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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171497
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/6471 20110101AFI20241205BHJP
   H01R 13/6587 20110101ALI20241205BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R13/6471
H01R13/6587
H01R12/71
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088532
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100172096
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 理太
(72)【発明者】
【氏名】梁瀬 智康
(72)【発明者】
【氏名】浅井 清
(72)【発明者】
【氏名】小野 直之
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA11
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC19
5E021FC40
5E021LA06
5E021LA09
5E021LA15
5E223AB02
5E223AB21
5E223AB58
5E223AB59
5E223AC18
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB12
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB39
5E223CD01
5E223DA05
5E223DB11
5E223DB25
5E223EA13
5E223EB04
5E223EB12
5E223EB32
(57)【要約】
【課題】対クロストーク性能とSパラメータ特性とを両立し、且つ、コネクタ全体の小型化を図ることができるコネクタの提供。
【解決手段】、このコネクタは、間隔d1をおいて隣り合う信号端子5,5間に隣り合う各信号端子5,5にそれぞれ対応するGND端子部材6,6を含む複数のGND端子部材6,6からなるGND端子群GGが介在され、対クロストーク性能とSパラメータ特性とを両立できるようになっている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに間隔をおいて配置された複数の信号端子と、該複数の信号端子が保持されるハウジングとを備えたコネクタにおいて、
間隔をおいて隣り合う前記信号端子間に該隣り合う各信号端子にそれぞれ対応するGND端子部材を含む複数のGND端子部材からなるGND端子群が介在されていることを特徴としてなるコネクタ。
【請求項2】
前記複数の信号端子の最外側に位置する信号端子の外側に前記GND端子部材が配置されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記GND端子群を構成する複数のGND端子部材が連結部材によって互いに連結されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
複数の前記GND端子部材が連結部材によって互いに連結されている請求項2に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記GND端子部材が前記ハウジングの外部を覆うシールドカバーに接続されている請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記GND端子部材が前記連結部材を介して前記ハウジングの外部を覆うシールドカバーに接続されている請求項3又は4に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号端子間の干渉抑止性能とSパラメータ特性との両立を図ることができるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板と基板との接続には、それぞれ間隔をおいて配置された複数の信号端子を備えたプラグとソケットとによって構成され、プラグとソケットとを互いに嵌合させることによってプラグ側の信号端子(以下、プラグ信号端子という)とソケット側の信号端子(以下、ソケット信号端子という)とを接続させる基板対基板用コネクタが広く用いられている。
【0003】
この種のコネクタにおいては、通信、自動車、その他の各産業分野における技術の高度化に伴いそれに用いる電子機器間の信号の高速化が進行し、高周波帯域で使用されることも多くなっている。
【0004】
