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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171530
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】荷物搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 67/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65G67/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088588
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000137960
【氏名又は名称】株式会社メイキコウ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松本 翔太
(72)【発明者】
【氏名】堀 祐正
【テーマコード(参考)】
3F076
【Fターム(参考)】
3F076AA01
3F076CA02
3F076CA04
3F076CA07
3F076DA01
3F076DA07
3F076DB02
(57)【要約】
【課題】高さの差が大きく異なる場所へ分割コンベヤを容易に移動させることができる荷物搬送装置を提供すること。
【解決手段】荷物搬送装置9は、相対移動可能に連結された複数段の分割コンベヤ1、2を備えた伸縮可能なコンベヤ10を有する。コンベヤ10は、ベース6aに載置される。ベース6aには、前輪50および後輪52が設けられる。ベース6aの前端から前方に渡りプレート8が突出する。渡りプレート8は、上下方向に弾性変形可能である。渡りプレート8は、ベース6aから少なくとも1つ分割コンベヤ1が前方へ移動することでコンベヤ10を伸縮させる。ベース6aの前端と渡りプレート8は、高さ調節機構7によって床面に対して高さ調整される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動可能に連結された複数段の分割コンベヤを備えた伸縮可能なコンベヤと、
前記コンベヤが載置されるベースと、
前記ベースに設けられる前輪および後輪と、
前記ベースの前端から前方に突出し且つ上下方向に弾性変形可能で、前記ベースから少なくとも1つ前記分割コンベヤが前方へ移動することで前記コンベヤを伸縮させ可能な渡りプレートと、
前記ベースの前記前端とともに前記渡りプレートを床面に対して高さ調整する高さ調節機構を有する荷物搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の荷物搬送装置であって、
前記高さ調節機構は、前記渡りプレートと前記前輪の間に設けられて、前記渡りプレートの前記前端を前記前輪に対して高さ調整する荷物搬送装置。
【請求項3】
請求項1に記載の荷物搬送装置であって、
前記ベースと前記渡りプレートには、前記コンベヤの伸縮方向に延設されるガイドが設けられ、
前記分割コンベヤには、前記ベースに向けて突出し前記ガイドに当接して案内される被案内部材が設けられる荷物搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載の荷物搬送装置であって、
前記ガイドは、左右のガイド片を有し、前記左右のガイド片の間に前記分割コンベヤの前記被案内部材が設置され、
前記ガイドの前領域は、前方に行くほど前記左右のガイド片の間隔が広くなる荷物搬送装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載の荷物搬送装置であって、
前記分割コンベヤは、角度が固定された固定車輪を有し、
前記ベースの前記前輪と前記後輪は、旋回可能な自在車輪である荷物搬送装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1つに記載の荷物搬送装置であって、
前記コンベヤの前側に連結され、補助コンベヤを有する積込補助装置を備え、
前記補助コンベヤは、平面視において、前記コンベヤに対して同一線上に位置するように配置され、
前記補助コンベヤの下方に電線が巻かれるケーブルドラムが設けられ、
前記電線の引き出し側の一端は、前記ケーブルドラムから引き出された前記電線が前記分割コンベヤの下方に位置するように前記ベースまたは前記ベースに固定された部材に固定される荷物搬送装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか1つに記載の荷物搬送装置であって、
複数の前記分割コンベヤは、前から順に上方に配置されており、
前記分割コンベヤは、それぞれ左右の脚を有し、前記左右の脚の間に下方の前記分割コンベヤが配置され、
前記左右の脚の各内面と、前記左右の脚の各内面とそれぞれ対向する前記分割コンベヤの左右側面とのいずれか一方には、前記左右の脚と前記分割コンベヤの左右側面が接触して摺動を円滑にするテープまたはローラが設けられる荷物搬送装置。
【請求項8】
請求項7に記載の荷物搬送装置であって、
前記テープまたは前記ローラは、前記左右の脚の各内面から進出する方向に向けて付勢された付勢部材を介して設けられ、
前記付勢部材の付勢力は、前記上方の前記分割コンベヤより前記下方の前記分割コンベヤの方が前記摺動の抵抗が大きくなるように設定されている荷物搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばトラックの荷室やコンテナ内に積み込まれた多数個の荷物を降す、あるいは積み込む作業に用いる荷物搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
荷物搬送装置は、例えば特許文献1に開示されているように、伸縮可能なコンベヤを有する。コンベヤは、相対移動可能に連結された複数段の分割コンベヤを備える。複数段の分割コンベヤには、車輪がそれぞれ設けられている。例えばトラックの荷室に積み込まれた多数個の荷物をプラットホームに降す。この場合、プラットホームに位置する下流側の分割コンベヤに対して上流側の分割コンベヤを順にトラックの荷室の奥へ移動させる。これによりコンベヤが伸長する。作業員が荷物を上流側の分割コンベヤに順番に載せる。荷物は、上流側の分割コンベヤから下流側の分割コンベヤに運ばれる。かくして荷物がトラックの荷室からプラットホームに降される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6727994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般にプラットホームとトラックの荷室の床面の間に高さの差が大きい場合がある。そのため分割コンベヤをプラットホームからトラックの荷室に移動させる際、トラックの荷室の積込口の床面とプラットホームとの間に渡りプレートを掛け渡す。したがって渡りプレートをわざわざ準備する必要があった。しかも渡りプレートの長さが短い場合もある。この場合、渡りプレートが急勾配になる。そのため分割コンベヤを移動させる際に大きな力が必要になる。そこで高さの差が大きく異なる場所へ分割コンベヤを容易に移動させることができる荷物搬送装置が従来必要とされていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの特徴によると、荷物搬送装置は、相対移動可能に連結された複数段の分割コンベヤを備えた伸縮可能なコンベヤを有する。コンベヤは、ベースに載置される。ベースには、前輪および後輪が設けられる。ベースの前端から前方に渡りプレートが突出する。渡りプレートは、上下方向に弾性変形可能である。渡りプレートは、ベースから少なくとも1つ分割コンベヤが前方へ移動することでコンベヤを伸縮させる。ベースの前端と渡りプレートは、高さ調節機構によって床面に対して高さ調整される。
