(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017150
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】インダクタ
(51)【国際特許分類】
H01F 17/00 20060101AFI20240201BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01F17/00 D
H01F17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119601
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 駿也
(72)【発明者】
【氏名】飛田 和哉
(72)【発明者】
【氏名】數田 洋一
(72)【発明者】
【氏名】志賀 悠人
(72)【発明者】
【氏名】田久保 悠一
(72)【発明者】
【氏名】郭 旭冉
(72)【発明者】
【氏名】小林 創
(72)【発明者】
【氏名】松浦 利典
(72)【発明者】
【氏名】占部 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】濱地 紀彰
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB03
5E070BA01
5E070CB02
5E070CB13
(57)【要約】
【課題】素体の強度を維持しつつ寄生容量を低減することができるインダクタを提供する。
【解決手段】 第一誘電材料13は第二誘電材料15に比べて、高い誘電率を有し、かつ、高い強度を有する。そのため、素体10の内部に設けられたコイル30の周囲に第一誘電材料13を配置することで、高強度の素体10を得ることができる。しかしながら、素体10の全体を第一誘電材料13で構成すると、たとえばコイル30のターン間に大きな寄生容量が生じ、素子特性の低下を招き得る。インダクタ1においては、コイル30の周囲に高強度の第一誘電材料13を配置しつつ、寄生容量が生じやすいコイル30のターン間に、第二領域14の第二誘電材料15を選択的に配置することで、素体10の強度を維持しつつ寄生容量の低減が実現されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層を含む素体と、
前記素体内に設けられ、前記複数の誘電体層の積層方向に積層された積層構造を有し、かつ、前記積層方向に並んだ複数のターンを含むコイルと
を備え、
前記誘電体層が、第一誘電材料で構成された第一領域と、前記第一誘電材料の誘電率よりも低い誘電率を有する第二誘電材料で構成された第二領域とを含み、
前記積層方向において隣り合う前記コイルのターン間の少なくとも一部に、前記誘電体層の第二領域が位置している、インダクタ。
【請求項2】
前記コイルが複数の導体パターンで構成されており、
前記複数の導体パターンが、前記積層方向から見たときのパターン形状が互いに異なる少なくとも3種類の導体パターンを含む、請求項1に記載のインダクタ。
【請求項3】
前記積層方向において隣り合う前記導体パターンは、端部同士が重なっており直接接している、請求項2に記載のインダクタ。
【請求項4】
前記誘電体層の第二領域が複数重なっている、請求項1~3のいずれか一項に記載のインダクタ。
【請求項5】
前記第一誘電材料で構成された前記第一領域の強度が、前記第二誘電材料で構成された前記第二領域の強度より高い、請求項1に記載のインダクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インダクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の誘電体層で構成された素体内に積層構造を有するコイルが設けられたインダクタが知られている(たとえば下記特許文献1)。このようなインダクタの一種として、複数の誘電体層の積層方向に並んだ複数のターンを含むコイルを備えたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したインダクタでは、素体を構成する誘電体層の材料として誘電率が比較的低い誘電材料を採用した場合には、コイルの寄生容量は小さくなるものの、素体の十分な強度を確保することが難しい。逆に、誘電率が比較的高い誘電材料を採用した場合には、素体の強度は高まるものの、コイルの寄生容量の増大につながる。
【0005】
本発明の一側面は、素体の強度を維持しつつ寄生容量を低減することができるインダクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るインダクタは、積層された複数の誘電体層を含む素体と、素体内に設けられ、複数の誘電体層の積層方向に積層された積層構造を有し、かつ、積層方向に並んだ複数のターンを含むコイルとを備え、誘電体層が、第一誘電材料で構成された第一領域と、第一誘電材料の誘電率よりも低い誘電率を有する第二誘電材料で構成された第二領域とを含み、積層方向において隣り合うコイルのターン間の少なくとも一部に、誘電体層の第二領域が位置している。
【0007】
上記インダクタにおいては、寄生容量が生じやすいコイルのターン間に、第二誘電材料で構成された誘電体層の第二領域を選択的に配置することで、第一誘電材料で構成された第一領域において素体の強度を維持しつつ寄生容量の低減が図れている。