この種の高周波帯域で用いられるコネクタでは、各信号線(信号端子)間に生じたノイズが互いに干渉(クロストーク)するおそれがあり、このような信号端子間の干渉を抑制するために、信号端子間にGND端子部材を介在させたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0005】
一方、この種の高周波帯域で用いられるコネクタの評価においては、コネクタを含むシステムの中でどのように電力(エネルギ)が伝搬するのかということを定量化するものとしてSパラメータ(Scattering Parameter)が用いられ、例えば、VSWR、インサーションロス等によって評価されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-172741号公報
【特許文献2】国際公開第2021/059970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、上述の如き高周波帯域のおける信号端子間の干渉を抑制する性能(以下、対クロストーク性能という)を満たすには、上述の従来技術のように信号端子間にGND端子部材を介在させるとともに、信号端子間に十分な間隔を確保することが望ましい。
【0008】
しかしながら、対クロストーク性能は、信号端子間の干渉を抑制するために信号端子間に十分な距離を確保すると、その分、コネクタ全体の小型化が阻害されるという課題があった。
【0009】
一方、Sパラメータ特性は、信号端子と信号端子間に介在されるGND端子部材との間の距離(以下、SG間距離という)に影響され、高周波帯域においてSG間距離が大きくなるとSG間距離が小さい場合と比べてSパラメータ特性(例えば、VSWR)が低下する懸念がある。
【0010】
即ち、この種の従来のコネクタでは、図15図16に示すように、信号端子間の距離を大きくすると、対クロストーク性能を満たすことができるが、コネクタの小型化を阻害する要因になるとともに、Sパラメータ特性に悪影響が及び、逆に信号端子間の距離を小さくするとSパラメータ特性を満たすものの、対クロストーク性能が低下し、対クロストーク性能とSパラメータ特性とを両立させることが困難であるという課題があった。
【0011】
そこで、本発明は、このような従来の問題に鑑み、対クロストーク性能とSパラメータ特性とを両立し、且つ、コネクタ全体の小型化を図ることができるコネクタの提供を目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の如き従来の問題を解決するための請求項1に記載の発明の特徴は、互いに間隔をおいて配置された複数の信号端子と、該複数の信号端子が保持されるハウジングとを備えたコネクタにおいて、間隔をおいて隣り合う前記信号端子間に該隣り合う各信号端子にそれぞれ対応するGND端子部材を含む複数のGND端子部材からなるGND端子群が介在されていることにある。
【0013】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記複数の信号端子の最外側に位置する信号端子の外側に前記GND端子部材が配置されていることにある。
【0014】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、前記GND端子群を構成する複数のGND端子部材が連結部材によって互いに連結されていることにある。
【0015】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、複数の前記GND端子部材が連結部材によって互いに連結されていることにある。
【0016】
請求項5に記載の発明の特徴は、請求項1又は2の構成に加え、前記GND端子部材が前記ハウジングの外部を覆うシールドカバーに接続されていることにある。
【0017】
請求項6に記載の発明の特徴は、請求項3又は4の構成に加え、前記GND端子部材が前記連結部材を介して前記ハウジングの外部を覆うシールドカバーに接続されていることにある。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るコネクタは、請求項1に記載の構成を具備することによって、信号端子間の距離が小さい場合であっても信号端子間の信号の干渉を好適に抑制できるとともに、Sパラメータ特性への影響が少なく、コネクタ全体の小型化を図ることができる。
【0019】
また、本発明において、請求項2に記載の構成を具備することによって、複数の信号端子の最外側に位置する信号端子の両側を好適にシールドすることができる。
【0020】
さらに、本発明において、請求項3に記載の構成を具備することによって、信号端子間に介在される複数のGND端子部材を一部品化することができ、製造工程の効率化及び対応する信号端子に対しGND端子部材を正確に位置決めすることができる。
【0021】
また、本発明において、請求項4に記載の構成を具備することによって、複数のGND端子部材を一部品化し、製造工程の効率化及び各GND端子部材を正確に位置決めすることができる。
【0022】
さらに、本発明において、請求項5乃至6に記載の構成を具備することによって、各GND端子部材とハウジングを覆うシールドカバーとをGND接続することができ、高いシールド性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係るコネクタの第一の実施態様を示す分解斜視図である。