【0006】
そのため高さ調節機構を利用して渡りプレートの先端を例えば荷室の床面の積込口側の縁に掛け渡すことができる。そのため渡りプレートをわざわざ準備する必要が無い。しかも、ベースは渡りプレートの先端とベースの後部(例えば後輪)の2点が支持された緩やかな勾配状態となる。すなわち、ベース全体も、例えばスロープの役割を担う。さらに、渡りプレートは、上下方向に弾性変形可能である。そのため掛け渡された渡りプレートは、荷室の床面の積込口側の縁等に沿って馴染む(追従する)。したがってプラットホームとトラックの荷室の床面の間に高さの差が大きい場合でも、分割コンベヤを緩やかな勾配で荷室の床面に乗り込むことができる。ゆえに分割コンベヤを移動させる際に大きな力を必要とすることなく、高さの差が大きく異なる場所へ分割コンベヤを容易に移動させることができる。
【0007】
本開示の他の特徴によると、高さ調節機構は、ベースと前輪の間に設けられて、ベースの前端を前輪に対して高さ調整する。そのため、高さ調節機構を利用してベースの前端の高さを調整しても、ベースの前輪は床面に接触したままの状態である。したがって、渡りプレートの先端を例えば荷室の床面に掛け渡す際にベースの前進動作が必要な場合、前輪および後輪によってベースを移動させることができる。
【0008】
本開示の他の特徴によると、ベースと渡りプレートには、コンベヤの伸縮方向に延設されるガイドが設けられる。分割コンベヤには、ベースに向けて突出しガイドに当接して案内される被案内部材が設けられる。そのため、ガイドと被案内部材によって案内された状態で分割コンベヤが移動し、コンベヤが伸縮する。したがって、コンベヤの伸縮の際の蛇行を抑制できる。
【0009】
本開示の他の特徴によると、ガイドは、左右のガイド片を有し、左右のガイド片の間に分割コンベヤの被案内部材が設置される。ガイドの前領域は、前方に行くほど左右のガイド片の間隔が広くなる。そのため、ベースから離れた分割コンベヤをベースに戻す際、被案内部材が左右に間隔の広い左右のガイド片の前領域において確実に案内される。したがって、左右のガイド片の内部への被案内部材の戻しをスムーズに実施できる。
【0010】
本開示の他の特徴によると、分割コンベヤは、角度が固定された固定車輪を有する。ベースの前輪と後輪は、旋回可能な自在車輪である。そのため、コンベヤを伸縮させる際の分割コンベヤの走行に直進性を持たせることができる。これによりコンベヤの伸縮を円滑に行うことができる。一方ベースは、自在車輪を有するため、所望の位置に移動できる。分割コンベヤは移動する分だけ、コンベヤが伸縮する。
【0011】
本開示の他の特徴によると、コンベヤの前側に連結され、補助コンベヤを有する積込補助装置を備える。補助コンベヤは、平面視において、コンベヤに対して同一線上に位置するように配置される。補助コンベヤの下方に電線が巻かれるケーブルドラムが設けられる。電線の引き出し側の一端は、ケーブルドラムから引き出された電線が分割コンベヤの下方に位置するようにベースまたはベースに固定された部材に固定される。そのため、分割コンベヤを移動させた際、この移動にともなってケーブルドラムから引き出された電線が、常に、分割コンベヤの下方に位置する。したがって、引き出された電線の上に荷物が落下する恐れが少なくなり、電線の断線を防止できる。
【0012】
本開示の他の特徴によると、複数の分割コンベヤは、前から順に上方に配置されている。分割コンベヤは、それぞれ左右の脚を有し、左右の脚の間に下方の分割コンベヤが配置される。左右の脚の各内面と、左右の脚の各内面とそれぞれ対向する分割コンベヤの左右側面とのいずれか一方には、左右の脚と分割コンベヤの左右側面が接触して摺動を円滑にするテープまたはローラが設けられる。そのため上方の分割コンベヤは、下方の分割コンベヤによって案内される。したがって、移動する分割コンベヤの蛇行を抑制できる。そしてテープまたはローラによって摺動の抵抗が小さく、上方の分割コンベヤを下方の分割コンベヤに対して円滑に摺動できる。また、下方の分割コンベヤの左右側面に傷が付くことを防止できる。
【0013】
本開示の他の特徴によると、テープまたはローラは、左右の脚の各内面から進出する方向に向けて付勢された付勢部材を介して設けられる。付勢部材の付勢力は、上方の分割コンベヤより下方の分割コンベヤの方が摺動の抵抗が大きくなるように設定されている。そのため、複数の分割コンベヤを伸長させると、最前の分割コンベヤの伸長が完了した後、その後ろの分割コンベヤが伸長する。したがって、下流の分割コンベヤは、上流の分割コンベヤが伸長しない限り伸長することがない。例えば、第1段分割コンベヤ~第5段分割コンベヤの5段のコンベヤのうち、コンベヤを2段伸長させる場合、第1段分割コンベヤの伸長が完了した後に第2段分割コンベヤの伸長が完了する。そのため、第3段分割コンベヤの搬送面が荷物を降ろす面となる。したがって、荷降ろしするまでにコンベヤに生じる段差を1段ずつにできる。ゆえに、段差による高さの違いを低く抑えることができるため、伸長させたコンベヤの段差で搬送する荷物が落下する恐れを抑制できる。また、荷物を降ろす面が下流の分割コンベヤの搬送面となる。そのため、荷物を降ろす分割コンベヤの搬送面が荷降ろしする作業員の腰より高くて荷物を取りやすい高さ位置となる時間を多く確保できるため、荷降ろしする作業員の負担を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る荷物搬送装置の側面図である。
図2図1の荷物搬送装置の平面図である。
図3図1の荷物搬送装置の台車の斜視図である。
図4図1の荷物搬送装置の前面図である。
図5図1の荷物搬送装置の後面図である。
図6図1のジャッキ装置による渡りプレートの高さの調整を説明する図である。
図7図1の分割コンベヤを伸長させて荷降ししている状態の側面図である。
図8図7の荷降ししている状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の好ましい実施形態を図面を参照して下記に詳しく説明する。説明中の同じ参照番号は、重複する説明をしないが、同じ機能を有する同じ要素を意味する。本発明の実施形態を図1~8にしたがって説明する。以下の説明にあたって、上下、前後、左右の向きは、各図における矢印で示す上下、前後、左右の向きを示している。
