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特開2024-171515指先力センサ及び指先力センサ用のフレーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171515
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】指先力センサ及び指先力センサ用のフレーム
(51)【国際特許分類】
   G01L 1/20 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G01L1/20 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088561
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003609
【氏名又は名称】株式会社豊田中央研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 貴志
(72)【発明者】
【氏名】藤吉 基弘
(72)【発明者】
【氏名】太田 則一
(72)【発明者】
【氏名】壷田 朋宏
(57)【要約】
【課題】人の作業に支障をきたすことが抑えられた指先力センサを提供する。
【解決手段】指先力センサは、弾性体の環状フレームであって、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有する、環状フレームと、前記環状フレームに取り付けられている曲げセンサであって、前記環状フレームの曲率の変化に依存して出力が変動するように構成されている、曲げセンサと、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性体の環状フレームであって、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有する、環状フレームと、
前記環状フレームに取り付けられている曲げセンサであって、前記環状フレームの曲率の変化に依存して出力が変動するように構成されている、曲げセンサと、を備えている指先力センサ。
【請求項2】
前記環状フレームの断面形状が楕円である、請求項1に記載の指先力センサ。
【請求項3】
前記環状フレームは、周方向に一巡する閉じた形状である、請求項1に記載の指先力センサ。
【請求項4】
前記環状フレームは、周方向の一部が開いた形状である、請求項1に記載の指先力センサ。
【請求項5】
前記曲げセンサは、前記環状フレームの中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する一対の外面のうち少なくとも一方の外面を含む位置に取り付けられている、請求項1に記載の指先力センサ。
【請求項6】
前記環状フレームは、内面に形成された突起部を有しており、
前記突起部は、前記環状フレームの中心を通って短軸方向に伸ばした線上に位置する一対の内面のうち一方の内面を含む位置に形成されている、請求項1に記載の指先力センサ。
【請求項7】
前記突起部は、その表面が曲面で構成されている、請求項6に記載の指先力センサ。
【請求項8】
前記環状フレームは、前記環状フレームの中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する部分の曲げ剛性が残りの部分の曲げ剛性よりも小さくなるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の指先力センサ。
【請求項9】
指先力センサ用のフレームであって、
弾性体であり、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有する環状である、指先力センサ用のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、指先力センサ及び指先力センサ用のフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
人が作業するときの指先力を記録することで、人の作業をデジタル化する試みが進められている。このようなデータは、例えば疾病予防やロボットの自動化等に役立てることができる。特許文献1~3には、指先力を測定する指先力センサの一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-021427号公報
【特許文献2】特開2001-265522号公報
【特許文献3】特開2011-232165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3に開示される指先力センサは、第1関節よりも先端側の指先に装着して用いられる。このため、これら指先力センサは、人の作業に支障をきたす可能性がある。本明細書は、人の作業に支障をきたすことが抑えられた指先力センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書が開示する指先力センサは、弾性体の環状フレームと、曲げセンサと、を備えることができる。前記環状フレームは、軸方向に直交する断面において短軸と長軸を有していてもよい。前記曲げセンサは、前記環状フレームに取り付けられており、前記環状フレームの曲率の変化に依存して出力が変動するように構成されていてもよい。
【0006】
