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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171470
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】包装用容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 77/20 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 81/34 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D77/20 C
B65D81/34 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088490
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239138
【氏名又は名称】株式会社エフピコ
(74)【代理人】
【識別番号】100117204
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 徳哉
(72)【発明者】
【氏名】檀上 峻宏
(72)【発明者】
【氏名】安田 和樹
【テーマコード(参考)】
3E013
3E067
【Fターム(参考)】
3E013BB06
3E013BB09
3E013BC04
3E013BD11
3E013BE01
3E013BF77
3E067AA11
3E067AB01
3E067AC03
3E067BA07C
3E067BA10B
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BC01C
3E067BC02B
3E067CA17
3E067EA32
3E067EB27
3E067EE43
3E067EE48
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】中皿に収容される食材の液漏れを防止することができ、しかも、蓋の保管スペースを軽減させることができる包装用容器を提供する。
【解決手段】本体1と、本体1に被せられる中皿2と、中皿2に被せられる蓋3と、を備えた包装用容器であって、本体1は、本体底面部10と本体側面部11と本体フランジ部12を備え、中皿3は、中皿内嵌合部と、本体フランジ部12に外嵌合する中皿外嵌合部と、を備え、蓋3は、中皿内嵌合部に内嵌合する蓋内嵌合部と、中皿2が本体1に装着されないときに本体フランジ部12に外嵌合する蓋外嵌合部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、本体に被せられる中皿と、中皿に被せられる蓋と、を備えた包装用容器であって、
本体は、本体底面部と本体側面部と本体フランジ部を備え、
中皿は、中皿内嵌合部と、本体フランジ部に外嵌合する中皿外嵌合部と、を備え、
蓋は、中皿内嵌合部に内嵌合する蓋内嵌合部と、中皿が本体に装着されないときに本体フランジ部に外嵌合する蓋外嵌合部と、を備える、包装用容器。
【請求項2】
中皿外嵌合部が本体フランジ部に外嵌合すると共に蓋内嵌合部が中皿内嵌合部に内嵌合する状態において、蓋の外縁部は、中皿の外縁部の上側に離れて位置すると共に蓋内嵌合部の外側且つ下側に位置する、請求項1記載の包装用容器。
【請求項3】
本体は、本体底面部の周縁部に、下側に突出する脚部を備え、
中皿は、中皿内嵌合部の外側に支持面部を備え、
蓋は、蓋内嵌合部の外側に設けられ、蓋が中皿に装着された際に支持面部の上側に重なる脚載置面部と、脚載置面部の外側に設けられ、上側に突出する積み重ね突部と、を備え、
本体に中皿が装着され且つ中皿に蓋が装着された容器同士を上下に積み重ねた際に、上側の容器の脚部が、下側の容器の脚載置面部に載置すると共に積み重ね突部の内側に係合する、請求項1又は2記載の包装用容器。
【請求項4】
本体は紙製である、請求項1又は2記載の包装用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を収容するための包装用容器に関し、特に、中皿を備えたものに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、天丼やカツ丼等の丼物の場合、天ぷら等の具材がふやけるのを防止するために、ご飯と具材とを分離して収容することが望まれている。そのため、中皿付きの容器が用いられ、本体にはご飯が収容され、中皿には天ぷら等の具材が収容される。
