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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171494
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
   B60T 7/02 20060101AFI20241205BHJP
   G01D 5/12 20060101ALI20241205BHJP
   G05G 1/30 20080401ALI20241205BHJP
   G05G 1/38 20080401ALI20241205BHJP
【FI】
B60T7/02 D
G01D5/12 H
G05G1/30 E
G05G1/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088529
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久田 雅人
(72)【発明者】
【氏名】川口 健一
【テーマコード(参考)】
2F077
3D124
3J070
【Fターム(参考)】
2F077AA46
2F077CC02
2F077JJ01
2F077JJ07
3D124AA33
3D124BB01
3D124CC54
3D124DD42
3D124DD44
3D124DD52
3D124DD54
3J070AA32
3J070BA51
3J070BA81
3J070CB02
3J070CC71
3J070DA01
(57)【要約】
【課題】取付作業の簡素化を図ることができる検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置1は、ブレーキペダルに当接されるとともに、ブレーキペダルの動作に追従して軸方向移動するシャフト2と、シャフト2の軸方向の位置に応じた検出信号を出力する検出部91と、検出信号に基づき、ストップランプの動作信号を出力する制御部92とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレーキペダルに当接されるとともに、前記ブレーキペダルの動作に追従して軸方向移動するシャフトと、
前記シャフトの軸方向の位置に応じた検出信号を出力する検出部と、
前記検出信号に基づき、ストップランプの動作信号を出力する動作信号出力部と、を備える、
検出装置。
【請求項2】
前記シャフトの軸方向移動に追従して回転するレバーと、
前記レバーと一体的に回転する磁石と、をさらに備え、
前記検出部は、磁石から発される磁気を検出するとともに検出した磁気に基づいて前記検出信号を出力する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記シャフトを軸方向移動可能に保持するホルダをさらに備え、
前記ホルダは、軸方向に平行な底壁と、前記底壁から立設されるとともに前記シャフト及び前記レバーを囲む側壁とを有し、
前記ホルダは、前記側壁から突出するとともに前記シャフトを挿入した筒状壁を有し、
前記筒状壁は、前記側壁から軸方向の両側に突出している、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記シャフトを軸方向移動可能に保持するホルダをさらに備え、
前記ホルダは、軸方向に平行な底壁と、前記底壁から立設されるとともに前記シャフト及び前記レバーを囲む側壁とを有し、
前記ホルダは、前記側壁から突出するとともに前記シャフトを挿入した筒状壁を有し、
前記側壁における前記筒状壁と軸方向に重なる位置に、前記シャフトの全体を軸方向に挿通可能なシャフト挿通孔が形成されている、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項5】
前記シャフトを軸方向移動可能に保持するホルダをさらに備え、
前記ホルダは、軸方向に平行な底壁と、前記底壁から立設されるとともに前記シャフト及び前記レバーを囲む側壁とを有し、
前記底壁は、前記シャフトの軸方向移動をガイドする溝部を有する、
請求項2に記載の検出装置。
【請求項6】
前記シャフトと一体的に軸方向移動する磁石をさらに備え、
前記検出部は、磁気を検出するとともに検出した磁気に応じた前記検出信号を出力する、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項7】
取付対象に対して軸方向の位置を調整可能な調整機構を有する、
