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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171551
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】吐出ヘッド
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20241205BHJP
   B05B 11/00 20230101ALI20241205BHJP
   B05B 11/06 20060101ALI20241205BHJP
   B05B 11/10 20230101ALI20241205BHJP
   B05B 1/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101B
B05B11/06 J
B05B11/10 101B
B05B1/02 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088618
(22)【出願日】2023-05-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】長村 隆央
【テーマコード(参考)】
3E084
4F033
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GB11
3E084HD01
3E084KB05
3E084LB02
3E084LD22
4F033BA02
4F033BA03
4F033DA01
4F033EA01
4F033NA01
(57)【要約】
【課題】上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出する。
【解決手段】上下方向に交差する前後方向に延びる吐出筒47を有し、吐出孔14は、吐出筒に形成されるとともに、下方に向けて開口し、吐出筒には、上下方向から見て吐出孔の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、吐出孔の中心軸線O2回りに沿う孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部41が設けられ、孔周方向で互いに隣り合う突出部同士の間隔は、上下方向から見て前記中心軸線に交差する孔径方向に延びるスリット状に形成され、複数の突出部における孔径方向の内端部の上端部同士は、前記中心軸線上に位置する連結片42を介して連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
泡体が吐出される吐出孔を有する吐出ヘッドであって、
上下方向に交差する前後方向に延びる吐出筒を有し、
前記吐出孔は、前記吐出筒に形成されるとともに、下方に向けて開口し、
前記吐出筒には、上下方向から見て前記吐出孔の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、前記吐出孔の中心軸線回りに沿う孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部が設けられ、
孔周方向で互いに隣り合う前記突出部同士の間隔は、上下方向から見て前記中心軸線に交差する孔径方向に延びるスリット状に形成され、
複数の前記突出部における孔径方向の内端部の上端部同士は、前記中心軸線上に位置する連結片を介して連結されている、吐出ヘッド。
【請求項2】
前記突出部は、上下方向に延びる三角柱状に形成され、
前記突出部において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの辺部のうち、2つの辺部が、孔周方向で隣り合う他の前記突出部における前記辺部と孔周方向で対向し、前記間隔を画成している、請求項1に記載の吐出ヘッド。
【請求項3】
前記吐出筒の後端開口は、液体が収容された容器本体内に連通可能とされ、
前記吐出筒の前端開口は、蓋体により閉塞されている、請求項1または2に記載の吐出ヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
泡体が吐出される吐出孔を有する吐出ヘッドとして、例えば、下記特許文献1に示されるような、上下方向に交差する前後方向に延びる吐出筒を有し、吐出孔が、吐出筒に形成されるとともに、下方に向けて開口した構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-210001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の吐出ヘッドでは、一般にホイップクリームを用いて形作られるような、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出することができなかった。
【0005】