【0003】
このような中皿付きの容器において、本体が例えば紙製の場合には、本体のフランジ部はカール形状のカール部となっている。そのため、本体のカール部に中皿を外嵌合することになる。下記特許文献1では、紙製の本体のカール部に中皿が外嵌合され、その中皿に蓋が外嵌合される構成のものが提案されている。また、中皿を使用しない場合には、本体のカール部に蓋を外嵌合することができる構成となっている。蓋には、中皿に外嵌合する第1嵌合部が設けられ、その第1嵌合部の上側には、本体に外嵌合する第2嵌合部が設けられている。しかしながら、この容器では、中皿に収容された具材に水分が多い場合にはその水分が漏れやすいという問題がある。また、中皿の外嵌合部の直ぐ下側に中皿の外縁部が位置していて、その中皿の外縁部に蓋の第1嵌合部が外嵌合する。そのため、蓋の第1嵌合部と中皿の外縁部との間の外嵌合を解除して蓋を中皿から取り外そうとすると、中皿の外嵌合部が本体のカール部から外れて、中皿が本体から不用意に外れるおそれがある。
【0004】
一方、下記特許文献2においては、紙製の本体のカール部に中皿が外嵌合し、その中皿に蓋が内嵌合する構成が記載されている。この場合、蓋が中皿に内嵌合するので、中皿に収容された具材の汁漏れは防止できる。しかしながら、蓋は本体のカール部に外嵌合することができない。そのため、中皿を使わない用途、例えば海鮮丼などの場合には、本体のカール部に外嵌合する蓋が別途必要になり、二種類の蓋を店舗のバックヤードで保管する必要が生じて、バックヤードの保管スペースが圧迫されることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-164205号公報
【特許文献2】特開2004-131119号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、中皿に収容される食材の液漏れを防止することができ、しかも、蓋の保管スペースを軽減させることができる包装用容器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る包装用容器は、本体と、本体に被せられる中皿と、中皿に被せられる蓋と、を備えた包装用容器であって、本体は、本体底面部と本体側面部と本体フランジ部を備え、中皿は、中皿内嵌合部と、本体フランジ部に外嵌合する中皿外嵌合部と、を備え、蓋は、中皿内嵌合部に内嵌合する蓋内嵌合部と、中皿が本体に装着されないときに本体フランジ部に外嵌合する蓋外嵌合部と、を備える。
【0008】
この構成によれば、中皿を使用する際、その中皿の中皿嵌合部が本体の本体フランジ部に外嵌合する。そのため、本体フランジ部の形状の制約が少なく、本体フランジ部を容易に形成することができる。また、中皿には、中皿内嵌合部が設けられており、その中皿内嵌合部に蓋の蓋内嵌合部が内嵌合する。そのため、中皿に収容された食材の水分が外部に漏れ出しにくい。一方、中皿を使用しない場合においても、同じ蓋を使用することができる。即ち、蓋には、蓋外嵌合部が設けられているので、中皿を使用しない場合には、蓋外嵌合部を本体の本体フランジ部に外嵌合させることができる。このように、中皿の使用の有無に関わらず同一の蓋を使用することができる。そのため、二種類の蓋を準備する必要がなく、また、二種類の蓋を店舗のバックヤードに保管しておく必要もない。従って、容器の管理作業が削減されると共に保管スペースも削減される。
【0009】
特に、中皿外嵌合部が本体フランジ部に外嵌合すると共に蓋内嵌合部が中皿内嵌合部に内嵌合する状態において、蓋の外縁部は、中皿の外縁部の上側に離れて位置すると共に蓋内嵌合部の外側且つ下側に位置することが好ましい。この構成によれば、蓋の外縁部が中皿の外縁部の上側に離れて位置しているので、蓋内嵌合部を中皿内嵌合部から解除して蓋を中皿から取り外す際に、蓋の外縁部に指先を引っ掛けて蓋を容易に取り外すことができ、また、蓋と共に中皿が本体から外れることを容易に防止することができ、蓋のみを中皿から容易に取り外すことができる。更に、蓋の外縁部が蓋内嵌合部に対して外側であって且つ下側に位置しているので、蓋内嵌合部から蓋の外縁部までの距離が長い。従って、蓋の外縁部に指先を引っ掛けて蓋の外縁部に上向きの力を作用させることにより、蓋内嵌合部に内向きの大きなモーメントを作用させることができる。そのため、蓋内嵌合部と中皿内嵌合部との間の内嵌合状態を容易に解除でき、蓋を中皿から容易に取り外すことができる。
【0010】