請求項1に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ブレーキペダルの操作ストロークを検出するためのブレーキストロークセンサと、ブレーキペダルが踏み込まれたことに応じてストップランプを点灯するための信号を出力するストップランプスイッチとの双方が取り付けられたブレーキペダルユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-118623号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のブレーキペダルユニットにおいては、ブレーキストロークセンサとストップランプスイッチとの双方を取付対象に取り付ける必要があり、取付作業の簡素化の観点から改善の余地がある。
【0005】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、取付作業の簡素化を図ることができる検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、前記の目的を達成するため、ブレーキペダルに当接されるとともに、前記ブレーキペダルの動作に追従して軸方向移動するシャフトと、前記シャフトの軸方向の位置に応じた検出信号を出力する検出部と、前記検出信号に基づき、ストップランプの動作信号を出力する動作信号出力部と、を備える、検出装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、取付作業の簡素化を図ることができる検出装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態における、検出装置と、踏み込まれていないときのブレーキペダルと、ブラケットとを示す正面図である。
図2】第1の実施の形態における、検出装置と、踏み込まれているときのブレーキペダルと、ブラケットとを示す正面図である。
図3】第1の実施の形態における、ブレーキペダルが踏み込まれていないときの検出装置の正面図である。
図4】第1の実施の形態における、ブレーキペダルが踏み込まれているときの検出装置の正面図である。
図5】第1の実施の形態における、検出装置の分解斜視図である。
図6】第1の実施の形態における、ブラケットと外側筒状壁とが螺合されていないときの、ブラケット、外側筒状壁及びシャフトの、軸方向に直交する断面図である。
図7】第1の実施の形態における、ブラケットと外側筒状壁とが螺合されたときの、ブラケット、外側筒状壁及びシャフトの、軸方向に直交する断面図である。
図8】第2の実施の形態における、検出装置と、踏み込まれていない状態のブレーキペダルと、ブラケットとを示す正面図である。
図9】第2の実施の形態における、検出装置と、踏み込まれた状態のブレーキペダルと、ブラケットとを示す正面図である。
図10】第2の実施の形態における、検出装置の分解斜視図である。
図11】第2の実施の形態における、ブレーキペダルが踏み込まれていないときの検出装置の断面図である。
図12】第2の実施の形態における、ブレーキペダルが踏み込まれているときの検出装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[第1の実施の形態]
本発明の第1の実施の形態について、図1乃至図7を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を実施する上での好適な具体例として示すものであり、技術的に好ましい種々の技術的事項を具体的に例示している部分もあるが、本発明の技術的範囲は、この具体的態様に限定されるものではない。
【0010】
図1は、本形態における検出装置1と、踏み込まれていないときのブレーキペダル11と、ブラケット12とを示す正面図である。図2は、検出装置1と、踏み込まれているときのブレーキペダル11と、ブラケット12とを示す正面図である。
【0011】
本形態の検出装置1は、例えば、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両に搭載される。検出装置1は、車両のブレーキペダル11のストローク量を検出する役割と、ブレーキペダル11が踏み込まれた際にストップランプを点灯させるためのストップランプスイッチとしての役割とを兼ね備える。検出装置1にて検出されたブレーキペダル11のストローク量の情報は、ECU(Electronic Control Unit)等の車両制御装置に出力され、車両制御装置は、受信したストローク量の情報に応じて、モータの回生ブレーキの制動力を制御する。
【0012】
検出装置1は、車両のブレーキペダル11の近傍に取り付けられる。本形態において、ブレーキペダル11は、パット部111及びアーム部112を有するいわゆる吊り下げ式のブレーキペダルを想定している。また、本形態において、検出装置1は、ブレーキペダル11のアーム部112の上側に配される例を想定している。換言すると、検出装置1は、ブレーキペダル11に対し、ブレーキペダル11が踏み込まれる側と反対側に位置している。検出装置1は、ブレーキペダル11を回動可能に支持するブラケット12に取り付けられている。詳細は後述するが、検出装置1は、外部に押し出される方向に付勢されたシャフト2を有する。検出装置1がブラケット12に取り付けられた状態において、ブレーキペダル11が、踏み込まれていない位置(図1参照)と最大限踏み込まれた位置(図2参照)との間を移動する間、シャフト2は、ホルダ3からの突出量を変えつつ常にブレーキペダル11のアーム部112の当接部112aに当接する。以後、検出装置1の各構成要素について詳説する。
