(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017155
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ピンチグリップ式ボトル型容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D1/02 221
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119608
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】斗沢 拓人
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA02
3E033BA17
3E033BA18
3E033BB08
3E033CA20
3E033DC10
3E033DE01
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】手指の小さい人でもグリップ部を強く握ることができる。
【解決手段】胴部13において、口部11の中心軸線Oを左右方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域13aに、グリップ凹部15が各別に形成されるとともに、一対の側面領域同士の間に位置する背面領域13b、およびグリップ凹部がグリップ部Gとされ、グリップ凹部15は、左右方向を向く底面16と、底面の外周縁から左右方向に立ち上がる側壁面17と、を備え、側壁面は、グリップ凹部の後端部を画成する後側壁面18を備え、後側壁面のうちの背面領域に連なる後部18bは、左右方向を向き、それぞれのグリップ凹部の底面16における上端部に、上指当て用凹部21が各別に形成され、後側壁面の後部において、上指当て用凹部に対して前後方向に隣接する部分には、背面領域に開口して、背面領域の左右方向の大きさである幅を狭めるくびれ部23が形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴部において、口部の中心軸線を径方向のうちの左右方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、グリップ凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記グリップ凹部がグリップ部とされ、
前記グリップ凹部は、
左右方向を向く底面と、
前記底面の外周縁から左右方向に立ち上がる側壁面と、を備え、
前記側壁面は、前記グリップ凹部における前記背面領域側の後端部を画成する後側壁面を備え、
前記後側壁面のうちの前記背面領域に連なる後部は、左右方向を向き、
それぞれの前記グリップ凹部の底面における上端部に、上指当て用凹部が各別に形成され、
前記後側壁面の後部において、前記上指当て用凹部に対して、径方向のうちの左右方向に直交する前後方向に隣接する部分には、前記背面領域に開口して、前記背面領域の左右方向の大きさである幅を狭めるくびれ部が形成されている、ピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項2】
それぞれの前記グリップ凹部の底面において、前記上指当て用凹部の直下に位置する部分に、下指当て用凹部が各別に形成されている、請求項1に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項3】
上下方向から見て、前記背面領域は、前記胴部のうち、前記中心軸線を径方向に挟む前記背面領域の反対側に位置する正面領域の曲率半径より小さい曲率半径の円弧に内接している、請求項1または2に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【請求項4】
前記胴部において、径方向のうち、前記背面領域および前記正面領域が互いに対向する前後方向の直径が、一対の前記側面領域が互いに対向する左右方向の直径より大きくなっている、請求項3に記載のピンチグリップ式ボトル型容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピンチグリップ式ボトル型容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、胴部のうち、口部の中心軸線を径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、グリップ凹部が各別に形成されるとともに、一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、およびグリップ凹部がグリップ部とされたピンチグリップ式ボトル型容器が知られている。この容器を持ち上げる際、背面領域を手のひらで覆いながら、一対のグリップ凹部に指を差し込むことで、グリップ部を把持する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ピンチグリップ式ボトル型容器では、胴部の直径が大きくなると、背面領域の周方向の大きさである幅が広くなり、手指の小さい人ではグリップ部を強く握ることができなくなる場合がある。
【0005】
本発明は、手指の小さい人でもグリップ部を強く握ることができるピンチグリップ式ボトル型容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るピンチグリップ式ボトル型容器は、胴部において、口部の中心軸線を径方向のうちの左右方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域に、グリップ凹部が各別に形成されるとともに、前記一対の側面領域同士の間に位置する背面領域、および前記グリップ凹部がグリップ部とされ、前記グリップ凹部は、左右方向を向く底面と、前記底面の外周縁から左右方向に立ち上がる側壁面と、を備え、前記側壁面は、前記グリップ凹部における前記背面領域側の後端部を画成する後側壁面を備え、前記後側壁面のうちの前記背面領域に連なる後部は、左右方向を向き、それぞれの前記グリップ凹部の底面における上端部に、上指当て用凹部が各別に形成され、前記後側壁面の後部において、前記上指当て用凹部に対して、径方向のうちの左右方向に直交する前後方向に隣接する部分には、前記背面領域に開口して、前記背面領域の左右方向の大きさである幅を狭めるくびれ部が形成されている。