図2図1中のソケットを示す斜視図である。
図3】同上のソケットのハウジングを除いた状態の斜視図である。
図4】同上のソケットのシールドカバーを除いた状態の拡大斜視図である。
図5図1中のプラグを示す斜視図である。
図6】同上のプラグのハウジング板を除いた状態を示す斜視図である。
図7】本願発明に係るコネクタと従来のコネクタとのSパラメータ特性を比較したグラフである。
図8】同上のクロストーク性能を比較したグラフである。
図9】本発明に係るコネクタの第二の実施態様を示す分解斜視図である。
図10図9中のプラグを示す斜視図である。
図11】同上のプラグのハウジングを除いた状態の斜視図である。
図12】同上の平面図である。
図13図9中のソケットを示す斜視図である。
図14】同上のソケットのハウジングを除いた状態の斜視図である。
図15】従来のコネクタのSS間距離によるSパラメータ特性を比較したグラフである。
図16】同上のSS間距離によるクロストーク性能を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、本発明に係るコネクタの第一の実施態様を図1図8に示した実施例に基づいて説明する。尚、図中符号1はコネクタである。
【0025】
このコネクタ1は、図1に示すように、それぞれ間隔をおいて配置された複数の信号端子(本実施例では一対)を備えたプラグ2とソケット3とによって構成され、基板に実装されたプラグ2とソケット3とを互いに嵌合させることによってプラグ2側の信号端子(以下、プラグ信号端子4,4という)とソケット3側の信号端子(以下、ソケット信号端子5,5という)とが接続され、基板間が接続されるようになっている。
【0026】
ソケット3は、図2~4に示すように、互いに間隔をおいて配置された一対のソケット信号端子5,5と、信号端子5,5間に介在された複数のGND端子部材6,6からなるGND端子群GGと、ソケット信号端子5,5及びGND端子部材6,6を保持するハウジング7と、ハウジング7の外部を覆うシールドカバー8とを備え、一体成型によりハウジング7にソケット信号端子5,5、GND端子部材6,6及びシールドカバー8が一体的に組み込まれている。
【0027】
ハウジング7は、絶縁性の合成樹脂によって直方体状に形成され、プラグ2側の表面部に長手方向に長いスリット溝状の信号端子挿入部7aが形成されている。
【0028】
ソケット信号端子5,5は、図4に示すように、導電性金属板材を打ち抜き加工することによって一体に形成され、先端部に二股状を成す一対の挟持片9,9を有する接点部10と、接点部10の一方の側縁より延出した基板接続片11とを備えている。
【0029】
ソケット信号端子5,5は、互いに所定の間隔(以下、SS間距離d1という)をおいて並列に配置され、それぞれ両挟持片9,9が信号端子挿入部7a内に露出するようにハウジング7に組み込まれている。
【0030】
接点部10は、板状の先端部に逆Ω状の切れ込みが形成され、当該切れ込みを挟んで対称に挟持片9,9が形成されている。
【0031】
挟持片9,9は、対向する内側部の先端側に内向きに突出した接点9aが形成され、信号端子挿入部7aに挿入されたプラグ信号端子4の表面部に接点9aが接触し、両挟持片9,9でプラグ信号端子4を挟持するようになっている。
【0032】
基板接続片11は、細板状に形成され、接点部10の下端側面より水平方向に延出し、ハウジング7の基板側面より露出し、基板上のパターンに接続されるようになっている。
【0033】
GND端子部材6,6は、図4に示すように、導電性金属板材を打ち抜き加工することによって一体に形成され、端部に二股状を成す一対の挟持片12,12を有するGND端子本体部13と、GND端子本体部13の両側縁より延出した一対のGND基板接続片14,14とを備えている。
【0034】
各GND端子部材6,6は、ソケット信号端子5,5間に互いに所定の間隔d1をおいて並列に配置されて隣り合う各ソケット信号端子5,5にそれぞれ対応するGND端子部材6,6を含む複数のGND端子部材6,6からなるGND端子群GGを成し、それぞれ両挟持片12,12が信号端子挿入部7a内に露出するようにハウジング7に組み込まれている。
【0035】
GND端子本体部13は、板状の先端部に逆Ω状の切れ込みが形成され、当該切れ込みを挟んで対称に挟持片12,12が形成されている。
【0036】
挟持片12,12は、対向する内側部の先端側に内向きに突出した接点12aが形成され、信号端子挿入部7aに挿入された後述するプラグ2のGND接続端子片15の表面部に接点12aが接触し、両挟持片12,12でGND接続端子片15を挟持するようになっている。
【0037】
GND基板接続片14,14は、細板状に形成され、GND端子本体部13の下端側面より水平方向に延出し、ハウジング7の基板側面より露出し、基板上のパターンに接続されるようになっている。
【0038】