上記指先力センサの前記環状フレームは、指の第2関節と第3関節の間に装着して用いられる。指の第2関節と第3関節の間を延びる腱は、指先力に応じて張り具合が変化する。前記環状フレームは、指の腱の張り具合に応じて弾性変形し、その曲率が変化する。前記環状フレームの曲率の変化量は、前記曲げセンサによって測定される。このように、上記指先力センサによると、前記環状フレームの曲率変化を測定することで、その曲率変化に基づいて指先力を推定することが可能である。上記指先力センサでは、前記環状フレームが指の第2関節と第3関節の間に装着して用いられるので、人の作業に支障をきたすことが抑えられる。また、上記指先力センサは、前記環状フレームの全体の弾性変形に起因した曲率変化を前記曲げセンサを用いて測定している。このような構成の上記指先力センサは、曲率変化を高感度に測定することができるので、指先力を高感度に推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】指先力センサの一実施形態の斜視図であり、正面及び上面を示す斜視図である。
図2】指先力センサの一実施形態の斜視図であり、正面、上面及び右側面を示す斜視図である。
図3】曲げセンサの分解斜視図であり、曲げセンサの構成の一部を簡略して示す分解斜視図である。
図4】環状フレームの初期状態と力作用状態の各々における断面形状を説明するための図である。
図5】環状フレームの初期状態と力作用状態の各々における、環状フレームと指の腱との間の関係を示す図である。
図6】指先力センサに設けられた曲げんセンサの抵抗変化率と指先力との間の関係を示す図である。
図7】指先力センサの変形例であって、親指の指先力を測定するための指先力センサの一実施形態を示す図である。
図8】指先力センサの環状フレームの斜視図であり、変形例の一実施形態を示す斜視図である。
図9】指先力センサの環状フレームの斜視図であり、変形例の一実施形態を示す斜視図である。
図10】指先力センサの環状フレームの斜視図であり、変形例の一実施形態を示す斜視図である。
図11】指先力センサの環状フレームの斜視図であり、変形例の一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2に示されるように、指先力センサ1は、指輪状の形態を備えており、環状フレーム10と、曲げセンサ20と、を備えている。指先力センサ1は、手の指の第2関節と第3関節の間の部位(以下、「指の装着部位」という)に装着して用いられる。
【0009】
環状フレーム10は、弾性体の材料で構成されており、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有している。環状フレーム10の断面形状は、特に限定されるものではないが、例えば楕円であってもよい。環状フレーム10は、周方向に一巡する閉じたO字形状である。環状フレーム10は、その全体が弾性体材料で構成されており、単一の弾性体材料を用いて形成されていてもよく、複数種類の弾性体材料を用いて形成されていてもよい。弾性体の材料は、特に限定されるものはないが、例えばナイロン、シリコーン、又は、ABS樹脂であってもよい。ここで、環状フレーム10の短軸がy軸として示されており、環状フレーム10の長軸がx軸として示されている。環状フレーム10の軸方向は、x軸とy軸のそれぞれに直交する方向である。
【0010】
環状フレーム10の周囲長は、指の周囲長(特に、指先から装着部位までの間の任意の位置の断面における周囲長)よりも大きい。これにより、環状フレーム10を分解することなく、指先から装着部位まで環状フレーム10をスムーズに移動させることができる。環状フレーム10が指に装着されたとき、環状フレーム10は、その長軸が指の一対の指側を結ぶ方向に平行となるように、且つ、その短軸が指の背と腹を結ぶ方向に平行となるように装着される。環状フレーム10の長軸の長さL1は、指先から装着部位までの任意の位置の指の幅、即ち、一対の指側を結ぶ方向における指の幅よりも大きい。環状フレーム10の短軸の長さL2は、装着部位における指の厚さ、即ち、指の背と腹を結ぶ方向における指の厚さよりも小さい。このため、環状フレーム10が指に装着されたとき、環状フレーム10は、指の背と腹を結ぶ方向に指の装着部位を押圧する。環状フレーム10を指に対して着脱するとき、環状フレーム10の断面が円形に近づくように環状フレーム10の長軸方向の両端を内側に向けて押さえ、環状フレーム10を弾性変形させる。これにより、環状フレーム10を指に対してスムーズに着脱することができる。
【0011】
環状フレーム10の内面12の一部には、内面12から内側に向けて凸状に突出する突起部16が形成されている。突起部16は、環状フレーム10の中心を通って短軸方向に伸ばした線上に位置する一対の内面12のうち一方の内面12を含む位置に形成されている。具体的には、環状フレーム10の中心に対する突起部16の周方向の両端間の角度範囲は、特に限定されるものではないが、前記線上を中心に、例えば0°よりも大きく、且つ、90°以下であってもよい。突起部16の角度範囲はさらに、前記線上を中心に、例えば5°よりも大きく、且つ、45°以下であってもよい。後述するように、環状フレーム10の突起部16は、環状フレーム10を指に装着したときに、指の腹に接触する位置に配置され、指の腱を押圧するように構成されている。突起部16は、環状フレーム10の他の部位と一体的に形成された部位であってもよく、環状フレーム10の内面12に任意の方法で接合された部位であってもよい。
【0012】
