送する場合、ユーザーは、表示部17に図11に示すモード選択画面90を表示させる。このモード選択画面90は、ホスト装置200のモニター等の表示部に表示させてもよい。ユーザーは、モード選択画面90で操作部16の操作で第2選択操作部92を操作したうえで、確定ボタン93を操作することにより、第2モードでの電源OFF処理を指令する。制御部100は、操作部16又はホスト装置200からの指令を、第2モードでの電源OFF処理の指令CS(図8参照)として受信する。
【0098】
制御部100は、第2モードでの電源OFF処理の指令CSを受信すれば、例えば、記憶部113の所定記憶領域にあるモードフラグに第2モードを示す、例えばフラグ値「1」を設定する。以下、制御部100のコンピューター110が実行する電源OFF処理ルーチンについて説明する。
【0099】
まず、ステップS11において、制御部100は、第2モードであるか否かを判定する。制御部100は、第2モードであればステップS12に進み、第2モードでなければステップS15に進む。
【0100】
ステップS12において、制御部100は、ポンプレリース解除を行う。すなわち、制御部100は、開閉部54を閉鎖する。制御部100は、図6に示すレリース状態にあるチューブポンプ55を、図7に示すA方向に所定の回転量だけ正転駆動させることで、押圧体75を図6に示す解除位置から図7に示す押圧位置へ移動させる。こうして、チューブポンプ55が、図7に示すようにレリース解除されることにより、チューブポンプ55内の開閉部54が押圧体75によってチューブ53Tを閉鎖する。
【0101】
ステップS13において、制御部100は、大気開放部57は閉状態であるか否かを判定する。制御部100は、制御対象の1つである大気開放部57の開閉状態を管理している。制御部100は、大気開放部57が閉状態であればステップS15に進み、大気開放部57が閉状態でなければ(つまり開状態であれば)ステップS14に進む。大気開放部57が設けられていない場合にはステップS13は実行せずステップS15に進む。
【0102】
ステップS14において、制御部100は、大気開放部57を閉鎖する。制御部100が大気開放部57を閉鎖することで、空間ASは、大気との連通が遮断された密閉状態になる。
【0103】
ステップS15において、制御部100は、キャリッジ移動規制済みであるか否かを判定する。すなわち、制御部100は、ロック機構61の移動規制部62が規制位置にあるか否かを判定する。制御部100は、移動規制部62が規制位置にあればステップS17に進み、移動規制部62が規制位置になければステップS16に進む。
【0104】
ステップS16において、制御部100は、キャリッジ移動規制動作を行う。すなわち、制御部100は、移動規制部62を規制位置に移動させる。なお、図4、5に示す例では、モーターM1の動力出力方向の下流側に位置する不図示のカム機構の駆動位置に応じて、空間形成部材51、払拭部60及び移動規制部62のそれぞれの移動方向の位置を個別に選択可能に構成されている。そのため、制御部100は、モーターM1を駆動制御してカム機構を所望の駆動位置に制御することで、移動規制部62を図5に示す規制位置に移動させる。
【0105】
ステップS17において、制御部100は、電源オフする。すなわち、制御部100は、不図示の電源回路をオフさせることで、液体吐出装置11の電源をオフさせる。
こうして、第2モード(輸送モード)では、開閉部54が閉鎖状態、大気開放部57が閉鎖状態、キャリッジ31が移動規制部62により位置規制されたロック状態の下で、液体吐出装置11が電源オフされる。
【0106】
その後、ユーザー(所有者の他、輸送者又は修理者等を含む)は、電源オフ状態の液体吐出装置11を輸送する。液体吐出装置11の輸送途中に不測の事態が原因でノズル33から液体が漏出する場合がある。このとき、ノズル33から漏出した液体は、空間形成部材の空間ASに溜まりつつ排出流路53内を下流へ流れる。しかし、排出流路53の途中に位置する開閉部54が閉鎖状態にある。そのため、空間AS内の液体は開閉部54により閉鎖された排出流路53の閉鎖位置よりも下流へは排出されない。
【0107】
例えば、図14に示すように、大気開放部57が閉じられた状態の下では、輸送中にノズル33から漏出した液体が、空間形成部材51内の空間ASを満たすと、それ以上のノズル33からの液体の漏出が停止する。すなわち、空間AS内の液体の液圧と、ノズル33から漏出しようとする液体の液圧とがバランスすることで、ノズル33からそれ以上の液体の漏出が停止する。ここで、図14に示すように、開閉部54よりも上流側(空間形成部材51側)に空間ASを満たすまで溜まる液体の容積をV1とする。本実施形態では、液体吐出装置11の輸送中にノズル33から漏出する液体の最大量が、所定の容積V1以下に抑えられる。
【0108】
このように、空間形成部材51内の空間ASが液体で一杯になると、ノズル33からそれ以上の液体が漏出されなくなる。つまり、ノズル33からの液体の漏出が止まる。このため、ノズル33からの液体の漏出が、所定の容積V1以下に抑えられる。また、排出流路53は途中で開閉部54により閉鎖されているので、ノズル33から漏出した液体が、排出流路53よりも下流へ流れることがない。
【0109】
一方、第1モードであるときは、ステップS12の判定処理の結果、ステップS15に進む。つまり、ステップS12~ステップS14の処理が省略される。そして、ステップS15において、キャリッジ移動規制済みでなければ、ステップS16においてキャリッジ移動規制動作を行う。
【0110】
