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  • 特開-接続構造 図1
  • 特開-接続構造 図2
  • 特開-接続構造 図3
  • 特開-接続構造 図4
  • 特開-接続構造 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171505
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】接続構造
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/55 20110101AFI20241205BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01R12/55
H05K1/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088547
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(74)【代理人】
【氏名又は名称】全 哲洙
(72)【発明者】
【氏名】内藤 達彦
(72)【発明者】
【氏名】井上 武
【テーマコード(参考)】
5E223
5E338
【Fターム(参考)】
5E223AB60
5E223AB65
5E223BA57
5E223BB12
5E223CB17
5E223CD01
5E223CD12
5E223CD24
5E223DA23
5E223DA33
5E223DB09
5E223DB25
5E338AA03
5E338BB02
5E338BB19
5E338CD13
5E338EE11
(57)【要約】
【課題】通信性能を高めることができる接続構造を提供する。
【解決手段】接続構造は、配線基板と、電線と、を備えている。配線基板は、主面を含む基板、および基板の内部に設けられた配線を有している。電線は、配線に電気的に接続されている。主面には、配線の接続領域を露出させる溝が形成されている。電線は、溝に配置された状態で接続領域に電気的に接続されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主面を含む基板、および前記基板の内部に設けられた配線を有する配線基板と、
前記配線に電気的に接続された電線と、を備え、
前記主面には、前記配線の接続領域を露出させる溝が形成されており、
前記電線は、前記溝に配置された状態で前記接続領域に電気的に接続されている、接続構造。
【請求項2】
前記基板は、前記主面と交差する端面をさらに含み、
前記溝は、前記端面まで延在している、請求項1に記載の接続構造。
【請求項3】
前記溝の幅は、前記接続領域の幅と同じである、請求項1または請求項2に記載の接続構造。
【請求項4】
前記配線は、複数の配線のそれぞれであり、
前記接続領域は、前記複数の配線の複数の接続領域のそれぞれであり、
前記溝は、前記複数の接続領域のそれぞれを露出させる複数の溝のそれぞれであり、
前記複数の接続領域のそれぞれの間の間隔は、0.5mm以上であり、
前記複数の溝のそれぞれの間の間隔は、0.5mm以上である、請求項1または請求項2に記載の接続構造。
【請求項5】
前記電線を前記接続領域に対して押圧する固定部材をさらに備える、請求項1または請求項2に記載の接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
基板の表面に設けられた配線に電線が電気的に接続された接続構造が知られている(例えば、特許文献1を参照)。このような接続構造では、配線と電線とを電気的に接続するための接続部材が半田接続によって配線に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-288387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような接続構造では、半田接続のために配線の接続領域の幅が広げられる場合がある。しかし、配線の接続領域の幅が広がると、配線のインピーダンス管理が難しくなる結果、通信性能が低下してしまうおそれがある。
【0005】
本開示は、通信性能を高めることができる接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の接続構造は、主面を含む基板、および基板の内部に設けられた配線を有する配線基板と、配線に電気的に接続された電線と、を備え、主面には、配線の接続領域を露出させる溝が形成されており、電線は、溝に配置された状態で接続領域に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、通信性能を高めることができる接続構造を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、一実施形態の接続構造の平面図である。