【0008】
他の側面に係るインダクタでは、コイルが複数の導体パターンで構成されており、複数の導体パターンが、積層方向から見たときのパターン形状が互いに異なる少なくとも3種類の導体パターンを含む。
【0009】
他の側面に係るインダクタでは、積層方向において隣り合う導体パターンは、端部同士が重なっており直接接している。
【0010】
他の側面に係るインダクタでは、誘電体層の第二領域が複数重なっている。
【0011】
他の側面に係るインダクタでは、第一誘電材料で構成された第一領域の強度が、第二誘電材料で構成された第二領域の強度より高い。
【発明の効果】
【0012】
本発明の種々の側面によれば、素体の強度を維持しつつ寄生容量を低減することができるインダクタが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係るインダクタを示す概略斜視図である。
【
図5】第2導体パターンが設けられた誘電体層を示した図である。
【
図6】第3導体パターンが設けられた誘電体層を示した図である。
【
図7】第4導体パターンが設けられた誘電体層を示した図である。
【
図10】
図2に示したコイルのX-X線断面図である。
【
図11】
図2に示したコイルのXI-XI線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明を実施するための形態を説明する。図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明は省略する。
【0015】
実施形態に係るインダクタ1は、
図1、2に示すように、素体10と、素体10の表面に設けられた一対の外部端子20A、20Bと、素体10内に埋設されたコイル30とを備えて構成されている。
【0016】
素体10は、略直方体状の外形を有し、6つの面10a~10fを有する。素体10は、一例として、長辺0.37mm、短辺0.18mm、高さ0.18mmの寸法で設計される。素体10の面10a~10fのうち、端面10aと端面10bとが互いに平行であり、上面10cと下面10dとが互いに平行であり、側面10eと側面10fとが互いに平行である。素体10の下面10dは、インダクタ1が実装される実装基板の実装面と平行に対向する面である。
【0017】
素体10は、誘電体で構成されており、具体的には複数の誘電体層11が積層された積層構造を有する。複数の誘電体層11はいずれも上面10cおよび下面10dに対して平行に延在しており、素体10の上下方向(上面10cと下面10dとの対面方向)に積層されている。本実施形態では、素体10は12層の誘電体層11で構成されている。
【0018】
一対の外部端子20A、20Bは、素体10の端面10a、10bの全領域をそれぞれ覆っている。各外部端子20A、20Bは、端面10a、10b近傍の上面10c、下面10dおよび側面10e、10fを覆う部分を含み、それらの部分は端面10a、10bを覆う部分から連続的に延びている。
【0019】
コイル30は、
図2、3に示すように、上下方向に延びるコイル軸C周りに真円状に巻回されている。コイル30は、1巻きを構成するターンを複数有し、本実施形態では3ターンを有する。コイル30は、
図4に示すように、複数の導体パターン(本実施形態では8つの導体パターン31~38)を含んでいる。各導体パターン31~38は、素体10を構成する誘電体層11に嵌め込まれた形態で設けられる。すなわち、各導体パターン31~38は、誘電体層11と同一層内に存在しており、誘電体層11の上下面から露出している。たとえば、パターン成形された各導体パターン31~38と、各導体パターン31~38の形状に対応する欠損部が設けられた誘電体層11とを重ね合わせることで、誘電体層11の欠損部に導体パターン31~38が嵌め込まれる。導体パターン31~38のパターニングおよび誘電体層11の欠損部のパターニングには、公知のフォトリソグラフィ工法を用いることができる。
【0020】
複数の導体パターン31~38のうちの最上に位置する第1導体パターン31は、直線状の部分31aと半円弧状の部分31bとがつながったJ字状の形状を有する。第1導体パターン31の直線状の部分31aは、素体10の端面10aまで延びて、コイル30の一端部30aとして端面10aから露出して外部端子20Aと電気的に接続されている。複数の導体パターン31~38のうちの最下に位置する第8導体パターン38は、直線状の部分38aと半円弧状の部分38bとがつながったJ字状の形状を有する。第8導体パターン38の直線状の部分38aは、素体10の端面10bまで延びて、コイル30の他端部30bとして端面10bから露出して外部端子20Bと電気的に接続されている。第1導体パターン31と第8導体パターン38とは、上下方向から見て、コイル軸Cを中心とした点対称(より詳しくは180度回転対称)の関係であってもよい。
【0021】
第1導体パターン31の下には、第2導体パターン32、第3導体パターン33および第4導体パターン34が順に並んでおり、これらの導体パターン32~34によりコイル30のおおよそ1ターンが構成されている。第1導体パターン31の直下に位置する第2導体パターン32は、