また、本体は、本体底面部の周縁部に、下側に突出する脚部を備え、中皿は、中皿内嵌合部の外側に支持面部を備え、蓋は、蓋内嵌合部の外側に設けられ、蓋が中皿に装着された際に支持面部の上側に重なる脚載置面部と、脚載置面部の外側に設けられ、上側に突出する積み重ね突部と、を備え、本体に中皿が装着され且つ中皿に蓋が装着された容器同士を上下に積み重ねた際に、上側の容器の脚部が、下側の容器の脚載置面部に載置すると共に積み重ね突部の内側に係合することが好ましい。この構成によれば、容器同士を上下に積み重ねた際に、上側の容器の脚部が下側の容器の積み重ね突部の内側に係合する。そのため、上側の容器が下側の容器に対して横方向に位置ずれすることが防止される。そして、上側の容器の脚部が下側の容器の脚載置面部に載置するが、脚載置面部の下側には支持面部が重なっている。つまり、上側の容器を二重の支持面によって支えることができる。そのため、脚載置面部に上側の容器の荷重が作用しても、脚載置面部が変形しにくく、上側の容器の荷重を、脚載置面部と支持面部との二重構造でしっかりと支えることができる。しかも、脚載置面部の内側には蓋内嵌合部が位置し、且つ、支持面部の内側には中皿内嵌合部が位置していて、中皿内嵌合部に蓋内嵌合部が内嵌合した状態にある。そのため、脚載置面部と支持面部に作用する上側の容器の荷重を、内嵌合状態にある蓋内嵌合部と中皿内嵌合部によっても受け止めることができる。中皿を使用する際には、本体のみならず中皿にも食材が収容されており、従って、中皿付きの容器の荷重は大きい。その大きな荷重を下側の容器がしっかりと支えるため、容器同士の積み重ね状態が安定する。そして、脚載置面部が変形しにくいので、その脚載置面部の外側に設けられた積み重ね突部も変形しにくく、積み重ね突部と脚部との間の係合状態も維持され、容器同士の横ずれも確実に防止されることとなる。
【0011】
特に、本体は紙製であることが好ましく、本体を容易に製造できる。また、本体フランジ部を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上のように、本体に中皿と蓋を外嵌合させる構成であるため、本体フランジ部の形状の制約が少なく、本体を容易に製造することができる。また、中皿に蓋を内嵌合させることができるため、中皿に収容された食材の液漏れを防止することができる。しかも、中皿を使用しない場合であっても、蓋を本体に外嵌合させることができるため、二種類の蓋を準備する必要がなく、容器の保管スペースを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態における包装用容器の開蓋状態を示す斜視図。
図2】同容器の本体の要部断面図。
図3】同容器の中皿の平面図。
図4】(a)は、同中皿の正面図、(b)は図3のA-A断面図。
図5】同容器の蓋の平面図。
図6】(a)は、同蓋の正面図、(b)は図5のB-B断面図。
図7】同容器の閉蓋状態を示す断面図。
図8】同容器の開蓋状態を示す要部断面図。
図9】同容器の閉蓋状態を示す要部断面図。
図10】同容器の開蓋途中の状態を示す要部断面図。
図11】同容器において中皿を使用しない場合の閉蓋状態を示す要部断面図。
図12】同容器同士を上下に積み重ねた状態を示す断面図。
図13図12の要部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態に係る包装用容器について図1図13を参酌しつつ説明する。図1に、容器の全体構成を分離状態で示している。容器には種々の食品を収容することができる。特に、テイクアウト用として適したものである。容器は、本実施形態では平面視円形状であるが、容器の平面視の形状は限定されず、平面視矩形状であってもよい。
【0015】
容器は、本体1と中皿2と蓋3を備えている。本体1の上に中皿2が被せられ、その上から蓋3が被せられる。但し、中皿2を使用しない場合においても、同じ蓋3を使用することができ、蓋3を直接本体1に被せて使用することができる。
【0016】
