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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001715
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/22 20060101AFI20231227BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20231227BHJP
   H01Q 1/44 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01Q1/22 Z
H05K7/20 B
H05K7/20 H
H01Q1/44
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100561
(22)【出願日】2022-06-22
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-09-21
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 修
(72)【発明者】
【氏名】糸山 水季
(72)【発明者】
【氏名】渡村 憲司
【テーマコード(参考)】
5E322
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322BA01
5E322BB03
5E322DB10
5E322EA11
5J046AA02
5J046AA07
5J046AA12
5J046AB06
5J046SA00
5J047AA02
5J047AA07
5J047AA12
5J047AB06
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能と冷却フィンによる好適な冷却性能とを両立することができ、さらに、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバー50と、ルーバー50における外側面に設けられたアンテナエレメント60と、ルーバー50と送風ファン38との間に配置されている冷却フィン42とを有する。冷却フィン42は、側面視で横方向に関してアンテナエレメントと略重なるアンテナ重複部80と、アンテナ重複部80を挟んだ両側のアンテナ非重複部82とに区分され、アンテナ非重複部82はアンテナ重複部80よりも送風ファン38の排気方向に向けて突出している突出部82aを有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
扁平形状の筐体と、
前記筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバーと、
前記筐体内に設けられて前記ルーバーから排気をする送風ファンと、
前記ルーバーにおける前記送風ファンとは反対側の面に設けられたアンテナエレメントと、
少なくとも一部が前記ルーバーと前記送風ファンとの間に配置されている金属材の冷却フィンと、
を有し、
前記アンテナエレメントは少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、
前記冷却フィンは、側面視で横方向に関して前記アンテナエレメントと略重なるアンテナ重複部と、前記アンテナ重複部を挟んだ両側のアンテナ非重複部とに区分され、
前記アンテナ非重複部は前記アンテナ重複部よりも前記送風ファンの排気方向に向けて突出している突出部を有し、
前記突出部は前記ルーバーの近傍まで突出しており、
前記ルーバーにおけるアンテナエレメントが設けられている面を基準としてアンテナ重複部までの距離は、突出部までの距離よりも長くなっている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナエレメントは、側面視で横方向に関して前記アンテナ重複部の幅の範囲内にある
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記ルーバーは前記筐体に固定されるユニット式であって、
前記筐体の厚み方向に延在する複数の縦壁と、
前記筐体の横方向に延在する横壁と、
を有し、
前記アンテナエレメントの少なくとも一部は前記横壁に沿って設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記アンテナ重複部と前記ルーバーとの間には空間部が確保されている