こうして、第1モード(通常モード)では、開閉部54が開放状態(レリース状態)、大気開放部57が閉鎖状態、キャリッジ31が移動規制部62により位置規制されたロック状態の下で、液体吐出装置11が電源オフされる。このため、液体吐出装置11の電源オフ状態において、温度変化又は気圧変化によって、空間AS内の空気の体積の膨張又は収縮に起因する圧力変化が発生しにくい。よって、空間AS内の圧力変化に起因するノズル33からの液体の漏出やノズル33内への空気の侵入等が回避される。
【0111】
<電源ON処理について>
こうして、液体吐出装置11の輸送を終えたユーザーは、電源操作部15Aを操作することで、液体吐出装置11を電源オンする。この電源オン時は液体吐出装置11が第2モード(輸送モード)の状態にある。つまり、開閉部54が閉鎖状態、且つ大気開放部57が閉鎖状態にある。
【0112】
制御部100は、ユーザーによる電源操作部15Aの電源オン操作を検知すると、図13に示す電源ON処理ルーチンを実行する。次に、図13を参照して、制御部100のコンピューター110が実行する電源ON処理ルーチンについて説明する。
【0113】
まず、ステップS21において、制御部100は、第2モードであるか否かを判定する。制御部100は、第2モードであればステップS22に進み、第2モードではなく第1モードであれば当該ルーチンを終了する。
【0114】
ステップS22において、制御部100は、所定時期であるか否かを判定する。制御部100は、所定時期であればステップS23に進み、所定時期でなければ当該ルーチンを終了する。ここで、所定時期とは、液体吐出装置11が電源オンされたタイミングから初めての液体の消費が開始されるまでの期間内の所定時期である。つまり、電源オン時に第2モード(輸送モード)が選択されていた場合、電源オンされたタイミングから液体吐出ヘッド32により初めての液体の消費が開始されるまでの間であれば、所定時期は適宜な時期に設定してよい。例えば、制御部100は、電源オンされたタイミングから、印刷、クリーニング及び空吐出のうちの1つによる液体の消費が開始されるまでの所定時期であってもよい。所定時期は、例えば、電源オン時でもよいし、電源オン直後に行われる初期動作の終了直後、電源オン後に初めてメンテナンス動作(空吐出又はクリーニング)を行う直前、電源オン後に初めて印刷データPDを受信した時などでもよい。
【0115】
ステップS23において、制御部100は、大気開放部57を開放する。これにより、空間形成部材51の空間ASは連通路56を通じて大気に開放される。例えば、図14に示すように、輸送中にノズル33から漏出した液体が空間ASに溜まった例において、大気開放部57が開放されることで、空間ASが大気に開放される。
【0116】
ステップS24において、制御部100は、空吸引動作を行う。すなわち、制御部100は、空間ASが大気開放された状態の下でチューブポンプ55を駆動する。チューブポンプ55の駆動により、開閉部54よりも上流に溜まった液体が、排出流路53の下流へ送り出される。こうして、図5に示すように、空間形成部材51の空間AS内及び排出流路53内の液体は、排出流路53の下流に位置する廃液回収部58に回収される。こうして、制御部100は、電源オン後に初めて液体消費動作が行われるまでの間に、空間形成部材51の空間ASに溜まった液体を排出する。
【0117】
次のステップS25において、制御部100は、ワイピングを行う。制御部100は、モーターM1を駆動させることで空間形成部材51及び移動規制部62を所定の高さ位置まで下降させるとともに払拭部60を払拭位置に保持する。この状態でキャリッジ31を走査方向Xに移動させることで、払拭部60によってノズル面32Aを払拭する。これにより、ノズル面32Aに付着する液体は除去される。また、ワイピングの後、全てのノズル33から液滴を吐出する空吐出を行ってもよい。これにより、ノズル33内に空間形成部材51の空間ASに液体が溜まっていた際にその液体の一部がノズル33内に侵入したことによりノズル33内で混色した液体を除去できる。このため、その後の印刷において最初に、ノズル33から混色した液体が吐出されてしまうことに起因する印刷ミスを抑制できる。
【0118】
ステップS26において、制御部100は、キャッピングを行う。制御部100は、モーターM1を駆動することで、空間形成部材51をノズル面32Aに当接するキャッピング位置まで上昇させる(図5)。つまり、図5に実線で示すように、キャップ部51Cによりノズル面32Aをキャッピングする。
【0119】
こうして、印刷準備が完了する。その後、制御部100は、受け付けた印刷データPDに基づき印刷部12を制御することにより、印刷データPDに基づく画像等を媒体Mに印刷する。なお、所定時期が印刷データPDの受信時であるときは、ステップS26のキャッピングを行うことなく、指示された印刷動作に移行してもよい。
【0120】
<実施形態の効果>