環状フレーム10に対して短軸方向に外力を加えたときのばね定数は、特に限定されるものではないが、例えば150N/m以上、且つ、2000N/m以下の範囲であってもよい。ばね定数が150N/m以上であると、環状フレーム10の突起部16が指の腱を良好に押圧することができ、後述するように、指の腱の張り具合を良好に検出することができる。ばね定数が2000N/m以下であると、環状フレーム10の装着者に痛み及び違和感を与えるのを抑えることができる。
【0013】
突起部16は、その表面が曲面で構成されている。突起部16は、特に限定されるものではないが、例えば回転楕円体を略半分に切ったような形態であってもよく、その長軸が環状フレーム10の周方向と平行になるように配置されていてもよい。このような突起部16は、環状フレーム10の装着者に痛み及び違和感を与えるのを抑えながら、指の腱を良好に押圧することができる。特に、突起部16の長軸が環状フレーム10の周方向と平行になるように配置されているので、環状フレーム10が指に対して回転しても、突起部16が指の腱を良好に押圧することができる。
【0014】
曲げセンサ20は、環状フレーム10の曲率変化を測定するように構成されたセンサであり、柔軟な長尺シート状の形態を有している。曲げセンサ20は、その長手方向が環状フレーム10の外面14の周方向に平行となるように、環状フレーム10の外面14の一部に取り付けられている。曲げセンサ20は、環状フレーム10の中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する一対の外面14のうち一方の外面14を含む位置に取り付けられている。具体的には、環状フレーム10の中心に対する曲げセンサ20の周方向の両端間の角度範囲は、特に限定されるものではないが、前記線上を中心に、例えば0°よりも大きく、10°よりも大きく、20°よりも大きく、30°よりも大きく、40°よりも大きく、50°よりも大きく、60°よりも大きく、70°よりも大きく、80°よりも大きく、又は、90°よりも大きくてもよい。なお、曲げセンサ20は、環状フレーム10の外面を一巡するように取り付けられていてもよい。環状フレーム10のうち環状フレーム10の中心を通って長軸方向に位置する部分は、曲率変化が最も大きい部分である。このため、環状フレーム10の曲率変化の最も大きい部分を含むように曲げセンサ20が取り付けられているので、曲げセンサ20は環状フレーム10の曲率変化を高感度に測定することができる。
【0015】
図3に示すように、曲げセンサ20は、フレキシブル回路基板22と、フレキシブル回路基板22上にプリントされた第1配線24及び第2配線26と、導電板28と、を備えている。第1配線24は、第1端子24aと、第1端子24aからフレキシブル回路基板22の長手方向に沿って延びた部分に構成された複数の第1櫛歯24bと、を有している。同様に、第2配線26は、第2端子26aと、第2端子26aからフレキシブル回路基板22の長手方向に沿って延びた部分に構成された複数の第2櫛歯26bと、を有している。第1櫛歯24bと第2櫛歯26bは、フレキシブル回路基板22の長手方向に沿って相互に間隔を置いて交互に配置されている。導電板28は、第1配線24の複数の第1櫛歯24bと第2配線26の複数の第2櫛歯26bに対向するよう、これら櫛歯24b,26bとの間に微小な空間が形成されるようにフレキシブル回路基板22に固定されている。なお、図示省略しているが、導電板28を被覆するようにフレキシブル回路基板22上には絶縁体が設けられている。
【0016】
曲げセンサ20は、その長手方向に沿って湾曲するように変形したときに、導電板28と複数の櫛歯24b,26bとの間の接触面積が変化するように構成されている。導電板28が多くの櫛歯24b,26bに接触すると、第1端子24aと第2端子26aの間の電気抵抗値が低下する。一方、導電板28が少ない櫛歯24b,26bに接触すると、第1端子24aと第2端子26aの間の電気抵抗値が増加する。このように、曲げセンサ20は、その変形量に応じて第1端子24aと第2端子26aの間の電気抵抗値が変動する。本実施例では、環状フレーム10に取り付けられた初期状態から環状フレーム10の曲率が低下したときに、曲げセンサ20はその電気抵抗値が低下するように構成されている。なお、上記した曲げセンサ20は一例であり、本明細書が開示する指先力センサ1には、他の種類の曲げセンサを採用することもできる。
【0017】
次に、図4及び図5を参照し、指先力センサ1が指先力を測定する原理について説明する。図4の(A)及び図5の(A)は、環状フレーム10を指の装着部位に装着した状態であって、指の先に力が加わっていない状態(以下、「初期状態」という)である。図4の(B)及び図5の(B)は、環状フレーム10を指の装着部位に装着した状態であって、指の先に力が加わった状態(以下、「力作用状態」という)である。
【0018】
環状フレーム10は、突起部16を介して指の腹と背を結ぶ方向に沿って指の腱を付勢するばねとして機能する。初期状態から力作用状態に移行すると、指の腱に張力が加わり、環状フレーム10の断面が楕円から円形になるように環状フレーム10が弾性変形し、環状フレーム10の曲率が低下する。環状フレーム10の曲率の変化量は、指の腱の張り具合、即ち、指先力の大きさに依存する。
【0019】
図6に、指先力の大きさと曲げセンサ20の抵抗変化率の関係を示す。指先力が増加すると、曲げセンサ20の電気抵抗値が低下し、抵抗変化率の絶対値が増加している。ここで、図中の実線は、以下の数式を用いてフィッティングした結果である。
【数1】
ここで、「r」は曲げセンサ20での出力である電気抵抗値、「F」は指先力、「a」及び「b」は定数である。この逆関数を求めると、以下の数式となる。