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却フィンに風を当てながら排気する送風ファンと、アンテナとを有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PC(ノートブック型パーソナルコンピュータ)のような電子機器は、WWAN(Wireless Wide Area Network)やWLAN(Wireless Local Area Network)等の各種無線通信のアンテナを搭載している。アンテナエレメントは筐体の側面に設けると外部との送受信を行うのに障壁がなくて好適である(特許文献1参照)。
【0003】
また、ノート型PCはCPU等の発熱体を搭載しており、筐体内に冷却モジュールを搭載し、発熱体が発生する熱を吸熱し外部に放熱する。放熱手段としては、例えば発熱体の熱を冷却フィンに伝熱し、さらに送風ファンで風を当てて排気口から排気・排熱する(特許文献2参照)。排気口には筐体の強度担保、異物進入の防止および通風などを目的としたルーバーが設けられることが多い。ルーバーは、例えば樹脂材で構成される。冷却フィンは一般的に伝熱性を考慮して金属材で構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6890702号公報
【特許文献2】特開2022-059833号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノート型PCには小型化の要請がある。ところが、アンテナエレメントおよび排気口はいずれも筐体の側面部分に設けられることがあり、しかも筐体の四周の全長は限られていることから両者が所定の長さ範囲を占有させると一層の小型化は困難となる。また、アンテナエレメントについてはなるべくレイアウトスペースを削減できることが望ましいが送受信波長などの関係上から極度に小型化することは難しい。このため、アンテナエレメントをルーバーに設けることが検討されている。これによりアンテナエレメントが単体で所定のスペースを占有することがなくなり、筐体内のレイアウト自由度が高まる。
【0006】
しかしながらルーバーの近傍には冷却フィンが存在している。冷却フィンは金属材であることから電波の送受信に影響を与えることがないようにアンテナエレメントからある程度離間させることが望ましい。アンテナエレメントと冷却フィンとを離間させるためには、冷却フィンを短くすることが考えられるが冷却能力は低減してしまう。また、冷却フィンを所定の長さに維持したままアンテナエレメントから単純に離間させて両者間に空間部を設けると、いわゆるデッドスペースが発生してしまって小型化の要請に反することになる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能と冷却フィンによる好適な冷却性能とを両立することができ、さらに、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、電子機器であって、扁平形状の筐体と、前記筐体の側面に設けられた横長形状で樹脂材のルーバーと、前記筐体内に設けられて前記ルーバーから排気をする送風ファンと、前記ルーバーにおける前記送風ファンとは反対側の面に設けられたアンテナエレメントと、少なくとも一部が前記ルーバーと前記送風ファンとの間に配置されている金属材の冷却フィンと、を有し、前記アンテナエレメントは少なくとも一部が横方向に延在する形状であり、前記冷却フィンは、側面視で横方向に関して前記アンテナエレメントと略重なるアンテナ重複部と、前記アンテナ重複部を挟んだ両側のアンテナ非重複部とに区分され、前記アンテナ非重複部は前記アンテナ重複部よりも前記送風ファンの排気方向に向けて突出している突出部を有し、前記突出部は前記ルーバーの近傍まで突出しており、前記ルーバーにおけるアンテナエレメントが設けられている面を基準としてアンテナ重複部までの距離は、突出部までの距離よりも長くなっている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の上記態様によれば、冷却フィンの突出部は前記ルーバーの近傍まで突出していることから適度な長さが確保されて好適な冷却性能が得られる。一方、アンテナエレメントからアンテナ重複部までの距離は突出部までの距離よりも長くなっていることから、この部分での冷却フィンのアンテナエレメントに対する電磁的影響は低減され、アンテナエレメントによる好適な電波の送受信性能が得られる。アンテナエレメントはルーバーに設けられることから、アンテナエレメント単体でスペースを占有することがなく、筐体の小型化やレイアウト自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、下カバー材を取り外して内部を露呈させた状態の筐体の底面図である。