【0016】
図1、2に示すように、荷物搬送装置9は、コンベヤ10と、積込補助装置20と、台車6を備えている。コンベヤ10は、相対移動可能に連結された複数の分割コンベヤ1~5を備える。図1、7に示すように分割コンベヤ1~5を前後に移動させることでコンベヤ10を伸縮させることができる。コンベヤ10は例えばトラック80の荷室81の積込口82と奥部との間を伸縮されて利用される。コンベヤ10が伸びた状態で第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5が順に前から並べられる。コンベヤ10が縮んだ状態で第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5が順に上から並べられる。
【0017】
図1、2に示すように、最前の第1段分割コンベヤ1(第1コンベヤ)は、前後左右に脚部1bを有するフレーム1a上に支持されている。第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4のフレーム1a~4aの下面側に、それぞれ第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5のフレーム2a~5aが前後にスライド可能に支持されている。図1、2に示すようなコンベヤ10の収縮状態では、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の左右の脚部1b~4bの間に下面側に沿ってそれぞれ第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5が収納される。
【0018】
図1、2に示すように、第1段分割コンベヤ1の搬送面が最も高く、第5段分割コンベヤ5の搬送面が最も低くなっている。そのため、図8に示すように、荷物91は、第1段分割コンベヤ1から一段ずつ下がって後方の第5段分割コンベヤ5上に搬送される。図1、2に示すように、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5には、駆動源としてそれぞれ独自のモータ1d~5dが備え付けられている。モータ1d~5dは、同期して起動、停止するように動作制御されている。
【0019】
図1、2に示すように、第1段分割コンベヤ1のフレーム1aは、前後左右に脚部1bを備えている。第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5のフレーム2a~5aは、それぞれ後部側に左右2つの脚部2b~5bを備えている。第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の脚部1b~4bには、後述する台車6のベース6aの床面(載せ面)とトラック80の荷室81の床面の間を移動するための固定車輪1c~4cが取り付けられている。固定車輪1c~4cは、前後のみに走行するように旋回の角度が固定された直進性を有する車輪である。第5段分割コンベヤ5の脚部5bの先端は、後述する台車6のベース6aの後部に設けられた一対のブラケット6dに挿し込まれている。そして、この挿し込まれた状態で、第5段分割コンベヤ5の脚部5bの先端は、一対のブラケット6dに左右方向を軸方向とする軸回りに回動可能にピン6eで締結(ピンジョイント)されている。これにより、トラック80の荷室81の床面が台車6のベース6aに対して傾斜していても、スムーズに分割コンベヤ1~4を伸縮できる。
【0020】
第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5のフレーム2a~5aの左右側面は、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の脚部1b~4bの各内面に接触して摺動を円滑にする樹脂製のモール(図示しない)が設けられる。そのため、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の脚部1b~4bの各内面に第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5のフレーム2a~5aの左右側面が擦れて傷付くことを抑制できる。また、モールには、様々な色の加飾を施せば、第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5の意匠性を高めることができる。
【0021】
図1、2に示すように、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の脚部1b~4bの先端を繋ぐ繋ぎ部材1eは、幅方向の中央に吊下部材1f~4fによって吊り下げられた円形のベアリング1g~4gを備えている。このベアリング1g~4gが特許請求の範囲に記載の「被案内部材」に相当する。図5に示すように、このベアリング1g~4gは、後述するガイド6fと同じ高さ位置となるように設けられている。
【0022】
図5に示すように、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の脚部2b~4bの各内面には、下方の第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5の左右側面に接触して摺動を円滑にする樹脂製のテープ2h~4hが設けられる。テープ2h~4hは、基材であるプレート(図示しない)にそれぞれ貼り付けられている。第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の脚部2b~4bの各内面と上記の各プレートの間に付勢部材である圧縮ばね(図示しない)が介装されている。圧縮ばねの付勢力は、上方の分割コンベヤより下方の分割コンベヤの方が摺動の抵抗(コンベヤのスライドの抵抗)が大きくなるように設定されている。すなわち、第1段分割コンベヤ1が伸長しない限り、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4が伸長することがない。このことは、第2段分割コンベヤ2以降においても同様である。なお、上述した圧縮ばねは、コストダウンの観点から、必ずしも設ける必要がない。その場合、プレートおよび圧縮ばねを設けることなく、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の脚部2b~4bの各内面には、直に樹脂製のテープ2h~4hが貼られる。
【0023】
図1に示すように、後述するケーブルドラム16から引き出された電線(図示しない)の先端(電線の引き出し側の一端)は、ケーブルドラム16から引き出された電線がコンベヤ10の下方に位置するように後述する台車6の制御盤6cに接続されている。なお、コンベヤ10が伸長すると、ケーブルドラム16から電線がフリーになって引き出され、コンベヤ10が収縮すると、引き出された電線がケーブルドラム16の内部のばね力または内蔵モータの駆動によりケーブルドラム16に積極的に巻き取られる。そのため、コンベヤ10の伸縮の際、電線に弛み等が生じることがない。