【0013】
図3は、ブレーキペダル11が踏み込まれていないときの検出装置1の正面図である。図4は、ブレーキペダル11が踏み込まれているときの検出装置1の正面図である。図3及び図4においては、後述の第1カバーの図示を省略している。図5は、検出装置1の分解斜視図である。検出装置1は、シャフト2とホルダ3と第1カバー41とレバー5と磁石ユニット6とコイルばね7とコネクタユニット8と基板9と第2カバー42とを備える。
【0014】
シャフト2は、一方向に長尺に形成されており、例えば樹脂等からなる。本形態においては、シャフト2が断面円形の略円柱状を呈している例を示すが、シャフト2の形状はこれに限られず、一方向に長尺に形成されていればよい。以後、「軸方向」といったときは、特に断らない限りシャフト2の軸方向(すなわちシャフト2の長手方向であり、例えば図3及び図4の上下方向)を意味するものとする。また、以後、軸方向の一方側であってシャフト2がホルダ3から飛び出る側(例えば図3及び図4の下側)を先端側とし、軸方向の他端側(すなわち先端側の反対側であって、例えば図3及び図4の上側)を基端側とする。
【0015】
シャフト2の基端部には、外周側に突出した突出部21が形成されている。本形態において、突出部21は、シャフト2の全周に形成されており、円環状を呈している。突出部21は、ホルダ3の後述する筒状壁33と干渉することで筒状壁33からの脱落を防いでいる。なお、突出部21の形状は前述の形状に限られず、シャフト2の周方向の少なくとも一部の領域においてシャフト2の外周側に突出するよう形成されていればよい。シャフト2は、ホルダ3に保持されている。
【0016】
ホルダ3は、例えば樹脂等からなり、軸方向に平行な底壁31と、底壁31から一方側に立設した第1側壁321と、底壁31から第1側壁321側と反対側に立設した第2側壁322と、第1側壁321を軸方向に貫通するよう形成された筒状壁33とを有する。第1側壁321は、シャフト2及びレバー5を囲むよう形成されており、底壁31及び第1側壁321は、レバー5及びシャフト2を配置する第1配置部341を構成している。第2側壁322は、磁石ユニット6及びコイルばね7を囲むよう形成されており、底壁31の一部及び第2側壁322は、磁石ユニット6及びコイルばね7を配置する第2配置部342を構成している。第1配置部341の開口は第1カバー41にて塞がれており、第2配置部342の開口はコネクタユニット8にて塞がれている。
【0017】
底壁31には、シャフト2の軸方向移動をガイドするための溝部311が形成されている。溝部311は、軸方向に長尺に形成されているとともに、シャフト2に沿うよう形成されている。本形態においては、シャフト2の軸方向移動時、シャフト2の突出部21が溝部311を摺動することで、シャフト2の軸方向移動がガイドされる。溝部311の先端側は、筒状壁33に連通している。
【0018】
筒状壁33は、第1側壁321から軸方向に突出しており、軸方向に形成された筒状を呈している。筒状壁33には、シャフト2が挿入されている。筒状壁33は、シャフト2の軸方向移動をガイドするとともにシャフト2が軸方向に対して傾くことを抑制する。筒状壁33の内径は、シャフト2における突出部21以外の部位の直径よりも大きく、突出部21の外形よりも小さい。これにより、筒状部は、シャフト2を挿入可能かつ突出部21を係止可能となり、シャフト2の脱落防止が図られる。
【0019】
本形態において、筒状壁33は、第1側壁321から軸方向の両側に突出している。すなわち、筒状壁33は、第1側壁321から外側(すなわち先端側)に延設された外側筒状壁331と、第1側壁321から内側(すなわち基端側)に延設された内側筒状壁332とを有する。
【0020】
図6は、ブラケット12と外側筒状壁331とが螺合されていない状態における、ブラケット12、外側筒状壁331及びシャフト2の、軸方向に直交する断面図である。図7は、ブラケット12と外側筒状壁331とが螺合された状態における、ブラケット12、外側筒状壁331及びシャフト2の、軸方向に直交する断面図である。
【0021】
外側筒状壁331の外周部は、ブラケット12に対して軸方向の位置を調整可能な調整機構330を有する。調整機構330は、軸方向に直交する方向における外側筒状壁331の両側にそれぞれ形成された第1ねじ山部330aを有する。また、ブラケット12には、外側筒状壁331を挿入する挿入穴121が形成されており、この挿入穴121には、互いに対向する2箇所に形成された第2ねじ山部121aが形成されている。