図3図3は、排気構造の斜視図である。
図4図4は、排気構造の分解斜視図である。
図5図5は、ルーバーを斜め上方から見た斜視図である。
図6図6は、ルーバーを上カバー材に取り付ける様子を示す斜視図である。
図7図7は、アンテナエレメントと冷却フィンとの位置関係を示す模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、電子機器10は、ディスプレイ筐体12と筐体14とをヒンジ16で相対的に回動可能に連結したクラムシェル型のノート型PCである。本発明に係る電子機器は、ノート型PC以外、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0013】
ディスプレイ筐体12は、筐体14よりも薄い扁平な箱体である。ディスプレイ筐体12には、ディスプレイ18が搭載されている。ディスプレイ18は、例えば有機EL(OLED:Organic Light Emitting Diode)や液晶で構成される。
【0014】
以下、筐体14及びこれに搭載された各構成要素について、図1に示すようにディスプレイ筐体12を所定角度に開いてディスプレイ18を視認する状態を基準とし、手前側を「前」、奥側を「後」、幅方向を「左右」、厚み方向を上下または「縦」、と呼んで説明する。また、後述する排気構造56の説明では筐体14の厚み方向に直交する方向を「横」とする。
【0015】
筐体14は、その後端部にヒンジ16が連結されている。筐体14は、上面及び四周側面を形成する上カバー材20と、下面を形成する下カバー材22とで構成されている。筐体14は上カバー材20と下カバー材22とが組み合わさって扁平な箱体をなしている。筐体14の上面には、キーボード24及びタッチパッド26が設けられている。
【0016】
図2は、下カバー材22を取り外して内部を露呈させた状態の筐体14の底面図である。冷却モジュール28は、筐体14内のマザーボード30に実装された発熱体32が発生する熱を吸熱及び拡散し、さらに筐体14外へと放熱する冷却装置である。発熱体32は、例えばCPU,GPUなどである。マザーボード30は発熱体32等の各種半導体チップが実装されたプリント基板である。発熱体32は筐体14内で最大級の発熱体である。冷却モジュール28は、2本のヒートパイプ34,36と、2個の送風ファン38,40と、2つの冷却フィン42,44と、ヒートスプレッダ46とを備える。図2の符号48はバッテリーである。
【0017】
ヒートパイプ34,36はパイプ状の熱輸送装置である。ヒートパイプ34,36は、一部が近接又は当接した状態で並列されている。ヒートパイプ34は一端が発熱体32から吸熱可能に配置され他端が冷却フィン42と熱的につながっている。ヒートパイプ36は一端が発熱体32と熱的に接続され、他端が冷却フィン44と熱的に接続されている。発熱体32とヒートパイプ34,36との間には伝熱材や放熱材が介在していてもよい。ヒートパイプ34,36は、それぞれ扁平な金属パイプの内部に形成された密閉空間に作動流体を封入した構成であり、密閉空間内で作動流体が相変化を生じながら流通し、これにより効率よく熱を輸送する。
【0018】
送風ファン38,40は、ヒートパイプ34,36が輸送した熱を冷却フィン42,44を介し、ルーバー50,52から外へと排気・放熱するものである。ルーバー50,52は筐体14の外壁の一部を形成するように設けられている。本実施の形態ではルーバー50,52が排気口を兼ねているが、筐体14の外壁に排気口を設けてその内部にルーバー50,52を設けてもよい。
【0019】
送風ファン38,40は筐体14の後端近傍で、且つ左右に分かれて配置されている。送風ファン38,40は扁平形状の筐体14に適合した平型形状となっている。ルーバー50は送風ファン38の排気位置に対応した箇所に形成されており、冷却フィン42はルーバー50と送風ファン38との間に設けられている。ルーバー52は送風ファン40の排気位置に対応した箇所に形成されており、冷却フィン44はルーバー52と送風ファン40との間に設けられている。冷却フィン42,44は送風ファン38,40と一体的に構成されていてもよい。送風ファン38,40の各下面の縁部はスポンジ材54で囲われている。スポンジ材54は下カバー材22に当接し、空気の逆流を防止している。送風ファン38,40は下カバー材22に形成された吸気口(図示略)から吸気をする。
【0020】