本体1は、好ましくは紙製であって本実施形態では紙製であるが、合成樹脂製であってもよい。中皿2と蓋3は、何れも合成樹脂製シートからなり、真空成形や圧空成形等の各種の熱成形(シート成形)によって形成されている。中皿2と蓋3を構成する合成樹脂製シートは、同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。合成樹脂製シートは、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリプロピレンやポリエチレン等のポリオレフィン等、各種合成樹脂シート、これらのシート素材として無機物を充填したシート、更には、これらのシートを延伸させた延伸シートなどを使用できる。例えば、耐熱性に優れたポリプロピレンに無機物を充填したシート、ポリエチレンテレフタレート・ポリスチレン・ポリプロピレン・ポリエチレンなどのシートを延伸して耐熱性を向上させた耐熱シートを使用できる。これらのシートの片面や両面に樹脂フィルムを積層してもよい。尚、透明性に優れたシートを使用することも好ましく、特に、蓋3には好ましい。尚、電子レンジ用とする場合には電子レンジによる加熱に耐え得るように耐熱性のシートを用いる。
【0017】
<本体1>
本体1は、図2及び図7に示しているように、本体底面部10と、本体側面部11と、本体フランジ部12と、脚部13とを備えている。本体底面部10は平面視円形状であって平坦面である。脚部13は、本体底面部10の周縁部に設けられている。脚部13は、本体底面部10の周縁部から下側に向けて突出している。脚部13は、本体底面部10の周縁部を周回しており、従って、脚部13は、環状である。脚部13は、本体側面部11の下側に連続していて、本体側面部11と脚部13は連続した一つのテーパ形状を形成している。
【0018】
図2のように、本体1は、二枚の紙製シートから構成されている。二枚の紙製シートは、胴部シート14と底部シート15からなる。胴部シート14は、脚部13の一部と本体側面部11と本体フランジ部12を構成する。底部シート15は、脚部13の一部と本体底面部10を構成する。底部シート15は円形であってその周縁部が全周に亘って下側に折り曲げられている。底部シート15は、周縁部に、下側に折り曲げられた環状の下向き折り曲げ部20を有している。
【0019】
胴部シート14は、長手方向の両端部同士が重ね合わせられて接着されることによりテーパ形状の筒状に形成される。従って、図1に示すように、本体1は、胴部シート14が重なり合った重ね合わせ部21が周方向の一箇所に形成されている。重ね合わせ部21は上下方向に延びている。胴部シート14は、底部シート15の下向き折り曲げ部20の外面に重なり合う外片部22と、外片部22に対して内側に折り返され、下向き折り曲げ部20の内面に重なり合う内片部23と、底部シート15の下向き折り曲げ部20の下側において外片部22と内片部23を内外方向に連結する連結部24とを有している。下向き折り曲げ部20の外面に外片部22が接着され、下向き折り曲げ部20の内面に内片部23が接着されている。従って、脚部13は、三枚のシートが積層された多層構造となっている。
【0020】
本体側面部11は本体底面部10の周縁部から上側に延びている。本体側面部11は、上側に向けて拡径するようにテーパ状に延びている。本体側面部11と脚部13の外片部22は互いに連続している。
【0021】
本体フランジ部12は、本体側面部11の上端部から外側に向けて形成されている。本体フランジ部12は、カール形状のカール部である。本体フランジ部12は、胴部シート14の上端部が全周に亘って筒状に巻回されて形成されている。
【0022】
<中皿2>
中皿2は、中皿底面部30と、中皿側面部31と、中皿フランジ部32とを備えている。図7のように、中皿底面部30は、本体底面部10よりも小さく、小径である。中皿底面部30の周縁部には各種の中皿脚部33が設けられてよい。中皿側面部31は、中皿底面部30の周縁部から上側に向けて拡開しつつ延びている。中皿側面部31の上端部に中皿内嵌合部52が形成されている。即ち、中皿側面部31は、下から順に、中皿側面主部50と、中皿延在部51と、中皿内嵌合部52を有している。
【0023】
中皿側面主部50は、中皿側面部31の大部分を占め、中皿側面部31の主要部である。中皿側面主部50には、各種のリブを形成してよい。例えば、中皿側面主部50に上下方向に延びる縦リブを形成してよい。中皿延在部51は、中皿側面主部50の上端部から外側に向けて略水平に延びている。中皿側面主部50の上端部には、中皿2同士を積み重ねた際のブロッキングを防止するためのブロッキング防止用の中皿凸部53が外側に向けて突設されていることが好ましい。
【0024】
中皿内嵌合部52は、中皿延在部51の外縁部から上側に向けて延びている。尚、中皿延在部51と中皿内嵌合部52との間の境界部には中皿下面取り部54が設けられてよい。中皿内嵌合部52の形状は種々であってよいが、本実施形態では、上側ほど内側に向かう逆テーパ形状である。中皿内嵌合部52は、例えば上下方向に略垂直に延びる垂直部と内外方向の凹凸形状とを組み合わせた構造であってもよい。中皿内嵌合部52と中皿フランジ部32との境界部には、外側に拡開する中皿上面取り部55が設けられていてよい。