(1)液体吐出装置11は、液体収容体23と、液体吐出ヘッド32と、空間形成部材51と、開閉部54とを備える。液体収容体23は、液体を収容可能な収容室の一例としての液体収容室26Aと、液体収容室26Aに液体を注入可能な注入口29Aと、注入口29Aを密閉する密閉位置と注入口29Aを開放する開放位置との間で移動可能なキャップ27と、を有する。液体吐出ヘッド32は、液体収容体23から供給される液体をノズル33から吐出する。空間形成部材51は、ノズル33が形成されるノズル面32Aに密着することでノズル33が開口する空間ASを形成可能に構成される。排出流路53は、一端が空間形成部材51に接続され、空間AS内の液体を排出可能に構成される。開閉部54は、排出流路53を開閉可能に構成される。液体収容体23は、液体収容室26Aに収容する液体を外部から視認可能な視認面28と、視認面28においてノズル面32Aよりも高い位置に設けられる上方目盛41とを有する。液体吐出装置11は、第1モードと第2モードとが選択可能に構成されている。第1モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が開放された状態で電源オフ動作を実行するモードである。第2モードは、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、開閉部54により排出流路53が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行するモードである。この構成によれば、第2モードを選択できるようにすることで、不測の事態が発生した場合でも排出流路53より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0121】
(2)液体吐出装置11は、排出流路53に設けられ、空間形成部材51を介して液体吐出ヘッド32内の液体を吸引可能なチューブポンプ55を更に備える。チューブポンプ55は、チューブ53Tと、押圧体75と、支持部材71とを有する。チューブ53Tは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能に構成される。押圧体75は、チューブ53Tを押圧して排出流路53を閉鎖する押圧位置と、チューブ53Tへの押圧を解除して排出流路53を開放する解除位置と、の間で移動可能に構成される。支持部材71は、押圧体75をチューブ53Tの円弧状の部分に沿って回転可能に構成される。開閉部54は、押圧体75および支持部材71を含む。この構成によれば、従来ある構成で排出流路53を閉鎖することができるため別途開閉部54等を設ける必要がなく、構成や制御の複雑化、コスト増加などの抑制が可能となる。
【0122】
(3)液体吐出装置11は、ユーザーからの各種指令を取得する取得部15を更に備える。ユーザーから液体吐出装置11を輸送する指令を取得した場合には第2モードが選択され、ユーザーから液体吐出装置11を輸送する指令を取得しなかった場合には第1モードが選択される。この構成によれば、輸送時の衝撃等でノズル33から液体が漏れた場合でも、排出流路53より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0123】
(4)液体吐出装置11は、空間AS内を大気と連通可能な連通路56と、連通路56を開閉可能な大気開放部57とを更に備える。第2モードが選択された場合には、大気開放部57が連通路56を閉鎖した状態で電源オフ動作が実行される。この構成によれば、大気開放部57を備える構成において、ノズル33から液体が漏れた場合に大気開放部57からその液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0124】
(5)第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に、空間AS内を大気に開放した状態でチューブポンプ55により吸引を行う空吸引を実行する。この構成によれば、輸送の後、空間AS内に液体が溜まっていた場合でも、予め液体を空間ASから排出することができる。なお、空吸引は、大気開放部57を開放した状態での空吸引と、空間形成部材51を液体吐出ヘッド32から離間させて行う空吸引とのどちらも含む。
【0125】
(6)液体吐出装置11は、第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に、空間ASを形成した状態、且つ、大気開放部57を開放した状態でチューブポンプ55により吸引を行う空吸引を実行する。この構成によれば、輸送の後、空間AS内に液体が溜まっていた場合でも、予め液体を空間ASから排出することができる。なお、空吸引は、大気開放部57を開放した状態での空吸引と、空間形成部材51を液体吐出ヘッド32から離間させて行う空吸引とのどちらも含む。
【0126】
(7)空吸引が完了したタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に押圧体75が解除位置に移動する。この構成によれば、空間AS内にある空気の温度変化による容積変化によってノズル33からインクが漏れることやノズル33から気泡が逆流することなどを抑制することができる。
【0127】
(8)空吸引が完了したタイミングから液体吐出ヘッド32により液体の消費が開始されるまでの間に押圧体75が解除位置に移動する。この構成によれば、空間AS内にある空気の温度変化による容積変化によってノズル33からインクが漏れることやノズル33から気泡が逆流することなどを抑制することができる。
【0128】
(9)液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド32を搭載して走査方向Xに移動可能なキャリッジ31と、キャリッジ31の走査方向Xへの移動を規制する規制位置と、規制位置から退避する解除位置と、の間で移動可能な移動規制部62と、を更に備える。輸送に関する指令をユーザーから取得した場合には、移動規制部62が規制位置に位置した状態で電源オフ動作が実行される。この構成によれば、輸送時に衝撃などでキャリッジ31が移動し、空間形成部材51とノズル面32Aとの密着が解除されてしまうことを抑制できる。
【0129】