本発明は、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出することができる吐出ヘッドを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る泡吐出器は、泡体が吐出される吐出孔を有する吐出ヘッドであって、上下方向に交差する前後方向に延びる吐出筒を有し、前記吐出孔は、前記吐出筒に形成されるとともに、下方に向けて開口し、前記吐出筒には、上下方向から見て前記吐出孔の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、前記吐出孔の中心軸線回りに沿う孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部が設けられ、孔周方向で互いに隣り合う前記突出部同士の間隔は、上下方向から見て前記中心軸線に交差する孔径方向に延びるスリット状に形成され、複数の前記突出部における孔径方向の内端部の上端部同士は、前記中心軸線上に位置する連結片を介して連結されている。
【0007】
吐出筒内の泡体は、吐出孔を下方に向けて通過すると、孔径方向に拡大する。したがって、吐出筒内の泡体は、スリット状の前述した間隔、並びに突出部より孔径方向の外側に位置する部分を下方に向けて流れる。この際、前者の間隔を流れる泡体の流速が、後者の部分を流れる泡体の流速より遅くなる。これにより、吐出される泡体が円錐形状に造形される。
この際、吐出筒に、上下方向から見て吐出孔の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部が設けられているので、前述した円錐形状の外周面に、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて複数設けられる。
以上より、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出することができる。
【0008】
前記突出部は、上下方向に延びる三角柱状に形成され、前記突出部において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの辺部のうち、2つの辺部が、孔周方向で隣り合う他の前記突出部における前記辺部と孔周方向で対向し、前記間隔を画成してもよい。
【0009】
突出部が、上下方向に延びる三角柱状に形成され、突出部において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの辺部のうち、2つの辺部が、孔周方向で隣り合う他の突出部における辺部と孔周方向で対向し、前記間隔を画成しているので、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を確実に吐出することができる。
【0010】
前記吐出筒の後端開口は、液体が収容された容器本体内に連通可能とされ、前記吐出筒の前端開口は、蓋体により閉塞されてもよい。
【0011】
吐出筒の前後方向の両端部に開口が設けられているので、吐出ヘッドを容易に射出成形することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の吐出ヘッドを有する泡吐出容器の縦断面図である。
図2図1のII-II線矢視図である。
図3】第2実施形態の吐出ヘッドの一部を示す縦断面図である。
図4図3のIV-IV線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本発明の第1実施形態に係る吐出ヘッド1を有する泡吐出容器10を説明する。
泡吐出容器10は、図1に示されるように、吐出ヘッド1と、装着キャップ11と、吐出器13と、を備えている。吐出器13は、容器本体W内に収容された液体を泡状にして吐出ヘッド1の吐出孔14から吐出させる。
【0015】
装着キャップ11および吐出ヘッド1は、有頂筒状に形成され、共通軸O1と同軸に配設されている。
以下、共通軸O1に沿う吐出ヘッド1の頂壁部43側を上側といい、共通軸O1に沿う装着キャップ11の周壁部18の開放端側を下側といい、共通軸O1に沿う方向を上下方向という。上下方向から見て共通軸O1に交差する方向を径方向といい、上下方向から見て共通軸O1回りに周回する方向を周方向という。
【0016】
装着キャップ11は、液体が収容される容器本体Wの口部W1に装着される。装着キャップ11は、容器本体Wの口部W1上に配置される環状の天壁部16と、天壁部16の内周縁部から上方に向けて延びる案内筒部17と、天壁部16の外周縁部から下方に向けて延び、口部W1に装着される周壁部18と、を備えている。周壁部18は、口部W1に例えば螺合、若しくはアンダーカット嵌合等により装着される。
【0017】
吐出器13は、ステム12と、液用ピストン25と、空気用ピストン27と、液用シリンダ26と、空気用シリンダ28と、気液混合室29と、発泡部材24と、液吐出弁23と、を備えるポンプ式となっている。
【0018】