図2図2は、図1に示される配線基板の部分拡大図である。
図3図3は、図2に示される配線基板のIII-III線に沿っての断面図である。
図4図4は、図2に示される配線基板のIV-IV線に沿っての断面図である。
図5図5は、図1に示される接続構造のV-V線に沿っての断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0010】
本開示の接続構造は、[1]「主面を含む基板、および前記基板の内部に設けられた配線を有する配線基板と、前記配線に電気的に接続された電線と、を備え、前記主面には、前記配線の接続領域を露出させる溝が形成されており、前記電線は、前記溝に配置された状態で前記接続領域に電気的に接続されている、接続構造。」である。
【0011】
この接続構造では、電線は、基板の主面に形成された溝に配置された状態で配線の接続領域に電気的に接続されている。これにより、配線の接続領域の幅を広げなくても、電線を配線に電気的に接続することができる。したがって、配線のインピーダンスの管理が容易となる結果、通信性能を高めることができる。よって、この接続構造によれば、通信性能を高めることができる。
【0012】
本開示の接続構造は、[2]「前記基板は、前記主面と交差する端面をさらに含み、前記溝は、前記端面まで延在している、上記[1]に記載の接続構造。」であってもよい。これにより、基板の主面に平行な方向に沿って電線を延ばした状態で電線を溝に配置することができる。
【0013】
本開示の接続構造は、[3]「前記溝の幅は、前記接続領域の幅と同じである、上記[1]または[2]に記載の接続構造。」であってもよい。これにより、電線を溝に適切に配置すると共に電線を接続領域に適切に接触させることができる。
【0014】
本開示の接続構造は、[4]「前記配線は、複数の配線のそれぞれであり、前記接続領域は、前記複数の配線の複数の接続領域のそれぞれであり、前記溝は、前記複数の接続領域のそれぞれを露出させる複数の溝のそれぞれであり、前記複数の接続領域のそれぞれの間の間隔は、0.5mm以上であり、前記複数の溝のそれぞれの間の間隔は、0.5mm以上である、上記[1]から[3]のいずれか一つに記載の接続構造。」であってもよい。上述したように、本開示の接続構造によれば、配線の接続領域の幅を広げなくても、電線を配線に電気的に接続することができるため、複数の接続領域のそれぞれの間の間隔を0.5mmまで縮めることができ、接続構造の小型化を実現することができる。
【0015】
本開示の接続構造は、[5]「前記電線を前記接続領域に対して押圧する固定部材をさらに備える、上記[1]から[4]のいずれか一つに記載の接続構造。」であってもよい。これにより、例えば電線を半田材料によって接続領域に接続する場合に比べて、配線への半田材料の付着に起因するインピーダンスの乱れを抑制することができる。
【0016】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の接続構造の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0017】
図1は、本実施形態の接続構造の平面図である。図1に示されるように、接続構造1は、配線基板2と、複数の電線3と、固定部材4と、を備えている。配線基板2は、基板21と、複数の配線22aと、複数の配線22bと、を有している。基板21は、例えば板状を呈している。基板21は、Z軸方向を厚さ方向とする。基板21は、主面21aと、端面21bと、を含んでいる。主面21aは、例えばZ軸方向に垂直な平坦面である。端面21bは、主面21aと交差している。端面21bは、例えばY軸方向に垂直な平坦面である。
【0018】
複数の配線22aおよび複数の配線22bは、基板21の内部に設けられている。各配線22a,22bは、例えばY軸方向に沿って延在している。一つの配線22aと一つの配線22bとは、X軸方向において互いに隣り合っている。配線22aは、例えば正極として機能する。配線22bは、例えば負極として機能する。各配線22a,22bには、電線3が電気的に接続されている。複数の電線3は、固定部材4によって配線基板2に対して固定されている。各配線22a,22bには、例えば周波数が数十MHz以上であって数十GHz以下である高速信号が流れる。