(10)液体吐出装置11は、各種表示を行う表示部17を更に備える。輸送に関する指令をユーザーから取得した場合、押圧体75の押圧位置への移動が完了するまで、待機する旨の情報が表示部17に表示される。この構成によれば、押圧体75が押圧位置に移動完了する前にユーザーがコンセントオフ等してしまうことを抑制できる。
【0130】
(11)液体収容体23は、視認面28においてノズル面32Aよりも低い位置に設けられる下方目盛42を有する。この構成によれば、液体が少なくなったことを容易に判断することができる。
【0131】
(12)液体吐出装置11は、カバー22と、供給流路24と、第1開閉部45とを更に備える。カバー22は、キャップ27を覆う第1位置と、キャップ27を露出させる第2位置と、の間で移動可能に構成される。供給流路24は、液体収容体23と液体吐出ヘッド32とを接続し、少なくとも一部が弾性を有する弾性チューブ24Tで構成される。第1開閉部45は、第1位置から第2位置へのカバー22の移動に連動して弾性チューブ24Tを閉鎖可能に構成される。この構成によれば、キャップ27が注入口29Aを開放した際に、水頭圧によってノズル33から液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0132】
(13)供給流路24において、弾性チューブ24Tの第1開閉部45により開閉される位置から下流側は閉鎖されない。この構成によれば、閉鎖するための構成が不要である。
【0133】
(14)液体吐出装置11は、液体収容体23と、液体吐出ヘッド32と、空間形成部材51と、チューブポンプ55と、取得部15とを備える。液体収容体23は、液体を収容可能な液体収容室26Aと、液体収容室26Aに液体を注入可能な注入口29Aと、注入口29Aを密閉する密閉位置と注入口29Aを開放する開放位置との間で移動可能なキャップ27とを有する。液体収容体23は、液体収容室26Aに収容する液体を外部から視認可能な視認面28と、視認面28においてノズル面32Aよりも高い位置に設けられる上方目盛41とを有する。液体吐出ヘッド32は、液体収容体23から供給される液体をノズル33から吐出する。空間形成部材51は、ノズル33が形成されるノズル面32Aに密着することでノズル33が開口する空間ASを形成可能に構成される。排出流路53は、一端が空間形成部材51に接続され、空間AS内の液体を排出可能に構成される。チューブポンプ55は、排出流路53に設けられ、空間形成部材51を介して液体吐出ヘッド32内の液体を吸引可能に構成される。取得部15は、ユーザーからの各種指令を取得する。チューブポンプ55は、チューブ53Tと、押圧体75と、支持部材71とを有する。チューブ53Tは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能に構成される。押圧体75は、チューブ53Tを押圧して排出流路53を閉鎖する押圧位置と、チューブ53Tへの押圧を解除して排出流路53を開放する解除位置と、の間で移動可能に構成される。支持部材71は、押圧体75をチューブ53Tの円弧状の部分に沿って回転可能に構成される。このように構成される液体吐出装置11の制御方法は、以下の(a),(b)を含む。
(a)第1モードの指令をユーザーから取得した場合、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、押圧体75が解除位置に位置する状態で電源オフ動作を実行すること。
(b)第2モードの指令をユーザーから取得した場合、空間形成部材51が空間ASを形成した状態、且つ、押圧体75が押圧位置に位置する状態で電源オフ動作を実行すること。
【0134】
この構成によれば、上記(1)に記載の液体吐出装置11と同様の効果が得られる。すなわち、第2モードを選択できるようにすることで、不測の事態が発生した場合でも排出流路53より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0135】
(15)液体吐出装置11の制御方法において、第1モードは液体吐出装置11を輸送しない場合に選択される指令であり、第2モードは液体吐出装置11を輸送する場合に選択される指令である。この構成によれば、上記(2)に記載の液体吐出装置11と同様の効果が得られる。すなわち、従来ある構成で排出流路53を閉鎖することができるため別途開閉部54等を設ける必要がなく、構成や制御の複雑化、コスト増加などの抑制が可能となる。
【0136】
(16)液体吐出装置11は、空間AS内を大気と連通可能な連通路56と、連通路56を開閉可能な大気開放部57と、を更に備える。液体吐出装置11の制御方法は、第2モードの指令をユーザーから取得した場合、大気開放部57が連通路56を閉鎖した状態で電源オフ動作を実行することを含む。この構成によれば、上記(4)に記載の液体吐出装置11と同様の効果が得られる。すなわち、ノズル33から液体が漏れた場合に大気開放部57からその液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0137】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0138】
図15に示すように、空間ASを大気に連通する連通路56及び大気開放部57を備えない構成でもよい。この場合、図15に示すように、空間形成部材51をノズル面32Aに密着するキャッピング位置からノズル面32Aから離間する位置まで移動させる。これにより、図15に示す空間ASは、大気に開放される。この状態で、制御部100は、モーターM2を正転駆動することでチューブポンプ55を駆動させる。チューブポンプ55の吸引力により空間ASに溜まった液体は、排出流路53を通じて廃液回収部58に回収される。この場合も、空吸引動作は、電源オンのタイミングからノズル33から液体が消費されるまでの所定の時期に行われればよい。