【0022】
そして、外側筒状壁331をブラケット12に取り付ける際は、図6に示すごとく、まず外側筒状壁331の2つの第1ねじ山部330aが、挿入穴121の2つの第2ねじ山部121aが存在しない箇所に配される角度で、外側筒状壁331が挿入穴121に挿入される。この状態においては、ブラケット12に対する検出装置1の軸方向の位置調整が可能である。ブラケット12に対する検出装置1の軸方向の位置調整を行う際は、例えば、踏み込まれていない状態のブレーキペダル11の当接部112aにシャフト2を当接させ、さらに検出装置1を当接部112a側に押し込むことでシャフト2をホルダ3内に収容させる。そして、検出装置1を当接部112a側に最大限押し込める位置まで押し込み、この位置において検出装置1を回転させて第1ねじ山部330aと第2ねじ山部121aとを螺合させることで、ブラケット12に対する検出装置1の軸方向位置が固定される。
【0023】
なお、ブラケット12に対する検出装置1の軸方向の位置は前述の位置(すなわちシャフト2がホルダ3内に最大限押し込まれた位置)に限られず、種々調整可能である。また、調整機構330の構成は、前述したものに限られず、ブラケット12に対して、検出装置1が軸方向の位置を調整可能に取り付けることができればその他の構成を採用してもよい。一例として、調整機構330として、特開平10-031927号公報に記載された位置調整装置等を採用可能である。
【0024】
図3乃至図5に示すごとく、溝部311の筒状壁33側と反対側には、第1側壁321をシャフト2の軸方向に貫通するよう形成されたシャフト挿通穴321aが形成されている。シャフト挿通穴321aは、第1側壁321における筒状壁33と軸方向の重なる位置に形成されているとともに、シャフト2の全体を軸方向に挿通可能な大きさに形成されている。シャフト2は、シャフト挿通穴321aからホルダ3内に組み付けられる。シャフト挿通穴321aは、ホルダ3に第1カバー41が組み付いた状態において第1カバー41にて塞がれる。これにより、ホルダ3と第1カバー41とに囲まれた空間に異物が進入することが抑制される。シャフト2の基端部に、レバー5が当接している。
【0025】
レバー5は、長尺形状を有しており、例えば樹脂等からなる。レバー5の一端部に回転中心部51があり、レバー5の他端部がシャフト2に当接している。後述するように、レバー5は、シャフト2をホルダ3の外側に押し出す方向に付勢されている。これにより、ブレーキペダル11が踏み込まれてブレーキペダル11の当接部112aが検出装置1から遠ざかった際、シャフト2がホルダ3から押し出されて当接部112aに当接した状態が維持される。
【0026】
レバー5の回転範囲は、ホルダ3の底壁31に形成された規制壁312にて規制されている。規制壁312は、底壁31から第1側壁321側に立設されており、略C字状に形成されている。規制壁312の両端のそれぞれにレバー5が当接することで、レバー5の回転範囲が規制される。なお、規制壁312の形状は前述の形状に限られず、例えばレバー5の規制の役割を果たすその両端部のみにて構成してもよいし、また規制壁312を省略してもよい。
【0027】
図5に示すごとく、レバー5の回転中心部51には、ボルト挿通孔511が形成されている。また、ホルダ3の底壁31には、レバー5に固定される磁石ユニット6の後述の軸部611を挿入する貫通穴313が形成されている。そして、レバー5は、ボルト13を用いて磁石ユニット6の軸部611に固定されている。
【0028】
磁石ユニット6は、底壁31に対してレバー5が配された側と反対側に配されている。磁石ユニット6は、樹脂等からなる磁石保持体61と、磁石保持体61に保持された磁石62とを有する。磁石保持体61は、レバー5に固定される軸部611と、磁石62を保持する保持部612と、保持部612からレバー5側に突出した係止片613とを有する。を有する。軸部611には、レバー5側に開口した雌ねじ孔611aが形成されている。そして、レバー5と磁石ユニット6とは、レバー5のボルト挿通孔511にボルト13を挿通するとともに、このボルト13を軸部611の雌ねじ孔611aに螺合することで、互いに固定されている。これにより、磁石ユニット6は、シャフト2の軸方向の移動に追従して、レバー5ととともに回転する。
【0029】
保持部612は、磁石62を保持している。例えば、磁石62を金型内に設置したインサート成形によって磁石保持体61を形成することで磁石62が保持部612に固定された状態にしてもよいし、磁石保持体61に対して組み付け等により磁石62が固定されてもよい。保持部612は、少なくとも磁石62のレバー5と反対側の面を露出させるよう形成されている。
【0030】