【0025】
中皿フランジ部32は、中皿内嵌合部52の上端部から外側に向けて延びている。中皿フランジ部32は、中皿内嵌合部52の上端部から外側に略水平に延びる中皿フランジ頂面部56(支持面部)と、中皿フランジ頂面部56の外縁部から下側に拡開しつつ延びる中皿スカート部57と、中皿スカート部57の下端部から外側に略水平に延びる中皿外延在部58と、中皿外延在部58の外縁部から下側に延びる中皿外嵌合部59と、中皿外嵌合部59の下端部から外側に延びる中皿縁取り部60とを有する。
【0026】
中皿フランジ頂面部56は、中皿フランジ部32において最も上側に位置する部分であり、中皿2の全体の中でも最も上側に位置する部分である。中皿スカート部57は、本実施形態では段差部61を介して上下二段に分かれた形状であるが、段差部61のない一段の形状であってもよいし、種々の形状であってよい。
【0027】
中皿外嵌合部59は、本体フランジ部12に外嵌合する。中皿外嵌合部59の形状は種々であってよいが、本実施形態では、その下端部に、内側に向けて中皿係止突起62が形成されている。中皿係止突起62は、環状であってもよいが、本実施形態では、周方向に間隔をあけて多数設けられた構成である。中皿係止突起62は、本体フランジ部12の下側に係止する。中皿外嵌合部59は、中皿内嵌合部52よりも外側に位置すると共に下側に位置する。尚、本体フランジ部12に例えば下側ほど内側に向かう逆テーパ形状のスカート部が形成されている場合には、中皿外嵌合部59は、逆テーパ形状であってもよい。
【0028】
中皿縁取り部60は、中皿外嵌合部59の下端部から外側且つ下側に傾斜して延びる中皿傾斜部63と、中皿傾斜部63の下端部から外側に向けて略水平に延びる中皿外縁部64とを有している。中皿外縁部64が中皿2において最も外側に位置する部分であって、中皿2の外縁部を構成している。中皿外縁部64は、中皿底面部30よりも上側に位置してよい。
【0029】
尚、中皿外延在部58から中皿縁取り部60の中皿傾斜部63にかけて、空気抜き用の中皿膨出部65が設けられることが好ましい。中皿膨出部65は、中皿外延在部58において上側に向けて膨出し、中皿外嵌合部59においては外側に向けて膨出し、中皿縁取り部60の中皿傾斜部63においては上側に向けて膨出している。中皿膨出部65は、周方向に間隔をあけて複数設けられることが好ましい。本実施形態では、中皿膨出部65は、90度間隔で四箇所設けられている。隣り合う中皿膨出部65同士の間に、複数の中皿係止突起62が形成されており、本実施形態では、隣り合う中皿膨出部65同士の間に中皿係止突起62が五つずつ配置されている。
【0030】
<蓋3>
蓋3は、天面部70と蓋側面部71と蓋フランジ部72とを備えている。天面部70の周縁部には環状溝73が形成されており、この環状溝73によって天面部70は内外二つの領域に区画されている。天面部70は、環状溝73の内側に位置し、天面部70の主要部を構成する天面主部74と、環状溝73の外側に位置する天面外周部75とを有する。天面主部74は、凹凸のない平坦面であることが好ましい。
【0031】
蓋3は、天面主部74の外縁部から下側に向けて拡開しつつ延び、環状溝73の内側の壁面を構成する内壁部76と、内壁部76の下端部から外側に向けて略水平に延び、環状溝73の底面を構成する蓋延在部77と、蓋延在部77の外縁部から上側に向けて延び、環状溝73の外側の壁面を構成する蓋内嵌合部78とを備える。
【0032】
蓋延在部77と蓋内嵌合部78との間の境界部には蓋下面取り部79が設けられてよい。蓋内嵌合部78の形状は種々であってよいが、本実施形態では、上側ほど内側に向かう逆テーパ形状である。即ち、蓋内嵌合部78は、中皿内嵌合部52と同じ形状であってよく、互いに対応する形状であってもよい。尚、蓋内嵌合部78は、例えば上下方向に略垂直に延びる垂直部と内外方向の凹凸形状とを組み合わせた構造であってもよい。蓋内嵌合部78と天面外周部75との境界部には、外側に拡開する蓋上面取り部80が設けられていてよい。本実施形態では、図1及び図5のように蓋内嵌合部78の全周のうち所定箇所には内向き突起91が設けられているが、内向き突起91が省略されてもよい。
【0033】