【0139】
・走査方向Xにおいて媒体Mが搬送される搬送領域に対して片側に全ての液体収容体23を配置し、全ての液体収容体23に対して供給流路24を開閉する共通の第1開閉部45を設けてもよい。また、全ての液体収容体23に対して大気連通路47を開閉する共通の第2開閉部48を設けてもよい。
【0140】
・開閉部54は、チューブポンプ55の構成要素により構成されることに限定されない。開閉部54は、排出流路53を開閉可能な構成であればよい。開閉部54は、例えば、弁であってもよい。開閉部54が弁である場合、弁は、電磁弁でもよいし、手動式の開閉弁でもよい。電磁弁である場合、制御部100は電磁弁よりなる開閉部54を閉弁する。また、手動式の弁である場合、制御部100は、第2モードで電源オフ指令を受け付けた場合、表示部17に手動式の弁を閉じることをユーザーに促す旨の情報を表示させてもよい。この場合、表示部17に手動式の弁を閉じる操作方法に係る情報を表示させてもよい。また、ユーザーが手動式の弁を閉弁させたのちにその閉弁完了の確認をするために操作部16又は表示部17のタッチパネル操作機能によりユーザーに確認ボタン等の操作を行わせる構成としてもよい。このように、排出流路53に弁を設ける場合には、チューブポンプ55の押圧体75の押圧状態が閉鎖状態、解除状態が開放状態と置き換えることができる。なお、弁の開閉位置は、チューブポンプ55の開閉位置よりも上流側(空間形成部材51側)でもよいし下流側でもよい。上流側である前者を採用した場合は、輸送時にノズル33から漏出する液体の最大量を前記実施形態における値V1よりも少なくできる。
【0141】
・チューブポンプ55以外の開閉部54は、弁に限らず、排出流路53のチューブ53Tに潰すことでチューブ53Tの流路を閉鎖することが可能な可動部材であってもよい。つまり、チューブ53Tを潰して流路を閉鎖する閉鎖位置と、チューブ53Tを変形させない程度の位置に退避する開放位置との間を移動可能な可動部材であればよい。可動部材は、円柱状の部材又は円弧面状の押圧面を有する部材あるいはローラー等でもよい。可動部材は、モーター等の駆動源の動力で移動する構成でもよいし、ユーザーが手動操作で移動させる手動式でもよい。例えば、モーター等の駆動源の動力によりカム等の動力伝達機構を介して排出流路53を開閉する専用の開閉部54でもよい。この場合、開閉部54の駆動源は、メンテナンス部50の駆動源であるモーターM1,M2を共用してもよい。例えば、昇降機構52の駆動源であるモーターM1を共用してもよいし、チューブポンプ55の駆動源であるモーターM2を共用してもよい。
【0142】
・開閉部54は制御により動作できる構成が望ましいが、ユーザーから見えやすい筐体14Aの外などに操作部を設けることができる場合には手動で開閉できる構成にしてもよい。手動で動作する構成の場合には、開閉部54の状態を検知するセンサーを設け、開閉部54により排出流路53が閉鎖されたことが検知されたら電源オフ動作を実行する構成でもよい。
【0143】
・開閉部54が排出流路53を潰す構成である場合には、前記実施形態における押圧体75と同様の制御を行ってもよい。
・電源オフ動作は、電源オフでもよいし、電源オフしてよいかどうかの確認通知でもよい。なお、電源オフ動作が確認通知である場合、第1モードと第2モードとの両方で確認通知を行ってもよいし、第2モードのときのみ確認通知を行ってもよい。
【0144】
・第1開閉部45及び第2開閉部48は、カバー22のカバー位置(第1位置)から露出位置(第2位置)への変位に伴い閉鎖する開閉可能な構成に限定されない。第1開閉部45と第2開閉部48のうち少なくとも一方が、電磁弁でもよい。例えば、カバー22の開閉を検知可能なセンサーを設けてもよい。制御部100は、センサーがカバー22のカバー位置から露出位置への動作を検知すると、第1開閉部45及び第2開閉部48を共に閉鎖し、センサーがカバー22の露出位置からカバー位置への動作を検知すると、第1開閉部45及び第2開閉部48を共に開放してもよい。また、第1開閉部45と第2開閉部48のうち第1開閉部45のみを電磁弁とし、第2開閉部48は、カバー22の開閉動作に伴ってカム等を介して開閉する構成としてもよい。この場合、制御部100は、センサーがカバー22の開位置への動作を検知すると、第1開閉部45のみ閉鎖し、センサーがカバー22の閉位置への動作を検知すると、第1開閉部45のみ開放する。さらに、第1開閉部45と第2開閉部48のうち第1開閉部45は、カバー22の開閉動作に伴ってカム等を介して開閉する構成とし、第2開閉部48のみを電磁弁としてもよい。この場合、制御部100は、センサーがカバー22のカバー位置から露出位置への動作を検知すると、第2開閉部48のみ閉鎖し、センサーがカバー22の露出位置からカバー位置への動作を検知すると、第2開閉部48のみ開放してもよい。なお、第1開閉部45又は第2開閉部48の駆動源は、電磁弁に替え、モーターでもよい。第1開閉部45又は第2開閉部48は、モーターの動力でカム機構を介して伝達される力で開閉駆動される構成でもよい。
【0145】