【0019】
次に、互いに隣り合う一つの配線22aと一つの配線22bとに着目して説明する。図2は、配線基板2の部分拡大図である。図3は、図2に示されるIII-III線に沿って配線基板2を切断した場合の断面図である。図4は、図2に示されるIV-IV線に沿って配線基板2を切断した場合の断面図である。
【0020】
図2図3および図4に示されるように、基板21は、溝21cと、溝21dと、を含んでいる。溝21cおよび溝21dのそれぞれは、基板21の主面21aに形成されている。溝21cおよび溝21dのそれぞれは、Y軸方向に沿って延在している。溝21cおよび溝21dのそれぞれは、基板21の端面21bまで延在している。つまり、溝21cおよび溝21dのそれぞれは、主面21aおよび端面21bに開口している。
【0021】
溝21cと溝21dとは、X軸方向において互いに離れている。溝21cと溝21dとの間には、隔壁部211が存在する。隔壁部211は、基板21のうちの溝21cと溝21dとの間に位置する領域である。溝21cは、Z軸方向から見た場合に配線22aの一部と重なっている。溝21cは、Z軸方向において配線22aまで至っている。溝21dは、Z軸方向から見た場合に配線22bの一部と重なっている。溝21dは、Z軸方向において配線22bまで至っている。
【0022】
配線22aおよび配線22bのそれぞれは、基板21の端面21bまで延在している。配線22aは、本体領域22cと、接続領域22dと、を含んでいる。本体領域22cは、配線22aのうちの基板21の内部に位置する領域である。接続領域22dは、配線22aのうちの基板21から露出する領域である。接続領域22dは、Z軸方向から見た場合に溝21cと重なっている。接続領域22dは、溝21cに露出している。つまり、溝21cは、接続領域22dを露出させる。
【0023】
配線22bは、配線22aと同様に、本体領域22eと、接続領域22fと、を含んでいる。本体領域22eは、配線22bのうちの基板21の内部に位置する領域である。接続領域22fは、配線22bのうちの基板21から露出する領域である。接続領域22fは、Z軸方向から見た場合に溝21dと重なっている。接続領域22fは、溝21dに露出している。つまり、溝21dは、接続領域22fを露出させる。
【0024】
X軸方向における接続領域22dの幅W1は、X軸方向における接続領域22fの幅W2と同じである。本実施形態では、接続領域22dの幅W1は、X軸方向における本体領域22cの幅と同じである。本実施形態では、接続領域22fの幅W2は、X軸方向における本体領域22eの幅と同じである。
【0025】
X軸方向における溝21cの幅W3は、X軸方向における溝21dの幅W4と同じである。溝21cの幅W3は、接続領域22dの幅W1と同じである。溝21dの幅W4は、接続領域22fの幅W2と同じである。接続領域22dの幅W1は、例えば0.1mm程度である。
【0026】
接続領域22dと接続領域22fとの間の間隔D1は、溝21cと溝21dとの間の間隔D2と同じである。接続領域22dと接続領域22fとの間の間隔D1は、例えば0.5mm以上であり1mm以下である。つまり、溝21cと溝21dとの間の間隔D2は、例えば0.5mm以上であり1mm以下である。溝21cの深さ(主面21aから接続領域22dまでの距離)は、溝21dの深さ(主面21aから接続領域22fまでの距離)と同じである。溝21cの深さは、電線3の太さよりも大きい。溝21cの深さは、例えば0.15mm程度である。
【0027】
なお、図2においては、図示の便宜のために、溝21cの幅W3が接続領域22dの幅W1よりも小さく示されているが、溝21cの幅W3は、上述したように接続領域22dの幅W1と同じである。同様に、図2においては、溝21dの幅W4が接続領域22fの幅W2よりも小さく示されているが、溝21dの幅W4は、上述したように接続領域22fの幅W2と同じである。
【0028】
図5は、図1に示されるV-V線に沿って接続構造1を切断した場合の断面図である。図1および図5に示されるように、各溝21c,21dには、電線3が配置されている。電線3は、Y軸方向に沿って延び且つ溝21cに配置された状態で配線22aの接続領域22dに電気的に接続されている。電線3は、Y軸方向に沿って延び且つ溝21dに配置された状態で配線22bの接続領域22fに電気的に接続されている。電線3は、接続領域22d,22fに接触している。
【0029】