また、両GND基板接続片14,14は、ハウジング7を覆うシールドカバー8と接触した状態に保持され、GND端子部材6,6がハウジング7の外部を覆うシールドカバー8に接続されている。
【0039】
シールドカバー8は、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することによって一体に形成され、平板枠状の天枠部16と、天枠部16の四辺より垂下された各側板部17~20とを備えている。
【0040】
天枠部16は、ハウジング7のプラグ2側面外縁を覆う枠上に形成され、枠内部にハウジング7のプラグ2側面及びその表面部に開口した信号端子挿入部7aが露出している。
【0041】
各側板部17~20は、天枠部16の四辺より直角方向に折り曲げられ、ハウジング7の側面部をそれぞれ覆うようになっている。
【0042】
また、各側板部18,20には、下縁より水平方向に折り曲げられた基板固着片21が支持され、基板固着片21が基板上のパターンに接続され、ソケット3全体を基板に固定するとともにGND接続できるようになっている。
【0043】
さらに、GND基板接続片14,14が露出している側の側板部18,20には、下縁にGND基板接続片14,14露出用の切り欠き部22が形成され、当該切り欠き部22内にGND基板接続片14,14の端部が露出するとともに、切り欠き部22の内縁にGND基板接続片14,14が接触することによって、各GND端子部材6,6とシールドカバー8とが接続されるようになっている。
【0044】
プラグ2は、図5に示すように、互いに間隔をおいて配置されたプラグ信号端子4,4と、プラグ信号端子4,4が保持される絶縁樹脂製のハウジング板部23と、ハウジング板部23を囲む周壁部24を有する導電性金属材からなるシールド部材25とを備え、プラグ信号端子4,4、ハウジング板部23及びシールド部材25とが一体成型によって一体化されている。
【0045】
プラグ信号端子4,4は、図6に示すように、導電性金属板材を折り曲げ加工することによって形成され、平板状の接点部26と、接点部26の下縁より水平方向に折り曲げ延出した基板接続片27とを備えている。
【0046】
このプラグ信号端子4,4は、接点部26の板厚方向をソケット信号端子5,5の接点部10の板厚方向と直交する方向に向けて互いにソケット信号端子5,5間の距離d1に合わせた所定の間隔をおいて並列に配置され、接点部26の先端側をハウジング板部23のソケット3側面より突出させるとともに、基板接続片27をハウジング板部23に形成された開口部を通して基板側面より露出させた状態でハウジング板部23に組み込まれている。
【0047】
シールド部材25は、導電性金属材をプレス加工することによって一体に形成され、平板状の底板部28と、底板部28の周縁より筒状の立ち上げた周壁部24とによってソケット3側が開口した有底箱状に形成されている。
【0048】
底板部28は、矩形状の開口部29が形成され、開口部29の一内縁にL字状のGND接続端子片15が一体に支持され、開口部29のGND接続端子片15の両側にGND接続端子片15を挟んでプラグ信号端子4,4が配置されるようになっている。
【0049】
GND接続端子片15は、開口部29の内縁より水平方向中央側に延出した延出部30と、延出部30の先端より垂直方向に折り曲げられて延出した板状のGND接続端子本体部31とを備え、GND接続端子本体部31がハウジング板部23のソケット3側面より突出するようになっている。
【0050】
周壁部24は、開口側縁部に外向きに張り出したフランジ状の案内部24aが形成され、案内部24aに誘導されてソケット3が周壁部24内に誘導されるようになっている。
【0051】
ハウジング板部23は、絶縁性樹脂によって平板状に形成され、シールド部材25の内底部に組み込まれるとともに、プラグ信号端子4,4及びGND接続片を接点部26及びGND接続端子本体部31が突出した状態で保持するようになっている。
【0052】
このコネクタ1は、プラグ2とソケット3とを嵌合させると、ソケット3がシールド部材25の周壁部24内に挿入され、シールドカバー8とシールド部材25とが接触するとともに、周壁部24の内底部に配置されたハウジング板部23より突出したプラグ信号端子4,4の接点部26及びGND接続端子本体部31がソケット3の信号端子挿入部7a内に挿入され、各プラグ信号端子4,4とそれに対応するソケット信号端子5,5とが接続され、GND接続端子片15が両GND端子部材6,6と接続される。
【0053】
そして、このコネクタ1では、間隔をおいて隣り合うソケット信号端子5,5間に隣り合う各ソケット信号端子5,5にそれぞれ対応するGND端子部材6,6を含む複数のGND端子部材6,6からなるGND端子群GGが介在されるようになっている。
【0054】
この種の従来のコネクタでは、図16に示すように、信号端子間の距離(以下、SS間距離という)が小さくなると信号端子間の干渉抑制(クロストーク性能)が低下し、クロストーク性能を満たすSS間距離を確保すると、図15に示すように、信号端子間に配置されたGND端子部材6,6と信号端子との距離(以下、SG間距離という)が大きくなるためSパラメータ特性が低下する。
【0055】