・第2モードでの電源オフの指令は、モード選択画面90で確定ボタン93の操作により行うことに限定されない。例えば、モード選択画面90で第1モードから第2モードへ変更した後、電源操作部15Aを操作することで、第2モードで電源オフする構成でもよい。つまり、第1モードから第2モードへのモード変更操作と、電源オフ操作とが、別々に行われる構成でもよい。また、第1モードから第2モードへの変更は、モード選択画面90中のボタンを選択操作する構成に限らず、例えば、操作部16のうちの専用の操作ボタンを操作する構成でもよい。
【0146】
・開閉部54が設けられる排出流路53は、空間形成部材51の底部から下方に突出する管部であってもよい。つまり、開閉部54が設けられる排出流路53は、空間形成部材51に接続されるチューブ53Tに限定されない。また、空間形成部材51内の内底面に開口する排出流路53の開口に、開閉部54を構成する弁を設けてもよい。
【0147】
・第2モードは、モード選択画面90において、例えば、「輸送モード」、「運送モード」、「非印刷モード」等の名称で表示されてもよい。この場合、第1モードは、例えば、「通常モード」、「普通モード」、「印刷モード」等の他の名称で表示されてもよい。
【0148】
・取得部15は、液体吐出装置11の操作部16又は表示部17のタッチパネル機能に限定されず、ホスト装置200の操作部又はタッチパネル式の表示部から操作した指令を取得できるインターフェイス101であればよい。インターフェイス101は、ホスト装置200として用いられる、パーソナルコンピューター、スマートフォン、携帯電話、タブレットPC、携帯情報端末(PDA(Personal Digital Assistants))等の携帯端末などからの指令を取得できる構成であればよい。
【0149】
・連通路56を開閉可能な大気開放部57は、手動弁でもよい。例えば、第2モードのときに手動で閉じてもよい。
・液体吐出装置11を電源オンすると、制御部100が表示部17等にモード選択画面90を表示させてもよい。ユーザーがモード選択画面90で第2モードから第1モードへ変更する操作を行うことで、第1モードに戻す構成でもよい。この構成によれば、輸送の途中で一時的に電源操作部15Aを操作しても空間形成部材51の空間AS内の液体が排出されないので、その後の輸送中において液体吐出ヘッド32のノズル33から排出される液体の量を少なく済ませることができる。
【0150】
・モード選択画面90は、第2モードのみ選択できる構成でもよい。
・第2モードは輸送時に選択できるだけに限らず、通常使用時やユーザーによる液体吐出装置11の移動時などでもユーザーにより選択可能である。すなわち、ユーザーはいつでも第2モードを選択可能である。一部の不測の事態は通常使用時やユーザーによる液体吐出装置11の移動時等でも発生する可能性はある。そのため、そのような不測の事態を予め注意しておきたいユーザーは、輸送時以外でも第2モードを選択することができる。これにより、ノズルから漏出した液体が排出流路53の下流へ排出されてしまう可能性をよりいっそう抑制することができる。
【0151】
・液体吐出装置11は、用紙等の媒体Mにインク等の液体を吐出するインクジェットプリンターに限定されず、布帛にインク等の液体を吐出する捺染装置でもよい。
・液体吐出装置11は、シリアルプリンターに限定されず、ラインプリンター又はページプリンターでもよい。例えば、ラインプリンターである場合、液体吐出ヘッド32は、媒体Mの幅領域全域に亘る長さに形成され、幅領域全域に亘って複数のノズル33を備える。そして、所定の搬送速度で搬送される媒体Mに対してノズル33から液体を吐出することで、媒体Mに印刷が行われる。
【0152】
・液体吐出装置11は、画像読取部13を備えず、印刷機能のみを有するプリンターでもよい。
以下に、前記実施形態及び変更例から導かれる技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0153】
(A)液体吐出装置は、液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、前記排出流路を開閉可能な開閉部と、を備え、前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が開放された状態で電源オフ動作を実行する第1モードと、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記開閉部により前記排出流路が閉鎖された状態で電源オフ動作を実行する第2モードと、が選択可能に構成されている。この構成によれば、第2モードを選択できるようにすることで、不測の事態が発生した場合でも排出流路より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0154】
(B)上記(A)に記載の吐出装置において、前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプを更に備え、前記チューブポンプは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有し、前記開閉部は、前記押圧体および前記支持部材を含んでもよい。この構成によれば、従来ある構成で排出流路を閉鎖することができるため別途開閉部等を設ける必要がなく、構成や制御の複雑化、コスト増加などの抑制が可能となる。
【0155】
(C)上記(A)に記載の液体吐出装置において、ユーザーからの各種指令を取得する取得部を更に備え、ユーザーから前記液体吐出装置を輸送する指令を取得した場合には前記第2モードが選択され、ユーザーから前記液体吐出装置を輸送する指令を取得しなかった場合には前記第1モードが選択されてもよい。この構成によれば、輸送時の衝撃等でノズルから液体が漏れた場合でも、排出流路より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0156】