【数2】
【0020】
このように、指先力センサ1は、環状フレーム10の曲率の変化量(即ち、曲げセンサ20の電気抵抗値)を測定することで、指先力を推定することができる。
【0021】
指先力センサ1では、環状フレーム10が指の第2関節と第3関節の間に装着して用いられるので、人の作業に支障をきたすことが抑えられる。また、環状フレーム10は、全体が弾性体で構成されており、指に対する着脱が容易である。
【0022】
指先力センサ1は、曲げセンサ20を利用して環状フレーム10の曲率変化を測定している。このような構成の指先力センサ1は、指先力を高感度に推定することができる。例えば、曲げセンサ20に代えてひずみゲージを利用する場合を考える。この場合、全体が弾性体で構成された環状フレーム10では、表面ひずみ量が小さくなり、ひずみゲージによる計測では出力が小さくなる。なお、ひずみゲージの張り付け部にひずみを集中させるために、環状フレーム10のうち貼り付け部以外を剛にすると、環状フレーム10を装着するときの痛み及び違和感が増加する。このように、全体が弾性体で構成された環状フレーム10と曲げセンサ20の組み合わせは、高感度な測定と着脱の容易さを両立させることができる。
【0023】
上記で説明した環状フレーム10は、親指以外の指に好適に装着することができる。図7に示すように、環状フレーム10は、周方向の一部が除去されて周方向の一部が開いたC字形状であってもよい。このような環状フレーム10は、親指の第2関節と第3関節の間に装着することができる。
【0024】
図8図11に示す環状フレーム10はいずれも、環状フレーム10の中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する部分の曲げ剛性が残りの部分の曲げ剛性よりも小さくなるように構成されている。なお、環状フレーム10の中心に対するこのような柔軟部分の周方向の両端間の角度範囲は、特に限定されるものではないが、前記線上を中心として、例えば0°よりも大きく、且つ、45°以下であってもよい。柔軟部分の角度範囲はさらに、前記線上を中心として、例えば5°よりも大きく、且つ、30°以下であってもよい。図8に示す指先力センサ2の環状フレーム10では、周方向の一部を他の部分よりも柔らかい材料にすることで柔軟部分が構成されている。図9に示す指先力センサ3の環状フレーム10では、周方向の一部の厚みを他の部分の厚みよりも小さくすることで柔軟部分が構成されている。図10に示す指先力センサ4の環状フレーム10では、周方向の一部に1又は複数のスリット18を形成することで柔軟部分が構成されている。図11に示す指先力センサ5の環状フレーム10では、周方向の一部の幅を他の部分の幅よりも小さくすることで柔軟部分が構成されている。これら環状フレーム10によると、曲げ剛性が小さく構成された柔軟部分の曲率の変化量が大きくなるので、この部分に取り付けられた曲げセンサ20(図示省略)の感度が向上する。
【0025】
以下、本明細書で開示される技術の特徴を整理する。なお、以下に記載する技術要素は、それぞれ独立した技術要素であって、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものである。
【0026】
(特徴1)
弾性体の環状フレームであって、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有する、環状フレームと、
前記環状フレームに取り付けられている曲げセンサであって、前記環状フレームの曲率の変化に依存して出力が変動するように構成されている、曲げセンサと、を備えている指先力センサ。
【0027】
(特徴2)
前記環状フレームの断面形状が楕円形状である、特徴1に記載の指先力センサ。
【0028】
(特徴3)
前記環状フレームは、周方向に一巡する閉じた形状である、特徴1又は2に記載の指先力センサ。
【0029】
(特徴4)
前記環状フレームは、周方向の一部が開いた形状である、特徴1又は2に記載の指先力センサ。
【0030】
(特徴5)
前記曲げセンサは、前記環状フレームの中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する一対の外面のうち少なくとも一方の外面を含む位置に取り付けられている、特徴1~4のいずれか一つに記載の指先力センサ。
【0031】
(特徴6)
前記環状フレームは、内面に形成された突起部を有しており、
前記突起部は、前記環状フレームの中心を通って短軸方向に伸ばした線上に位置する一対の内面のうち一方の内面を含む位置に形成されている、特徴1~5のいずれか一つに記載の指先力センサ。
【0032】
(特徴7)
前記突起部は、その表面が曲面で構成されている、特徴6に記載の指先力センサ。
【0033】
(特徴8)
前記環状フレームは、前記環状フレームの中心を通って長軸方向に伸ばした線上に位置する部分の曲げ剛性が残りの部分の曲げ剛性よりも小さくなるように構成されている、特徴1~7のいずれか一つに記載の指先力センサ。
【0034】
(特徴9)
指先力センサ用のフレームであって、
弾性体であり、軸方向に直交する断面において長軸と短軸を有する環状である、指先力センサ用のフレーム。
【0035】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【符号の説明】
【0036】
1,2,3,4,5:指先力センサ
10:環状フレーム
16:突起部
20:曲げセンサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11