これに対し、本願発明に係るコネクタ1では、間隔をおいて隣り合うソケット信号端子5,5間に隣り合う各ソケット信号端子5,5にそれぞれ対応するGND端子部材6,6を含む複数のGND端子部材6,6からなるGND端子群GGが介在されることによって、SS間距離d1が同じであれば、SG間距離d2を短くすることができ、図7図8に示すように、従来例に比べ、遜色なく、且つ、部分的に優れたクロストーク性能を確保しつつ、Sパラメータ特性の向上を図り、クロストーク性能とSパラメータ特性との両立を図ることができる。
【0056】
尚、上述の実施例では、ソケット信号端子5,5間にGND端子群GGに介在された場合について説明したが、各GND端子部材6,6がシールドカバー8と接続されているので、各ソケット信号端子5,5の外側にGND端子部材6,6が配置され、各ソケット信号端子5,5がGND端子部材6,6に挟まれた場合と同様のシールド効果が発揮される。
【0057】
また、各ソケット信号端子5,5の外側(GND端子群GGとは反対側)にGND端子部材6,6と同型のGND端子部材6を配置してもよい。
【0058】
さらに、上述の実施例では、GND端子群GGを構成するGND端子部材6,6がそれぞれ独立して設けられた場合について説明したがた、特に図示しないが、GND端子部材6,6間を連結部材によって連結し両GND端子部材6,6を一体化させておいてもよい。
【0059】
尚、本発明に係るコネクタ1の態様は、上述の実施例に限定されず、信号端子及びGND端子部材6,6の形状、配置及び数量等を使用態様に合わせて適宜設定することができ、例えば、図9図14に示すような態様とすることができる。
【0060】
このコネクタ40は、図9に示すように、それぞれ間隔をおいて配置された複数の信号端子を備えたプラグ41とソケット42とによって構成され、基板に実装されたプラグ41とソケット42とを互いに嵌合させることによってプラグ41側の信号端子(以下、プラグ信号端子43,43…という)とソケット42側の信号端子(以下、ソケット信号端子44,44…という)とが接続され、基板間が接続されるようになっている。
【0061】
プラグ41は、図10図11に示すように、突条状の嵌合凸体52,52を有するハウジング45と、嵌合凸体52,52の表面部に接点部10が露出するようにハウジング45に保持され、互いに間隔をおいて配置された複数のプラグ信号端子43,43…と、隣り合うプラグ信号端子43,43間に介在される複数のGND端子部材46,46…からなる複数のGND端子群GGと、ハウジング45の外部を囲むシールドカバー47とを備え、プラグ信号端子43,43…、ハウジング45、GND端子部材46,46…及びシールドカバー47が一体的に組み込まれている。
【0062】
シールドカバー47は、導電性金属板材を打ち抜き・折り曲げ加工することによって一体に形成され、開口部48を有する矩形枠状の底板部49と、底板部49の四辺より垂直に立ち上げた側板部50、50…とを備えている。
【0063】
ハウジング45は、絶縁性樹脂によって形成され、平板状の基板部51と、基板部51の幅方向に間隔をおいて並列配置される一対の嵌合凸体52,52とを備え、嵌合凸体52,52にそれぞれプラグ信号端子43,43…が露出した状態で保持されている。
【0064】
プラグ信号端子43,43…は、導電性金属材を打ち抜き・折り曲げ加工することによって形成され、細板状の基板接続片53と、基板接続片53の一端に垂直に支持された接点部54とを備え、基板接続片53をハウジング45の基板側面より露出させるとともに、接点部54の表面を嵌合凸体52の表面部に露出させた状態でハウジング45に埋設・保持されている。
【0065】
各プラグ信号端子43,43…は、シールドカバー47の開口部48内に各嵌合凸体52,52に対しそれぞれ長手方向で互いに所定の間隔をおいて並列配置されている。
【0066】
GND端子部材46,46…は、導電性金属板材によって形成され、細板状の支持部55と、支持部55の先端に支持されたS字状の接触片部56とを備え、接触片部56が嵌合凸体52の表面部に露出するようにハウジング45に保持されている。
【0067】
各GND端子群GGを成すGND端子部材46,46…は、間隔をおいて隣り合うプラグ信号端子43,43間に各プラグ信号端子43,43に隣接して配置され、それぞれプラグ信号端子43,43に対応するGND端子部材46,46を含む複数のGND端子群GGを形成している。
【0068】
また、GND端子部材46,46は、複数のプラグ信号端子43,43…の最外側に位置するプラグ信号端子43,43…の外側にも配置され、プラグ信号端子43の両側がGND端子部材46,46によって挟まれるようになっている。
【0069】
即ち、図12に示すように、プラグ信号端子43,43…(S)とGND端子部材46,46…(G)とが、各嵌合凸部において、GSGGSGGSGGSのように配列されている。
【0070】
各GND端子部材46,46…は、それぞれ平板帯状の連結部材57側縁に支持部55の基端が一体に支持され、連結部材57に全てのGND端子部部材が所定の配置で支持され、連結部材57がシールドカバー47の開口部48内中央に配置され、ハウジング45に埋設されることによって、各GND端子部材46,46…が所定の位置に配置されるようになっている。