(D)上記(C)に記載の液体吐出装置において、前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプを更に備え、前記チューブポンプは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有し、前記開閉部は、前記押圧体および前記支持部材を含んでもよい。この構成によれば、従来ある構成で排出流路を閉鎖することができるため別途開閉部等を設ける必要がなく、構成や制御の複雑化、コスト増加などの抑制が可能となる。
【0157】
(E)上記(A)~(D)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記空間内を大気と連通可能な連通路と、前記連通路を開閉可能な大気開放部と、を更に備え、前記第2モードが選択された場合には、前記大気開放部が前記連通路を閉鎖した状態で前記電源オフ動作が実行されてもよい。この構成によれば、大気開放部を備える構成において、ノズルから液体が漏れた場合に大気開放部からその液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0158】
(F)上記(A)~(D)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に、前記空間内を大気に開放した状態で前記チューブポンプにより吸引を行う空吸引を実行してもよい。
【0159】
この構成によれば、輸送の後、空間内に液体が溜まっていた場合でも、予め液体を空間から排出することができる。なお、空吸引は、大気開放部を開放した状態での空吸引と、空間形成部を液体吐出ヘッドから離間させて行う空吸引とのどちらも含む。
【0160】
(G)上記(E)に記載の液体吐出装置において、前記第2モードが選択された場合には、次回電源オンされたタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に、前記空間を形成した状態、且つ、前記大気開放部を開放した状態で前記チューブポンプにより吸引を行う空吸引を実行してもよい。
【0161】
この構成によれば、輸送の後、空間内に液体が溜まっていた場合でも、予め液体を空間から排出することができる。なお、空吸引は、大気開放部を開放した状態での空吸引と、空間形成部を液体吐出ヘッドから離間させて行う空吸引とのどちらも含む。
【0162】
(H)上記(F)に記載の液体吐出装置において、前記空吸引が完了したタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に前記押圧体が前記解除位置に移動してもよい。この構成によれば、空間内にある空気の温度変化による容積変化によってノズルからインクが漏れることやノズルから気泡が逆流することなどを抑制することができる。
【0163】
(I)上記(G)に記載の液体吐出装置において、前記空吸引が完了したタイミングから前記液体吐出ヘッドにより前記液体の消費が開始されるまでの間に前記押圧体が前記解除位置に移動してもよい。この構成によれば、空間内にある空気の温度変化による容積変化によってノズルからインクが漏れることやノズルから気泡が逆流することなどを抑制することができる。
【0164】
(J)上記(C)~(I)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体吐出ヘッドを搭載して走査方向に移動可能なキャリッジと、前記キャリッジの前記走査方向への移動を規制する規制位置と、前記規制位置から退避する規制解除位置と、の間で移動可能な移動規制部と、を更に備え、前記輸送に関する指令をユーザーから取得した場合には、前記移動規制部が前記規制位置に位置した状態で前記電源オフ動作が実行されてもよい。この構成によれば、輸送時に衝撃などでキャリッジが移動し、空間形成部材とノズル面との密着が解除されてしまうことを抑制できる。
【0165】
(K)上記(C)~(I)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、各種表示を行う表示部を更に備え、前記輸送に関する指令をユーザーから取得した場合、前記押圧体の前記押圧位置への移動が完了するまで、待機する旨の情報が表示部に表示されてもよい。この構成によれば、押圧体が押圧位置に移動完了する前にユーザーがコンセントオフ等してしまうことを抑制できる。
【0166】
(L)上記(A)~(I)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記液体収容体は、前記視認面において前記ノズル面よりも低い位置に設けられる下方目盛を有してもよい。この構成によれば、液体が少なくなったことを容易に判断することができる。
【0167】
(M)上記(A)~(I)のいずれか一つに記載の液体吐出装置において、前記キャップを覆う第1位置と、前記キャップを露出させる第2位置と、の間で移動可能なカバーと、前記液体収容体と前記液体吐出ヘッドとを接続し、少なくとも一部が弾性を有する弾性チューブで構成される供給流路と、前記第1位置から前記第2位置への前記カバーの移動に連動して前記弾性チューブを閉鎖可能な第1開閉部と、を更に備えてもよい。この構成によれば、キャップが注入口を開放した際に、水頭圧によってノズルから液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【0168】