天面外周部75は、天面主部74と同じ高さであることが好ましく、同一平面を構成していることが好ましい。天面外周部75には、上側に向けて突出する積み重ね突部81が形成されていることが好ましい。積み重ね突部81は周方向に沿って延びる突条であってよい。積み重ね突部81は環状であってもよいが、本実施形態では、全周のうち一部領域には形成されておらず、平面視略C字状に形成されたものである。このように、積み重ね突部81は、全周に亘って設けられていなくてもよく、周方向に間隔をあけて複数箇所に分散して設けられていてもよい。本実施形態において、天面外周部75の全周のうち積み重ね突部81が形成されていない領域には、例えば図5に二点鎖線で示しているようなラベル82が貼着される。ラベル82は、環状溝73を跨ぐようにして、天面主部74から天面外周部75にかけて貼着される。
【0034】
積み重ね突部81は、天面外周部75の内外方向の中途部あるいは周縁部に設けられてよい。本実施形態では、積み重ね突部81は、天面外周部75の内外方向のうち中途部に設けられており、従って、積み重ね突部81が形成された天面外周部75の領域においては、天面外周部75は、積み重ね突部81よりも内側の領域と、積み重ね突部81よりも外側の領域とに区画されている。閉蓋状態の容器同士を上下に積み重ねた際に、天面外周部75における積み重ね突部81よりも内側の領域に、上側の容器の脚部13が載置する。天面外周部75において積み重ね突部81よりも内側の領域が、本実施形態における脚載置面部95である。
【0035】
蓋側面部71は、天面部70の周縁部から下側に向けて延びている。蓋側面部71には各種のリブを形成してよい。蓋側面部71は下側に向けて徐々に拡開しつつ延びている。蓋側面部71の内面には、蓋3同士を多数積み重ねた際に、蓋3同士が互いにきつく嵌り込んで取れなくなる、いわゆるブロッキング現象を防止するために、ブロッキング防止用の蓋凸部83を設けてよい。蓋凸部83は、蓋側面部71の上下方向の全長に亘って形成されており、従って、天面部70まで達している。蓋凸部83が形成されることにより、蓋凸部83の形成箇所における蓋側面部71の外面は、内側に向けて切り欠かれたような凹部となる。
【0036】
蓋フランジ部72は、蓋側面部71の下端部から外側に向けて延設されている。蓋フランジ部72は蓋側面部71の外側に全周に亘って形成されている。蓋フランジ部72は、上から順に、蓋外延在部84と、蓋外嵌合部85と、蓋縁取り部86とを備えている。蓋外延在部84は、蓋側面部71の下端部から外側に向けて略水平に延びている。
【0037】
蓋外嵌合部85は、蓋外延在部84の外縁部から下側に向けて延びている。蓋外嵌合部85は、中皿2を使用しないときに本体フランジ部12に外嵌合する。蓋外嵌合部85の形状は種々であってよいが、本実施形態では、その下端部に、内側に向けて蓋係止突起87が形成されている。蓋係止突起87は、環状であってもよいが、本実施形態では、周方向に間隔をあけて多数設けられた構成である。蓋係止突起87は、本体フランジ部12の下側に係止する。蓋外嵌合部85は、蓋内嵌合部78よりも外側に位置すると共に下側に位置する。蓋外嵌合部85は、中皿外嵌合部59と同じ形状であってよい。本体フランジ部12に例えば下側ほど内側に向かう逆テーパ形状のスカート部が形成されている場合には、蓋外嵌合部85は、逆テーパ形状であってもよい。
【0038】
蓋縁取り部86は、蓋外嵌合部85の下端部から外側且つ下側に傾斜して延びる蓋傾斜部88と、蓋傾斜部88の下端部から外側に向けて略水平に延びる蓋外縁部89とを有している。蓋外縁部89が蓋3の中で最も外側に位置する部分であって、蓋3自体の外縁部を構成している。蓋外縁部89は、蓋内嵌合部78よりも外側に位置すると共に下側に位置する。蓋外縁部89は、蓋3の中で最も下側に位置する部分でもある。
【0039】
尚、蓋外延在部84から蓋縁取り部86の蓋傾斜部88にかけて、空気抜き用の蓋膨出部90が設けられることが好ましい。蓋膨出部90は、蓋外延在部84において上側に向けて膨出し、蓋外嵌合部85においては外側に向けて膨出し、蓋縁取り部86の蓋傾斜部88においては上側に向けて膨出している。蓋膨出部90は、周方向に間隔をあけて複数設けられることが好ましい。本実施形態では、蓋膨出部90は、90度間隔で四箇所設けられている。隣り合う蓋膨出部90同士の間に、複数の蓋係止突起87が形成されており、本実施形態では、隣り合う蓋膨出部90同士の間に蓋係止突起87が五つずつ配置されている。蓋縁取り部86は、中皿縁取り部60と同一の構成であってよい。本実施形態では、蓋外縁部89の直径は、中皿外縁部64の直径と略同一となっているが、中皿外縁部64の直径とは異なってもよい。但し、蓋外縁部89の直径は、中皿外縁部64の直径と同一以上であることが好ましい。容器が非円形の場合も同様であって、蓋外縁部89は、中皿外縁部64と同一の大きさであるかそれ以上の大きさであることが好ましい。