ステム12は、上方付勢状態で下方移動可能に設けられ、装着キャップ11内に挿通されている。ステム12の上端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出し、上方に延びる環状の弁座22が設けられている。弁座22の上端開口縁は、径方向の外側に向かうに従い上方に向けて延びている。
液吐出弁23は、弁座22の上端開口縁に上方に向けて離反可能に着座し、液用シリンダ26内と気液混合室29との連通、およびその遮断を切替える。液吐出弁23は、球状に形成されている。
【0019】
吐出ヘッド1は、泡体が吐出される吐出孔14を有している。吐出ヘッド1は、ステム12の上方に設けられた頂壁部43、および頂壁部43から下方に向けて延び、ステム12に装着された装着筒部44を備えている。
装着筒部44の下端部内には、空気用ピストン27の後述する内摺動筒32の上端部が上下摺動自在に嵌合されている。装着筒部44の内面と内摺動筒32の上端縁との間には、上下方向の隙間である連通隙間Sが設けられている。
装着筒部44の内周面のうち、連通隙間Sより上方に位置する部分に、上下方向に延びる複数の縦溝44aが周方向に間隔をあけて形成されている。縦溝44aの上端部は、ステム12の上端開口縁を径方向に跨いで径方向の内側に開口し、縦溝44aの下端部は、連通隙間Sに開口している。
【0020】
装着筒部44には、上下方向に交差する前後方向に延びる吐出筒47が設けられている。吐出筒47は、前後方向の両端部が開口した筒状に形成されている。
吐出筒47の後端開口は、液体が収容された容器本体W内に連通可能とされている。図示の例では、吐出筒47の後端開口は、装着筒部44の上端部内を通してステム12の上端部内に連通している。吐出筒47の前端開口は、蓋体45により液密に閉塞されている。
吐出孔14は、吐出筒47に形成されるとともに、下方に向けて開口している。吐出孔14は、吐出筒47の前端部に設けられている。
【0021】
以下、上下方向から見て吐出孔14の中心軸線O2に交差する方向を孔径方向といい、上下方向から見て中心軸線O2回りに周回する方向を孔周方向という。
【0022】
吐出筒47に、図2に示されるように上下方向から見て吐出孔14の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部41が設けられている。孔周方向で互いに隣り合う突出部41同士の間隔は、孔径方向に延びるスリット状に形成されている。複数の突出部41における孔径方向の内端部の上端部同士は、中心軸線O2上に位置する連結片42を介して連結されている。連結片42の上面は、吐出筒47の内周面における下端部と面一になっている。連結片42の下面は、吐出筒47の外周面における下端部に対して、上下方向の同じ位置、若しくは上方に位置している。連結片42は、上下方向から見て矩形状を呈する。なお、連結片42は、上下方向から見て円形状等を呈してもよい。
【0023】
図示の例では、吐出孔14は、上下方向から見て孔周方向に間隔をあけて設けられた複数のスリット状に開口するように、3つ以上の突出部41に覆われている。複数の突出部41は、互いに同じ大きさで同じ形状に形成されている。
突出部41は、上下方向に延びる三角柱状に形成されている。突出部41において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの辺部のうち、2つの辺部が、孔周方向で隣り合う他の突出部41における前記辺部と孔周方向で対向して、スリット状の前記間隔を画成している。突出部41において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの角部のうち、1つの角部が、孔径方向の内端部に位置し、残り2つの角部が、吐出孔14の内周面に孔周方向に間隔をあけて位置している。突出部41の下端面の外周部は、径方向の外側に向かうに従い上方に向けて延びるとともに、突曲面状に形成されている。
【0024】
液用ピストン25および空気用ピストン27は、ステム12の上下動に連係する。液用シリンダ26内に、液用ピストン25が上下摺動自在に収容され、空気用シリンダ28内に、空気用ピストン27が上下摺動自在に収容されている。
【0025】
空気用シリンダ28は有底筒状に形成され、液用シリンダ26は筒状に形成されている。空気用シリンダ28および液用シリンダ26は、共通軸Oと同軸に配設されている。空気用シリンダ28の上端開口部は、装着キャップ11の天壁部16の下面に密閉されている。液用シリンダ26は、空気用シリンダ28の底部から下方に向けて延びている。液用シリンダ26および空気用シリンダ28は一体に形成されている。液用シリンダ26は、空気用シリンダ28よりも小径に形成されている。空気用シリンダ28の底部と、液用シリンダ26の上端部と、の接続部分に、ステム12の下端部が位置している。ステム12は、下降移動時に液用シリンダ26内に進入する。
【0026】
空気用ピストン27は、空気用シリンダ28内に気密状態で上下摺動自在に嵌合された外摺動筒31と、外摺動筒31の内側に配置され、内部にステム12が上下摺動自在に挿入された内摺動筒32と、外摺動筒31の内周面と内摺動筒32の外周面とを連結する連結板33と、連結板33を上下方向に貫通する空気孔34と、空気孔34を開閉する空気弁35と、を備えている。