【0024】
図1、2に示すように、積込補助装置20は、フレーム21を有しており、このフレーム21の概ね四隅には前輪22および後輪23が取り付けられている。前輪22および後輪23は、上述した固定車輪1c~4cと同様に、前後のみに走行するように旋回の角度が固定された直進性を有する車輪(固定車輪)である。フレーム21は、前部側と後部側の幅方向の中央に吊下部材11によって吊り下げられた円形のベアリング12を備えている。このベアリング12も、ガイド6fと同じ高さ位置となるように設けられている。
【0025】
図1、2に示すように、フレーム21は、後部側に左右に対を成す支柱24を備えている。左右の支柱24の先端には、油圧シリンダ26を駆動源として後端部の支点14を中心に上下方向に揺動可能に補助コンベヤ25が繋がれる状態で支持されている。補助コンベヤ25は、ベルトコンベヤであって、図示しないモータの内蔵により自身が積極的に回転する支点14側のローラにより無端ベルトを回転させる構造である。
【0026】
補助コンベヤ25および第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5の搬送ベルトには、多数の樹脂製ピースをロッドを介して搬送方向に連結した樹脂ベルト(プラスチックモジュラーベルト)で、蛇行の少ない搬送ベルトが用いられる。ただし、係るモジュラーベルトに代えてより一般的な平ベルトを用いる構成としてもよい。補助コンベヤ25は、平面視において、コンベヤ10に対して同一線上に位置するように配置される(図2参照)。積込補助装置20の補助コンベヤ25の下方に電線が巻かれるケーブルドラム16が設けられる。
【0027】
図1、2に示すように、油圧シリンダ26のロッド17が突出する方向に作動すると、補助コンベヤ25は上方へ移動し(図1において、補助コンベヤ25を想像線で示す状態)、油圧シリンダ26のロッド17が引き込む方向に作動すると、補助コンベヤ25は下方へ移動する(図1において、補助コンベヤ25を実線で示す状態)。補助コンベヤ25は、左右の側方にサイドガイド27が配置されており、この両サイドガイド27により補助コンベヤ25の搬送中の荷物91の脱落を防止できる。
【0028】
図7に示すように、フレーム21は、作業員90が乗るための作業台29を前部側に左右に対を成すように備えている。作業台29は、Xリンク28(パンタグラフ型式のリフト装置)により上下方向に平行移動する構成である。図1、4に示すように、左右の作業台29は、補助コンベヤ25の左右から突出したチェーン取付部材15からチェーン30を介してそれぞれ繋がれた状態である。
【0029】
そのため、補助コンベヤ25が上方へ移動すると、チェーン30に引かれてXリンク28が伸長するため作業台29が上昇する(図1において、作業台29を想像線で示す状態)。逆に、補助コンベヤ25が下方へ移動すると、チェーン30の引きが解消するためXリンク28が収縮して作業台29が下降する(図1において、作業台29を実線で示す状態)。
【0030】
このように作業台29に作業員90が乗って上下に移動しつつ補助コンベヤ25を昇降動させることで、高い位置に積まれた荷物91でも簡便に(作業員90が背伸びした無理な姿勢になることなく)下ろすことができる。このフレーム21には、前輪50の駆動軸とチェーンで連結されたモータ(いずれも図示しない)が搭載されている。これにより、フレーム21を前進または後退させることができる。このモータは、インバータ(図示しない)による駆動されるものである。そのため、モータの起動、停止を滑らかにできる。したがって、フレーム21の前進または後退の際、急な発進、急な停止になることを抑制でき、作業台29に乗っている作業員90の不安解消、転落防止等の安全性を高めることができる。
【0031】
また、このフレーム21には、油圧シリンダ26の油圧源としての油圧ユニット(図示しない)が搭載されている。また、このフレーム21は、上方に向けて略直方体の枠状の枠フレーム32を備えている。枠フレーム32は、前部側に左右2つの操作盤33を備えている。作業台29に乗った作業員90は、左右2つの操作盤33のどちらのスイッチ18からでも操作可能である。このように操作盤33が左右2つあるため、例えば左の作業台29に乗った作業員90は左の操作盤33のスイッチ18を操作可能であり、右の作業台29に乗った作業員90は右の操作盤33のスイッチ18を操作可能である。
【0032】
なお、制御盤6cに左または右のいずれかが有効な切替スイッチ(図示しない)を設けておき、左が有効になるように切替スイッチを切り替えると、左の操作盤33のスイッチ18のみが操作可能となってもよい。同様に、右が有効になるように切替スイッチを切り替えると、右の操作盤33のスイッチ18のみが操作可能となってもよい。もちろん、操作盤33が左右のいずれか1つであっても構わない。
【0033】
図1、2に示すように、枠フレーム32は、上部側にファン34を備えている。ファン34の表面は、ミストを噴出可能な霧吹装置36を備えている。これらファン34および霧吹装置36を作動させることにより、荷室81内の温度低下を図ることができるため、作業員90の夏場の作業環境の向上(体感温度の低下)を図ることができる。
【0034】
図1、2に示すように、枠フレーム32は、上部側にLED光源をそれぞれ有する左右一対の照明装置35を備えている。この照明装置35を作動させることにより、夜間だけでなく昼間であっても、荷室81内を明るくできる。なお、照明装置35は、左右一対に備えることなく、左右に亘って延設される1本の棒状タイプであっても構わない。また、フレーム21は、制御盤31を備えている。この制御盤31は、上述したモータ、油圧ユニット、ファン34、照明装置35および霧吹装置36を作動させるための各種電気品(ブレーカ、電磁開閉器、リレー等)を備えている。積込補助装置20の後端部は、コンベヤ10の前側の繋ぎ部材1eに連結されている。
【0035】
図1~3に示すように、台車6は、上述したコンベヤ10が載置されるベース6aと、ベース6aの前端から前方に突出する渡りプレート8を備えている。ベース6aは、鋼材を四角枠状に組み合わせることで剛性が高くなるように構成されている。一方、渡りプレート8は、前端が後端より幅広を成す略台形状の鉄板であって、幅領域において(幅全体に亘って)ベース6aよりも剛性が低く上下方向に弾性変形可能あるいは捻じれ可能に構成されている。渡りプレート8は、ベース6aから少なくとも1つ分割コンベヤ(例えば第1段分割コンベヤ1)が前方へ移動することを許容してコンベヤ10の伸縮を許容する。
【0036】