固定部材4は、配線基板2に対して複数の電線3を固定する部材である。固定部材4は、例えばグリップ等である。具体的には、固定部材4は、本体部分41と、複数の突出部分42と、を含んでいる。本体部分41は、例えばリング状を呈している。本体部分41は、弾性を有している。
【0030】
複数の突出部分42は、本体部分41の内周面に形成されている。複数の突出部分42は、X軸方向に沿って並んでいる。X軸方向における突出部分42の幅は、各溝21c,21dの幅W3,W4よりも小さい。Y軸方向における突出部分42の幅は、Y軸方向における各溝21c,21dの幅よりも小さい。隣り合う突出部分42の間の間隔は、溝21cと溝21dとの間の間隔よりもわずかに大きい。突出部分42の材料は、例えば絶縁性を有している。本実施形態では、本体部分41および複数の突出部分42は、同一の材料によって一体的に形成されている。
【0031】
固定部材4は、本体部分41が配線基板2を囲むように且つ各突出部分42が各溝21c,21dに挿入されるように配線基板2に対して固定されている。固定部材4は、本体部分41の弾性力によって配線基板2に対して固定されている。突出部分42は、溝21c,21dに配置された電線3を接続領域22d,22fに対して押圧する。これにより、電線3が配線基板2に対して固定される。本実施形態では、電線3は、例えば半田材料等によって配線基板2に固定されていない。
【0032】
以上説明したように、接続構造1では、電線3が、基板21の主面21aに形成された溝21cに配置された状態で配線22aの接続領域22dに電気的に接続されている。これにより、配線22aの接続領域22dの幅W1を広げなくても、電線3を配線22aに電気的に接続することができる。したがって、配線22aのインピーダンスの管理が容易となる結果、通信性能を高めることができる。よって、接続構造1によれば、通信性能を高めることができる。高速信号を通信させる配線22aにとっては、インピーダンスの管理が特に重要であり、上述した効果が特に顕著である。また、電線3が溝21cに配置されているため、互いに隣り合う電線3同士の接触が抑制され、その結果、ショート(短絡)が抑制される。
【0033】
基板21は、主面21aと交差する端面21bを含んでいる。溝21cは、端面21bまで延在している。これにより、基板21の主面21aに平行な方向(Y軸方向)に沿って電線3を延ばした状態で電線3を溝21cに配置することができる。
【0034】
溝21cの幅W3は、配線22aの接続領域22dの幅W1と同じである。これにより、電線3を溝21cに適切に配置すると共に電線3を接続領域22dに適切に接触させることができる。
【0035】
接続領域22dと接続領域22fとの間の間隔D1は、0.5mm以上である。溝21cと溝21dとの間の間隔D2は、0.5mm以上である。上述したように、接続構造1によれば、配線22aの接続領域22dの幅を広げなくても、電線3を配線22aに電気的に接続することができる。そのため、接続領域22d(配線22a)と接続領域22f(配線22b)との間の間隔を0.5mmまで縮めることができ、接続構造1の小型化を実現することができる。配線22aと配線22bとの間の間隔が狭いほど、インピーダンスの管理が重要であり、上述した効果が顕著である。
【0036】
接続構造1は、電線3を接続領域22dに対して押圧する固定部材4を備えている。これにより、例えば電線3を半田材料によって接続領域22dに接続する場合に比べて、配線22aへの半田材料の付着に起因するインピーダンスの乱れを抑制することができる。また、電線3が溝21cに配置された状態で固定部材4によって押圧されているため、例えば、電線3が平面に配置された状態で固定部材によって押圧されている場合に比べて、電線3の変形が抑制される。そのため、互いに隣り合う電線3同士の接触が抑制される結果、ショート(短絡)が抑制される。
【0037】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではない。
【0038】
電線3が固定部材4によって配線基板2に対して固定されている例が示されたが、電線3は、溝21c,21dに配置された状態で例えば半田材料によって接続領域22d,22fに接続されていてもよい。この場合においても、接続領域22d,22fの幅を広げなくても、電線3を接続領域22d,22fに確実に接続することができる。
【符号の説明】
【0039】
1…接続構造
2…配線基板
3…電線
4…固定部材
21…基板
21a…主面
21b…端面
21c,21d…溝
22a,22b…配線
22c,22e…本体領域
22d,22f…接続領域
41…本体部分
42…突出部分
211…隔壁部
図1
図2
図3
図4
図5