【0071】
連結部材57は、両端部に上向きに延出したシールドカバー接触片58,58が形成され、所定の位置に連結部材57を配置することによって各シールドカバー接触片58,58が開口部48の内縁に当接され、連結部材57を介して各GND端子部材46,46…がシールドカバー47と接続されるようになっている。
【0072】
ソケット42は、図13図14に示すように、嵌合凸体52,52が挿入される嵌合溝部60,60を有するハウジング61と、嵌合溝部60,60内に所定の間隔をおいて配置された複数のソケット信号端子44,44…と、ハウジング61の外部を覆うシールド部材62とを備え、ハウジング61、ソケット信号端子44,44…及びシールド部材62が一体的に組み込まれている。
【0073】
ハウジング61は、絶縁性樹脂によって形成され、中央に突条状の隔壁部63が突設されるとともに、隔壁部63の両側に隔壁と間隔をおいて側壁部64,64が突設され、隔壁部63と側壁部64,64との間に嵌合溝部60,60が形成されている。
【0074】
シールド部材62は、導電性金属材をプレス加工することによってプラグ41側が開口した有底箱状に形成され、底板部に各嵌合溝部60,60の位置に合わせて一対の開口部62a,62aが形成されている。
【0075】
また、シールド部材62には、開口部62a,62aを隔てる帯状の連結部材65の側縁に複数のGND接続片66,66…が一体に支持され、GND接続片66,66…の表面部が隔壁部63の両側面に露出し、プラグ41側のGND端子部材46,46…と接触するようになっている。
【0076】
GND端子群GGに対応するGND接続片66,66…は、GND端子群GGを構成する全GND端子部材46,46…の幅よりも広く形成され、GND端子群GGを構成する全GND端子部材46,46…が接続できるようになっている。
【0077】
尚、図中符号67は、隔壁部63に埋設されたシールド板材であって、シールド板材67によって各嵌合溝部60,60内に保持される信号端子間の信号の干渉を抑制するようになっている。
【0078】
ソケット信号端子44,44…は、細板状の基板接続片68と、基板接続片68の一端より垂直方向に延出し、側壁部64,64に固定される固定片69と、基板接続片53の他端に支持された弾性接触部70とを備え、開口部62a内に互いに所定の間隔をおいて配置され、基板接続片68がハウジング45の基板側面より露出した状態でハウジング45に保持されている。
【0079】
弾性接触部70は、基板接続片53の一端より垂直方向に折り曲げた弾性支持部70aと、弾性支持部70aの先端より円弧状に折り返された接点部70bとを備え、隔壁部63に形成された端子挿入溝内に配置され、嵌合溝部60内に挿入されたプラグ信号端子43,43…の接点部54に対し弾性接触するようになっている。
【0080】
このように構成されたコネクタ40は、上述の実施例と同様に、複数のプラグ信号端子43,43…間に隣り合う各信号端子にそれぞれ対応するGND端子部材46,46…を含む複数のGND端子部材46,46…からなるGND端子群GGが介在されているので、SS間距離をクロストーク性能を満たす最小限の幅とした場合であっても、SG間距離を短くすることができ、クロストーク性能を確保しつつ、Sパラメータ特性の向上を図り、クロストーク性能とSパラメータ特性との両立を図ることができる。
【0081】
尚、信号端子間にGND端子群GGを介在させる構成は、プラグ41及びソケット42のいずれに設けてもよく、プラグ41及びソケット42の双方に設けてもよい。
【符号の説明】
【0082】
1 コネクタ
2 プラグ
3 ソケット
4 プラグ信号端子
5 ソケット信号端子
6 GND端子部材
7 ハウジング
8 シールドカバー
9 挟持片
10 接点部
11 基板接続片
12 挟持片
13 GND端子本体部
14 GND基板接続片
15 GND接続端子片
16 天枠部
17~20 側板部
21 基板固着片
22 切り欠き部
23 ハウジング板部
24 周壁部
25 シールド部材
26 接点部
27 基板接続片
28 底板部
29 開口部
30 延出部
31 GND接続端子本体部
40 コネクタ
41 プラグ
42 ソケット
43 プラグ信号端子
44 ソケット信号端子
45 ハウジング
46 GND端子部材
47 シールドカバー
48 開口部
49 底板部
50 側板部
51 基板部
52 嵌合凸体
53 基板接続片
54 接点部
55 支持部
56 接触片部
57 連結部材
58 シールドカバー接触片
60 嵌合溝部
61 ハウジング
62 シールド部材
63 隔壁部
64 開口部
65 連結部材
66 GND接続片
67 シールド板材
68 基板接続片
69 固定片
70 弾性接触部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11
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図16