係止片613は、コイルばね7の一端が係止されている。コイルばね7の他端は、ホルダ3に係止されている。コイルばね7は、自由状態よりも捩られた状態でその両端がホルダ3及び係止片613に係止されている。これにより、コイルばね7の復元力により、磁石保持体61及びレバー5を介して、シャフト2が、ホルダ3の外側に飛び出る向きに付勢されている。なお、シャフト2を付勢する手段は、前述の手段に限られない。一例として、レバー5を挟んでシャフト2と反対側に、レバー5を軸方向に付勢するばね等の弾性部材を設けてもよい。
【0031】
磁石62は、磁石保持体61の回転軸を挟んで互いに反対側にN極とS極とが存在する。これにより、磁石62周辺の磁気は、磁石保持体61の回転に伴って変動する。磁石62は、例えばネオジム磁石、フェライト磁石等の永久磁石とすることができる。また、磁石62として、電磁石を採用してもよい。磁石ユニット6及びコイルばね7が配されたホルダ3の第2配置部342の開口は、コネクタユニット8にて塞がれている。
【0032】
コネクタユニット8は、基板9に接続される図示しない複数のコネクタ端子と、コネクタ端子を保持する樹脂等からなるコネクタハウジング81とを有する。コネクタハウジング81は、相手方のコネクタに接続される嵌合部811と、ホルダ3の第2配置部342を覆う閉塞部812とを有する。嵌合部811に相手方のコネクタが接続されることで、基板9が外部(例えば車両のECU)と電気的に接続される。閉塞部812を挟んで磁石ユニット6と反対側に、基板9が配されている。
【0033】
基板9には、検出部91及び制御部92が実装されている。検出部91は、コネクタユニット8を介して磁石62と対向する位置に配されている。検出部91は、例えば、検知した磁気に応じた信号を出力する磁気抵抗効果素子(MR素子)又はホール素子等を有する。検出部91は、磁石62の回転角度に応じた検出信号を出力する。磁石62の回転量は、シャフト2の軸方向の移動量と相関を有するため、検出信号は、シャフト2の軸方向の位置に応じた信号でもある。なお、検出部91の構成は、前述のものに限られず、磁石62の回転角を検出可能であれば種々の構成を採用可能である。検出部91が出力する検出信号は、制御部92へ入力される。
【0034】
制御部92は、例えばプロセッサと、プロセッサ動作時の演算領域となるRAM(Random Access Memory)と、プロセッサが実行するプログラムを記憶したROM(Read Only Memory)とを含むマイクロコンピュータとすることができる。なお、制御部92は、その機能を実現可能に構成されていれば、その実現方法はソフトウエアを用いたものに限られない。例えば、制御部92は、その機能のうちの少なくとも一部が、論理回路等のハードウエアを用いて実現されてもよい。制御部92は、検出部91から受信した検出信号を、ストローク信号に変換する。ストローク信号は、ブレーキペダル11のストローク量と出力電圧との関係が線形となる信号であり、その出力値からブレーキペダル11のストローク量が把握可能なものである。ストローク信号は、コネクタユニット8を介して例えばECU等に出力される。
【0035】
また、制御部92は、ストローク信号が、所定の閾値を超えている場合、ブレーキペダル11が所定ストローク量よりも踏み込まれていると判断し、ストップランプの動作信号としての点灯信号を外部に出力する。例えばECUが点灯信号を受信することで、ECUがストップランプを点灯させる。また、制御部92は、検出部91から受信した検出信号が、前述の閾値を下回っている場合、ストップランプの動作信号としての消灯信号を出力する。ECUが消灯信号を受信することで、ECUがストップランプを消灯させる。なお、制御部92からの点灯信号の出力が停止されることでストップランプが消灯するような制御を実施してもよい。以上のように、制御部92は、受信した検出信号に基づきストップランプの動作信号を出力する動作信号出力部としての機能も兼ね備えている。
【0036】
基板9は、コネクタユニット8と反対側から第2カバー42にて覆われている。これにより、基板9の配置空間に異物が進入することが抑制される。
【0037】
(第1の実施の形態の作用及び効果)
本形態の検出装置1は、ブレーキペダル11に当接されるとともに、ブレーキペダル11の動作に追従して軸方向移動するシャフト2と、シャフト2の軸方向の位置に応じた検出信号を出力する検出部91と、検出信号に基づきストップランプの動作信号を出力する動作信号出力部(すなわち制御部92)と、を備える。すなわち、本形態の検出装置1は、ブレーキペダル11のストローク量を検出するストロークセンサとしての役割と、ストップランプスイッチの動作信号を出力するストップランプスイッチとしての役割との双方を果たす。それゆえ、本形態によれば、ブレーキストロークセンサとストップランプスイッチとの双方を車体に取り付ける場合と比べ、検出装置1の車体への取り付け作業を簡素化することができる。
【0038】