【0040】
蓋外縁部89や中皿外縁部64には、極細の多数の凹凸を形成し、補強するとともに、指などがあたっても、指などを切ることがないようにされていてよい。この凹凸は、蓋外縁部89や中皿外縁部64の外縁側にのみ形成してもよいし、蓋外縁部89や中皿外縁部64の全幅に亘って形成してもよい。この凹凸は、正面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が容器の内外方向に沿っている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。また、中皿外縁部64や蓋外縁部89には摘み部を設けてよい。
【0041】
<中皿2を使用する場合>
例えば、天丼等の丼物を例に説明すると、まず、本体1には第一の食材であるご飯を入れる。その後、本体1に中皿2を被せて本体1の開口部を中皿2で覆う。中皿2は本体1に外嵌合させる。即ち、本体フランジ部12に中皿外嵌合部59を外嵌合する。中皿2には第二の食材である天ぷら等が載せられる。その後、中皿2に蓋3を被せて中皿2の開口部を蓋3で覆う。蓋3は、中皿2に内嵌合させる。即ち、中皿内嵌合部52に蓋内嵌合部78を内嵌合する。
【0042】
図7に中皿2を使用した場合の閉蓋状態を示している。また、図8には、中皿2を使用する場合の要部における開蓋状態を示し、図9には、中皿2を使用する場合の要部における閉蓋状態を示している。
【0043】
中皿2を使用した閉蓋状態において、中皿底面部30は、本体底面部10から上側に離間している。中皿底面部30と本体底面部10の間の空間にご飯が収容される。中皿底面部30は、本体フランジ部12よりも下側に位置する。中皿内嵌合部52は、本体フランジ部12よりも上側であって且つ内側に位置する。中皿フランジ頂面部56は、本体フランジ部12よりも上側であって且つ内側に位置する。中皿外延在部58は、本体フランジ部12に上側から当接する。中皿外延在部58が本体フランジ部12に上側から当接するので、中皿2に上から大きな力を作用させることができ、中皿外嵌合部59を本体フランジ部12にしっかりと外嵌合させることができる。また、本体フランジ部12がカール形状となっているので、中皿2を本体1に外嵌合させる際に本体フランジ部12に大きな下向きの力が作用しても、本体フランジ部12が変形しにくく、その下向きの力を本体フランジ部12がしっかりと受け止めることができる。そして、本体フランジ部12の上面に中皿外延在部58が当接することにより、本体1に対する中皿2の上下方向の位置、即ち、中皿2の高さが定まる。
【0044】
蓋3の天面主部74は、中皿底面部30から上側に離間している。天面主部74と中皿底面部30との間の空間に天ぷらが収容される。蓋延在部77は、中皿延在部51の上面に当接し、蓋内嵌合部78は、中皿内嵌合部52に内嵌合し、天面外周部75は、中皿フランジ頂面部56の上面に当接する。特に、天面外周部75のうち積み重ね突部81よりも内側の領域が中皿フランジ頂面部56の上面に当接する。上述のように、天面外周部75のうち積み重ね突部81よりも内側の環状の領域は、脚載置面部95である。中皿フランジ頂面部56の上に蓋3の脚載置面部95が重なり合う。中皿フランジ頂面部56は、脚載置面部95を下側から支持する。従って、中皿フランジ頂面部56は、脚載置面部95を下側から支持する支持面部である。このように、閉蓋状態において、蓋3の脚載置面部95と中皿フランジ頂面部56は互いに上下に重なり合って二重構造となる。尚、蓋延在部77は、中皿延在部51の上面に対して上側に離間していてもよい。
【0045】
蓋外嵌合部85は、本体フランジ部12よりも上側に離間している。即ち、蓋外嵌合部85は、本体フランジ部12に対して上側に退避した状態にある。また、蓋外嵌合部85は、中皿外嵌合部59よりも上側に離れている。従って、蓋外嵌合部85は、中皿外嵌合部59と本体フランジ部12との間の外嵌合には干渉しない。
【0046】
閉蓋状態において、蓋外縁部89は、中皿外縁部64に対して上側に所定距離離間している。蓋外縁部89と中皿外縁部64との間の上下方向の離間距離は、少なくとも指先が入る程度であることが好ましい。図9のように、例えば人差し指を蓋外縁部89と中皿外縁部64との間に挿入して、蓋外縁部89の下面に人差し指を引っ掛けるようにして当接させることができる。そして、その状態から蓋3を外すことができる。
【0047】