(N)上記(M)に記載の液体吐出装置において、前記供給流路において、前記弾性チューブの前記第1開閉部により開閉される位置から下流側は閉鎖されなくてもよい。この構成によれば、閉鎖するための構成が不要である。
【0169】
(O)液体吐出装置の制御方法は、液体を収容可能な収容室と、前記収容室に前記液体を注入可能な注入口と、前記注入口を密閉する密閉位置と前記注入口を開放する開放位置との間で移動可能なキャップと、を有する液体収容体と、前記液体収容体から供給される前記液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドと、前記ノズルが形成されるノズル面に密着することで前記ノズルが開口する空間を形成可能な空間形成部材と、一端が前記空間形成部材に接続され、前記空間内の液体を排出可能な排出流路と、前記排出流路に設けられ、前記空間形成部材を介して前記液体吐出ヘッド内の前記液体を吸引可能なチューブポンプと、ユーザーからの各種指令を取得する取得部と、を備え、前記液体収容体は、前記収容室に収容する前記液体を外部から視認可能な視認面と、前記視認面において前記ノズル面よりも高い位置に設けられる上方目盛と、を有し、前記チューブポンプは、少なくとも一部が円弧状に配置されるとともにインクが流動可能なチューブと、前記チューブを押圧して前記排出流路を閉鎖する押圧位置と、前記チューブへの押圧を解除して前記排出流路を開放する解除位置と、の間で移動可能な押圧体と、前記押圧体を前記チューブの円弧状の部分に沿って回転可能な支持部材と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、第1モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記解除位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、第2モードの指令をユーザーから取得した場合、前記空間形成部材が前記空間を形成した状態、且つ、前記押圧体が前記押圧位置に位置する状態で電源オフ動作を実行することと、を含む。この方法によれば、上記(A)に記載の液体吐出装置と同様の効果が得られる。すなわち、第2モードを選択できるようにすることで、不測の事態が発生した場合でも排出流路より下流へ液体が流れてしまうことを抑制できる。
【0170】
(P)上記(O)に記載の液体吐出装置の制御方法において、前記第1モードは前記液体吐出装置を輸送しない場合に選択される指令であり、前記第2モードは前記液体吐出装置を輸送する場合に選択される指令であってもよい。この構成によれば、上記(B)に記載の液体吐出装置と同様の効果が得られる。すなわち、従来ある構成で排出流路を閉鎖することができるため別途開閉部等を設ける必要がなく、構成や制御の複雑化、コスト増加などの抑制が可能となる。
【0171】
(Q)上記(O)又は(P)に記載の液体吐出装置の制御方法において、前記液体吐出装置は、前記空間内を大気と連通可能な連通路と、前記連通路を開閉可能な大気開放部と、を更に備え、前記第2モードの指令をユーザーから取得した場合、前記大気開放部が前記連通路を閉鎖した状態で前記電源オフ動作を実行することを含んでもよい。この構成によれば、上記(E)に記載の液体吐出装置と同様の効果が得られる。すなわち、大気開放部を備える構成において、ノズルから液体が漏れた場合に大気開放部からその液体が漏れてしまうことを抑制できる。
【符号の説明】
【0172】
11…液体吐出装置、12…印刷部、13…画像読取部、13A…蓋体、14…装置本体、14A…筐体、15…取得部、15A…電源操作部、15P…操作パネル、16…操作部、17…表示部、18…媒体収容部、20…液体貯留ユニット、21…収容ケース、21A…窓部、22…カバー、23…液体収容体、23A…第1液体収容体、23B…第2液体収容体、24…供給流路、24T…弾性チューブ、25…接続ユニット、26…液体収容部、26A…収容室の一例としての液体収容室、26B…バッファー室、27…キャップ、28…視認面、29…注入部、29A…注入口、30…液体吐出部、31…キャリッジ、31A…被係合部、32…液体吐出ヘッド、32A…ノズル面、33…ノズル、37…液体貯留部、40…液体供給機構、41…上方目盛、42…下方目盛、43…中間目盛、45…第1開閉部、46…気液交換部、47…大気連通路、48…第2開閉部、50…メンテナンス部、51…空間形成部材、51C…キャップ部、52…昇降機構、53…排出流路、53A…ループ部、53T…チューブ、54…開閉部、55…チューブポンプ、55A…透明ケース、56…連通路、57…大気開放部、58…廃液回収部、59…液体吸収部材、60…払拭部、61…ロック機構、62…移動規制部、63…ガイド部、70…保持部材、71…支持部材、72…回転軸、74…ガイド溝、75…押圧体、75a…支軸、80…移動機構、81…搬送部、85…カバーセンサー、86…リニアエンコーダー、90…モード選択画面、91…第1選択操作部、92…第2選択操作部、93…確定ボタン、94…キャンセルボタン、95…確認画面、96…報知画面、100…制御部、101…インターフェイス部、110…コンピューター、111…第1カウンター、112…第2カウンター、113…記憶部、200…ホスト装置、M…媒体、IL…液体、AS…空間、CS…指令、PR…プログラム、MS1,MS2…メッセージ、X…走査方向(幅方向)、Y…搬送方向、Z…鉛直方向。
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