内摺動筒32内には、ステム12が挿入されている。ステム12の外周面において内摺動筒32内に挿入された部分には、上下方向に延びる複数のステム溝12aが、周方向に間隔をあけて形成されている。ステム溝12aは連通隙間Sに連通している。
【0027】
気液混合室29は、液用シリンダ26からの液体と空気用シリンダ28からの空気とを混合する。気液混合室29は、ステム12内において、弁座22より上方に位置する部分に設けられている。気液混合室29は、ステム12の上端部内に設けられている。気液混合室29は、縦溝44a、連通隙間Sおよびステム溝12aにより構成される空気通路36を通して、空気用シリンダ28内と連通可能とされている。
【0028】
発泡部材24は、吐出ヘッド1の装着筒部44内において、ステム12より上方に位置する部分に設けられている。発泡部材24は、メッシュ体とされ、上下方向に間隔をあけて2つ設けられている。発泡部材24は、気液混合室29で空気と混合された液体を発泡させる。なお、発泡部材24をステム12内に設けてもよく、また、吐出器13は発泡部材24を有しなくてもよい。
【0029】
ステム12のうち、空気用シリンダ28内に位置する部分には、径方向の外側に向けて突出する環状の突状部37が設けられている。突状部37は、ステム溝12aより下方に位置している。突状部37の上面部分は、空気用ピストン27の内摺動筒32の下端部に当接している。これにより、ステム溝12aの下端部と空気用シリンダ28の内部との連通が遮断されている。すなわち、突状部37の上面部分が、内摺動筒32の下端部に当接することで、空気用シリンダ28内における空気通路36の開口部が閉塞され、空気用シリンダ28の内部と気液混合室29との連通が遮断されている。
【0030】
液用ピストン25は、液用シリンダ26内に上下摺動自在に嵌合する大径部と、大径部よりも小径とされ、大径部の内周部から上方に向けて延びる小径部と、を備えている。液用ピストン25の小径部は、ステム12の下部内に嵌合されている。液用ピストン25の大径部は、ステム12の下端開口から下方に突出している。
液用ピストン25は、付勢部材38により上方に向けて付勢されている。付勢部材38の上端部は、液用ピストン25における大径部と小径部との接続部分を支持している。付勢部材38の下端部は、液用シリンダ26の下部の内面に支持されている。付勢部材38は、例えばコイルスプリング若しくは樹脂バネ等となっている。
【0031】
液用ピストン25、液用シリンダ26および付勢部材38それぞれの径方向の内側に、弁部材39が挿入されている。弁部材39は、上下方向に延びる中実の棒状に形成されている。
弁部材39の上端部は、中空の逆円錐状に形成され、液用ピストン25の小径部の上端部内に離反可能に当接した上部弁体39aとなっている。
弁部材39の下端部は、吐出ヘッド1の押下時に、液用シリンダ26の下端部の内面に当接し、容器本体W内と液用シリンダ26内との連通を遮断する下部弁体39bとなっている。下部弁体39bは、吐出ヘッド1が上昇端位置に位置する待機時に、液用シリンダ26の下端部の内面から上方に離れている。
【0032】
以上の泡吐出容器10において、吐出ヘッド1を押し下げると、ステム12および液用ピストン25が、付勢部材38を上下方向に圧縮変形させながら、空気用ピストン27に対して下方に移動する。この際、連通隙間Sが上下方向に縮小する。
これにより、内摺動筒32の下端部と、ステム12における突状部37の上面部分と、の間に隙間が生じ、空気通路36を通して空気用シリンダ28内と気液混合室29内とが連通する。
【0033】
さらにこの際、液用ピストン25の下方への移動に伴い、液用ピストン25の小径部の上端開口部が、弁部材39の上部弁体39aから下方に離反し、液用シリンダ26内とステム12内とが連通し、弁部材39も下方に移動させられ、下部弁体39bが、液用シリンダ26内の下端開口部に対して着座して閉塞する。
【0034】
この状態で、吐出ヘッド1をさらに押し下げると、空気用ピストン27も、空気弁35が空気孔34を閉塞した状態で下方に移動させられ、空気用シリンダ28内において空気用ピストン27の下方に位置する下室内の空気が圧縮させられる。これにより、この下室内の空気が、空気用ピストン27における内摺動筒32の下端部と、ステム12の突状部37と、の間の隙間から空気通路36内に流入して気液混合室29に移送される。
【0035】
さらにこの際、弁部材39の下部弁体39bが、液用シリンダ26の下端開口部を閉塞した状態で、液用ピストン25が下方移動するので、液用シリンダ26内の液体が上昇してステム12内に到達する。そして、液用シリンダ26内の液圧を液吐出弁23に作用させ、液吐出弁23を弁座22から上方に離反させることにより、液用シリンダ26内の液体を気液混合室29内に流入させる。
【0036】
以上のように、気液混合室29内で液体および空気を合流させ、発泡部材24を通過させて液体を発泡させた後に、装着筒部44の上端部内および吐出筒47内を通過させ吐出孔14から泡体を吐出させる。
【0037】