さらに、前述のごとく、検出部91は、シャフト2の軸方向の位置に応じた検出信号を出力する。これにより、車体における検出装置1の配置箇所の自由度が高まる。このことにつき以下説明する。
【0039】
ストロークセンサとして、例えば特開2012-73231号公報に開示されているように、ブレーキペダルに押されて回転する回転体と、回転体と一体的に回転する磁石とを有し、この磁石の回転を磁気検出素子にて検出することでブレーキペダルのストローク量を把握するものがある。このようなストロークセンサは、回転体の回転軸をブレーキペダルの回転軸の位置に合わせる必要があるため、配置箇所がブレーキペダルの回転軸付近に制限される。一方、本形態のように、シャフト2がブレーキペダル11の動作に追従して軸方向移動し、この軸方向の移動を検出部91にて検出する構成とすることで、例えばブレーキペダル11の回転軸から離れた位置等にも検出装置1を取り付け可能となり、検出装置1の取付箇所の自由度が高まる。
【0040】
また、検出装置1は、シャフト2の軸方向移動に追従して回転するレバー5と、レバー5と一体的に回転する磁石62と、を備え、検出部91は、磁石62から発される磁気を検出するとともに検出した磁気に応じた検出信号を出力する。このような構成を採用することで、シャフト2は軸方向に移動するが、回転を検知する検出部91を用いてブレーキペダル11のストローク量の把握が可能となる。
【0041】
また、筒状壁33は、第1側壁321から軸方向の両側に突出している。これにより、ホルダ3の全体の大型化を抑制しつつ、筒状壁33の軸方向長さを確保でき、シャフト2の偏りを一層抑制することができる。このことにつき以下説明する。まず、シャフト2の偏りを抑制する観点からは筒状壁33が長い程よいものの、例えば第1側壁321から外側にのみ長尺な筒状壁33を形成した場合は、ホルダ3からの筒状壁33の突出量が大きくなり、ホルダ3の全体の大型化を招き得る。そこで、本形態のようにホルダ3に外側筒状壁331と内側筒状壁332との双方を設けることで、ホルダ3の全体の大型化を抑制しつつ筒状壁33の長さを確保できる。
【0042】
また、第1側壁321における筒状壁33と軸方向に重なる位置に、シャフト2の全体を軸方向に挿通可能なシャフト挿通穴321aが形成されている。これにより、シャフト挿通穴321aを通してシャフト2をホルダ3の外部からホルダ3内に挿通可能であるため、ホルダ3内の空間を狭め、小型化を図りやすい。一方、シャフト挿通穴321aが形成されていない場合は、例えば、ホルダ3内にシャフト2を組み付けれるよう、ホルダ3内にシャフト2の軸方向の全長よりも長い空間を形成する必要があり、ホルダ3の大型化を招き得る。
【0043】
また、ホルダ3は、シャフト2の軸方向移動をガイドする溝部311を有する。これにより、シャフト2の傾きを抑制可能である。
【0044】
また、検出装置1は、取付対象(すなわちブラケット12)に対して軸方向の位置を調整可能な調整機構330を有する。ブラケット12における検出装置1を取り付ける位置とブレーキペダル11の当接部112aとの位置関係は車種等によって異なり得るところ、本形態によれば容易にブラケット12と検出装置1との間の軸方向の位置関係を調整可能である。
【0045】
以上のごとく、本形態によれば、取付作業の簡素化を図ることができる検出装置を提供することができる。
【0046】
[第2の実施の形態]
本発明の第2の実施の形態について、図8乃至図12を参照して説明する。
【0047】
図8は、本形態における検出装置1と、踏み込まれていない状態のブレーキペダル11と、ブラケット12とを示す正面図である。図9は、検出装置1と、踏み込まれた状態のブレーキペダル11と、ブラケット12とを示す正面図である。図10は、検出装置1の分解斜視図である。図11は、ブレーキペダルが踏み込まれていないときの検出装置1の断面図である。図12は、ブレーキペダルが踏み込まれているときの検出装置1の断面図である。
【0048】
本形態は、磁石ユニット6がシャフト2に追従して軸方向移動し、磁石62の軸方向移動を検出部91にて検出する検出装置1に関する。
【0049】
図8及び図9に示すごとく、本形態においても、第1の実施の形態と同様、検出装置1がブラケット12に取り付けられた状態において、ブレーキペダル11が、踏み込まれていない位置と最大限踏み込まれた位置との間を移動する間、シャフト2はホルダ3からの突出量を変えつつ常にブレーキペダル11のアーム部112の当接部112aに当接する。
【0050】
図10乃至図12に示すごとく、検出装置1は、シャフト2とホルダ3と磁石ユニット6とコイルばね7と基板9と磁石ユニット6とを備える。検出装置1の各構成要素について、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0051】