次に、送風ファン38から送風して冷却フィン42の熱をルーバー50から排気・放熱する排気構造56の構成について説明する。なお、送風ファン40から送風して冷却フィン44の熱をルーバー52から排気・放熱する排気構造58(図1参照)の構成については同様であるために詳細な説明を省略する。
【0021】
上記のとおり、排気構造56の説明では筐体14の厚み方向を「縦」とし、それに直交する方向を「横」とする。本実例における排気構造56の「横方向」は左右方向であるが、送風ファン40からの排気が左右方向に沿う場合には、「横方向」は筐体14の前後方向になる。
【0022】
図3は、排気構造56の斜視図である。図4は、排気構造56の分解斜視図である。図5は、ルーバー50を斜め上方から見た斜視図である。図6は、ルーバー50を上カバー材20に取り付ける様子を示す斜視図である。排気構造56は上記の送風ファン38、ルーバー50および冷却フィン42を含み、さらにルーバー50に設けられたアンテナエレメント60を含むものとする。アンテナエレメント60は、識別が容易となるように適宜ドット地で示す。
【0023】
ルーバー50は筐体14の後側面に開口するように設けられた横長形状の樹脂材である。ルーバー50は筐体14の強度担保、異物進入の防止および送風ファン38の通風などを目的としている。ルーバー50は筐体14に固定されるユニット式であり、単体でアンテナエレメント60を設けるのに好適である。本実施例ではルーバー50は樹脂材62の一部として形成されている。樹脂材62は送風ファン38の排気口に相当する箇所がルーバー50となっているが、それ以外の中央側部分62aを含んでいる。ルーバー50は中央側部分62aとは独立した構成であってもよい。ルーバー50は中央側部分62aを介して反対側のルーバー52と一体の構成であってもよい。ルーバー50は基本的に樹脂による一体成型品であるが、成型の都合などによっては複数部材で形成するようにしてもよい。
【0024】
ルーバー50は上壁64、下壁66、横壁68および複数の縦壁70を有している。上壁64は上カバー材20の内面20aに当接する。下壁66は下カバー材22の内面22aに当接する。上カバー材20は、全面、又は少なくともルーバー50に当接する箇所とその周辺部が金属材であるものとする。
【0025】
ルーバー50には4箇所のビス止め片72a,72b,72c,72dが形成されている。ビス止め片72a~72dは上カバー材20に対してルーバー50をビスBで固定する部分である。ビス止め片72a~72dは略等間隔に形成されており、このうちのビス止め片72a,72bは左右両端にある。ビス止め片72b,72cは、上壁64の一部を兼ねている。
【0026】
上壁64にはアンテナエレメント60に対応したアンテナグランド74が設けられている。アンテナグランド74はビス止め片72b,72cのビス孔を含む箇所に形成されており、ビス止めによって上カバー材20と接触して導通する。アンテナグランド74におけるビス止め片72b,72c以外の部分には導電性のスポンジ材75が設けられており、該スポンジ材75を介して上カバー材20と導通する。スポンジ材75は、例えば導電性粘着テープによって上壁64に固定されている。上カバー材20におけるルーバー50との当接箇所は塗装など被膜のない金属露呈部20aaが形成されていて導通可能となっている。
【0027】
下壁66における筐体14内部の側には段差部66aが形成されている。段差部66aにはカバー片76(図3参照)が嵌め込まれて固定される。複数の縦壁70は、上壁64と下壁66とに亘って設けられていて、ルーバー50および筐体14の強度を担保している。縦壁70のうち左右両端のものはルーバー50の側壁となっている。複数の縦壁70は送風ファン38の風をほぼ妨げない程度の数であって、不等間隔に設けられている。
【0028】
横壁68は、上壁64と下壁66との中間部でルーバー50の横方向全長に亘って設けられている。横壁68は複数の縦壁70と交差している。横壁68における筐体14内部の側は、送風ファン38の風の抵抗を軽減させるために鋭角状の断面を形成している。
【0029】
アンテナエレメント60は、ルーバー50の横壁68における外側面(つまり、送風ファン38とは反対側の面)に設けられている。アンテナエレメント60の横幅W1は対応する電波周波数などによって決定される。本実施例では横幅W1はルーバー50の横幅W2の約半分である。アンテナエレメント60は、横壁68に沿って形成される横幅W1の主部60a以外に、縦壁70に沿った短い副部60bを有している。換言すると、アンテナエレメント60の少なくとも一部は横壁68に沿って設けられている。アンテナエレメント60は、例えばLDS(Laser Direct Structuring)や金属箔などによって形成される。符号78はアンテナエレメント60のフィード線である。
