(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171523
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両上部構造
(51)【国際特許分類】
B60R 11/02 20060101AFI20241205BHJP
B62D 25/06 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B60R11/02 A
B62D25/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088579
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 有里子
【テーマコード(参考)】
3D020
3D203
【Fターム(参考)】
3D020BA13
3D020BB01
3D020BC04
3D203BB59
3D203BB62
(57)【要約】
【課題】従来よりも安定してアンテナモジュールを支持可能とする。
【解決手段】車両上部構造は、ルーフパネル40、ルーフリーンフォース30、及びアンテナモジュール50を備える。ルーフパネル40は、車室上方に配置される。ルーフリーンフォース30は、車幅方向に延伸し、ルーフパネル40が締結される。アンテナモジュール50は、平面型である。さらにルーフリーンフォース30は、アンテナモジュール50が収容される凹部36を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室上方に配置されるルーフパネルと、
車幅方向に延伸し、前記ルーフパネルが締結される、ルーフリーンフォースと、
平面型のアンテナモジュールと、
を備え、
前記ルーフリーンフォースは、前記アンテナモジュールが収容される凹部を備える、
車両上部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、車両上部構造が開示される。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフ(屋根部)にはアンテナが設けられる。例えば特許文献1では、平面型のアンテナモジュールが開示される。ルーフパネルには開口が設けられる。その開口にアンテナモジュールが配置される。さらに開口はレドームと呼ばれるカバーで覆われる。
【0003】
例えば、ルーフパネルの開口の周縁に締結孔が穿孔される。またアンテナモジュールは取付用のプレート上に載置される。プレートは、ルーフパネルと接するフランジを備える。フランジには締結孔が穿孔される。さらにプレートは、フランジよりも窪む凹部を有する。凹部の深さは、アンテナモジュールの高さ以上に定められる。ルーフパネルの締結孔とフランジの締結孔が軸合わせされる。軸合わせ後に、プレートはルーフパネルにボルト留めされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ルーフパネルは車両の外板である。つまりルーフパネルは意匠面を有する。形状加工を容易にするために、ルーフパネルは、骨格部材や補強部材よりも低強度となっている。このようなルーフパネルにアンテナモジュールを支持させることで、アンテナモジュールの支持が不安定になるおそれがある。
【0006】
そこで本明細書では、従来よりも安定してアンテナモジュールを支持可能な、車両上部構造が開示される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書では、車両上部構造が開示される。この構造は、ルーフパネル、ルーフリーンフォース、及びアンテナモジュールを備える。ルーフパネルは、車室上方に配置される。ルーフリーンフォースは、車幅方向に延伸し、ルーフパネルが締結される。アンテナモジュールは、平面型である。さらにルーフリーンフォースは、アンテナモジュールが収容される凹部を備える。
【0008】
上記構成によれば、補強部品であるルーフリーンフォースにアンテナモジュールが支持される。
【発明の効果】
【0009】
本明細書で開示される車両上部構造は、従来よりも安定してアンテナモジュールを支持可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】車両の平面図である。この車両は、本実施形態に係る車両上部構造を備える。
【
図2】
図1のA-A断面図である。この断面図は、アンテナモジュール周辺の構造を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本実施形態に係る車両上部構造が、図面を用いて説明される。以下で説明する形状、材料、個数、及び数値は、説明のための例示であって、車両上部構造の仕様に応じて適宜変更可能である。また以下では、すべての図面において同等の要素には同一の符号が付される。
【0012】
また
図1、
図2では、FR軸、RW軸、及びUP軸からなる直交座標系が用いられる。FR軸は車両前方を正方向とする車両前後方向軸である。RW軸は車両右側を正方向とする車幅方向軸である。UP軸は上方を正方向とする車両上下方向軸である。この直交座標系を用いて、各構成の位置や方向が説明される。
【0013】
図1には、車両10の平面図が例示される。この車両10は、本実施形態に係る車両上部構造を備える。また
図2には、