ホルダ3は、軸方向の基端側に開口する本体部35と、本体部35の底部から先端側に延設されるとともにシャフト2が挿入される筒状の筒状壁33とを有する。本形態において、筒状壁33は、本体部35から軸方向の先端側のみに形成されている。そして、筒状壁33に、ブラケット12に対して軸方向の位置を調整可能な調整機構330が設けられている。調整機構330については第1の実施の形態と同様である。
【0052】
磁石ユニット6は、シャフト2の基端部に軸方向に当接するよう配されている。そして、磁石ユニット6を挟んでシャフト2と反対側に、自由状態よりも軸方向に圧縮されたコイルばね7が配されている。シャフト2及び磁石ユニット6は、コイルばね7によって先端側に向かって付勢されている。これにより、磁石ユニット6は、シャフト2に追従して軸方向移動する。磁石ユニット6は、磁石保持体61と、磁石保持体61の基板9側において磁石保持体61に保持された磁石62とを有する。磁石保持体61は、コネクタユニット8の後述のガイド部813内において軸方向移動可能な形状に形成されている。
【0053】
コネクタユニット8は、基板9に接続される複数のコネクタ端子80と、複数のコネクタ端子80を保持するコネクタハウジング81とを有する。コネクタハウジング81は、相手方のコネクタに接続される嵌合部811と、磁石ユニット6の軸方向移動をガイドするガイド部813とを有する。ガイド部813は、軸方向からみたとき磁石ユニット6を囲むよう形成されており、その内側において磁石ユニット6の軸方向移動がガイドされる。複数のコネクタ端子80は、基板9に接続されている。
【0054】
基板9には、軸方向に並んで配された2つの検出部91と、制御部92とが実装されている。複数の検出部91は、磁石62の軸方向移動に伴って変化する磁気を検出する。複数の検出部91からは、磁石62の軸方向位置に応じた検出信号が出力される。すなわち、磁石62の軸方向の位置は、シャフト2の軸方向の位置によって決まるところ、検出信号は、シャフト2の軸方向の位置に応じた信号でもある。なお、検出部91の数は2つに限られず、例えば磁石62の移動範囲等に応じて適宜変更可能である。また、検出部91の構成は、前述のものに限られず、磁石62の軸方向の位置を検出可能であれば種々の構成を採用可能である。検出部91が出力する検出信号は、制御部92へ入力される。制御部92の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0055】
本形態のその他の構成は、第1の実施の形態の構成と同様である。
なお、第2の実施の形態以降において用いた符号のうち、既出の形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の形態におけるものと同様の構成要素等を表す。
【0056】
(第2の実施の形態の作用及び効果)
本形態においても、第1の実施の形態と同様の作用及び効果を有する。
【0057】
[変形例]
第1及び第2の実施の形態に関し、ブレーキペダルに対する検出装置の配置は変更可能であり、例えばブレーキペダルの下側、前方又は後方等に配されていてもよい。検出装置がブレーキペダルの前方に配された場合は、第1及び第2の実施の形態と同様、ブレーキペダルが踏み込まれる程、シャフトがホルダから飛び出る構成となる。一方、検出装置がブレーキペダルの下方又は後方に配された場合は、ブレーキペダルが踏み込まれる程、シャフトがホルダ内に押し戻される構成となる。
【0058】
また、第1及び第2の実施の形態においては、検出装置によるストローク量の検出対象のブレーキペダルとしてパット部とアーム部とを備えるいわゆる吊り下げ式のブレーキペダルを想定したが、アーム部を有さないようないわゆるオルガン式のブレーキペダルであってもよい。検出装置が、オルガン式のブレーキペダルのストローク量を検出するために用いられる場合は、検出装置は、例えばブレーキペダルの背面側に配されるとともに、シャフトがブレーキペダルの背面等に当接する姿勢にて配される。
【0059】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、前述した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。また、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…検出装置
2…シャフト
3…ホルダ
5…レバー
6…磁石ユニット
62…磁石
11…ブレーキペダル
31…底壁
311…溝部
330…調整機構
321…第1側壁
321a…シャフト挿通穴
33…筒状壁
91…検出部
92…制御部
図1
図2
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図5
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図12