図1、2に示すように、ベース6aは、左右の縁に上方に向けて突出する側壁6bを備えている。一方、図3に示すように、渡りプレート8も、左右の縁に上方に向けて突出する側壁8aを備えている。これら両側壁6b、8aは、前後に連続するように形成されている。これにより、図7に示す荷降ろしする作業員92によるベース6aの縁への足掛け動作を抑制できる。すなわち、これら両側壁6b、8aは、台車6、渡りプレート8の安全カバーとなる。また、ベース6a、渡りプレート8の補強部材となる。また、これら両側壁6b、8aによりベース6a、渡りプレート8の剛性を高めることができる。また、渡りプレート8の両側壁8aの高さは、後側より前側が低くなる下り傾斜するように形成されている。
【0037】
そのため、渡りプレート8の後部では十分な剛性を確保しつつ、渡りプレート8の前部では幅領域において剛性を抑え上下方向に弾性変形あるいは捻じれを許容する。また、渡りプレート8は、下面に補強部材8bを備えている。補強部材8bは、渡りプレート8の前後方向の略中央に位置し、且つ左右方向に沿って設けられている。これにより、渡りプレート8の中央部に生じる凹み、弾性変形等を防止できる。補強部材8bの両端は、左右のジャッキ取付部7dに接合されている。また、渡りプレート8は、後部に厚み方向に貫通する貫通孔8cが形成されている。貫通孔8cは、複数個(例えば、前後方向に3個、幅方向に2個、計6個)形成されている。これにより、渡りプレート8の軽量化を図ることができる。
【0038】
図3に示すように、ベース6aおよび渡りプレート8は、幅方向の中央に略U字状のガイド6fを備えている。ガイド6fは、上方が開口するように左右のガイド片6gを有する。左右のガイド片6gの間に、上述したベアリング1g~4g、12が入り込み可能である。ガイド6fの前領域は、前方に行くほど左右のガイド片6gの間隔が広くなっている。ガイド6fは、前端が渡りプレート8の先端まで連続するように形成されている。そのため、ガイド6fによりベース6aおよび渡りプレート8の剛性を高めることもできる。
【0039】
図1、2に示すように、渡りプレート8の前部には前輪50、ベース6aの後部にも後輪52が取り付けられている。これら前輪50および後輪52は、旋回可能な自在車輪(いわゆる、キャスター)である。この取り付けについて詳述すると、図3に示すように、前輪50は、高さ調節機構であるジャッキ装置7を介して渡りプレート8の前部に取り付けられている。ジャッキ装置7は、略円筒状のジャッキ装置本体7aと、ジャッキ装置本体7aの内部と螺合するねじ軸(図示しない)と、ねじ軸と直交して螺合するクランク状のハンドル7bを備えている。ねじ軸の下端は、逆U字状の車輪支持部51が旋回可能に取り付けられている。
【0040】
図3に示すように、車輪支持部51には、両自由端を繋ぐように2個の車輪からなる前輪50が取り付けられている。そのため、ハンドル7bを一方向または他方向に回すと、ジャッキ装置本体7aとねじ軸が軸方向に相対移動する。ジャッキ装置本体7aは、ジャッキ取付部7dを介して渡りプレート8の左右の縁にそれぞれ取り付けられている。したがって、左右のジャッキ装置7の両ハンドル7bを一方向または他方向に回すと、ベース6aの前端とともに渡りプレート8をプラットホーム85の床面に対して高さ調整できる。すなわち、プラットホーム85の床面に対して台車6の前部を昇降できる。例えばハンドル7bを一方向に回すと、台車6の前部が上昇する。
【0041】
後輪52は、ジャッキ装置7を備えていないため、ベース6aは、後部に逆U字状の車輪支持部(図示しない)が旋回可能に取り付けられている。車輪支持部には、両自由端を繋ぐように2個の車輪からなる後輪52が取り付けられている。ベース6aは、下面の後部側に左右2つのロック装置54(フロアロック)を備えている。ロック装置54を作動させると、ロック装置54の一部がプラットホーム85の床面を強力に押圧する。これにより、プラットホーム85の床面に対する台車6のズレ動きを防止できる。
【0042】
図1、2に示すように、ベース6aは、上面の後部側に左右2つの手すり56を備えている。ベース6aの前部は、左側面にプラグ55を備えている。プラグ55には、外部(例えばプラットホーム85の支柱)からの延長ケーブル(図示しない)を接続できる。ベース6aの後部は、制御盤6cを備えている。制御盤6cは、プラグ55からの電源ケーブルが接続されている。これにより、プラットホーム85等から延長ケーブルを接続して荷物搬送装置9に給電できる。図1、2に示すように、コンベヤ10と積込補助装置20が台車6に載せられている。
【0043】
本実施形態の荷物搬送装置9は、以上のように構成されたものであり、この荷物搬送装置9によれば例えばトラック80の荷室81に積み込まれた多数個の荷物91の降し作業は以下のようにして行われる。
【0044】
図1、6に示すように、まず、荷物搬送装置9は、コンベヤ10が最短に収縮されて積込補助装置20とともに台車6(ベース6aと渡りプレート8)に載せられた待機状態(図6において、渡りプレート8の先端が実線の(1)で示される状態)にある。この状態でトラック80が後退して荷室81の積込口82がプラットホーム85に近づけられる。
【0045】
トラック80が所定の位置に停止されたなら、作業員90は左右のジャッキ装置7のハンドル7bを一方向に回す作業を行う。すると、プラットホーム85の床面に対して台車6の前部(ベース6aの前端とともに渡りプレート8)が上昇した状態(図6において、渡りプレート8の先端が想像線の(2)で示される状態)となる。この想像線の(2)で示すように、渡りプレート8の下面がトラック80の荷室81の床面より十分に高い位置となるまで上昇させる。なお、荷物91の降し作業にあたって、初めから、プラットホーム85の床面に対して台車6の前部が十分に高い位置にある場合、上述した左右のジャッキ装置7のハンドル7bを一方向に回す作業が不要となる。
【0046】
次に、4人の作業員90は、各自が荷物搬送装置9の左前部(積込補助装置20の枠フレーム32の左部)、右前部(積込補助装置20の枠フレーム32の右部)、左後部(台車6の左の手すり56)、右後部(台車6の右の手すり56)を分担して掴み押し込んで台車6を前進させる作業を行う。この前進させた状態が、図6において、渡りプレート8の先端が想像線の(3)で示される状態である。次に、作業員90は左右のジャッキ装置7のハンドル7bを他方向に回す作業を行う。すると、プラットホーム85の床面に対して台車6の前部(ベース6aの前端とともに渡りプレート8)が下降する。この左右のジャッキ装置7のハンドル7bを他方向に回す作業は、台車6の前輪50がプラットホーム85から十分に浮き上がるまで実施する。
【0047】
そのため、渡りプレート8の先端がトラック80の荷室81の床面の積込口82側の縁に掛け渡された状態(図6において、渡りプレート8の先端が想像線の(4)で示される状態)となる。なお、ジャッキ装置7のハンドル7bを一方向または多方向に回す作業は、2人の作業員90が同時に行ってもよいし、1人の作業員が片方を少しずつ行ってもよい。
【0048】
次に、作業員90は台車6の左右のロック装置54を動作させる作業を行う。このようにして渡りプレート8の先端が掛け渡された状態になると、台車6のベース6aは渡りプレート8の先端とベース6aの後輪52(ロック装置54)の2点が確実に支持された緩やかな勾配状態となる。すなわち、台車6のベース6a全体も、例えばスロープの役割を担う。