図10に蓋3を中皿2から外す途中の状態を示している。例えば一方の手で本体側面部11を把持し、他方の手の指先で蓋外縁部89を上側に持ち上げるようにする。蓋外縁部89が中皿外縁部64に対して上側に離反しているので、中皿外縁部64に指を引っ掛けることなく、蓋外縁部89のみに指を容易に引っ掛けることができる。また、中皿外縁部64が蓋3によって外側から覆われずに露出しているので、蓋外縁部89のみを指先で容易に上側に持ち上げることができる。蓋外縁部89を上側に持ち上げても、中皿外嵌合部59には影響が及ばず、中皿外嵌合部59は本体フランジ部12に外嵌合した状態のまま維持される。
【0048】
そのような開蓋操作によって、蓋フランジ部72は、例えば蓋延在部77を支点として、部分的に上側に回動する。その結果、蓋内嵌合部78と中皿内嵌合部52との間の内嵌合状態が局所的に解除される。蓋外縁部89が蓋内嵌合部78よりも外側に位置していると共に蓋内嵌合部78よりも下側に位置しているので、蓋内嵌合部78から蓋外縁部89までの距離が長い。そのため、蓋外縁部89に力を作用させることによって蓋内嵌合部78に容易に内向きのモーメントを作用させることができる。従って、蓋内嵌合部78を中皿内嵌合部52から内側に容易に離反させることができて、蓋3と中皿2との間の内嵌合状態を容易に解除することができる。そして、中皿2が本体1に被さった状態のままで蓋3のみを中皿2から容易に取り外すことができる。
【0049】
<中皿2を使用しない場合>
図11に中皿2を使用しない場合の閉蓋状態を示している。中皿2を使用しない場合であっても、別の蓋3を準備することなく、同じ蓋3をそのまま使用することができる。即ち、蓋外嵌合部85を本体フランジ部12に外嵌合させることで、中皿2を使用することなく蓋3で本体1の開口部を閉じることができる。このような使用形態は、例えば海鮮丼のような用途に適しており、二つの食材を分離しなくてもよいような場合に適している。
【0050】
<容器同士の上下積み重ね状態>
図12及び図13に、中皿2を使用した場合において、閉蓋状態の容器同士を上下に積み重ねた場合を示している。上側の容器の本体1の脚部13は、下側の容器の蓋3の脚載置面部95に載置する。尚、ラベル82が貼着される場合には、脚部13はその全周のうちの一部がラベル82の上に載置される。脚載置面部95の外側には積み重ね突部81が上向きに突出しているので、上側の容器が下側の容器に対して横方向に位置ずれすることが防止され、安定した積み重ね状態が維持される。
【0051】
また、蓋3の脚載置面部95の下側には中皿フランジ頂面部56が重なっており、脚載置面部95が中皿フランジ頂面部56によって下側から支えられる。そのため、脚載置面部95に作用する上側の容器の荷重を、脚載置面部95と中皿フランジ頂面部56の二重構造によって受け止めることができる。従って、上側の容器を安定して支えることができ、積み重ね状態が安定する。
【0052】
更に、脚載置面部95のすぐ内側には蓋内嵌合部78が位置していて、中皿フランジ頂面部56のすぐ内側には中皿内嵌合部52が位置している。そのため、脚載置面部95と中皿フランジ頂面部56に作用する荷重を、蓋内嵌合部78と中皿内嵌合部52によっても支えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 本体
2 中皿
3 蓋
10 本体底面部
11 本体側面部
12 本体フランジ部
13 脚部
14 胴部シート
15 底部シート
20 下向き折り曲げ部
21 重ね合わせ部
22 外片部
23 内片部
24 連結部
30 中皿底面部
31 中皿側面部
32 中皿フランジ部
33 中皿脚部
50 中皿側面主部
51 中皿延在部
52 中皿内嵌合部
53 中皿凸部
54 中皿下面取り部
55 中皿上面取り部
56 中皿フランジ頂面部(支持面部)
57 中皿スカート部
58 中皿外延在部
59 中皿外嵌合部
60 中皿縁取り部
61 段差部
62 中皿係止突起
63 中皿傾斜部
64 中皿外縁部
65 中皿膨出部
70 天面部
71 蓋側面部
72 蓋フランジ部
73 環状溝
74 天面主部
75 天面外周部
76 内壁部
77 蓋延在部
78 蓋内嵌合部
79 蓋下面取り部
80 蓋上面取り部
81 積み重ね突部
82 ラベル
83 蓋凸部
84 蓋外延在部
85 蓋外嵌合部
86 蓋縁取り部
87 蓋係止突起
88 蓋傾斜部
89 蓋外縁部
90 蓋膨出部
91 内向き突起
95 脚載置面部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13