その後、吐出ヘッド1の押し下げを解除すると、付勢部材38の弾性復元力により液用ピストン25が上方に押し上げられる。これにより、液用ピストン25の小径部の上端開口部が上部弁体39aに当接して、液用シリンダ26内とステム12内との連通が遮断されるとともに、下部弁体39bが、液用シリンダ26内の下端開口部から上方に離反し、容器本体W内と液用シリンダ26内とが連通して、容器本体W内の液体が液用シリンダ26内に流入する。このとき、容器本体W内が負圧になり、空気用シリンダ28において外摺動筒31よりも上側に位置する部分に設けられた導入孔を通して、空気用シリンダ28内において空気用ピストン27の上方に位置する上室内の空気が容器本体W内に導入される。
【0038】
また、このように上昇する液用ピストン25とともに、ステム12および吐出ヘッド1が一体的に上昇し、ステム12の突状部37が、空気用ピストン27の内摺動筒32の下端部に当接することで、空気通路36を通した前記下室と気液混合室29との連通が遮断される。この状態で、ステム12および空気用ピストン27が一体的に上昇して前記下室の内圧が低下することで、空気弁35が開いて空気孔34が開放され、前記下室内に、装着キャップ11の天壁部16の内側および空気孔34を通して外気が吸入される。
【0039】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出ヘッド1によれば、吐出筒47内の泡体は、吐出孔14を下方に向けて通過すると、孔径方向に拡大する。したがって、吐出筒47内の泡体は、スリット状の前述した間隔、並びに突出部41より孔径方向の外側に位置する部分を下方に向けて流れる。この際、前者の間隔を流れる泡体の流速が、後者の部分を流れる泡体の流速より遅くなる。これにより、吐出される泡体が円錐形状に造形される。
この際、吐出筒47に、上下方向から見て吐出孔14の内側に張り出しつつ下方に向けて突出し、孔周方向に間隔をあけて設けられた3つ以上の突出部41が設けられているので、前述した円錐形状の外周面に、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて複数設けられる。
以上より、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を吐出することができる。
【0040】
突出部41が、上下方向に延びる三角柱状に形成され、突出部41において、上下方向から見たときに三角形状を構成する3つの辺部のうち、2つの辺部が、孔周方向で隣り合う他の突出部41における辺部と孔周方向で対向し、前記間隔を画成しているので、上下方向に延びる凹条部が周方向に間隔をあけて外周面に複数設けられた円錐形状に造形して泡体を確実に吐出することができる。
【0041】
吐出筒47の前後方向の両端部に開口が設けられているので、吐出ヘッド1を容易に射出成形することができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る吐出ヘッド2を、図3および図4を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0043】
本実施形態の吐出ヘッド2では、吐出筒47の前端開口を閉塞する蓋体45が、ヒンジ部46を介して吐出筒47に連結されている。蓋体45は、吐出筒47と一体に形成されている。ヒンジ部46は、蓋体45の後端部および吐出筒47の前端部それぞれの上端部同士を連結している。
【0044】
以上説明したように、本実施形態に係る吐出ヘッド2によれば、第1実施形態の吐出ヘッド1が有する作用効果に加え、蓋体45が吐出筒47と一体に形成されているので、部品点数の増大を防ぐことができる。
【0045】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0046】
泡吐出容器10として、ポンプ式の吐出器13を有する構成を示したが、このような態様に限られない。泡吐出容器は、容器本体内に液体が加圧ガスとともに充填され、ステムを押し下げることで、ステムを通過した液体が発泡して吐出孔から噴出されるエアゾール式の吐出器を有してもよく、可撓性を備えた容器本体の胴部をスクイズ変形させることで、泡体を吐出孔から吐出する構成であってもよい。
突出部41は、三角柱状に限らず、例えば、吐出孔14の内周面から孔径方向の内側に向けて突出して、表裏面が孔周方向を向き、かつ孔径方向の内端縁がL字状に接続された2枚の板体と、これらの2枚の板体の上端縁、および吐出孔14の内周面により画成される開口を閉塞し、かつ上下方向から見て三角形状を呈する平板状壁と、を備えた構成等を採用してもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および前記変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、2 吐出ヘッド
10 泡吐出容器
12 ステム
13 吐出器
14 吐出孔
41 突出部
42 連結片
45 蓋体
47 吐出筒
O2 中心軸線
図1
図2
図3
図4