【0049】
さらに、渡りプレート8は、幅領域において(幅全体に亘って)ベース6aよりも剛性が低く上下方向に弾性変形可能あるいは捻じれ可能である。そのため掛け渡された渡りプレート8は、荷室81の床面の積込口82側の縁に沿って馴染んだ状態(追従した状態)となっている。したがってトラック80の荷室81の床面と渡りプレート8との間において、積込補助装置20およびコンベヤ10を移動(乗り移り)させ易い。
【0050】
上記した渡りプレート8の先端が想像線の(4)で示される状態になると、図6に示すように、積込補助装置20は、トラック80の荷室81の1列目の荷物91の手前に位置している。次に、作業員90は操作盤33のスイッチ18の操作により各コンベヤ(補助コンベヤ25、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5)を起動させる作業を行う。次に、作業員90はトラック80の荷室81の1列目の荷物91を上から順番に補助コンベヤ25に載せる(積み込む)作業を行う。
【0051】
荷物91は、補助コンベヤ25から第1段分割コンベヤ1に運ばれる。運ばれた荷物91は、第1段分割コンベヤ1の横で待機している作業員92により降される。なお、補助コンベヤ25の上下方向の揺動を適切に変更することにより、作業台29の高さ位置も変更されるため、作業員90は高い位置の荷物91の載せ作業、および低い位置の荷物91の載せ作業を楽に行うことができる。
【0052】
また、必要に応じて、ファン34、照明装置35および霧吹装置36を動作させることで、作業員90にとって快適な環境で荷物91の降し作業を行うことができる。やがて、荷室81の1列目の荷物91を全て降すと、作業員90は操作盤33のスイッチ18を操作して積込補助装置20をトラック80の荷室81の2列目の荷物91の手前まで前進(移動)させる作業を行う。この前進にともない、摺動の抵抗の小さい第1段分割コンベヤ1がスライドして伸長する。
【0053】
このとき、積込補助装置20と第1段分割コンベヤ1のベアリング12、1gは台車6のガイド6fによって案内された状態となっている。そのため、積込補助装置20と第1段分割コンベヤ1は、台車6の前後方向に沿って真っすぐに前進(スライド)する。このことは、後述する第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4が順次にスライドして伸長する場合、および第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4が順次にスライドして収縮する場合も同様である。
【0054】
また、このとき、積込補助装置20と第1段分割コンベヤ1は、緩やかな勾配状態のベース6aを進んでいく。したがってプラットホーム85とトラック80の荷室81の床面の間に高さの差が大きい場合でも、コンベヤ10を緩やかな勾配で荷室81の床面に乗り込むことができる。ゆえにコンベヤ10を移動させる際に大きな力を必要とすることなく、高さの差が大きく異なる場所へコンベヤ10を容易に移動させることができる。
【0055】
積込補助装置20がトラック80の荷室81の2列目の荷物91の手前に到達すると、作業員90はトラック80の荷室81の2列目の荷物91を上から順番に補助コンベヤ25に載せる作業を行う。荷物91は、補助コンベヤ25から第1段分割コンベヤ1を介して第2段分割コンベヤ2に運ばれる。運ばれた荷物91は、第2段分割コンベヤ2の横で待機している作業員92により降される。
【0056】
やがて、荷室81の2列目の荷物91を全て降すと、作業員90は操作盤33のスイッチ18を操作して積込補助装置20をトラック80の荷室81の3列目の荷物91の手前まで前進(移動)させる作業を行う。積込補助装置20がトラック80の荷室81の3列目の荷物91の手前に到達すると、作業員90はトラック80の荷室81の3列目の荷物91を上から順番に補助コンベヤ25に載せる作業を行う。
【0057】
以降、図7に示すように荷室81の最後の列の荷物91を全て降ろし終わるまで、作業員90は上述した補助コンベヤ25への積み込み作業と、積込補助装置20を前進させる作業を繰り返す。その際、積込補助装置20の前進にともなって第1段分割コンベヤ1から第4段分割コンベヤ4が順番にスライドして伸長する。
【0058】
具体的には、初めに、積込補助装置20の前進にともなって摺動の抵抗が一番小さい第1段分割コンベヤ1がスライドして伸長する。この伸長が完了すると、引き続き、摺動の抵抗が次に小さい第2段分割コンベヤ2がスライドして伸長する。以降、同様に、第3段分割コンベヤ3、第4段分割コンベヤ4が順にスライドして伸長する。この実施形態では、第1段分割コンベヤ1~第3段分割コンベヤ3までがトラック80の荷室81に乗り込む。これら第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4のスライドの際、テープ2h~4hとモールの摺動が生じている。したがって、これら第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4のスライドを円滑に実施できる。
【0059】
やがて、荷室81の最後の列の荷物91を全て降すと、作業員90は操作盤33のスイッチ18の操作により各コンベヤ(補助コンベヤ25、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5)を停止させて積込補助装置20とともに第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4を台車6まで後退(移動)させる作業を行う。この後退にともない、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4が順次にスライドして収縮する。
【0060】
なお、既に説明したように積込補助装置20と第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の各ベアリング12、1g~4gを待ち受けるガイド6fの前領域が前に行くほど左右のガイド片6gの間隔が広くなっている。そのため、これら第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の収縮の際、各ベアリング12、1g~4gがガイド片6gの前領域において確実に案内される。
【0061】
積込補助装置20が台車6に到達すると(戻されると)、作業員90は操作盤33のスイッチ18の操作により積込補助装置20を停止させる。そして、作業員90は渡りプレート8の掛け渡しを解消する作業を行う。これは、上記で説明した渡りプレート8の掛け渡し作業を逆の手順(図6において、渡りプレート8の先端を(4)、(3)、(2)、(1)の状態となるように戻す手順)で行う作業である。このようにして荷物搬送装置9を待機状態に戻すことができる。なお、待機状態に戻された荷物搬送装置9は、プラットホーム85の床面を前輪50および後輪52を転動させてプラットホーム85の所定位置(格納位置)に戻すことができる。