【0030】
図4に示すように、冷却フィン42はブロック形状であって金属材の薄板で構成されている。冷却フィン42は送風ファン38の送風口に対応した形状であって、上板42aと、下板42bと、これらの間に亘って設けられる複数の縦板42cとを有する。縦板42cは板面が送風ファン38による風に沿う向きになっており、多数が横方向に狭い間隔で並んでいる。下板42bはヒートパイプ34の端部と溶接等で固定されている。
【0031】
冷却フィン42は、後方(送風ファン38の排気方向)から見た側面視で横方向に関してアンテナエレメント60と略重なるアンテナ重複部80と、アンテナ重複部80を挟んだ両側のアンテナ非重複部82とに区分される。アンテナ非重複部82はアンテナ重複部80よりも後方に向けて突出している突出部82aを有する。突出部82aはルーバー50の近傍まで突出している。アンテナ重複部80とルーバー50との間には空間部84が確保されている。
【0032】
また換言すれば、ルーバー50におけるアンテナエレメント60が設けられている後面50a(図3参照)を基準としてアンテナ重複部80までの距離L1は、突出部82aまでの距離L2よりも長くなっている。送風ファン38の風を遮らない形状であれば、空間部84には何らかの樹脂部材が設けられていてもよい。突出部82aおよび空間部84は上方が上カバー材20で覆われ、下方がカバー片76(図3参照)によって覆われている。アンテナエレメント60は、側面視で横方向に関してアンテナ重複部80の幅W3の範囲内にある。
【0033】
図7は、アンテナエレメント60と冷却フィン44との位置関係を示す模式斜視図である。アンテナエレメント60はルーバー50に固定されているが、アンテナエレメント60と冷却フィン44との位置関係が分かりやすいように図7ではルーバー50を省略している。図7はアンテナエレメント60の右端とその周辺部を示しているが、左端についてはほぼ対称構造となっている。図7に示すように、アンテナエレメント60と突出部82aとの間は横方向に適度な幅W4が確保されている。
【0034】
このように構成される電子機器10では、アンテナエレメントがルーバー50に設けられていることから、アンテナエレメント60が単体で所定のスペースを占有することがなくなり、筐体14の小型化が可能になる。また、筐体14内のレイアウト自由度が高まり、例えばバッテリー48を大型化することができる。アンテナエレメント60は筐体14の側面に設けられるため、外部との送受信を行うのに障壁がなくて好適である。
【0035】
アンテナ非重複部82はアンテナ重複部80よりも突出している突出部82aを有しており、好適な冷却性能が得られる。突出部82aはルーバー50の近傍まで突出しておりスペースの無駄がない。アンテナエレメント60が設けられている後面50aを基準としてアンテナ重複部80までの距離L1は、突出部82aまでの距離L2よりも長くなっていることから、該アンテナ重複部80のアンテナエレメント60に対する電波送受信の影響を低減させることができる。特に、アンテナエレメント60は側面視で横方向に関してアンテナ重複部80の幅の範囲内にあって、アンテナ重複部80がアンテナエレメント60に対する電磁的影響が少ない。
【0036】
ただし、距離L1が十分に長く確保できる場合などの条件によっては、アンテナエレメント60が側面視で横方向に関してンテナ重複部80より多少はみ出ていてもよい。アンテナ重複部80とルーバー50との間には金属のない空間部84が確保されていて、適度な距離L1が確保される。このように、電子機器10では、アンテナエレメント60による好適な電波の送受信性能と冷却フィン42による好適な冷却性能とを両立することができる。
【0037】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0038】
10 電子機器
14 筐体
20 上カバー材
22 ルーバー
22 下カバー材
32 発熱体
34,36 ヒートパイプ
38,40 送風ファン
42,44 冷却フィン
42a 上板
42b 下板
42c 縦板
50,52 ルーバー
60 アンテナエレメント
60a 主部
60b 副部
64 上壁
66 下壁
68 横壁
70 縦壁
74 アンテナグランド
80 アンテナ重複部
82 アンテナ非重複部
82a 突出部
84 空間部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7