図5に示すように、円弧状(またはC字状)を呈し、開き角はたとえば150度程度である。第2導体パターン32の一端部32aは、素体10の上下方向から見て、第1導体パターン31の素体内部側の端部(すなわち、半円弧状の部分31bにおける端部)と重なるように設計されており、第1導体パターン31と第2導体パターン32とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。
【0022】
第2導体パターン32の直下に位置する第3導体パターン33は、第2導体パターン32同様、
図6に示すように、円弧状(またはC字状)を呈し、開き角はたとえば150度程度である。本実施形態では、上下方向から見て、第2導体パターン32と第3導体パターン33とは同一寸法および同一形状を有し、第3導体パターン33の位置は第2導体パターン32の位置からコイル軸Cを中心に120度右回りに回転させた位置となるように設計されている。第3導体パターン33の一端部33aは、素体10の上下方向から見て、第2導体パターン32の他端部32bと重なるように設計されており、第2導体パターン32と第3導体パターン33とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。
【0023】
第3導体パターン33の直下に位置する第4導体パターン34は、第2導体パターン32および第3導体パターン33同様、
図7に示すように、円弧状(またはC字状)を呈し、開き角はたとえば150度程度である。本実施形態では、上下方向から見て、第4導体パターン34も第2導体パターン32および第3導体パターン33と同一寸法および同一形状を有し、第4導体パターン34の位置は第3導体パターン33の位置からコイル軸Cを中心にさらに120度右回りに回転させた位置となるように設計されている。第4導体パターン34の一端部34aは、素体10の上下方向から見て、第3導体パターン33の他端部33bと重なるように設計されており、第3導体パターン33と第4導体パターン34とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。
【0024】
第4導体パターン34の下には、第5導体パターン35、第6導体パターン36および第7導体パターン37が順に並んでおり、これらの導体パターン35~37によりコイル30のおおよそ1ターンが構成されている。
【0025】
本実施形態では、第5導体パターン35は
図5に示した第2導体パターン32の形状と実質的に同一の形状を有し、第5導体パターン35の一端部35aは、素体10の上下方向から見て、第4導体パターン34の他端部34bと重なるように設計されており、第4導体パターン34と第5導体パターン35とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。第6導体パターン36は
図6に示した第3導体パターン33の形状と実質的に同一の形状を有し、第6導体パターン36の一端部36aは、素体10の上下方向から見て、第5導体パターン35の他端部35bと重なるように設計されており、第5導体パターン35と第6導体パターン36とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。第7導体パターン37は
図7に示した第4導体パターン34の形状と実質的に同一の形状を有し、第7導体パターン37の一端部37aは、素体10の上下方向から見て、第6導体パターン36の他端部36bと重なるように設計されており、第6導体パターン36と第7導体パターン37とは端部同士が重なって直接接続された階段構造を形成している。
【0026】
次に、上述した誘電体層11の構成についてより詳しく説明する。
【0027】
素体10を構成する複数の誘電体層11の少なくとも一部は、上下方向から見て区分けされた第一領域12と第二領域14とを含む。第一領域12と第二領域14とでは、誘電体層11を構成する誘電材料の種類が異なっている。第一領域12は第一誘電材料13で構成されており、第二領域14を構成する第二誘電材料15は第一誘電材料13の誘電率よりも低い誘電率を有する。第一誘電材料13の主材と第二誘電材料15の主材とは、同じ絶縁材料で構成されていてもよく、異なる絶縁材料で構成されていてもよい。主材を構成する絶縁材料としては、たとえばSiO2、B2O3などのガラス系材料、Al2O3、SrO、TiO2、MgOなどの金属酸化物、樹脂材料などが挙げられる。
【0028】
第一誘電材料13および第二誘電材料15がガラス系材料や金属酸化物からなるフィラーを含む場合、第一誘電材料13のフィラー含有率を第二誘電材料15のフィラー含有率より高くすることで、第一誘電材料13の誘電率よりも第二誘電材料15の誘電率が低くなり、かつ、第一誘電材料13の強度が第二誘電材料15の強度より高くなる。
【0029】
第一誘電材料13および第二誘電材料15が、硬度を高める金属酸化物を含む場合、第一誘電材料13の金属酸化物の含有量が第二誘電材料15の金属酸化物の含有量よりも高い場合、第一誘電材料13の誘電率よりも第二誘電材料15の誘電率が低くなり、かつ、第一誘電材料13の強度が第二誘電材料15の強度より高くなる。硬度を高める金属酸化物としては、たとえばAl2O3、SrO、ZrO2、TiO2などが挙げられる。この場合、第一誘電材料13および第二誘電材料15は、フィラーを含んでいてもよいし、フィラーを含んでいなくてもよい。
【0030】