【0062】
以上のような荷物搬送装置9によれば、相対移動可能に連結された複数段の分割コンベヤ1~5を備えた伸縮可能なコンベヤ10を有する。コンベヤ10は、ベース6aに載置される。ベース6aには、前輪50および後輪52が設けられる。ベース6aの前端から前方に渡りプレート8が突出する。渡りプレート8は、上下方向に弾性変形可能である。渡りプレート8は、ベース6aから少なくとも1つ分割コンベヤ(例えば第1段分割コンベヤ1)が前方へ移動することでコンベヤ10を伸縮させる。ベース6aの前端と渡りプレート8は、ジャッキ装置7によって床面に対して高さ調整される。
【0063】
そのためジャッキ装置7を利用して渡りプレート8の先端を例えばトラック80の荷室81の床面の積込口82側の縁に掛け渡すことができる。そのため渡りプレートを別途にわざわざ準備する必要が無い。しかも、ベース6aは渡りプレート8の先端とベース6aの後部(例えば後輪52)の2点が支持された緩やかな勾配状態となる。すなわち、ベース6a全体も、例えばスロープの役割を担う。さらに、渡りプレート8は、上下方向に弾性変形可能である。そのため掛け渡された渡りプレート8は、荷室81の床面の積込口82側の縁等に沿って馴染む(追従する)。したがってプラットホーム85とトラック80の荷室81の床面の間に高さの差が大きい場合でも、第1段分割コンベヤ1~第3段分割コンベヤ3を緩やかな勾配で荷室の床面に乗り込むことができる。ゆえに第1段分割コンベヤ1~第3段分割コンベヤ3を移動させる際に大きな力を必要とすることなく、高さの差が大きく異なる場所へ第1段分割コンベヤ1~第3段分割コンベヤ3を容易に移動させることができる。
【0064】
さらに、ジャッキ装置7は、渡りプレート8と前輪50の間に設けられて、渡りプレート8の前端を前輪50に対して高さ調整する。そのため、ジャッキ装置7を利用してベース6aの前端の高さを調整しても、ベース6aの前輪50は床面に接触したままの状態である。したがって、渡りプレート8の先端を例えば荷室81の床面に掛け渡す際にベース6aの前進動作が必要な場合、前輪50および後輪52によってベース6aを移動させることができる。
【0065】
さらに、ベース6aと渡りプレート8には、コンベヤ10の伸縮方向に延設されるガイド6fが設けられる。第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4には、ベース6aに向けて突出しガイド6fに当接して案内されるベアリング1g~4gが設けられる。そのため、ガイド6fとベアリング1g~4gによって案内された状態で第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4が移動し、コンベヤ10が伸縮する。したがって、コンベヤ10の伸縮の際の蛇行を抑制できる。
【0066】
さらに、ガイド6fは、左右のガイド片6gを有し、左右のガイド片6gの間に第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4のベアリング1g~4gが設置される。ガイド6fの前領域は、前方に行くほど左右のガイド片6gの間隔が広くなる。そのため、ベース6aから離れた第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4をベース6aに戻す際、ベアリング1g~4gが左右に間隔の広い左右のガイド片6gの前領域において確実に案内される。したがって、左右のガイド片6gの内部へのベアリング1g~4gの戻しをスムーズに実施できる。
【0067】
さらに、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4は、角度が固定された固定車輪1c~4cを有する。ベース6aの前輪50と後輪52は、旋回可能な自在車輪である。そのため、コンベヤ10を伸縮させる際の第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の走行に直進性を持たせることができる。これによりコンベヤ10の伸縮を円滑に行うことができる。一方ベース6aは、自在車輪を有するため、所望の位置に移動できる。
【0068】
さらに、コンベヤ10の前側に連結され、補助コンベヤ25を有する積込補助装置20を備える。補助コンベヤ25は、平面視において、コンベヤ10に対して同一線上に位置するように配置される。補助コンベヤ25の下方に電線が巻かれるケーブルドラム16が設けられる。電線の引き出し側の一端は、ケーブルドラム16から引き出された電線がコンベヤ10の下方に位置するように台車6の制御盤6cに接続されている。そのため、第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4を移動させた際、この移動にともなってケーブルドラム16から引き出された電線が、常に、第1分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5の下方に位置する。したがって、引き出された電線の上に荷物が落下する恐れが少なくなり、電線の断線を防止できる。
【0069】
さらに、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5は、前から順に上方に配置されている。第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4は、それぞれ左右の脚部1b~4bを有し、左右の脚部1b~4bの間に下方の第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5が配置される。第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の左右の脚部2b~4bの各内面には、この左右の脚部2b~4bと第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5の左右側面が接触して摺動を円滑にするテープ2h~4hが設けられる。そのため第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4は、第2段分割コンベヤ2~第5段分割コンベヤ5によって案内される。したがって、移動する第1段分割コンベヤ1~第4段分割コンベヤ4の蛇行を抑制できる。そしてテープ2h~4hによって摺動の抵抗が小さく、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4を第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5に対して円滑に摺動できる。また、下方の第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5のフレーム3a~フレーム5aの左右側面に傷が付くことを防止できる。
【0070】