図1のA-A断面が例示される。車室の上方にはルーフ(天井部)が配置される。ルーフは、ソーラーガラス20、樹脂カバー22及びルーフパネル40を含む。
【0014】
本実施形態に係る車両上部構造は、上記のソーラーガラス20、樹脂カバー22及びルーフパネル40を備える。さらに車両上部構造は、ルーフリーンフォース30及びアンテナモジュール50を備える。
【0015】
ルーフの大部分をソーラーガラス20が占める。ソーラーガラス20は、太陽電池パネルに板ガラスを積層させた積層体である。例えばソーラーガラス20は、ルーフの80%以上を占める大きさとなるように寸法が定められる。
【0016】
ソーラーガラス20の後端には樹脂カバー22が設けられる。樹脂カバー22に覆われるようにして、アンテナモジュール50が配置される。
図1、
図2を参照して、アンテナモジュール50はいわゆる平面型である。例えばアンテナモジュール50は直方体形状の箱体から構成される。アンテナモジュール50は、例えばGPS、VICC、ETC等のITSサービスを利用するための通信機器である。
【0017】
例えばアンテナモジュール50は車幅方向中央に配置される。またアンテナモジュール50は樹脂カバー22に被覆される。アンテナモジュール50による送受信を妨げないように、非金属性の樹脂カバー22が用いられる。また
図2を参照して、樹脂カバー22の露出面は、ソーラーガラス20の露出面と同一高さとなるように、それぞれの高さが定められる。
【0018】
ソーラーガラス20及び樹脂カバー22の下方にルーフパネル40が配置される。ルーフパネル40はアルミ等の板金から構成される。
図1の破線で示されるように、ルーフパネル40は平面視で枠形状である。
図2を参照して、ルーフパネル40の後方にはバックドアパネル24が配置される。
【0019】
ルーフの補強部品として、ルーフリーンフォース30が設けられる。ルーフリーンフォース30は、車幅方向に延伸する。ルーフリーンフォース30の車幅方向両端は、ルーフパネル40及び図示しない一対のルーフサイドレールに接続される。ルーフサイドレールは、車室の骨格部品である。
【0020】
ルーフリーンフォース30は、車室に対して車幅方向の荷重が入力されたときに、当該荷重を伝達する補強部品である。例えばルーフリーンフォース30は高張力鋼板から構成される。つまりルーフリーンフォース30は、ルーフパネル40より高強度である。
【0021】
車両前後方向に沿って、ルーフリーンフォース30は、ソーラーガラス20の後端部分から、ルーフパネル40のフランジ42まで及ぶ。つまりソーラーガラス20の後端部分及び樹脂カバー22の下方に、ルーフリーンフォース30が配置される。
【0022】
図2を参照して、ルーフリーンフォース30のUP-FR断面は、凹凸形状である。例えばルーフリーンフォース30には下に凸の断面ハット構造32が形成される。断面ハット構造32は例えば車幅方向全長に亘って延伸する。
【0023】
断面ハット構造32の鍔に当たる支持部34には、ソーラーガラス20及び樹脂カバー22が当接される。例えば接着剤52Aにより、支持部34とソーラーガラス20が接着される。また接着剤52Bにより、支持部34と樹脂カバー22が接着される。
【0024】
ルーフリーンフォース30は、支持部34の後方に、凹部36を備える。凹部36は支持部34及びフランジ38よりも下方に窪む。この凹部36に、アンテナモジュール50が収容される。例えばアンテナモジュール50の下面には図示しないクリップが接着される。さらに凹部36の底板には締結孔が穿孔される。この締結孔にアンテナモジュール50のクリップが差し込まれる。これにより、アンテナモジュール50がルーフリーンフォース30に支持される。凹部36の深さは、アンテナモジュール50の厚みと同程度となるように定められる。
【0025】
図1、
図2を参照して、例えば凹部36は、断面ハット構造32とは異なり、車幅方向中央部分にのみ設けられる。凹部36の車幅方向寸法は、アンテナモジュール50の車幅方向寸法に所定のマージンを加えた値に定められる。例えばアンテナモジュール50の車幅方向寸法の1.1倍以上1.5倍以下の範囲で、凹部36の車幅方向寸法が定められる。
【0026】
さらに凹部36の後方に多段のフランジ38が設けられる。フランジ38はルーフパネル40のフランジ42と重ねられる。フランジ38,42は例えばボルト・ナット締結される。さらに接着剤52Cにより、フランジ38と樹脂カバー22が接着される。
【0027】
以上説明したように、本実施形態に係る車両上部構造では、ルーフリーンフォース30に凹部36が設けられる。そしてこの凹部36にアンテナモジュール50が収容される。補強部材であるルーフリーンフォース30がアンテナモジュール50を支持することで、ルーフパネル40がアンテナモジュール50を支持する場合と比較して、支持が安定する。
【0028】
また従来構造では、アンテナモジュール50がプレートに載置され、そのプレートがルーフパネルに固定されていた。これに対して本実施形態に係る車両上部構造では、ルーフリーンフォース30の凹部36にアンテナモジュール50が収容される。したがって、アンテナモジュール50が載せられていたプレートが省略される。つまり部品点数が従来よりも低減される。
【符号の説明】
【0029】
10 車両、20 ソーラーガラス、22 樹脂カバー、24 バックドアパネル、30 ルーフリーンフォース、36 凹部、40 ルーフパネル、50 アンテナモジュール。