【0007】
それぞれのグリップ凹部の底面における上端部に、上指当て用凹部が各別に形成され、後側壁面の後部において、上指当て用凹部に対して前後方向で隣接する部分に、背面領域の幅を狭めるくびれ部が形成されているので、ピンチグリップ式ボトル型容器を持ち上げる際、くびれ部を掴むことで、手指の小さい人でも、背面領域を手のひらで覆いながら、一対のグリップ凹部における上指当て用凹部に指先を各別に到達させることが可能になり、グリップ部を強く握ることができる。
【0008】
それぞれの前記グリップ凹部の底面において、前記上指当て用凹部の直下に位置する部分に、下指当て用凹部が各別に形成されてもよい。
【0009】
それぞれのグリップ凹部の底面において、上指当て用凹部の直下に位置する部分に、下指当て用凹部が各別に形成されているので、グリップ部を把持するときに、上指当て用凹部および下指当て用凹部の双方に同時に異なる指先を差し込むことが可能になり、グリップ部を確実に強く握ることができる。
【0010】
上下方向から見て、前記背面領域は、前記胴部のうち、前記中心軸線を径方向に挟む前記背面領域の反対側に位置する正面領域の曲率半径より小さい曲率半径の円弧に内接してもよい。
【0011】
上下方向から見て、背面領域が、正面領域の曲率半径より小さい曲率半径の円弧に内接しているので、背面領域の幅を確実に狭めることができる。
【0012】
前記胴部において、径方向のうち、前記背面領域および前記正面領域が互いに対向する前後方向の直径が、一対の前記側面領域が互いに対向する左右方向の直径より大きくなってもよい。
【0013】
胴部において、前後方向の直径が、左右方向の直径より大きくなっているので、背面領域の幅を確実に狭めることができる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、手指の小さい人でもグリップ部を強く握ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】一実施形態として示したピンチグリップ式ボトル型容器の側面図である。
【
図2】
図1に示すピンチグリップ式ボトル型容器の一部縦断面を含む背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照し、一実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器を説明する。
本実施形態に係るピンチグリップ式ボトル型容器1は、
図1および
図2に示されるように、口部11、肩部12、胴部13および底部14を備え、これら11~14が、口部11の中心軸線Oに沿ってこの順に連設された概略構成となっている。
ピンチグリップ式ボトル型容器1の内容積は、例えば200ml以上4000ml以下の内容物が充填される大きさとなっている。図示の例では、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、約2200mlの内容物が充填されるのに用いられる大きさとなっている。
【0017】
以下、口部11の中心軸線Oに沿って、口部11側を上側、底部14側を下側といい、中心軸線Oに沿う方向を上下方向といい、また、上下方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
なお、ピンチグリップ式ボトル型容器1は、射出成形により有底筒状に形成されたプリフォームが、ブロー成形されて形成され、合成樹脂材料で一体に形成されている。口部11には、図示しないキャップが装着される。
【0018】
胴部13のうち、中心軸線Oを径方向に挟んで互いに対向する一対の側面領域13aに、グリップ凹部15が各別に形成されている。胴部13のうち、一対の側面領域13a同士の間に位置する背面領域13b、およびグリップ凹部15が、使用者がピンチグリップ式ボトル型容器1を持ち上げる際に把持するグリップ部Gとなっている。グリップ凹部15およびグリップ部Gは、胴部13のうち、上端部と下端部との間に位置する中間部に設けられている。胴部13の上端部および下端部には、周方向の全長にわたって連続して延びる周溝13eが各別に形成されている。
【0019】
背面領域13bは、
図3に示されるように、胴部13において、一対の側面領域13a同士の間に位置する一対の領域のうち、周方向の長さが短い方となっている。背面領域13bに、ピンチグリップ式ボトル型容器1内の減圧に伴う、胴部13の復元困難な変形を防止するための減圧吸収パネル13cが形成されている。
【0020】
以下、中心軸線Oに対して、背面領域13bが位置している側を後側、背面領域13bの反対側を前側という。胴部13のうち、中心軸線Oを径方向に挟む背面領域13bの反対側に位置する部分を正面領域13dという。径方向のうち、背面領域13bと正面領域13dとが互いに対向する方向を前後方向、前後方向に直交する方向を左右方向という。
【0021】
肩部12、胴部13および底部14それぞれにおいて、前後方向の直径が、左右方向の直径より大きくなっている。胴部13の前後方向の直径Bは、胴部13の上下方向の大きさAの0.6倍以上1.0倍以下となっている。これにより、ピンチグリップ式ボトル型容器1の上下方向の大きさが抑えられている。ピンチグリップ式ボトル型容器1は、例えば、本容器に詰め替えるための内容物が充填される詰め替え容器として用いてもよい。
なお、肩部12は、上方に向かうに従い径方向の内側に向けて延び、底部14は、下方に向かうに従い径方向の内側に向けて延びている。
【0022】