さらに、テープ2h~4hは、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の左右の脚部2b~4bの各内面から進出する方向に向けて付勢された付勢部材を介して設けられる。付勢部材の付勢力は、上方の分割コンベヤより下方の分割コンベヤの方が摺動の抵抗が大きくなるように設定されている。そのため、複数の分割コンベヤ1~4を伸長させると、最前の分割コンベヤの伸長が完了した後、その後ろの分割コンベヤが伸長する。したがって、下流の分割コンベヤは、上流の分割コンベヤが伸長しない限り伸長することがない。例えば、コンベヤ10を2段伸長させる場合、第1段分割コンベヤ1の伸長が完了した後に第2段分割コンベヤ2の伸長が完了する。そのため、第3段分割コンベヤ3の搬送面が荷物91を降ろす面となる。したがって、荷降ろしするまでにコンベヤ10に生じる段差を1段ずつにできる。ゆえに、段差による高さの違いを低く抑えることができるため、伸長させたコンベヤ10の段差で搬送する荷物91が落下する恐れを抑制できる。また、荷物91を降ろす面が第3段分割コンベヤ3の搬送面となる。そのため、荷物91を降ろす第3段分割コンベヤ3の搬送面が荷降ろしする作業員92の腰より高くて荷物91を取り易い高さ位置となる時間を多く確保できるため、荷降ろしする作業員92の負担を低減できる。なお、上述した付勢部材は、コストダウンの観点から、必ずしも設ける必要がない。この付勢部材を設けない形態でもよい。
【0071】
これに対し、上記のような付勢部材の付勢力の設定がされていないと、コンベヤ10を2段伸長させる場合、例えば、第1段分割コンベヤ1の伸長が完了した後に第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4が一括して伸長することがある。その場合、第5段分割コンベヤ5の搬送面が荷物91を降ろす面となる。したがって、荷降ろしするまでにコンベヤ10に生じる段差が1段と3段になる。ゆえに、段差の違いが3段になるため、伸長させたコンベヤ10の段差で搬送する荷物91の落下の恐れが生じる。また、荷物91を降ろす面が第5段分割コンベヤ5の搬送面となる。そのため、低い高さ位置からの荷降ろしとなるため、荷降ろしする作業者の負担となる。
【0072】
本発明の形態を上記構造を参照して説明したが、本発明の目的を逸脱せずに多くの交代、改良、変更が可能であることは当業者であれば明らかである。したがって本発明の形態は、添付された請求項の精神と目的を逸脱しない全ての交代、改良、変更を含み得る。例えば本発明の形態は、前記特別な構造に限定されず、下記のように変更が可能である。
【0073】
添付の図面を参照して詳細に上述した種々の実施形態は、本発明の代表例であって本発明を限定するものではありません。詳細な説明は、本教示の様々な態様を作成、使用および/または実施するために、当業者に教示するものであって、本発明の範囲を限定するものではありません。更に、上述した各付加的な特徴および教示は、改良された荷物搬送装置9を提供するため、別々にまたは他の特徴および教示と一緒に適用および/または使用され得るものです。
【0074】
実施形態では、複数段の分割コンベヤの例として5段の分割コンベヤ(第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5)を説明した。これに替えて、トラック80の長さに合わせて、2段、3段、4段、6段、それ以上、の分割コンベヤでも構わない。また、荷物搬送装置9は積込補助装置20を備えることなく作業員90が手で押すまたは引いてコンベヤ10を移動させても構わない。
【0075】
実施形態では、トラック80の荷室81の床面に積まれた多数個の荷物91をプラットホーム85に降す形態を説明した。これに替えて、プラットホーム85に積まれた多数個の荷物91をトラック80の荷室81に積み込む形態でも構わない。その場合、コンベヤ10を全て伸長させ、最後尾の第5段分割コンベヤ5をトラック80の荷室81の奥部まで移動させる(入れ込む)こととなる。また、トラック80の荷室81がコンテナの荷室でも構わない。また、ジャッキ装置7は作業員90がハンドル7bを手で回す手動式でなく駆動源を有する電動式でも構わない。その場合、作業員90がスイッチを操作して駆動源を駆動、停止させる。なお、駆動源の停止にあたって、スイッチを操作することなく、渡りプレート8の先端にセンサーを設け、このセンサーの検知(例えば、渡りプレート8の先端がトラック80の荷室81の床面の積込口82側の縁に掛け渡されたことの検知)に基づいて駆動源を停止させてもよい。
【0076】
実施形態では、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の左右の脚部2b~4bの各内面には、第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5の左右側面に接触して摺動を円滑にするテープ2h~4hが設けられる形態を説明した。このテープ2h~4hに替えて、ローラでも構わない。また、ローラの場合、プレート、付勢部材を設けることなく、ローラの転がり抵抗に違いを設定することで、付勢部材の付勢力の違いと同等に扱っても構わない。また、第2段分割コンベヤ2~第4段分割コンベヤ4の左右の脚部2b~4bの各内面に替えて、第3段分割コンベヤ3~第5段分割コンベヤ5の左右側面にテープ2h~4hを直に貼っても構わない。
【0077】
実施形態では、積込補助装置20の補助コンベヤ25の下方に電線が巻かれるケーブルドラム16が設けられる形態を説明した。これに替えて、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5の内の最前の第1段分割コンベヤ1の下方に電線が巻かれるケーブルドラム16が設けられる形態でも構わない。実施形態では、被案内部材の例としてベアリング1g~4gを説明した。これに替えて、各種の回転体、回転しないガイド部材等でも構わない。また、第1段分割コンベヤ1~第5段分割コンベヤ5の各モータ1d~5dおよび補助コンベヤ25のモータにインバータ(図示しない)を装着して可変速で駆動できるようにしても構わない。その場合、これら各コンベヤ1~5、25の搬送速度を下流のコンベヤの搬送面から作業員92が荷物91を取り出し易い速度に調整できる。
【符号の説明】
【0078】
1 第1段分割コンベヤ
1b 脚部
1c 固定車輪1c
1g ベアリング(被案内部材)
2 第2段分割コンベヤ
2b 脚部
2c 固定車輪
2g ベアリング(被案内部材)
2h テープ
3 第3段分割コンベヤ
3b 脚部
3c 固定車輪
3g ベアリング(被案内部材)
3h テープ
4 第4段分割コンベヤ
4b 脚部
4c 固定車輪
4g ベアリング(被案内部材)
4h テープ
5 第5段分割コンベヤ
5b 脚部
6a ベース
6f ガイド
6g ガイド片
7 ジャッキ装置(高さ調節機構)
8 渡りプレート
9 荷物搬送装置
10 コンベヤ
16 ケーブルドラム
50 前輪
52 後輪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8