図5に示すように、第2導体パターン32が設けられた誘電体層11では、第二領域14は、真円環状のコイル形成領域のうちの第2導体パターン32が形成されていない領域(第2導体パターン32の残余領域)に位置しており、C字状(または部分円環状)を呈する。第2導体パターン32の開き角が150度である場合、第二領域14の開き角は210度である。
図5に示した誘電体層11では、第二領域14と第2導体パターン32の形成領域とを除いた領域(すなわち、コイル形成領域の内側および外側)が第一領域12となっている。第5導体パターン35が設けられた誘電体層11についても、第2導体パターン32が設けられた誘電体層11と同様の第一領域12および第二領域14を含む。
【0031】
図6、7に示すように、導体パターン33、34が設けられた誘電体層11でも、第二領域14は、真円環状のコイル形成領域のうちの導体パターン33、34が形成されていない領域に位置しており、C字状(または部分円環状)を呈する。第一領域12については、第二領域14と第2導体パターン32の形成領域とを除いた領域となっている。導体パターン36、37が設けられた誘電体層11についても、導体パターン33、34が設けられた誘電体層11と同様の第一領域12および第二領域14を含む。
【0032】
図8~11に示すように、第二誘電材料15は、コイル30のターン間に1層または複数積層の形態で位置している。たとえば、第2導体パターン32が設けられた誘電体層11における第二領域14の第二誘電材料15と、第3導体パターン33が設けられた誘電体層11における第二領域14の第二誘電材料15とが、上下方向において重なって部分的に2層構造となっている。
【0033】
本実施形態では、導体パターン32~37が設けられた誘電体層11以外の誘電体層11については、第一誘電材料13で構成された第一領域12のみを含み、第二誘電材料15で構成された第二領域14を含まない。
【0034】
ここで、第一領域12を構成する第一誘電材料13は、第二領域14を構成する第二誘電材料15に比べて、高い誘電率を有し、かつ、高い強度を有する。そのため、素体10の内部に設けられたコイル30の周囲に第一誘電材料13を配置することで、高強度の素体10を得ることができる。素体10の強度が高いと、高い信頼性を実現することができ、クラック発生に起因する断線等の不具合を回避することができる。しかしながら、素体10の全体を第一誘電材料13で構成すると、たとえばコイル30のターン間に大きな寄生容量が生じ、素子特性の低下を招き得る。
【0035】
上記実施形態に係るインダクタ1においては、コイル30の周囲に高強度の第一誘電材料13を配置しつつ、寄生容量が生じやすいコイル30のターン間に、第二領域14の第二誘電材料15を選択的に配置することで、素体10の強度を維持しつつ寄生容量の低減が実現されている。
【0036】
第二誘電材料15は、コイル形成領域のうちの第2導体パターン32の残余領域の少なくとも一部に配置されていればよく、該残余領域の一部に第一誘電材料13が配置された態様であってもよい。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。たとえば、上下方向から見たときのコイル形状は、円形状に限らず、楕円形状や矩形状であってもよい。また、コイルの1ターンを構成する導体パターンの数は、3つに限らず、4つ以上であってもよい。さらに、素体を構成する誘電体層の層数については適宜増減することができる。
【0038】
また、上下方向において隣り合う導体パターン同士は、階段構造により端部同士が直接接していてもよく、誘電体層を貫通するビア導体を介して接続されていてもよい。階段構造により端部同士が直接接する態様では、ビア導体が設けられる誘電体層が介在しないため、上下方向において隣り合う導体パターンがより近接し、ターン間において大きな寄生容量が生じやすい構造となり得る。そこで、上述したインダクタ1のように、寄生容量が生じやすいコイル30のターン間に第二誘電材料15を選択的に配置することで、寄生容量を効果的に低減することができる。
【0039】
上述の記載から把握されるとおり、本明細書は下記を開示している。
[付記1]
積層された複数の誘電体層を含む素体と、
前記素体内に設けられ、前記複数の誘電体層の積層方向に積層された積層構造を有し、かつ、前記積層方向に並んだ複数のターンを含むコイルと
を備え、
前記誘電体層が、第一誘電材料で構成された第一領域と、前記第一誘電材料の誘電率よりも低い誘電率を有する第二誘電材料で構成された第二領域とを含み、
前記積層方向において隣り合う前記コイルのターン間の少なくとも一部に、前記誘電体層の第二領域が位置している、インダクタ。
[付記2]
前記コイルが複数の導体パターンで構成されており、
前記複数の導体パターンが、前記積層方向から見たときのパターン形状が互いに異なる少なくとも3種類の導体パターンを含む、付記1に記載のインダクタ。
[付記3]
前記積層方向において隣り合う前記導体パターンは、端部同士が重なっており直接接している、付記2に記載のインダクタ。
[付記4]
前記誘電体層の第二領域が複数重なっている、付記1~3のいずれか一つに記載のインダクタ。
[付記5]
前記第一誘電材料で構成された前記第一領域の強度が、前記第二誘電材料で構成された前記第二領域の強度より高い、付記1~4のいずれか一つに記載のインダクタ。
【符号の説明】
【0040】
1…インダクタ、10…素体、11…誘電体層、12…第一領域、13…第一誘電材料、14…第二領域、15…第二誘電材料、30…コイル、31~38…導体パターン。