上下方向から見て、背面領域13bは、正面領域13dの曲率半径R1より小さい曲率半径R2の円弧Cに内接している。図示の例では、背面領域13bのうち、周方向の両端部が、前記円弧Cに接し、周方向の中間部は、前記円弧Cより径方向の内側に位置している。上下方向から見て、前記円弧Cの曲率半径R2(図示の例では約58mm)は、正面領域13dの曲率半径R1(図示の例では約66mm)の0.7倍以上1.0倍未満となっている。
【0023】
図1に示されるように、グリップ凹部15は、左右方向から見た正面視で、上下方向に長い長方形状を呈する。左右方向から見た正面視で、グリップ凹部15の前端部の下端部は、上方から下方に向かうに従い後方に向けて延びる面取り形状に形成されている。グリップ凹部15は、左右方向を向く底面16と、底面16の外周縁から左右方向に立ち上がる側壁面17と、を備えている。
図2に示されるように、底面16は、上下方向に沿う縦断面視で直線状に延びている。側壁面17は、グリップ凹部15の後端部を画成する後側壁面18を備えている。
【0024】
図3に示されるように、後側壁面18のうち、底面16の外周縁に連なる前部18aは、底面16から左右方向に離れるに従い後方に向けて延びている。後側壁面18のうち、背面領域13bに連なる後部18bは、前後方向に延び、左右方向を向いている。
【0025】
図1および
図2に示されるように、それぞれのグリップ凹部15の底面16における上端部に、上指当て用凹部21が各別に形成されている。上指当て用凹部21は、底面16における前後方向の全域にわたって形成されている。上指当て用凹部21の底面は、
図2に示されるように、上下方向に沿う縦断面視で直線状に延び、
図3に示されるように、径方向に沿う横断面視で直線状に延びている。
【0026】
それぞれのグリップ凹部15の底面16において、上指当て用凹部21の直下に位置する部分に、下指当て用凹部22が各別に形成されている。下指当て用凹部22の深さは、上指当て用凹部21の深さより浅くなっている。下指当て用凹部22は、左右方向から見た正面視で、前後方向に長い長方形状を呈する。下指当て用凹部22は、上指当て用凹部21からわずかに下方に離れている。下指当て用凹部22の底面は、
図2に示されるように、上下方向に沿う縦断面視で直線状に延び、
図3に示されるように、径方向に沿う横断面視で直線状に延びている。
【0027】
図1および
図2に示されるように、後側壁面18の後部18bにおいて、上指当て用凹部21に対して前後方向に隣接する部分に、背面領域13bに開口して、背面領域13bの左右方向の大きさである幅を狭めるくびれ部23が形成されている。くびれ部23、および上指当て用凹部21それぞれの上下方向の位置は、互いに同じになっている。くびれ部23は、後側壁面18の後部18bにおける前後方向の全域にわたって形成されている。くびれ部23は、後方から見て、左右方向の内側に向けて窪む曲線状を呈する。くびれ部23の底面は、上指当て用凹部21の底面より左右方向の外側に位置している。
【0028】
くびれ部23の底面に、窪み部24が1つ形成され、後側壁面18の後部18bのうち、くびれ部23より下方に位置する部分に、複数の窪み部24が上下方向に間隔をあけて形成されている。窪み部24の深さは、くびれ部23の深さより浅くなっている。
【0029】
以上説明したように、本実施形態によるピンチグリップ式ボトル型容器1によれば、それぞれのグリップ凹部15の底面16における上端部に、上指当て用凹部21が各別に形成され、後側壁面18の後部18bにおいて、上指当て用凹部21に対して前後方向で隣接する部分に、背面領域13bの幅を狭めるくびれ部23が形成されているので、ピンチグリップ式ボトル型容器1を持ち上げる際、くびれ部23を掴むことで、手指の小さい人でも、背面領域13bを手のひらで覆いながら、一対のグリップ凹部15における上指当て用凹部21に指先を各別に到達させることが可能になり、グリップ部Gを強く握ることができる。
【0030】
それぞれのグリップ凹部15の底面16において、上指当て用凹部21の直下に位置する部分に、下指当て用凹部22が各別に形成されているので、グリップ部Gを把持するときに、上指当て用凹部21および下指当て用凹部22の双方に同時に異なる指先を差し込むことが可能になり、グリップ部Gを確実に強く握ることができる。
【0031】
上下方向から見て、背面領域13bが、正面領域13dの曲率半径R1より小さい曲率半径R2の円弧Cに内接しているので、背面領域13bの幅を確実に狭めることができる。
【0032】
胴部13において、前後方向の直径Bが、左右方向の直径Cより大きくなっているので、背面領域13bの幅を確実に狭めることができる。
【0033】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0034】
例えば、グリップ凹部15の底面16に、下指当て用凹部22を形成しなくてもよい。
【0035】
ピンチグリップ式ボトル型容器1を形成する合成樹脂材料は、例えばポリエチレンテレフタレートや、ポリエチレンナフタレート、非晶性ポリエステル等、またはこれらのブレンド材料等、適宜変更してもよい。
ピンチグリップ式ボトル型容器1は、単層構造体に限らず中間層を有する積層構造体としてもよい。この中間層としては、例えばガスバリア性を有する樹脂材料からなる層、再生材からなる層、若しくは酸素吸収性を有する樹脂材料からなる層等が挙げられる。
また、肩部12、胴部13、および底部14のそれぞれの中心軸線Oに直交する横断面視形状は、例えば円形状、若しくは角形状等にしてもよい。
【0036】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 ピンチグリップ式ボトル型容器
11 口部
13 胴部
13a 側面領域
13b 背面領域
13d 正面領域
14 底部
15 グリップ凹部
16 底面
17 側壁面
18 後側壁面
18b 後部
21 上指当て用凹部
22 下指当て用凹部
23 くびれ部
C 円弧
G グリップ部
O 中心軸線
R1、R2 曲率半径